2016年12月 / 11月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫01月


第86回全日本大学バスケットボール選手権
筑波大学が3連覇を達成 3連覇以上の達成は1999年の日本体育大以来

2009.12.03 (Thu)

【2009インカレ】12/3 2回戦 鹿屋体育大VS法政大

鹿屋体育大が思い切りのいいシュートで延長を制する!
法政大は不完全燃焼のまま無念のシーズン終了


鹿屋体育大学101(13-25,32-20,10-19,26-17,20-16*)97法政大学 *OT
091203KANOYA.jpgインカレ2日目、2年連続九州王者の鹿屋体育大と、関東リーグで慶應大・東海大・青学大を倒して実力を示した法政大とが激突した。
両チームともインカレには“借り”がある。
鹿屋体育大は、昨年のインカレ2回戦、ゾーンをしかれた後半の20分間で13点しか取れない悔しさを味わった。それをバネに今シーズンはゾーンアタックはもちろん、フィジカル、メンタル、バックアップメンバー全てをバージョンアップしてやってきた。
対する法政大も昨年、彗星のごとく決勝に進んだ国士館大に2回戦で敗れて無念のベスト16。1年時からチームの主力をはってきたメンバーが最上級生となった勝負の今シーズンは、リーグで接戦を勝ち切るすべを思い出してから臨んだ。
インカレの借りはインカレで。しかし、それを果たせるのは1チームのみ。
結果、離されても離されてもくらいついた鹿屋体育大が最後に波を持ってきて勝利した。
法政大を支えてきた神津・信平・落合の“ビッグスリー”は早過ぎる見納めとなった。

写真:勝利の瞬間、鹿屋体育大のメンバーたちが抱き合った。

※試合のレポートと鹿屋体育大・福田コーチ、八木選手、新垣選手、笠原選手、法政大・神津選手、落合選手のインタビュー、コメントは「続きを読む」へ。

[続きを読む]

【GAME REPORT】
091203HASEGAWATOMOYA.jpg1Q、鹿屋体育大は#8月野(3年・SG)の3Pで始まり、開始3分5-7と上々の滑り出しかと思われた。だが、「鹿屋が裏を突いてきたり外から打ってくるチームなのはわかっていた」(#5神津)という法政大ディフェンスの前になかなかボールをさばけず、1人ひとりが孤立してしまう。5-13となったところでたまらずタイムアウト。やや持ち直すが、法政大は鹿屋体育大のディフェンスに対してコート内の選手達がコミュニケーションを取りながら対応。1on1で勝る部分を見極めてバランスよく加点し、13-25とダブルスコアをつけた。

しかし2Q、自分達のプレーをやり続けた鹿屋体育大に徐々に流れが傾いていく。好守で法政大の流れを分断し、アウトサイドシュートが効果的に決まって#5八木(4年・F)の3Pで逆転。ここで法政大は#23信平(4年・F)が裏を突くシュートなどでつなぎ、39-37から39-43と再び前に出る。鹿屋体育大は傷が広がらないうちに前半2つ目のタイムアウトを切ると、直後に#8月野が体勢を崩しながらも3Pをねじ込む。これでベンチも応援席も一気にもり上がり、ディフェンスでもターンオーバーを誘う。それを速攻につなげて45-45と1Qのビハインドを帳消しにすることに成功した。

3Qはどちらも主導権をつかめない。しかし鹿屋体育大#5八木がベンチに下がると、法政大#5神津(4年・C)が外からは3P、中ではフリースローと自在に得点し、残り2分55-59と抜け出す。さらに鹿屋体育大はここで司令塔の#3新垣が4ファウルで交代せざるを得なくなる。法政大はこの勝負所を見逃さず、#3鈴木(3年・PG)が前からプレッシャーを掛けていく。すると鹿屋体育大は形は作れているものの詰めでミスが重なる。法政大は攻めても#91落合(4年・PF)のターンシュート、エンドスローインをカットして#11長谷川(2年・SG)の3Pとたたみ掛け、55-64と地力を見せたかと思われた。

091203TUKINO.jpg4Q、鹿屋体育大は#7中村(3年・F)のバスカンで始まり、気持ちを切らさない。法政大は#91落合で攻め、いい合わせを見せていた鹿屋体育大#10菅澤(4年・C)をファウルアウトに追い込むが、代わってコートに戻った#5八木が奮起。レイアップを決めて64-67と追い上げる。さらにチームメートのミスをルーズボールに飛び込んでフォローと身体を張る。一方法政大は#5神津が2連続リバウンドショットと追いつかせないが、鹿屋体育大はここでシュート力が光り始める。#8月野の3P、さらにタイムアウトあけにはセカンドチャンスから#5八木も3Pを決めて1点差。法政大は今度は#5神津で攻めようとするが攻めきれない。次の1ゴールに注目が集まったが、得たのは鹿屋体育大。法政大のゾーンを切り裂く#16笠原(2年・F)の3Pで残り3分73-73と振り出しに戻した。

ここで法政大は#3鈴木がすぐに3Pを返し、さらに#5神津が落としたフリースローのリバウンドショットも決め気を吐く。鹿屋体育大も#8月野がスティールからレイアップ、ロングシュートを決め譲らない。同点のまま迎えた残り1分、鹿屋体育大は#7中村の1on1に託すがこれを法政大#5神津にブロックされ、万事休すかと思われた。だが法政大#23信平をファウルギリギリで止め、残り30秒3つ目のタイムアウト。「迷うな」と鹿屋体育大の福田コーチが声を掛けて再開すると、パッシングからハイポストでフリーになった#16笠原がビッグショットを沈める。残り8秒法政大のタイムアウトとなり、鹿屋体育大ベンチは1番のもり上がりを見せるが、法政大にもトップ4シードの意地があった。エース#5神津がドライブでバスケットカウント。このフリースローを決めれば勝ちだったが、ボールはリングの上を跳ねて外へ。81-81で今インカレ初の延長に突入した。

延長では#5八木の合わせやタッチのよい#16笠原のロングシュートで鹿屋体育大が3連続得点。法政大は早々にタイムアウトを取る。#3鈴木が1本返すが、オフェンスが単発のままでチームの雰囲気も上がらない。逆に鹿屋体育大は#16笠原がリバウンドに合わせて走り込みバスケットカウントを獲得。際どい判定だったがこれで93-83とついに10点差となった。勝負ありかと思われたが、ここから長い2分間となる。「あきらめていなかった」(#5神津)という法政大がプレスを繰り出し、#91落合までが3Pを試みる。#23信平がファウルアウトと引き換えにファウルゲームに持ち込むと、鹿屋体育大はこれを決めきれない。シューター以外はリバウンドに入らず備えたが、結局最後の2分間のフリースローは6/16。法政大はこれを#11長谷川の連続3Pにつなげ20秒間で延長最大12点差から5点差に持ち込む。さらに#5神津のロングシュート、#11長谷川の3Pで残り20秒99-96とわからなくなる。ここから鹿屋体育大は#8月野がフリースローを1本イン。法政大は#11長谷川が3ショットのファウルを得るが、これを1投しか決め切れない。リバウンドで#91落合もファウルアウト、コートに残った4年生である#5神津が3Pを放つがネットを揺らせず、鹿屋体育大がリバウンドをキープして101-97でタイムアップとなった。法政大は2年連続のベスト16敗退。鹿屋体育大はチーム初のベスト8を果たした。


【INTERVIEW】
「やり続けるということが一番難しい」
1年間の取り組みの結果を見事に発揮

◆福田将吾コーチ(鹿屋体育大)
091203FUKUDA.jpg「日本一を目指す」
それは鹿屋体育大が堂々を宣言していることだ。関東上位の男子の世界で、地方でそう言えるというのはポーズではない。彼らはいたって真剣であり、長い途上を分かった上で取り組みを始めたのだ。選手、環境、その他いろいろなものがまだ鹿屋体育大にはない。しかし福田コーチは自らの手でアメリカへコーチ留学に渡り、どん欲に吸収し、還元しようと必死だ。それがたった1年でベスト8の壁を破るという結果として現れた。
ここからどう進化するのか、鹿屋体育大の今後にまだ目が離せない。


-初戦はやや重い試合でしたが、固くなっていたのでしょうか?
「ちょっと自分たちが普段の自分たちと違うプレーをしようとして、試みたことがあります。インサイドがうちの方が大きかったので、インサイドを使って攻めようとしたらリズムが掴めませんでした。4、5分でタイムアウトを取って“自分たちのプレーをしよう”と確認してからは普段通りになりましたが。受けに回ってしまったのが原因だと思います」

-今日は出足は法政大に離されてしまいました。
「出だしだけ受けてしまいました。10点離されたら一気に持っていかれると思ったのでタイムアウトを取りました。1Qで持ちこたえて、2Qで追いついてそれからイーブンに持ち込んで。神津選手(#5)らは高い能力があるので、そこでしっかり我慢できるように。彼らにもうまさを感じましたし、戦うことで次にステップアップできる経験になったと思います。一番良かったのは延長戦に入ったところで受けに回らず、そこから自分たちのやるべきことにフォーカスできたということが大きいと思います。やり続けるということが一番難しいことだと思っているので」

-昨年は6名ほどしか選手を使えませんでしたが、今年はまた新しい選手が試合で活躍していて、層が厚くなったなと感じるのですが。
「そうですね。でももう1人主力がいるんですが、ケガをしていて苦しい部分はあるんです。でも彼の分まで頑張ろうという雰囲気になっています」

-それは選手たちに昨年は力があったけれど出られなかったのか、それとも今年力をつけてきたのかどちらでしょうか?
「今年力をつけたことに尽きますね。今年はAチームBチームを分けずに一緒に練習を開始して、2週間たって分けました。それで中村(#7)のような選手でもBチームに落ちましたし、Bチームに落ちなかった選手はここまでほとんどいません。切磋琢磨して毎日入れ替えがあるかもしれないという緊迫感の中で、練習をしてきたので自然に争って伸びてきました。今年はチーム内で強くなるということが一番大事なんです。辺境の地(鹿児島)なので練習試合もあまりできませんし、そこでいかに自分たちで高めて、自分たちで高いレベルをイメージしてやれるかといったことを考えました。だからこそ選手層を(内部で)厚くする、経験を積ませるといったことが必要なので、そこで多くの選手が伸びてきました。彼らはほとんど一般で入った選手なので、そういう選手がこれだけ頑張れて上れるというのはみんなの勇気になっていますし、推薦の選手も逆に頑張れます」

-「日本一」を目指すとおっしゃって、今年はどのような取り組みをしてこられたのでしょうか?
「オールジャパンで優勝を目指すということがまずあります。それは大きなことでとても難しいことですが、目標として持っています。そこにしっかり向き合って、夏は名古屋や東京に遠征して、JBLやプロの選手たちに相手をしていただいて、外国人選手とも戦って学ばせていただきました。そこでテクニックや得たものがあったので、すごく大きな経験でした」

-取り組みの結果昨年はベスト16、今年はベスト8に入って一歩前進しました。もちろんそれが目指すところではないと思いますが。
「自分たちは優勝しか考えていません。明日のことだけです。あと3戦をどう戦うかじゃなくて、明日だけを考えています。それが全てです。チームのモットーとして『今にかける』というものを持っています。『スラムダンク勝利学』の辻先生の教えなんですが、あの方にメンタルトレーニングもしていただきました。そこで、自分たちで今心はどうか、ポジティブであることを意識してやっています。やはり心あっての技術と体力なので」

-そこが今日離されたときも焦りがなかった要因なのでしょうか。
「そうですね。落ち着いて、もう一度自分たちで立て直せたのはそうした取り組み合ってこそだと思います」


「死に物狂いで身体を張りました」
◆#5八木勇樹(鹿屋体育大・4年・C)
091203yagiスタッツ上のリバウンドは2本だが、八木がボックスアウトしていたり1度ティップしていたからチームメートがとれたリバウンドが多かった。ディフェンスでは関東でも屈指のうまさをもつ法政大#5神津、泥臭く身体を張ってくる#91落合というコンビをなんとか守りきった。攻めても要所で3Pを決める奮迅の働き。


―今の気持ちを聞かせてください。
「嬉しい気持ちでいっぱいです。試合直後はとにかく叫んでいました(笑)」

―特に3Q以降はずっと接戦でしたが、1番の勝因はなんだったと思いますか?
「やっぱり気持ちの面ですね。僕が1・2年の頃は、インカレでの目標は1勝とかベスト8とかだったんですが、3年で優勝を目標において、上を見るようになってから気持ちも変わって、それで今日勝てたのかなと思います」

―相手が4シードの法政大ということで、どんな対策で臨んだのでしょうか。
「うちのアナリストの森重くん(※Aコーチ登録)がデータを集めてくれたのでそれが大きかったです。僕としてはインサイドの(法政大#5)神津くんと(同#91)落合くんにつくのが多かったんですが、ビデオを観て左右どちらのドライブが多いとかリバウンドの押し合いとかはある程度特徴をわかって臨めました。知っているのと知らないのとではやはり違いますね。あとはゾーンをしてくるのもわかっていたので、その対策を何回も練ってやったのが生きました」

―後半は途中ベンチに下がっていましたが、そのときはどんなことを考えて見ていたのですか?
「僕の代わりに出た(#10)菅澤がすごくいい流れを持ってきてくれたので、また自分が出たらその流れにうまく乗っていこうということだけです。できたかどうかは、試合直後で自分ではわからないですが、できたかな…と思います」

―リバウンドやルーズボールでいい流れをむしろ大きくしていたと思いますよ。
「僕は本当に身体を張ることが自分の役目だと思っているので、それができてよかったです。今年はオフェンスでは3Pを身に付けて外にも出るようになったんですが、ディフェンスはやはりインサイドを守らないといけない。九州とは当たりも身長も全く違う関東の選手にはやっぱり死に物狂いでやらなければと思ってやっていました」

―当たり負けもしていなかったのではないでしょうか?九州リーグでは当たりに少し苦しんでいたようですがインカレではちょうどよく見えます。
「確かに九州だとチャージングをとられてしまったりということもあったんですが、今ここでは1年間トレーニングを積んできた成果がインサイドの面で出たと思います」

―さて、インカレは短期決戦なので1日で切り替えないといけませんが、明日に向けて。
「明日の相手も、インサイドも強いですしものすごく強いチームだと思います。でもそれに備えて森重くんがまた対策を練ってくれると思うので、僕らももう1回気持ちを入れて頑張りたいと思います」


「離されてもポジティブに次のプレーを考えていた」
◆#3新垣貴大(鹿屋体育大・4年・PG・主将)
091203ARAKAKI.jpg昨シーズンもスタートを務めた司令塔。今年は怪我に見舞われベンチにいる時間が長くなったが、九州リーグの東海大九州戦では1点差勝利をおさめるブザービーターを決め、そしてこのインカレでも38分出場と大一番での勝利に貢献してきた。新垣率いるチームはどこまで勝ちあがるか。


「去年のインカレである程度自信をつけられたのはやはり大きかったです。去年はゾーンブレイクが全然できていなかったですが、今年はそれを克服する練習を中心に強化してきましたし、メンタル的にも強くなりました。それで今日は法政大戦用に対策していたゾーンブレイクがうまくできたなと思います。1Qで離されましたが、僕達はやられたことをあまり気にしないチームなので、次何するべきかを考えてプレーしていました。

自分としては今年の5月に怪我をしてこんなに長く出ることはなかったんですが、試合勘も昨日でちょっとつかめていましたし、もう痛みもないので不安はありませんでした。どれくらい出るかは言われていなかったんですが、展開によって準備していました。終盤は僕自身は無意識でやっていましたね。今は個人的な思いよりも勝てたことが嬉しいです。

今年は「日本一」という目標と、「愛し愛されるチーム」というチーム理念を持ってやってきました。そうして今までプラス思考でチームが作られてきたので、今日の終盤のハドルでも常にポジティブな言葉を掛けていましたね。(そんなチームになれていますか?)うーん、やはり優勝できたらかな。今日勝てたのでそれに近づけたとは思います。

明日は東海大ですか。今日は法政に勝つことに集中していたので対策は今からですが、スタッフが情報は集めていると思います。目標は優勝なので、次も勝ちます」


「あれは普段通りのシュート」
◆#16笠原太志(鹿屋体育大・2年・F)
091203kasahara今シーズンからプレータイムをつかんだ選手。鹿屋体育大が延長を勝ちきれたのは、笠原のような選手が出てきたのが大きい。下級生ながらこの試合で1番の落ち着きを見せて大事なシュートを決めた。大阪の金光藤蔭高出身と、地元で成長ぶりを見せている。


「去年は控えが少なくてほぼ5人でやっていたんですが、今年は控えの選手もどんどん出てきたりするなどチーム力が上がっていて、その部分の差でも勝てたんじゃないかなと思います。自分としては今日の前半でファウルがかさんでチームに迷惑を掛けてしまったので、後半はしっかり自分のやるべきこと―オフェンスではシュート、ディフェンスではリバウンドをやろうと思っていました。最後はそれができてよかったと思います。

(大事なシュートを決められた要因は)チーム練習が終わってからも皆シューティングなり自主練をしていて、自分もそれに負けないようにしっかり自主練してきたので、それが出たんじゃないかなと思います。緊張はしましたが、普段通りできましたね。延長になっても変わらず自分達のやることをやれば勝てると皆言っていましたし、実際にできていいたので勝てました。フリースローに関しては、接戦で落とせないというプレッシャーから逆にチーム皆落としてしまいましたが、こういう試合もあるのでまたこれは次に生かせたらという感じです。

(地元で活躍できて嬉しいのでは)そうですね、親も見に来ていますし、友達も結構見に来てくれて。試合が始まる前はその分緊張してしまうのですが(笑)、試合がいざ始まったら試合に集中してできました。これでベスト8に入ったことでまた上位のチームとできるので、この機会をしっかり大切にしていきたいと思います」


「大人の考えを持って変えて欲しい」
チーム一の努力家が後輩に残す最後の言葉

◆#91落合知也(法政大・4年・PF)
091203ochiai1.jpg今年、法政大はリーグ戦で青学を破り、東海に連勝し、慶應にまで土をつけた。その時の輝きは、確かに彼らがハマった時は強いと恐れを抱かせるものだった。しかし無心に挑んでくる鹿屋体育大の前に、法政大は粘りはしたがリーグ戦で見せたようなオーラを発揮することなく終わった。昨年に続くベスト16での敗退。激戦ブロックとはいえ、惜しまれる最後となった。
1部では最も練習環境が悪いとされる法政大。選手の自主性に任せられた自由な気風は、一方ではムラのあるチーム力として時に彼らに襲いかかる諸刃の剣だ。そして今後も後輩たちが抱え続ける課題でもある。落合が言う「変えること」は、今後のチームが真剣に考えなければならない問題でもある。環境はすぐには変わらない。そこでどのような最善を尽くすかが、“チームの力”になってくるだろう。
大学界になくてはならないキャラクターだった法政大の“ビッグスリー”。人をにこやかにさせる笑顔は、最後はなかった。けれど、彼らが見せてきた4年間のプレーは、忘れられない記憶となって残る。


-今はどんな気持ちですか?
「そうですね、受け入れたくないという気持ちはあります。でも鹿屋はいいチームですし、強かったし、ディフェンスもオフェンスもいろんなバリエーションがあるので、こちらも対策もしてきました。普通に僕たちが今までやってきて、チームが一つになって勝った時の力を出せば勝てたと思うんですが、なんだか元気がなかった。みんな声も出ていなかった」

-確かに法政らしくない雰囲気でした。元気がなかったのはなぜでしょうか。
「何ででしょうか。みんなすごく暗い雰囲気になってしまった。1Qは良かったんですよ。僕自身もすごくいい入り方だなという感じだったし、これから切らさないでやろうという状態でした。油断もしていなかったと思います。でも追い上げられて逆転されたら暗くなってしまった」

-昨年、やはり同じところで国士館大に負けた時の光景が甦るような感じもしました。
「負け方が全く一緒ですね。ただ延長までちょっと行けましたけど、その出だしで連続で決められてしまった。ああいった状態になると追いかける方はつらいですね。試合の内容は実際覚えていません。すごく受け入れたくないというか、もう終わってしまったことではありますが。変な複雑な感じですね」

-今年は勝負の年と言われてきました。
「今年はどこが優勝するか分からないと自分でも思っていたので、ベスト4まで行って日大とやって、向こうから慶應か青学が上がってくるだろうと。それぞれのチームと対戦したらこうやろう、ああやろうとそこまでしっかり考えていました。去年もそうやって考えていたけれど国士舘の勢いにのまれたというのはありました。今年はのまれたというのとは違ったんですけど、元気がなかった。大会に入るまでは問題なかったんですが、入ってからうちの悪い状態が出てしまいました。本当に難しいチームだと思います。ムラがあるし、爆発したら勝つけど、負ける時はこうやって負けてしまう。一昨年決勝に進んだ味を知っていたし、最後だと思って臨んでいたので悔しいですね」

-法政には毎年いい選手がいて、一昨年のように準優勝で結果を出した年もあれば出せなかった年もある。自分としてはどう感じていましたか?
「今年は勝負と言われてきて春は4位、リーグも4位。決していい成績とは言えないですけど、いつもに比べたらリーグも気持ちを切らさないでできました。だからインカレは絶対優勝だと思っていましたし、そうやってずっと練習してきました。こういうことになって残念です。もっとやりたかったなと思います」

-昨年も主将だった坂上慶選手がこの位置で後輩を心配して引退しましたが、落合選手は後輩にはどう頑張って欲しいと思いますか?能力は豊かな選手が揃っていると思うのですが、チームとして集中を持続できないというのはずっと続いている課題ですよね。
「やっぱり大人になるじゃないですけど、考え方を変える必要はあると思います。“自分が”という選手が法政には多いですよね。それがうまく融合した時は強いんですけど、それがダメな時はターンオーバーとかのミスが出る。そういう時にみんなフラストレーションがたまって、人のせいにしてチームが悪くなる。うちが負ける時は絶対そうなんですよ。反対に勝ってる時はチームは一つだし、いいプレーしか生まれない。自分たち3人(落合・神津・信平)が抜けたらどうなるのか、後輩たちは周りからも心配されていると思うんです。控えも今年は全然使っていないし。これから試合に出て経験して、人のせいにしたりとかじゃなくて全員が大人の考えでプレーしていけば、あいつらは他の1部のチームとも遜色ない活躍を見せてくれると思います」

-クリアするための問題は。
「そういった面で“変えていかないと”とずっと言っていたんです。そこだと思います。うちはスタッフ陣も仕事も持っていてなかなか来られないし、自分たちでやるしかありません。こうした環境で練習以外のトレーニングもやっていかないと他との差が埋まらないし、練習も2時間と限られていますから、1回1回やってきちんとこなさないといけないと思います。体育館は練習後に残れないし、シューティングも限られた時間でやらなければいけない。ウエイトは各自ですが施設がないので難しい。だからこそ個人でどれだけやるかということが大事です。自分は4年間でそれをすごく感じました」

-落合選手自身はどうだったのですか?
「2年生の夏からウエイトを始めて体重も増えました。自分はそれをやっていなかったら4年目でも多分試合に出られていないし、もしかしたらやめていたかもしれないというぐらいのモチベーションでした。やっぱりウエイトをしてからすごく変わりましたし、自信もつきました。個人の努力は必要だとすごく感じます。後輩たちにはぜひやって欲しいです」

-鈴木選手(#3)や長谷川選手(#11)はそういう意味ではそういうことをやっていけそうな部分を感じますが。
「あいつらは真面目な考えを持っているし、努力しているのも感じます。こうやって経験も積んだのであいつらがチームを引っ張るのは確かです。ただ、やっぱりチームの雰囲気が悪くなった時にここまでは僕ら4年がいるので頼っていたと思うんですが、これからはできません。でも恵二(#3鈴木)は次に4年になりますし、智也(#11長谷川)も3年、2人はこの1年でかなり実力も伸びたと思うので、一緒に出る残り3人がついていってチーム一つになって欲しい。来年はそうなれると思います。全員バスケットというのを心がけて頑張って欲しいと思います」


「自分にかかっていたのに大事なところで声を出せなかった」
浮沈の鍵を握っていた主将は変革半ばでチームを去る

◆#5神津祥平(法政大・4年・C・主将)
091203kouzuコートでの存在感は誰もが知るところだ。190cmと決して大きくはないが、1部の並いるセンター陣からゴールを守り、かつ大事なところでシュートを決めてきた。また、下級生時からどんな土壇場でも笑顔でプレーするキャラクターも目を引いた。そして、最上級生となり、主将を務めた春は口にする言葉から変わった。
「今まで、“法政はチャラチャラして、たまたま乗って勝った”と言われるのが本当に嫌だった。だから今年は、2年前にインカレで準優勝した時のチームを超えるチームにしたい。自分がキャプテンをやるからには少しでも変えていきたい」
リーグでは優勝候補と目されたチームを次々と破り、その変革は少しずつ結果を出しているように見えた。しかし―その志半ばで、彼らの道は途切れた。
自分が声を出せなかった、と語った神津はこのチームは自分次第だということをわかっていた。だが、それができなかったのだから、と去り際は潔かった。
あとは残されたメンバーが引き継いでいく。


―残念な結果になってしまいました。
「まぁ…もう終わってしまったことなので、しょうがないとしか言えないです」

―昨日の1回戦もピリッとはせず、いつものスロースターターな法政かなと思ったのですが、インカレに入るまでの練習は振り返るとどんな雰囲気だったのですか?
「今年はリーグをいい形で終われたので、その勢いを持ちつつ、いつも通りのいい練習ができていたと思います。昨日はなめていたというかそういう気持ちはなかったんですが、心のどこかで集中し切らないところがあってああいう気の抜けた試合になってしまったのかなと。相手のシュートがポンポンと入っていまいち差が開かなかったというのはありました」

―今日の入りの集中というのはどうでしたか?
「油断もなかったですし、実際1Qはいい感じで終われた(25-13)ので、もう1段階離そうとやっていったんですが…なかなかうまくいかなかったですね」

―2Qに追いつかれて、後半はクロスゲームになりましたが、やっていてどんな心境でしたか?
「途中5点くらい離れたときがあったんですが、そこで離し切れなかったのを反省しています。そこで僕がしっかり声を出せなかったというのがやっぱり大きかったなと自分では思います」

―離し切れないというのは、鹿屋のプレースタイルが守りにくかったというのはありますか?
「外のシュートがよく入って、裏を突いてくるというのは、昨日の試合はもちろんスカウティングで観て知っていました。裏を突かれたのは2・3本くらいでしっかり対応できたと思うんですが、外のシュートが…チェックが甘かったです。決められたときは、やっぱりもう1歩チェックに行けていなかったので、その1歩をしっかり出してプレッシャーを掛けて、落ちたボールをしっかりリバウンドしてつなげようとは話していたんですが」

―特に終盤の鹿屋のシュートが落ちなかったですね。でも4Q残り8秒同点での1on1を決めたのはさすがだなと思いました。
「いえ、あのワンスローは決めないといけないです。別に緊張は、リーグ戦の方がしたくらいなのでなかったんですが、やっぱりちょっと感覚が違ったというか。コートが縦2面だったので、奥がかなり遠いなとは思いました。それでも普通に打ったんですが、外れてしまった。それはしょうがないです」

―延長はずっと鹿屋の波という感じでしたが、やっていてはどうでしたか?
「勢いがちょっと、違ったなと…。でもあきらめてはいなかったので、ハセ(#11長谷川)にも打てと言っていました。打てば入るからと。それで追い上げたのはよかったんですが、足りなかったです」

―神津選手をはじめ、法政の4年生は本当にインカレで色々な経験をしましたね。
「そうですね。2年で決勝まで行っていい思いをして、去年も気合を入れて臨んだんですが国士舘に負けてしまって、今年こそと思ったらこの結果で…。なんでしょうね(苦笑)。うまく言葉にできないです」

―法政の良さをもっと出したかったのではないですか?
「もっと見せないといけなかったです。もっと勝って…大阪なので、お客さんもあまり法政を見たことがなかったと思いますし、勝ち上がって色々な人に見てもらいたかったですね。叶わなかったので、残念です。高校が関西なので、“見に来てね”って友達にも言っていたんですが、謝りを入れておかないとですね」

―こういった形で終わりを迎えましたが、キャプテンをやった今シーズンはいかがでしたか?
「僕の気持ちや一言一言で、チームが悪い方向にもいい方向にも行く。自分自身だな、というのは思いました」

―そういう存在になれた法政での4年間は神津選手にとってどんな経験になりましたか?途中は4年生がベンチワークをやった年もありましたが。
「いい意味で自分たちで考えることがすごく多かったです。他のチームだったら監督にこれをやれと言われた通りにやるというのが多いと思うんですが、法政は監督と話し合って、選手達も話し合って、そこからよりよいものを生んでいくというやり方だったので、法政だったからこそ考える力は4年間で身に付いたんじゃないかなと思います。高校のときに比べても、なんと言うか、うまくはなれたかなと。何が、というのは自分では表現しにくいんですが、周りを見てプレーできるようになったし、身体が強くなった分、相手に当たられても体勢がそこまで崩れずシュートに行けるようになったのは、成長できたところなんじゃないかなと思います」

―一緒にやってきた4年生、特にコートでずっと一緒だった#91落合選手と#23信平選手は自分にとってどんな存在ですか。
「いつでも頼りにしている存在でした。落合は自分が外しても必ずリバウンドに行ってくれて、そのままシュートという場面が何回もあって、頼もしかったです。ノブはディフェンスでチームに勢いを与えてくれるので、そういう面で頼りにしてやっていました。ノブと落合がいなかったら、今年の法政は成り立たなかったんじゃないかなと思います」

―それぞれの怪我もあって、シーズン通して3人揃ったのは今年だけでしたが、やっていてどうでしたか?
「ノブも怪我なく常に出られたのは初めてですね!よく考えたらそうですね(笑)。本当に…楽しくできた1年間でした」

―#11長谷川選手は3人のことを“ビッグスリー”と言っていましたが、神津選手達が抜ける新チームにはどんなチームになっていってほしいですか。
「僕達が抜けると高さが一気になくなってしまうので、それは大きいことではあると思いますが、やっぱりそこで考えてやっていけば絶対に打開策というのは生まれてくるし、自分達の武器、ハセの3Pだったりとか、そういう武器があるので、それを生かせるよう、頑張ってやってほしいと思います」
関連記事

テーマ : バスケットボール(日本) - ジャンル : スポーツ

EDIT  |  23:55  |  2009インカレ  |  Top↑
 | BLOGTOP |