2016年12月 / 11月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫01月


第86回全日本大学バスケットボール選手権
筑波大学が3連覇を達成 3連覇以上の達成は1999年の日本体育大以来

2008.10.29 (Wed)

10/29関東大学入れ替え戦 日本体育大VS筑波大 第3戦

学生バスケの代名詞として君臨してきた日体大が遂に降格
筑波大は大逆転で1部への扉を開く

日本体育大(1部7位)66(22-10,15-17,21-18,8-28)73筑波大(2部2位)
081030t1.jpg1勝1敗に戻った戦いが、遂に終幕を迎えた。

長らく学生バスケットを支え、牽引してきた日本体育大学。学生バスケの歴史の大半は日体大の歴史といっても過言ではない。過去、幾多のチームがこれに挑み、破れてきた。数々の名選手を輩出し、伝統と名声は他に並ぶものはなく、「日体」であることのプライドは他選手を遙かに凌駕していた。
だが、時代は移り変わる。各大学は熱心な強化活動を行い、新しいトレーニング法やコーチングが大学バスケに取り入れられ、その力を飛躍的に伸ばし始める。いつしか日体大というだけでは威厳は保てなくなった。ここ数年苦しい戦いを強いられ、そして遂に入れ替え戦という背水の陣に至った。

歴史的な戦いの相手となったのは筑波大。2004年に2部降格となってから何度も2部上位で足踏みを繰り返した。入学時から期待され続けてきた選手たちは4年生となった。大舞台に弱いと言われ続けてきたチームは、一昨年と同じく入れ替え戦の第3戦までもつれこむ。

試合はともに気持ちのこもった好勝負だった。そしてその気持ちがわずかに上回った筑波大に、勝利の女神は微笑んだ。

写真:昇格の瞬間、選手達がコートで喜びを弾けさせた。

※試合のレポートと筑波大・梁川選手、中務選手、木村選手、富田選手、高橋選手、鹿野選手、片峯選手、日本体育大・赤石選手のインタビューは「続きを読む」へ。

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【GAME REPORT】
081030horita.jpg1Qを終えて電光掲示板に示された数字は22-10。一時は20-5まで離れた。日体大は第2戦を勝利した勢いで、この3戦も「気持ち」の見えるプレイを展開した。スタメンには第2戦で気迫あるプレイを見せた#12堀田(3年・G)と勝負どころの3Pをきれいに決めた#45佐藤(2年・F)を起用。主将でエースの#27眞庭(4年・F)は前日のケガもあり、ベンチに温存となった。しかしこの起用が出だしからピタリと当たった。開始早々#45佐藤の3Pが連続で炸裂し、#12堀田はスティールから速攻を見せる。こうした勢いの前に筑波大は全く力を出せない結果、冒頭の数字となった。

これまでの筑波大ならばこの状況にうち勝てないことも考えられた。負ける時は実力以上に、気持ち面から崩れる傾向がある。だが、2Qでは#13片峯(3年・G)がスティールから速攻を出し、#32木村(4年・C)のドライブなどでなんとか着いていく気持ちが見える。しかし#5中務(4年・F)は自分のプレイを出せずにベンチへ。この入れ替え戦では力を出し切れないでいる。日体大はリードを得て精神的に楽になったのか、#39赤石(3年・G)や#23横江(1年・G)の3Pがいとも簡単に決まる。残り5分で投入された#27眞庭も3Pを決めてチームを勢いづけた。筑波大も粘りは見せるが点差は大きく詰まらず、10点前後を推移する展開に。結果として2Q終了時も37-27と10点を日体大がリードする形となった。

3Q、ゾーンを織り交ぜる日体大。筑波大は#45鹿野(3年・F)の3Pもあるが、一時得点が停滞。#12片峯も#27眞庭に対してアンスポーツマンライクファウルを吹かれるなど、リズムは決して良くない。日体大は#15宮村徹(4年・C)が粘りを見せる。ミドルシュート、ゴール下、タップなど続けざまに存在感を見せ、残り3分半で#45佐藤の3Pが出ると得点は50-35。1Qの最大点差と同じく15点ものリードを奪った。筑波大は#47富田(4年・F)のターンシュート、#31梁川(4年・G)の1on1で詰め寄ろうとするが、日体大も譲らない。Qの終了とともに#27眞庭のブザービーターが決まるとメンバーにも笑顔がはじけた。58-45とこのQも日体大が13点のリードとなった。

081030T2.jpg勝負は最後のQにゆだねられた。流れは日体大かと思われたが序盤勢いをつけたのは筑波大。#47富田がリバウンドからシュートを押し込むと、#45鹿野が3Pを決め、#24高橋、#13片峯らが続けて得点する。日体大は#15宮村が痛い4つ目のファウル。シーズンを通して悩まされたファウルトラブルがこの試合でものしかかる。一気に追い上げた筑波大は#24高橋の豪快なレイアップが決まると、ここでリズムを完全に掴んだ。#31梁川と#45鹿野の連続3Pで残り6分、遂に60-62と日体大を逆転する。タイムアウトをとった日体大は堀田・赤石・横江の3ガードに宮村・眞庭の4年生コンビに勝負を託すが、#27眞庭のシュートは精細を欠き、ゴールネットを揺らすことはない。逆転の勢いに乗る筑波大は#45鹿野、#31梁川が積極的にオフェンスを仕掛け、更に日体大を引き離す。残り2分で日体大は#11冨江(3年・F)が3Pを決めるが、それが最後の得点となった。ファウルゲームで得たフリースローで更に筑波大が点差を開くとタイムアップの瞬間を向かえた。満面の笑顔で抱き合った選手たち。観客席から飛び出してきた部員達が覆い被さり、歓喜の声をあげた。

ゲームはずっと日体大ペースだった。それを逆転したのは勝負どころの気持ちだ。高橋、鹿野らが大事な時間帯に得点し、富田らが必死につないだ。気持ちでは互いに引けを取らない試合だったが、4Qでそれが勝った筑波大が勝利を掴んだ。一昨年の入れ替え戦、圧倒的1位で2部を通過し、専修大と1勝1敗になった筑波大。3戦目も決して悪い勝負ではなかったが、専修大が取った奇策の前に精神的に自滅の道をたどった。昨年もさして力が落ちた訳でもないのに2部4位に沈み、大舞台に弱いと言われ続けた。しかしこの試合ではその精神面での向上がしっかり見えたのが収穫と言えるだろう。彼らは一つの壁を自分たちの力で破ったのだ。期待され続けた4年生は1度も1部の舞台に立つことなくリーグを終えた。けれど、彼らがチームに残したものはとてつもなく大きいことは間違いない。 

「日体という伝統は破れたのだから、(日体も)変わらなければならない」。古い体質が消えつつあった過渡期に苦しみ、そう言ったのは2004年度の主将を務めた佐藤 濯(現レラカムイ北海道)だ。1部は降格さえなければ現状維持できるリーグ。それはいい意味でも悪い意味でも慢性的な停滞感を生み、選手やチームからハングリー精神を奪っている。長く1部に君臨し、真に厳しさを感じることのなかった日体大につきつけられた2部降格という現実が、チームをどう変えるのだろうか。だが、入れ替え戦で見せた気迫溢れるプレイは日体大が本来持っているであろう可能性も見せてくれた。この結果を受け止め、再び強い「気持ち」を持って堂々と1部復帰する日を見せてもらいたい。


【INTERVIEW】
081030yanagawa.jpg◆#31梁川禎浩(筑波大・4年・主将・G)
チームに力が必要なとき、常にゴールに向かってくるのがこの選手だ。必死に、チームを勝たせるために無心のオフェンスを仕掛ける。この第3戦ではそうした姿勢が勝利への流れを引き寄せた。主将として大事な仕事を果たした功績は大きい。


-一昨年と同じ1勝1敗で臨んだ最終戦でしたが。
「もう絶対負けられないという気持ちでした。これで1部に上がれなかったら自分たちは4年間何をしていたんだということになってしまう。全部を出し切ってやろうと自分自身も、チームもそう決めてやっていたと思います」

-一昨年と違う部分は何でしょうか。
「1戦目取れたことだと思います。1戦目を取られると短期決戦では厳しいと思います。だから1戦目が大事だというのは経験で分かっていました。そういう意味では1戦目に集中して入れたのが良かったと思います」

-では昨日悪いときの筑波という感じで負けてしまったのはそこまで気にはしていなかった?
「そうですね。自分たちがチャレンジャーのはずなのに相手に先手を取られてしまった。そこがダメだったと思いますが1戦目を勝っているという気持ちがありました」

-今日は2戦目でできなかった部分を克服して勝つ気持ちでいけましたか?
「それはあったと思うんですけど、経験がないせいかああいう展開になったんじゃないかと思います。攻め気にならなくてはならないのに、全て後手になってしまって。大舞台での経験のなさ。それが1、2、3Q続いてしまいました」

-梁川選手は能代で全国大会でも優勝している。そういう大舞台の経験を伝えるようなことは?
「能代での経験は思うほどないというか、試合に出ていたのが3年生のときだけなので経験といえる部分はそうないと思います。しかもプレイを一生懸命やるだけでした。大学はそれとは全然違います。今は主将としてプレイを頑張るだけじゃなくてチームをまとめなくてはならないし、チームを勝たせないといけない責任も重い。だから高校とは違う大舞台ですよね」

-梁川選手のオフェンスはそういう責任感が見えるというか、得点を取りに来る姿勢にそれを感じる部分は多いですね。
「点を取るという意識というより、どうにかしたい気持ちが強いと思います」

-でもそういう部分では、今日は高橋選手であったり、鹿野選手が大事な部分で得点を決めてくれましたよね。
「チームメイトのことは信用していますし、すごく良かったですね。最後までやってくれると思っていました」

-今日はずっと追う展開で、これまでの筑波なら気持ちが切れてしまうのではないかと思う展開でした。
「1、2Qは自分が切れてしまいそうで(苦笑)。そこをベンチにいる4年生がすごくアドバイスというか、なだめてくれました。そういう支えがなかったら今日こういう試合はできなかったと思います」

-リーグ戦で得られたものは何でしょう。
「まず勝てたというのが一番大きいです。勝つ経験が自分たちには一番必要なものなので。その中で課題もいろいろ見えたのが良かったと思います。それが次のインカレにつなげられます。今日みたいに相手に仕掛けられたときも全員が攻め気を出すことであったり、個々の能力を上げることであったりができないとインカレでは勝てない。インカレまでには個々の能力を上げることからもう一度始めて、練習から頑張るつもりです」


081030nakatsuka.jpg◆#5中務敏宏(筑波大・4年・F)
抜群の身体能力で1年生のときから将来を嘱望されてきた。入れ替え戦では彼本来の良さは出すことはできなかった。しかしリーグ最終週、明治大に勝つ一つの要因を作り、このステージにチームを導いたのは紛れもなく彼の力も大きい。最後に残るインカレの大舞台で輝ける姿を見せて欲しい。

-2戦目では日体大にやられてしまいましたが。
「眞庭(#27)がいなくなって相手のオフェンスがどこで点を取ってくるのかが分からなくなってしまったというのがありました。僕のマッチアップのところだったらそこで守れたんですけど、得点がばらけてしまって、インサイドでもかなり攻められた。そこが敗因だと思います」

-今日はどういう気持ちだったのでしょう。
「2戦目みたいなことは考えないで、自分たちのできるバスケットをしよう、それだけでしたね。そういう意味では最初は悪かったんですけど、最後に勝ててよかった。勝ったからこそ言えますね」

-4年生同士で最終戦に向けて話し合いなどはありましたか?
「4年生というのは特になかったんですが、2戦目が終わった後にすぐに帰るんじゃなくて、ロッカールームで残ったメンバーでずっと話していました。こうすればよかった、こうしようよとミーティングできたのは大きかったと思います」

-最後のリーグを1部昇格で終えることができましたが、気持ちは?
「色んな思いがありますね。終わってみて言えることですが。今日は途中ベンチで死にそうでしたけど、僕(苦笑)」

―でも残り15秒のタイムアウトあけ、自分はコートには立てませんでしたがベンチメンバーで円陣を組んで、「1部行くぞ!勝つぞ!」と声を掛けていました。どんな気持ちからあの言葉が出てきたんですか?
「えーと…そうですね。自分のことはもうどうでもよくて、『みんなで』って思っていました。このリーグ中もずっとそうだったんですよ。慶應に負けてしまっても皆で明治に勝って持ち直して、入替戦でも1度は追い込まれて皆で盛り返して。だから、“みんなの目標”がかなうんだって思ったら…実は残り1分くらいから涙が出ちゃっていて(苦笑)。自分はダメダメでしたけど、代わった鹿野がよかったし、本当に『みんな、ありがとう!』って気持ちでした」

-4年間はどうでしたか?
「すごくつらかったけど、いろんな勉強をさせてもらったなと思います。それに、今年に関して言えば次のインカレにもつながるし、個人としてもチームとしてもこういう経験をできて良かった。最後にみんなで勝ってくれたし(笑)。特にこの試合は夏・リーグとずっと苦しんできた洵生(#45鹿野)がやってくれたのですごく良かったと思います。自分以上に決めてくれてうれしく感じています。後輩にいいものを残せました。『よし、上がった! 後は頼んだぜ!』という気持ちです(笑)」

-これでインカレは青学大のブロック、そして注目の明治との再戦もありますね。金丸晃輔選手は中務選手対策で「新しい技を考えます」と言っていましたよ。
「そうみたいですね。じゃあ僕もそれに対応して“新しい中務”に進化して戦いたいと思います!」



081030takahashi.jpg◆#24高橋 純(筑波大・4年・C)
ベンチスタートで貢献する彼は、決して目立つタイプではない。しかしハートは熱く、第3戦ではチームの勝利を呼び込むような豪快なシュートを決めた。仲間との切磋琢磨が自分の成長の糧だったと振り返り、まだこれ以上の進化も誓う。インカレでも楽しみな選手の一人だ。


―1部昇格おめでとうございます!
「ありがとうございます。本当にうれしいです!はい!(笑)」

―試合は競った展開になりました。
「そうですね。序盤はかなり点差をつけられていて、ベンチから見ていて『勝てるかな…』と思ったときもありました。でも、自分が出た4Qはとりあえず何も考えずにプレーして。そのうちに段々点差も縮まっていって、最後のフリースローのときくらいからもう絶対に勝ったと思って。その時はもう早くみんなのところに飛び込みたいという気持ちでいっぱいでした(笑)」

―高橋選手のリバウンドあっての勝利だったと思います。
「ありがとうございます!やっぱり自分の仕事はリバウンドとディフェンスを頑張ることしかないし、そこを監督が買ってくれて出してくれていると思うんです。こういう大事な試合で出してもらえるっていうのは、自分としてもとてもうれしいことなので、まずは自分の仕事を絶対にやりきろうと思ってやっていました」

―試合に出る際に何か吉田監督に言われましたか?
「とりあえず、気持ちだけは強く持っていけということを言われました。昨日と一昨日はあまり自分の仕事ができなくて。じゃあ、なんでダメだったのかというと、技術的なものではなくて心の問題が大きいと言われました。もうとにかく気持ちは負けるなということを言われました」

―2年前の入れ替え戦では悔しい思いをしました。
「2年前は、僕はベンチから負けた瞬間を見ていました。なんでコートに自分が立てないんだということと、自分が出られたらもっと結果が違っていたんじゃないかと悔しい思いでいっぱいでした。それからはずっと自分の力を磨くことだけをやってきて、絶対に今度こそあの舞台に立てるようにというのを考えて努力してきました。去年はあと一歩と届かなくて、今年1部でやることはできなかったですけど、このまま4年間2部でやって何もなしだったら絶対に後悔すると思っていたので、今年に懸ける思いは強かったです」

―同じ年に入学したインサイドの選手は洛南の木村選手(#32)と東和大昌平の富田選手(#47)でしたね。
「最初はあの2人は雲の上の存在で、本当に自分がやっていけるのかなっていうのは1年の頃は思っていました。でも、練習していくうちに自分が通用する部分もちょっとずつ見えてきて。そこを磨くことで理(#32木村)とか富田(#47)とかとは違った部分で試合に出られるっていうことがわかってきました。とりあえず自分の長所であるリバウンドとディフェンスっていうのを磨いて、2人を助けられるようにと思って頑張ってきました」

―その努力の結果が出ましたね!
「(笑顔)。自分的には合格点だと思います。でもやっぱり昨日と一昨日はダメ。インカレは一発勝負で、自分の力がすぐに出せなきゃダメだと思うので、そこをインカレまでにもっと改善していきたいです」

―鹿野選手(#45)の活躍について。
「鹿野とはいつも一緒にウエイトをしたり練習をしたりしているんです。今日は僕より先に鹿野が出ることになって、その時に鹿野かけた言葉は『迷うな』という言葉でした。それは、いつもあいつは自分に自信が無いのか遠慮することがあるからだったんです。でも、今日は迷いなくシュートを打っていて、本当にいい活躍をしてくれました!」

―4年生として「1部昇格」という仕事を果たせましたね。
「はい!それに後輩たちに何かを残していきたいというのは今年になってからずっと思っていたことなので、まずは目標であった1部昇格っていうのを残すことができてよかったです。あとはインカレ優勝というのをぜひ後輩たちに残せるように、この後も頑張っていきます」

―インカレではどういうバスケットをしたいですか?
「自分たちの持ち味はディフェンスから走ること。それをやりさえすれば明治とも青学ともいいゲームができると思います。僕たちはシーズンが始まった時から『日本一』っていうのを目標にしてきました。『チャレンジャー』だという気持ちを忘れずに、全力で全てを出し切る気持ちでやりたいと思います。個人的には、僕は今控えですけど、まだ全然スタメンの座を狙っています。そのためには、試合に出て結果を残すことが大切。そして、僕がスタートで出ることによって、少しでもチームにプラスになれる動きができれば、チーム力が上がっていくと思うので頑張りたいです。まだ現時点では青学には届かないと思うんですけど、あと1ヶ月ある。とりあえずは青学を目標に頑張っていきたいと思います!」



081030kimura.jpg◆#32木村 理(筑波大・4年・C)
パワフルなインサイドプレーでゴール下を支えた。ここまで特別大きなビッグマンのいなかった筑波大で、木村が求められてきた役割は大きい。今年はこれまでにない存在感でゴール下で強い印象を残した。


-2戦目は相手の宮村徹選手(#15)の頑張りもあって、最終戦に木村選手に求められたものは大きかったのではないかと思いますが。
「そうですね。1戦目は普通に守れて、攻めることもできました。2戦目は眞庭がケガをして宮村が頑張った。自分としてはそこをなんとかしようと思っていました。でも思ったより中でゴリゴリというよりこの試合はミドルシュートで攻められた感じで、なんとかなりましたね。自分のオフェンスは合格点とはいかないですけど」

-最悪の出だしだったと思うのですが。
「後がなくて日体大にも絶対落ちられないという気持ちがあったと思うし、こちらも周りに今回は絶対上がらないと、という雰囲気があって苦しかった。何が起こるか分からないというのもありましたし」

-とはいえ、よく最後に結果を出したと思います。
「毎年ただ1部に上がるという目標にするんじゃなくて、自分たちの代がしっかりやって、片峯や洵生たち一生懸命やっている3年生にいい思いをさせてやろうと思っていました。そういう面ではプレッシャーはあったけれど、4年間でしなければならない仕事だったのでホッとしています。それにその3年生である洵がやってくれましたね。自分らがダメでも任せられる選手に成長してくれた。そこは大きいと思います」

-試合中、負けている時に一昨年の小松選手(小松昌弘・2006年度主将)の「後輩はうまいけれど、足りないものがある」という言葉を思い出して、このままダメになるのかと思う瞬間もありましたが。
「昨日小松さんと話したんですよ。電話して、3戦目にもつれ込んだんだけど、どういう風にやればいいかアドバイスをもらいました。そこで『とりあえず理は声を出して元気にやれ。チームプレイがうまくいかなくても声を出せ』と言われました。そういう風に自分ができることがあると気づかされました。今日は梁川(#31)がイライラしている部分もあったんですが、そこで声をかけたりベンチに下がった時も応援団と一緒に声をだして自分ができることをやろうと思ってやったら、みんながちゃんと応えてくれた。それで逆転できたので本当にこのチームで良かったと思います」

-小松選手の代で上がれなかったけれど、その悔しい思いにようやく応えたという感じですね。
「あの入れ替え戦での悔しさは4年生の中に同じぐらい強くある。小松さんには『自分たちを越えてくれ』と言われました。小松さんには本当に感謝することがたくさんあります。それに、自分の成長を自覚できたリーグになったのが大きいです。3年生までは先輩もいて甘えられる部分もたくさんありました。でも4年生になって自覚が生まれました。ゲームでしっかりやるというのは4年生の仕事。そういう面を成長させられたリーグ戦でした。チームとしても筑波大は粘れない印象があったかと思うんですけど、このリーグでは接戦や逆転の試合もできた。そこは大きな収穫です」

-インカレに向けて。
「インカレは青学のブロックというのはやりがいがあります。明治を倒して、青学を倒せば日本一になると思います。それを目指してやっていきたいと思います」



081030tomida.jpg◆#47富田卓弥(筑波大・4年・F)
サイズがあるが、外のプレイも上手く幅広いエリアで活躍する。最終戦では終盤の大事なところでリバウンドなど、つなぎのプレーがチームを助けた。リバウンドは両チーム合わせても最高の12本。ロースコアとなったゲームでこの数字が生きた。


―1部昇格おめでとうございます。
「ありがとうございます!昇格が決まる40秒くらい前からもう泣いていました(笑)。念願の1部だったので、嬉しかったです」

―前半は大きくリードを奪われましたが、それをひっくり返しての勝利。この点差を返すということが、筑波大の最も成長したところだと思うのですが。
「そうですね。やっぱり僕ら4年がやらなくてはいけないという思いが強くて、それで『負けられない』っていう思いから『諦めない』に繋がっていったんじゃないかと思います。その辺は梁川(#31)が引っ張っていってくれました。僕らはそれについていったし、それに個人個人の強い気持ちもありました。1Qは不甲斐なかったですけど(苦笑)」

―第2戦は何が原因であのような展開になったと考えますか?
「眞庭(#27)が最初に抜けて、そこで日体の全員が『自分がやらなきゃ』っていうことを意識して、それでこっちが後手に回ってしまったというか。そういうのがあったんじゃないかと思います」

―追う展開の中、徹底してやろうと思っていたことはありましたか?
「やっぱり昨日はリバウンドというか、インサイドを完全にやられたので、インサイドをリバウンドボックスアウトを徹底しようと思ってインサイド陣はやっていました」

―中盤の苦しかったところを富田選手が本当によく繋いでいましたね。
「僕個人だけではなくて、全員が気持ちでプレーしようっていうことを言っていました。1回、僕がルーズに飛んで、そのあと純(高橋)がもう1回ルーズに飛んでっていう場面があったんですよ。ああいうのは練習の中でもやろうっていってきたことでした。それはチームでコミュニケーションが取れているからできたことだと思います」

―2年前も富田選手は入れ替え戦という舞台を経験していますね。
「入れ替え戦を迎える前から、一昨年のことっていうのはずっと頭にあって。それは悪い意味でじゃないですけど。絶対に悔しさを晴らすって意味で。そういう意味で大会に臨めました。3・4年生は同じ気持ちだったと思うし、そういうことも含めるとやっぱりチームで得た勝利だと思います。俺らが4年になってから話し合いは多く持とうっていう話をしていたんです。言いたいことを言って、チームでコミュニケーションをとっていたので、いい結果に繋がりました」

―この試合では高橋選手(#24)が本当にいい働きをしてくれましたね。
「はい!本当に頑張ってくれました。僕と理(#32木村)は中学と高校とずっと上のほうでやってきた。大学では、彼が僕らに負けないようにってすごい努力をしていて。僕たち3人と後輩達で切磋琢磨して頑張れました。こういう存在があったからこそ、向上心を持ってできたし、ファウルしても『高橋がいるから』ということで思い切りできたというのはあります」

―後輩では鹿野選手(#45)が頑張りましたね。
「本当に!あいつは上手いんですよ(笑)。自慢の後輩です!ちょっと中務(#5)が不調だったんですけど、それでもベンチから出た洵生(鹿野)がちゃんと仕事をしてくれた。そういう意味で、今年のチームは層が厚いというか。今年は本当にそういうことを感じました」

―次はインカレですね。
「今日みたいな試合はしたくないです(苦笑)。健司さん(吉田監督)も言っていたんですけど、個人技術を上げて、そこからチームプレーをしていければ。ずっと『ディフェンスのチーム』って言われていたので、ディフェンスをもっと強化したいですね。そうすれば青学にも対抗できると思うし。個人的には、今回はちょっと外のシュートが入らなくて…。今日はインサイドってことで切り替えてできたんですけど、昨日は外から打っちゃったんで。こんな風にたまに偏ってしまうときがある。それで流れが悪くなってしまうっていうのは自分でも分かっています。そこは自分の気持ちをコントロールしてチームの中で何が出来るかって言うのを考えていきたいです」


081030katamine.jpg◆片峯聡太(筑波大・3年・G)
多くの声援が飛び交う中でも、片峯の声はよく聞こえた。
「『前半終わって10点差ならうちは走れるから大丈夫』って皆に言い聞かせていました」
ルーキー時にまずプレータイムをつかみ、2年目は新人戦でキャプテンとしてチームをまとめることと司令塔としてプレーを引っ張ることとを両立。だがインカレではスタメンガードの吉田周平(現JBL2・アイシンAW)の負傷をカバーしきれず、「日ごろの練習から信頼してもらえるよう、しっかり自分を見つめ直して、来年は自分がコントロールできるようにやっていきたい」と誓ったが、今シーズンは見事にそれを実行していた。
この片峯の成長とともに、筑波大というチームが“勝ちきる力”を手にしていったと言っても過言ではない。
試合後はチームメートに抱きしめられ、小さい身体が見えなくなった。


―念願の昇格です。タイムアップのブザーを聞いたときはどんな気持ちでしたか?
「いやー…もうすごい鳥肌が立って。もちろん嬉しかったし、あと『1部に上がらなければ』という使命感を強く持っていたのでちょっとホッとしたのが正直な気持ちでした。

―筑波大にとっても日体大にとっても勝てば1部、負ければ2部という状況でしたが、勝因はなんだったと思いますか?
「うちのチームのメンバーは皆そうだと思うんですけど、試合になるとどうしても(#31)梁川さんを見てしまう。でも、梁川さん1人でははっきり言って勝てないので、個人的には『自分の目の前の相手をやっつけよう』って気持ちでこの3戦目は入ったんです。それで試合中はミスもしてしまったんですけど、ずっと攻め続けたのが今日はよかったんじゃないかなと思います」

―5-20からよく1本ずつ返していきましたよね。
「そうですね、あの点差からすぐ追いつこうというのはギャンブルなので、1本ずつ。『前半終わって10点差だったら、うちは走れるから大丈夫だ』ってひたすら皆に言い聞かせていたんですが、皆も“1本ずつ”と意識できていて、誰も焦ってはいなかったと思います。『まだまだ、我慢しよう』って感じで。何よりこのチームは4年生が主体で、そういうときやっぱり頼りになりました」

―3戦までもつれましたが、やはり日体大は手強かったですか。
「リーグのビデオも観たんですけど、はっきり言ってそれとは全然違いました。気持ちがちょっと入っただけであんなに違うのかなって。正直、1戦目はもっと離して勝てるかなと思ったんです。でも向こうも意地とプライドがあったんでしょう。そういう面で2戦目は自分たちが受けに回ってしまって、あんな試合になってしまったと思います」

―1・2戦目は片峯選手のファールトラブルがあったのも大きかったですね。今日はコントロールして、最後の日体大のオフェンスもファールを使ってうまく封じていましたが、いるといないとでは大きく違ったのではないでしょうか。
「やっぱり自分もやらなきゃって気持ちがすごくあって、1・2戦はそれがちょっと裏目に出てしまったなと思います。でもこの3戦目は切り替えて。自分がコートに立っていないと…今年は、だめだと思うので。来年は(#34)田渡と一緒に頑張りますけど。今年のチームでは、プレーで引っ張るのは梁川さんで、そのサポートと、チームに覇気をずっと与え続けるのが僕の役目かなって昨日すごく考えていたんです。最後はその役割を果たそうって気持ちで今日ここに来たので、周りからそう見てもらえているなら嬉しいです」

―筑波大は、この入替戦を通して「ゾーンが苦手」と「勝負弱い」という2つのジンクスを破ったと思うのですが、いかがですか?
「はい、5-20になったときは自分の中でも2年前(※1)がちょっとだけよぎったんですけど、それを跳ね返すだけの練習をしてきたのでホントに焦らなかったです。それに日体大がゾーンできても、うちの吉田先生の采配が当たって(#5)鹿野が自信を持っていいところで決めてくれて。その2つを克服できたのはよかったんじゃないかなと思います」

―これでインカレに集中できますね。あと1ヶ月、どんな準備をしようと思っていますか?
「インカレでは明治・青学と当たるので、自分もチームももう1度ファンダメンタルを鍛え直そうと思っています。今日もミスが全部で20本あったんですが、それを半分にして、かつ確率のいいシュートを決めていかないと勝ち上がってはいけない。だからそうやって個を強くして、それをチーム全体に影響させていければ、自分たちの目標である『インカレ優勝』も果たせるんじゃないかと思います。個人としては、もうちょっと点数を取らないといけないんですけど、それを補えるだけのディフェンスと、あとズル賢さ・したたかさが僕の売りだと思うので…いい意味でですよ?(笑) そういうところを、もっともっと磨いていきたいです。実は、入替戦の1戦目は皆本当に思うようにできていたので、自分はでしゃばらないようにしていたんです。でもちょっとでしゃばったくらいが僕らしくていいかなって(笑)思います」

―その先には、1部リーグが待っています。まずはインカレだと思いますが、1部でこんなプレーを見せたいというのが今あれば教えてください。
「えーと…やっぱり1部はいいガードがたくさんいると思うんですけど、今年の2部で慶應とやったとき、僕のコンディションが悪くて二ノ宮(慶應大#16)に思うようにやられてしまったので、まずはちょっと借りを返したいです!(笑) でもチームとしても自分としても今のままじゃ全然だめだと思うので、『こいつがいれば安心』って思ってもらえるようなガードを目指して、来年1部でやっていきたいです」

※1 2年前、2部1位で1-2部入替戦に臨むも専修大のゾーンを攻めあぐみ、2戦目は勝ったものの通算1勝2敗で2部残留となった。


081030kano.jpg◆#45鹿野洵生(筑波大・3年・F)
この試合のキーマンとなった選手の一人。
筑波次世代のエースとなるべき人である。スマートなプレイで得点を量産するが、この日見せた強い気持ちからのオフェンスが、チームを救った。4年生が全員手放しで賞賛したこの力を、来年以降も発揮して欲しい。


―昇格を決めた瞬間は?
「この日のために2年間頑張ってきたのでとても嬉しかったです。とりあえず一番最初に聡太(#13片峯)と抱き合いました。チームで頑張ってきたことが報われたと思います!」

―試合に出るにあたって意識していたことはありましたか?
「いつも試合に入るときはディフェンスとリバウンドを頑張ろうと思っているんですが、オフェンス面では特に2戦目にファウルをもらうようなプレーをせずに外から打つ単調な攻めで相手に楽をさせてしまったので、今日は積極的にドライブに行こうと思っていました」

―第3戦は大車輪の活躍でしたが、自身の出来については?
「ゴール下のシュートミスは筑波に流れがこない一つの要因だったのでもったいなかったですね。外のシュートに関しては後半からオープンの状態をつくってもらい気持ち良く打てたのでよかったです。なによりチームの役に立てたことが嬉しいです!」

―第2戦の試合終了間際にベンチに戻った際に強い口調で吉田監督に何か言っていたように思えたのですが、何を話したのですか?
「相手のチームファウルが混んでいたので、僕としてはインサイドに入れたり、ファウルをもらうようなプレーでフリースローをもらい、そこからディフェンスを仕掛けていきたかったのですが、監督には『なぜシュートをうたないんだ!』と、消極的なプレーだと思われてしまい、その僕の意見を話していたら少し熱くなってしまいました(笑)」

―インカレへ向けて。
「1部昇格が決まって勢いにのっているので、インカレ優勝できるようにチーム一丸となって残りの一ヵ月頑張っていきたいです! 質問とは関係ないことなのですが……慶應大学との第1戦は僕のミスで負けてしまったのですが、みんな励ましてくれました。そして、それでも監督は僕を使ってくれました。応援してくれた方々もたくさんいて、僕もそのミスを取り返そうと入れ替え戦は頑張りました。そして結果を残すことができ、本当によかったです! チームのみんなや監督・スタッフ、応援してくれた方々にお礼が言いたいです! 本当にありがとうございました!! 筑波最高!」



081029AKAISHI.jpg◆#39赤石和弥(日体大・3年・G)
「少しだけなら」と話に応じてくれた後、「すみません」と言って立ち去った。
昨年はケガでリーグを棒に振り、リベンジを期して臨んだ今年は流れを変えるシックスマンとして短いプレータイムでも結果を残してきた。この入替戦でも小さい身体で何度もリバウンドをもぎ取り、チームを勢い付けた。
だが、勝利には届かなかった。
試合後、歓喜にわく筑波大の姿を見るに堪えず、ずっとタオルに顔をうずめていた。
“日体大”という他に類を見ない伝統校の一員として、当事者にしかわからないプレッシャーを背負い、戦い終えた。精一杯やったなら、謝ることはない。その「悔しさ」をパワーに変えた姿を、インカレや来年のリーグで見せてほしい。


―今、この結果をどう受け止めていますか?
「ショック、の一言です。本当は入替戦に来ること自体を回避できればよかったでんすけど、ここまで来たら絶対なんとしても1部に残りたいって気持ちが皆大きかった。1戦目は負けてしまったのですが2戦目は皆その気持ちを出せて勝って、その勢いで今日もいけると思ったんですけど…最後、ちょっとやられましたね」

―“気持ち”とおっしゃいましたが、赤石選手は特にリバウンドに飛び込んでいったりなど気持ちがすごく見えていました。
「とりあえず大きいことじゃなくて、小さいことで貢献できればチームが勢い付くと思ったので、そういう小さいけれど大事な1つ1つのことを頑張ろうと決めていました」

―ただ、最後はその気持ちが届かず。何が逆転される展開を引き起こしたと考えますか?
「やっぱり4Qに入るときにリードしていた部分で、チームが受け身になってしまっていたんだと思います。そこを相手に突かれたというか…。それでミスが出たときに皆で切り替えられなかったのと、インサイドを攻めることができずに全部外、外となってしまったのが要因だと思います」

―今は答えるのが難しいかもしれませんが、今シーズンはあとインカレが残っています。インカレに向けて今考えていることがあればお願いします。
「インカレの前に合宿があるので。そこでもう1回1から頑張って、この入替戦2戦目の終盤のようなプレッシャーをずっと掛けられて、そこから速攻を出せる状態が40分続けられるように、また鍛えてきたいと思います」
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