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第86回全日本大学バスケットボール選手権
筑波大学が3連覇を達成 3連覇以上の達成は1999年の日本体育大以来

2008.10.28 (Tue)

10/28関東大学入れ替え戦 大東文化大VS慶應義塾大 第2戦

昨年の無念を晴らし、慶應大が1部復帰!
大東大も意地を見せるが残留は叶わず

大東文化大(1部8位)84(22-26,15-29,27-27,20-24)106慶應義塾大(2部1位)
081028keio.jpg「大東大ともう一度戦って1部へ帰りたい」
春から慶應大の選手達が言い続けていたことだ。昨年、阿部(レラカムイ)、竹野(bj新潟)ら4年生主体の大東大に敗北した苦い入れ替え戦を、誰も忘れてはいなかった。そして実現したリベンジマッチ。第1戦を戦って力の差ははっきりとしていた。もちろん2戦目に向けて慶應大に油断はない。序盤から高い確率でシュートを決めてリードを保つ。大東大もこのまま終われない気迫で、1戦目よりも気持ちのこもったプレイを展開したが、慶應大の勢いの前にはそれも届かなかった。

慶應大はベンチ入りした4年生全員を出場させ、2連勝で見事昇格。苦しい思いでチームを去った昨年の主将・加藤らOBらも駆けつけた試合で、後輩は見事に結果を出して見せた。代々木体育館に「若き血」の合唱が響き渡った。

※試合のレポートと慶應義塾大・鈴木選手のインタビュー、小林選手のコメントは「続きを読む」へ。

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【GAME REPORT】
081028daito.jpg2戦目、すんなりと決められる訳にはいかない大東大は#5兵庫(2年・F)の3Pに始まり序盤からアウトサイドが好調。その後も#9石原(4年・F)、再び#5兵庫の3Pが続き立ち上がりはスムーズだった。この活躍に大いに沸く大東大だが、慶應大も焦りはない。#16二ノ宮(2年・G)がミドルシュートを返すと1戦目からアグレッシブさを見せている#7岩下(2年・C)もゴール下で得点。大東大ディフェンスを内外に揺さぶって#10小林(3年・G)のミドルシュートなどが続いた。しかし大東大も強い気持ちのプレーが続く。兵庫が3Pのファウルを得てこれを3投決めると、慶應大のディフェンスが外まで出て行かないところを#9石原が3Pを沈める。しかし慶應大も#12田上(3年・F)、#15酒井(2年・F)が連続3Pで大東大に勢いを持たせない。ディフェンスでは「この1年で成長したのは余裕を持てるようになったこと」と言う#16二ノ宮が#4山本(4年・G)に集中し、1戦目のように簡単にレイアップを打たせることもしない。1Q後半まで1点、2点差の接戦は続いたが、終盤#10小林のレイアップで18-24と差をつけると、慶應大がリードで終えた。

2Qに大東大は1戦目好調だった#21鈴木 豊(4年・SF)を早々に投入。しかし一度点差を広げ始めた慶應大の前には、1戦目のような勢いを持たせることはできない。大東大の得点が止まったのと反対に、慶應大がこのQ29点を取る猛攻を見せて前半に37-55の大量リードを得る格好となった。

081028takeuchi.jpg後半も慶應大リードの流れは変わることはない。しかしリーグ戦を通して後半が課題と言われ続けてきた大東大もあきらめることなくついていく。特にアウトサイドの調子は良く、慶應大の甘いプレッシャーをついて#15遠藤(1年・PG・市立船橋)のシュートも高確率で決まる。「外を打ってくるのは分かっていたけど、ディフェンスが甘かった」と二ノ宮も全体的な反省を述べた。だが慶應大もリードを守りながらもベンチメンバーを投入する余裕を見せる。4Q中盤には#5竹内(4年・G)、#6青砥(4年・F)、そして#4鈴木惇志(4年・F)の4年生3人全員をコートに立たせた。終盤に#5竹内が皆が待ち望んでいた3Pで100点目を決めると、応援団は総立ちに。そのまま慶應大がタイムアップを迎え、悲願の、そして絶対命題であった1年での1部復帰を笑顔と涙で成し遂げた。


081028tanouekobayashi.jpg「3年間で一番悔しかったのが昨年の入れ替え戦。それを経験したから今につながってきたと思います。2部はいい意味で1年しかいなかったけれど、会場も相手チームも1部とは違っていた。そこで切磋琢磨できました。2部でレベルアップしたというのは手放しにいいとは言えないけれど」と言う#10小林は、幼なじみであり今期大きく成長した#12田上と固く手を握り、抱き合った。重要だったのは「精神的な部分」と強調する。特に今年は慶應義塾大学創立150周年。周囲からのプレッシャーも半端ではない。メンタルでは鍛えられた部分も多いはずだ。また、今リーグでは自分のオフェンスパターンを広げることを意識していたと言う。リーグ終盤に向けて調子を上げていき、「筑波戦の前にかなり練習でも頑張ってくれた」と主将・鈴木も評価する。この後のインカレ、そして来期に向けて小林、田上ら3年生の成長はチームに大きな意味を持つのは間違いないだろう。

大東大は昇格1年で2部へと戻ることとなった。ここで切れるか、再び戻るために死にものぐるいで努力できるかどうかがチームの“質”を決める。慶應大はこの1年間それだけを目標にやってきた。大東大の先輩もそうだ。竹野らはその独特の雰囲気と個性で誤解を受けやすい部分もあったが、阿部らと見えない部分で練習を重ね、同じ学年のチームメイトが感心するほどの努力をし続けていた。だからこそ昨年最後に1部復帰でその答えを出したのだ。後輩たちがそれを成し遂げられるかどうか、大東大は再び新たなスタート地点に立った。



081028suzuki.jpg◆#4鈴木惇志(慶應義塾大・4年・主将・F)

1年間思い描いていた昇格の瞬間
残り2分、コートに立つ鈴木の目には既に涙があった。ともに頑張ってきた副将の#5竹内が見事に決めた3Pに感情を抑えきれなくなったのだ。佐々木HCの「下がるか」という問いかけを断り、鈴木はコートで昇格の瞬間を迎えた。

今期、鈴木が負った荷物は2003年に昇格したときよりはるかに重いものだった。昨年は悪夢と言えた。主将の大けがによる離脱、下級生中心のチームによる苦戦、それによって起こったチーム崩壊。それら全てを立て直し、1年で1部へとチームを導くこと。一度失ったものをもう一度取り戻すことは、ただ駆け上がるよりもある意味難しい。それを達成するためにチームは5年ぶりにABに分かれ、効率性と密度を選択する。一体感を信条としてきたチームは練習が一緒にできなくなったが、鈴木は自らの練習の後、できるかぎりBの監督も行いながら心を砕いた。鈴木だけではなくスタッフの負担も倍となったこの状況の中、春は3位、早慶戦優勝、延世大に3点差の好勝負を見せる。そして始まったリーグ戦で常に頭にあったのはこの入れ替え戦で勝ち、歓喜するシーンだったと言う。

「昨年負けた時から、この瞬間を何十回も何百回も思い描いてきました。喜んでいる自分たちの姿を想像して、それが現実になったことに感動しています。みんな1部でやりたいと言って慶應にやってきた連中。この1年間気持ちを落とさずによくやってきました。才能もあるし、底知れない。全員がそうでした」勝ったからこそ喜び、そして語る資格がある。「とにかく今年は何としても結果を残さなければならなかった。そうでなければ自分たちが4年生として存在している意味がない。一方で結果を出しさえすれば、どこかでチームがぎくしゃくしようと仕方ないと思うくらいそれは強い希望でした。もちろんそれは言い過ぎかもしれないけど、求められていることに対して結果を出さなければ何も残らない」

その決意はプレイにも現れていた。国士舘戦で見せた奇蹟の同点スティールや大事な場面でのシュートなど、存在感の大きさを見せつける好プレイを次々に生んだ。「プレイ面でももちろんやらなくては、という思いは強かったです。延世大との試合の後は休みも多くてチームを完成しきれずにリーグに入った部分もありました。特にリーグ序盤は大祐(#10小林)と達郎(#7岩下)の調子がなかなか上がらなかった。でも逆にそこで自分自身を成長させることができたと思います。彼らが調子のいい時なら取れるあと10点、15点を自分が埋めていくことを意識していたことで、結果的に自分が成長できた。苦しかったけれど必要な時期だったと思います」

そこには責任の重さに対する強い自覚もある。酒井祐典(#15)という能力ある選手をベンチに置いている以上、恥ずかしいプレイはできなかったからだ。「彼のためにも変なプレイはできない。少なくとも5人のうちの一人として、周囲のみんなに納得してもらう選手でなければ。そのプレッシャーは常に感じていました」。コートに立つ4年生は鈴木一人。つぶされそうになった時もある。しかしそれを試合にはなかなか立つ場面のない青砥(#6)や竹内(#5)、Bチームの主将である白井ら4年が支え、そして自身もリーグ中盤からは苦しんだ田上(#12)が鈴木にも声をかけ、プレイでも助けた。試合に出ていてもそうでなくても、全員がチームの一員であることを意識できる雰囲気。それができていったことを、鈴木は感謝している。そんな中、この代で自分がしなければならなかったのが「昇格」という仕事だ。


下級生に「昇格」という仕事を残してはならない
「下級生には能力がある。でも若さもあって脆くなる時もある。だから自分のいる意味はそれを補うことだと考えていました。才能があっても勝てないチームはある。『いい選手はいるけど勝てないよね』と言われるチームにはしたくなかった。だから、自分が昇格を成し遂げるために気持ちで支えなければと感じていました」。鈴木がコートにいる時は声を出し、引き締まっていた。反対に出ていない時は勢いに任せてコントロールしきれない場面もあった。いるといないでは歴然としていた存在感の大きさがこの言葉の意味を示す。そして、「下級生に『昇格』という仕事を残してはならない。彼らには昇格ではなく、優勝を狙わせたい。その力がある選手たちだから」。結果を求められる中で最も鈴木が意識していたのがこれだった。小林、田上が4年生となって二ノ宮、岩下、酒井に脂が乗ってくるであろう来年は、1部で優勝を狙わなくてはならないと鈴木は考えている。だからこそ今年昇格を成し遂げる必要があった。「彼らには志村さんや泰滋さん、公輔さん(※1)が作り上げてきたような慶應の黄金時代を築く力がある。そのためにどうしても今年昇格させることが自分の仕事であり、この代で入学した運命だったのかなと思います」

081028Ssuzukitakeuchi.jpg実は、鈴木は1年遅れてきた選手だ。AO入試に失敗し、翌年自力で慶應に合格した。「入試に失敗した時はもう世界が終わったような気がしましたよ(笑)。でもあきらめずに勉強して、慶應に入って貢献できた。それは何よりうれしいです。この仕事をするために1年入学が遅れてしまったのかもしれないと今は思います」

鈴木がいないチームなど既に想像できない。普段は手厳しい佐々木HCもずっと「鈴木がよくやっている」と言い続けていた。与えられた仕事を確実にこなすということ。誰もがそれを目指して取り組んでいるが、真に達成しうる選手はそういない。鈴木は有言実行で見事にそれを見せてくれた。

写真下:昇格を決め、竹内と鈴木が固く抱き合った。

※1
志村雄彦…2004年度主将。石田剛規(トヨタ)、辻内伸也(豊田通商)らと共にリーグ・インカレ2冠を達成。現在bj仙台89ERS所属。
酒井泰滋…2006年度主将。リーグ・インカレ準優勝。現在JBL日立サンロッカーズ所属。
竹内公輔…2006年度卒。全日本代表。酒井泰滋とともにインカレ準優勝。現在JBLアイシンシーホース所属。
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