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第86回全日本大学バスケットボール選手権
筑波大学が3連覇を達成 3連覇以上の達成は1999年の日本体育大以来

2008.12.07 (Sun)

【2008インカレ】決勝 国士舘大VS慶應義塾大

入場規制を出した満員の代々木第二体育館は
慶應大がこの1年の“進化”を見せつけ、栄冠に輝く

国士舘大学73(21-21,20-30,19-24,13-29)104慶應義塾大学
081207YOYOGI.jpg前日の嵐が過ぎ快晴となった最終日、代々木第二体育館は3202人の定員を越えて満員の観客で埋め尽くされた。第二体育館で行われた決勝に入場規制がかかったのは、慶應義塾大と専修大の記憶に残る熱戦があった2004年以来。3位決定戦時には既に観客席は満杯。急遽本部やゴール裏に椅子が並べられたのもまた、2004年と同じだった。

チーム力を磨き上げてきた慶應大か、強豪をことごとく倒してきた国士舘大か。観客の注視が集まる中、試合は国士舘大らしい3Pによる急襲から始まる。しかし、このインカレで内面の充実が見える#7岩下(2年・C)は、準決勝で青学大の#8荒尾(4年・C)を倒した#13馬(2年・C)をゴール下で完全にシャットアウト。エース#9小林(3年・G)はリーグ戦から意識してきたというプレイの幅広さを見せて国士舘大を切り崩す。国士舘大は2Q以降ここまでの快進撃が嘘のように全てがストップ、慶應大の勢いに飲み込まれていく。相手を自分たちのうねりの中に巻き込み、翻弄してきた国士舘大は最後の最後で慶應大の渦に飲み込まれた。
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「あんな試合、100回やったって1回勝てるかどうかも分からない」と、慶應大の選手達に言わせた国士舘大とのリーグ初戦。25秒で7点を戻して延長へ突入し、勝利した奇跡のオーバータイムから3ヶ月、インカレでは慶應大も国士舘大も驚くほど変わっていた。これが学生チームの進化と変貌のすさまじさだ。そして、国士舘大が1歩成長していたとしたら、慶應大はもっと遠く、先へと進んでいた。

優勝の栄冠は慶應大に。
それはもう“奇跡”などではなく、完全で明白な勝利だった。

※試合のレポートと両校記者会見の様子は「続きを読む」へ。
※慶應大、国士舘大のインタビューは別途掲載します。

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【GAME REPORT】
081207MA.jpg慶應大は落ち着いていた。勝因は準決勝の専修大戦と同じといっていいが、そこにさらに付け加えるとすれば、ゲーム中に焦りを見せることはなかった。国士舘大の急襲にも自らのミスにも動じず、対処した。ここまで相手を動揺させ、翻弄してきた国士舘大は最後まで慶應大を慌てさせることはできなかった。

1日空いての決勝戦、「試合前日は勝てるのかなと緊張してました」という#11田上(慶應大・3年・F)を始め、いざその場にたどり着くまでにはさまざまな思いが去来したはずだが、当日アップを行う慶應大の面々の顔はいつも通り。「この大会がバスケ人生最後の大きな試合、持てる力を発揮しようと思っていた」という#4鈴木(4年・F)にも何の気負いも感じられる様子はなかった。

序盤、国士舘大の3Pが当たる。#13馬(2年・C)がバンクショットに始まり、2本の3Pを決めると国士舘大側の声援が爆発。先行リードで勢いに乗る様子を見せる。しかし慶應大にもリーグ初戦で慌てさせられたような姿は見えない。#9小林(3年・F)が#7岩下と#16二ノ宮(2年・G)のアシストを受け2本のシュートを決めて追う形を見せる。しかし開始3分でアウトサイドが続けて外れた#16二ノ宮が#13酒井(2年・F)と交代。その酒井の速攻は#13馬にブロックされるものの、そこで慶應大に焦りはなく落ち着かせた#16二ノ宮をすぐにコートに戻す。最初から当たったせいか、#13馬は中で勝負しようとはせず、フリーを作って外から打ち続ける。そこに#4寺嶋(4年・SF)の3Pも加わり、シュートがネットを通過するたびに満場の観客から歓声が弾ける。慶應大は5分に#7岩下を一度下げるが、交代した#4鈴木(4年・F)がリバウンドからシュートを決め、#11田上のミドルシュートで15-15の同点に追いつくと、#13酒井、#16二ノ宮と3連続得点で4点リード。国士舘大は残り2分で#10吉満(3年・SG)を投入。そこでさらに#13馬が2本の3Pを決める国士舘大。だが慶應大は引き離されず21-21で1Qを終えた。

081207KOBAYASHI1.jpg1Qは#13馬の4本に#4寺嶋の1本、計5本の3Pを決めた国士舘大。2Q開始早々にも#10吉満が1本決めて好調さを持続するように見えた。しかしアウトサイドは華やかだが、#5立花(4年・G)は#16二ノ宮のマークがきつく、中に入っても#7岩下の高さのせいで思い通りに動けない様子が見える。さらに開始2分で#6吉本(4年・PF)が2つ目のファウル。ここまで仕事人としてチームを支えてきたがこの試合ではその働きを見せられない。これで得たフリースローを慶應大が2投決めて26-26の同点に戻した。国士舘大は波に乗れない#5立花を#17三村(1年・SF・東海大菅生)へチェンジ。しかしここが最初の勝負の分かれ目だった。ディフェンスに寄られた三村がダブルドリブル、続く#10吉満のドライブもパスミスにつながってしまう。慶應大は3Pと速攻でたたみかけ、交代した#16冨塚(2年・SF)から得たファウルで#11田上がフリースロー。29-34とリードする。そして「4Qまで続くとは思えない」(慶應大・佐々木HC)という通り、ここで国士舘大のアウトサイドがぴたりと止まった。国士舘大は残り6分の#10吉満の3P以降、残り3分の#4寺嶋のターンシュートまで無得点。この間に慶應大は鮮やかと言っていいほどスムーズに足を使った攻撃で国士舘大ゴールに襲いかかり、最大12点までリードを開いた。国士舘大は中で勝負できず外頼みは変わらず。#10吉満の3Pでなんとか10点差に戻して前半を終えた。

3Qも国士舘大はアウトサイドで攻める。#5立花、#13馬と続き、ようやく#5立花がこの試合で彼らしいドライブからのバスカンを決めると53-57の4点差に詰めた。しかしそれを続けて決めさせるほど慶應大は甘くなく、2度めは高さに阻まれると思わず立花もファウルを犯し、再び流れは慶應大に。#9小林がドリブルで中央突破し、続けて#4鈴木のアシストからシュートを決めて再び点差は10。国士舘大は#4寺嶋がゴール下でフリーであるにもかかわらず、外の立花へパスを出すなど、逆に焦りが見える。#5立花が自由に動けないこと、インサイドで#13馬が勝負できないことの2つのポイントが国士舘大のバスケットを停滞させていく。それはチーム全体に波及し、#14熊谷(3年・SG)は得た3Pのフリースローを全て落とすなど、余裕のなさが浮き彫りに。慶應大は手をゆるめず、#10吉満に対しても#9小林と#13酒井がブロックに飛んで油断のなさを見せて3Qは60-75とリードを広げた。

081207TACHIBANA1.jpgこれまで信じられないような逆転劇を数々見せてきた国士舘大。しかし波乱も、奇跡も最後は起こらなかった。それを起こさせない力と集中力が慶應大にあった。点差の開きが気持ちにもゆるみを持たせた。ディフェンスがゆるんだ国士舘大から慶應大は得点を重ね、4Qでは30点もの差をつける。残り3分半にはこの大会で飛躍的な成長を見せた#7岩下が役目を終えてベンチへ。センターラインで深々と礼をした彼に大きな拍手が浴びせられた。もう慶應大の優勝は揺るぎなかった。応援団は肩を組み、「若き血」が高らかに歌い上げられる。国士舘大は#5立花が最後にペイント内へ切れ込む。これまで何度も何度も逆境の中でチームに活力を与え、観客の目を見張らせてきたその華麗なドライブは、最後の最後にリングにわずかに届かず、こぼれ落ちる。#4寺嶋が必死に飛ぶが、ボールは慶應大へ。「最後は1対1に行って欲しかった。落ちても自分がリバウンドで決めようと思っていた」(#4寺嶋)互いを信頼しあった4年間を感じさせるプレーだった。

ブザーとともに慶應義塾大の優勝が決定し、#4鈴木が両手を突き上げた。国士舘大と最初の戦いはオーバータイムによる逆点、2度目は接戦の末に、そして3度目は完全なる勝利で慶應大が栄冠を手にした。


・慶應義塾大 #9小林29点、#11田上26点、#7岩下27点14リバウンド
       #13酒井12点
・国士舘大  #13馬36点10リバウンド、#5立花13点、#4寺嶋10リバウンド


【慶應大記者会見】
◆佐々木三男HC

「ディフェンスを頑張って、速攻とか速攻めということで、ハーフコートバスケットとフルコートバスケットの違いを明確にしたいと思っておりました。目標の100点は獲れましたので、私としては今日の試合は満足だと思ってます。2004年に勝った時はチームとして出来上がっていた気がするんですが、今回はリーグ戦で明治にやられたときに、チームがグラグラとした。しかしそこから力を出せました。このインカレはまだ進化の途中という気がしていますので、前の時よりまだこれからの伸びしろが残っているかなと思います。これから強化しないといけないのは岩下がトラブッた時に周りの人がどれくらいカバーできるか。岩下のバックアップの育成。リーグ戦も100点を目指して速いバスケットを掲げていましたので、来年は120点を目指していくことになると思います。この辺りが残された伸び代かなと思います」

◆#4鈴木惇志(4年・主将・F)
「この試合はバスケ人生で最後の大きな試合だったかなと。だから今までの持てる力を発揮しようって思っていました。ここまで15年くらいバスケを続けてきた全ての力をここにぶつけたいっていう気持ちで、結果的にこういう形になったのでよかったです。入れ替えに勝ったとき、自分たちは相当力があると実感できました。インカレは自分たちの力を試すいい機会。2部というレベル以上のものを持っていると証明するいい場だったと思っていたので、モチベーションも高く持ってできました」

◆#9小林大祐(3年・G)
「まだ優勝したっていう実感が正直なくて。なんと言うか、このチームでの次のステージが見え始めているのかなって。今年の試合は終わりなんですけど、年明けにオールジャパンがあるので、僕が1年の時に4年生の方々が偉大で、日立超えを達成してくれました。それと同じく僕が引っ張って、可能性がある限り倒したいなって思ってます」

◆#11田上和佳(3年・F)
「春に新しいチームがスタートしてから、全員で走るバスケットとみんなで勝ちに対する意識を共有してきて。それが本当に間違いじゃなかったんだっていう証明になりました」

◆#7岩下達郎(2年・C)
「天理戦でサンバ・ファイとマッチアップしてから、自分の中で少し言葉で言い表せないんですけど、自分の意識が変わって。この本当に試合も楽しめましたし、チームの役割もできたかなと。やっぱりチーム一丸となってできたからこの結果が出たんだと思います」

◆#13酒井祐典(2年・F)
「一回戦からチーム一丸となってやってきて、決勝はやる前から負ける気がしませんでした。それは自分たちのスタイルに自信があったから、それを貫くだけだと思ってたからです。個人的にはちょっと緊張してミスもあったんですけど、やっぱりそこは先輩たちがいたおかげです。頑張ったらいい結果が出ました。オールジャパンは何にも考えていないんですけど、でもせっかく上と対戦できるのでどれだけ自分が通用するか試したいと思います」

◆#16二ノ宮康平(2年・G)
「個人的にはシュートタッチも良くなくて悪かったんですが、それを周りがカバーしてくれました。みんなでディフェンスを頑張って、しっかり走ってくれたんでガードとしてパスを回すことができました。やっぱり個人的に久々の優勝で2連覇、3連覇してみたいっていう気持ちが今すごくあります」

【国士舘大記者会見】
◆小倉一訓監督

―試合を終えて。
「最後まで競ることが出来ると思ったが…。今日は『いつか来る!』と思っていたシュートが1Qに来てしまった。1Qでこっちのオフェンスがガンガン決まって、外からの3Pが何回も決まったことが、間違いのリズムを起こしてしまった。その後も、競っている状態で10点差ならよかったけれど…。そこが勝敗を分けた差だったと感じた。しかし、結果に関しては満足している。とにかく全てが初めてのことだった。今の子たちは4年間で初めてのインカレだったし、決勝に立つということも初めて。くしくも、今年は体育学部ができて50周年、バスケ部が出来て50周年、そして私も50歳(笑)と色々なことが重なった年だった。そんなこともあって色々な人が応援してくれた。結局頂点を取ることはできなかったが、頂点を目指して頑張って来たということに関しては満足している」
 
―試合展開を振り返って。
「吉本(#6)に岩下君(慶應大#7)がついたことで、吉本が本来の働きができなくなってしまったことも大きかった。3Qの立ち上がりに4点差まで詰めたが、そこで岩下君(慶應大#7)にやられてしまった。あとは、20点以上離れてしまったところで、馬(#13)が外に出てしまい、打つべき人ではない人がシュートを打ってしまった。それが焦りに繋がってしまったと思う。慶應さんは試合を通していいところが出た。うちがそれを抑えきれなかった」
 
―これからの課題について。
「一つひとつ積み上げることをプレイヤーとまたやってくこと。一つひとつこなしていくことで、本来の力が出ると思うから」


◆#4寺嶋 徹・#5立花大介・#10吉満俊孝・#13馬隆

-決勝を終えて。
寺嶋「慶應は強かったです。それだけですね」
立花「最後の試合でボロ負けして、悔いも残らない。接戦だったら後悔してるかもしれないけど、今はもう開き直って嬉しいです。うちが準優勝できるなんてもう奇跡ですね!」
吉満「1年前の決勝は自分は見る立場だったので、こうやって試合ができて嬉しかったです。連れてきてくれた4年生にも本当に感謝です」

―1Qでは好調でしたが、2Q以降調子を落としたことについては。
「1Qは調子良かったけど、1Qで疲れちゃった(苦笑)。岩下と1対1で勝負したかったんですけど、させてもらえなかったですね」

―試合後の涙については。
立花「嬉し涙ですかね?こんだけ一緒にやれて、3部から上がってきて、リーグもまあまあ成績残せて、インカレ準優勝で。うれし涙ですね。…ちょっと悔しかった!(笑)」

―寺嶋選手と立花選手は北陸高校時代から7年間一緒ですが、お互いについて。
寺嶋「僕は立花のおかげでうまくなったと正直思います。最初はボロクソ言われましたけど。でもそのおかげで合わせとかパスの感じとかもわかるようになりましたし。高校は入りたてのころはどっから来たんだみたいなパスがボーンとか来るし戸惑ったけど。大学も一緒になって楽しかった。今日の最後はどうしてもこいつに1対1で行って欲しくて。それが入っても落ちてもいいけど、落ちたら俺がリバウンドとって決めようと思ってました。後ろからガンガン、ガンガン行ってくれるのは見ていて楽しいですね」
立花「僕の方が技術は若干上だと思うんですけど(笑)、精神力は全然こいつが。大学1年から3年まで全然真面目じゃなかったんですよ!4年になって真面目になって、まぁよかったですね(笑)。それで俺は頼りにしてますね」

―国士舘大に入った当時について。
寺嶋「入ったときは練習の雰囲気がもう…。思っていたイメージと違いました。言い訳になっちゃいますけど、そのときは僕も子どもだったし、何にもわかってなかったから、逃げ出したり適当にやっていた期間もありました。けど、学年を重ねていくうちに、そういうのが嫌になって。去年くらいから徐々に良くなってきて、それを引き継いでいいチームにしたいなって思って。3部ではありましたけど強いチームを作りたいじゃないですか。そういう意味で練習態度だったりやる時はしっかりして欲しいなって考えるようになりました」

―3部に落ちた時について。
寺嶋「辞めようかなと思いました。でももう一回頑張ろうと。それは1つ上にいい先輩がいてくれたこともあるんですけど、立花が誘ってくれたり、吉満もいたし、馬隆が入ってくるってわかっていたし。だからもう一回いけるんじゃないかって思いました」

―今はどんなチームだと思いますか?
寺嶋「やるときはやるチームだと思います。ダメなときもあるけど」
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テーマ : バスケットボール(日本) - ジャンル : スポーツ

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