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2007.12.02 (Sun)

12/1 インカレ6日目 準決勝 東海大VS法政大

東海大99(17-23,17-11,17-24,21-14,9-9,9-9,17-9)107法政大1201hosei.jpg
トリプルオーバータイム。
15年間インカレを見てきたカメラマンも「こんなのは見たことがない」と言う信じられない戦いが準決勝で起こった。固いチームディフェンスで相手を押さえ込むディフェンディングチャンピオン東海大。対するは爆発力のあるオフェンスを自由自在に展開する法政大。両者は一戦ごとにそれぞれの持ち味が際だつような勝負を見せ、ここまで勝ち上がった。
第4試合の開始を40分も遅れさせることになった文字通りの大接戦は、互いの持てる力を全て出し切る総力戦。代々木全体を巻き込む熱い渦となって観客を巻き込んでいった。総試合時間は55分。通常40分でサッカーの倍の距離を走ると言われるバスケット競技において、この試合時間は選手にとってどれだけの極限状態だっただろうか。
どちらが勝ってもおかしくない状況を抜け出したのは、余力をほんのわずか残していた法政大だった。
写真:手を取り合い、勝利を喜ぶ法政大。

詳しいレポートと法政大・佐々木選手、東海大・古川選手のインタビューは「続きを読む」へ。


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■GAME REPORT■
1201ishitani.jpg序盤、主導権を握ったのは東海大だった。#29嶋田(2年・C)のポストプレー、#1石谷(4年・F)の3P、#17前村(2年・G)が鋭いドライブから切れ込みシュートを決めると、#35中濱(3年・C)がディフェンスをかわしてゴール。ディフェンスも固く、さしもの法政大も高さに阻まれ、惜しくもリングからボールがこぼれ落ちていくシーンが目立つ。しかしその懸命なディフェンスが仇になったか、開始4分でファールが続き#35中濱が2つ目を犯してしまうと、東海大は仕事人#36養田(1年・F)と#32安部(3年・G)、切り札#33西村(3年・G)の2ガードをコートに送り込んだ。#36養田が好ディフェンスで#5神津(3年・PF)からターンオーバーを奪うと、華麗な背面パスで#32安部のシュートをアシスト。法政大は#91落合(2年・F)が2ファールで下がるが#7山田(4年・SG)の3Pなども出て1Qはファールこそ多いが、ほぼ東海大のプラン通りの展開となった。

2Q、法政大は#7山田のミドルシュートが決まり4点差。東海大は交代した#62長野(3年・F)が#5神津のブロックに遭い、ポストで激しいプレッシャーを受けてターンオーバー。これで流れを掴んだ法政大が#13深尾(4年・G)のレイアップと#7山田のバスカンで逆点する。ここからシーソーゲームが続くが、東海大は#35中濱がフリースローを得たのを機に、高い位置から十八番のプレッシャーをかけ、ボールを奪う。しかしシュートミスもあり、主導権が奪えない。2Q終盤1分、大事な時間帯に法政大は#92福田大祐がゴール下で粘って得点。東海大は#33西村、#24古川の得点があるが#35中濱、#36養田が立て続けに3つ目のファールを犯すと法政大にフリースローで返され、34-34の同点で前半を終えた。

1201nobuhira.jpg3Q、再び主導権を奪い返したのは東海大。#24古川の3Pにはスクリーンがかかり、#29嶋田は#91落合をブロック。#17前村が切れ込んで#29嶋田のシュートを演出すると#24古川の3Pも決まって8点リード。法政大は前半押さえ込まれた#5神津が連続得点で粘り4点差に戻すと、東海大も今大会好調の#1石谷が3Pを返す。しかし#29嶋田がルーズボールで不運なファールをコールされると、続いて#36養田も4つ目。#33西村と#24古川が連続得点するが法政大も#5神津がバスカン、続けてポストプレーから押し込み#23信平(2年・F)の3Pが援護した。「ディフェンスが本当に良くなっている」と佐々木が語ったが、法政大のディフェンスをなかなか切り崩せない東海大。それでも#1石谷がミドルシュートを決めて11点のリード。だが、残り44.7秒でその好調の石谷を#32安部にチェンジ。「石谷は疲れていた。成長している安部に託した」と陸川監督。残り24秒から西村との2ガードで攻撃を作ろうとするが、逆に#23信平が安部からスティール、速攻に走り交代が裏目に出る格好となってしまった。

58-51の東海7点リードで始まった最後の4Q。これがとてつもない戦いの始まりだとは誰も知らなかった。ファールトラブルで激しくディフェンスできなくなってきた東海大に対し、#5神津のオフェンスが内外から襲いかかった。これに対し、ケガもあって負担をかけたくない西村に代わってボールを運ぶ#32安部がオフェンスの起点となれない。法政大も24秒オーバーを取られるなど、オフェンスは重いが#23信平の3Pは落ちない。続く攻撃で東海大は予想外に早く8秒を取られ、これにはドリブルしていた#33西村も目を丸くしてしまう。オフェンスが乗ってきた法政大に対し、東海大は#24古川、#33西村が立て続けにファールとなりリズムを作れない。法政大は#91落合のポストプレーで13点あった差を遂に62-62の同点に戻した。なおも#23信平が2本の3Pを沈めると、6点リード、代々木は絶叫に包まれる。だがそこからなおも得点する東海大。#35中濱が#5神津をブロックし、さらにはゴール下で得点すると残り1:38で70-70の同点。法政大は#5神津のシュートで2点リード。しかし残り20秒で#29嶋田がリバウンドから残り時間ギリギリで得点し72-72の同点に。延長戦に突入した。

1201nishimura.jpg5分の延長、開始から1分半は互いにターンオーバーが続いた。東海大は#33西村が#13深尾のシュートを止めるために4つ目のファール。不安が走るが、#32安部が中に切れ込み、パスをさばいて#33西村の3Pが決まると79-73の東海大6点リード。しかしタイムアウト開け、またも#23信平の3Pが炸裂。必死のディフェンスで守る東海大だが#5神津がバスカンを獲得し再び同点。逆に#35中濱が4つ目のファールに。しかし東海大も切れない。#24古川のミドルシュートで再度逆転。だが28.1秒に#5神津のドライブで法政大も81-81に戻す。インサイドでファールが込んでいる東海大は積極的に守ることができない。最後のオフェンスを仕掛ける東海大だったが、#33西村があろうことかボールを転がし、ターンオーバー。法政大も得点はできず、試合は再延長へ。


1201kozu.jpg異様な空気が代々木を包み始めた。どちらが勝つのか、観客は固唾をのんで試合を見守った。開始45秒、#32安部の3Pが沈み#33西村のシュートで東海大5点リード。法政大は#91落合が連続ファールで4、#92福田大祐に交代する。東海大は#35中濱の見事なブロックが出て、続くオフェンスで得たフリースローも決まった。大声援の中、東海ペースになりそうなところで#23信平のアシストから#5神津がシュート。法政大のディフェンスが割れず、#24古川が苦しい体制からしかシュートできないのとは反対に、法政大は#64佐々木の3Pで2点差に詰め寄ると応援団も大絶叫。
東海大は残り1分の勝負、#33西村に疲れが見える。「疲れていて考える余裕もなかったし、見えてなかった。そこに味方がいると信じて出したがいなかった」というパスを、法政大がカット。#92福田大祐が速攻で90-90の同点にすると代々木の歓声は割れんばかりとなった。残り7.4秒、#33西村がゴール下に切れ込むが体制は苦しい。打つつもりだったシュートはディフェンスにはばまれると軌道をはずれ、走り込んでいた#35中濱の前に。タップを狙うが、大きく弾んだボールを中濱は受け止めきることができず、ブザーが鳴り響いた。勝負はトリプルオーバータイムに持ち越された。

選手の誰もが未経験の世界がここから始まった。だが、勝負のポイントはすぐにやって来た。ここまで41分出場してきた#33西村が遂に5つ目のファールで退場してしまったのだ。そこに追い打ちをかけたのは#64佐々木。2本目の3Pが決まり、逆転するとプレータイムが短くまだ体力的に余裕のあった#92福田大祐が連続得点。法政大が4点のリードを奪った。東海大はゲームメイカーを失ったことでオフェンスが硬直。縦にオフェンスが切れない。逆に遂に完全に流れを掴んだ法政大はファールできないインサイドへどんどん仕掛け、容易に得点するとそのまま東海大を振り切った。
勝利のブザーが鳴り響き、死闘を制した法政大が大歓声を上げた。観客はこのすばらしく、激しい戦いに対し、両チームに惜しみない拍手を送った。


世にも希なトリプルオーバータイムの激闘は、どちらが勝っても全くおかしくない全力を出し尽くした試合だったが、ほんのわずか法政大に余力があった。早くからファールトラブルに陥った東海大は、積極的なディフェンスに行けないところを終盤インサイドで得点された。ドライブできる選手が少ないことでオフェンスのパターンが絞られてしまったのも惜しい。それでも苦しみながら最後まで法政大オフェンスを防ごうとした中濱、嶋田のインサイド陣は評価できる。
法政大はトーナメントには無類の強さを持つチーム。火が付けば強いことは分かっている。出てくるほとんどの選手が2桁得点はできる布陣であり、大会に入ってずっと調子が良かった。「気持ちだけですよ、うちのチームは」と佐々木は言ったが、インカレにその気持ちが頂点に達したからこその試合だった。バスケットを純粋に楽しみ尽くしている、そんな空気が法政大に勝利を呼び込んだのかもしれない。

喜びに全てをはじけさせる法政大をよそに、「慎太郎さんのために」。会見で中濱、西村、古川らは語った。この1年を怪我で棒に振った小林主将のために勝ちたかった試合だった。3連覇の夢は、道半ばで途絶えた。




◆#64佐々木亨(法政大・3年・PG)
1201sasaki.jpg春の京王電鉄杯で負傷。長らくコートから遠ざかり、ようやく復帰したリーグ戦でも調整不足は否めずまだまだ動きは良くなかった。しかしこの日は31分の出場。疲れ切っていた東海大・西村をしっかりマークして仕事をさせず、また、勝利のポイントの一つになった3Pを2本沈める活躍で復活をアピールした。

-大変な試合でした。
「もう新人戦を思い出しました。自分が1年の時の」
※ 2005年、法政大が優勝した新人戦は青学大相手にダブルオーバータイム。

-今日はプレイングタイムも長かったと思うのですが。(※31分)
「出てきたのが2Qの6分ぐらいかな。いつもそのあたりから5分くらいしか出なくて、その5分だけ頑張れと言われているんです。でも今日は2ガードでやると言われてそこからずっと2ガードでしたね。多分相手が前から当たってくるのでそうするとボールがつなげないからだと思います」

-怪我で随分出ていなかったのですが、体力的なところは?
「体力は全然ないですよ(苦笑)。もう今日に全部ぶつけました」

-2本の3Pは効きましたね。練習ではタッチは良かったんですか?
「あれは気持ちよかったです。ガードだからそこまでシューティング練習はしていなくて、どっちかというと信平(#23)と組んであっちにシュートを打たせていたんですけど、たまたま(笑)。時間も見て5秒しかなかったので打つしかないと思ってあそこは呼びました」

-春の怪我以降、どこから練習を本格的に始めたんですか?
「リーグ前にシーズンインする時から少しずつですね。対人プレーはできなかったけど、まっすぐは走れたのでダッシュとか3メンとかはやってBチームとかに入って動くようにして、ちゃんとやりだしたのはリーグ始まってからですね」

-リーグで登場した時には動きも鈍っていて、少し心配だったのですが。
「試合慣れができてなかったですね。1年間通して出ていなかったし。昨日もちょっとびびって出たところはあるんですけど、それで慣れてきたのはあります。でも2ガードだからそこまで緊張はないですね。晃生さん(#13深尾)と一緒にやれたし」

-東海大のガードだとサイズ的にも優位だったと思うのですが。
「でも機動力は向こうの方が上かなとは思いました。前から当たれるし、交代してもそんなに落ちないし、みんなディフェンスは良かったし。西村(#33)は疲れていたみたいで、怪我もあったし動きは鈍かったので止められました」

-このトリプルオーバータイムの予想はなかったですよね。
「それはもう全然。でも楽しかったです。楽しんでやろうと思ってできました。試合に向けての気持ちの持っていき方もリーグで6連敗した後良くなってきました。出だしも良くなったし、シュートが入らない時もディフェンスで踏ん張れるようになったし」

-春から苦労したと思いますが。
「怪我をしたときはすんごい悔しかったですよ。調子は良かったし。僕が消えて法政が苦しくなったと言われたんですけど、晃生さんと一緒に出るから生きるというのもあって、僕だけがという訳でもないと思います。僕はハーフに入ってコントロールするのは好きなんですけど、ボール運びは晃生さんの方が向いているし。だから晃生さんとやりたくて法政に来たし、すごくうれしいです」

-ここで終わる訳にはいかないですね。
「ここまで来たら次に勝たないとダメですよね。うちのチームは気持ちだけですよ。やろうと思ったらできる。明日も今日のように盛り上げて勝ちたいです」




◆ #24古川孝敏(東海大・2年・F)
45分の出場、30得点は決して悪い数字ではない。終盤入らない中で打ち続けたシュートも陸川監督は「打てと言っているし素直な選手。まだ2年だから」とかばった。東海大のエースとして勝負を決められる選手に。更に高みを目指すためにはまだまだ成長を迫られている。



-体調は?
「体調というかコンディションが悪かったんで。今大会入ってからシュートタッチとかそういう意味であんまり良くなかった」

-それでも点を穫るのは自分しかいないという印象を受けました。
「それが仕事なんで(笑)。最後は何も考えないで打つしかないですけど。途中入って最後入らなかったっていう。あのまま入ってくれれば良かったんですけど(苦笑)」

-古川選手だけでなくチームのコンディションというのは?
「どうですかね?文男さんが怪我してたっていうことでコンディションはバッチリではなかったし。チーム全体的も怪我人が多かったっていうのが。ちょっと調整が難しかったのかな。文男さんも結構ギリギリで調整していたんで。そういう意味でコンディションはいい状態ではないですけど」

-シュートを決めた時に小林選手がベンチで「すげぇ!」って言っていましたよ。
「シュートしかないんで。あんまりドライブ得意じゃないし、中に入るとポロッとしちゃうんで」

-一度インサイドに入れてから、オフェンスを組み立てても良かったのではないですか?
「一回それを言われて嶋田とかに入れて、ワンクッションっていうのはあったんですけど。そうしようと思ったらコールプレイとかになったんで。ちょっと周りが見えてなかったっていうのはありますね」

-インサイドは法政の方が使えていましたね。
「はい。明らかに法政よりは練習量が多いと思うので、最後そういう所で走り勝ちたかったなって思うんですけど。何でしょうね、こっちはこっちでバテてたっていうノ向こうも省エネで抜く所は抜いてやってたんで疲れてそうで動けてましたね」


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テーマ : バスケットボール(日本) - ジャンル : スポーツ

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