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2009.10.17 (Sat)

【2009リーグ1部】前半戦総括

わずかな隙が敗戦を呼び、脱落を余儀なくする
全ての試合で気が抜けない1部リーグ前半戦

091015keio_20091015080233.jpg降格のないリーグが果たして締まった内容になるのか。
そんな杞憂は既に遠く忘れ去られた。

例年、上位下位で実力差のあった1部リーグ。中盤位より下では、降格が絡んでこなければなかなか締まった試合になりにくい状態がここしばらく続き、悪い習慣にもなっていた。しかし、今年は違う。全勝は早々に消え、東海大も青学大も優勝戦線から一歩後退。調子を上げてきた法政大や中央大が上位を脅かす活躍を見せている。ここまで全敗の専修大さえも慶應大に迫るなど、毎週見所のない試合はないと言っていい。

今年の1部リーグは複雑な入り方だった。実力ある慶應大が上位チームと第1週から対戦することになった。リーグ序盤はゲーム慣れしておらず、万全と言えないチームが多い。懸念されたが、結果として慶應大は東海大と青学大の2チームに対して五分。レベルは高い内容であり、リーグ全体の出足としては申し分ない立ち上がりかと思われた。しかしこの対戦において調子を狂わせたのは青学大と東海大だろう。序盤戦に集中していたあまりかどうか、試合を重ねるにつれて良くなっていた中央大と法政大に、その後相次いで横っ面をはたかれる格好となった。逆に、法政大は例年通り初週で2敗したのが今となってはもったいない状態。昨年の順位で決まってしまっている組み合わせの妙が、現在の勝敗に少なからず影響を与えている。

とはいえ、今年の1部リーグが何より面白いのは確かだ。ゴールデン世代と呼ばれた2006年以降、最も選手は充実している。事前の下馬評は目安的なものであって、現状は刻々と変化しており、予想だけでは見えない結果が多い。ただ、今年のリーグがこれまでと最も異なっているのは、上位争いの構図だ。ここ数年の優勝争いは、青山学院大のような実力が抜けている上位チームをいかに倒すかという部分が中心だった。しかし今年は一瞬でも気を抜けば上位からこぼれ落ちてゆくという、脱落の緊張感を秘めた争いとなっている。7週間で14試合を行うリーグは、選手に多大な負担を強いる。7週間を100%集中しきることはたやすいことではなく、必ずどこかで息をつく瞬間が出る。もう何年も全勝優勝を成し遂げたチームがないのがその証拠だ。今年の1部リーグは前半戦を終えて「どこも休める週がない」というのが正直なところであり、このプレッシャーと疲労を乗り越えたチームが最後に“優勝”を手にすることになるだろう。


【4週目終了時点での勝敗】
慶應義塾大学 6勝2敗 ※日本大との直接対決に勝利し、慶應大が暫定首位
日本大学   6勝2敗
青山学院大学 5勝3敗 ※法政大との得失点により、青学大が上位
法政大学   5勝3敗
中央大学   4勝4敗 ※東海大との得失点により、中央大が上位
東海大学   4勝4敗
筑波大学   2勝6敗
専修大学   0勝8敗

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091015nichidai_20091015080228.jpg現在首位に立つのは春の覇者・慶應義塾大。日本大とは同率だが、直接対決で上回っているため暫定1位を確保。初戦で東海大相手に完璧なゲームを披露するが、2戦目では延長の末に逆襲に遭う。2週目の青山学院大戦では警戒していたゾーンにはまるが、これも2戦目では克服してみせ、1部序盤の目玉となる試合で衆目を集めた。昨年のインカレを制覇したメンバー5人が残り、試合でのスタメン5人の呼吸がかなり高いレベルで合ってきている。ベンチメンバーも#20家治が健闘を見せ、徐々に伸びてきている面が見える。だが、「5人のみ」という印象はチーム内外にあり、どこまで5人が力を発揮できるかにかかる。とはいえ、慶應大は45年ぶりにリーグを制覇した2004年も、そしてゴールデン世代の2006年もやはりメンバーは5人程度で戦ってきた。体力と集中力の持続は既に伝統の一つでもあり、今後もそれを継続するだけだ。相手は既に慶應大の足を出させない戦い方を意識するようになっている。残す相手は中央・法政・筑波。青学大や東海大を破った強力な相手と、後半戦にも再び死闘が待ちかまえている。

慶應大と並ぶ日本大は、ここまで無難に試合をこなしている。#4栗原、#5中村、#11上江田といった4年生が中心になり、新人戦で活躍した下級生も試合で貢献している。選手層の厚さは一つの武器だ。例えば#7篠山のかわりに#8石川が活躍するなど、試合の中で流れが悪くなってもそれぞれのポジションに交代要員いるのが強みで、流れを引き戻すことができる。80点を越えている試合は少ないが、その分失点も少ない。ただし、ここからの相手は前半戦以上に警戒が必要だ。青山学院大・東海大は優勝を狙う上では絶対に落とせず、専修大も能力の片鱗が出てきている分油断できない。平成7年以降、優勝から遠ざかっている日本大。リーグ戦では常に上位にいるが、どこか極め切れていない印象が残る。こうした流れを払拭するためにも、今年はぜひ勝ちたいところ。優勝するには慶應大の勝敗次第となるが、残る試合全て全勝が目標だ。

091015aogaku_20091015080238.jpg3連覇を狙う青山学院大は3敗で黄信号が点灯中だ。慶應大と引き分けた翌週、中央大に競り負け、さらに翌週は法政大に逆転負けを喫した。ここ数年、最高の結果を出し続けてきた青山学院大は、目的を持ってバスケットをする選手が目指す大学となった。その結果、他校がうらやむほどの人材が集まったが、その分焦点はどこなのかがまだはっきりしていない。4年の#4小林高晃や#7渡邉がリーダー格であることはもちろんだが、まだ下級生が多い構成なのもやや難点か。コートにいる5人が常に同じレベルでバスケットをできるようになるまで、不安定な部分が出ることは否めない。後半戦に向け、チームとしての力の向上がカギとなりそうだ。

091015hosei_20091015080235.jpg今年ひと味違う、と感じさせられるのは法政大だ。例年スロースターターで5割を保つような戦いで済ませていたリーグだったが、勝つ意志がはっきり見える。第1週は悪い意味でいつもの法政大らしい戦いぶりで2戦を落とした。しかし翌週に持ち直すと、3週目で東海大に2連勝。青学大にも1勝1敗の好勝負を見せた。これまでにない集中力と、能力のある選手達が持ち前の力を存分に発揮している。高校のエリート選手が集まる法政大はもともと“できる”選手たちであるのは間違いない。ただ、その力をうまく出し続けることがこれまでは下手だった。だからこそ、法政大が残りの試合でどこまで集中力を保たせられるかどうかで、リーグ全体の順位を左右するだろう。

091015chuo_20091015080236.jpg中央大は4勝4敗の5割。健闘している。当初は#4小野龍猛がメインと思われた。しかし、ここまでチームが躍進しているのは周囲のメンバーの成長が大きい。昨年ケガもあって出番のなかった#12竹原は、ここまで勝負強いクラッチシュートを何本も決めている。#9吉田も#4小野龍猛との合わせでうまい部分を見せ、#22小野大貴、#21佐藤、#23渡邉、#20入戸野の1年カルテットは要所でチームをバックアップ。小野龍猛自身、「1人じゃ勝てない」と言うほど“チーム”が形になってきているのが見える。ケガをしていた#6砂原も復調してきており、今後どこまでチームを形にできるかで、リーグはもちろん、その後のインカレにも向けても大きな希望が持てる。

東海大は前半戦でまさかの4敗。中盤位に後退した。オフェンス力は昨年より向上しており、速攻も出るようになった。だが、春の勢いが少しなりを潜めている。目立って悪くも良くもないという部分で、どこか中途半端な印象が残る。全体的に良くなったが、その分突出した部分が薄れてもいる。例えば、武器であるディフェンスの集中力を発揮しきれていないのがその一つだ。目標の60点台に相手を抑えたのはここまで2試合。そのうち1試合は負けている。また、セットオフェンスにこだわる余り足が動かなくなっている部分も問題だ。後半戦は日本大、青山学院大といった強敵を残す。このまま悪い流れにならないよう、修正が待たれる。

筑波大は2勝6敗。これは現在のリーグ構造の問題点でもあるが、昇格を果たしても代替わりでチーム力が変化してしまう課題をどう克服するかだ。また、今年の1部では主力のケガ人を出しているチームが少ない中で、加納や星野といった下級生ながら期待されている選手が出場できないのも惜しい。課題の一つは得点力。専修大戦以外では80点を取れていない。ディフェンスは悪くなく、リバウンドも相手と互角だが、さすがに70点台で勝ちきるのは難しい。#45鹿野、#7佐々木といった面々にいかに気持ちよくオフェンスさせるか。 インサイドが手薄な点で苦しいが、後半戦で対戦する中央大や法政大もロースコア気味の試合が多く、粘り切れれば勝機は見えてくる。

専修大はここまで全敗。こちらも代替わりが影響している。第3週までは全く集中力の見られない戦いが続いた。しかし慶應大相手に最後まで接戦を繰り広げるなど、ようやくいい部分が出てきた。バスケットの質は細かいミスが多く、まだ粗い。フロアリーダーも明確ではない。しかし身体能力はずば抜けており、サイズにおいても190cm以上の選手をこれほど抱えているチームは他にない。これがこのまま成長すれば恐ろしいチームになるだろうが、今はまだ未知数だ。残りの対戦で能力をどこまで輝かせられるのか、勝敗だけでは決めつけられない部分を見ていきたい。

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テーマ : バスケットボール(日本) - ジャンル : スポーツ

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