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2009.10.10 (Sat)
【2009リーグ3部】10/10 関東学院大VS立教大 第1戦
リーグ前半戦からギアチェンジの関東学院大が先勝
立教大は2Qについた10点差を詰められず
関東学院大92(18-16,22-16,34-28,18-18)78立教大
両チームとも、リーグ前半戦は決して順調な戦いとは言えなかった。勝ちはおさめているものの、接戦やリードを奪われる場面も幾度となくあった。どちらも、昨シーズンもコートに立ったメンバーが残るとはいえ、下級生が多いゆえの苦しみだった。
その経験が生き、この試合では交代で入ってくるメンバーも含めて下級生の奮闘が光った。では、何が勝負を分けたかというと、関東学院大の1番の武器である“パプのアシストからの3P”が出たことだ。パプ1人なら、チームで守れば怖くない。しかし、そこから展開されても対応できるチームはなかなかない。それを勝負所の4Qで繰り出してくるあたり、スロースターターな印象もある関東学院大がついにギアを入れ替えたと見ていいのではないだろうか。
一方の立教大は敗れはしたが手ごたえもつかんだ模様。その感触が第2戦にどう生きるか。特に、昨シーズンは6週目に関東学院大に2連敗して2部入替戦を逃しただけに、新生チームとしての成長ぶりを見せたい。
写真:チームメートのブザービーターで3Qを終え、「もりあがりが足りない」とばかりに耳に手を当てる関東学院大#1パプ。
ゲームレポートと関東学院大・尾崎選手、立教大・宇野選手のインタビューは「続きを読む」へ。
立教大のエース#5丸本(4年・F)にはディフェンスのよい#16高杉(4年・GF)がマッチアップ、一方の関東学院大#1パプ(3年・C)に立教大は196センチの#19婦川(1年・C・横浜)をあて、周りの4人がすぐヘルプに行けるよう目を配る。立ち上がりから両者引き締まったディフェンスを見せ、開始5分で4-4とロースコア。その後、関東学院大は#32前田(2年・F)の得点で先行するものの、#16高杉、#45尾崎(4年・G)の4年生コンビが相次いで2ファウルとなりベンチに退くピンチに。その間に立教大はフリースローと#19婦川への合わせのプレーで追い上げるが、代わって入った関東学院大#31原田(3年・F)が2連続3Pで突き放す。するとこちらも途中出場の立教大#21小宮山(1年・G・八王子)がバックコートからプレッシャーを掛け、ルーズボールでアンスポーツマンライクファウルを獲得。フリースローとマイボールスローインともきっちり決め、結局18-16と互角の展開で1Qを終えた。
2Qに入ってもどちらもなかなか思うように攻められないが、関東学院大は得点力のある#32前田にボールを集めるとそれに応え、25-16まで差を開く。2Q開始から3分半無得点の立教大はたまらずタイムアウト。するとこの直後に得点が動き、建て直しに成功する。#15宇野(3年・C)や#13菊地(3年・F)の3Pなどアウトサイドシュートで詰め寄り、守っては関東学院大#1パプに寄ってスティールしてみせる。しかしパプはそれを上回る身のこなしでゴール下をねじこみ逆転は許さない。前半残り1分はパプのバスケットカウントにブロックショットにの活躍で関東学院大が40-32とリードを守った。
3Qは前半の重い展開から一転、両チーム3Pを決め合う。その均衡が崩れたのは残り6分。立教大がターンオーバーからアンスポをコールされると、関東学院大はこの機に#32前田がフリースロー、スローインとも決め55-40までリードを広げる。このまま関東学院大がペースを握ってもおかしくなかったが、ここで気を吐いたのは立教大#15宇野。インサイドプレーヤーながら3P4本を次々に沈める活躍でガッツポーズが飛び出す。しかし関東学院大もマッチアップの#32前田が黙ってはおらず、ドライブや3Pを決め返す。立教大は#5丸本が続けば、関東学院大も#1パプが2本のダンクで援護。宇野の3Pの分だけ点差が詰まり、11点差で終えるかと思われた残り12秒、立教大は24秒クロックのカウントダウンをゲームクロックのものと取り違えてしまう。4秒を残してボールは関東学院大#32前田へ。前田はこれを3Pで沈め、大きなアドバンテージをもたらして最終Qにつなげた。
4Q、立教大は#21小宮山がスティールから#15宇野の速攻につなげたり、ファウルトラブルの#13菊地に代わった#20菅原(1年・G・明成)が1on1を決めたりとルーキーが活躍する。しかし関東学院大も#1パプのアシストから#28河野(2年・G)、#31原田(3年・F)が3Pと本領を発揮。残り5分半、立教大はこの状況を打開すべくオフェンス力の高い#13菊地をコートへ戻すが、関東学院大#1パプがディフェンスリバウンドをきっちりキープし反撃の芽を摘んでいく。残り3分半、87-74で立教大はタイムアウト。直後のスローインで5秒オーバーを奪うなど奮闘するが、シュートが惜しくも外れる場面が続き、流れをつかみきれない。対する関東学院大はゲームコントロールに長ける#45尾崎をコートに戻すと、ゆっくりと時間を使う。終盤のシュート率は決してよいとは言えなかったが、パプのリバウンドでリードを保った。最後は3Qに続いて#32前田の3Pシュートでしめくくり、92-78で上位対決6連戦の初戦を飾った。
【INTERVIEW】
「パプ以外で点を取れれば負ける部分はない」
自信を持って激闘に臨む自然体の司令塔
◆#45尾崎慎吾(関東学院大・4年・G)
いつも笑顔で、そのペースに周囲をいつの間にか巻き込んでしまう魅力的なキャラクターは、確かな技術とゲームを読む判断力からくる余裕に裏打ちされている。その証拠に、下級生時から司令塔を担い、決めるところはきっちり決めてきた。
あっという間に最上級生になった今年、高杉とともに大きな存在感でチームを支えている。それでも、本人は「年上だから自然とそうなっているだけ」と笑う。
その笑顔が、昨シーズン唯一出なかった試合がある。代々木第2体育館で行われた2部との入替戦だ。あのコートには、笑顔の者にしか連れ帰ることのできないものが置いてある。その忘れものを、今年こそ取って来られるだろうか。
―今日は開始早々に4年生2人がファウルトラブルでベンチに退きましたが、崩れませんでしたね。
「それはもう、ベンチスタートのメンバーも練習でしっかりやってくれているので、何の問題もなかったです。僕たちがファールしたからといってチームの流れが悪くなることはないですし、ベンチから出る原田(#31)であっても河野(#28)であってもやっていることは一緒なので、特に何とも思わなかったですね」
―2Q以降も長くベンチメンバーを起用したのは、来シーズンを意識した部分もあるのでしょうか?
「そういうわけではないです。ただ4年生が2人しかいなくて、その次に出てくるのが下級生なだけで。要するに下級生が多い、若いチームなだけなんです」
―その下級生の#32前田選手が多くシュートを打っていましたが、彼にボールを集める戦略だったのでしょうか?
「そうですね、うちにはパプ(#1)という絶対的なエースがいて、パプにマークが集中する分、前田をはじめシュート力のある原田や(#16)高杉らに打たせることができれば、うちは皆点を取れるので、それを意識して攻めました」
―立教大をはじめ、相手からするとそれをやられると辛いかと思います。
「確かに、守りにくそうにしているなと感じていました。試合展開としては、今日のような感じになると思っていたんですよ。8試合を終えて、パプもだいぶ研究されているでしょうから、僕たちも“パプ対策をされたらこういうことをやろう”というのはちゃんと話し合っていました。今日はそれが出てよかったです」
―ということは、点差以上に関東学院大のゲームだったということでしょうか?
「うーん、でも自己採点としてはあまりよくないです。一気に10点以上離したあと、また1桁差まで持ち込まれてしまいましたよね?ああいう場面で集中力が切れるあたり、まだまだうちのゲーム展開とは言えないと思います。試合をやっている中で、インサイドはもちろん、アウトサイドも相手のシュートが入っていましたがうちも同じくらい決めていたと考えたら、負ける部分はないと実感しました。それで点差が縮まるというのは自分たちの集中力の問題だと思うんです。今週以降、相手のランキングが上がっていくのにそれではだめだなと思いますし、目下の課題です」
―“負ける部分はない”というプレー面での自信は、今年から堀コーチがチームを見てくれるようになったことも関係していますか?
「堀さんはバスケットのことを本当によく知っていて、新しいことをいっぱい教えてくれますし、さすがJBLでプレーされていただけあっておもしろいです。何より、“パプ、パプ、パプ”となってしまっていたところを、堀さんが来て下さったことによってパプ以外のところもしっかりできるようになりました。パプに頼らなくてもバスケットができている。イコール、まだ成長している途中ですが、チームとしてどんどん強くなっていると感じます」
―まさにそれが今日の試合でも出たということでしょうか。
「はい。パプに頼らなくても点が取れる展開ができているときには、自分で言うのもなんですが強いですよね。パプが点を取らなくてもどんどん点差が開いていくということですから、パプはディフェンスだけ集中すればいいということになります。それが1番出たのが2週目の国際武道大戦です。パプは6点くらいしか取っていなくて、あとは周りで取っていったのですが、そういう試合はコントロールしていても本当に楽だなと思います」
―話を聞くと死角がないように感じるのですが…最終的な目標はどこに置いていますか?
「2部との順位決定戦ももちろんですが、まず全勝してそこに行くというのが今の目標です。リーグ戦もあと少しですが、全部勝つ気持ちでやっていますよ。怪我人もいないですし、調子の波はあっても皆それなりに出来ていますから、問題ないと思います。…と、断言はできないんですが(笑)。バスケットは何が起こるかわからないので」
―その後、去年の“忘れもの”を取りに行くわけですね。
「そうですね。それを取りに帰らないと。それで少しでも順位を上げて終わりたいです。そのためには、4年は2人しかいないですが“僕らが2部にあげる”という気持ちにならないと、それだけの責任を持たないとダメかなと思います。2部に行ってからも頑張れよって後輩達に託せるように、今期いい形で終わりたいなと思います」
―尾崎選手としては、関東学院大の一員としてのリーグはあと5試合ですが、どのような5試合にしたいですか?
「学生でバスケットをするのも本当に最後でしょうから…悔いのないように。1戦1戦、自分としては今も頑張っているつもりですが、それで最後に“やっていてよかったな”と思えるような4年間にしたいです」
「3年生はチームで1番多くのことを考えないといけない」
チームの成長に直結する次代エースの成熟
◆#15宇野善昭(立教大・3年・C)
ルーキーシーズンからコートに立ってきた実力者だ。インサイドプレーヤーとしてリバウンドやディフェンスでの責任を果たすだけでなく、インサイドプレーヤーの枠を超えて速攻や3Pでチームに貢献してきた。
3年生となった今シーズンも、プレーの安定感は変わらない。だが、一味違う。
言葉の1つ1つに重みが出た。それは日々、チームのことを考えるからこそだ。
そういう選手のプレーは、試合の雰囲気を変えていく。特にこの日の3Q、ビハインドにもひるむことなくシュートを放ち、それを決めていった姿は得点以上にチームメートに勇気を与えたことだろう。
そして、そういう選手の成長は、チームのステップアップに直結する。
チームに力を与え、強くすることのできる選手のことを、エースと言う。
宇野は真のエースになれるか。素養は十分だ。
―今週から上位チーム同士の6連戦がはじまりました。その初戦を勝ちたかったのではないですか?
「上位と言うか…今シーズンはランキング下位チームとの対戦から始まりましたが、うちは開幕戦を落としてしまって、もうそのときから皆”まずいな”という危機感を持っていましたし、勝たなければいけないという意識が強かったです。リーグは全部落とせないですし、どの試合も同じ気持ちで勝ちたいと思ってやっています。なので、特に関東学院だから、上位チームだからというのはあまり意識しなかったですね。ただ、リーグの初めからチームを作ってきて、だいぶ完成が近づいているように見えていたので、それで負けたというのは…やっぱり悔しいです」
―“完成が近づいている”と思えたきっかけやターニングポイントはあったのですか?
「外から観ていらっしゃる方にはそれほどわからないかもしれないですが、チームとしてまとまってきています。この選手がここで打って、そこでリバウンドに入って、ディフェンスしてという、バスケットの基本的な形ではあるんですが、それがうちのチームの形として見えてきていました」
―その中で、今日の試合はルーキーの#19婦川選手がスタメンでしたが、これはパプ選手対策だったのでしょうか?
「いえ、他にもスタメンだった試合がありましたし、特にパプをそこまで意識して彼をスタメンにしたわけではないです。それよりも、今、4年生も出てくれてはいるんですが、交代はほぼ1年生という若いチームなので、立教大バスケットボール部全体を考えると来年再来年のチームを見据えて1年生も育てないといけません。そのためには、4年生がいてくれるときに1年生を出してあげるのが大事かなと思います」
―宇野選手だけでなく、#13菊地選手ら周りが常にヘルプに目を配っていたのは、“育てる”という意識もあったのでしょうか。
「あと、それ以上に、各チームそれぞれの特色がある中で、関東学院だとうちのチームのちょっと弱い部分―センターなんですが、と相手のいい部分とが重なっているので、そこは皆で意識していました。それで皆ヘルプに寄っていましたし、そのリバウンドも頑張ってくれました」
―そうしてディフェンスはチームでできていただけに、2Q頭に得点が止まったときについた10点差が最後まで響いたのが悔やまれますね。
「理想の形としては、相手のインサイドに絶対的な得点源がいるので、最後にそこで攻められても踏ん張れるように、ハーフで20点差をつけたかったんです。もちろん、それは簡単なことではないのもわかっていましたが。ただ、実際は10点ビハインドではあったのですが、失礼ながら今年の関学は去年ほどのインパクトはないなと感じました。それは皆にも伝えていましたし、今日の内容なら10点差でもまだ可能性はあると思って頑張っていったんですが…ちょっと及ばなかったです」
―去年は“完敗”という感じだったのでしょうか?
「去年はうちとしても、チームができあがっていないだとか、浮き足立っているだとかが全くなく、チームとして完成した状態での20点差だったので、ちょっと何ともしがたいなという感じでした。でも今年は1年生も多く試合に出ていてもこの試合展開で、最後も20点は開かなかったので、そういう意味では明日の2戦目への希望はつなげたかなと思います」
―宇野選手自身としても、3Qに3Pを次々に決めるなど、手ごたえがあったのではないでしょうか。
「後半は、10点ビハインドが付いた時点で切り替えて頑張るしかなかったので。それで結果として点を決めたのは僕だったんですが、それにはその前の頑張ったディフェンスがあって、リバウンドを取ってくれたやつがいて、パスをしてくれたやつがいて、最後のフィニッシュが僕だったというだけです。あの追い上げは、僕の感覚としては“立教が関東学院を追い上げた”という感じで、“僕が”という感じではないですね」
―やはり上級生になったことで、そういうチーム全体のことを考えるようになったのでしょうか?
「僕の考えとしては、1年生から4年生までの中で、3年生という学年は1番多くのことを考えないといけない学年だと思うんです。1・2年生は自由にやってくれればいい。自分のこと、来年のことを考えてのびのびやってくれていいと思います。4年生も4年生で最後なので、やっぱり自分のことを考えてもらえればいい。と言っても実際は4年生は僕たち下級生のことを考えてくれているんですが。それに対して3年生は、まず今までやらせてもらったように1・2年生には自由にやらせてあげたいと思いますし、もちろん来年自分たちの代につなげるようにというのも考えないといけません。そして何より4年生に、今までお世話になった分どれだけいい形で終わってもらえるかというのも考えます。そうして全ての学年のことを考えていかないといけないのが3年生だと思います。だから3年生がしっかりしているチームは強いと思うんですよ。そういう意味で今日踏ん張りきれなかったのは、申し訳ないなと思います」
―気持ちの面ではもう明日に向けて準備が出来ていますね。さて、ではプレーの面では明日の2戦目に向けどのように修正しますか?
「もうここまで来たら、特にどうしようこうしようというのはないです。今日は大事なところで相手にスリーをやられたりだとか、本当にもうちょっとのところで歯車がうちに向いてくれなかったのが悔やまれるんですが、地力に大差はないので。今日のようなプレーをして、勝つだけです」
立教大は2Qについた10点差を詰められず
関東学院大92(18-16,22-16,34-28,18-18)78立教大

その経験が生き、この試合では交代で入ってくるメンバーも含めて下級生の奮闘が光った。では、何が勝負を分けたかというと、関東学院大の1番の武器である“パプのアシストからの3P”が出たことだ。パプ1人なら、チームで守れば怖くない。しかし、そこから展開されても対応できるチームはなかなかない。それを勝負所の4Qで繰り出してくるあたり、スロースターターな印象もある関東学院大がついにギアを入れ替えたと見ていいのではないだろうか。
一方の立教大は敗れはしたが手ごたえもつかんだ模様。その感触が第2戦にどう生きるか。特に、昨シーズンは6週目に関東学院大に2連敗して2部入替戦を逃しただけに、新生チームとしての成長ぶりを見せたい。
写真:チームメートのブザービーターで3Qを終え、「もりあがりが足りない」とばかりに耳に手を当てる関東学院大#1パプ。
ゲームレポートと関東学院大・尾崎選手、立教大・宇野選手のインタビューは「続きを読む」へ。
[続きを読む]
【GAME REPORT】
2Qに入ってもどちらもなかなか思うように攻められないが、関東学院大は得点力のある#32前田にボールを集めるとそれに応え、25-16まで差を開く。2Q開始から3分半無得点の立教大はたまらずタイムアウト。するとこの直後に得点が動き、建て直しに成功する。#15宇野(3年・C)や#13菊地(3年・F)の3Pなどアウトサイドシュートで詰め寄り、守っては関東学院大#1パプに寄ってスティールしてみせる。しかしパプはそれを上回る身のこなしでゴール下をねじこみ逆転は許さない。前半残り1分はパプのバスケットカウントにブロックショットにの活躍で関東学院大が40-32とリードを守った。

4Q、立教大は#21小宮山がスティールから#15宇野の速攻につなげたり、ファウルトラブルの#13菊地に代わった#20菅原(1年・G・明成)が1on1を決めたりとルーキーが活躍する。しかし関東学院大も#1パプのアシストから#28河野(2年・G)、#31原田(3年・F)が3Pと本領を発揮。残り5分半、立教大はこの状況を打開すべくオフェンス力の高い#13菊地をコートへ戻すが、関東学院大#1パプがディフェンスリバウンドをきっちりキープし反撃の芽を摘んでいく。残り3分半、87-74で立教大はタイムアウト。直後のスローインで5秒オーバーを奪うなど奮闘するが、シュートが惜しくも外れる場面が続き、流れをつかみきれない。対する関東学院大はゲームコントロールに長ける#45尾崎をコートに戻すと、ゆっくりと時間を使う。終盤のシュート率は決してよいとは言えなかったが、パプのリバウンドでリードを保った。最後は3Qに続いて#32前田の3Pシュートでしめくくり、92-78で上位対決6連戦の初戦を飾った。
【INTERVIEW】
「パプ以外で点を取れれば負ける部分はない」
自信を持って激闘に臨む自然体の司令塔
◆#45尾崎慎吾(関東学院大・4年・G)

あっという間に最上級生になった今年、高杉とともに大きな存在感でチームを支えている。それでも、本人は「年上だから自然とそうなっているだけ」と笑う。
その笑顔が、昨シーズン唯一出なかった試合がある。代々木第2体育館で行われた2部との入替戦だ。あのコートには、笑顔の者にしか連れ帰ることのできないものが置いてある。その忘れものを、今年こそ取って来られるだろうか。
―今日は開始早々に4年生2人がファウルトラブルでベンチに退きましたが、崩れませんでしたね。
「それはもう、ベンチスタートのメンバーも練習でしっかりやってくれているので、何の問題もなかったです。僕たちがファールしたからといってチームの流れが悪くなることはないですし、ベンチから出る原田(#31)であっても河野(#28)であってもやっていることは一緒なので、特に何とも思わなかったですね」
―2Q以降も長くベンチメンバーを起用したのは、来シーズンを意識した部分もあるのでしょうか?
「そういうわけではないです。ただ4年生が2人しかいなくて、その次に出てくるのが下級生なだけで。要するに下級生が多い、若いチームなだけなんです」
―その下級生の#32前田選手が多くシュートを打っていましたが、彼にボールを集める戦略だったのでしょうか?
「そうですね、うちにはパプ(#1)という絶対的なエースがいて、パプにマークが集中する分、前田をはじめシュート力のある原田や(#16)高杉らに打たせることができれば、うちは皆点を取れるので、それを意識して攻めました」
―立教大をはじめ、相手からするとそれをやられると辛いかと思います。
「確かに、守りにくそうにしているなと感じていました。試合展開としては、今日のような感じになると思っていたんですよ。8試合を終えて、パプもだいぶ研究されているでしょうから、僕たちも“パプ対策をされたらこういうことをやろう”というのはちゃんと話し合っていました。今日はそれが出てよかったです」
―ということは、点差以上に関東学院大のゲームだったということでしょうか?
「うーん、でも自己採点としてはあまりよくないです。一気に10点以上離したあと、また1桁差まで持ち込まれてしまいましたよね?ああいう場面で集中力が切れるあたり、まだまだうちのゲーム展開とは言えないと思います。試合をやっている中で、インサイドはもちろん、アウトサイドも相手のシュートが入っていましたがうちも同じくらい決めていたと考えたら、負ける部分はないと実感しました。それで点差が縮まるというのは自分たちの集中力の問題だと思うんです。今週以降、相手のランキングが上がっていくのにそれではだめだなと思いますし、目下の課題です」
―“負ける部分はない”というプレー面での自信は、今年から堀コーチがチームを見てくれるようになったことも関係していますか?
「堀さんはバスケットのことを本当によく知っていて、新しいことをいっぱい教えてくれますし、さすがJBLでプレーされていただけあっておもしろいです。何より、“パプ、パプ、パプ”となってしまっていたところを、堀さんが来て下さったことによってパプ以外のところもしっかりできるようになりました。パプに頼らなくてもバスケットができている。イコール、まだ成長している途中ですが、チームとしてどんどん強くなっていると感じます」
―まさにそれが今日の試合でも出たということでしょうか。
「はい。パプに頼らなくても点が取れる展開ができているときには、自分で言うのもなんですが強いですよね。パプが点を取らなくてもどんどん点差が開いていくということですから、パプはディフェンスだけ集中すればいいということになります。それが1番出たのが2週目の国際武道大戦です。パプは6点くらいしか取っていなくて、あとは周りで取っていったのですが、そういう試合はコントロールしていても本当に楽だなと思います」
―話を聞くと死角がないように感じるのですが…最終的な目標はどこに置いていますか?
「2部との順位決定戦ももちろんですが、まず全勝してそこに行くというのが今の目標です。リーグ戦もあと少しですが、全部勝つ気持ちでやっていますよ。怪我人もいないですし、調子の波はあっても皆それなりに出来ていますから、問題ないと思います。…と、断言はできないんですが(笑)。バスケットは何が起こるかわからないので」
―その後、去年の“忘れもの”を取りに行くわけですね。
「そうですね。それを取りに帰らないと。それで少しでも順位を上げて終わりたいです。そのためには、4年は2人しかいないですが“僕らが2部にあげる”という気持ちにならないと、それだけの責任を持たないとダメかなと思います。2部に行ってからも頑張れよって後輩達に託せるように、今期いい形で終わりたいなと思います」
―尾崎選手としては、関東学院大の一員としてのリーグはあと5試合ですが、どのような5試合にしたいですか?
「学生でバスケットをするのも本当に最後でしょうから…悔いのないように。1戦1戦、自分としては今も頑張っているつもりですが、それで最後に“やっていてよかったな”と思えるような4年間にしたいです」
「3年生はチームで1番多くのことを考えないといけない」
チームの成長に直結する次代エースの成熟
◆#15宇野善昭(立教大・3年・C)

3年生となった今シーズンも、プレーの安定感は変わらない。だが、一味違う。
言葉の1つ1つに重みが出た。それは日々、チームのことを考えるからこそだ。
そういう選手のプレーは、試合の雰囲気を変えていく。特にこの日の3Q、ビハインドにもひるむことなくシュートを放ち、それを決めていった姿は得点以上にチームメートに勇気を与えたことだろう。
そして、そういう選手の成長は、チームのステップアップに直結する。
チームに力を与え、強くすることのできる選手のことを、エースと言う。
宇野は真のエースになれるか。素養は十分だ。
―今週から上位チーム同士の6連戦がはじまりました。その初戦を勝ちたかったのではないですか?
「上位と言うか…今シーズンはランキング下位チームとの対戦から始まりましたが、うちは開幕戦を落としてしまって、もうそのときから皆”まずいな”という危機感を持っていましたし、勝たなければいけないという意識が強かったです。リーグは全部落とせないですし、どの試合も同じ気持ちで勝ちたいと思ってやっています。なので、特に関東学院だから、上位チームだからというのはあまり意識しなかったですね。ただ、リーグの初めからチームを作ってきて、だいぶ完成が近づいているように見えていたので、それで負けたというのは…やっぱり悔しいです」
―“完成が近づいている”と思えたきっかけやターニングポイントはあったのですか?
「外から観ていらっしゃる方にはそれほどわからないかもしれないですが、チームとしてまとまってきています。この選手がここで打って、そこでリバウンドに入って、ディフェンスしてという、バスケットの基本的な形ではあるんですが、それがうちのチームの形として見えてきていました」
―その中で、今日の試合はルーキーの#19婦川選手がスタメンでしたが、これはパプ選手対策だったのでしょうか?
「いえ、他にもスタメンだった試合がありましたし、特にパプをそこまで意識して彼をスタメンにしたわけではないです。それよりも、今、4年生も出てくれてはいるんですが、交代はほぼ1年生という若いチームなので、立教大バスケットボール部全体を考えると来年再来年のチームを見据えて1年生も育てないといけません。そのためには、4年生がいてくれるときに1年生を出してあげるのが大事かなと思います」
―宇野選手だけでなく、#13菊地選手ら周りが常にヘルプに目を配っていたのは、“育てる”という意識もあったのでしょうか。
「あと、それ以上に、各チームそれぞれの特色がある中で、関東学院だとうちのチームのちょっと弱い部分―センターなんですが、と相手のいい部分とが重なっているので、そこは皆で意識していました。それで皆ヘルプに寄っていましたし、そのリバウンドも頑張ってくれました」
―そうしてディフェンスはチームでできていただけに、2Q頭に得点が止まったときについた10点差が最後まで響いたのが悔やまれますね。
「理想の形としては、相手のインサイドに絶対的な得点源がいるので、最後にそこで攻められても踏ん張れるように、ハーフで20点差をつけたかったんです。もちろん、それは簡単なことではないのもわかっていましたが。ただ、実際は10点ビハインドではあったのですが、失礼ながら今年の関学は去年ほどのインパクトはないなと感じました。それは皆にも伝えていましたし、今日の内容なら10点差でもまだ可能性はあると思って頑張っていったんですが…ちょっと及ばなかったです」
―去年は“完敗”という感じだったのでしょうか?
「去年はうちとしても、チームができあがっていないだとか、浮き足立っているだとかが全くなく、チームとして完成した状態での20点差だったので、ちょっと何ともしがたいなという感じでした。でも今年は1年生も多く試合に出ていてもこの試合展開で、最後も20点は開かなかったので、そういう意味では明日の2戦目への希望はつなげたかなと思います」
―宇野選手自身としても、3Qに3Pを次々に決めるなど、手ごたえがあったのではないでしょうか。
「後半は、10点ビハインドが付いた時点で切り替えて頑張るしかなかったので。それで結果として点を決めたのは僕だったんですが、それにはその前の頑張ったディフェンスがあって、リバウンドを取ってくれたやつがいて、パスをしてくれたやつがいて、最後のフィニッシュが僕だったというだけです。あの追い上げは、僕の感覚としては“立教が関東学院を追い上げた”という感じで、“僕が”という感じではないですね」
―やはり上級生になったことで、そういうチーム全体のことを考えるようになったのでしょうか?
「僕の考えとしては、1年生から4年生までの中で、3年生という学年は1番多くのことを考えないといけない学年だと思うんです。1・2年生は自由にやってくれればいい。自分のこと、来年のことを考えてのびのびやってくれていいと思います。4年生も4年生で最後なので、やっぱり自分のことを考えてもらえればいい。と言っても実際は4年生は僕たち下級生のことを考えてくれているんですが。それに対して3年生は、まず今までやらせてもらったように1・2年生には自由にやらせてあげたいと思いますし、もちろん来年自分たちの代につなげるようにというのも考えないといけません。そして何より4年生に、今までお世話になった分どれだけいい形で終わってもらえるかというのも考えます。そうして全ての学年のことを考えていかないといけないのが3年生だと思います。だから3年生がしっかりしているチームは強いと思うんですよ。そういう意味で今日踏ん張りきれなかったのは、申し訳ないなと思います」
―気持ちの面ではもう明日に向けて準備が出来ていますね。さて、ではプレーの面では明日の2戦目に向けどのように修正しますか?
「もうここまで来たら、特にどうしようこうしようというのはないです。今日は大事なところで相手にスリーをやられたりだとか、本当にもうちょっとのところで歯車がうちに向いてくれなかったのが悔やまれるんですが、地力に大差はないので。今日のようなプレーをして、勝つだけです」
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