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2016.10.25 (Tue)

【2016関西リーグチャレンジマッチ決勝】10/25 大阪学院大VS大阪産業大

大阪産業大のゾーンで前半は緊迫感溢れるせめぎ合いも
エースの大活躍で大阪学院大が最後のインカレ枠を掴む


161025OSAKAGAKUIN.jpg リーグ戦では苦しんだ末に、土俵際から1部5位に滑り込んだ大阪学院大と、混戦となった2部リーグを最終戦の勝利で優勝し、1部昇格を決めた大阪産業大。インカレ出場最後の切符をかけたチャレンジマッチ決勝戦は、ともに上り調子の2チームの対戦となった。昨年この舞台で勝利したのは、2部優勝を決めて言わば挑戦する側の関西大。今年のチャレンジマッチも、チャレンジャーの立場である大阪産業大が存分に良さを発揮し、またも2部チームがインカレ出場を果たすのかと思われる場面もあった。

 しかし、勝負どころを制したのは大阪学院大だった。チームが、いや関西が誇るスコアラーが、大一番で怒濤の爆発力を発揮。会場の東淀川体育館は、歓声と嘆息が入り交じった。リーグ最終盤から怒濤の巻き返しを見せた大阪学院大が、関西最後のインカレ出場権を見事に掴み取った。

写真:フリースローを得て集中する澤邉に、渡邉が静かに声をかける。4年生同士の絆を感じさせる瞬間だった。

※詳しいゲームレポートと、大阪学院大・渡邉選手、澤邉選手、大阪産業大・松田選手のインタビューは「続きを読む」へ。



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【GAME REPORT】

161025TAMAI.jpg 立ち上がり、まずは大阪産業大がペースを掴んだ。#12玉井(4年・C)が得点を重ねて先行する。ターンオーバーが続いた大阪学院大だったが#31福田(3年・C)がミドルを決めて落ち着き、#30木下(2年・PG)の3点プレーで逆転。大阪産業大も#45金(3年・SG)が2本の3Pを決めて高い集中力を発揮。#51宮本(4年・SF)のミドルで逆に4点リードとするなど、2部優勝からの勢いを感じさせる。しかし大阪学院大も#30木下の3Pでリードを奪還。最後に#7澤邉(4年・SG)がツースローを沈めて5点リードで1Qを終えた。

 すると2Q、大阪産業大は#12玉井を中央に配する1—3—1ゾーンを披露。大阪学院大がこれを攻めあぐねる間に、#45金のこの日4本目の3Pで再び大阪産業大は逆転に成功した。大阪学院大も#45藤井(2年・PG)が3Pで返してここからは攻め合いの様相。大阪産業大が、#25松田(4年・PG)が3Pを決めたかと思えば、大阪学院大も#31福田がゾーンをかいくぐってペイント内で得点し、拮抗した状態での点の取り合いが続いた。リードの入れ替わりが実に11回を数えた前半は、大阪学院大2点リードで終了。前半は両者ががっぷり四つで組み合い、どちらに転ぶか分からない展開となった。

161025SHIKADA.jpg 迎えた3Q。ここから大阪学院大は、前半沈黙気味の#7澤邉(4年・SG)が目覚めた。躍動感とパワフルさ溢れるペネトレイトから得点量産を開始。大阪産業大もゾーンを継続し、#12玉井のインサイドで稼いで何とかついていくが、#7澤邉は文字通りアンストッパブルな状態に。大阪学院大は、このQチームで得た14得点は全て澤邉によるもの。果敢なアタックだけでなく、最後には3Pを沈めてみせた。3Qは14−14のタイスコアながら、どちらかと言えば大阪学院大が主導権を握って勝負は最後の10分間に入った。

 4Q、均衡を保っていたパワーバランスは#7澤邉のバスケットカウントで一気に大阪学院大に傾いた。大阪産業大にトラベリングが出るのを尻目に、#2渡邉(4年・SG)もミドルシュートを決める。タイムアウトで打開を図ろうとする大阪産業大だったが、#7澤邉が3Pを決めてとうとう二桁の差に。大阪産業大も執念で追いすがるが、やや不運な笛も吹かれてきっかけを掴めない。大阪学院大は獲得したフリースローを着実に決めて優勢の状態は変わらず。残り1分の勝負がほぼ決した状態で#14鹿田(4年・PG)をコートに送りクライマックスのモードとなった。大阪産業大も最後まで戦う姿勢を見せるも、このままタイムアップ。79—68で大阪学院大が相手をねじ伏せ、インカレ出場を決めた。

161025CHARANGEMATCH.jpg 終盤は流通科学大とのマッチレースとなり、最後の直接対決で勝利し2部優勝を決めた大阪産業大の強さは本物だった。ゲームの中ではほとんど使ったことのないという特殊なゾーンで大阪学院大を苦しめ、インカレへの道筋は見えていた。後半に振り切られ敗れ、さすがに悔しい表情があったが、時間が立つほどメンバーの表情がどことなくすっきりと晴れやかになっていったのも印象的。4年生主体のチームだが、来年は2部優勝の自信と今回の激闘の悔しさを胸に、3年ぶりの1部に挑戦する。

 大阪学院大は序盤から精神的なテンションが高く、2Qにゾーンを繰り出された際にも離されずにイーブンの状態で前半を終えられたことも大きかった。しかしそれ以上に、我慢に我慢を重ねた末に、最後はエース澤邉が獅子奮迅の活躍を披露したことが、勝利を大きく引き寄せる要因となった。近年は毎年のように出場しているインカレ出場権を最後に確保したが、ここでの勝利の味を知らないチームであることも事実だ。今年こそ、インカレでの勝利を手にできるか。

写真上:大阪産業大は玉井がインサイドで奮闘。こちらもインカレを渇望する思いを見せた。
写真中:最後にコートに立ち、相手ファウルでフリースローに向かう鹿田を福田らが笑顔で送り出す。大阪学院大が、チームとして最高の雰囲気になった瞬間だった。
写真下:互いのベンチ入りメンバーが、試合後に相手ギャラリーに挨拶する光景も印象的なゲームだった。大阪産業大は、大阪学院大にインカレでの躍進を託した。


【INTERVIEW】

「追い込まれないと力を出せないのはダメだけど
でも、勝てたからオッケーです(笑)!!」

◆#2渡邉大樹(大阪学院大・4年・主将・SG)
161025WATANABE.jpg苦しみ抜いたリーグ戦だった。リーグ戦は1巡目で負け越し、どん底とも言って良いような精神状態に見えた。しかし、勝負どころをしっかりとわきまえ、最後の最後に勝利の女神を呼び込んだのは、さすがだった。この日はどうしても澤邉の活躍に目が行くが、最終4Qは渡邉も要所で得点を決めてしっかりと勝利に貢献した。これにより掴んだインカレ出場は、このチームで最後の晴れ舞台となるかもしれない。最後の最後までリーダーシップを発揮し、まずはインカレ初勝利を目指す。


—終わった瞬間の気持ちはいかがでしたか。
「ここまで4年連続でインカレに出ているプレッシャーがあって、今年は2巡総当たりのリーグで出だしが悪くて、ホンマに苦しんだリーグ戦やったんですけど……。ホンマにひと安心、っていう感じですね(笑)」

—先ほど解散して『ホッとした!』と言われていたと思いますが、それが本音ですね。
「そうですね。キャプテンとしてプレッシャーも感じていましたし、たくさんの方に応援してもらっている中で、リーグ優勝という結果は残せなかったんですけど、インカレ出場という結果は残せたので、ホンマにホッとしました(笑)」

—試合についてですが、前半はかなり均衡した状態でした。序盤から突き放したかった部分があったと思いますが、それが出来ませんでしたね。
「相手のインサイドが大きい中で、ディフェンスリバウンドをこっちが取り切れない中で、相手がセカンドチャンスをものにしていて。僕たちのバスケットであるディフェンスを頑張ってリバウンドを取ってブレイクに繋げるというリズムに持っていけていなかったのが、苦しんだ原因かと思います。けど、粘っていればいつか自分たちにチャンスが来ると信じていたので、前半は苦しんだんですけど2点リードで終えることが出来たのは、それはそれで良い形になっていたのかなと思いますね」

—相手のゾーンを敷かれて苦しんでいた印象があります。
「今までのリーグの中で、ゾーンで苦しんだことはあまりなかったんですけど、ホンマに異質なゾーンで。真ん中に大きいセンターがおって、それの対応には苦しんだところはありました。でも、その中で、僕たちのバスケットはディフェンスを頑張ることなので。オフェンスは二の次で、ディフェンスを頑張ろうとハーフタイムに声をかけ合ったのが、最後にブレイクが数本出ましたが、それに繋がったのかなと思います」

—前半に苦しんでほぼイーブンで終われた部分は、下級生の頑張りがポイントになっていたように思います。
「そうですね。吉川(#35)が欠場した穴は大きいなと感じていたんですけど、それでも代わりに出てくれた藤井(#45)の頑張りであったり、誠(#30木下)の得点力であったり、福田(#31)のゴール下の存在感とリバウンドがあって。僕たちはメインで出る4回生が二人だけの厳しい状況の中で、ホンマにこのリーグ戦もチャレンジマッチも、後輩に助けられてきた、後輩の力で勝てたと言って良いと思います」

—そうは言っても、後半は最上級生の力が光りました。澤邉選手(#7)も凄かったですが、渡邉選手も要所で効果的なミドルを決めていましたね。
「ありがとうございます(笑)。リーグ戦で苦しんでいる時に一回澤邉と話したのが、接戦のゲームというのはやっぱり4回生の意地のぶつかり合いやな、という話になって。それで、ベンチに帰るたびに『俺らがやるぞ!』と言い続けていたことが最後の勝負どころで活躍出来た要因かと思います。やっぱり気持ちの面が出て、最後に良いプレーに繋がったんじゃないかと思います」

—リーグ終盤の巻き返しも、気持ちで乗り切ったんですね。
「そうですね。何回も心が折れそうになったんですけど(苦笑)、やっぱり僕たちの代ですし、僕たちが楽しまんと後輩も楽しくないですし、プレッシャーがある中でも楽しもうと。僕たちは最後なので、後輩に助けてもらってでも4回生として楽しんで、それがインカレに行けるという結果になったと思います。プレッシャーと言ったらプレッシャーなんですけど、でもそれが良い形で最後のシュートに繋がって。良いプレッシャーだったんじゃないかなと思います」

—全関、西日本では決勝を経験していて、緊張感のある舞台での経験も活きたのではないでしょうか。
「今年のチームは、なんか追い込まれてから力を発揮するというか(苦笑)。全関も西日本もトーナメントですし、追い込まれないと力を出せないというのはダメなところやったんですけど……。でも、勝てたからオッケーです(笑)!!」

—そうですね(笑)。最後は結果が全てですからね。さて、いよいよ最後の大会が待っています。
「関東という非常に厚い壁があり、僕たちが入学してから一度もインカレで勝てていないんで、組み合わせがどうなるかは分からないですけど、まずはインカレで1勝して。それで勢いに乗って、自分たちの最大の目標であるベスト8に入れるように、この1ヶ月でしっかり一生懸命練習してインカレに臨めたらなと思います」

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「4年生がしっかりやれば絶対にチームも良くなる」
最上級生として、そしてエースとしての自覚と責任感を体現

◆#7澤邉圭太(大阪学院大・4年・SG)
161025SAWABE.jpgこの日は24得点。そのうち実に20得点を後半開始から4Q残り7分までの13分間に稼ぐ圧巻のパフォーマンスだった。緊張感のある舞台での圧倒的なプレーは、関西選抜として優勝した昨年の選抜大会での決勝や、今年の全関の決勝で見せた活躍を彷彿とさせるどころか、それらを上回るものだったと言ってよかろう。これでようやくインカレへの出場を確定させた大阪学院大。澤邉個人としては、入学から最後まで東京行きのチケットを保持し続けることとなった。学生として迎える最後の舞台でも、会場を沸かせるプレーを見せ続けたい。


—3Qは完全にスイッチオンの状態でしたね。
「そうですね(笑)。前半にフェイスガード気味に相手にディフェンスされて、振り切れない部分もある上にゾーンもしてきて。それでもそこはしっかり様子を見て、後半からは相手のディフェンスの位置も見ながらプレーできたのが良かったのかなと思います」

—1-3-1ゾーンはいかがでしたか。
「相手がデカい分やりづらかったですね。スカウティングも何も意味なく、何も知らない状況でああいうゾーンをされて、前半はやりづらくて自分たちのバスケットではなかったです。ただ後半はディフェンスからリバウンドを取ってブレイクで、どんどん空いているスペースを見つけてシュートに行けていたので、最後は点差も離れたので良かったです」

—それにしても、気持ちの見えるプレーでした。
「そうですね。5年前に1部に上がって、そこからインカレに出続けていて。自分たちの代でインカレに行けないとなったらダメだと思っていて。そういう部分がこのチームの伝統になっていければな、と思った上で今日の試合に臨みました。リーグ戦から思ってるんですけど、やっぱり4年生の大会なんで、4年生がしっかりやれば絶対にチームも良くなっていくので。インカレに向けて、キャプテンの大樹(#2渡邉)と一緒にチーム一丸となって頑張っていきたいなと思います」

—最後は鹿田選手(#14)がコートに立ちましたが、かなり嬉しそうにしていましたよね。
「そうですね(笑)。あいつとは、個人的には高校(九州学院高)から7年間ずっと一緒のチームでバスケをやってきた仲間なんで。最後の僅かな時間でしたけど、一緒にコートに立てたというのはとても嬉しいです」

—いよいよ、最後のインカレが控えていますね。
「自分たちは関西5位なので、やっぱり関東の上位や地方の上位のチームと当たると思います。もう一回しっかり個人練習を積んで、少しでもレベルアップした状態で、インカレの最高の舞台で戦えたらなと思っています。3年間ずっと行ってはいるんですけど、まだ一回も勝てていないので。チームの目標としてはベスト8でオールジャパンに出ることなんですけど、とりあえず1勝することを見据えて、あと1か月頑張っていこうと思います」

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「悔しいけど、2部優勝でホッとした部分もある」
夢を後輩たちに託し、最後まで前向きに

◆#25松田大樹(大阪産業大・4年・主将・PG)
161025MATSUDA.jpg狙い通りの前半だった部分もあるだろう。しかし、さすがに澤邉の活躍を止める術はなかった大阪産業大。それでも4年生を中心に積極的にコミュニケーションを図り、多くの選手が涙を浮かながら、爽やかさを感じさせるチームでもあった。主将である松田自身も、最後のミーティングでは悔しさをどこかに滲ませつつも、やりきった表情でもあったところが印象的だった。自身の大阪産業大でのキャリアはこれで終わりとなる。だが、そのリーダーシップは、必ず後輩たちが見てくれているはずだ。


—試合が終わった瞬間、どのような感情でしたか。
「正直、悔しい部分が大きかったですね。学院相手にできた部分もあって、それでも向こうの方が強かったのが現実であって。でも、インカレに出たいという気持ちがあったので、とても悔しい気持ちでいっぱいでしたね」

—その一方で、時間が経過してくるとやりきった表情にも見えます。
「4年間大学でやってきて、このリーグを通しても、本当にやってきて良かったというのもありますし。何よりも自分がキャプテンとして1部昇格できたことが、ひとつホッとした部分でもあります。インカレには行けなかったんですけど、そこの部分ではホッとしました」

—かなり混戦の2部リーグでしたが、最終的に優勝できたのは何が良かったからなのでしょうか。
「自分たちはディフェンスを強化してきた1年であって、リーグを通して失点が一番少なかったことが良かったと思いますし、高さのある選手がいたので、その部分でも優位に立てたのかなと思いますね」

—そういう意味では、今日は少し失点が多かったですね。
「そうですね。ゲームを通してそれは多かったですね」

—途中で1-3-1ゾーンで守り始めました。あまり試合ではやっていないんですよね。
「そうですね。自分たちは1年間を通して、あのゾーンは持っていたんですけど、リーグでは使うことがなかったので。マンツーマンで守れることはできていたと思うんで、でも学院相手だとガードの選手でもミスマッチになってしまうので、1-3-1を使って打破しようとしました」

—後半は、やはり澤邉選手への対処は難しかったでしょうか。
「澤邉の力強いドライブだったり、そこで抑え切れずにバスケットカウントも取られて。そこで流れを持っていかれた点は響きましたね」

—そういった点でご自身のチームとの差はどのくらい感じましたか。
「2部を戦ってきたのも踏まえて、あそこまで力強いドライブの選手はいてなかったですし。澤邉に関しては3年まではずっとインカレに出ているわけで、そうした気持ちの面でのあいつ自身もそうですし、やっぱり気持ちが相手の方が強かったですし、インカレにかける部分で、最後に苦しい場面でやられてしまったと思います」

—今年キャプテンの立場はいかがでしたか。
「チームをまとめあげることが第一であって。その中でもベンチ入りしているメンバーや、応援してくれる選手が、やっぱりそこで目標のひとつを目指せる良さがあったことも良かったです。自分の背中を見てついてきている選手も多いので、そういうチームにしたいと思ってやってきました」

—自らが立つ機会はないですが、来年は1部復帰となります。
「やっぱりサイズ面では小さくなってしまうので。その中でも大産大はディフェンスのチームなので、とにかく速い展開のゲームに。ディフェンスから流れを持っていって欲しいですね」

—大学バスケを4年間やっていましたが、一番学んだことはそういったことでしょうか。
「この4年間を通して、自分はケガも多かったんですけど、その中でもチーム内にサポートしてくれる選手がいてたり、チームの中でもどんな時でもがんばってくれるやつがいてるので。周りをよく見ることで、プレーしている選手だけではなく、チームとしてひとつになれることが大きいですね。キャプテンとして、そういった部分を理解できたことが、やはり面白かったですね」



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テーマ : バスケットボール(日本) - ジャンル : スポーツ

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