サイトを移行しました。現サイトはアーカイブとして継続してご覧いただけます。 http://bojweb.com |
2017.10.31 (Tue)
【2017関西リーグチャレンジマッチ決勝】10/31 大阪体育大VS関西大
インカレへの最後の切符をかけた激しい消耗戦
好勝負は僅かに上回った大阪体育大に軍配
新チーム発足以来好成績を残し続け、リーグ戦では危ない試合も演じつつも2部を全勝で制した関西大。全関は準優勝ながら関西学院大・近畿大とのデットヒートの結果1部5位に甘んじた大阪体育大。2017年の関西リーグチャレンジマッチは、この2チームによる顔合わせとなった。一昨年のチャレンジマッチを制し2部所属ながらインカレ出場を果たしている関西大は、この1年間この舞台での勝利を最大目標としてきた。一方、現メンバーにはインカレの経験がない大阪体育大は、過去のリーグ戦では惜しいポジションにつけながらあと一歩インカレには届かず、今回はチャレンジマッチからの出場を目指す立ち位置となった。
試合は実力のあるチーム同士、どちらもインカレ出場を渇望してきただけあって、その気持ちが序盤からぶつかり合い、激しい攻防が僅差のスコアでずっと続いていくこととなった。平日夜の開催にも関わらず、例年より多く詰め掛けた観衆のどよめき、互いの応援団のため息、そして歓声とが大きく響きながら交錯し、時間が経過するごとに独特の緊迫感が次第に高まる。更に後半は関西大をファウルトラブルが、大阪体育大にはそれに加えてまさかのアクシデントが襲い、激しい消耗戦の様相をも呈していく。例年ほど飛び抜けた存在がなく、クロスゲームが多かった今季の関西でも、一番と言って良いほどの好勝負だった。
どう転ぶか分からない試合で、最後に勝利の女神を振り向かせたのは大阪体育大。今のメンバーにとっては未踏だったインカレへの重い扉を、遂にこじ開けてみせた。
写真:目標の一つとしていたインカレ出場を、自身のラストチャンスで決めた内藤の目頭が、終了と同時に熱くなった。
※詳しいゲームレポートと、大阪体育大・内藤選手、関西大・井上選手のインタビューは「続きを読む」へ。
先行したのは関西大だった。#7河野(2年・C)のゴール下や#11森田(3年・PG)の3Pなどで快調な滑り出し。大阪体育大は、中を固める相手にタフショットが多くなり後手に。そんな中でも#9内藤(4年・SF)が得点して気を吐く。関西大も#5石野(3年・SF)が2連続3Pを決めて、序盤からスコアが激しく動く。関西大1点リードという1Qの僅差の構図は2Qも変わらず、大阪体育大は#4草川(3年・PG)が落ち着いてジャンプシュートを決めれば関西大も#34井上(4年・SF)が返して引かない。ただ、インサイドでは関西大がやや優位に。#31梶原(3年・PF)が#13伴(3年・C)を3ファウルに追い込み、その後も着実に加点。大阪体育大もなんとか#9内藤や#7山田(2年・SG)の3Pなどで食らいつくものの、速攻のシュートを落としたり、3秒オーバーを犯したりと、どこか波に乗り切れない。点差は僅かながら、36−34とこのQも関西大リードで終了した。
しかし後半開始すぐ、様相が変わる出来事が発生。リバウンド争いで#31梶原が3つ目を吹かれてしまい、関西大に不穏な雰囲気が流れる。この先も関西大は判定に対応しきれず、3Q5分経たずして#5石野が4ファウルに。この間に大阪体育大は#4草川、#13伴、#30藤本(1年・PG・育英)といった面々がバランス良くシュートを決めて、逆転からリードを引き離しにかかる。ただ関西大も反転攻勢。#21窪田(2年・SF)のバスケットカウント、#31梶原も得点を重ねて離されない。直後には大阪体育大#13伴、関西大#31梶原が4つ目のファウルを犯し、両者にプレッシャーがのしかかる。関西大は代わって入った#33関野(2年・PF)が大きな3Pを決めて、ビハインドを縮める。その直後、この試合最大のアクシデントが大阪体育大を襲うことになる。ドライブを仕掛けた#9内藤が相手との接触でターンオーバー。逆速攻を#0足立(2年・PG)に決められて再度逆転を許したのはまだしも、接触した内藤がその場にうずくまったまま動けず、ベンチに下げざるを得ない。この直後に3Qが終了。大阪体育大は、思わぬ状態に追い詰められて最後の10分間に入ることとなった。
絶対的エースの治療がいつ終わるか分からない状態で4Qを迎えることとなった大阪体育大。最初は関西大#7河野に得点を許し、悪い雰囲気に落ち込むことも考えられた。しかし、ここから光ったのが#7山田と#13伴。まず#7山田が次々とバスケットへのアタックにフリースローをコツコツ稼いでまたもリードを奪う。すると#13伴も大きなバスケットカウントで続き、#9内藤の不在を感じさせない。この状態となった残り5分、応急処置を終えた#9内藤をコートに戻すと大阪体育大の応援席は大歓声に包まれる。ただでは終われない関西大も#33関野、#31梶原が意地の得点を決めるが、その都度#13伴と#7山田の両名が返して点差が縮まらない。残り3分、大阪体育大は#7山田のドライブが決まって大きな7点差とした。関西大はシュートまで持ち込むものの、確率が上がらずに時間が経過し次第に苦しくなる。#11森田の得点で迫ったのもつかの間、リバウンドを取りきれずにターンオーバーが出てしまい尻尾を捕まえきれない。残り1分、またも#13伴に値千金のバスケットカウントが飛び出し、大阪体育大に勝利が近づく。6点差とされた関西大は、アウトサイドを狙うが決めきれず、やむなくファウルゲームを選択。#34井上の3Pが決まって点差を3点にまで戻したが、大阪体育大は残り時間僅かで上手く運んでボールをキープ。最終スコアは78−75。僅かに3点だけ上回った大阪体育大が、インカレへの切符を勝ち取った。
リーグは5位に終わり、このチャレンジマッチにインカレ出場を持ち越す形となった大阪体育大。リーグ最終戦では敗れても点差を離されなければ4位を確保できたが、よもやの大敗。さすがにこの日に引きずってしまうことも考えられたが、思うような形でスコアを伸ばせない場面があっても集中は切れなかった。終盤にはまさかのアクシデントにより一旦内藤をベンチに下げたが、3年生以下のみとなった時間帯でむしろリードを拡大。また一歩、このチームが成長したことを示した。インカレは、これまで実力がありながらもなかなか駒を進められず、現メンバーにとっては初めての出場になる。関西で地道に磨いてきたバスケットが、どこまで通用するか注目だ。
関西大は今季2部所属ながら、ほとんどそれを感じさせない戦果を残してきた。インサイドの強さ、アウトサイドの能力は関西上位のレベル。もし今季1部にいれば――。たらればを考えることは得てして禁物とされるが、今年の関西大ほどそんな切り口で語られうるチームは、そう多くはないだろう。今年のインカレ出場はならなかった。来年は1部リーグで戦うことができるが、最近は1部昇格を果たしても1年で降格を余儀なくされる結果を繰り返してきた。一筋縄ではいかないだろう。
ただ、これがラストゲームとなった主将の井上は言った。「そういう部分は、全部自分が断ち切った。それだけは自信を持って言える」と。
写真上:関西大・梶原は、ファウルトラブルに苦しみながらも存在感を見せた。
写真中:最終盤に勝利に近づくプレーを続けた伴が、ガッツポーズと同時に思わず顔をゆがませた。
写真下:最後はお馴染みのコールを東淀川に響かせた大阪体育大。関西屈指の応援が、インカレの舞台でとどろく。
【INTERVIEW】
「岸田がいない時に終わりというのは違う。
なんとしてもインカレに行かないと、と思っていた」
◆#9内藤健太(大阪体育大・4年・SF)
タイムアップの瞬間、こみ上げてくるものを抑えることは出来なかった。インカレへの道はこれまでチャンスがありながら閉ざされてきた。だからこそ感激もひとしお、という状態だったのも無理はない。予期せぬアクシデントで痛みに表情を歪ませながらも、ベンチで応急処置を済ませると声をかけられずともすぐ交代に走った。その姿には、下級生時代からこのチームを一緒に支えてきて負傷離脱となった岸田の分もチームを引っ張る、という気持ちが滲み出ていた。インカレは、負傷の程度次第の部分もあるかもしれないが、大阪体育大のユニフォームを着てプレーする最後の機会。関西では絶対的なそのスコアリングセンスを、全国の舞台でも100%発揮するだけだ。
—最後は涙を抑えることができませんでした。
「そうですね(笑)。喜びしかなかったです」
—やや前半は苦しんだ印象でした。
「この前の近大戦から、オフェンスで上手くいっていない部分がありました。それをチームとして引きずってしまったというのと、自分もマークがきつくて攻めあぐねてしまう部分がありました」
—ハーフタイムではどのような話がありましたか。
「今日一日、楽しんでやろうとみんなで言っていて、ハーフタイムでも比嘉さんから『残り20分しかないぞ』と言っていただいて。難しいことは考えずに、自分たちはディフェンスからファストブレイクをするしかないので、それをやろうと話し合いました」
—後半は積極的な仕掛けで相手のファウルを誘い、流れをつかんでいきましたね。
「リーグ戦からフリースローを多くもらうシチュエーションがあったので、点が入らない時こそファウルをもらってフリースローで稼げという話がありました。それがみんな実行できていって良かったです」
—そんな中であのアクシデントでした。あの瞬間考えていたことは。
「最初はもちろん痛いということしかなかったですけど(苦笑)、コートの隅に下がってからは『自分が出るしかない』という気持ちでした。負けたら最後の試合になることもあって、悔しいという気持ちもありました。ただ、治療しながらゲームを見ていて後輩たちがとても頑張ってくれてリードをしていて、追いつかれる不安もそんなにないかなとは思っていました。でも最後はどんな形でもコートの中で終わりたいと思っていたので、早く治療が終わってくれとしか思ってなかったです」
—その思いは、やはり責任感があるからこそ、でしょうか。最後は自分がコートに立とうと?
「そうですね。比嘉さんからも日ごろから言われていて、勝つにしても自分が試合を決めて、負けるにしても自分の力不足で負けているという感じが自分の中にあったので、最後までというのは試合の前から決めていたことなんですけど、それがチームメイトにもうまく伝わって、後輩たちも勢いづいてくれたので、それは良かったと思います」
—僅かながらの差でしたが、勝利をものにできたのは何が大きかったですか。
「力は拮抗しているので、ここまできたらインカレに行きたい気持ちがどっちが強いかということと、僕らは岸田がコートにいなくて、今日は教育実習でいないんですけど、岸田がいない時に終わりというのは、チームにとっても僕にとってもそれは違うな、と思っていました。だからなんとしてもインカレに行かないといけないと思っていましたけど、最後にそれが出たのかなと思いますね」
—最初で最後のインカレです。どういうものにしたいですか。
「自分も初めて行くことになるのでどういう雰囲気になるのか分からないですけど、体大らしいバスケットをしたいと思います」
----------------------------------------
「心から4年間やりきったと思える」
最大目標には届かずとも悔いなく、潔く
◆#34井上諒汰(関西大・4年・主将・SF)
類まれなリーダーシップで、昨年の入替え戦後の新チーム発足から大所帯のチームを力強く牽引してきた。入学当初は環境面で戸惑い、迷いもあったというが、強い気持ちと主将としての責任感で、悪い部分をチームから消し去ろうと腐心。この1年での新人戦優勝、全関の5位、2部全勝優勝での1部復帰は、彼の姿勢なくしては決してなし得られなかったことだろう。今季の最後にして最大の目標であったインカレ出場には、あと僅かのところで及ばなかった。ただその表情は、一点の悔いもなくやりきったからこそ、実に清々しく晴れやかだった。涙は見せることなく、後輩たちに関西大の次代の夢を託した。
—最後はさっぱりした表情で、涙はありませんでしたね。
「結果としては、残念とかそんな言葉じゃ言い表せないくらいです。この日のために一年間やってきて、最後の結果が実らなかったというのは確かに事実なんですけど、去年2部に落ちて、そこからチームを作り直してきて、チームの風土を変えようと思って必死でやってきたこの一年間や、最後の最後まで後輩たちが向こうよりも必死になってリバウンドに行き続けてくれたというのは、間違いなく僕が声を出してやってきたからだと自信を持って言える。決してこのプロセスが、この結果に消されないと思うくらい、心から4年間やりきったと思える。だからそういう表情だったんだと思います」
—今季は一貫して安定した戦績で、どんどん自信を深めながらの一年間だったと思います。
「最初にチームが出る新人戦で優勝の目標から始まって、まずその新人戦で後輩たちが優勝してくれたこと。シーズンの中で、あと一歩でベスト4には行けなかったけど5位になった全関。自分たちで100パーセントを出した中での敗北だったので、それも自分の中で納得できました。一番最後のきっかけというのは、リーグ1巡目の大教大戦の時に、1分半で7点くらいの差を追いかける時に、最後に同点にして延長で勝てたというのは後輩の力だったし、全員が僕の熱い思いを受け取って、僕以上に熱い気持ちでやってくれているのが分かったこと。そこで自信が100パーセントの確信になりましたね」
—振り返って、後悔するような場面はなかった?
「そうですね。西日本では怪我人が多くて目標とは程遠い結果でしたけど、その時のメンバーで出来る100パーセントをいつでも出してきたので、全ての結果を受け入れられるというか。今日は50パーセントしか出来なかったということはなくて、全て実力不足で負けただけでした。この一年間、振り返ってこうすれば良かった、と思ってしまうことは全くないです」
—僅かながらインカレに届かなかった今日の敗戦の要因はどのような部分だったと感じますか。
「うーん……前半で僕が山田くんに2つ続けてファウルをしてしまって、そのあとに決められてしまって。内藤くんもそうですけど、山田くんが一度乗ってきたら手がつけられない選手ということで、一番警戒していました。内藤くんの20点は仕方がないけれど、彼の20点、30点は止めようと意気込んでいたんですけど、やっぱり1部で18試合を戦っている経験値とか、彼のインカレに行くという下級生ながらの強い気持ちで続けてやられてしまった場面というのが、後半は相手がリングに向かって全員がアタックしてくる中で、こちらももちろん全員にその気持ちはあるけれども、一つ足りなかったり、リバウンドが一つ繋げなかったり。気持ちでは負けていないけれど、経験値とか、本当に紙一重のところの一つのプレーとか、そういうところでの1部の力を実感した感じでした」
—とはいえ1部には復帰します。それを置き土産に今日引退ですが、この4年間はいかがでしたか。
「本当に正直なところを言うと、僕が入った当初の関西大学というのは、環境面や雰囲気で疑問に思う部分がありました。それが、2年生の時に福澤さんがその風土を変えるべく、先頭に立っていろんなことをやってくれて、僕も4年生になって、更にそれを良くできるようにと思って。本当に厳しくやろうとして、部員たちにとっては自由ではなくなるように感じることも言ってしまったかもしれないんですけど、それでもついてきてくれました。一つ下の森田、梶原、石野という、本当に気持ちの強い選手たちと出会って、尾崎ヘッドコーチの下でバスケができて。本当にそれぞれの人と出会って、僕が小学校1年生から続けてきたバスケットを、大学4年間で本当に楽しかったと心から思えたので、そういった熱い人たちに出会えたということが、関西大学での大きな財産です」
—このチームの悪い部分として、1年で1部と2部の昇降格を繰り返してしまっているところがあります。
「そういった、次の年には落ちて上がってという繰り返しをしてしまう空気は、それだけは僕が断ち切ったと自信を持って言えます。あとは、森田、梶原、石野の3人が中心になって、チームがもう一度まとまって、それについていくのではなくて全員が同じ方向を向いて一緒に走っていけば、そんなことはもう起きないと思います。もっともっと上、インカレでベスト8の常連になるようなチームを目指して、次の一年も頑張って欲しいと思います」
好勝負は僅かに上回った大阪体育大に軍配

試合は実力のあるチーム同士、どちらもインカレ出場を渇望してきただけあって、その気持ちが序盤からぶつかり合い、激しい攻防が僅差のスコアでずっと続いていくこととなった。平日夜の開催にも関わらず、例年より多く詰め掛けた観衆のどよめき、互いの応援団のため息、そして歓声とが大きく響きながら交錯し、時間が経過するごとに独特の緊迫感が次第に高まる。更に後半は関西大をファウルトラブルが、大阪体育大にはそれに加えてまさかのアクシデントが襲い、激しい消耗戦の様相をも呈していく。例年ほど飛び抜けた存在がなく、クロスゲームが多かった今季の関西でも、一番と言って良いほどの好勝負だった。
どう転ぶか分からない試合で、最後に勝利の女神を振り向かせたのは大阪体育大。今のメンバーにとっては未踏だったインカレへの重い扉を、遂にこじ開けてみせた。
写真:目標の一つとしていたインカレ出場を、自身のラストチャンスで決めた内藤の目頭が、終了と同時に熱くなった。
※詳しいゲームレポートと、大阪体育大・内藤選手、関西大・井上選手のインタビューは「続きを読む」へ。
[続きを読む]
【GAME REPORT】
しかし後半開始すぐ、様相が変わる出来事が発生。リバウンド争いで#31梶原が3つ目を吹かれてしまい、関西大に不穏な雰囲気が流れる。この先も関西大は判定に対応しきれず、3Q5分経たずして#5石野が4ファウルに。この間に大阪体育大は#4草川、#13伴、#30藤本(1年・PG・育英)といった面々がバランス良くシュートを決めて、逆転からリードを引き離しにかかる。ただ関西大も反転攻勢。#21窪田(2年・SF)のバスケットカウント、#31梶原も得点を重ねて離されない。直後には大阪体育大#13伴、関西大#31梶原が4つ目のファウルを犯し、両者にプレッシャーがのしかかる。関西大は代わって入った#33関野(2年・PF)が大きな3Pを決めて、ビハインドを縮める。その直後、この試合最大のアクシデントが大阪体育大を襲うことになる。ドライブを仕掛けた#9内藤が相手との接触でターンオーバー。逆速攻を#0足立(2年・PG)に決められて再度逆転を許したのはまだしも、接触した内藤がその場にうずくまったまま動けず、ベンチに下げざるを得ない。この直後に3Qが終了。大阪体育大は、思わぬ状態に追い詰められて最後の10分間に入ることとなった。


関西大は今季2部所属ながら、ほとんどそれを感じさせない戦果を残してきた。インサイドの強さ、アウトサイドの能力は関西上位のレベル。もし今季1部にいれば――。たらればを考えることは得てして禁物とされるが、今年の関西大ほどそんな切り口で語られうるチームは、そう多くはないだろう。今年のインカレ出場はならなかった。来年は1部リーグで戦うことができるが、最近は1部昇格を果たしても1年で降格を余儀なくされる結果を繰り返してきた。一筋縄ではいかないだろう。
ただ、これがラストゲームとなった主将の井上は言った。「そういう部分は、全部自分が断ち切った。それだけは自信を持って言える」と。
写真上:関西大・梶原は、ファウルトラブルに苦しみながらも存在感を見せた。
写真中:最終盤に勝利に近づくプレーを続けた伴が、ガッツポーズと同時に思わず顔をゆがませた。
写真下:最後はお馴染みのコールを東淀川に響かせた大阪体育大。関西屈指の応援が、インカレの舞台でとどろく。
【INTERVIEW】
「岸田がいない時に終わりというのは違う。
なんとしてもインカレに行かないと、と思っていた」
◆#9内藤健太(大阪体育大・4年・SF)

—最後は涙を抑えることができませんでした。
「そうですね(笑)。喜びしかなかったです」
—やや前半は苦しんだ印象でした。
「この前の近大戦から、オフェンスで上手くいっていない部分がありました。それをチームとして引きずってしまったというのと、自分もマークがきつくて攻めあぐねてしまう部分がありました」
—ハーフタイムではどのような話がありましたか。
「今日一日、楽しんでやろうとみんなで言っていて、ハーフタイムでも比嘉さんから『残り20分しかないぞ』と言っていただいて。難しいことは考えずに、自分たちはディフェンスからファストブレイクをするしかないので、それをやろうと話し合いました」
—後半は積極的な仕掛けで相手のファウルを誘い、流れをつかんでいきましたね。
「リーグ戦からフリースローを多くもらうシチュエーションがあったので、点が入らない時こそファウルをもらってフリースローで稼げという話がありました。それがみんな実行できていって良かったです」
—そんな中であのアクシデントでした。あの瞬間考えていたことは。
「最初はもちろん痛いということしかなかったですけど(苦笑)、コートの隅に下がってからは『自分が出るしかない』という気持ちでした。負けたら最後の試合になることもあって、悔しいという気持ちもありました。ただ、治療しながらゲームを見ていて後輩たちがとても頑張ってくれてリードをしていて、追いつかれる不安もそんなにないかなとは思っていました。でも最後はどんな形でもコートの中で終わりたいと思っていたので、早く治療が終わってくれとしか思ってなかったです」
—その思いは、やはり責任感があるからこそ、でしょうか。最後は自分がコートに立とうと?
「そうですね。比嘉さんからも日ごろから言われていて、勝つにしても自分が試合を決めて、負けるにしても自分の力不足で負けているという感じが自分の中にあったので、最後までというのは試合の前から決めていたことなんですけど、それがチームメイトにもうまく伝わって、後輩たちも勢いづいてくれたので、それは良かったと思います」
—僅かながらの差でしたが、勝利をものにできたのは何が大きかったですか。
「力は拮抗しているので、ここまできたらインカレに行きたい気持ちがどっちが強いかということと、僕らは岸田がコートにいなくて、今日は教育実習でいないんですけど、岸田がいない時に終わりというのは、チームにとっても僕にとってもそれは違うな、と思っていました。だからなんとしてもインカレに行かないといけないと思っていましたけど、最後にそれが出たのかなと思いますね」
—最初で最後のインカレです。どういうものにしたいですか。
「自分も初めて行くことになるのでどういう雰囲気になるのか分からないですけど、体大らしいバスケットをしたいと思います」
----------------------------------------
「心から4年間やりきったと思える」
最大目標には届かずとも悔いなく、潔く
◆#34井上諒汰(関西大・4年・主将・SF)

—最後はさっぱりした表情で、涙はありませんでしたね。
「結果としては、残念とかそんな言葉じゃ言い表せないくらいです。この日のために一年間やってきて、最後の結果が実らなかったというのは確かに事実なんですけど、去年2部に落ちて、そこからチームを作り直してきて、チームの風土を変えようと思って必死でやってきたこの一年間や、最後の最後まで後輩たちが向こうよりも必死になってリバウンドに行き続けてくれたというのは、間違いなく僕が声を出してやってきたからだと自信を持って言える。決してこのプロセスが、この結果に消されないと思うくらい、心から4年間やりきったと思える。だからそういう表情だったんだと思います」
—今季は一貫して安定した戦績で、どんどん自信を深めながらの一年間だったと思います。
「最初にチームが出る新人戦で優勝の目標から始まって、まずその新人戦で後輩たちが優勝してくれたこと。シーズンの中で、あと一歩でベスト4には行けなかったけど5位になった全関。自分たちで100パーセントを出した中での敗北だったので、それも自分の中で納得できました。一番最後のきっかけというのは、リーグ1巡目の大教大戦の時に、1分半で7点くらいの差を追いかける時に、最後に同点にして延長で勝てたというのは後輩の力だったし、全員が僕の熱い思いを受け取って、僕以上に熱い気持ちでやってくれているのが分かったこと。そこで自信が100パーセントの確信になりましたね」
—振り返って、後悔するような場面はなかった?
「そうですね。西日本では怪我人が多くて目標とは程遠い結果でしたけど、その時のメンバーで出来る100パーセントをいつでも出してきたので、全ての結果を受け入れられるというか。今日は50パーセントしか出来なかったということはなくて、全て実力不足で負けただけでした。この一年間、振り返ってこうすれば良かった、と思ってしまうことは全くないです」
—僅かながらインカレに届かなかった今日の敗戦の要因はどのような部分だったと感じますか。
「うーん……前半で僕が山田くんに2つ続けてファウルをしてしまって、そのあとに決められてしまって。内藤くんもそうですけど、山田くんが一度乗ってきたら手がつけられない選手ということで、一番警戒していました。内藤くんの20点は仕方がないけれど、彼の20点、30点は止めようと意気込んでいたんですけど、やっぱり1部で18試合を戦っている経験値とか、彼のインカレに行くという下級生ながらの強い気持ちで続けてやられてしまった場面というのが、後半は相手がリングに向かって全員がアタックしてくる中で、こちらももちろん全員にその気持ちはあるけれども、一つ足りなかったり、リバウンドが一つ繋げなかったり。気持ちでは負けていないけれど、経験値とか、本当に紙一重のところの一つのプレーとか、そういうところでの1部の力を実感した感じでした」
—とはいえ1部には復帰します。それを置き土産に今日引退ですが、この4年間はいかがでしたか。
「本当に正直なところを言うと、僕が入った当初の関西大学というのは、環境面や雰囲気で疑問に思う部分がありました。それが、2年生の時に福澤さんがその風土を変えるべく、先頭に立っていろんなことをやってくれて、僕も4年生になって、更にそれを良くできるようにと思って。本当に厳しくやろうとして、部員たちにとっては自由ではなくなるように感じることも言ってしまったかもしれないんですけど、それでもついてきてくれました。一つ下の森田、梶原、石野という、本当に気持ちの強い選手たちと出会って、尾崎ヘッドコーチの下でバスケができて。本当にそれぞれの人と出会って、僕が小学校1年生から続けてきたバスケットを、大学4年間で本当に楽しかったと心から思えたので、そういった熱い人たちに出会えたということが、関西大学での大きな財産です」
—このチームの悪い部分として、1年で1部と2部の昇降格を繰り返してしまっているところがあります。
「そういった、次の年には落ちて上がってという繰り返しをしてしまう空気は、それだけは僕が断ち切ったと自信を持って言えます。あとは、森田、梶原、石野の3人が中心になって、チームがもう一度まとまって、それについていくのではなくて全員が同じ方向を向いて一緒に走っていけば、そんなことはもう起きないと思います。もっともっと上、インカレでベスト8の常連になるようなチームを目指して、次の一年も頑張って欲しいと思います」
- 関連記事
-
- 【2017関西新人戦】12/10 最終日レポート (2017/12/10)
- 【2017関西リーグチャレンジマッチ決勝】10/31 大阪体育大VS関西大 (2017/10/31)
- 【2017関西リーグ1部】京都産業大優勝インタビュー (2017/10/29)
| BLOGTOP |