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第86回全日本大学バスケットボール選手権
筑波大学が3連覇を達成 3連覇以上の達成は1999年の日本体育大以来

2008.12.05 (Fri)

【2008インカレ】12/5準決勝 専修大VS慶應義塾大

慶應大が高さ、早さで専修大を序盤から圧倒
1年間の集大成を示すべく、2006年以来の決勝へ

専修大学67(20-27,17-25,10-29,20-18)99慶應義塾大学
081205TIP.jpg思った以上に大差がつく準決勝となってしまった。だが、点差がついたから面白い試合ではなかった、と考えるのは短絡的だ。専修大を寄せ付けなかった慶應大の“力”。大学バスケのファンであるならばそこを評価するべきだ。

昨年、リーグ戦で主将・加藤をケガで失い、臨んだ入れ替え戦ではインカレでも3位に入った大東文化大に完敗だった。続くインカレではケガが治っていないどころか、安静が必要な状況だった主将が「治った」と嘘をついてまで練習に参加し、チームに力を与えようとする。しかし日本大に破れてベスト16に終わった。チームは一から2部でやり直すことになり、ここまで来るのに春から段階を踏んで必要十分な力をつけ、決勝の舞台までたどり着いた。どん底からの上昇。これが、慶應大が悪夢の昨シーズンに負ったダメージを乗り越え、苦闘を経て手に入れた“実力”なのだ。

専修大は自らの力をそのまま発揮した慶應大の前に、自慢のリバウンドやオフェンスのパターン、奥の手のディフェンスも機能しなかった。後半にはそれに対抗しようという気持ちさえもコート上では希薄になり敗北を迎えた。

堂々と決勝進出となった慶應大。相手は待ち望んでいた青学大ではなく、2部で旋風を巻き起こした国士舘大。今期、見ておくに値する2チームの対戦が、インカレ決勝という最高の舞台で実現することとなった。

※試合のレポートと慶應大・鈴木惇志選手、小林選手、専修大と慶應大の記者会見の様子、試合の写真は「続きを読む」へ。

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【GAME REPORT】
081205SUZUKI.jpg#7岩下(2年・C)の高さ、トランジションの早さ、シュートの正確さ。これが慶應大の勝因だ。
開始早々慶應大#4鈴木惇志(4年・主将・F)が#22鈴木正晃(4年・G)にファウル。フリースローを与えてしまうがこれは計算のうち。#4鈴木惇志にしてみれば専修大オフェンスの起点となる#22鈴木正晃に、早い段階でディフェンスの当たりが来る印象を植え付けておきたかった。「乗らせたらまずいと肌で感じたので、指示はなかったけれど上から当たるように意識的にやりました」と、先に心理戦を仕掛けたというべきだろう。結果的にこの試合、#22鈴木正晃はアベレージ0で終わることになる。そして続く攻撃で#9小林(3年・G)が3Pのバスカンを獲得。4点プレーでチームを乗せると#16二ノ宮(2年・G)が3P、さらに#4鈴木惇志のカットから#16二ノ宮の速攻につなげた。専修大は#11藤井(3年・G)の3Pに#28能登(4年・F)のフックなどでついてゆくが、慶應大はシュート後のリスタートでもロングパスで#9小林の速攻につなげるなど、トランジションはこれまでにないほど早い。さらには#7岩下がブロックし、ルーズボールの球際にも早く反応すると、足を使った攻撃を繰り出して加点していく。専修大はインサイドに205cmの#7岩下がいることでペイントにドライブをかけられない。機動力のあるガードが仕掛けてさばくというリーグ戦では通用したパターンが、これでは出せないのだ。流れを変えたい専修大は1Q後半に#0堤(4年・主将・G)を投入。鈴木正晃との2ガードとするが、流れは好転せず#15増川(4年・F)が連続ファウル。打つ手がない専修大は残り2分に、ここぞという時で使ってきたゾーンに切り替える。すると慶應大の得点がストップ。専修大は#10飯田(4年・F)と#15増川のシュートが続き最大13点まで開いた差を7点に戻して20-27で1Qを終えた。

081205IWASHITA.jpg2Qも専修大はゾーン。しかし#7岩下がバスカンを獲得。仕事人#15増川を3ファウルに追い込むことに成功する。専修大はゴール下で得点できない分、#28能登はミドルシュート中心。しかし#9小林の好ディフェンスにあおられ、3秒オーバーを犯すシーンもある。慶應大は得点の伸びこそ鈍くなるが、それでも#9小林がドリブルで中央突破し、レイアップ。ルーズボールも全員が機敏に反応し、#16二ノ宮から#13酒井(2年・F)につなげるなど専修大のゾーンをものともしない。ここまでシュートが悪かった#9小林もこの日は絶好調で、攻守に崩れのない慶應大がそのまま専修大を引き離し、結局前半は37-50と慶應大がリードを広げて終える格好となった。

ここまでの戦い、前半はリードを許しても3Qで確実に逆転してきた専修大。立ち上がりは#15増川がポストで押し込みながらフックを決めるが、#9小林に3Pを決め返されて勢いをつけられない。自慢のリバウンドではボールを奪えても、シュートが入らずターンオーバーで得点はどんどんと開き、追い上げるには苦しいほどの点差となってしまった。余裕の出た慶應大は残り4分で#6青砥(4年・F)をコートへ。その青砥は3Q終了ブザーと同時にシュートを決め、ベンチと応援団に大歓声を浴びた。081205SENSHU.jpg試合は4Qもそのまま慶應大が控えも出場させて余裕の戦いとなった。慣れないメンバーにミスが続いたが「特に問題はない。しっかり走りきることをやればいいと思った」(#4鈴木惇志)と、やるべきことをやれれば大丈夫と準決勝の舞台でプレーをしっかりさせてやりたい気持ちがあった。専修大は最後のタイムアウトのあと、中原監督が4年生に声をかけ、コートに送り出した。既に悟った選手たちには、笑みが浮かんでいる。専修大は最後まで専修大だった。そしてタイムアップの時間を迎え、慶應大が2年ぶりに決勝の舞台へと進むことになった。

・慶應義塾大 #9小林30点、#13酒井17点、#7岩下14点12リバウンド
       #11田上10点、#16二ノ宮13点13アシスト
・専修大   #15増川22点、#10飯田15点、#28能登15点


【慶應大記者会見】
◆佐々木三男HC

「キャプテンの鈴木が今年の春、準決勝までいったのに法政大に負けたということを昨日から言っていた。私が言わなくてもやってくれた。それが良かった。岩下は、昨年から韓国の延世大との交流をさせてもらっているが、韓国では全部ダンクにいく姿勢を見せた。大会ごとに自分でテーマを持ってやっている。今年はナショナルの活動がなかったけれど、そこに呼ばれるように頑張ろう、と言っているし意欲的に試合をしている。今年は1部に上がったが、今年度中は2部という扱い。でもトーナメントは2部でも頑張ればいけるということを証明した」

◆#16二ノ宮康平(2年・G)
「ゲームコントロールを任されている。今のところ勝っているが、修正するべき点がある。決勝では修正していい試合をしたい」

◆#13酒井祐典(2年・F)
「今はシックスマンだけど、シックスマンがしっかりしていれば余裕が出る。難しい立場だけど流れが悪いときに泥臭いところで意識して、それなりにできていると思う。自分は優勝をしたことがない。決勝で勝ちきれないジンクスを大学で破りたい。兄(酒井泰滋・JBL日立)も2年で優勝した。ここで勝てば3連覇できることになる。その一歩目としたい」


【専修大記者会見】
◆中原 雄監督

「思った以上にトランジションが速い。今までビックマンがああいうタイプのチームっていなかったので、対策が一夜漬けでは苦しかったかなとは思いますね。どこのチームが相手でもトーナメントでは前日のビデオを見て、それに対策するしかないですから。今年のチームっていうのは堤と能登が2、3年生の時にかなり怪我で苦しんでました。怪我の状態が堤の場合かなり良くなかったけれど、それがようやく今シーズンからコートに立てるっていうことで、今シーズンのチームっていうのは最終的には4年生で勝負っていう年だと思っていました。それに練習から彼らは応えてくれた。彼らが怪我でいない時も、怪我をしてない増川、飯田、鈴木が一生懸命チームを引っ張ってくれていて、ようやく揃った年だった。もう勝負所では結果云々よりも彼らが僕はこのチームの代表だと思うんですよ。そういう気持ちで戦ってきました」

◆#0堤啓士朗(4年・主将・G)
「リバウンドがやっぱり取れなかったですね。強かった。それだけです」


【INTEAVIEW】
「この4年間を表現しよう」と臨んだ準決勝
力みのなさが最高のパフォーマンスにつながった

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◆#4鈴木惇志(慶應義塾大・4年・主将・F)

「いいところまで進んでもそこで満足してしまうことが多い。山を越えたあとが問題、若いチームだから」と記者会見で言う。主将となってから鈴木は勝った場合、負けた場合、状況に応じて何を言い、どう引っぱるかを何パターンもシミュレーションしながら1年間チームに方向性を持たせてきた。

-「来年は優勝を狙うチームになる」と入れ替え戦後に語っていました。それは来年のリーグ戦で、という意味だったと思うのですが、このインカレに対してはどう考えていますか。
「うまい形でつなげればいいかなと思ってはいました。もちろん全て優勝という目標をたててやってきていました。僕としてはとりあえず決勝には絶対行きたいと思ってはいたんです。だからファイナルの舞台の雰囲気をみんなに味合わせてあげて、来年につなぎたいというのがこのインカレでは強かったです」

-自信という意味ではどうでしたか?
「半々ですね。2部相手にやってきたトランジションが、1部のチームに通用するかどうかというのは未知数であったし、どうなのかなというのは正直ありました」

-2ヶ月間2部のチームとしかやっていないことが少しハンデではあるかなと思いましたが、見てみるとそうではない感じですね。
「思ったより力がついてきたというのもあるし、上の力がそこまでではなかったのかなとも感じました」

-一昨年も決勝まで行って、そこでコートに立つことはなかった訳ですが。今と気持ち的に違う部分は?
「あのときはもう出ないと分かっていました。だからそのときの僕の役割であったんですけれども、ベンチにいて盛り上げることをやっていた。もちろん部員一人ひとりがそういう役割を持っていると思うんですが。今年はコートに立つ場面が多いので、もう全然違いますね。自分が引っぱっていく姿勢を見せなければならないと思うし、例えうまくいかなくてもチームを引っぱっていく。キャプテンとしてそれを見せ続けなければならない。弱いところは見せられない。そういうところです」

-リーグ戦は絶対に1部に上がらなければ、という重いプレッシャーがあったと思います。ではこのインカレのプレッシャーというのはどうなのでしょう。あるのでしょうか、それとももう思い切りやろうという気持ちでしょうか。
「個人としては下位対戦と上位対戦というののプレッシャーのかかり方は違っています。二回戦の早稲田戦までは少し勝たなければならないというプレッシャーがありました。天理のときも少しあったかな。でも今日はむしろ4年間やってきてここまで連れてきた自分を全て発揮しようと。このチームで最高のパフォーマンスをしようとそういう風に臨む姿勢の方が強かったかなと思います」

-決勝は国士舘です。
「見ている分にはいいチームだし、応援していますけど自分の身にふりかかるとなると(苦笑)。でも頑張っていい試合をします」



結果にこだわり続けてきた小林が再度頂点に挑む
「後輩や部員全員にあのときの雰囲気を味合わせたい」

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◆#9小林大祐(慶應義塾大・3年・G)

ルーキーでゴールデン世代と決勝をともに戦ったことは、彼のバスケ人生で最大のインパクトとなった。そして翌年、主将を失い、バラバラのチームで2部降格となったときはバスケ人生で最悪の苦しみを味わった。準決勝前夜、2006年の東海大との決勝のビデオを見て気持ちを新たにしたという小林。彼のプレーと心は非常に強く、密接に絡まりあっている。再びの決勝の舞台で彼が求める“結果”は得られるのだろうか。


-1年前ぐらいでしょうか、2006年のインカレ決勝、「あの決勝が今まで自分のバスケット人生の中で一番楽しかった」と言っていましたね。それはどういう楽しさだったのですか?
「一つ言えるのは偉大なる4年生がいて、この人たちについていけば絶対負けないというか、『この人たちについていけば僕も負けないんだ』という変な意識がありました。例え相手が東海大のゴールデン世代でも現に互角にやれていた訳ですし、そういった意味で楽しいというのと、勝つ自信があったというのも楽しさを感じられた要素です。しかも彼らは僕らが小さい頃に高校の舞台で活躍していた代表級のエリート。『すごいなあ』と感じていた人たちとやっている訳なので。だから自分があの世代に混じることで、自分が子どもの頃に感じていたように、下の世代にすごいと思ってもらえているかもしれない。結果を出しているんだ、と思うところがありました」

-そこが1年生での決勝。そして2年生では2部降格を味わって苦労しました。
「はい。その反面結果を残せなくて本当につらかったです(苦笑)」

-そして今年、また決勝の舞台に帰ってきました。
「一番はやはり後輩や部員みんなを決勝の舞台に上がらせたいと思っていたので、とりあえずそれを果たせました。一つ結果を出したことにはホッとしています」

-そして昨日はあの決勝のビデオを見たとか。けれど、あの試合はいい試合でしたけれど結局負けてしまった訳ですよね。そこで今日、どういう思いだったのですか?
「やっぱりあの決勝は例年と比べてすごい盛り上がりだった訳ですよね。第二体育館の何倍もお客の入る代々木第一で、あれだけうまい人が集まって、あんなに観客がいて、かつてないすごく高いレベルの決勝。あれだけの雰囲気は今回ないかもしれないけれど、ああいう決勝の雰囲気の中で戦えるんだぞというのをイメージしたし、みんなに味合わせたいという思いが出てきて。それにインターハイの決勝のことも考えました。あのときはどちらかというと満員の観客は大濠に味方をしてくれていて、ホームのような雰囲気だった。でも負けてしまって申し訳ないと思ったし、そんなこともあったなとか、本当にいろいろなことを感じていました」

-そのインターハイの最後のシュート、そして2006年決勝での終盤のシュート、ともに決め切れませんでした。その最後の1本を決められる選手になって欲しいと思います。
「そのためにも今までチームでクラッチタイムのシュートを任されてきました。失敗したこともあるけれど、成功した試合の方が多いと思うんです。全ては明日の最後の1分1秒の攻防のためと言っても過言ではないので、今度こそ決めきりたいと思います」

※2006年、ゴールデン世代と呼ばれた東海大・石崎巧(JBL東芝)、竹内譲次(JBL日立)、井上聡人(JBLトヨタ)、内海慎吾(JBL三菱)、阿部佑宇(JBL松下)と慶應大・酒井泰滋(JBL日立)、竹内公輔(JBLアイシン)の決勝が期待通りに実現。駒数の多い東海大有利との下馬評の中、慶應大は10点を開けられながらも怒濤の追い上げで1点差と迫ったが、最後のプレーが決まらず76-73の3点差で破れた。例年代々木第二体育館が決勝の舞台だったが、集客数を考慮してか第一体育館が設定され、学生の試合では例のないような観客を集めた歴史的一戦となった。小林はルーキーながらスタメンとして出場、40分で23点と竹内公輔の29点に継ぐ数字を出している。
福大大濠高校時代の2005年は千葉インターハイ決勝で延岡学園と対決。小林の最後のシュートは決まらず91-88で破れた。


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鈴木正晃からボールを奪う鈴木惇志。序盤、相手を勢いに乗せなかった。


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リバウンド争いにいく慶應大・酒井と専修大・増川。増川はこの試合22点とチームハイ。最後まで得点に絡んでいった。


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専修大・能登は6リバウンド。得意のオフェンスリバウンドは1と押さえられた。


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ベンチからリズムを変えたかった堤だが、劇的なプレーまでには至らなかった。


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30点とようやくエースが本領発揮。「1年生だからこそ、思い切ってやる。それが求められていること」と言った無邪気な2年前から、「みんなに決勝の雰囲気を」とチーム全体を見渡した発言が出るまでに成長した。


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13アシストの二ノ宮。点の獲れるPGが慶應の可能性を広げている。


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田上のアベレージプレーが慶應にとってどれだけ大切かは言葉に表せない。常に点数が見込める選手の存在こそが強さの基盤となっているのだ。


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シックスマンの必要性を自分でも十分理解している酒井。その仕事人ぶりで兄を越えられるか。


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ベンチに入れなかった4年生も、一体となって戦っている。


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テーマ : バスケットボール(日本) - ジャンル : スポーツ

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