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2017.05.03 (Wed)
【2017全関】5/3 レポート(準々決勝)
第1シードの大阪学院大は貫禄勝ち
残り3試合は緊張感溢れる接戦に
大型連休の帰省客でごった返す新大阪駅からほど近い大阪市立東淀川体育館に会場を移し、準々決勝以降の日程に入った今年の全関。ベスト8をかけた10日前の争いもさることながら、実力が拮抗し、例年以上に混戦模様の今季の関西。その勢力図を象徴するかのように、この日のベスト4入りをかけた戦いも息詰まる接戦が続き、観衆が固唾を呑んで勝負の行方を見守った。
準々決勝の結果、ベスト4に進出したのは大阪学院大、天理大、大阪体育大、近畿大。近年での関西上位校が勝ち名乗りをあげる形となったが、いずれも代替わりによる影響を受けながらも、現状で展開できるバスケットをぶつけて準決勝を戦う権利をつかみ取った。翌日からもタフなゲームが続くが、シーズン最初のタイトルに手をかけるのはどのチームとなるか。
第3シードの大阪体育大は、1Qに流通科学大を圧倒。#20岸田(4年・PG)、#9内藤(4年・SF)の両輪の活躍で最初の10分間で10点差をつけた。だが、この試合の軽めの笛が次第にのしかかり、ファウルの込んだ両4年生をベンチに下げざるを得ない。その隙に流通科学大は#9諏訪(2年・SF)の活躍で一気に勢いに乗り、前半で33−32と追いつくことに成功した。大阪体育大は後半、コートに戻した#9内藤がいきなりバスケットカウントを獲得するなどして再度引き離しにかかるが、#20岸田とともに早い段階で4つ目をコールされて苦しい状況に。流通科学大はこれで得たフリースローを#9諏訪が落とさず、ビハインドが僅かな状態をキープ。4Qには相手のターンオーバーから速攻を続け、#6清水(3年・SG)が3Pを決めて一旦逆転した。だが、コートに戻った#20岸田がここから本領発揮。果敢にアタックし、3本のバスケットカウントを獲得して再びリードを得た。最後は流通科学大にファウルが込んでやや大味な展開となったが、74−65とした大阪体育大がどうにか逃げ切り、2年続けてベスト4入りを果たした。
この日唯一差が開いたゲームとなったのは、前年の覇者・大阪学院大が同志社大と対戦した試合だった。立ち上がりこそ同志社大がリードを得るが、次第にファウルも込んでいき、大阪学院大のエンジンがじわりと入る。前週の段階では故障のため欠場していた#8吉井(1年・SF・大阪学院大高)のインサイドが効いて前半のうちにリードを得ると、3Q序盤には#35吉川(4年・SG)のミドルや#9雲井(4年・SG)の3Pなどで一気に引き離しに成功した。最後はベンチメンバーを投入する余裕を見せて75−49で完勝。今年も準決勝に駒を進めた。
写真上:劇的な勝利を飾り、決勝点を挙げた榎本を中心に歓喜の天理大。
写真中:主力の最上級生のファウルトラブルに苦しんだ大阪体育大は、欲しい場面で得点を決めた草川の活躍も勝利には欠かせなかった。
写真下:大黒柱である福田の故障欠場もあって、ルーキーながら大阪学院大のインサイドを支える吉井。この日は18得点をマークした。
※大阪体育大・岸田選手、大阪学院大・吉川選手のインタビューは「続きを読む」へ。
【天理大が関西王者相手に鮮やかな逆転勝利】
昨年の西日本インカレを制した天理大と、リーグ優勝からインカレでのベスト8を勝ち取った関西学院大。いずれも強力なインサイドが卒業した今季、どのような戦いぶりを見せるのかが注目される両雄が、準々決勝で対戦することとなった。
1Qは19−18というイーブンの展開。関西学院大は#10松原(4年・SF)や#14高山(3年・SG)といった昨年までのチームを知る面々が牽引し、天理大は1年生の#15黄(1年・PF・岡山工業)のインサイドが光った。ここから2Q、3Qは関西学院大ペースに。昨年のリーグ戦でも効力を発揮した#22堤(4年・PG)、#74中野(3年・SG)、#10松原によるアウトサイドが決まり、#29八角(3年・PG)も連続得点をマーク。天理大はターンオーバーが目立ち失速した結果2Q僅か6得点。関西学院大が易々と二桁点差に乗せ、3Qに持ち直した天理大から要所で3Pを沈め、勝負の体勢は決したかに見えた。
しかし4Q、天理大は#3藤澤(1年・PG・東山)が攻め気を見せる。3ショットのファウルを得てチームを盛り上げると、同じくルーキーの#15黄のゴール下も決まって俄かに反撃モードが上がる。逃げ切りたい関西学院大も一旦は#74中野、#10松原の得点で返すが、すぐに詰め寄られる展開に。この重要局面でそれまで好調だったシュート率が下がり始めたのを尻目に、天理大は#29榎本(4年・SG)と#30梶井(4年・PG)が相次いで3Pを決めて残り1分を切って逆転に成功。更にプレッシャーのかかる場面で獲得した2スローを#15黄が落とさずリードは3点に。関西学院大は最後のオフェンスで#22堤が値千金の3ショットのファウルを誘発。こちらもこれを全て決めて3.2秒を残して同点に戻した。このまま延長戦かと思われた展開で、タイムアウトを挟んで天理大最後のオフェンスを託されたのは#29榎本。ディフェンスを上手くかいくぐって放ったフローターのシュートが見事にリングを通り抜けた。最終スコア66−64とした天理大が、劇的な形で準決勝進出を決めた。
写真上:ルーキーながらメインガードを務める天理大・藤澤。アグレッシブなディフェンスと得点への意識が輝いている。
写真下:松原の攻め気も光った関西学院大だったが、チーム全体としてゲーム時間残り僅かの場面でのシュート率を上げられず。
※天理大・榎本選手のインタビューは「続きを読む」へ。
【敗戦寸前から延長戦に持ち込んだ近畿大が激戦を制す】
昨年はリーグ中盤から歯車が噛み合わずに入替え戦までも経験した近畿大と、リーグ中盤からはやや持ち直しながらも入替え戦で敗れた関西大。今季はそれぞれ別のカテゴリでリーグを戦うことになるが、ともにレベルの高い選手が揃った2チームの対戦が、この舞台で実現した。
試合は、終始一貫して僅差の攻防が続くこととなった。#15金田(4年・PF)のアウトサイドが決まりやや抜け出しそうになった近畿大だが、関西大も#11森田(3年・PG)の3Pや#21窪田(2年・SF)のレイアップで食い下がる。関西大がディフェンスでも#15金田に簡単に持たせない形を徹底し、近畿大も相手のストロングポイントであるインサイドをしっかり守り、じりじりした展開が続いて3Q終了時点で39−40という超ロースコアの展開に。
拮抗した展開が崩れたのは試合時間僅かの状況になってから。#21窪田が中に切れ込んで得点を重ね、関西大がじわりと抜け出す格好となった。#31梶原(3年・PF)がフリースローを2本とも決めて1分を切った状況で関西大は6点リードに成功した。だが、ここで近畿大は#15金田が覚醒。対面のディフェンスとリングへの距離をものともせずに2本の3Pを決めて会場をどよめかせて同点に戻す。関西大は最後のオフェンスを決めきることが出来ず、56−56となったゲームは延長戦に突入した。
敗戦の瀬戸際から立ち直った近畿大は強かった。ミスマッチをものともせずに奮闘していた#24今村(2年・PF)がいきなりのバスケットカウント。関西大も一時同点とするが、#24今村、#9濱高(3年・SF)が果敢にシュートを決めて関西大の勢いを削いだ。関西大はこの間ターンオーバーも犯して反撃の機運を高められず。緊迫の勝負は69−65とした近畿大に軍配が上がった。
写真上:相手に警戒されながらも10得点をマークした関西大・梶原。しかしそれ以上に21リバウンドという数字も光った。
写真下:傑出したインサイドプレーヤー不在の今季の近畿大だが、今村が濱高とともに最後まで奮闘を続けた。
「4回生でラストなので、迷わず思い切りプレーしよう」
意地のシュートを沈めてベスト4への切符をかすめ取る
◆#29榎本一輝(天理大・4年・SF)
最終盤でのプレーは、天理大の得点源に相応しいものだった。これまでは試合展開などの状況次第ではメンタル面でのムラも見られたが、最上級生になったことで表情や言動もしっかりしてきた印象が強い。チームとしては、これまで全関では満足いく結果がなかなか得られていないが、この勝利でまずはベスト4への壁は突破した。今季は天理大で過ごすラストイヤー。残り2日間も、余すことなくらしさを存分に発揮して、優勝に手をかけたい。
—前半は苦しい展開になってしまいましたが、どういった点が良くなかったのでしょうか。
「新しく入った選手が、入ったばかりでフォーメーションの形をまだしっかり覚えられていなくて。それでチームが機能しなかった部分がありますね。去年までいたイビスみたいにゴリゴリできたら良いんですけど、まずリバウンドと、一応3Pもあるので、そこを極めて欲しいかなと思っています」
—ハーフタイムではどのような話がありましたか。
「前半がかなり関学ペースだったので、天理のペースに戻せるように切り替えて、前半のことは忘れて後半また一からやり直そうという話でした」
—特に前半は相手の外のシュートが高確率で決まっていましたが、慌てるような気持ちはなかったですか。
「個人的には結構慌ててたんですけど(笑)、でもみんなでも試合中に集まって話し合ったりして。先生も『諦めずにまずは一桁の差を狙おう』と言っていたので、それを考えてプレーしていました」
—4Q出だしから藤澤選手(#3)の攻め気が光りましたが、何か彼に声をかけたりしていたのでしょうか。
「そうですね。藤澤はピックの使い方が上手くて、そこで攻めていこうと話していて、中にパスができなかったら外で僕と梶井(#30)が狙っていく攻め方にしました。上手くいったので良かったですね」
—それでも最後は榎本選手と梶井選手が決めた試合でしたね。
「最後のシュートは最初外したかなと思ったんですけど(笑)。でも無心で打って、決まってくれて良かったです。その前の3Pは、あの点差だったので外しかないなと。迷わず打ちました」
—相手が慌てているような印象はありませんでしたか。
「普段から堤(#22)が引っ張っていく印象があるんですけど、途中で変わった時があって、ここはチャンスだなと思ったので、そこで攻めていきました」
—他のチーム同様に天理大も代替わりを迎えましたが、シーズン開始からここまで心がけてきたことは何でしょうか。
「去年はインサイドにイビスと川田さんがいてピックのディフェンスが強かったんですけど、今年はインサイドが下級生で、まだそういう部分が甘いですね。新チームになってからはそこを意識してきたんですけど、本番になると出来なかったりする部分もありましたね。まだまだこれからですね」
—まだこの先は2試合ありますが、そこに向けての意気込みをお願いします。
「僕が1回生の時から全関でのベスト4という結果がなかなか無かったので、ここはチャンスだなと思いますし、今年は僕らが4回生でラストなので、迷わず思い切りプレーしようと思います。あとは優勝を狙うだけです」
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「今年こそはチャンピオンシップが取りたい」
チームの歴史塗り替えるためにその背中で魅せる
◆#20岸田篤生(大阪体育大・4年・主将・PG)
ファウルトラブルにも苦しんだこの試合、反省点が多く出たというのが率直な心境だろう。ただ、それでも内藤とともにコートにいる状況では持ち味を存分に発揮。積極果敢なドライブでバスケットカウントを量産し、チームに勝利をもたらした。優勝のために、残る関門は2つ。昨年もベスト4には進んだが、決勝進出は寸前で阻まれた苦い経験がある。自身の悔しさを晴らすために、そしてチームの歴史を塗り替えるために、次の試合もそのプレーでチームを牽引する。
—1Qの展開から一転して競り合いを強いられてしまいました。
「この前の京産との試合でも、1Qでは点差を離したのに2Qで詰め寄られるという展開で、試合には波があると言われていて、そこは覚悟していたんですけど、ちょっとやられ過ぎてしまいました。ディフェンスでリバウンドをやられたり、相手に速攻を走られたりしたのは自分たちの油断があったんだと思います。それで離しても追いつかれの繰り返しになってしまいました。でも、1点でも良いから勝とうとみんなで言っていたので、そこは気持ちを切らさずに最後まで戦えました」
—離しても追いつかれる、という展開は練習試合でもあったのでしょうか。
「いや、あまりなかったです。この前の京産戦が自分たちの中では大きくて、そこからもちろん修正を意識していたんですけど、相手の雰囲気や会場の雰囲気も練習試合とは違うので、そこで呑まれてしまったのかなと思います。こういう経験はあまりないので、厳しい試合でした」
—ファウルトラブルも響いたようにも思います。
「そこは僕らの意識が低かったかなと思います。やっぱりファウルする必要のないところでもファウルもあったので、比嘉さんにも言われたんですけど『お前ら二人がファウルトラブルで抜けたらダメだ』と。自分たちが下がっている時はちょっと士気が下がっているようにも見えたので、僕らの意識の低さがこのゲームでは出てしまって、後輩たちに迷惑をかけてしまったなと感じます」
—逆に後輩たちには良い経験になりましたね。
「そうですね。僕らのうちどちらかがベンチにいる場面は必ず試合の中ではあるので、下級生だけでも逆転されずに保てたというのは来年にもつながりますし、後輩たちにも良い経験になったと思います」
—残り6分半ほどでコートに戻ってからは、岸田選手らしいプレーが存分に出ていましたね。
「そうですね。僕らのせいでこういう点差になってしまったと思っていたので、いつも通りやろうと。体大らしいファーストブレイクで、自分で言うのもあれですけど、自分の持ち味も出せたので、それは意識はありました。最後は内藤も退場してしまったので、より僕がしっかりやらなきゃいけないと思っていました」
—今年はキャプテンという立場で、意識の変化もあるのではないでしょうか。
「今年のAチームでベンチ入りしているのが僕と内藤だけです。去年はたくさん上級生がいて、先輩の声かけやリバウンドで士気をもらっていました。僕も内藤も声で盛り上げるというよりは、プレーではしっかり盛り上げられるようにしたいなと思っていて、変わったかなと思うのはそこですね。他の4回生はその分応援で盛り上げてくれるので、個人個人の持ち味が出ています。体大はある意味応援がないと成り立たない部分があって、選手もその役目を感じてくれているので、4回生のまとまりやチームとしてのまとまりはより強くなったと思います」
—去年はこの段階まで勝ち進みながら3位という結果でした。今年は優勝が欲しいところですよね。
「僕らは歴史を遡っても3位までしかないので、今年こそはチャンピオンシップが取りたいです」
—ちなみに内藤選手がBリーグのレベルを経験してチームに戻ってきましたが、チームにとっても大きいですよね。
「そうですね。頼もしいです。とりあえず点も取れるしファウルにもつなげてくれるんで、オフェンスが固まっている時でもボールを受けると色んなことをやってくれるんで、オフェンスのバリエーションも広がって、僕らも点が取りやすいですし、頼りになります」
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「弱いなりに、小さいなりに頑張っていかなあかん」
悔しさと責任感があるからこそ最上級生としてやり抜く覚悟
◆#15金田拓也(近畿大・4年・PF)
なぜその距離のシュートが入るのか。見る者全てが驚嘆するようなシュートを2本も続け、敗色濃厚だった状況からチームを救う活躍だった。黄金時代を謳歌した以前とは一転して苦しい戦いを強いられた昨年の経験を踏まえ、主将の岡田とともにどうチームをまとめ、引っ張っていくかを考えている姿には最上級生としてのあるべき姿がにじみ出ている。王者の称号を、今年は何としても取り戻すつもりだ。
—昨年のリーグ戦が嘘のようにシュートが好調でしたね。
「シュートタッチは良かったんですけど、2、3Qで焦って打っているシュートが全部落ちてしまって、なんで1Qみたいに気持ち良く打たなかったんだろうと思っていました。最後は外しても負けは負けで一緒やから、気持ち良く打とうとやってああいう結果が出たので良かったです」
—あまり良い形でボールを持てるシーンも少なかったように思いますが。
「そうですね。相手の5番(石野)が僕にぴったりとついていたので、めっちゃややこしいなと思ってたんですけど(苦笑)、でも僕がシュートを打って今村(#24)がリバウンドに飛んでくれたりとか、岡田(#3)がレイアップを決めてくれたりとか、チーム的に良い部分が出たので、僕が取れなくてもチームとして取れれば問題ないと思います」
—相手にとっても同じかもしれないですが、お互いに抜け出すための決め手がなかなか出ませんでしたね。
「抜け出せる時は速攻が何本か出るパターンなんですけど、でも速攻を出したすぐ後に相手に速攻を出されたりして、そういうミスでめっちゃしんどいゲームになってしまいました」
—相手のチームディフェンスという面ではいかがでしたか。
「絶対にゾーンをしてくると思ってたんですけど、ずっとマンツーでそれはそれで予想外でした。でも攻めあぐねて単発的なシュートを打って相手に走られる場面があったので、それが今日の点差の部分に影響していたのかなと思います」
—相手が昨年の新人戦で負けた関西大ということで、下級生の中にはリベンジの意識もあったのではないでしょうか。
「そうですね。相手がその時からほとんどメンバーが変わっていないので、今度は勝とうと思っていたと思いますし、僕ら自身も去年の全関での対戦相手が全く同じで、準々決勝が関大で、次が体大ということで、その時と同じメンバーが残っているところには負けられへんという気持ちです」
—まだこの先2試合あります。
「どうしても能力と体格差では負けてしまう部分があるので、そこをチームディフェンスで補っていきたいと思います」
—今季は最上級生で、責任感も感じるのではないでしょうか。
「去年はどこかチームがまとまりきれていないがあって、今年は岡田とずっと話していて、去年と同じような感じでは勝てないと思っています。チームも弱いし、小さいなりに頑張っていかなあかんし、リバウンドも普通じゃ取れないし、といった感じで、岡田と二人で俺ら二人が先頭に立っていかんとチームは勝てないと話して。そういう意識は4回生になった時点で持っていました。去年の京産とかからも感じていたことで、声を出すことでチームが強くなるんやなと思ったので、そういうところは意識してやろうとしています」
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「しっかりハードワークして少しでもチームの役に立ちたい」
インサイドが生命線のチームでも貢献すべき仕事を果たす
◆#35吉川拓己(大阪学院大・4年・SG)
昨年は合田が卒業し、今年は澤邉が卒業していった大阪学院大。インサイドが強力なチームに変貌を遂げつつあるが、吉川の要所での攻守やアウトサイドシュートが武器の一つであることは間違いない。下級生の頃からコンスタントに出場を続けてきたが、今年は最終学年。当然期するものはあるだろう。準決勝の天理大戦はインサイド勝負に目が行きがちだが、その中で吉川がどのような働きを見せるのかにも注目したい。
—ここまでの勝ち上がりは危なげないように感じますが、内容はいかがでしょうか。
「先週、キャプテン(#31福田)が怪我をしてしまったんですけど、それでむしろチームとしてキャプテンのために頑張ろうとまとまっています。もう一段身が引き締まったのかなと思いますね。それに吉井(#8)が怪我していたのが戻ってきてくれたので、今年はインサイドは強いと思っています」
—逆にアウトサイドでは澤邉選手が卒業していき顔ぶれ変更がありましたが、どのようなやり方をしようと?
「去年は澤邉さんがドライブに行くことでフリーが出来ていたんですけど、今年は僕がドライブに行ってフリーを作って、シュートの入る雲井(#9)に預けたりする形にして、上手く機能すればな、と思いますね」
—ディフェンス面で課題はありますか。
「ヘルプディフェンスの部分で、逆サイドがスタンディングになってしまっている部分があるんですけど、それは改善点ですね。今日もちょっとイマイチなところでした(苦笑)。一対一のディフェンスもまだまだ甘い部分があります」
—昨年の優勝時は、大会前に良くなかった雰囲気が、ミーティングで大きく変わったと聞いています。今年はいかがですか。
「練習の雰囲気は良かったんですけど、練習試合では全然勝てなくて、そこで去年みたいに話し合って、みんなで優勝に向けて頑張ろうという雰囲気になったと思います」
—最上級生となって、気持ちの面でも変化があるのではないでしょうか。
「笛に反応してフラストレーションを溜めてしまう選手もいるので、そういう時に落ち着かせられるようにしています(苦笑)。去年までは去年のキャプテンがそういう役目だったんですけど、卒業してしまったので」
—今年チームでやろうとしているバスケはどのようなものでしょうか。
「ディフェンスから走って。今年は特にインサイドが強いので、そこにボールを集めて、しっかり学院らしいバスケがやっていけたらなと思います」
—明日はインサイドが試される相手(天理大)ですが、そこでどういう働きをしたいですか。
「上まわりでもしっかりハードワークして、少しでもチームの役に立ちたいと思います」
残り3試合は緊張感溢れる接戦に

準々決勝の結果、ベスト4に進出したのは大阪学院大、天理大、大阪体育大、近畿大。近年での関西上位校が勝ち名乗りをあげる形となったが、いずれも代替わりによる影響を受けながらも、現状で展開できるバスケットをぶつけて準決勝を戦う権利をつかみ取った。翌日からもタフなゲームが続くが、シーズン最初のタイトルに手をかけるのはどのチームとなるか。


写真上:劇的な勝利を飾り、決勝点を挙げた榎本を中心に歓喜の天理大。
写真中:主力の最上級生のファウルトラブルに苦しんだ大阪体育大は、欲しい場面で得点を決めた草川の活躍も勝利には欠かせなかった。
写真下:大黒柱である福田の故障欠場もあって、ルーキーながら大阪学院大のインサイドを支える吉井。この日は18得点をマークした。
※大阪体育大・岸田選手、大阪学院大・吉川選手のインタビューは「続きを読む」へ。
【天理大が関西王者相手に鮮やかな逆転勝利】

1Qは19−18というイーブンの展開。関西学院大は#10松原(4年・SF)や#14高山(3年・SG)といった昨年までのチームを知る面々が牽引し、天理大は1年生の#15黄(1年・PF・岡山工業)のインサイドが光った。ここから2Q、3Qは関西学院大ペースに。昨年のリーグ戦でも効力を発揮した#22堤(4年・PG)、#74中野(3年・SG)、#10松原によるアウトサイドが決まり、#29八角(3年・PG)も連続得点をマーク。天理大はターンオーバーが目立ち失速した結果2Q僅か6得点。関西学院大が易々と二桁点差に乗せ、3Qに持ち直した天理大から要所で3Pを沈め、勝負の体勢は決したかに見えた。

写真上:ルーキーながらメインガードを務める天理大・藤澤。アグレッシブなディフェンスと得点への意識が輝いている。
写真下:松原の攻め気も光った関西学院大だったが、チーム全体としてゲーム時間残り僅かの場面でのシュート率を上げられず。
※天理大・榎本選手のインタビューは「続きを読む」へ。
【敗戦寸前から延長戦に持ち込んだ近畿大が激戦を制す】

試合は、終始一貫して僅差の攻防が続くこととなった。#15金田(4年・PF)のアウトサイドが決まりやや抜け出しそうになった近畿大だが、関西大も#11森田(3年・PG)の3Pや#21窪田(2年・SF)のレイアップで食い下がる。関西大がディフェンスでも#15金田に簡単に持たせない形を徹底し、近畿大も相手のストロングポイントであるインサイドをしっかり守り、じりじりした展開が続いて3Q終了時点で39−40という超ロースコアの展開に。

敗戦の瀬戸際から立ち直った近畿大は強かった。ミスマッチをものともせずに奮闘していた#24今村(2年・PF)がいきなりのバスケットカウント。関西大も一時同点とするが、#24今村、#9濱高(3年・SF)が果敢にシュートを決めて関西大の勢いを削いだ。関西大はこの間ターンオーバーも犯して反撃の機運を高められず。緊迫の勝負は69−65とした近畿大に軍配が上がった。
写真上:相手に警戒されながらも10得点をマークした関西大・梶原。しかしそれ以上に21リバウンドという数字も光った。
写真下:傑出したインサイドプレーヤー不在の今季の近畿大だが、今村が濱高とともに最後まで奮闘を続けた。
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【INTERVIEW】「4回生でラストなので、迷わず思い切りプレーしよう」
意地のシュートを沈めてベスト4への切符をかすめ取る
◆#29榎本一輝(天理大・4年・SF)

—前半は苦しい展開になってしまいましたが、どういった点が良くなかったのでしょうか。
「新しく入った選手が、入ったばかりでフォーメーションの形をまだしっかり覚えられていなくて。それでチームが機能しなかった部分がありますね。去年までいたイビスみたいにゴリゴリできたら良いんですけど、まずリバウンドと、一応3Pもあるので、そこを極めて欲しいかなと思っています」
—ハーフタイムではどのような話がありましたか。
「前半がかなり関学ペースだったので、天理のペースに戻せるように切り替えて、前半のことは忘れて後半また一からやり直そうという話でした」
—特に前半は相手の外のシュートが高確率で決まっていましたが、慌てるような気持ちはなかったですか。
「個人的には結構慌ててたんですけど(笑)、でもみんなでも試合中に集まって話し合ったりして。先生も『諦めずにまずは一桁の差を狙おう』と言っていたので、それを考えてプレーしていました」
—4Q出だしから藤澤選手(#3)の攻め気が光りましたが、何か彼に声をかけたりしていたのでしょうか。
「そうですね。藤澤はピックの使い方が上手くて、そこで攻めていこうと話していて、中にパスができなかったら外で僕と梶井(#30)が狙っていく攻め方にしました。上手くいったので良かったですね」
—それでも最後は榎本選手と梶井選手が決めた試合でしたね。
「最後のシュートは最初外したかなと思ったんですけど(笑)。でも無心で打って、決まってくれて良かったです。その前の3Pは、あの点差だったので外しかないなと。迷わず打ちました」
—相手が慌てているような印象はありませんでしたか。
「普段から堤(#22)が引っ張っていく印象があるんですけど、途中で変わった時があって、ここはチャンスだなと思ったので、そこで攻めていきました」
—他のチーム同様に天理大も代替わりを迎えましたが、シーズン開始からここまで心がけてきたことは何でしょうか。
「去年はインサイドにイビスと川田さんがいてピックのディフェンスが強かったんですけど、今年はインサイドが下級生で、まだそういう部分が甘いですね。新チームになってからはそこを意識してきたんですけど、本番になると出来なかったりする部分もありましたね。まだまだこれからですね」
—まだこの先は2試合ありますが、そこに向けての意気込みをお願いします。
「僕が1回生の時から全関でのベスト4という結果がなかなか無かったので、ここはチャンスだなと思いますし、今年は僕らが4回生でラストなので、迷わず思い切りプレーしようと思います。あとは優勝を狙うだけです」
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「今年こそはチャンピオンシップが取りたい」
チームの歴史塗り替えるためにその背中で魅せる
◆#20岸田篤生(大阪体育大・4年・主将・PG)

—1Qの展開から一転して競り合いを強いられてしまいました。
「この前の京産との試合でも、1Qでは点差を離したのに2Qで詰め寄られるという展開で、試合には波があると言われていて、そこは覚悟していたんですけど、ちょっとやられ過ぎてしまいました。ディフェンスでリバウンドをやられたり、相手に速攻を走られたりしたのは自分たちの油断があったんだと思います。それで離しても追いつかれの繰り返しになってしまいました。でも、1点でも良いから勝とうとみんなで言っていたので、そこは気持ちを切らさずに最後まで戦えました」
—離しても追いつかれる、という展開は練習試合でもあったのでしょうか。
「いや、あまりなかったです。この前の京産戦が自分たちの中では大きくて、そこからもちろん修正を意識していたんですけど、相手の雰囲気や会場の雰囲気も練習試合とは違うので、そこで呑まれてしまったのかなと思います。こういう経験はあまりないので、厳しい試合でした」
—ファウルトラブルも響いたようにも思います。
「そこは僕らの意識が低かったかなと思います。やっぱりファウルする必要のないところでもファウルもあったので、比嘉さんにも言われたんですけど『お前ら二人がファウルトラブルで抜けたらダメだ』と。自分たちが下がっている時はちょっと士気が下がっているようにも見えたので、僕らの意識の低さがこのゲームでは出てしまって、後輩たちに迷惑をかけてしまったなと感じます」
—逆に後輩たちには良い経験になりましたね。
「そうですね。僕らのうちどちらかがベンチにいる場面は必ず試合の中ではあるので、下級生だけでも逆転されずに保てたというのは来年にもつながりますし、後輩たちにも良い経験になったと思います」
—残り6分半ほどでコートに戻ってからは、岸田選手らしいプレーが存分に出ていましたね。
「そうですね。僕らのせいでこういう点差になってしまったと思っていたので、いつも通りやろうと。体大らしいファーストブレイクで、自分で言うのもあれですけど、自分の持ち味も出せたので、それは意識はありました。最後は内藤も退場してしまったので、より僕がしっかりやらなきゃいけないと思っていました」
—今年はキャプテンという立場で、意識の変化もあるのではないでしょうか。
「今年のAチームでベンチ入りしているのが僕と内藤だけです。去年はたくさん上級生がいて、先輩の声かけやリバウンドで士気をもらっていました。僕も内藤も声で盛り上げるというよりは、プレーではしっかり盛り上げられるようにしたいなと思っていて、変わったかなと思うのはそこですね。他の4回生はその分応援で盛り上げてくれるので、個人個人の持ち味が出ています。体大はある意味応援がないと成り立たない部分があって、選手もその役目を感じてくれているので、4回生のまとまりやチームとしてのまとまりはより強くなったと思います」
—去年はこの段階まで勝ち進みながら3位という結果でした。今年は優勝が欲しいところですよね。
「僕らは歴史を遡っても3位までしかないので、今年こそはチャンピオンシップが取りたいです」
—ちなみに内藤選手がBリーグのレベルを経験してチームに戻ってきましたが、チームにとっても大きいですよね。
「そうですね。頼もしいです。とりあえず点も取れるしファウルにもつなげてくれるんで、オフェンスが固まっている時でもボールを受けると色んなことをやってくれるんで、オフェンスのバリエーションも広がって、僕らも点が取りやすいですし、頼りになります」
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「弱いなりに、小さいなりに頑張っていかなあかん」
悔しさと責任感があるからこそ最上級生としてやり抜く覚悟
◆#15金田拓也(近畿大・4年・PF)

—昨年のリーグ戦が嘘のようにシュートが好調でしたね。
「シュートタッチは良かったんですけど、2、3Qで焦って打っているシュートが全部落ちてしまって、なんで1Qみたいに気持ち良く打たなかったんだろうと思っていました。最後は外しても負けは負けで一緒やから、気持ち良く打とうとやってああいう結果が出たので良かったです」
—あまり良い形でボールを持てるシーンも少なかったように思いますが。
「そうですね。相手の5番(石野)が僕にぴったりとついていたので、めっちゃややこしいなと思ってたんですけど(苦笑)、でも僕がシュートを打って今村(#24)がリバウンドに飛んでくれたりとか、岡田(#3)がレイアップを決めてくれたりとか、チーム的に良い部分が出たので、僕が取れなくてもチームとして取れれば問題ないと思います」
—相手にとっても同じかもしれないですが、お互いに抜け出すための決め手がなかなか出ませんでしたね。
「抜け出せる時は速攻が何本か出るパターンなんですけど、でも速攻を出したすぐ後に相手に速攻を出されたりして、そういうミスでめっちゃしんどいゲームになってしまいました」
—相手のチームディフェンスという面ではいかがでしたか。
「絶対にゾーンをしてくると思ってたんですけど、ずっとマンツーでそれはそれで予想外でした。でも攻めあぐねて単発的なシュートを打って相手に走られる場面があったので、それが今日の点差の部分に影響していたのかなと思います」
—相手が昨年の新人戦で負けた関西大ということで、下級生の中にはリベンジの意識もあったのではないでしょうか。
「そうですね。相手がその時からほとんどメンバーが変わっていないので、今度は勝とうと思っていたと思いますし、僕ら自身も去年の全関での対戦相手が全く同じで、準々決勝が関大で、次が体大ということで、その時と同じメンバーが残っているところには負けられへんという気持ちです」
—まだこの先2試合あります。
「どうしても能力と体格差では負けてしまう部分があるので、そこをチームディフェンスで補っていきたいと思います」
—今季は最上級生で、責任感も感じるのではないでしょうか。
「去年はどこかチームがまとまりきれていないがあって、今年は岡田とずっと話していて、去年と同じような感じでは勝てないと思っています。チームも弱いし、小さいなりに頑張っていかなあかんし、リバウンドも普通じゃ取れないし、といった感じで、岡田と二人で俺ら二人が先頭に立っていかんとチームは勝てないと話して。そういう意識は4回生になった時点で持っていました。去年の京産とかからも感じていたことで、声を出すことでチームが強くなるんやなと思ったので、そういうところは意識してやろうとしています」
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「しっかりハードワークして少しでもチームの役に立ちたい」
インサイドが生命線のチームでも貢献すべき仕事を果たす
◆#35吉川拓己(大阪学院大・4年・SG)

—ここまでの勝ち上がりは危なげないように感じますが、内容はいかがでしょうか。
「先週、キャプテン(#31福田)が怪我をしてしまったんですけど、それでむしろチームとしてキャプテンのために頑張ろうとまとまっています。もう一段身が引き締まったのかなと思いますね。それに吉井(#8)が怪我していたのが戻ってきてくれたので、今年はインサイドは強いと思っています」
—逆にアウトサイドでは澤邉選手が卒業していき顔ぶれ変更がありましたが、どのようなやり方をしようと?
「去年は澤邉さんがドライブに行くことでフリーが出来ていたんですけど、今年は僕がドライブに行ってフリーを作って、シュートの入る雲井(#9)に預けたりする形にして、上手く機能すればな、と思いますね」
—ディフェンス面で課題はありますか。
「ヘルプディフェンスの部分で、逆サイドがスタンディングになってしまっている部分があるんですけど、それは改善点ですね。今日もちょっとイマイチなところでした(苦笑)。一対一のディフェンスもまだまだ甘い部分があります」
—昨年の優勝時は、大会前に良くなかった雰囲気が、ミーティングで大きく変わったと聞いています。今年はいかがですか。
「練習の雰囲気は良かったんですけど、練習試合では全然勝てなくて、そこで去年みたいに話し合って、みんなで優勝に向けて頑張ろうという雰囲気になったと思います」
—最上級生となって、気持ちの面でも変化があるのではないでしょうか。
「笛に反応してフラストレーションを溜めてしまう選手もいるので、そういう時に落ち着かせられるようにしています(苦笑)。去年までは去年のキャプテンがそういう役目だったんですけど、卒業してしまったので」
—今年チームでやろうとしているバスケはどのようなものでしょうか。
「ディフェンスから走って。今年は特にインサイドが強いので、そこにボールを集めて、しっかり学院らしいバスケがやっていけたらなと思います」
—明日はインサイドが試される相手(天理大)ですが、そこでどういう働きをしたいですか。
「上まわりでもしっかりハードワークして、少しでもチームの役に立ちたいと思います」
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