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第86回全日本大学バスケットボール選手権
筑波大学が3連覇を達成 3連覇以上の達成は1999年の日本体育大以来

2008.12.04 (Thu)

【2008インカレ】12/4 準々決勝 慶應義塾大VS天理大

#7岩下が遂に能力全開、#10サンバ相手に
豪快なブロックを連発して秘めた力を遺憾なく発揮

慶應義塾大学87(16-17,26-23,23-17,22-18)75天理大学
081204sanba.jpg相手が天理大と決まってから、急遽全ての天理大のスタッツを拾い出し、対策を練ったという慶應大。東海大のように事前にビデオを見て研究するような余裕はなかったが、目の前で東海大が負けるのを目の当たりにしただけでも運が良かったと言えるだろう。試合後には「知らずに当たれば危なかった」と安堵の声をもらす選手もいた。

注目はインサイドで#7岩下(2年・C)が天理大の#10サンバ(2年・C)にどういった戦いを見せるかだった。東海大相手に33本ものリバウンドをもぎ取ったサンバは、1年前より飛躍的に成長した姿を見せていた。しかしその対決は互角と言っていい。身長も体重もほぼ同じ。そして何より岩下の日本人離れした手の長さもまた、サンバと同等だった。高さのセネガル人に対し、技術や組織を使うことで対応している他のセンターと違い、この両者の戦いは純粋な「高さ」という、余人には入り込む余地のない世界だった。

サンバの高さに全くひけを取らず、リバウンドやシュートこそサンバに数を許したものの、何度も攻撃を阻止したブロックは脅威に値する。終始接戦だった戦いは、それでも慶應大がリードを保ったまま勝利。しかし最後まで分からない好勝負だった。

写真:サンバのシュートを岩下が後ろからブロックにいく。ここに届く、という身体そのものが岩下の能力の一つだ。

※試合のレポートと慶應大・岩下選手、天理大・知念選手のインタビューは「続きを読む」へ。

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【GAME REPORT】
081204iwashita.jpgこれほどの高さ争いはそうそう見られるものではない。先制は東海戦で6本の3Pを決めた#4野口(4年・主将・SF)だったが、慶應大は#7岩下がバスカンを決め、#10サンバのポストプレーを阻止すると、会場からどよめきがあがった。この後も岩下はサンバに対してディフェンスし、自由にはさせない。慶應大は#9小林(3年・G)の速攻もあるが早々に2ファウルを吹かれ、ベンチへ。天理大は慶應大の出だしに自分たちのリズムが作れず、ターンオーバーが続いた。慶應大は天理大を乗らせないよう、たたみかけるが、天理大は#4野口が最初の3Pを決めると#15根来(3年・PF)のシュートが続き、#10サンバのバスカンで14-15と逆転。1Q最後のプレーでスクリーンから#21清水(1年・SG・川内)がミドルシュートを決めて1点リードして1Qを終えた。

引き離しても着いてくる。天理大は2Qも慶應大を逃さなかった。慶應大は高さにシュートやレイアップまでも狂わされ、ミスが続くが2人目がうまくカバーして得点する。一方の天理大も同様に岩下の高さの前にガード陣のペネトレイトはことごとくブロックされていく。それでも#15根来、#10サンバが得点、#8知念(4年・PG)も3Pでチームを勇気づける。上ではサンバ、下では知念が執拗で、慶應大もうかうかボールを運んではいられない。慶應大は仕事人#13酒井(2年・F)が回り込んでいくようなドライブ、ファウルをもらうプレーを見せ、8点リードを奪うが天理大に返され再び差が詰まる。更に、ゾーンを敷かれると得点が止まり、2Qは結局42-40と2点のリードにとどまった。

081204sakai.jpg3Q序盤はゴール下で岩下、酒井などもボールに絡む粘りを見せるが慶應大はリバウンドが取りきれない。しかも#15根来に3連続得点を許すなど、裏をかかれるプレーが続く。それでも今ひとつ乗り切れないながら、#9小林の3Pが決まり逆転を許さない。#16二ノ宮(2年・G)のアシストで#13酒井がバスカンを獲得すると再び差は開くが酒井が残り5分で4ファウル。しかも#11田上(3年・F)は再三速攻に走るが、根来に阻止されて倒されるも2連続でノーファウル、ターンオーバーに。天理大は残り3分半、#10サンバのリバウンドからのシュートで51-51。しかしこの日はこれまで以上の集中力も見える#16二ノ宮が3Pで3点差に開く。だが一進一退は変わらない。#10サンバはダンクにいったボールをリング上にぶらさがったまま再度触ってしまいテクニカル。しかし再度挑んでダンクを決め、ゴール下でも得点。慶應大は#11田上がサンバをかわしてシュート、フリースリーも獲得して9点差に。天理大は3秒オーバー、#4野口のファウルが続いて3Qで息切れが見えた。

だが、このまま引き離されるかと思いきや、天理の粘りは健在だった。4Qは#21清水とともに思い切りのいい動きでシュートを放つ#25平尾(1年・PG・明徳義塾)がミドルシュートを決め、#10サンバがバスカンで続く。しかしこのゴール下の攻防は岩下が2度までもブロック、しかし3度目は惜しくもファウルになるという高さでの争いで、ボールをはじくたびに歓声があがった。天理大はさらにサンバがゴール下で決めると#5呉田(4年・PG)の3Pで69-66。慶應大は#16二ノ宮の速攻などで再び開くが、やはりサンバ、根来の両名に詰められ残り4分で1点差まで追いつめられた。しかし、勝負際は慶應大。#11田上のドライブが決まり、岩下はサンバにファウルするものの、サンバのフリースローが入らない。反対にミドルシュートを決めた岩下に加え、#13酒井が試合を決定づける3Pを2本決めると慶應大の勝利は確定的に。天理大はファウルゲームにはいかず、そのままタイムアップ。惜しくも破れたが、見ごたえのある好勝負で強さを印象づけた。

081204negoro.jpgこの日22点をマークした#15根来は、東海戦から非常にうまい動きで相手を翻弄している。「サンバにマークがいくから、その分自分が飛び込めると思うし、そういうところをついて頑張ろうかなという気持ちで臨んでいたので、それでたまたまという感じだと思います」と謙遜するが、無名校出身ながらU-18にも選ばれている選手だ。「中学はあまり強くなかったんですけど、一応府選抜に選んでもらって高校は推薦も来たんですけど、もうバスケは無理だと思って。勉強で岸和田って高校に行きました。高校でバスケを一応あきらめたというか、勉強で頑張ろうかなと思ったんです。でもまた国体とかいろいろエンデバーとかにも選んでもらえて、バスケをもっとやりたいなと思いました。サンバも来ると聞いたので天理に進学しました」。あきらめずにやってきたことでこの場にも立った訳だが、「全然でしたよ」と態度は実に謙虚。しかし能力ある選手がこうして評価される場に来たことは、バスケット界にとっても大きな収穫といえよう。また、#10サンバ「面白い試合ができたから良かったと思う。いつもは来て、一回戦で負けて帰るけど最後までいられる」と変わらぬ口ぶり。チームメイトや見ている人、自分も楽しませられたかといった気持ちが感じられるのが印象的だった。

・慶應義塾大 #7岩下20点9ブロック、#9小林19点、#11田上17点
       #13酒井16点、#16二ノ宮13点
・天理大   #10サンバ28点22リバウンド、#15根来22点



「強い相手に対する高揚感がいいプレーを引き出す」
しかしここは通過点、更なる上を目指す

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◆#7岩下達郎(慶應義塾大・2年・C)

今シーズン勝ち続けてきている慶應大だが、その中でも苦戦した試合のときに佐々木HCが課題のある選手の一人としてあげるのが岩下だった。いいときは目の覚めるようなプレーをするが、ときに散漫で持ち味を発揮できないこともある。そのバランスの悪さは何か。「緊張を全くしないことが逆にいけないのかも」。頭のいい選手で、自分がするべきこと、求められるべきことも全て分かっている。あとは、それをコンスタントに続けていくという精神面の鍛錬の世界になっていくのだろうか。

-今日は素晴らしい活躍でしたが、やれるときとそうでないときの違いは何なのでしょうか。
「相手が強いから楽しんで溌剌とプレーできますね。でも自分でも原因はよく分からないんですよ。自分はどんな試合でも絶対に緊張をしないんですけど、少し緊張感を持って入れたのがこういう結果につながったんだと思います。どうしても高揚感を持てないというか、温室育ちなところがあるので甘いというか。でも今日は高揚感を試合前に感じられたのが良かったと思います」

-高校の国体でサンバ選手と対戦したということですが。
「東京が優勝したときの国体で高知と当たって、競ったんです。自分は3分とかしか出ていなくてマッチアップも一瞬だったんですけど、そのときは歯が立たなかった。今日は場数を踏んで経験をしてきたこともあって、できたんだと思います。サンバは高さはあって制空権はある選手なんですけど、技術といったらまだそこまでではないのでブロックしやすかった。最後は結構やられてしまったんですけど、想定内で押さえられたのが大きかったです。ファウルも少なくて済みましたし」

-ブロック9つは見事でした。リバウンドが9というのは逆に意外でしたが。
「そうですね。でも結構はじいたりしていたので、そういう“仕事”という面では貢献できたかなと思います」

-リーグ戦中から課題の選手としてHCの口からたびたび名前があがってきましたが。
「申し訳ないです。ゲームプランを作っているのに、メンタルで壊してしまって。自覚はしているので改善していきたいです。今日は少しは恩返しはできたかなと思います。でもここで終わっちゃいけないので、明日はそれこそ関東、いや全国でも一番リバウンドが強いチームなので、今日みたいに自分の仕事をしっかりできないと。ここで勝っても春のように(※1)次でボコボコにされてふがいない数字になることは本当に避けたいし。それに専修に勝つということは去年の因縁(※2)があるので、リベンジをバスケで果たしたいです」

-一瞬、先輩である竹内公輔選手を彷彿とさせるような部分もありました。
「それは言い過ぎですよ(笑)。でも公輔さんは本当に努力していて、いつもウエイトしている姿が印象に残っています。自分もこのリーグ戦中なんかはできていないのですが、ケガをした部分も考えるとやはりウエイトは本当に必要だと感じます。それにオフにウエイトをしてきていた部分でリーグ戦では良く出た部分はあったので、しっかりと自分の課題として身体を作っていきたいです」

-でも本当に大事なのは次と、あればその次ですね。
「確かに、ここは通過点でしかない。今日勝ってチームが少し浮ついている部分もあるので、それをしっかりと締まっていないといい勝負にならない。それを意識してコミュニケーションしていきたいです」

-専修は4年生中心だし、メンタルは安定していますよね。
「確かにうちは若いので。だいぶできるようになってきたんですけど。でも惇志さん(#4鈴木)がとてもキャプテンシーが強くて、それについていけばという形なので、4年生主体が相手とはいえ、頑張りたいと思います」

※1 春のトーナメントは東海大に勝ってベスト4。しかし次の法政大戦であっさりと負けて3位決定戦に回った。
※2 昨年のリーグ戦で専修大と対戦した際は1勝1敗。しかし2戦目には不慮のアクシデントとはいえ、主将の加藤が速攻を後ろからブロックされたことでバランスを崩して転び、骨折という大けがで途中退場に。主将を失った慶應大は2部降格という悪夢を見た。


「負けているときでも逆に笑ってやろう」
天理大の“やんちゃ坊主”達をまとめる司令塔

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◆#8知念恭平(天理大・4年・PG)

サンバと並ぶと一際小柄さが目立つ。だがその存在感もまた、一際大きい。2回戦の東海大戦では8アシスト3スティール。この試合でも5アシスト1スティールを決めたが、東海大戦で6本得たフリースローが、この日はファールをもらう前に慶應大・岩下にブロックされて2本にとどまった。
「上には上がいる」
それでも、最後まで笑顔でプレーした。
勝っているときはどのチームもいいチームに見えるもの。負けているときの姿も心に響く天理大のようなチームこそ、本当に“いいチーム”と言える。その雰囲気を作る4年生の1人だ。


―最後に慶應大・酒井選手の連続3Pが決まるまでずっと接戦。いいゲームを見せてもらいました。
「ありがとうございます。でも正直、勝ちたかったですけど…ここまでの力ということですね。しゃあないです。うちは得点力がそんなにないので、軽いディレイドをして、相手の得点を70以下に抑えるというのがスタイルなんです。54点に抑えた昨日の東海大戦のような感じにしようとしたんですが、慶應の得点力にはかなわなかったです。相手にオフェンス回数を多く与えすぎたなと反省しています」

―昨日の2回戦は東海大、そして今日は慶應大と強豪チームが続き、対策を練る時間もあまりなかったのでは?
「そうですねー。トランジションが速いと聞いていたので、ハリーバックしようと言っていたんですが、予想以上に速かったです。センターも大きいですし、リバウンドを取ってガードにパスしてガードからばーっとという感じで(笑)。めちゃくちゃ速かったです。うちも特徴として速さというのはあったんですが、全然レベルが違うなと今日痛感しました。やっぱり上には上がいます」

―サンバがあんなにブロックされるのも今までなかったですよね。
「たぶんサンバも自分より大きい相手とはそんなにやったことがないと思います。まだ2年生なのでそういう部分ではいい経験だったんじゃないかな。ブロックされても果敢にダンクにも行っていましたし、ああいう強気なところがあいつの持ち味です」

―その中で、知念選手は下のカットを狙ってそこから速攻に持ち込むプレーが光っていました。
「ちっちゃいので、そこを頑張らないと上ではどうしようもないと思って、ボールが近くにあれば狙っています」

―プレータイムを分け合っている#5呉田選手とは、どんな特徴の違いがあるんですか?
「彼の自分と違うところは、まずディフェンスです。やれって言われたことを徹底的にやってくれるし、何よりも強気なプレーが彼の持ち味。今日も速攻で1人で持っていって3Pを打ったりとか、あんなプレーは自分はできないです。何より、年が1つ上なので、仲間を引っ張ってくれます。自分もそういうのを心掛けているんですが、本当に見習いたいくらい。自分はどちらかというとコントロールタイプですし、どこで攻めたらいいかと考えています。誰かがまとめないと、うちはやんちゃ坊主ばっかりなんで(笑)」

―確かに4年生を中心にまとまっていますね。皆で臨んだ準々決勝の雰囲気は、昨日までのゲームとは違いましたか?
「やっぱりちゃいますね。昨日の試合は横浜でやりましたし、代々木ではやり慣れていない。だから緊張したというのも少しはあるんじゃないかなと思います。でも、相手に関しては、昨日も東海大に名前負けはしていなかったと思うし、気持ちの面では楽に、楽しくやれています」

―今日も本当に笑顔を絶やさずやっていましたね。
「はい、皆が楽しくできています。インカレは楽しくやろうと応援団と一緒に言っていたので、常に、負けているときでも逆に、笑ってやろうと楽しんでやっていました。だって、この体育館でできることだけでも嬉しいことですし」

―あと2試合は、どんなプレーを見せたいですか?
「今日負けてしまったので、脱力感も正直あるんですが…天理のインカレでの1番いい成績が6位なんですよ。まだ5位の可能性も残っていますし、今季はリーグ優勝も初めて、西日本を獲ったのも初。今度は初のインカレ5位で締めくくれるように、明日また切り替えて頑張りたいです。今日負けちゃったのは残念なんですけど、最後いい形で気分よく終わりたいと思います」
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テーマ : バスケットボール(日本) - ジャンル : スポーツ

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