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第86回全日本大学バスケットボール選手権
筑波大学が3連覇を達成 3連覇以上の達成は1999年の日本体育大以来

2009.11.01 (Sun)

【2009リーグ1部】11/1 青山学院大VS東海大 第2戦

序盤のアウトサイド攻勢は青学大に有利に
プライドを賭けた戦いは1勝1敗のタイで終了

青山学院大94(24-17,31-16,19-15,20-24)72東海大
091101aogaku2.jpg先勝したのは昨年と同じ。東海大が望むのは2勝。それこそがここ数年ライバルとして戦ってきた青学大に対して自身の存在を突きつける証明書でもある。

試合は序盤から互いにアウトサイドを打ち続ける展開となった。最初こそ固さからか両者ともボールがリングに弾かれた。しかしこれは、青学大が自分たちのペースに東海大を巻き込む一つの手でもあった。東海大にディフェンスの的を絞らせないうちにシュートを打ち、また相手にも早い展開を強いる。青学大が最も恐れるのは東海大ディフェンスの前にトランジションが遅くなることであり、ここまでの敗戦はほとんどが遅いペースに巻き込まれてロースコアに終わってしまっていることからも、それは避けたい戦いだ。

この流れが青学有利に働いた。次第に3Pが入り始めた青学大は前半を終えて55点。これは彼らが優位に立っているときの数字だ。そして、追う東海大には重いプレッシャーが襲いかかった。追い上げても追い上げても、既に心理的に負担の減った青学大のシュートは落ちない。また、ロースコアを得意とする東海大は得点力がついたといっても大差を一気に追い上げられるチームではない。#24古川(4年・F)はマークがきつく、思ったようにシュートが打てないまま時間が過ぎた。

東海大は、最後は慶應大や日本大のように4年生をコートに送り込んだ。あきらめではない。努力してきた4年生たちはどれも得点が取れる選手だ。しかし追い上げは叶わず、威信のかかる戦いは青学大が勝利して結果は昨シーズンと同じく1勝1敗。彼らにとって譲れない決着は、また先に持ち越された。

写真:最後はプライドを示した青学大。このチームも課題の見えたリーグ戦となった。

※試合のレポートと、青山学院大・小林高晃選手、比江島選手、東海大・前村選手、古川選手、石井選手、多嶋選手のインタビューは「続きを読む」へ。

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【GAME REPORT】
091101samejima.jpg東海大が勝利すれば3位~5位間の順位の入れ替わりもあり得た最終試合。開始直後から青山学院大は#7渡邉(4年・G)、#4小林高晃(4年・SG)、#16比江島(1年・GF・洛南)が立て続けに3Pを放つが、これは全てリングに嫌われる。東海大も#24古川にボールを集めるが、最初の1本が出ない。打ち合いは、次第に青学大が流れを掴んだ。#16比江島のミドルシュートを皮切りに#4小林高晃の3Pが決まり、#0橋本(3年・G)がミドルシュートと2本の3Pで一気に13点に到達。一方の東海大も#7遥(3年・PF)のレイアップと#24古川、#5多嶋(3年・G)の3Pで追い上げるが、追う形。しかも青学大のゾーンの前にそう簡単に得点機会が得られない。青学大はこのQ、4本の3Pを中心にアウトサイドが当たって東海大からリードを奪う。東海大はエースを封じられて得点が伸びず、結局7点を追うことになった。

2Qも青学大ペース。#16比江島のミドルシュートに#4小林高晃がオフェンスリバウンドからのシュートを決めてベンチスタートの#5辻(2年・SG)が#16比江島にアシストを出す活躍。さらには#16比江島の速攻に#4小林高晃の3Pが続き、洛南メンバーが一気にゲームの主導権を青学大に持ってくることになった。東海大は#24古川がタップシュートで押し込み、#0満原(2年・C)がバスケットカウントを獲得するがオフェンスリバウンドが取れない。ここでは#32中川(2年・CF)が粘りを見せる。東海大はインサイドが安定しないせいでアウトサイドの確率も上がらずに引き離される。メンバーチェンジを試みて改善をはかるが、ベンチスタートのメンバーがディフェンスに集中しきる前に#5辻に1本、#7渡邉に2連続で3Pを浴びてしまった。#0満原の3Pや#17前村(4年・SG)のアシストからの得点で粘るが、前半は55-33。東海大にとっては思いのほかに点差がついた。

3Q、東海大は激しいディフェンスプレッシャーで青学大を食い止める。しかし、#4小林高晃、#16比江島にシュートを決められるなど、完全には止められない。オフェンスでは#17前村や#7遥のパスカットから#0満原のシュートにつなげるなど、少しずつ流れを生む。守っても24秒オーバーを奪うが、東海大も得点が入らない。攻防の中で流れを掴んだのは青学大。#4小林高晃の速攻が出ると#16比江島の3P、#4小林高晃のスティールも出てさらに差を広げる。東海大は3Qを終わっても50得点が奪えないという結果になった。

091101watanabe.jpg4Q、開始から東海大は激しいディフェンスで青学大から2度の24秒オーバーを奪う。コートに入った副将の#45鮫島(4年・SF)がミドルシュートを決め、パス回しで粘って#0満原の3Pを生むなど、必死の反撃。#36養田(3年・PF)や#27石井(4年・SG)などベンチメンバーが奮闘し、あきらめは見えない。青学大は#4小林高晃がフリースローを得るが接触によるダメージで一時ベンチへ。代わりに#9小林純也(3年・SG)を投入したのをきっかけに、得点差の余裕もあり#6織田(2年・SF)もコートへ。この2人も得点し、青学大は勝利を確実にしていく。東海大は最後に#27石井、#45鮫島、#29嶋田(4年・C)ら、4年生をコートに送り込み、最後まで積極的にシュートを狙っていくが、青学大を脅かすにはいたらずタイムアップ。94-72。青学大が第1戦の雪辱を果たし、大差の勝利。そして、観客からは最後まで戦い抜いた選手たちに大きな拍手が浴びせられた。第85回関東大学リーグは、この熱闘をもって幕を閉じた。

ゲームは、前半の得点を見れば完全に青山学院大のペースだった。ディフェンス主体、ロースコアゲームが持ち味の東海大は得点できない試合をどうリカバリしていくかという問題を最後に突きつけられた。逆に青学大も得点力を押さえられた試合では勝てないという内容はこちらも昨年から変わっていない。インカレでは逆ブロックに位置するために再戦が年内にかなうかどうかは分からないが、この両者の特徴ある戦いは来年以降も1部リーグの見所の一つとなっていくに違いない。

091101tokai.jpg最終試合だった両校のインタビューは、表彰式の後になった。青学大が一足先に去り、最後の前村のインタビューが終わるまで、周囲に残っていたのは東海大の4年生たち。その理由は、最後にAチームとスタッフの4年生全員の集合写真を代々木のコートで撮ることだった。普段は退館時間に厳しい学連だが、こればかりは快く許してくれた。4年生は9人。6人の選手のうち、Bチーム上がりは3人と努力家揃いだ。そのほか主務、トレーナー、審判と、それぞれが大好きなバスケットで何かを表現しようと貫いてここまで来た。リーグ戦では課題が浮き彫りになってしまったが、最終試合の特権で得た代々木のコートの上で、彼らの顔は決して暗くなく、最後に正面を向いて輝いていた。

写真下:JBL風のポーズ、と最後に笑いながら立て膝で撮影。



【INTERVIEW】
「40分間の集中力が重要」
青学大スタイルの体現を誓う

◆#4小林高晃(青山学院大・4年・SG・主将)
091101kobayashitakaaki.jpg集中力とボールへの執着心。以前のインタビューでも小林が挙げた課題は今回も上がった。恐らくこれは今シーズンを通しての青学大のテーマとなるだろう。展開の速いトランジションが青学大の武器であることは言うまでもないが、泥臭くルーズボールへのダイブや最後までボールを追う姿勢もまた青学大の武器だった。それがビックセンターを擁した昨年から、小型化を遂げた今年も継続したスタイルとして実現させるためには、より一層の意識の高さが求められる。それが小林の言う集中力とボールへの執着心だろう。復調の兆しは見えつつある。あと1ヶ月、大阪で彼らの目の色はどれほど変わっているだろう。


―リーグ戦を終えていかがですか?
「そうですね。どこが勝ってもおかしくない状況で、僕らは土曜日一発目に負けて、日曜日に勝つっていうのが、4週ありました。リーグはそれで立て直して日曜日に勝てましたけど、インカレは一発勝負。今回のような戦い方をしていては1回戦負けする可能性も高いので、この1ヶ月でどう立て直すかが大事になると思いますね」

―このリーグ戦は何か噛み合わない印象が拭い切れませんでしたが、具体的に何が問題点なのでしょうか?
「んー、やっぱり前半勝っていて、後半逆転されるってパターンが負ける試合全部そうだったので、40分間集中を続けることが欠けていたんじゃないかと思います」

―パスアンドランやディフェンスを頑張って、リバウンドを獲ってブレイクを出すという青学大の形が少なかったように感じますが、その原因も集中力でしょうか?
「そうですね、やっぱりセンターが下級生で弱い部分ではあります。パスランとか言う前にリバウンドを獲らないと、始まりません。そういうところに人数をかけてしっかり獲るところから、僕らの速攻が始まります。その部分が他のチームに比べて足りていないから、速攻とかが出にくかったんだと思いますね」

―その課題点は法政大戦の後もおっしゃっていましたが、その後のチームの課題に対する取り組みはいかがですか?
「メンバーもスタートを替えてみたり色々試してみたんですけど、やっぱり代えてからの期間が足りなかった。いい感じにはなっていると思うんですけど、定着するにはまだ時間が足りないのかなと思いますし。今回は下級生が中心なので、いろいろ試して1ヵ月後にいい状態にもっていきたいと思います」

―キャプテンとして、チームとして思ったように機能しないことに焦りを感じたりしますか?
「まぁ、焦りは…ないこともないですけど、それを言っていても仕方ないですし。それを一つひとつの試合でやらせていくしかありません。やらないなら僕らがやって、それで一つのプレイにはなりますし、全部下級生にやらせるわけじゃないですから。下級生がやれないなら、僕らがやるしかないっていう気にもなります。その中で少しでも成長していってくれれば、今後に繋がるようにはなると思うんですけど」

―今リーグの収穫はなんでしょうか?
「このリーグは入る前から、今年の青学はいつもの青学とスタイルが違うな、みたいなことを言われていたんですけど、リーグが進むにつれて、そのスタイルがスタメンを替えたりして取り戻しつつあります。収穫はあったんじゃないかと思うんですけど、100%取り戻せていないません。とにかく1ヵ月後に向けて、また練習をしていくだけです」

―インカレに向けて最も強化すべき点はなんでしょうか?
「やっぱり40分間の集中力っていうのが重要になってくるかと思うんですけど、4Qの途中まで勝っていて、そこから逆転されるっていうことが多いと思います。その一つのプレイに対する執着心とか、ボールを奪うまで集中し続けるとか、一番最後までの集中力が大事になると思います」

―インカレにはどんな思いがありますか?
「僕ら4年にとって最後の大会ですし、勝ちたいのはもちろんですけど、内容も良くして勝ちたいっていうのがありますね。来年にも繋がる試合をして勝ちたいですね」



「4年生を気持ちよく送り出したい」
王者のプライドを取り戻せるか

◆#16比江島 慎(青山学院大・1年・GF・洛南)
091101hiejima.jpg
今リーグでは4年生のスター選手相手にも引けをとらない活躍を見せた比江島。その抜群の身体能力と精度の高いアウトサイドシュートで、ルーキーながら層の厚い青学大においてもチームの核として、得点、リバウンドと堂々たるプレイで存在感は際だっていた。ただ、今リーグでは比江島の活躍があっても、チームが目指すところに到達できなかったが、復調の兆しは見えている。インカレではリーグ戦2連覇を達成したときのような威厳を示せるか。


―試合を振り返って。
「昨日の試合では少しリードしたところで、逆転負けだったので。2Qに離して、そこから集中を途切らせずに勝てたので、インカレに繋がる戦いができたと思います」

―今リーグではディフェンスでスモールフォワードからパワーフォワードまでマッチアップしましたが、その対応はいかがでしたか?
「そうですね。リバウンドを意識したんですけど、今日とかも全然獲れなかったし。だから身体のフィジカルで押し込まれたっていう部分があったので。4番ポジションはそんなにはできてなかったので、どこのポジションをやれって言われてもできるように。課題はそこだと思います」

―今のチームの課題はなんだと思いますか?
「そうですね、リバウンドが獲れないって言うのが原因だと思うし、リバウンドが獲れなきゃ速攻も出ないし。速攻が出たとしてもミスが多かったり、そういった部分があるんで、制度を高めていかないといけないという事。それとスクリーンアウトとか基礎的なところで、僕たちは小さいので頑張っていかないといけないと思います」

―初めてのリーグ戦で大変な2ヶ月間だったのではないですか?
「そうですね。大変でしたね(笑)」

―初めてのリーグ戦を3位という結果で終えて。
「やっぱりチームとしては3連覇がかかっていたと思うんで。そのプレッシャーの中で試合をしていたんですけど、思ったようにプレイができなくて。自分なりには、まぁ、良かったかなと思います」

―チーム得点王を獲得しましたが。
「それは出場時間も長かったですし、アシストしてもらった形が多いので。そこはあまり気にしていないですね」

―インカレに向けて。
「優勝候補とか言われながら、まだ一冠もできていないので、4年生のためにも最後の最後に優勝して、気持ちよく送り出したいです。自分自身もまだまだ課題もあるんで、インカレにあわせて、その課題をなくして、頑張って優勝したいです」



「悪い東海だとしても、悪い自分たちを認めないと進めない」
見えている課題の答えに、最後まで一直線

◆#17前村雄大(東海大・4年・SG・主将)
1101maemura.jpg思わぬ課題が浮き彫りになったリーグ戦だった。第1週の慶應大戦は、決して悪い出来ではなく、むしろ春の好調さを持続していることを感じさせた。しかし2週目の筑波戦ではらしくないプレーで懸念を抱かせると、3週目の法政大戦で2敗という現実を突きつけられる。その週から、試合後にはともに試合を引っ張る多嶋らとロッカールームで長いミーティングが続くようになり、まるまる一試合分出てこない時もあった。

課題はいろいろとあった。春のような伸びやかで全員がチームに貢献している姿が理想だったが、詰め込みすぎたと言わざるを得ないセットオフェンスに気を取られるあまり、本来の良さが出なくなった。短期間で立て直すには難しく、リーグを戦いながら少しずつ修正する日々が続いた。やりたいようにやれていない、というのは傍目にも分かったが中央大戦にはホームで敗退。それでも続く日大戦や青学戦では再び上向きになろうとしている姿も見えてきた。最後に「ダメな部分も受け止めたい」ときっぱり言い切った前村。現実を直視する勇気があれば、再び上昇はできる。どのチームも王者としての決定打を欠いた今リーグ。全てのチームが真の王者に向けて再スタートを切ることになる。“シーガルス”を体現するために、前村もまたここから始まるのだろう。


―思った以上の課題が見えたリーグになったと思います。
「そうですね。結果はこうなりましたが、逆にチームのいいところも悪いところも見えたし、波の激しい中でリーグを通してチームが成長していった部分がたくさん見えました。だからすごくインカレにつながるリーグだったと思います」

―夏の間はこうした問題には全く気づかなかった?
「そうですね。夏は春先からトーナメントまでの間のように時間があった訳ではなかったので。春は基礎も大事にしていて、単純なブレイクの練習やディフェンスの練習をやっていました。選手もやることが明確だったので、すごくやりやすかったと思うんです。そこから夏の合宿に入ってきていろんなことをやりだして、逆に高度なことをいっぱいやりすぎたのかなと。だからあれもこれもやろうとしてどれが東海の武器なんだという風になってしまって、法政戦では足が止まってどんよりとしたゲームになってしまいました。でもそこが終わってからかな、うちがすごく良くなってきていると思えました。トーナメントのビデオを見て、『こういうゲームをしたいね』とか話して、陸さんと森先生もそういう風に言ってくれた。だから守ってブレイク、という練習をしていったのでそれがゲームで出てきました。ただ、まだそこの精度がないのが課題なんですけど、チームも守って走るバスケットを武器にしていこうと確認したので、あとは精度を高めるだけですね」

―青学戦で言うと、前村選手と多嶋選手がいる間はいいんですが第1戦では森田選手(#4)が1人ということもありましたよね。そういう場合は走る方向ではない?
「そういう場合はどっちかというとハーフコートでではピック&ロールが基本です。森田は1人で崩せるパスを出せるので多分そういった形が理想だし、もし森田と自分が出ればつないで走ってという、両方をできると思います」

―ここ数年のリーグ戦での東海大はケガ人もいたりして、やばいな、という状況からスタートしてそれでも最後はいい方向に行く、という形が多かったと思うんです。それが今回はどちらかというと逆でした。
「そうですね。だんだんチームが重たくなっていくのは感じていました。でも今はすごく前が見えていてはっきりしているなと感じます。ダメだったところもいっぱいあるんですけど、でも今からやることは決まっているし、オフが明けて次に集まったときの練習はみんな本当に楽しみだと思うんです。陸さんも気合いが入っているので」

―結果的に5位でしたが、このリーグを通して感じたのはどのチームにもいいところとダメなところがあって、順位に関係なくどこも微妙な差しかない。そういう意味でインカレに向けてはどうでしょうか。
「どこもいい悪いはあって、多分、誰でもいいところばっかり見て練習すると思うんですよ。でもできてないのは事実だからそこをまずは自分たちは認めたい。悪い東海の、自分たちの力っていうのを認めないと前に進めないと思います。『こんなはずじゃなかった』と思うんじゃなくて、今ここができていないというのを認めた上で課題を持って練習しないと、同じことだと思います。だからみんなとそういう話をしながら、やればできるというのは分かっているし、もしまた悪くなったときにどう打開していくかという力を伸ばせば、インカレでも負けないしチャンスがあると思います」


「本当にこの足りない部分を練習していくだけ」
ポジティブ思考でチームを勝たせるのがエースシューターの使命

◆#24古川孝敏(東海大・4年・F)
091101furukawa.jpg古川は悪い部分を簡単には認めない。もちろん、それは悪さを否定している訳ではなく、あくまで第三者には黙して語らないという意味だ。昨年までシュートの調子が悪かったときも、このリーグでチームが悪くなっていったときも同じだった。

シューターというのは非常に繊細な生き物であって、シュートは水ものとよく言われるように、アウトサイドシュートほどバスケットにおいて不確定な要素はない。だからこそ、シューターは常に前を見てポジティブであることが何よりも重要と言える。彼が「気にしない」「問題ない」「練習するだけ」と言い続けることはシューターの一つのありようとしては必要なことだ。悪さを受け止め、チームをまとめてエースにボールを回すのが主将である前村の仕事なら、エースである古川の仕事は最後に回ってきたボールをネットに入れ続けることなのだ。

練習熱心で努力家なことはもちろん、彼は1年生のときから東海大の得点源としてここまでチームの主力であり象徴的存在だった。求められることと表現すべきことは分かっている。チームに託されたボールがネットに入るか、入らないか。それが続くインカレで彼の4年間を示す全ての答えだ。


―リーグ戦は5位という結果になりました。この結果をどう受け止めていますか?
「優勝を目指してやって来ていたので、満足の行く結果ではないです。でも、ここまでの力しかなかったということですね。これはこれでしっかりと受け止めて、インカレへと繋げたいと思います」

―このリーグ戦は序盤から、トーナメントで優勝した慶應大との試合があってなかなか難しいリーグ戦となったのではと感じたのですがいかがでしたか?
「そうですね。ただ、やることはかわらないから、それをやっていかなければならなかったのですが、チームとして崩れてしまいました」

―その、”崩れてしまった”から立て直すまでにちょっと時間がかかってしまったのかなという印象を受けました。
「うーん。いい意味でも悪い意味でも荒削りな部分が、仇となってやられてしまう部分がありました。いい部分はもちろん、伸ばして生きたいですが、課題は訂正していかなければいけないなと感じています。本当にこの足りない部分を練習していくだけですね」

―リーグ戦を通しての収穫は?
「自分達はディフェンスチームなので、相手に点を取らせたくない。だから、どういう戦い方をすればいいのかというのはある程度明確になったのではないかなと感じています。ここは全体的にさらにレベルアップして、1ヵ月後のインカレに備えたいです」

―古川選手ご自身の調子はいかがでしたか?
「良かったり、悪かったりという感じですね。波はあったんですが、その中でも自分がどうしていかなければならないのかを考えてプレーすることができました。考えていく中で、課題も見つかったし、いいときは何がいいのかということも自分の中ではわかってきたので、そういう意味ではこの7週間はいい期間になりました」

―1ヵ月後のインカレへ向けて一言お願いします。
「狙うのは優勝だけです。1ヶ月で今以上にレベルアップしてインカレを戦いたいです。頑張ります」



「ベンチから出る選手が考えていてもしょうがない」
控えの思いを背負って攻めたピュアシューター

◆#27石井講祐(東海大・4年・SG)
091101ishii.jpgBチームから上がってきた3人の4年生のうち、最初に昇格したのが石井だ。2年生の新人戦で古川に次いで勝負強いシュートを決め、優勝に貢献した。その後はバックアップとして出場機会を得るが、シューターがワンポイントで結果を出すのは容易ではない。その難しさを証明するように、その後は数分の出番でなかなか思うような結果が出せない試合もあった。

だが、昨年のインカレでの天理大戦で開花の兆しが見えた。ベスト16敗退となった試合は古川のシュートが決まらず苦境に追い込まれたが、プレッシャーのかかる場面で石井は1本の3Pを含む5点をチームのために獲得する。重苦しい展開の中で決まったシュートは、ふっと胸が軽くなるような美しさだった。

そして今年、石井は短い出場時間でも確実に結果を出していく。ゴール下へのドライブも積極的になり、プレーの幅を広げた。困ったときに頼もしいと思えた今期リーグ戦でのプレーの数々は、彼の4年間の努力を物語る。最後の数分、同じくBチームから上がってきた鮫島や大塚とともにコートに立った姿は感慨深いものがあった。残るインカレ、全員バスケで挑んできた今シーズン、石井を含む全員の頑張りは欠かせないものになるだろう。得た課題についても前村と同じ返答で、チームとしての共通意識の高さを感じさせる。最後のインカレで美しい軌跡を描くシュートが見られるか、楽しみにしたい。


―2ヶ月を終えてどのように感じていますか?
「チームみんながリーグに入る前と思い描いていた結果とは違うと思うんですけど、その中で自分たちの春の試合を見直したりして、どこが良かったのかとか自分たちが目指すスタイルを改めて再認識できてきたので、そこは良かったんじゃないかと思います」

―目指すスタイルというのは?
「ディフェンスから走って速攻というのは、リーグの途中から全然できていませんでした。特に法政大戦あたりはハーフコートの重いバスケットをずっとしていて、なかなかリズムに乗れなくて。あの辺からトーナメントのビデオを見直して、やはり速攻を出さなければダメだということになって、そこでもう一度確認できたので、そこはインカレに向けて良かった部分です」

―リンク栃木ブレックスとのプレシーズンマッチやリーグの初週は本当に良かったのに、それ以降急に悪くなっていきました。自分たちでは感じていましたか?
「自分たちではそんなに感じていませんでした。負けてからですね。春と法政戦を見直すと動きの量も違うし、そこで再認識したという感じです」

―そういった中で控えから出るのは難しい中で、結構3Pを決める場面も目立っていました。どういう意識でいましたか?
「練習からスタメン組と2番手組に分かれてやっているんですけど、鮫島(#45副将)ともよく話すんですが、『ベンチから出ていく選手が考えながらやっていてもしょうがないから、俺らが2人出たときは思い切ってやろう』と。いい意味でごちゃごちゃにするぐらいの思い切りでやるべきだと言っていたので、ふっきって毎回コートに入るようにしていました」

―こう言うと失礼だとは思いますが、去年や一昨年は一瞬の出番でシュートを決めるのがすごく難しそうでした。でも今年はそうではなくて決まった瞬間が多かったと思うんです。オフェンスリバウンドにも積極的でしたし。それは何が違うのでしょうか?
「今年始まってからチーム全員で1週間のシューティングのノルマを決めてやっているので、その取り組みがチーム全体として結果につながっていると思います。あとは、精神的にも踏ん切りよく思い切りよくいこうと意識しているのがいい結果につながったと思います」

―でも結果には満足できていないと思いますし、先がありますね。
「本当にインカレまでの練習しかないと思うし、そこでしっかり死にものぐるいでやらないといけないです。最後の集大成として練習からしっかり頑張りたいと思います」

―今日は時間の関係で4年生全員に話を聞けないのですが、石井選手にとって4年の仲間とは?
「4年生全体がまとまりたがりなんです。遊びにしても誰かが何かをしだすと自然にやっていく感じでつながりが強い。練習中とかも4年生で苦しいときに意思疎通もしやすいし、いい仲間ですね。陸さんもよく“家族”だって言いますが、本当にそうだと思います」

―試合のことで言うと、今日はすごくディフェンスもいい時間帯はありましたが、青学の良さを出させてしまったところで負けたと思います。インカレまでの残り時間で一番どこを良くすることが大事でしょうか?
「今日は試合前に言っていた、青学の注意すべきところを全てやられてしまいました。相手がやりたいことを押さえて、ちゃんとディフェンスしていれば流れはくると思うんですけど、『相手のシュートが外れて助かった』というような受け身でやっていると流れはこないと思います。どうしても劣勢になってくるとみんな1対1で解決しようとしてしまうんですけど、そこでこそチームで守ってチームでスクリーンをかけあったりして、全員でやっていくようにならないと流れはこないし、チームがバラバラになってしまいます。失敗すると今日みたいにいきなり20点離れたりしてしまう。トーナメントは一発勝負なのでそれをやってしまうと後はない。そこをチーム全員でやるということを、練習でやっていくことが必要かなと思います」



「インカレでまた“楽しかった”と言えるように」
東海大が目指すバスケットの具現化に向けてここからが勝負

◆#5多嶋朝飛(東海大・3年・G)
091101tajimamaemura.jpg前村の頼もしいパートナー。
今シーズンスタメンガードとして存在感を示した多嶋は、リーグでそうした印象がより一層強くなった。西村文男(現日立)という不動の正ガードの影で、昨年まではなかなか出番がもらえなかった。この春からはようやく出場の機会が増えて顔が輝き、バスケットをすることが心底楽しいと全身で表現できていた。だが、その姿が少し曇ったのはリーグでの敗戦からだ。前村と話し込む姿が多くなり、ゲームがスムーズに回らず日大に負けたあとは「自分のリード不足かな」と反省の言葉も出てしまった。

しかし、ずっと下を向いていた訳ではない。「少しずつ良くなってきている」という手応えは確かにある。ゴールが見えているからこそ、どう進めばいいのかも分かる。今あるのは“生みの苦しみ”で、どんなチームや選手でも必ず通る道だろう。ただし、インカレまでの1ヶ月で必ずたどり着けるかどうかと問われたら、それはまだ分からない。けれど多嶋とチームメイト全員がそれを信じていれば、目指すバスケットは必ずたぐり寄せられるはずだ。今年最後の舞台で、東海大は再び花開くだろうか。


―この青学大戦は、1戦目と2戦目とで東海大のプレーにだいぶ幅があったのではないでしょうか。
「今日の試合に関して言えば、青学のやりたいことをやられて、東海のやりたいことをできなかったというところに尽きると思います。昨日のようなゲームができるのも東海だし、今日のようなゲームをしてしまうのも今の僕たちの現状。インカレまでの練習では、苦しい場面を自分たちでいかに打開するかという課題を解決していかないとなと思います」

―「どちらのチームがやりたいことをやるか」はまさに勝敗の分かれ目だと思いますが、東海にとっての“勝ち”に進むポイントは何だと思いますか?
「やっぱりディフェンスです。今日の試合で言えば青学に走られましたし、オフェンスリバウンドも何回も取られてしまったので、どうしても自分たちのリズムにはなりにくかった。そこで、自分たちがいかに仕掛けるか、我慢できるかという部分がまだ足りないのかなと思います」

―その苦しいときに、多嶋選手は手を叩いたり周りに声掛けしたりしていますね。
「ガードで出ている以上は、コート上では監督と同じだと思っているので。5人の意識をどこに向けるかがすごく大事になってくると思うので、そこを切らさないようにというのは気をつけてやっています。が、なかなか。いいときはいい方向に持っていけるんですが、悪いときに我慢できないというのが出てしまうので…力不足です」

―“もっとできた”という気持ちが大きいですか?
「そうですね…まず3週目に法政に2連敗したところから、どうしてあんなゲームになってしまったんだろう?みたいな感じで皆で話し合いました。それで、ここからは速い展開でどんどんやっていこうと方向を共有して進めていけて、いいプレーも出てはいたんですが、詰めの部分で甘いところがたくさんありました。それも皆と話し合ったんですが、とにかくインカレまでもう1ヶ月しかないですし、試合では練習でやったことしか出せないので、しっかりやっていくしかないです」

―春のトーナメントのときは、もう少し方向がはっきりしていたように思うのですが。
「トーナメントのときは、大会前に新しい練習をやっていて、それを完璧にやってきたのでそれを出すだけだというのが共通意識だったんです。それに対して、リーグを迎えるにあたっては、その意識のところでちょっとあいまいな部分が皆にあったのかなと。それで、特に法政戦で見られたと思うのですが、チームとして合っていないときに、どうしてだろう?みたいな、どうしようどうしようという感じになってしまって、止まってしまうという状態につながってしまったと思います」

―そこで多嶋選手としてはどう対応していきましたか?
「どちらかというと僕自身が考え過ぎちゃったなという部分がありますね。うまくいかないときにどうするかって。それで皆まで止まってしまうという場面があったので、ガードである僕が動かしていくとか、動いていくとかやっていかないといけなかったです。チームがうまくいかないのはなんでだろうな、みたいな思いがあったんですよ。でも森先生(森億コーチ)にもよく“ゲームになったらやるだけだ”と、“体を動かしさえすれば、練習はやってきているんだからあとは勝手に動いてくれる”と言われて。それでリーグ終盤にかけてはだいぶよくなってきたと思うんですが、そこの部分がまだまだでした」

―その考え過ぎるというのは、選択肢がたくさんあるからこそくる悩みですよね。
「そうですね、皆が色々なことをできるので、よくないことなんですが、ついお互いを見てしまうのがまだあったリーグでした。よくはなってきているんです。だけどまだ完成型ではないので、インカレにむけて仕上げます。まず考えるんじゃなくて体を動かして、そこでそれぞれが状況判断して動くという練習はしてきたので、その精度を高めていくことが大事かなと思います」

―3年目で初めてメインのメンバーとなってリーグを戦ったのはいかがでしたか。発見などありましたか?
「今シーズン初めて、こうしてずっと出させてもらったんですが、1週間ごとに違う相手と戦うというのが、戦っているときに出てくるチームや個人の課題を試合間の3回くらいの練習で対応していくというのがすごく難しいと感じました。2ヶ月もある中で、東海というチームとしての皆の気持ちをどう切らさずやっていくかもすごく難しいですし…それを勉強できたので、本当にいい経験ができたと思います」

―気持ちの面ではどうでしたか?3年生としてどうチームに関わっていきましたか。
「まず土台として4年生がいて、1・2年はもり上げて、そして3年は4年生のサポート役という感じでチームが成り立っていると思います。例えばチームの流れがよくないときは、僕と天翼(#7遥、3年)とで声を掛けるようにしたり。天翼も最近声を出してくれるようになったんですよ」

―外から見ていてなのですが、そこでガツッと言える存在がいれば、さらにそれが4年生であればまた違うのかなと感じます。
「確かにガツンと言う人は4年生にはいないかもしれません。でもその分、満原(#0)が練習中に結構言ってくれたり、自分もガードなので言うところは言うようにしていかないとと感じています。極端な例を言うと、中央みたいに(#4小野)龍猛さんがドン!といてくれると、下級生は言われたことをやりやすいのかなとも思いますが、陸さん(陸川監督)が掲げる東海というのは皆で、学年も関係なくやっていくチームなので。そこは僕も言えるときは言うし、4年生に言ってもらったりしています。僕が言ってもいいんですが、チームとして締まるにはやっぱり4年生が言った方がいいなと思うときは、鮫島さん(#45)とか雄大さん(#17前村)とかに頼んで言ってもらうときはありますね」

―そうだったんですね。では、インカレまでの1ヶ月は、どのように持っていきますか?
「リーグの後半戦から、形はだいぶ見えてきているんですよ。きっと皆も。お互いの合わせにしても本当に少しのずれだと思います。ただ、そのフィニッシュだとか詰めが今はまだ甘い。あと3、4週間、そういう部分を徹底的に話してやっていかないとと思います。皆を信頼できるのが東海だと思うので、インカレでまた“楽しかった”と言えるように。そうすれば結果もついてくると思うので、頑張りたいと思います」
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テーマ : バスケットボール(日本) - ジャンル : スポーツ

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