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2010.06.05 (Sat)
第68回 早慶戦のみどころ
勝敗数は早稲田大34勝、慶應大33勝で差は星一つ
慶應大が追いつくか、あるいは早稲田大が引き離すか
春最後の大きな試合である早慶戦が、いよいよ目前に迫った。
一般の公式戦とは異なるが、早稲田大と慶應義塾大の定期戦、中でもメインの男子戦は歴史、内容ともに他の追随を許さない盛り上がりと集客数を誇る。早慶の関係者であればこれ以上の高揚感を感じられる試合はなく、そうでなくとも満員の観客の中でバスケットを観戦できるという日本国内で希な空間を体験できる一大イベントだ。そして実力に左右されず全くどちらが勝つか分からないという試合であるからこそ、早慶戦は予想がつかず観客を熱狂させる。
例年、トーナメントの一週間後という難しい開催時期をどう調整するかといったことが課題だったが、今年は早慶戦までの準備期間が長いため少し状況が異なる。よく言われる「トーナメントで順位が上だった方が負ける」というジンクスは、この日程も関係していると思われる。最終日まで高い集中力を持って戦い抜いたチームほど、1週間後の早慶戦に向けての準備や気持ちの切り替えは遅れがちになる。それを示すように2007年にトーナメント準優勝の早稲田大、2009年のトーナメント優勝の慶應大はその事前の実力評価とは反対に、早慶戦では敗れている。個人では切りかえられても、チーム全体の意識統一まで徹底できなければ結果につながらないという事実も見える。今年の春は慶應大がトーナメント準優勝、早稲田大が6位となった。順位はこの際あまり要素としては考えなくてもいいだろう。新人戦を挟んだ3週間弱の練習期間を、両チームがどう生かしたかが結果に表れるはずだ。
昨年、序盤にリードしながら最後に僅差で敗れた慶應大。主将・二ノ宮は「大事な終盤の勝負どころでPGとして周りをコントロールしきれなかった」と反省する。大エースを持ち、屈指の攻撃力を誇ったチームが早慶戦という“魔物”に飲み込まれた試合は、彼らの代には初めての敗北だった。「負けてこんなに悔しく、屈辱的なことはない。二度と経験したくない、絶対繰り返さない」と、誰よりもストイックに勝利を追求する二ノ宮に言わせた試合は、勝ちしか知らなかった彼らに早慶戦で負けるという事実がどれだけショックなことか、一つの経験を刻んだ。「ある意味、負けて良かった部分もある」とも言う。反対に、入学から負け続けていた早稲田大の4年生には、昨年は初めて勝利の美酒に酔えた試合でもある。「2007年に1年生だった時はトーナメント準優勝もしていたし、勝てるだろうと受けに入ってしまった。ここまでそういう負け方は見てきているし、昨年のような勝ち方も見たので、挑戦していく姿勢を練習から定着させれば結果に結びつく」と早稲田大主将の相井は語る。
慶應大はトーナメントの翌週、二ノ宮・酒井・岩下のトリオが李相佰杯の遠征で1週間不在だった。その影響については「個人的には心身ともに切りかえはできている。体のキレもいい」と二ノ宮。チームとしては「4年生が早慶戦の大切さを分かっていて、練習も頑張ってくれている。あとは早慶戦は本当にチーム一丸とならなければ勝てない試合。経験のない下級生が、早慶戦がどれだけ大切なものなのか、その意義を浸透させていくのが残りの日数で大事なこと」と言う。相井も「以前は早慶戦に賭けている先輩たちの気持ちが分からなかったけれど、上級生になってくると肌で感じる。理解しなくても感じ取れる大切さが早慶戦にはある」と、それぞれ最上級生としての責任と自覚で試合に臨む。
早稲田大の今期の最大目標は1部昇格。そのためには、早慶戦を大きな踏み台にしたいところだ。相井は「トーナメントで最終日まで戦って、自分たちができることもできないことも分かったし、大きな経験になった。慶應大とは対戦できなかったけれど、ここで対戦しなかったことはいい意味でも悪い意味でも経験がないということで、内容は予測できないと思う。そこは思い切ってチャレンジャー精神で戦いたい。慶應大は二ノ宮・酒井・岩下が遠征でいなかったと言っても、あの3人が入ると全く違うチーム。練習時間は関係ない」と言う。一方の慶應大・二ノ宮は「早慶戦は例年得点が入らない試合が多い。そこを自分たちの得意な早い展開にどう持っていけるかが勝負。久保田や金井を押さえることが大事」と冷静に分析する。有力選手が多い早稲田大を決して侮ってはいない。
今年は慶應大のホーム開催。しばらく早稲田記念館での開催が続いてたが、2005年からは代々木に舞台を移していたこともあって、久しぶりの慶應大日吉記念館の空気がどうなるか分からない部分もある。だがいずれにせよ、例年通りの盛り上がりになることは間違いないだろう。慶應大の“トリオ再来”(※1)である二ノ宮・酒井・岩下を中心にした慶應大か、相井、井手、金井、平井といった4年生を中心に有力校出身のキャリア豊富な選手が多く集まる早稲田大か、“魔物”が棲む早慶戦を制すのは一体どちらか。
写真上:昨年勝利の早稲田大。井手、金井、久保田といった攻撃力ある選手に加え、ケガから復帰した大塚のゲームコントロールに注目。
写真下:慶應大はトリオに加え、成長著しい3年生の家治やルーキーたちが早慶戦という大舞台で力を発揮できるかどうか。早慶戦は4年生が安定し、支配力を持って周囲を楽にプレーさせられるかどうかが大事だ。
第68回 早慶バスケットボール定期戦開催概要
※1…2004年にリーグ・インカレを制した際の主力、志村雄彦(現bj仙台)・石田剛規(元JBLトヨタ)・辻内伸也(現JBL2豊田通商)は当時“トリオ”と称され大学バスケの一つの顔だった。
慶應大が追いつくか、あるいは早稲田大が引き離すか

一般の公式戦とは異なるが、早稲田大と慶應義塾大の定期戦、中でもメインの男子戦は歴史、内容ともに他の追随を許さない盛り上がりと集客数を誇る。早慶の関係者であればこれ以上の高揚感を感じられる試合はなく、そうでなくとも満員の観客の中でバスケットを観戦できるという日本国内で希な空間を体験できる一大イベントだ。そして実力に左右されず全くどちらが勝つか分からないという試合であるからこそ、早慶戦は予想がつかず観客を熱狂させる。
例年、トーナメントの一週間後という難しい開催時期をどう調整するかといったことが課題だったが、今年は早慶戦までの準備期間が長いため少し状況が異なる。よく言われる「トーナメントで順位が上だった方が負ける」というジンクスは、この日程も関係していると思われる。最終日まで高い集中力を持って戦い抜いたチームほど、1週間後の早慶戦に向けての準備や気持ちの切り替えは遅れがちになる。それを示すように2007年にトーナメント準優勝の早稲田大、2009年のトーナメント優勝の慶應大はその事前の実力評価とは反対に、早慶戦では敗れている。個人では切りかえられても、チーム全体の意識統一まで徹底できなければ結果につながらないという事実も見える。今年の春は慶應大がトーナメント準優勝、早稲田大が6位となった。順位はこの際あまり要素としては考えなくてもいいだろう。新人戦を挟んだ3週間弱の練習期間を、両チームがどう生かしたかが結果に表れるはずだ。
昨年、序盤にリードしながら最後に僅差で敗れた慶應大。主将・二ノ宮は「大事な終盤の勝負どころでPGとして周りをコントロールしきれなかった」と反省する。大エースを持ち、屈指の攻撃力を誇ったチームが早慶戦という“魔物”に飲み込まれた試合は、彼らの代には初めての敗北だった。「負けてこんなに悔しく、屈辱的なことはない。二度と経験したくない、絶対繰り返さない」と、誰よりもストイックに勝利を追求する二ノ宮に言わせた試合は、勝ちしか知らなかった彼らに早慶戦で負けるという事実がどれだけショックなことか、一つの経験を刻んだ。「ある意味、負けて良かった部分もある」とも言う。反対に、入学から負け続けていた早稲田大の4年生には、昨年は初めて勝利の美酒に酔えた試合でもある。「2007年に1年生だった時はトーナメント準優勝もしていたし、勝てるだろうと受けに入ってしまった。ここまでそういう負け方は見てきているし、昨年のような勝ち方も見たので、挑戦していく姿勢を練習から定着させれば結果に結びつく」と早稲田大主将の相井は語る。

早稲田大の今期の最大目標は1部昇格。そのためには、早慶戦を大きな踏み台にしたいところだ。相井は「トーナメントで最終日まで戦って、自分たちができることもできないことも分かったし、大きな経験になった。慶應大とは対戦できなかったけれど、ここで対戦しなかったことはいい意味でも悪い意味でも経験がないということで、内容は予測できないと思う。そこは思い切ってチャレンジャー精神で戦いたい。慶應大は二ノ宮・酒井・岩下が遠征でいなかったと言っても、あの3人が入ると全く違うチーム。練習時間は関係ない」と言う。一方の慶應大・二ノ宮は「早慶戦は例年得点が入らない試合が多い。そこを自分たちの得意な早い展開にどう持っていけるかが勝負。久保田や金井を押さえることが大事」と冷静に分析する。有力選手が多い早稲田大を決して侮ってはいない。
今年は慶應大のホーム開催。しばらく早稲田記念館での開催が続いてたが、2005年からは代々木に舞台を移していたこともあって、久しぶりの慶應大日吉記念館の空気がどうなるか分からない部分もある。だがいずれにせよ、例年通りの盛り上がりになることは間違いないだろう。慶應大の“トリオ再来”(※1)である二ノ宮・酒井・岩下を中心にした慶應大か、相井、井手、金井、平井といった4年生を中心に有力校出身のキャリア豊富な選手が多く集まる早稲田大か、“魔物”が棲む早慶戦を制すのは一体どちらか。
写真上:昨年勝利の早稲田大。井手、金井、久保田といった攻撃力ある選手に加え、ケガから復帰した大塚のゲームコントロールに注目。
写真下:慶應大はトリオに加え、成長著しい3年生の家治やルーキーたちが早慶戦という大舞台で力を発揮できるかどうか。早慶戦は4年生が安定し、支配力を持って周囲を楽にプレーさせられるかどうかが大事だ。
第68回 早慶バスケットボール定期戦開催概要
※1…2004年にリーグ・インカレを制した際の主力、志村雄彦(現bj仙台)・石田剛規(元JBLトヨタ)・辻内伸也(現JBL2豊田通商)は当時“トリオ”と称され大学バスケの一つの顔だった。
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