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第86回全日本大学バスケットボール選手権
筑波大学が3連覇を達成 3連覇以上の達成は1999年の日本体育大以来

2010.06.30 (Wed)

第68回早慶戦 特集ページを公開

早慶戦という他にない特別な空間で
勝負を制したのは慶應大4年生の強い思い


100606_1.jpg68回目を迎える早慶戦は、久しぶりに日吉記念館が舞台となった。2004年の早稲田記念館での開催を最後に会場を代々木第二体育館に移していたが、時代を経た日吉記念館の趣もまた、伝統ある一戦に相応しい舞台だった。フロアも含め、用意された席は3400。男子戦が始まる頃には満席に加え、立ち見が出る状況は早慶戦では当たり前の光景だ。満員の会場がメインイベントである男子戦の行方を見守った。

立ち上がりは慶應大がリードしたが、二ノ宮の支配力はいつもとは違った。「早慶戦で緊張はしない」と言っていたが、どこか「空回りしていた」ことを自分でも認める。岩下と家治の得点がなければ、苦しい展開だったに違いない。しかも2Q開始すぐでファウル3という予期せぬファウルトラブル。1つ目は軽い接触だったが、2つ目はドライブをしかけた選手にほんの少し手の先が触った程度。3つ目も思わず出した足に相手選手がひっかかってアンスポーツマンライクファウルとなるなど、不運な判定でベンチへ下がることとなってしまう。だが、何年か前の慶應大ならスタメンが下がれば致命的だったが、今やこのチームはそこで大崩れしない。結果を出すことによって少しずつ集まり、層の厚さを増してきた選手たちがそれをカバーした。岩下の得点と、交代した金子、矢嶋もそれぞれ得点して2Qを持ちこたえた。

100606_4.jpg後半になると早稲田大が勢いを増す。3Q開始早々の、相井の2本の3Pは大きかった。トーナメントではほとんど決まらなかったスリーが、連続で決まり慶應大を追い詰めた。早慶戦の対岩下には自信を持つ久保田も好調で、ミスもあって流れが止まりかけながらも、早稲田大は勝負強さを見せた。特に得点では藤原や河上が決めたのが大きいが、「金井の欠場もあってチャンスを得た」(井手)のは確か。藤原の3Pは特に存在感をアピールするには十分だった。金井はトーナメントでケガをした時点で既に早慶戦出場は危ない、というほど重い捻挫だったが、慶應大は出てくると踏んでいた。金井対策に気を取られたために、伏兵の存在にやられた格好だ。

クロスゲームが最後まで続いた後半は、片方が得点を決めるたびに大歓声が会場を揺らした。だが、早慶戦は「普通の公式戦とは全然違う」とどの選手も言うように、どこかいつもと違う重苦しい雰囲気もつきまとう。互いにファウルも、フリースローのミスも多かった。ノーマークで放ったシュートも思った以上にリングから遠く、いつもなら考えられない光景が展開される。勝負は4Q残り5分から動き始めた。二ノ宮にかわり奮闘してきた酒井、岩下の得点が続き残り3分に「最後は人が変わったみたいだった」(佐々木HC)という二ノ宮が酒井へアシストを出し、井手の3Pからのリスタートでノーマークの3Pを決めると、会場の歓声は爆発した。ホームの観客が待っていた瞬間だった。早稲田は久保田がバスケットカウントで返したが、後は慶應大トリオの独壇場となった。残り2分半、11点の得点全てが二ノ宮、酒井、岩下によるものであり、早稲田大はリバウンド争いで慶應大にかなわず最後に井手が3Pを返すのがやっとだった。

100303_3.jpg勝利とともに人ごみに囲まれた岩下は、涙を流しながらベンチに戻った。酒井は笑顔でスタッフや仲間と抱き合う。最後の最後で責任を果たした二ノ宮は天を仰ぎ、顔を覆った。「慶應大でなければこんな経験はできない。本当に良かった」と試合後言ったが、早慶戦の、とりわけ4年生での勝利は特別だ。「本当に勝ちたかった」と岩下は何度も繰り返した。試合は、決していい内容ではなかった。3Pはチームでわずか1本、本来の姿を象徴する速攻も4Qまで出ていない。酒井も蛯名もファウル4となり苦しかった。しかし、「外がダメならほかの方法をと考えた」と酒井。悪い部分を切り捨て、互いの分までやろうとチームはまとまっていた。仲間が支えてくれた恩返しに、二ノ宮も勝負を決めるシュートを放った。互いが互いをカバーしあう姿、それこそが慶應大にかけがえのない勝利を呼んだ。そしてその形こそ、彼らが長年多くのファンを魅了してきた原点の姿でもある。

プライドがぶつかり合う戦いは、今年も多くの見せ場と感動を生み出し、幕を閉じた。

写真上:会場を埋め尽くす観客。これだけの人数を集められるのも早慶戦ならでは。
写真中:3Pを決めてベンチに戻る相井。
写真下:支え合い、勝利を得る姿こそ“トリオ”の称号にふさわしい。


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テーマ : バスケットボール(日本) - ジャンル : スポーツ

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