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2018.12.09 (Sun)
【2018リーグ1部・コラム】2年生たちの台頭

チームの未来を担う選手たちがリーグ戦で見せた成長
〜飴谷由毅(大東文化大#2)・小酒部 泰暉(神奈川大#75)・荒谷裕秀(白鴎大#23)〜
チームの実力をはかる指針の一つに、節目節目に新たな選手が出てくるかどうか、というものがある。中でも長丁場のリーグ戦は安定して戦うためにも戦力は多い方ほど良く、ここで出場機会を増やして伸びていく選手の存在は欠かせない。それはBチームで努力を重ねて上がってくる上級生かもしれないし、実力ある下級生かもしれない。1部リーグでは今年、この先の成長が楽しみな2年生たちが何人も頭角を現した。今が伸び盛りと言える2年目の選手たちに焦点を当ててみたい。
「期待されている以上、それに応えていきたい」
〜#2飴谷由毅(大東文化大)〜
昨年インカレ初制覇を成し遂げた大東文化大。長らく2部と1部を行き来しながら地道に力をつけてきたが、今季のリーグ戦でも2位に入り、今や立派な1部強豪校だ。今年飛躍的にプレータイムを伸ばし、チームが苦しいときに鮮やかな活躍を見せたのが、今年から出番を得ている飴谷由毅だ。身長190cm、細身の身体はまだ下級生らしさを残すが、高い跳躍力を持ち、リバウンドや速攻は伸びやか。立ちはだかる相手チームのインサイドの壁にもひるまず、ぶつかっていく強さも備えている。昨年は1年生で唯一のベンチ入りを果たしていたが、出場機会はほとんどなかった。しかし2年目に入るにあたり、西尾監督は「昨年1年生で一人だけベンチ入りを果たした意味を、本人はわかっているはず」と発破をかけた。その言葉に応えるように、春から急成長を見せている。

「昨年の葛原さん(現Bリーグ富山)の仕事が、今年の自分の仕事だと思っています。西尾監督にもそれは言われています」。
監督の言葉を、飴谷も痛いほど自覚している。インカレを制覇したときに欠かせなかった主将の葛原が抜けた分の働きをこなすのは、今年は自分だと春から言い続けてきた。高い身体能力を持ち、指揮官から期待のかかる逸材だが、彼の良さはそのポテンシャルだけではなく、常に一生懸命にプレーできるところだ。ディフェンス力の高い大東文化大は、チーム全体が粘りを持っているが、飴谷も最後まであきらめない選手。その根底には絶対にボールを取る、という強い気持ちがある。
「飛び込みリバウンドなどは勘もあると思います。でも、跳んでおけば自分は手足の長さを活かして高い位置でボールに触れることができます。絶対に自分のボールにできる、と思って跳ぶだけですね。それに、チームとしてもどんなときも泥臭くディフェンスをまとまってやるように練習を継続しています。負けても、どんなときもディフェンス、ディフェンスと突き詰めて練習していくことで、自分の中にどんなプレーでも最後まであきらめない粘りが蓄積されていっているんだと思います」。

「監督からは将来も見据えて、選手としてさらにグレードアップして欲しいという話もされています。だから今できているプレーだけではなく、アウトサイドのシュートやドライブといった幅広いプレーを積極的に習得しているところでもあります」。
その言葉通り、リーグ戦では春に比べて外のシュートを打つシーンも多く見られるようになった。外も自分の強みにすれば、チームをもっと助けることができると今は痛いほど感じている。2巡目の筑波大戦で負けたあとは「自分がもっと決められたら。もっと練習しないと」と、決意を新たにしていた。
「学年が上がり、求められていることも増えました。外のシュートがないというのはこの先プレイヤーとして有り得ません。アウトサイドはもちろん、ドライブもそうです。期待されている分、それに応えないといけません。そうでなければ出られない人もいる中で自分が出してもらっている意味がないし、多くの人に支えてもらっているからこそ、成長しないといけないと思っています」。
求められていることを素直に受け入れ、それに向かってひたむきに努力しようとする姿勢。それがあれば、まだまだ伸びていける。これから先、飴谷はまだいくつもの階段を上がっていけるだろう。
飴谷由毅
#2/SG/190cm/77kg/富山工業/2年
#2/SG/190cm/77kg/富山工業/2年
「悔しかったから、シュート練習を積んできた」
〜#75小酒部 泰暉(神奈川大)〜
ダイヤの原石、と評されるのは神奈川大の#75小酒部 泰暉だ。神奈川県の最西端にある山北町に生まれ、小学生から高校まで同地で過ごした小酒部。所属した地元のバスケット部は強いわけではなかったが、抜群の跳躍力を持ち、オールラウンドなプレーでチームを牽引する小酒部は県内では知られた存在だったという。本人は神奈川大へは地元だから「普通に受験しよう」くらいの考えだったと言うが、幸嶋監督のかける期待は大きい。また、今季はチームが1部に昇格したことで注目され、小酒部の能力も大きく花開くに至った。

昨年、彼がルーキーイヤーの神奈川大は3、4年の上級生が多く、リーグ戦ではスポット的な出場にとどまった。自身、「まだ大学の練習にも馴染めていなかった」と、チームルールや大学の練習のレベルに慣れるまで少し時間が必要だったようだ。だが、インカレ時には既になくてはならないバックアップ選手となっており、神奈川大初のベスト8にも貢献した。そして、そのインカレの戦いが彼の成長を大きく促すことになる。
インカレのベスト4がかかった試合は、その年の1部リーグを制した拓殖大との対戦だった。この年の拓殖大はルーキーのドゥドゥ ゲイと岡田侑大を両エースとし、得意のオフェンスで勝っていくチーム。一方、守備力に定評のある神奈川大は1Qから拓殖大をロースコアに押さえて接戦を繰り広げ、最後までわからない勝負になる。この試合、小酒部はゲーム終盤の勝負がかかった場面で自分が放ったスリーポイントが決められなかったことを、今でも悔やんでいる。
「もし、自分があのスリーポイントを決めていたら勝てたかもしれないし、延長に持ち込むとか、勝機があったと思うんです。だから本当に悔しくて。この春からそのためにシューティングをしてきました」。

その後も「自分の出来が勝敗を決める」と常に高い意識で試合に臨み続け、リーグ戦では1試合平均で35分近いプレータイムで、工藤卓哉らをはじめとする4年生のエースたちとともにチームを支えた。順位的には苦しんで9位となったが、挑戦という意味では得たものは小さくないに違いない。個人ランキングでは得点、スリーポイント、リバウンドでトップ10以内に食い込み、その能力の高さを示した。また、「やってみたい」と言っていたキャリアのある選手たちとのマッチアップも刺激を得ただろう。「まだまだプレーのバリエーションも、スキルも上げたい」と言うだけに、ここからの輝ける飛躍も大いに期待したい。
小酒部 泰暉
#75/SF/184cm/70kg/山北/2年
#75/SF/184cm/70kg/山北/2年
「ディフェンスでも流れを作っていく選手を目指す」
〜#23荒谷裕秀(白鴎大学)〜
今季のリーグ戦で後々まで記憶に残るであろう一戦が、9月12日の第6戦、白鴎大と拓殖大の試合だ。この試合はのちにBリーグの三河入りした拓殖大の岡田侑大が58得点を記録した試合であり、両チーム合わせて20本の3Pが沈む熾烈な点取り合戦でもあった。終始両者の集中力は切れず、100点を超えて延長戦にもつれ込んだが、終盤になってその得点能力を発揮し、チームの大きな助けになったのが、白鴎大の荒谷裕秀だ。アウトサイドシュートをしぶとく決めた白鴎大の髙間 龍之介や、岡田のマークマンだった前田怜緖らの要所の活躍も光った。その中で合計31点を挙げた荒谷は、119―117の2点差のゲームを制するに当たって見逃せない働きを見せた。

この春はトーナメントからの出場を果たし、新人戦ではベスト8入りに貢献。独特のタイミングでペイントに切れ込むプレーのリズム感と、抜群の得点感覚が光る。
「外のシュートよりはそういったプレーが得意ですね。春のトーナメントで公式戦に初出場したときは緊張があってうまくできない感じもありました。でも試合に慣れてきて新人戦ではベスト8入りの結果が残せました。ここでうまくプレーできたのも、春に準決勝や3位決定戦に出て少し試合に慣れたおかげだと思います」。
新人戦のあとでそんなふうに語っていたが、リーグ戦ではもっとチームに欠かせない存在となり、件の拓殖大戦では荒谷のプレーが何度もチームを救った。しかも、この試合で取った31点のうち、4Qと延長戦だけで17点を入れたのだ。リーグ戦の抱負として、「まだ他のチームにスカウティングされていないであろう自分だから、チームの役に立てることがあるはず」、とも言っていたが、第6戦のプレーはまさにそれに当てはまるような状況だった。この試合後もやはり「新人戦で自信がついたから」と控えめな態度だったが、その後は得点面で確かに計算できる選手としてプレータイムを伸ばしていく。そんな荒谷に課題を聞くと、アウトサイドのシュートとディフェンスという答えが帰ってきた。

白鴎大はディフェンスを重要視するチーム。それができた上でのオフェンスであれば、今より荒谷はもっと強力で存在感ある選手になるだろう。ディフェンス自体は「得意じゃない」と素直に認めるが、それが何よりも大事だということも理解している。
今季のチームは1部の中盤でリーグ戦を終えたが、荒谷の成長がチームの躍進と重なっていくかどうか、そういったところもここから見どころになっていくだろう。
荒谷裕秀
#23/PF/188cm/78kg/東北/2年
#23/PF/188cm/78kg/東北/2年
2年生たちはいずれもまだ多くのことを学び、身につけようとしている段階だ。課題に正面から向き合い、克服していくこと、そして目指すところをはっきりと持ち、高い意識で臨んでいる姿勢が感じられる。20歳前後はまだ多感で、揺れもある。だが、学生時代だからこそ得られる豊富な練習時間を活かして素直になんでも習得し、伸びていける時期でもあることは間違いない。すでに自分のやるべきことを意識した彼らの、ここからのもう一段階、二段階のステップアップを楽しみにしたい。
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