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第86回全日本大学バスケットボール選手権
筑波大学が3連覇を達成 3連覇以上の達成は1999年の日本体育大以来

2008.05.30 (Fri)

関東大学トーナメント 5/30準々決勝 慶應義塾大VS東海大

慶應義塾大76(19-18,20-22,8-14,29-17)71東海大
080530IWASHITA2.jpgここ数年の東海大と慶應大の対戦は好勝負が多い。3年前のインカレでは4点差で慶應大が破れた。2年前はリーグ戦で1勝1敗、インカレでは東海大が3点差で逃げ切って優勝した。昨年のリーグ戦では慶應大が2勝。優勝決定戦を上回る盛り上がりぶりを見せた。

昨年はともに怪我人に泣いた1年だった。しかしリーグ戦で東海大は3位、慶應大は2部降格と明暗が分かれた。そんな2チームの激突は予想通り激しいディフェンスからゲームを作る、1点を争う好勝負。両者の意地がぶつかりあった試合は、勝負どころで確実性を増した慶應大が最後の流れを掴んだ。

写真:岩下と中濱のセンター対決。ともに昨年より著しい成長を見せ、見応えのある戦いだった。

※試合のレポートと慶應義塾大・鈴木選手、小林選手、東海大・陸川監督のインタビュー、試合の写真は「続きを読む」へ。



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■GAME REPORT■
080530abe.jpgゲームの出だしを掴んだのは東海大かと思われた。#24古川(3年・F)、#36養田(2年・F)、#33西村(4年・G)のアウトサイドが連続で決まる。慶應大は#13田上(3年・F)、#4鈴木(4年・F)のバスカンもあるが、インサイドでは#35中濱(4年・C)が#7岩下(2年・C)をしっかり守り、簡単にはゴール下で仕事をさせない。それでも慶應大は#13田上の連続シュートで離されず、#7岩下がリバウンドからシュートを決めると#12小林(3年・G)が3Pを沈めてバランスよく加点する。ともに激しいマークでコートを駆け回る両チーム。岩下や#16二ノ宮(2年・G)、鈴木らも果敢にルーズボールに飛び込む姿勢を見せる。その激しさは危険とも紙一重でもある。ルーズボール争いで転がった#33西村は一度ベンチへと下がらざるを得なくなる。しかし東海大は#32安部(4年・G)が悪い流れを断ち切るように3Pを沈めると、両者ファールやトラベリングで得点がストップ。1Q終盤ベンチから入った慶應大#19酒井(2年・F)がフェイダウェイでシュートを決めて流れを作りかけるが、コートに戻った#33西村が囲まれながら出したアシストパスを#36養田が見事ブザーとともに決め、19-18と慶應大1点リードで2Qへ。

2Qも点の取り合いとなった両者。東海大は#33西村のドライブ、#24古川も#12小林のマークをかいくぐってボールを得るとシュートを決める。しかしインサイドでは慶應大もなかなか勝負ができず、外からの攻撃が多い。東海大も#33西村から#36養田へのパスが通らないなどミスもあるが、それでも西村は勝負強く3Pを沈め慶應大から4点リードを奪う。慶應大は#12小林がミドルシュートを決めるとフリースローも得て同点に戻す。#7岩下も2連続で#32安部をブロックし、チームを盛り上げる。東海大は残り5分で#29嶋田(3年・C)を投入。その嶋田が速攻を決めると#18松岡(4年・G)のミドルシュートも決まった。どちらも集中力が途切れず2Qは39-40と今度は東海大が1点リードで終えた。

080530kobayashi2.jpg3Q、東海大のゾーンディフェンスが機能する。慶應大は中で勝負できず、シュートチャンスが得られない。残り6分の#12小林のシュートを最後に、完全に得点が止まってしまう。ターンオーバーの連続にバタバタしかけるが、昨年ならもっと崩れそうなところをディフェンスではしっかり東海大を守る。この隙に慶應大を突き放したい東海大は#36養田のミドルシュート、スクリーンからの#24古川の3P、#32安部も古川からのアシストパスをきれいに決めた。#35中濱の得点で差は47-54と7点差。しかし残り3分間東海大も無得点に終わった。慶應大はなんとこのQ8点。しかし対する東海大も14点に止まったことが4Qの勝負につながっていく。

東海大は4Q開始早々#33西村がシュート。9点差に開く。追う慶應大だが、この日の#12小林は落ち着いている。むやみに外から打たず、中へと攻め込んでフリースローを獲得。集中しており、これを落とす気配がない。#13田上がシュートカバーで7点差に戻すと、疲れの見える#7岩下も懸命にゴール下で粘る。セルフリバウンドにいったところでファールを取られてしまうが、#12小林が悪い流れを断ち切るミドルシュートを決めると、#7岩下もそれに続き55-58まで戻すことに成功した。東海大はここでタイムアウト。応援団から「東海」コールが巻き起こると、慶應大もそれを返す。繰り返されるコールがチームを後押しする。それに応えるかのように#12小林が3Pで58-58に戻すと、#32安部も3Pで入れ替えし、ボルテージは上がっていく。
試合は残り5分、慶應大は#12小林と#7岩下、東海大は#32安部というはっきりした構図となった。東海大はここまで岩下をよく守っていた#35中濱が連続ファール。残り3分で岩下は中濱をかいくぐり、遂に逆転シュートを決める。なおも慶應のリズム。#7岩下が再び得点すると#12小林はバスカンを獲得し、ドライブが続いて74-66とその差を広げた。残り1分半、東海大もあきらめない。#16二ノ宮のターンオーバーから速攻に走り5点差。慶應大は#16二ノ宮のレイアップがオフェンスファールの判定に。45.3秒の5点差ならばアウトサイドのある東海大にまだ勝機はある。しかしこの大事な局面、安部、古川のシュートが立て続けに外れ、リバウンドは#7岩下に。東海大はファールで試合を止めるしかなくなる。#7岩下は確率が良くないながらも2度のフリースローを1本ずつ決めて76-71。歓声がはじける。慶應大が逆転で勝利し、28年ぶりのベスト4に名乗りを上げた。


◆#4鈴木惇志(慶應義塾大主将・4年・F)
080530SUZUKI.jpg今期は1部復帰という重い責任を負う主将。
メインで出場する唯一の4年生として、コートで声を出す。
大事なところで締める存在感を見せる。


-試合前に28年ぶりのベスト4がかかっていると言われたそうですが。
「自分は別に考えてないですね。それよりはリーグとインカレで上位に来るだろうなという東海に対して、ともに頂点を目指しているチームとしてどうやりあえるかなというのが大事でした」

-その東海大ですが。
「西村(#33)が本調子ではなかったので、そこに尽きるかなという気はします。それでもやられているんですが、後半はつらそうでしたし。ボクが当たってしまってすごく申し訳なかったですけど、本当ならもっとやってくるという気はしました。でも2ガードに注意しろと言われていて、そこは何とか押さえたいと思ってやっていました。安部のところはスピードがあると聞いていたので少し離して守って、ミスマッチでもあったし、まあまあできましたね」

-途中でゾーンにはまって得点が止まってしまいました。
「でもすごく声を出していたし、みんなも全然あきらめていなかったのでそこは良かったですね。今年のチームは今まで見られないような光景だったと思います。本当にあきらめてなかった。自分でも『おおっ』と思いましたね(笑)」

-明日は法政大が相手ですが。
「これで負けてしまったら東海の人にも何やってんだと言われてしまいますから、しっかりやりたいと思います」





◆#12小林大祐(慶應義塾大・3年・G)
080530kobayashi3.jpg落ち着いていた。
これまでなら自分で押さえがきかなかった部分で判断力を失わなかった。
感情に素直でそれがプレーにも表れる。
その起伏に逆らわず、乗り越える術を身につけつつある。
勝利の瞬間、久しぶりに心からの笑顔がはじけた。


-ベスト4おめでとうございます。気持ちは?
「もう、28年ぶりというのを試合前に聞かされてすごく気持ちが強くなりました。歴史に名を残そうと。知らなかったですから(笑)。でもそういった気持ちで臨んだんですけど、出だしは空回りして嫌な部分が出たなとは思いました」

-先にリードされた形でしたからね。後は3Qで8点しか取れず、離されてしまいましたが。
「一時10点離れて流れは東海だったんですけど、焦りはしなかったですね。周りのメンバーを見ても『やばい』という雰囲気でもなかったし、タイムアウトで戻ってきてもベンチで活気ある言葉をかけてもらって、自分としても『まだいけるんだ』って励みになりました」

-昨年ならそこで浮き足だって無理に攻めてターンオーバーという場面も多かったように思いますが、そこはベンチのおかげもあると。
「佐々木先生が集中が切れそうな時にちょくちょく交代してくれて、自分も落ち着くことができた。采配には感謝してます」

-佐々木HCとうまくかみ合わない時期もありましたが、今年はどんな気持ちでやっているのですか?
「2年生の時は自分が子どもだったですね。セルフィッシュな部分があって言われたこともやらなかった。今年はそういった気持ちを変えることができたのが大きいです。そのきっかけは今年は慶應大が150周年を迎えたというのがあります。自分として慶應に入ったことはすごく誇りだし、恩を受けたら返したいという気持ちが芽生えてきました。僕らが何かした訳ではないけど、いろんな奇跡が巡ってきた結果、今150年目に僕らがここにいる。そういう年に結果を残すことが慶應にとっても自分にとってもいいことになるんだと思っています」

-みんなが昨年からずっと心配しながらも成長して欲しいと小林選手のことを考えていると思いますよ。
「ファンの方やいろんな方から声をかけられて本当にありがたいなと思っています。OBたちもいつも来てくれて。本当なら2年生の時からそういう(感謝の)気持ちでやれなければならなかったんですが、去年は1年の時の気持ちのままやっていましたね。今はみんなが見守ってくれていることに感謝してますし、自分が卒業したらそうやって後輩を応援したい、返したいという気持ちにもなっています」

-最近声を出すところもよく見えるようになりました。上級生として後輩にも普段から言っていますか?
「言いますよ。でもみんなが言いますね。後輩は大人です(笑)。練習中から全員でハドルを組む部分も出てきました。惇志さん(#4鈴木)さんが言ったり、ニノ(#16二ノ宮)が言うこともある。岩下(#7)もそうだし田上(#13)も。全員が自覚して確認しあうようになってきました。だからすごくうれしいし、練習が楽しいです」

-とはいえ、まだベスト4。明日もありますね。
「今年は結果が全てですね。何としても結果を残したい。そう思って明日も取り組みます」




◆陸川 章(東海大HC)
080530RIKUKAWA.jpg―何が試合の勝敗を分けたのでしょうか?
「勝負所でのリバウンドをうちが取りきれなかった部分、岩下君(慶應大#7)の成長、高さ。まぁ、小林君(慶應大#12)はある程度やってくるとは想定してたんですが、やっぱり岩下君の存在が大きかったと思います。リバウンドを我々がしっかり取っていれば、流れを掴みかけたと思うんですが。やっぱり勝負を分けたのはそういう部分だと思います」

―終盤に中濱選手(#35)に疲れが見えたときに、嶋田選手(#29)を使わず中濱選手にこだわった理由はなんでしょうか?
「嶋田も非常に頑張ってくれていたんですが、前半少しボールを見なかったり、少しミスが出ていたんで。勝負所であのミスはちょっと怖いと思ったので、中濱を最後の勝負で使いました。ちょっと長くなっちゃったんですけど」

―センターのマッチアップが今日の鍵となったと思います。その中で中濱選手はリバウンドにブロックに大活躍を見せましたが、昨年からなぜあれほど成長したのでしょうか?
「まず彼自身のポテンシャルの中にリバウンドに行くとかブロックするとか、人があんまり好きじゃないところをすごい頑張れる選手なんですね。あまりベラベラ喋る人じゃないんですが、そういう人間性がそこにすごい出ていると思います。今日は何回も向かってくれたし、岩下君とそんなに負けてなかったと思います。去年の(インカレでの)ママドゥ選手(浜松大)の時も、欲を言ったらもっと持ってる能力を開花させてもらえたかもしれないと思ってます」

―終盤に小林選手が勢いに乗ってしまったわけですが、何か対策というのは?
「もともと彼はそういうふうに来るわけですから、3Pだけは簡単に打たせちゃだめだとは話してます。ポストアップの時は体で守るっていうことは昨日から練習はしています。こっちもなかなかそこまでプレッシャーをかけられなかったかもしれないですが、やっぱり彼がそれだけの力があるということだと思います」

―西村選手(#33)の負傷というのは予想外の状況だったと思いますが、それが与えた影響というのはなんでしょうか?
「やっぱりまず彼がリードガードでポイントゲッターなのは確かなんですが、そこの部分を差し引いたとしても松岡であるとか安部が彼の穴を補い、またもっと力を出してくれたんじゃないかと思います。これは怪我の功名だと思います。本来西村がいたら他の選手のプレイタイムは無かったと思います。プラス面としてはそういうことを経験できたということと、んーこれはちょっとですが、怪我。これは勝負の中であることだからそこでチーム力が落ちない、勝ち切れるっていうチームを作らなきゃだめだなと感じました」

―試合中の西村選手を見ていて痛々しかったですが、それでも試合に出続けましたね。
「やっぱり彼は本当のリーダーです。このチームのキャプテンでもあり、日本学生選抜のキャプテンもやっていますから、やっぱり闘うっていう気持ちは前面に出してくれたと思います。毎回トレーナーとコーチが彼の前に通ると“コーチ大丈夫です、大丈夫です”っていつも言ってくれるし、“コーチもうちょっと待って、今松岡(#18)頑張ってるから”っていうふうに。私としてもすごい嬉しいし、チームにもいい影響を与えてくれていると思います。とにかく今は治して、彼が出ると言ってもドクターに様子を見せて明日以降の試合は判断します」

―終盤の指示というのは?
「確かにリードから追いつかれたときに、うん、想定内であるといえば想定内なんですよ。みんなに言ってます、今日。絶対1点、2点争うゲームになるから粘らなきゃだめだよ。それと我々練習のときに残り2、3分で6点とかのビハインドのゲームをやっているので、こういう想定をやってきたじゃないか、ファウルゲームなら時間との兼ね合いでファウルすれば間に合うという。みんなシミュレーション通りやってくれたと思います。そこで入る入らないっていうのはあるんですが、ちゃんとファウルゲームに入ってくれたし。残念な結果には終わりましたが、誰もあきらめていなかったと思います。練習した通り、シミュレーションした通りやってくれて、結果は出せなかったけどほんと感謝してます」

―今大会にはなにより強い思いで望んだと思うのですが、春のトーナメント初優勝が叶わなかったことについては?
「非常に悔しいということと、まずこれが現実なんだと。これをまず受け入れると。受け入れないと次に一歩踏み出せないんで、更なる努力が必要なんだとみんなで認識しなおします」

―この先リーグ戦もありますが、この試合で得たものは何でしょうか?
「まだあと2日戦えることですね。ボディーブローを食らった後に明日どう戦えるか、これが成長の鍵だと思います。まだ成長段階です。これからチャレンジします」
写真:ベンチから西村を送り出す。顔をしかめる西村はこの時すでにかなりの痛みを抱えていたのだろう。



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フル出場の岩下。体力的には厳しいはずだが、最後の大事な場面で中濱を上回った。


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厳しいディフェンスにあいつつも、14得点。小林とともにチームを支える田上。


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激しい攻防に、西村は何度も床に転んだ。しかし顔を苦痛に歪めながら試合に出続けたその精神力には恐れ入る。


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 昨年からの自分の決定力に満足できていない古川。「考えすぎないようにはしている」と言う。しかし小林31点に対し、10点とはっきり差が出た。シューターとして試合でどう確率を上げていくか、まだまだ向上の余地がある。


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仕事人・養田は11得点。スタメンにも定着し、味のあるプレーを見せる。


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これだけ囲まれながらもアシストパスを出す西村。パスを受けた養田は苦しい体勢からブザービーターでそれに応えた。


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ボードに思いを込める東海大応援団。両チームに巻き起こった「東海コール」と「慶應コール」の応酬は、これぞ学生バスケの良さ、といったところ。


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小林が声を出してチームを落ち着かせる。こうした態度も彼が成長した証と言えよう。


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テーマ : バスケットボール(日本) - ジャンル : スポーツ

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