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2009.12.06 (Sun)
【2009インカレ】12/6 7位決定戦 鹿屋体育大VS中央大
鹿屋体育大が3Qに突き放して収穫ある7位
中央大は8位ながら来シーズンへの期待を残す
鹿屋体育大学83(21-20,10-9,28-17,24-19)65中央大(7位決定戦)
中央大は#4小野龍猛(4年・CF)の3Pとアシストでスタート。対する鹿屋体育大は#8月野(3年・SG)がドライブで切り込む。点の取り合いとなった1Qは、中盤から鹿屋体育大が連続3Pなどで21-15と抜け出し、中央大のタイムウアウトとなる。すると中央大がスティールで鹿屋体育大の流れを分断、ラスト2分半を無得点に抑える。攻めても#11竹原(3年・SF)がスクリーンを使って3Pを沈め、1点差まで詰め寄った。
2Qも開始から3分間無得点の鹿屋体育大はタイムアウト。その後は#5八木(4年・F)の得点でつなぐ。一方の中央大は#16小野大貴(1年・F・明成)が相手のお株を奪う裏パスからのタップシュートを決めるなどするが、ミスも見られ突き放せない。逆に鹿屋体育大が終了間際に速攻をで逆転。31-29とした。
3Qはいきなり鹿屋体育大が2連続スティールからのレイアップを決め、ディフェンスでも前から当たり仕掛ける。中央大はここで頼りになるのが#4小野龍猛。連続得点でつなぐが、3本目は鹿屋体育大は#18小川(3年・PG)がチャージングを奪う。さらに#10菅澤(4年・C)が3Pに速攻のフォローにともりあげ、残り3分半47-37と2桁差をつける。中央大は「攻めていない。皆縦に攻めよう」と#4小野龍猛が声を掛けるが、フィニッシュまで持ち込めず沈黙してしまう。この間に鹿屋体育大は#5八木の3ショットのフリースロー、#18小川の3Pでリードを15点にひろげる。中央大は#4小野龍猛がブザービーターを決めて何とか59-46と踏みとどまった。
4Q、中央大は反撃を開始したいが#4小野龍猛が4ファウルとピンチに。ここで鹿屋体育大#8月野が3連続得点で68-48と勝負をつけたかと思われる。だがあきらめない
中央大はプレスディフェンスを仕掛け、マイボールにすると積極的に攻めてフリースローを重ねる。#4小野龍猛の3P、ルーキーの#14入戸野(1年・PG・東海大菅生)&#16小野大貴のゴール下で一気に一桁差に詰め寄った。しかし、鹿屋体育大はここで焦らなかった。パッシングから#16笠原(2年・F)、#8月野が3Pを決めて突き放す。中央大は#4小野龍猛の得点で追いすがるが、時間が足りず。83-65で鹿屋体育大が7位、中央大が8位となった。
中央大は大会3日目以降勝利をあげられずに終わったが、#4小野龍猛はやはり別格のプレイヤーであることが証明され、また残る下級生達、特に1年生カルテットの今後の成長を期待せずにいられない大会となった。一方、九州から久しぶりにベスト8に割って入った鹿屋体育大は、関東のチームから価値ある2勝。今シーズンの目標を“日本一”に置く彼らの目はすでに1ヶ月後に向いている。
写真:中央大のルーキーカルテットの中でも、ピカイチの思い切りのよさを持つ#16小野大貴。決して上背があるわけではないがこの飛び込みリバウンドは脅威だ。
※中央大・小野龍猛選手、浜田選手、鹿屋体育大・月野選手、小川選手のインタビューは「続きを読む」へ。
「いい経験ができた1年だった」
チームを一つにまとめあげ、キャプテンの責務を全うした1年
◆#4小野龍猛(中央大・4年・CF・主将)
8位。中央大にとっては五十嵐圭がいた2003年以来の結果である。だが、小野龍猛という唯一無二の存在を擁するチームにとっていささか物足りなくも感じるのは事実。この結果を小野はどう受け止めているのだろうか。
小野自身にとってはチャレンジし続けた1年だった。鳴り物入りのルーキー時代からエースとして君臨、結果も残し続けてきた。そして戦力が充実した昨年は、小野自身の怪我によってその目標は断たれた。そして迎えた今年、キャプテンという新たな立場が小野を成長させた。これまでは小野の活躍がチームの勝利へと直結するといっても過言ではなかった。だが経験の浅い新戦力が主力となった今年、小野は自身のプレイに集中するだけでなく、積極的に下級生に関わった。時には叱り、時には励まし、周りへの気配りを忘れなかった。それは月日を追うごとに成熟していくチームスポーツにおいて、他チーム以上に小野に求められた役割だ。8位という結果は納得できるものではないかもしれない。しかし、中央大というチームをまとめあげ、一段階上のチームへと押し上げた事実こそ、今年の中央大が賞賛するに値するチームであったと言えるのではないだろうか。
―今の率直な気持ちは?
「率直な気持ちは終わったって感じです。やっと終わったって(笑)」
―リーグ戦では“楽しんでやれれば後悔しないから”ということをおっしゃっていましたね。
「結果的にはベスト8に入れたし、オールジャパン出場という目標は達成できたので、良かったと思います」
―今大会の目標は優勝かと思いますが、8位という結果については。
「浜松に勝って、次の慶應戦に全部ぶつけていたんです。慶應にはリーグもですがいつもと同じように自分たちのバスケができなくて、負けちゃって。すごい悔しかったんですけどね(苦笑)。次の日から吹っ切れてやっていたんですけど、若さが出て自分が1人でやってまとめきれなかったっていうのが、そこは悔いが残ります」
―今年1年はキャプテンという役割の難しさを感じたシーズンだったと思いますが、いかがですか?
「難しかったですね。全員まとめなきゃいけないっていうのもありますし。中学校でキャプテンをやっていたんですけど、今回は人生で初めてキャプテンになったようなもので。どうまとめるかっていうのを自分の中で1年間試行錯誤して、すごく難しかったです。本当に(笑)。チーム全部をまとめなきゃいけない。練習中もそうだし、試合中もそう。自分がもっとコミュニケーションを取ったりしないといけないと思うし、やっぱり試合で疲れていく中で自分が喋らなくなっていく時もあるし。難しかったんですけど、いい経験ができた1年だったと思います」
―この1年で一番成長したと感じるところはどこですか?
「成長できた点は…そうですね、あんまりキレなくなった点ですね(笑)。多分。前はすごく言っていたんですけど、今はもう堪えて(笑)。言いたいんですけど、堪えて。時々出ちゃうんですけど、前よりは励ますようになったと思います。自分ではそう思っています」
―リーグ戦を終了してルーキーに話を聞いたら、言う時は言うけれど、ミスしても“気にするな”って声を掛けてくれたり、兄貴的な存在だと言っていましたよ。
「(笑)。1年生はこの1年間本当にいい経験になったと思うので、そう言ってくれるなら、そうなんじゃないですかね?わからないですけど(笑)」
―この中央大での4年間はいかがでしたか?
「1年の時2部で、2年の時に入れ替え戦で勝って。1部も2部も経験できて、自分の中では本当いい経験にもなりました。最初はいろんな人たちに“なんで中大に入ったの?”って言われ続けてきたんですけど、本当に1部も2部も経験できて、いい経験だったし、いいチームメイトにも巡りあえたと思います。自分がしたいバスケもできたし、結構甘えさせてもらったところもある。最後の4年生でキャプテン経験して、やっぱ自分が甘えちゃいけないっていうことも学べたし、本当に良かったです」
―ルーキー時代には2部得点王を獲ったり、3年生の春ではPGをやったり、本当にプレイの幅が広がった4年間だったのではないでしょうか?
「本当いろいろやらせてもらったことには感謝しますし、今後自分の中で何番ポジションがいいか、いろんなポジションができれば良いと思っているので。そこはできてよかったと思います」
―キャプテンとして来年以降は気になるのではないですか?
「来年はものすごく心配なんですけどね。でももう出られないので。ただ、今後自分はバスケット続けていくので、練習に出ていじめてあげないと。いじめたいと思います(笑)」
―4年間を共にした仲間について。
「自分たちの代は本当は5人いたんですけど、2人辞めちゃって。一般で入ったやつも4人くらいいたのに全員辞めちゃって、結局3人しか残らなかった。その3人で苦労を分け合ったし、本当にいい仲間ができました。4年間寮生活で本当ずっと一緒にいて、家族みたいなものなので。いいチームメイトに恵まれましたね」
「黄金時代の中央大を再現して欲しい」
後輩へ託した想い
◆#5浜田雅義(中央大・4年・PG)
根っからの明るいそのキャラクターで、チームの壁を取り払い中央大の結束に一役を買った浜田。だが陽気な性格とは裏腹に、これからの中央大に対する想いには真剣さが感じられる。3年生で勝ちとった正PGの座。だが今年は佐藤や入戸野といったルーキーと出場時間を分け合った。それは戦術面での意図だけでなく、育成面でのチーム方針もあっただろう。だが浜田の口ぶりからは出場時間が長いとは言えない最終戦の後でも、不満の様子は微塵も感じられない。
「何か残してやりたい」
それは浜田が自分より、3人しかいない4年生として中央大というチームでの自分の役割を受け入れ、後輩たちへ今後の中央大を託したことのなによりの証とも言えよう。
―今日でシーズンが終わりましたが。
「良かったです。4年間やって、龍猛とできたり、砂原ともできたし、本当4年間やってきて良かったなと思います。満足しています」
―8位という結果については?
「それには満足していません(笑)。結果は悔しいですけど、みんなとできたことは満足しています」
―やはり優勝を目指していたと思いますし、慶應大に勝ちたいという想いも強かったのではないですか?
「そこに勝って勢いに乗りたかったんですけど、やっぱり慶應さんは強かったですね」
―3年生の京王電鉄杯では、慶應大と好勝負を演じただけにやはり期待も大きかったと思いますが。
「そうですね。今の3年生は来年もあるので何か残してやりたいっていう想いもあったんで、そういう風に練習からも頑張ってきていたんですけど。でも後輩たちはきっとやってくれるので、それを期待したいですね」
―4年生として後輩たちに何を残せましたか?
「本当に基本的なことで4年生になってからわかったことなんですけど、引っ張っていくことだったり、声を掛けたり、コミュニケーションをとることが大事だぞって教えたり、ごくごく普通のことです。当たり前のことって難しいし、できないじゃないですか?そういうことをもっとやっていければいいなって」
―この4年間を振り返っていかがですか?
「本当楽しかったですね!1部でできて。リーグ戦で青山に勝てたり、オールジャパンも出場を決められたり。オールジャパンも五十嵐圭さん以来ですし、何年振りっていうのが多くて、そういうのを更新できたのが良かったですね」
―東海大にもリーグ戦では勝っていますしね。
「そうですね。もう一回やっても勝てますけどね!(笑)」
―同じ1部でも去年と今年は違ったんじゃないですか?
「プレッシャーが違いましたね。龍猛がいると言えど(笑)。でも良かったですね、いろんな選手ともできて、自分自身はまだまだ未熟なんで、いろんな良い選手と対戦できていい経験になりました」
―結果こそ8位ですが、勝ったという実感が最もあったシーズンだったのではないでしょうか?
「はい。自分が3年生の時は負けてばかりだったので。龍猛も復活できたし、良かったですね。自分も就職決まったんで、安心しました(笑)」
―今年は新戦力も多く、後輩を指導したりと今までとは役割や立場が違う1年だったのではないですか?
「とにかく頑張っていました(笑)。勝たないと意味がないということは伝えたくて。今まで勝ってこなかったんで。リーグでもインカレでも勝って欲しいし、黄金時代の中央大を再現して欲しいですね」
―中央大というチームはいかがでしたか?
「コーチの松山さんは自分たちのお父さん的存在で、選手たちが一番声を出さないといけないのに、あの人が一番声を出したりしてくれました。あの人がみんなに渇を入れてくれて、みんながへこたれていたら、ガッッて言ってくれて。本当は自分たちがそうならないといけなかったんですけど。松山さんはみんなから愛されています(笑)」
―あとはオールジャパンが残っていますね。
「JBLとやりたいですね。そこで楽しくやりたいですね」
―オールジャパンで真剣にバスケットに取り組むのも最後になるのでしょうか?
「そうですね。バスケットをやってきていろいろありましたけど、本当に楽しかったです。全国優勝するっていう目標で小学校はやっていて、中学は全国に出られなくて。それで高校で洛南に行って、“やっとここで全国優勝できる”と思ったら、3位に終わって。でも面白かったですね、バスケットは」
―関東に洛南高校出身の選手が大勢いることも刺激になったのではないですか?
「はい。明治の岩澤なんか、高校のときポジション違ったのに今ガードですし。そんなフォワードやっていたやつに、いきなりガードをやられて負けたくないって思ったりしましたし。でも仲は良いんですよ。また洛南メンバーで飲んだりしたいですね!」
「インカレの5試合で攻め気を持ち続ける重要さを知った」
チームの飛躍を支えた3年生ガード
◆#18小川央(鹿屋体育大・3年・PG)
今シーズン鹿屋体育大がベスト8に残れたのは、バックアップメンバーの成長があったからに他ならない。特に主力メンバーが怪我に見舞われる中で、頭角を現したのがこの小川だ。ディフェンス時に後ろの4人を振り返って手を叩きチームを鼓舞する姿は、仲間にとっては頼もしく、相手にとっては崩しがたい印象を残す。
今インカレは途中出場で役割を果たしたが、来シーズンはスタートとして堂々プレーすることが求められるだろう。そのためにも、小川の奮闘はまだまだ続く。
―ベスト8チームの残る大会後半の最後を勝利でしめくくりましたね。
「2連敗して今日だったのですが、負けてしまった2戦では自分たちのバスケットがあまりできていなかった。今日はうまく、40分間ずっとではないんですが自分たちのバスケットができたと思うので、勝ちにつながったと思います」
―先2戦との違いはなんだったと思いますか?
「アナリストの森重さんの映像を見て、リバウンドやルーズボールはもちろん、中央は特に#4小野龍猛選手が大きいのでダブルチームの寄りを修正できたのが違うところです。今朝のミーティングでは自分達のいいプレーを集めたシーンを皆で見て、こういうプレーをしていこうということで、いいイメージができて試合に入れたのもよかったです」
―この試合は小川選手も出番が多かったですね。
「そうですね、最初の方は全然ダメだったんですが、試合中にしっかり切り替えてやれたのでよかったかなと思います。自分は3番の新垣さんとよく代わるんですが、それは大体流れが悪いときなので、リーダーシップをとってコート内でもりあげていくのと、あとはディフェンスを頑張ってやっていこうというのをいつも心掛けています」
―コートでは3年生と思えないくらい落ち着いてリーダーシップを取っていますよね。以前からそういうスタイルなのですか?
「いや、今年からですね。新垣さんが怪我をして、自分がスタートになることになってからです。3年生だし、スタートだしというので、自分が引っ張っていかないと示しがつかないので、意識してやりました。それからは周りと真面目に話し合ったりだとかもできるようになりましたね」
―去年はあまりプレータイムがない中で、スタメンを務めてギャップがあったのでは?
「確かにシーズンの最初は緊張しましたけど、去年も練習試合では出ていましたし、やることは変わらないので。そこまでギャップというのはなかったです」
―“やることは変わらない”という言葉でましたが、このインカレではそれをやり続ける難しさというのも感じたのではないですか?
「そうですね。いつも自分たちだけで練習をやっているのとは違う難しさは感じました。ディフェンスの当たりだとかも関東のチームは違いますし。でもそれでも攻め気を40分間持ち続けるしかないなと思いました。受けに回ると一気にやられる。それをインカレで5試合やる中で改めて知れたので、いい経験ができたと思います」
―その経験を、年明けのオールジャパンにどのようにつなげていきますか?
「僕達の目標はオールジャパン優勝なので、あと1ヶ月ないですがしっかりチーム力を上げられるようやっていきたいです。自分としてはちゃんとゲームの流れを変えていける、周りを引っ張っていくプレーヤーに近づけるようにと思います」
「やってきたことは間違っていない」と示せた最終戦勝利
九州から頂点へチームを導く文字通りの司令塔
◆#8月野雅人(鹿屋体育大・3年・SG)
春の九州トーナメント、秋の九州リーグでは3年生ながらMVPに選出された。その実力、実績、そして存在感から、“大黒柱”と言っていいだろう。この試合でもチームハイの27点、ただ1人フル出場だった。
月野のコンスタントな活躍のおかげで昨シーズン、そして今シーズンとチームは躍進をとげたが、月野は満足していない。
「まだ優勝していない」
2年前には考えられなかったチームの変革をも、彼が引き寄せたのではないかと思わせるような上を目指す気持ちがある。
新チームはガードとセンターのキーマン、そして福田コーチもチームを離れるが、月野がいる限り鹿屋の新しい伝統は続くはずだ。
―準々決勝以降の3試合は初の経験ですが、やってみてどうでしたか?
「気持ち的には特に法政との2回戦と変わりなくやれました。最終戦はちょっといつもと違うように感じる部分もありましたが、いい経験になったし、楽しめた部分が多かったです」
―今日は楽しそうでしたね。
「昨日・一昨日と負けているのでやっぱり最後は勝って終わりたかったですし、またオールジャパンがあるのでそこにつなげていくためにも、しっかりトライしていいイメージの中で色々な経験を積みたかったので。そのために楽しくやろうと昨日から話していたので、それができてよかったです」
―そうやってうまく切り替えられた要因は何かありますか?
「スタッフ陣が色々考えてくれたのが大きいです。この後は時間を自由に使っていいよ、バスケから離れてもいい、と気持ちを切り替えるためのいいリフレッシュができるようにしてくれました。普通だったら試合を見て勉強しろだとかなりますよね。スタッフのおかげで毎試合毎試合いい気持ちで臨めたのがよかったです」
―月野選手はリフレッシュの時間をどのように使ったのですか?
「自分は結局試合を見ていました(笑)。慶應対青学が見たかったので。時間がなくて見られなかったんですが日大も見たかったです」
―いい試合を見ると、モチベーションが上がりますよね。
「ですね、楽しいですし、青学も慶應もやっぱりうまいですし。九州にいるとこういう機会はあまりないので、ちょっとでも観られたらいいなと思って観ていました」
―試合を観たり実際に対戦したりして、その関東上位のチームと自分達との違いというのはどの辺りにあると思いましたか?
「1つはチームの総合力。準々決勝であたった東海大は誰を変えてもプレーも力も変わらなかったですし、波もなかったです。あとはやっぱり経験の差も大きいと思いました。リーグで14試合戦ってきた相手との差がこういったトーナメントで出たかなと思います」
―その差というのは、九州1位になってもこんなにあるのかという感じですか?
「いえ、それはずっとわかっていたことです。九州は背も低いしフィジカルも弱いし、ジャッジ基準も含めて全て低い中でやっているのが現状です。自分達は遠征をさせてもらってJBLや関東のトップのイメージを作って練習してきましたが、そのイメージを作る上でこのくらいの差はあると自覚はしていました」
―では、その差を埋めようとやってきた意地は見せられたと思いますか?
「2回戦で法政に勝ったことをまぐれだとか言われるのが1番嫌だったのですが、準々決勝で東海に負けて“やっぱり…”と思った人もいたと思います。昨日も勝負所で拓殖に負けてしまったので、最終戦はちゃんと勝って、まぐれじゃないってことを証明したかったですし、自分たちがやってきたことは間違っていなかったと示したかったので…はい。勝ててよかったです」
―“やってきたこと”も途中揺らぎましたよね。
「そうですね。でもやってきたこと以外のことをしてもプレーはよくならないので、本当に自分たちがやってきたことを自信を持ってやろうと東海大戦後のミーティングで話して、しっかり切り替えてできたから昨日今日といいゲームになったんじゃないかなと思います」
―東海大戦では“やってきたことを出せなかった”と#7中村選手は言っていました。
「全然出せなかったと僕も思います。受身でしたし相手のディフェンスに押されて自分たちのペースが完全に崩された結果あの点差になった。それに対して、拓殖と中央戦は自分たちのバスケットができたけれど、拓殖戦は勝負所での経験の差と、シュート率の差が敗因になったと思います」
―そのあたりは“やってきたことを出す”の次の段階の課題でしょうか。
「そうですね。ただ経験で言えば、2回戦に勝ってその後3試合できたのは本当に大きな経験になりました。関東の1部や2部上位のチームとできて、次につながるいい経験をたくさん、毎日毎日できたと思います」
―次という話が出ましたが、まだオールジャパンはありますが、こんなチームを作りたいといったイメージはありますか?
「大きく変わることはありません。まずはオールジャパンに向けて、インカレでたくさん課題が出ましたが1ヶ月の間でもできることはあるので、そこで克服して、JBLを倒すというずっと持っている目標を実行したいです。その後の新チームはインサイドがいなくなるので、そこをどう埋めるかですね。もちろん小さくても戦える技術はたくさんあるので、そこをもっと詰めて、関東の大きいチームにも勝てるいいチームにしていきたいです」
―ということは来年もプリンストンでしょうか?プリンストンスタイルを持ち込んだ福田コーチは今年でチームを離れる予定と聞きますが。
「これは変えられない自分達の持ち味です。このバスケットじゃなかったら勝ちは見出せないと思いますし。普通の1on1だったり個人能力では関東には勝てないので、このチームバスケットを続けていきたいです」
―月野選手としては、延岡学園高時代に全国の上位で活躍して、今年またその舞台に戻ってきたわけですが、来年もチームを引っ張れそうですか?
「1年目は、チーム自体の意識が本当に全然違いました。それは本当に…もったいない時間だったなと思います。2年目はプリンストンバスケットをやってみて、初めての経験、いい経験を多くできました。それを経て今年上まであがってこられたというのは、高校時代に色々な経験をさせてもらえたのもちょっとは力になっていると思います。でも上に行きたいというのはずっと思っているので、九州に行ったから勝てないだとかは絶対言われたくないという気持ちで今後もやっていきます」
―月野選手自身も、変わらず活躍はしていますが、どんどん意識が高くなっていっているのかなと感じます。
「そうですね。去年から福田さんが教えに来てくれて、“日本一”という目標を持っていたんですが、去年はどうしても関東を倒すというイメージがそこまでわかない中でやっていました。でも去年のインカレで大東に勝って、その次に専修には負けてしまいましたが、イメージが具体的にわいたんです。今年は、そうした先輩たちのおかげでできた経験があったのでやりやすかったですね。別に名前に負けるわけでもなく、いつも通りのプレーができた。その変化がこの結果に表れたと思っています」
―この結果で、“九州に行ったから…”というのは見返せましたか?
「まだ、優勝できていないので。ベスト8に入っただけでその後負けてしまったので、ベスト4の壁を超えられるよう、もっともっと練習します」
中央大は8位ながら来シーズンへの期待を残す
鹿屋体育大学83(21-20,10-9,28-17,24-19)65中央大(7位決定戦)

2Qも開始から3分間無得点の鹿屋体育大はタイムアウト。その後は#5八木(4年・F)の得点でつなぐ。一方の中央大は#16小野大貴(1年・F・明成)が相手のお株を奪う裏パスからのタップシュートを決めるなどするが、ミスも見られ突き放せない。逆に鹿屋体育大が終了間際に速攻をで逆転。31-29とした。
3Qはいきなり鹿屋体育大が2連続スティールからのレイアップを決め、ディフェンスでも前から当たり仕掛ける。中央大はここで頼りになるのが#4小野龍猛。連続得点でつなぐが、3本目は鹿屋体育大は#18小川(3年・PG)がチャージングを奪う。さらに#10菅澤(4年・C)が3Pに速攻のフォローにともりあげ、残り3分半47-37と2桁差をつける。中央大は「攻めていない。皆縦に攻めよう」と#4小野龍猛が声を掛けるが、フィニッシュまで持ち込めず沈黙してしまう。この間に鹿屋体育大は#5八木の3ショットのフリースロー、#18小川の3Pでリードを15点にひろげる。中央大は#4小野龍猛がブザービーターを決めて何とか59-46と踏みとどまった。
4Q、中央大は反撃を開始したいが#4小野龍猛が4ファウルとピンチに。ここで鹿屋体育大#8月野が3連続得点で68-48と勝負をつけたかと思われる。だがあきらめない

中央大は大会3日目以降勝利をあげられずに終わったが、#4小野龍猛はやはり別格のプレイヤーであることが証明され、また残る下級生達、特に1年生カルテットの今後の成長を期待せずにいられない大会となった。一方、九州から久しぶりにベスト8に割って入った鹿屋体育大は、関東のチームから価値ある2勝。今シーズンの目標を“日本一”に置く彼らの目はすでに1ヶ月後に向いている。
写真:中央大のルーキーカルテットの中でも、ピカイチの思い切りのよさを持つ#16小野大貴。決して上背があるわけではないがこの飛び込みリバウンドは脅威だ。
※中央大・小野龍猛選手、浜田選手、鹿屋体育大・月野選手、小川選手のインタビューは「続きを読む」へ。
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【INTERVIEW】「いい経験ができた1年だった」
チームを一つにまとめあげ、キャプテンの責務を全うした1年
◆#4小野龍猛(中央大・4年・CF・主将)

小野自身にとってはチャレンジし続けた1年だった。鳴り物入りのルーキー時代からエースとして君臨、結果も残し続けてきた。そして戦力が充実した昨年は、小野自身の怪我によってその目標は断たれた。そして迎えた今年、キャプテンという新たな立場が小野を成長させた。これまでは小野の活躍がチームの勝利へと直結するといっても過言ではなかった。だが経験の浅い新戦力が主力となった今年、小野は自身のプレイに集中するだけでなく、積極的に下級生に関わった。時には叱り、時には励まし、周りへの気配りを忘れなかった。それは月日を追うごとに成熟していくチームスポーツにおいて、他チーム以上に小野に求められた役割だ。8位という結果は納得できるものではないかもしれない。しかし、中央大というチームをまとめあげ、一段階上のチームへと押し上げた事実こそ、今年の中央大が賞賛するに値するチームであったと言えるのではないだろうか。
―今の率直な気持ちは?
「率直な気持ちは終わったって感じです。やっと終わったって(笑)」
―リーグ戦では“楽しんでやれれば後悔しないから”ということをおっしゃっていましたね。
「結果的にはベスト8に入れたし、オールジャパン出場という目標は達成できたので、良かったと思います」
―今大会の目標は優勝かと思いますが、8位という結果については。
「浜松に勝って、次の慶應戦に全部ぶつけていたんです。慶應にはリーグもですがいつもと同じように自分たちのバスケができなくて、負けちゃって。すごい悔しかったんですけどね(苦笑)。次の日から吹っ切れてやっていたんですけど、若さが出て自分が1人でやってまとめきれなかったっていうのが、そこは悔いが残ります」
―今年1年はキャプテンという役割の難しさを感じたシーズンだったと思いますが、いかがですか?
「難しかったですね。全員まとめなきゃいけないっていうのもありますし。中学校でキャプテンをやっていたんですけど、今回は人生で初めてキャプテンになったようなもので。どうまとめるかっていうのを自分の中で1年間試行錯誤して、すごく難しかったです。本当に(笑)。チーム全部をまとめなきゃいけない。練習中もそうだし、試合中もそう。自分がもっとコミュニケーションを取ったりしないといけないと思うし、やっぱり試合で疲れていく中で自分が喋らなくなっていく時もあるし。難しかったんですけど、いい経験ができた1年だったと思います」
―この1年で一番成長したと感じるところはどこですか?
「成長できた点は…そうですね、あんまりキレなくなった点ですね(笑)。多分。前はすごく言っていたんですけど、今はもう堪えて(笑)。言いたいんですけど、堪えて。時々出ちゃうんですけど、前よりは励ますようになったと思います。自分ではそう思っています」
―リーグ戦を終了してルーキーに話を聞いたら、言う時は言うけれど、ミスしても“気にするな”って声を掛けてくれたり、兄貴的な存在だと言っていましたよ。
「(笑)。1年生はこの1年間本当にいい経験になったと思うので、そう言ってくれるなら、そうなんじゃないですかね?わからないですけど(笑)」
―この中央大での4年間はいかがでしたか?
「1年の時2部で、2年の時に入れ替え戦で勝って。1部も2部も経験できて、自分の中では本当いい経験にもなりました。最初はいろんな人たちに“なんで中大に入ったの?”って言われ続けてきたんですけど、本当に1部も2部も経験できて、いい経験だったし、いいチームメイトにも巡りあえたと思います。自分がしたいバスケもできたし、結構甘えさせてもらったところもある。最後の4年生でキャプテン経験して、やっぱ自分が甘えちゃいけないっていうことも学べたし、本当に良かったです」
―ルーキー時代には2部得点王を獲ったり、3年生の春ではPGをやったり、本当にプレイの幅が広がった4年間だったのではないでしょうか?
「本当いろいろやらせてもらったことには感謝しますし、今後自分の中で何番ポジションがいいか、いろんなポジションができれば良いと思っているので。そこはできてよかったと思います」
―キャプテンとして来年以降は気になるのではないですか?
「来年はものすごく心配なんですけどね。でももう出られないので。ただ、今後自分はバスケット続けていくので、練習に出ていじめてあげないと。いじめたいと思います(笑)」
―4年間を共にした仲間について。
「自分たちの代は本当は5人いたんですけど、2人辞めちゃって。一般で入ったやつも4人くらいいたのに全員辞めちゃって、結局3人しか残らなかった。その3人で苦労を分け合ったし、本当にいい仲間ができました。4年間寮生活で本当ずっと一緒にいて、家族みたいなものなので。いいチームメイトに恵まれましたね」
「黄金時代の中央大を再現して欲しい」
後輩へ託した想い
◆#5浜田雅義(中央大・4年・PG)

「何か残してやりたい」
それは浜田が自分より、3人しかいない4年生として中央大というチームでの自分の役割を受け入れ、後輩たちへ今後の中央大を託したことのなによりの証とも言えよう。
―今日でシーズンが終わりましたが。
「良かったです。4年間やって、龍猛とできたり、砂原ともできたし、本当4年間やってきて良かったなと思います。満足しています」
―8位という結果については?
「それには満足していません(笑)。結果は悔しいですけど、みんなとできたことは満足しています」
―やはり優勝を目指していたと思いますし、慶應大に勝ちたいという想いも強かったのではないですか?
「そこに勝って勢いに乗りたかったんですけど、やっぱり慶應さんは強かったですね」
―3年生の京王電鉄杯では、慶應大と好勝負を演じただけにやはり期待も大きかったと思いますが。
「そうですね。今の3年生は来年もあるので何か残してやりたいっていう想いもあったんで、そういう風に練習からも頑張ってきていたんですけど。でも後輩たちはきっとやってくれるので、それを期待したいですね」
―4年生として後輩たちに何を残せましたか?
「本当に基本的なことで4年生になってからわかったことなんですけど、引っ張っていくことだったり、声を掛けたり、コミュニケーションをとることが大事だぞって教えたり、ごくごく普通のことです。当たり前のことって難しいし、できないじゃないですか?そういうことをもっとやっていければいいなって」
―この4年間を振り返っていかがですか?
「本当楽しかったですね!1部でできて。リーグ戦で青山に勝てたり、オールジャパンも出場を決められたり。オールジャパンも五十嵐圭さん以来ですし、何年振りっていうのが多くて、そういうのを更新できたのが良かったですね」
―東海大にもリーグ戦では勝っていますしね。
「そうですね。もう一回やっても勝てますけどね!(笑)」
―同じ1部でも去年と今年は違ったんじゃないですか?
「プレッシャーが違いましたね。龍猛がいると言えど(笑)。でも良かったですね、いろんな選手ともできて、自分自身はまだまだ未熟なんで、いろんな良い選手と対戦できていい経験になりました」
―結果こそ8位ですが、勝ったという実感が最もあったシーズンだったのではないでしょうか?
「はい。自分が3年生の時は負けてばかりだったので。龍猛も復活できたし、良かったですね。自分も就職決まったんで、安心しました(笑)」
―今年は新戦力も多く、後輩を指導したりと今までとは役割や立場が違う1年だったのではないですか?
「とにかく頑張っていました(笑)。勝たないと意味がないということは伝えたくて。今まで勝ってこなかったんで。リーグでもインカレでも勝って欲しいし、黄金時代の中央大を再現して欲しいですね」
―中央大というチームはいかがでしたか?
「コーチの松山さんは自分たちのお父さん的存在で、選手たちが一番声を出さないといけないのに、あの人が一番声を出したりしてくれました。あの人がみんなに渇を入れてくれて、みんながへこたれていたら、ガッッて言ってくれて。本当は自分たちがそうならないといけなかったんですけど。松山さんはみんなから愛されています(笑)」
―あとはオールジャパンが残っていますね。
「JBLとやりたいですね。そこで楽しくやりたいですね」
―オールジャパンで真剣にバスケットに取り組むのも最後になるのでしょうか?
「そうですね。バスケットをやってきていろいろありましたけど、本当に楽しかったです。全国優勝するっていう目標で小学校はやっていて、中学は全国に出られなくて。それで高校で洛南に行って、“やっとここで全国優勝できる”と思ったら、3位に終わって。でも面白かったですね、バスケットは」
―関東に洛南高校出身の選手が大勢いることも刺激になったのではないですか?
「はい。明治の岩澤なんか、高校のときポジション違ったのに今ガードですし。そんなフォワードやっていたやつに、いきなりガードをやられて負けたくないって思ったりしましたし。でも仲は良いんですよ。また洛南メンバーで飲んだりしたいですね!」
「インカレの5試合で攻め気を持ち続ける重要さを知った」
チームの飛躍を支えた3年生ガード
◆#18小川央(鹿屋体育大・3年・PG)

今インカレは途中出場で役割を果たしたが、来シーズンはスタートとして堂々プレーすることが求められるだろう。そのためにも、小川の奮闘はまだまだ続く。
―ベスト8チームの残る大会後半の最後を勝利でしめくくりましたね。
「2連敗して今日だったのですが、負けてしまった2戦では自分たちのバスケットがあまりできていなかった。今日はうまく、40分間ずっとではないんですが自分たちのバスケットができたと思うので、勝ちにつながったと思います」
―先2戦との違いはなんだったと思いますか?
「アナリストの森重さんの映像を見て、リバウンドやルーズボールはもちろん、中央は特に#4小野龍猛選手が大きいのでダブルチームの寄りを修正できたのが違うところです。今朝のミーティングでは自分達のいいプレーを集めたシーンを皆で見て、こういうプレーをしていこうということで、いいイメージができて試合に入れたのもよかったです」
―この試合は小川選手も出番が多かったですね。
「そうですね、最初の方は全然ダメだったんですが、試合中にしっかり切り替えてやれたのでよかったかなと思います。自分は3番の新垣さんとよく代わるんですが、それは大体流れが悪いときなので、リーダーシップをとってコート内でもりあげていくのと、あとはディフェンスを頑張ってやっていこうというのをいつも心掛けています」
―コートでは3年生と思えないくらい落ち着いてリーダーシップを取っていますよね。以前からそういうスタイルなのですか?
「いや、今年からですね。新垣さんが怪我をして、自分がスタートになることになってからです。3年生だし、スタートだしというので、自分が引っ張っていかないと示しがつかないので、意識してやりました。それからは周りと真面目に話し合ったりだとかもできるようになりましたね」
―去年はあまりプレータイムがない中で、スタメンを務めてギャップがあったのでは?
「確かにシーズンの最初は緊張しましたけど、去年も練習試合では出ていましたし、やることは変わらないので。そこまでギャップというのはなかったです」
―“やることは変わらない”という言葉でましたが、このインカレではそれをやり続ける難しさというのも感じたのではないですか?
「そうですね。いつも自分たちだけで練習をやっているのとは違う難しさは感じました。ディフェンスの当たりだとかも関東のチームは違いますし。でもそれでも攻め気を40分間持ち続けるしかないなと思いました。受けに回ると一気にやられる。それをインカレで5試合やる中で改めて知れたので、いい経験ができたと思います」
―その経験を、年明けのオールジャパンにどのようにつなげていきますか?
「僕達の目標はオールジャパン優勝なので、あと1ヶ月ないですがしっかりチーム力を上げられるようやっていきたいです。自分としてはちゃんとゲームの流れを変えていける、周りを引っ張っていくプレーヤーに近づけるようにと思います」
「やってきたことは間違っていない」と示せた最終戦勝利
九州から頂点へチームを導く文字通りの司令塔
◆#8月野雅人(鹿屋体育大・3年・SG)

月野のコンスタントな活躍のおかげで昨シーズン、そして今シーズンとチームは躍進をとげたが、月野は満足していない。
「まだ優勝していない」
2年前には考えられなかったチームの変革をも、彼が引き寄せたのではないかと思わせるような上を目指す気持ちがある。
新チームはガードとセンターのキーマン、そして福田コーチもチームを離れるが、月野がいる限り鹿屋の新しい伝統は続くはずだ。
―準々決勝以降の3試合は初の経験ですが、やってみてどうでしたか?
「気持ち的には特に法政との2回戦と変わりなくやれました。最終戦はちょっといつもと違うように感じる部分もありましたが、いい経験になったし、楽しめた部分が多かったです」
―今日は楽しそうでしたね。
「昨日・一昨日と負けているのでやっぱり最後は勝って終わりたかったですし、またオールジャパンがあるのでそこにつなげていくためにも、しっかりトライしていいイメージの中で色々な経験を積みたかったので。そのために楽しくやろうと昨日から話していたので、それができてよかったです」
―そうやってうまく切り替えられた要因は何かありますか?
「スタッフ陣が色々考えてくれたのが大きいです。この後は時間を自由に使っていいよ、バスケから離れてもいい、と気持ちを切り替えるためのいいリフレッシュができるようにしてくれました。普通だったら試合を見て勉強しろだとかなりますよね。スタッフのおかげで毎試合毎試合いい気持ちで臨めたのがよかったです」
―月野選手はリフレッシュの時間をどのように使ったのですか?
「自分は結局試合を見ていました(笑)。慶應対青学が見たかったので。時間がなくて見られなかったんですが日大も見たかったです」
―いい試合を見ると、モチベーションが上がりますよね。
「ですね、楽しいですし、青学も慶應もやっぱりうまいですし。九州にいるとこういう機会はあまりないので、ちょっとでも観られたらいいなと思って観ていました」
―試合を観たり実際に対戦したりして、その関東上位のチームと自分達との違いというのはどの辺りにあると思いましたか?
「1つはチームの総合力。準々決勝であたった東海大は誰を変えてもプレーも力も変わらなかったですし、波もなかったです。あとはやっぱり経験の差も大きいと思いました。リーグで14試合戦ってきた相手との差がこういったトーナメントで出たかなと思います」
―その差というのは、九州1位になってもこんなにあるのかという感じですか?
「いえ、それはずっとわかっていたことです。九州は背も低いしフィジカルも弱いし、ジャッジ基準も含めて全て低い中でやっているのが現状です。自分達は遠征をさせてもらってJBLや関東のトップのイメージを作って練習してきましたが、そのイメージを作る上でこのくらいの差はあると自覚はしていました」
―では、その差を埋めようとやってきた意地は見せられたと思いますか?
「2回戦で法政に勝ったことをまぐれだとか言われるのが1番嫌だったのですが、準々決勝で東海に負けて“やっぱり…”と思った人もいたと思います。昨日も勝負所で拓殖に負けてしまったので、最終戦はちゃんと勝って、まぐれじゃないってことを証明したかったですし、自分たちがやってきたことは間違っていなかったと示したかったので…はい。勝ててよかったです」
―“やってきたこと”も途中揺らぎましたよね。
「そうですね。でもやってきたこと以外のことをしてもプレーはよくならないので、本当に自分たちがやってきたことを自信を持ってやろうと東海大戦後のミーティングで話して、しっかり切り替えてできたから昨日今日といいゲームになったんじゃないかなと思います」
―東海大戦では“やってきたことを出せなかった”と#7中村選手は言っていました。
「全然出せなかったと僕も思います。受身でしたし相手のディフェンスに押されて自分たちのペースが完全に崩された結果あの点差になった。それに対して、拓殖と中央戦は自分たちのバスケットができたけれど、拓殖戦は勝負所での経験の差と、シュート率の差が敗因になったと思います」
―そのあたりは“やってきたことを出す”の次の段階の課題でしょうか。
「そうですね。ただ経験で言えば、2回戦に勝ってその後3試合できたのは本当に大きな経験になりました。関東の1部や2部上位のチームとできて、次につながるいい経験をたくさん、毎日毎日できたと思います」
―次という話が出ましたが、まだオールジャパンはありますが、こんなチームを作りたいといったイメージはありますか?
「大きく変わることはありません。まずはオールジャパンに向けて、インカレでたくさん課題が出ましたが1ヶ月の間でもできることはあるので、そこで克服して、JBLを倒すというずっと持っている目標を実行したいです。その後の新チームはインサイドがいなくなるので、そこをどう埋めるかですね。もちろん小さくても戦える技術はたくさんあるので、そこをもっと詰めて、関東の大きいチームにも勝てるいいチームにしていきたいです」
―ということは来年もプリンストンでしょうか?プリンストンスタイルを持ち込んだ福田コーチは今年でチームを離れる予定と聞きますが。
「これは変えられない自分達の持ち味です。このバスケットじゃなかったら勝ちは見出せないと思いますし。普通の1on1だったり個人能力では関東には勝てないので、このチームバスケットを続けていきたいです」
―月野選手としては、延岡学園高時代に全国の上位で活躍して、今年またその舞台に戻ってきたわけですが、来年もチームを引っ張れそうですか?
「1年目は、チーム自体の意識が本当に全然違いました。それは本当に…もったいない時間だったなと思います。2年目はプリンストンバスケットをやってみて、初めての経験、いい経験を多くできました。それを経て今年上まであがってこられたというのは、高校時代に色々な経験をさせてもらえたのもちょっとは力になっていると思います。でも上に行きたいというのはずっと思っているので、九州に行ったから勝てないだとかは絶対言われたくないという気持ちで今後もやっていきます」
―月野選手自身も、変わらず活躍はしていますが、どんどん意識が高くなっていっているのかなと感じます。
「そうですね。去年から福田さんが教えに来てくれて、“日本一”という目標を持っていたんですが、去年はどうしても関東を倒すというイメージがそこまでわかない中でやっていました。でも去年のインカレで大東に勝って、その次に専修には負けてしまいましたが、イメージが具体的にわいたんです。今年は、そうした先輩たちのおかげでできた経験があったのでやりやすかったですね。別に名前に負けるわけでもなく、いつも通りのプレーができた。その変化がこの結果に表れたと思っています」
―この結果で、“九州に行ったから…”というのは見返せましたか?
「まだ、優勝できていないので。ベスト8に入っただけでその後負けてしまったので、ベスト4の壁を超えられるよう、もっともっと練習します」
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