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2016.11.26 (Sat)
【2016インカレ】11/26レポート(準決勝)
白鷗大、専修大はそれぞれの持ち味を出すも
筑波大と東海大が決勝進出を果たす
インカレ男子戦も残すはあと2つ。一段階ごとにレベルの上がる試合内容に、会場も湧いている。ベスト4に残ったうち、初の決勝を目指した白鷗大、そして8年ぶりの決勝を目指す専修大はそれぞれ上位シードのチームに挑む形になった。しかし第1シード筑波大、第2シード東海大がそれぞれ勝利し、3年連続同カードでの決勝が決まった。
リードを握った東海大が流れをキープ
白鷗大は4Qに失速し、3度目の逆転劇はならず

リーグ戦では1勝1敗。東海大は今大会最激戦と言われるブロックを勝ち上がり、かたや白鷗大は2戦連続4Qでの逆転劇で劇的勝利を重ねてきた。始まるまではどちらにどう転ぶかわからない試合だったが、立ち上がりから東海大がペースを掴んだ。
東海大は今大会絶好調の#4寺園(4年・PG)がフローター、速攻とオフェンスで流れを作り、チームディフェンスでは白鷗大に簡単に外を打たせず、バックパスなどを犯させる立ち上がり。しかし白鷗大も開始5分で#0野﨑(3年・SG)の3Pが1本が出ると#75イブラヒマ(1年・C・延岡学園)の高さも生き、持ち直す。しかしゴール下の攻防で決めきれない場面もあり、1Qは14-22の東海大リード。2Qは東海大のオフェンスが停滞。白鷗大もファウルが続いてしまうものの、#18奥野(3年・PG)のアシストからの#75イブラヒマ、そして#41 小倉(4年・PF)がインサイドでねじ込むなど、苦しいディフェンスの中でも得点。#28川邉(4年・SF)の3Pなどもあって残り5分で1点差に追い上げた。東海大はゾーンを盛り込んだチェンジングで対応し、残り4分から#25平岩(1年・C・土浦日大)へのアシストが2つ通ると再び引き離し、29-37で前半終了。
3Q、開始2分間は東海大がノーゴール。その間に白鷗大は#23ジャニ(4年・C)のゴール下につづいて#41小倉の3Pが決まり、5点差まで詰める。しかし東海大はそこから寺園が果敢にゴールを狙い、#33鈴木(4年・SF)のオフェンスリバウンドからの得点もあって、点差を8に広げて逃げる。追いすがる白鷗大は#41小倉、#21神里(3年・PG)の連続スリーもあって、47-51。白鷗大が4点差に詰めて3Q終了。
4Q立ち上がり、白鷗大は#41小倉がゴール下で見事なボールカットでターンオーバーを奪うが、東海大のディフェンスの前にゴールが決まらない。東海大は#13中山(4年・SG)が開始3分で4ファウルとなるものの、陸川監督はこれを下げず、チーム全体で激しいディフェンスを続けていく。東海大は#25平岩が連続でフリースローをもらっていくが、3/8と確率は悪い。しかし、白鷗大は得点できない焦りからか、自慢のアウトサイド、そしてディフェンスで固められたインサイドでも得点できず、リバウンドもボールが落ちてこなかった。最後まで打っていくものの、結局このQは開始2分で#75イブラヒマが獲得したフリースローの2点だけにとどまり、東海大が一度もリードさせず49-65で試合終了。決勝へ進出した。
負けた白鷗大はビハインドを背負ったままの展開ではあったが、3Qまでは焦った様子はなく、我慢と集中で確実にできることをこなして冷静だった。ただ、3Pは川島、野﨑とも1/8と確率が上がらず、勝負を分けた4Qは我慢も効かなかった。「自分たちのシュートが相手に読まれていて思うように打てず、そこで集中が切れてしまったのが敗因。いつもはできる我慢ができなかった」と主将の川邉。リバウンドを1本でも取れれば立て直せる自信はあったが、跳ねたボールが4Qはことごとく東海大の方へと落ちてしまったのも痛かった。落合監督も「今日はみな頑張った。でもボールがこちらへ落ちてこなかったり、あと“もう一つ”が出なかった。それを頑張ろうと言いながらやったが、相手が上だった」、と述べた。しかし、監督就任から3年でここまで来た成長力は素晴らしいもの。選手たちも年ごとに実力をつけ、「ここまで、成功と同じくらい失敗している。ちょっとぐらいの失敗ではへこたれない」(落合監督)というメンタリティを持っている。それを3位決定戦の場でも見せて欲しい。
5年連続決勝進出を果たした東海大。陸川監督は「準決勝は難しい山場。その中でキャプテンが吠えて、得点して自分たちのペースを作ってくれた」と、ここまで素晴らしい働きを見せている寺園のリーダーシップ、プレーを褒め称えつつ、他の選手全員が自分の仕事をしていることを評価。どこが相手だろうと“チームとしての力”にはどこにも負けない自負がある。そして武器であるディフェンスもこのインカレのためにさらにブラッシュアップし、磨き上げてきている。ここまで最激戦ブロックを勝ち上がったことは、選手たちにとっても大きな自信になっているに違いない。決勝の舞台でそれを出し切るだけだ。
写真上:東海大・大矢はインサイドのリバウンドで貢献。今大会では3Pも決まっている。
写真中:白鷗大・小倉は絶妙の飛び込みプレー、3Pで東海大のディフェンスを翻弄。
写真下:東海大が信じるのは“チームの力”。決勝でもそれが生きるか。
※東海大・平岩選手のインタビューは「続きを読む」へ。
専修大の高さに苦しむも
2Qで流れを掴んだ筑波大が決勝戦へ

ディフェンディングチャンピオン・筑波大は、8年ぶりの決勝を目指す専修大の挑戦を受けた。1Qは専修大#30アブ(1年・C・アレセイア湘南)、筑波大#6馬場のブロックショットが早々に飛び出るなど序盤から激しい空中戦を展開するも、徐々に専修大の高さが筑波大を苦しめることに。#11秋山(3年・G)、#6渡辺(4年・G)の得点でリズムを掴むと、#30アブがオフェンスリバウンドでチャンスを量産し、リード。筑波大は辛うじて食らい付き、17-20で1Qを終えた。
2Qに入っても専修大の高さに苦戦する筑波大。中盤には、インサイド陣がファウルトラブルへ追い込まれるが、見事その苦境を跳ね除け、強さを見せる。ディフェンスの強度を上げ、ボールを奪うとすぐさま攻撃を仕掛け、#6馬場の速攻ダンクなどにより、筑波大ペースに。さらに4年生らが好守で奮闘。#2満田(4年・SF)が3Pを決め、#46生原(4年・PG)と#8木林(4年・PF)のダブルチームから追加点につなげると一気に逆転。一度は同点に追いつかれるも#17杉浦が連続得点で再びリードし、40-30と2桁差をつけて後半へ。
3Q序盤は、シューター#10大澤(2年・F)を起点に攻撃を組み立てる専修大。これに応えて、3Pを沈めるも、ここで再び立ちはだかったのが#17杉浦。すぐさま3Pを決め返し、専修大に流れを渡さず。61-47とわずかに筑波大がリードを広げて、最終Qへ。しかし#2満田以外のスタートメンバーをベンチで休ませる布陣でのぞんだ筑波大だが、得点が止まってしまう。その間に#34盛實(1年・G・能代工業)の3Pも決まり、専修大が勢いづく。だが、徐々にメンバーを戻し筑波大が、専修大の追撃ムードを消し続けて、80-68で試合終了。筑波大が3年連続の決勝戦へと駒を進めた。
惜しくも敗れた専修大だが、「リーグ戦の経験値として得られたのは、自分たちのアドバンテージである“高さ”やインサイドの強さ」(佐々木監督)を武器に、ここまで勝ち上がってきた。専修大にとっては、8年ぶりとなる準決勝。筑波大と比較すれば、大舞台での経験がないことはマイナス要因でもあったはずだが、この試合でも自分たちの強みをしっかりと発揮。3位決定戦でもその姿勢を貫いて大会を終えてくれることを期待したい。
そして、専修大を跳ね返した筑波大。序盤に相手の高さに苦しむも、2Qでは隙をついて一気に筑波大ペースで試合を展開。特に前半だけで21得点を挙げた杉浦は、相手の流れを切り、さらには突き放すシュートを決め、その貢献度は大きい。そして、要所要所で4年生3人が試合を締めるプレーを見せ、残りのメンバーもそれぞれも役割をこなしてゲームをつなげた。次なる舞台は決勝戦。リーグ戦は最終日を待たずして優勝を決めたものの、気持ちの緩みから、最終戦で東海大に敗れていることもあり、その悔しさを晴らすとともに筑波大初の3連覇へ挑む。
写真上:力強いリバウンドで専修大の好スタートを演出した専修大・アブ。まだ1年生だが、その存在感は十分なものであり、準決勝を終えた時点で得点、リバウンド、ブロックショットの3部門で1位を記録している。
写真下:筑波大ペースで一気に突き放すためには、馬場の活躍は必須。決勝戦でのその役割が期待される。
※筑波大・杉浦選手、専修大・佐々木監督のインタビュー、コメントは「続きを読む」へ。
決勝に向け、磨いた絆で優勝を目指す
◆#25平岩 玄(東海大・1年・C・土浦日大)
2回戦で大東文化大のモッチ、準々決勝では青山学院大のセンター陣、そしてこの準決勝ではイッサ、イブラヒマといった錚々たるセンター陣を相手に、他のインサイド陣と交代しながら体を張っている。リーグ戦中はうまくいかないことが多く自分でも反省しきりだったが、インカレではチームとしてのディフェンスのレベルも向上し、平岩自身、思いって得点に絡むシーンが多々見受けられる。4年生の思いを受け止めつつ、自分の仕事をやるだけ、という初めてのインカレ。「チーム力ではどこにも負けない」と言い切るその絆を、決勝の舞台でも一丸となって発揮したい。
―試合を振り返って。
「リーグ戦では白鷗大に1敗しました。接戦ではあったんですが、うちの特色であるディフェンスが崩壊していた状態での負けでした。そこからの課題は多かったんですが、そこで昨日はみんなで夜遅くまで話し合ってディフェンスをどうしようとミーティングをしたことがこういう結果に出たと思います」
―みんなというのは?
「主に選手たちです。そこで激論を戦わせて、みんなで出した答えだったので、それが40分間できたと思います」
―激論ということはなかなか意見が一致しなかったということですか?
「結構特殊なオフェンスだったので、『こうなったらどうしよう』とか、みんなで話し合ったことが、コミュニケーションにもなって、良かったと思います」
―それがしっかり40分間できたんですね。
「詳しくは言えませんが、相手のモーションオフェンスをストップできたし、相手のリズムにならなかったと思います」
―相手に3Pなどを打たれて追い上げられて、という部分はしょうがないという感じでしたか?
「そこはディフェンスの連絡ミスもあったかなと思うんですが、1、2本は粘って、シーガルスタイム(東海大の時間帯の意)が来るまで粘るぞ、とキャプテン中心に粘ることができました。そこで最後得点が開いたんだと思います」
―自分の出来は?
「ファウルになってフリースローが決められなかったことは反省です。でもピックのところで前半の合わせがうまくいったところは相手も嫌だったと思います。後半はそこが続けられなかったので、明日は40分間しっかりやりたいです。フリースローが悪かったのはいつもというか、周りにも外すのは想定内と言われているので、他で補っていきます」
―リーグ戦中は上級生と下級生のディフェンスの錬成度が異なるため、コミュニケーションやローテーションなどでミスがあるのが課題でした。それがこのインカレではかなり改善されていますね。
「そこは皆でミーティングもしていますし、1年だから意見が言えないという訳ではなく、双方に言い合っていけているので、いい形になっていると思います」
―明日の相手はまだ試合中なので決まっていませんが、決勝に向けて。
「自分の仕事をすることが、相手は嫌だと思うので、自分が出た時間はしっかり自分の仕事をやり続けたいです。例えば、筑波の場合は先輩によるとリーグ戦ではそうでもなくても、『インカレの筑波は違う』という話も聞きました。でもこちらにはそれを上回るチーム力があるので、それで対抗していきたいです」
―4年生には本当に懸けるものがあって、それがひしひしと伝わる今インカレですが、下級生もそれを感じてやろうとしていますか?
「試合の雰囲気や日頃の練習も、脩斗さん(#4寺園)中心に絶対に勝ちたいという思いが伝わってきます。自分はこの2年間の悔しさは経験していないのでわからないですけど、思いは感じているので、そこに追いつくというか、共感してやっていかなければと思っています。それに、怪我で出られない達哉さん(#35伊藤)は、ずっと試合に出てきて、代表でもやってきたし、東海の顔でもあります。でもそこを埋められる力があるんだということを、明日みんなで証明したいと思います」
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優勝するも最終戦で負けたリーグ戦の悔しさを胸に
「最後は勝って終わりたい」
◆#17杉浦佑成(筑波大・3年・PF)
馬場や生原の怪我の影響により、万全ではない体制で戦い抜いたリーグ戦ではあったが杉浦が試合に出続けることでチーム優勝に大きく貢献した。その裏で、個人としては今後を見据え“3番”ポジションへのポジションアップにも挑戦したシーズン。リーグ戦序盤では少し戸惑いつつも、吉田監督の起用に応え、3番で多くのプレータイムを獲得。インカレでは4番起用だが、3番プレーの経験によりオフェンスの幅が広がり、自信もつけたことで得点力を増した。準決勝でも31得点をマークしたが、これを更なる自信に変え、チームメイトともに筑波大初となる3連覇をかけた決勝戦に挑む。
—今のお気持ちはいかがですか。
「いよいよ決勝だな、という感じです」
―前半でインサイド陣がファウルトラブルになりましたが、杉浦選手としてはどう考えていましたか。
「試合前に、増田(#11)が4番で僕が5番という布陣も今日はあるぞ、と言われていました。それで、序盤に木林さん(#8)と小原さん(#81)が2ファウル取られてしまって、5番をやることに。僕までがファウルトラブルになったらやばいので、ファウルしないようにしつつ、でもただ簡単にやらせてしまうわけにはいかないので、みんなでヘルプしてもらいながらやろうと考えていました」
―正直慌てるということはなかったということでしょうか。
「はい。そうですね」
—今日は3P4本を含む31得点でしたが、ここまでの戦いぶりでシュートタッチはどうですか。
「今日やっと指にしっかりかかってきた印象があります」
—ここまではズレがあった?
「これまではそうですね。ちょっとタイミングがずれていたような感じです。変なところで打ってしまっていて、打つのが怖いというような感覚がありましたが、今日は気持ちよく打てました」
—試合の中で感覚を修正していったのでしょうか。
「一昨日の夜と昨日の朝で、青木(#4)にシュート練習を手伝ってもらって取り戻しました。青木に確認してもらいつつ、細かくアドバイスを貰いながらやりました。(シュート練習をしようと思ったきっかけは)打ち込んでも直る気配がなかったというか、打ち続けていればその日は入るようになりますが、そもそもが解決しないとまた次の日はリセットになると思ったからです。青木はアドバイスが本当にうまいので、時々頼んでみてもらっています。ただ試合と練習では別なので、昨日はまだ微妙でした。今日やっと戻った感じです」
—今年は学生代表を通じて3番ポジションにも挑戦している形ですが、プレー面で変化を実感することはありますか。
「アウトサイドでボールを貰うことが怖くなくなった、とは思います。前までは、自分より小さい相手につかれているとハンドオフやドライブを仕掛ける時に怖さがありましたが、それがなくなりました」
—その部分で自信をつけられたことがリーグ戦の得点が伸びたことや、アウトサイドの好調さにつながっているのでしょうか?
「オフェンスのポイントが一つじゃなくなってきて、ここでも取れるという自信があるから、積極的に何でもいけるのかなと思います」
—明日は決勝戦ですが、去年までと気持ちでの違いはありますか。
「去年まではチャレンジャーとしてここで見せつける気持ちを前面にもっていけました。今は去年の東海(リーグ戦で全勝優勝したが、インカレ決勝で筑波大に敗戦)のように、足元をすくわれないようにしないといけないという気持ちはあります。それに、追われる者のプレッシャーはあります。リーグ戦も優勝はしましたが、最終戦で負けてしまったので、インカレは絶対に勝って終わりたいです」
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悔しい敗戦もリーグ戦で掴んだ経験
「この場で活かすことができた」
◆佐々木優一監督(専修大)
「(試合を振り返って)プランとして、筑波大はランニングプレーで得点を取るのが得意なチーム。それに対し、オフェンスではなく、ディフェンスに95%比重を置いて、まずは走られないように意識を統一して入った。最終的には12点開いたが、2Q以外は力勝負では負けていないな、という印象。結果を見ると、2Qの勝負所でうちがオフェンスに気持ちがいってしまったり、オフェンスのミスをディフェンスに引きずったりしてしまった。そこでやられてしまった。そこだけだと思っている。
(専修大の武器でもある高さについて)うちが唯一筑波の選手たちよりも上回っているのは、絶対にペイントエリアだと思っている。選手たちもリーグ戦の経験値として得られたのは、自分たちのアドバンテージである“高さ”やインサイドの強さ。それを、選手たちがしっかりと理解してアグレッシブに攻められたことで、序盤で筑波の主力選手がファウルトラブルになった。そういうケースを作れたことは、リーグ戦の経験をこの場で活かすことができたのかな、と感じている。
(前半ハイペースのように見えたことについて)ペースを抑えろ、といっても抑えるようなチームではない。逆にスローダウンすると、とことんスローになって相手に合わせてしまったり、ディフェンスの戻りが遅くなったりする。連戦というトーナメント形式での戦い方もあるが、うちはチャレンジャーで相手はディフェンディングチャンピオン。80%や90%の戦い方でどうこうできるとは思っていなかったし、行けるところまで行って、そこは後から考えようという感覚だった。でも、思った以上に2Qのところで意識が切れてしまったことは少し悔やまれるが、選手たちにとっていい経験になったと思うので、3位決定戦につなげたい。
(後半序盤に大澤選手(#10)にボールを集めたことについて)うちは、唯一3Pを打っていいのは大澤だけだ、と言っている。他の選手も狙うが、渡辺(#6)や國分(#7)にしても他の方法で点が取れる。その中で、どれだけ大澤にボールを集めてそこから中で勝負ができるか。どうしても中だけになってしまうとディフェンスが守りやすくなるのでそういう部分を含めて、1回中、外、中のリズムを作るとなるとうちでは絶対に大澤になる。彼も自信を持って打てるようになってきているし、周りも彼がシューターだと認識できている。そこをもう1回冷静になって、また明日も同じように試合を作っていきたい。
(3位決定戦は4年生たちにとって学生最後の試合)内容も求めていくが、やはり勝って終わりたい。そのためには、自分たちが縮こまるのではなく、やりたいバスケットをやっていきたい。あれがダメこれがダメではなく、うちは元々思い切ってやれ、と言っていて、その上での失敗についてはあまり言いたくない。ディフェンスとリバウンドをしっかりしていって、そこから自由なオフェンスで選手たち自身が楽しめたらいい」
筑波大と東海大が決勝進出を果たす
インカレ男子戦も残すはあと2つ。一段階ごとにレベルの上がる試合内容に、会場も湧いている。ベスト4に残ったうち、初の決勝を目指した白鷗大、そして8年ぶりの決勝を目指す専修大はそれぞれ上位シードのチームに挑む形になった。しかし第1シード筑波大、第2シード東海大がそれぞれ勝利し、3年連続同カードでの決勝が決まった。
リードを握った東海大が流れをキープ
白鷗大は4Qに失速し、3度目の逆転劇はならず

リーグ戦では1勝1敗。東海大は今大会最激戦と言われるブロックを勝ち上がり、かたや白鷗大は2戦連続4Qでの逆転劇で劇的勝利を重ねてきた。始まるまではどちらにどう転ぶかわからない試合だったが、立ち上がりから東海大がペースを掴んだ。

3Q、開始2分間は東海大がノーゴール。その間に白鷗大は#23ジャニ(4年・C)のゴール下につづいて#41小倉の3Pが決まり、5点差まで詰める。しかし東海大はそこから寺園が果敢にゴールを狙い、#33鈴木(4年・SF)のオフェンスリバウンドからの得点もあって、点差を8に広げて逃げる。追いすがる白鷗大は#41小倉、#21神里(3年・PG)の連続スリーもあって、47-51。白鷗大が4点差に詰めて3Q終了。

負けた白鷗大はビハインドを背負ったままの展開ではあったが、3Qまでは焦った様子はなく、我慢と集中で確実にできることをこなして冷静だった。ただ、3Pは川島、野﨑とも1/8と確率が上がらず、勝負を分けた4Qは我慢も効かなかった。「自分たちのシュートが相手に読まれていて思うように打てず、そこで集中が切れてしまったのが敗因。いつもはできる我慢ができなかった」と主将の川邉。リバウンドを1本でも取れれば立て直せる自信はあったが、跳ねたボールが4Qはことごとく東海大の方へと落ちてしまったのも痛かった。落合監督も「今日はみな頑張った。でもボールがこちらへ落ちてこなかったり、あと“もう一つ”が出なかった。それを頑張ろうと言いながらやったが、相手が上だった」、と述べた。しかし、監督就任から3年でここまで来た成長力は素晴らしいもの。選手たちも年ごとに実力をつけ、「ここまで、成功と同じくらい失敗している。ちょっとぐらいの失敗ではへこたれない」(落合監督)というメンタリティを持っている。それを3位決定戦の場でも見せて欲しい。

写真上:東海大・大矢はインサイドのリバウンドで貢献。今大会では3Pも決まっている。
写真中:白鷗大・小倉は絶妙の飛び込みプレー、3Pで東海大のディフェンスを翻弄。
写真下:東海大が信じるのは“チームの力”。決勝でもそれが生きるか。
※東海大・平岩選手のインタビューは「続きを読む」へ。
専修大の高さに苦しむも
2Qで流れを掴んだ筑波大が決勝戦へ

ディフェンディングチャンピオン・筑波大は、8年ぶりの決勝を目指す専修大の挑戦を受けた。1Qは専修大#30アブ(1年・C・アレセイア湘南)、筑波大#6馬場のブロックショットが早々に飛び出るなど序盤から激しい空中戦を展開するも、徐々に専修大の高さが筑波大を苦しめることに。#11秋山(3年・G)、#6渡辺(4年・G)の得点でリズムを掴むと、#30アブがオフェンスリバウンドでチャンスを量産し、リード。筑波大は辛うじて食らい付き、17-20で1Qを終えた。

3Q序盤は、シューター#10大澤(2年・F)を起点に攻撃を組み立てる専修大。これに応えて、3Pを沈めるも、ここで再び立ちはだかったのが#17杉浦。すぐさま3Pを決め返し、専修大に流れを渡さず。61-47とわずかに筑波大がリードを広げて、最終Qへ。しかし#2満田以外のスタートメンバーをベンチで休ませる布陣でのぞんだ筑波大だが、得点が止まってしまう。その間に#34盛實(1年・G・能代工業)の3Pも決まり、専修大が勢いづく。だが、徐々にメンバーを戻し筑波大が、専修大の追撃ムードを消し続けて、80-68で試合終了。筑波大が3年連続の決勝戦へと駒を進めた。

そして、専修大を跳ね返した筑波大。序盤に相手の高さに苦しむも、2Qでは隙をついて一気に筑波大ペースで試合を展開。特に前半だけで21得点を挙げた杉浦は、相手の流れを切り、さらには突き放すシュートを決め、その貢献度は大きい。そして、要所要所で4年生3人が試合を締めるプレーを見せ、残りのメンバーもそれぞれも役割をこなしてゲームをつなげた。次なる舞台は決勝戦。リーグ戦は最終日を待たずして優勝を決めたものの、気持ちの緩みから、最終戦で東海大に敗れていることもあり、その悔しさを晴らすとともに筑波大初の3連覇へ挑む。
写真上:力強いリバウンドで専修大の好スタートを演出した専修大・アブ。まだ1年生だが、その存在感は十分なものであり、準決勝を終えた時点で得点、リバウンド、ブロックショットの3部門で1位を記録している。
写真下:筑波大ペースで一気に突き放すためには、馬場の活躍は必須。決勝戦でのその役割が期待される。
※筑波大・杉浦選手、専修大・佐々木監督のインタビュー、コメントは「続きを読む」へ。
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「うちにはチーム力があり、それで対抗できる」決勝に向け、磨いた絆で優勝を目指す
◆#25平岩 玄(東海大・1年・C・土浦日大)

―試合を振り返って。
「リーグ戦では白鷗大に1敗しました。接戦ではあったんですが、うちの特色であるディフェンスが崩壊していた状態での負けでした。そこからの課題は多かったんですが、そこで昨日はみんなで夜遅くまで話し合ってディフェンスをどうしようとミーティングをしたことがこういう結果に出たと思います」
―みんなというのは?
「主に選手たちです。そこで激論を戦わせて、みんなで出した答えだったので、それが40分間できたと思います」
―激論ということはなかなか意見が一致しなかったということですか?
「結構特殊なオフェンスだったので、『こうなったらどうしよう』とか、みんなで話し合ったことが、コミュニケーションにもなって、良かったと思います」
―それがしっかり40分間できたんですね。
「詳しくは言えませんが、相手のモーションオフェンスをストップできたし、相手のリズムにならなかったと思います」
―相手に3Pなどを打たれて追い上げられて、という部分はしょうがないという感じでしたか?
「そこはディフェンスの連絡ミスもあったかなと思うんですが、1、2本は粘って、シーガルスタイム(東海大の時間帯の意)が来るまで粘るぞ、とキャプテン中心に粘ることができました。そこで最後得点が開いたんだと思います」
―自分の出来は?
「ファウルになってフリースローが決められなかったことは反省です。でもピックのところで前半の合わせがうまくいったところは相手も嫌だったと思います。後半はそこが続けられなかったので、明日は40分間しっかりやりたいです。フリースローが悪かったのはいつもというか、周りにも外すのは想定内と言われているので、他で補っていきます」
―リーグ戦中は上級生と下級生のディフェンスの錬成度が異なるため、コミュニケーションやローテーションなどでミスがあるのが課題でした。それがこのインカレではかなり改善されていますね。
「そこは皆でミーティングもしていますし、1年だから意見が言えないという訳ではなく、双方に言い合っていけているので、いい形になっていると思います」

「自分の仕事をすることが、相手は嫌だと思うので、自分が出た時間はしっかり自分の仕事をやり続けたいです。例えば、筑波の場合は先輩によるとリーグ戦ではそうでもなくても、『インカレの筑波は違う』という話も聞きました。でもこちらにはそれを上回るチーム力があるので、それで対抗していきたいです」
―4年生には本当に懸けるものがあって、それがひしひしと伝わる今インカレですが、下級生もそれを感じてやろうとしていますか?
「試合の雰囲気や日頃の練習も、脩斗さん(#4寺園)中心に絶対に勝ちたいという思いが伝わってきます。自分はこの2年間の悔しさは経験していないのでわからないですけど、思いは感じているので、そこに追いつくというか、共感してやっていかなければと思っています。それに、怪我で出られない達哉さん(#35伊藤)は、ずっと試合に出てきて、代表でもやってきたし、東海の顔でもあります。でもそこを埋められる力があるんだということを、明日みんなで証明したいと思います」
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優勝するも最終戦で負けたリーグ戦の悔しさを胸に
「最後は勝って終わりたい」
◆#17杉浦佑成(筑波大・3年・PF)

—今のお気持ちはいかがですか。
「いよいよ決勝だな、という感じです」
―前半でインサイド陣がファウルトラブルになりましたが、杉浦選手としてはどう考えていましたか。
「試合前に、増田(#11)が4番で僕が5番という布陣も今日はあるぞ、と言われていました。それで、序盤に木林さん(#8)と小原さん(#81)が2ファウル取られてしまって、5番をやることに。僕までがファウルトラブルになったらやばいので、ファウルしないようにしつつ、でもただ簡単にやらせてしまうわけにはいかないので、みんなでヘルプしてもらいながらやろうと考えていました」
―正直慌てるということはなかったということでしょうか。
「はい。そうですね」
—今日は3P4本を含む31得点でしたが、ここまでの戦いぶりでシュートタッチはどうですか。
「今日やっと指にしっかりかかってきた印象があります」
—ここまではズレがあった?
「これまではそうですね。ちょっとタイミングがずれていたような感じです。変なところで打ってしまっていて、打つのが怖いというような感覚がありましたが、今日は気持ちよく打てました」
—試合の中で感覚を修正していったのでしょうか。
「一昨日の夜と昨日の朝で、青木(#4)にシュート練習を手伝ってもらって取り戻しました。青木に確認してもらいつつ、細かくアドバイスを貰いながらやりました。(シュート練習をしようと思ったきっかけは)打ち込んでも直る気配がなかったというか、打ち続けていればその日は入るようになりますが、そもそもが解決しないとまた次の日はリセットになると思ったからです。青木はアドバイスが本当にうまいので、時々頼んでみてもらっています。ただ試合と練習では別なので、昨日はまだ微妙でした。今日やっと戻った感じです」
—今年は学生代表を通じて3番ポジションにも挑戦している形ですが、プレー面で変化を実感することはありますか。
「アウトサイドでボールを貰うことが怖くなくなった、とは思います。前までは、自分より小さい相手につかれているとハンドオフやドライブを仕掛ける時に怖さがありましたが、それがなくなりました」

「オフェンスのポイントが一つじゃなくなってきて、ここでも取れるという自信があるから、積極的に何でもいけるのかなと思います」
—明日は決勝戦ですが、去年までと気持ちでの違いはありますか。
「去年まではチャレンジャーとしてここで見せつける気持ちを前面にもっていけました。今は去年の東海(リーグ戦で全勝優勝したが、インカレ決勝で筑波大に敗戦)のように、足元をすくわれないようにしないといけないという気持ちはあります。それに、追われる者のプレッシャーはあります。リーグ戦も優勝はしましたが、最終戦で負けてしまったので、インカレは絶対に勝って終わりたいです」
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悔しい敗戦もリーグ戦で掴んだ経験
「この場で活かすことができた」
◆佐々木優一監督(専修大)
「(試合を振り返って)プランとして、筑波大はランニングプレーで得点を取るのが得意なチーム。それに対し、オフェンスではなく、ディフェンスに95%比重を置いて、まずは走られないように意識を統一して入った。最終的には12点開いたが、2Q以外は力勝負では負けていないな、という印象。結果を見ると、2Qの勝負所でうちがオフェンスに気持ちがいってしまったり、オフェンスのミスをディフェンスに引きずったりしてしまった。そこでやられてしまった。そこだけだと思っている。
(専修大の武器でもある高さについて)うちが唯一筑波の選手たちよりも上回っているのは、絶対にペイントエリアだと思っている。選手たちもリーグ戦の経験値として得られたのは、自分たちのアドバンテージである“高さ”やインサイドの強さ。それを、選手たちがしっかりと理解してアグレッシブに攻められたことで、序盤で筑波の主力選手がファウルトラブルになった。そういうケースを作れたことは、リーグ戦の経験をこの場で活かすことができたのかな、と感じている。
(前半ハイペースのように見えたことについて)ペースを抑えろ、といっても抑えるようなチームではない。逆にスローダウンすると、とことんスローになって相手に合わせてしまったり、ディフェンスの戻りが遅くなったりする。連戦というトーナメント形式での戦い方もあるが、うちはチャレンジャーで相手はディフェンディングチャンピオン。80%や90%の戦い方でどうこうできるとは思っていなかったし、行けるところまで行って、そこは後から考えようという感覚だった。でも、思った以上に2Qのところで意識が切れてしまったことは少し悔やまれるが、選手たちにとっていい経験になったと思うので、3位決定戦につなげたい。
(後半序盤に大澤選手(#10)にボールを集めたことについて)うちは、唯一3Pを打っていいのは大澤だけだ、と言っている。他の選手も狙うが、渡辺(#6)や國分(#7)にしても他の方法で点が取れる。その中で、どれだけ大澤にボールを集めてそこから中で勝負ができるか。どうしても中だけになってしまうとディフェンスが守りやすくなるのでそういう部分を含めて、1回中、外、中のリズムを作るとなるとうちでは絶対に大澤になる。彼も自信を持って打てるようになってきているし、周りも彼がシューターだと認識できている。そこをもう1回冷静になって、また明日も同じように試合を作っていきたい。
(3位決定戦は4年生たちにとって学生最後の試合)内容も求めていくが、やはり勝って終わりたい。そのためには、自分たちが縮こまるのではなく、やりたいバスケットをやっていきたい。あれがダメこれがダメではなく、うちは元々思い切ってやれ、と言っていて、その上での失敗についてはあまり言いたくない。ディフェンスとリバウンドをしっかりしていって、そこから自由なオフェンスで選手たち自身が楽しめたらいい」
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