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2016.10.22 (Sat)

【2016関西リーグ1部】終盤戦(10/15 ~10/22)レポート&最終日の見どころ

関西学院大が18年ぶりに優勝
インカレ出場校も続々決定


 関西リーグは、いよいよ大詰めの状況となった。泣いても笑っても、あと1試合という段階だ。既に順位が決まり、明日の試合が今年のチームでは最後のゲームという大学もある。どのチームも、悔いなく最終戦を終えて欲しい――。観るもの誰もが願うのは、第一にそれだ。


161022KWANGAKU.jpg 中断明け最大のトピックスは、何といっても関西学院大の優勝決定だろう。開幕から中断期間までを全勝し、中断が明けて最初の試合で15連勝目として優勝を決めた。今大会の戦いぶりを、綾部コーチ「一番の要因は、ゲームの流れを読む中で、選手自身が流れを考えながら、やるべきことがコートの中で表現できるようになってきた」と振り返る。

 競り合いの試合も多く、試合内容は一見、盤石な優勝だったとは必ずしも言い切れない部分もある。しかし、終盤勝ち越してしぶとく押し切り白星を並べ、最終的に優勝を掴んだ形となった。「気持ちよく勝ってきたわけではなく、いつ負けるか分からないという緊張感がある状態だったので、それが逆に良かったのかな」(綾部コーチ)

 今大会は、長いブランクから#23松田(4年・C)が戦列に復帰。綾部コーチも主将の横澤も、一番にこれが大きかったと話す。強いインサイドが戻り、リバウンド面での力強さを取り戻した。これにより、#34池嶋(4年・PF)が状況によってはペリメーターからも得点を稼ぐ場面が増えた。またバスケットの定石として、インサイドの強さはアウトサイドのシュート率向上にも繋がる。#74中野(2年・SG)、#10松原(3年・SF)が高確率で3Pを決め続けたことも、優勝の大きな要因と言って良いだろう。

161022YASUMI.jpg 4位に終わった全関や、教育実習で池嶋を欠いて初戦で敗れた西日本インカレで見せてしまったメンタル的の課題も見られたが、綾部コーチ「春のゲームではここまでは作り上げよう、夏までではここまで、という具合に決めて、段階的にクリアしながらやってきた」といい、ある意味計画通りに推移してきたシーズンだったとも言えよう。

 この優勝で、関西学院大はインカレでのシードも獲得。関西勢のインカレでの戦績は、関東勢の強さを前に苦しめられる展開が少なくない。とはいえ、2008年以来は必ずいずれかの出場チームがベスト8以上を保っているのも事実だ。シードを確保した関西学院大が、その筆頭候補であることは間違いない。まずは最終戦での相手・天理大とぶつかり合い、この先のステージに向かっていきたい。


161022KISHIMOTO.jpg 一方で、関西リーグ自体の熱は冷めてはいない。天理大京都産業大立命館大はインカレへの出場を決めたが、チャレンジマッチの末に決まる5枠目に該当する5位は、大阪学院大が手をかけつつあるも、正式決定していない。前日に5位争いの直接対戦となった大阪体育大を辛くも押し切り、最終日に勝てば5位が決まる状況だ。

 下位では関西大同志社大が、最終日に直接対戦する。両者同勝ち点で並んでおり、勝てば入れ替え戦にまわるが、負ければ10位が決まり2部へ自動降格となる。瀬戸際に立たされた者同士の緊迫感が滲むゲームとなりそうだ。



【第17日目終了時点】
関西学院大 勝ち点15
天理大   勝ち点13
京都産業大 勝ち点12
立命館大  勝ち点11
大阪学院大 勝ち点9
大阪体育大 勝ち点8
大阪経済大 勝ち点7
近畿大   勝ち点6
同志社大  勝ち点2
関西大   勝ち点2

写真上:優勝を決め、歓喜の表情を見せる関西学院大。開幕戦から無敗を続け、ゴールテープを駆け抜けた。
写真中:スタメンガードに抜擢された関西学院大・八角も、優勝に貢献した一人だった。
写真下:立命館大の牽引役・岸本。チャレンジマッチにまわることなく、4位以上でのインカレ出場を確定させた。

※最終日の見どころと、関西学院大・横澤選手、池嶋選手、松田選手、松原選手のインタビュー、綾部コーチのコメントは「続きを読む」へ。



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【最終日の見どころ】

下位に喘ぐ2校の注目の直接対決
負けた方が2部自動降格に

〈第1試合・同志社大vs関西大〉

161022INOUE.jpg 近年は1年ごとの1部・2部の往復を繰り返している関西大。勝ったとしても入替え戦が待っているが、自力で来年も1部で戦う可能性を残している。苦境に立たされながらも地元開催となった立命館大戦で勝利を挙げてから、じわじわと状態が上がっている印象もある。状況は異なるが、昨年一発勝負のチャレンジマッチで勝ち切りインカレ出場を決めたメンバーが、今年も土壇場で勝負強さを発揮できるか。

 一方同志社大は、2巡目は未だ白星がなく苦しい戦いを強いられている。スタメンも入れ替えるなどして打開を図っているが、多くの試合で二桁点差をつけられての敗戦を喫している点も目立つ。1部リーグの舞台は、昨年入れ替え戦にまわりながらも何とか保った立ち位置だ。苦しんできた経験を反発心に変え、1部残留への可能性を繋ぎたい。

写真:終盤にかけて状態を上げつつある関西大。井上はエースとしてどれだけの働きを示せるか。


インカレへの望みを捨てずに勝ち切りたい大阪体育大
大阪経済大は余裕ある精神状態でラストゲームに

〈第2試合・大阪体育大vs大阪経済大〉

161022NAITO.jpg 大阪体育大にとって、前日の負けはあまりにも惜しかった。大阪学院大相手に一時は30点近く離されるも、#20岸田(3年・PG)の活躍で4Qに一気に追い上げ、残り時間僅かで1点差にまで迫った。しかし白星には届かず、涙を流す選手もあった。それでも他力本願ながら、自らが勝利し、大阪学院大が敗れる結果となれば逆転で5位となる。大阪学院大の試合は直後に組まれており、まずは勝利してプレッシャーをかける形にしたいところだろう。

 一方の大阪経済大は、入替え戦回避が既に決定。インカレ出場には届かなかったが、久しぶりの1部リーグで8位となった昨年の結果を上回る戦績を残した。最終日のこの試合は、プレッシャーから解き放たれた状態での戦いとなる。中断明けの試合では近畿大に完勝するなど、チームは今季最高の状態と言って良いだろう。シーズンの最後の試合を笑顔で締めくくりたい。

写真:インカレ出場が厳しくなった大阪体育大学。それでも内藤を中心に最後まで戦い抜きたい。


勝てば5位確定となる大阪学院大
近畿大は入れ替え戦へ弾みとなる試合に

〈第3試合・近畿大vs大阪学院大〉

161022SAWABE.jpg 第2試合の結果にかかわらず、大阪学院大はこの試合で勝てば5位が決定。前日は、大量リードから負傷者が出たこともあってあわやというゲームを演じたが、最後は意地でしのぎ、自力でインカレ出場を決められる可能性を残した。今大会は苦しんだ印象が強いが、能力値は高く大舞台での強さが際立つチームである。前日負傷した#35吉川(3年・SG)の状態が気がかりだが、エース#7澤邉(4年・SG)らがいつも通りの活躍が出来れば自ずと勝利は見えてくるはずだ。

 今季の春は、決して悪くない戦いぶりだった近畿大。しかし、今大会は中盤からどこか歯車が噛み合わずにいつしか黒星先行となり、既に8位が決まった。この順位は2部3位チームとの入れ替え戦に臨むこととなる。昨年の関西3冠チームとして、1部の座を守るのは最低限の目標だ。そのためのステップとして、まずは眼前の相手を蹴散らせるか。

写真:勝てば5位が決まる大阪学院大。大舞台に強い澤邉がどれだけの働きを示すか。


インカレ出場校同士の直接対決
京都産業大は2位の可能性も

〈第4試合・立命館大vs京都産業大〉

161022KAWAGUCHI.jpg 立命館大も京都産業大も、既にインカレ出場が決定した中での対戦となる。特に中盤戦に負傷者が出ていた立命館大にとっては、2巡目はやや苦しみながら戦った印象があっただけに、最終日を残してインカレ出場を決められたことは大きいだろう。中位チーム同士の対戦成績の結果、試合前にインカレ出場が決まっていた前日の関西学院大戦は、プレッシャーから開放されたことでどこか伸び伸びとプレーできていた。リーグを締めくくるゲームも、この流れを続けてインカレへのステップとしたいところだろう。

 ルーキートリオが鮮烈な活躍を続けた京都産業大。前半戦はムラの多さも目立ったが、中盤以降は一貫してどの相手にも持てる力を発揮。2巡目は僅かに1敗であり、自信と安定感を得て戦いを続けてきた。勝利すれば、天理大の結果如何では2位の可能性もある。個人タイトルが見えている選手もおり、消化試合として終わらせるつもりは毛頭なかろう。

写真:京都産業大・川口は、大会期間中一貫して3P好調だった。


今季のトップランナー同士の激突は
インカレをも見据えた戦いに

〈第5試合〉関西学院大vs天理大

161022TENRI.jpg 天理大にとっては、3試合を残した時点で関西学院大の優勝を許した歯がゆさはあるだろう。その一方で、中断明けの出来は出色と言って良い。元々ディフェンスを身上としたチームだが、大型選手が3枚インサイドに構える特殊なゾーンを中断期間に磨き、力強い内容で残り試合を戦ってきた。最後はすっきりした内容でリーグ戦を締めくくり、インカレに繋げたいはずだ。

 関西学院大は、優勝を決めてから連敗を喫し、低調な状態に落ち込んでいる。関西1位でのシードを手にしているインカレでの目標はベスト8。シード校となるとはいえ、関東の力のあるチームと対戦する可能性もある。実力のある天理大戦は、そのための試金石とも言える試合だ。最後は勝って有終の美を飾り、最終目標への足がかりと出来るか。

写真:中断期間明けから展開された天理大のゾーン。苦しみながらも編み出した必殺の武器が、関西学院大にも牙を剥くか。


【INTERVIEW】

「4年生の絶対に勝つという最後の気持ちが響いている」
主将として、最上級生として、果たすべき役割を果たす

◆#20横澤拓海(関西学院大・4年・主将・SG)
161022YOKOZAWA.jpgキャプテンながら、2番ポジションのバックアッパーという難しい役回りを務めてきたが、それでも折れずに自分がすべき役割に徹した。中断期間中に負傷し、優勝を決めた試合は欠場したが、誰よりも安堵感溢れる表情には、入学後惜しいところまで行きながらも逃し続けたタイトルを最後にようやく掴んだ、という気持ちが滲んでいた。しかし、チームの最終目標は、あくまでもインカレでのベスト8。何十年も目指している目標達成へ、最後まで自分がすべき役割を続けていく。


—中断期間にケガがあり、優勝決定の瞬間はコートで迎えられませんでしたが。
「そこは悔やまれますけれども、関学というチームとして一人ひとりがどうチームに貢献出来るかを重要視していて、コートに立たなくても僕にできることはいっぱいあるので、そこは今日は意識していました。だからコートに立てなくても、僕自身は良かったなと思ってます」

—今日の試合で、ご自身で出来たことは?
「苦しい時間帯に何を徹底すべきかをチームに浸透できたかな、と。特にリバウンドの部分で前半からやられていたので、後半は少し修正できたんですけど、ハイポスト付近で相手の外のシュートが増えてきて、跳ねたボールが相手に取られていたので、そこを意識すれば相手の攻め手がなくなるというのを、チームに浸透させて、伝えられたかなと思います」

—2週間の中断は、緊張感の維持という部分で難しかったと思います。
「そうですけど、僕たちの中では緊張感をほぐせて、良い意味でリラックスできた期間になったのと、インカレが確定していたので、インカレを勝つためにはどうしたら良いのかも考えられたので、特に気持ちの変化はなかったですね。いかにプレーの質を上げるか、とか、そういう部分に重点を置いてやってきたので、チームとしては良い方向というか、インカレを見据えた練習ができていたので、2週間のこの期間は、僕は逆にありがたかったかなと思います」

—インターバル期間を、インカレに向けたステップとして考えられたわけですね。ここまでの大会は、負けそうで負けないという展開の試合が続いてきましたが、横澤選手は無敗を続けられた要因はなんだと感じていますか。
「正直運も多少はあるとは思うんですけど、今の関学の強いところは各選手が柔軟に、コンスタントに出ている中で、4年生が半分を占めていて。絶対に勝つんだという最後の気持ちが響いているんだと思いますし、4年生がそうやって必死にプレーしたら、後輩にも響くものはあると思うんで。最後は中野(#74)や松原(#10)が出てきますけど、その過程で4年生が必死にプレーしていることが、松原を一旦休めて、勝負をかける時に、そういった4年生の働きが活きているのかなと思います」

—松田選手(#23)が大会前に復帰しましたが、そこはやはり違いが出てきますか。
「そうですね。あいつがいることでディフェンスの安定感が増しますし、何より池嶋(#34)が5番で体を張っていたのが、いきいきしてバスケットがやれているので(笑)。そういう意味でも松田の存在は大きいです」

—下級生の成長面はいかがでしたか。
「西日本で1回戦で負けて、間違いなくそこで松原と堤(#22)が、自分たちがやらなきゃいけないという意識に変わったなと。中野(#74)に関してはメンタルにブレがあって(笑)。スタメンじゃないとイマイチ乗り切れない部分があって、今はあいつをスタートにして、スタメンとして伸び伸びとプレーさせることで、持っているポテンシャルを存分に発揮出来るのかなと思いますね。成長したというよりも、やっと本来の力が出せているのかなと思います」

—一方で、このタイトルを取るにあたって、池嶋選手の存在抜きには語れません。
「そうですね。新人戦ではあいつがキャプテンだったんですけど、チームのことを考えるとプレーが手につかないようで、そこでキャプテンは僕が担って、プレーに専念してもらう形を取ったのが、形としては良いのかなと思います。池嶋の得点力やジャンプ力といった、抜けている部分を存分に引き出せるバスケットができていると思います。でも、池嶋に頼りきりではないんですけど、大事なところで決めてくれるのは、4年生としての気持ちの面も出ているのかなと思います」

—良いところまで行くけれど勝ち切れないという部分が目立ったチームでしたが、夏を超えて打破したように感じます。
「そこも松田の存在が大きくて、一番はそこだと思います。松田が戻ったことで、外のシュートとか、プレーの幅もだいぶ広がったと思いますし。彼がこの1年間を通じて頑張ってきたことが体作りで、雑崎(#27)と一緒にウエイトトレーニングをやったりとか。ユニバの合宿に行ってから、体の違いを感じたようでそこから取り組んでいたので、彼の努力の賜物だと思います」

—この先はインカレがありますが、リーグは残っています。
「僕らの中で納得して出し切れた、というのが1巡目の天理戦だけなので、練習中でももっと良いプレーもできますし、もっとハードなディフェンスもできると思うんで、優勝も決まったので一人ひとりが伸び伸びプレーして、強い関学を体現したいと思います。満足できたのがここまで1試合だけなので、最後は満足した試合をして終えたいと思います」

—2年前にもインカレの経験がありますが、今回はどう戦いたいという考えは、現時点ではありますか。
「ベスト8に入るという目標はあるんですけど、このリーグ戦が18年ぶりの優勝なので、そういう人たちの思いも背負って、一生懸命プレーしたら自ずと結果はついてくると思うので。一試合一試合のプレーの質を上げることを考えながらプレーしているので。例えばリーグ戦の中でも、この試合が重要だという考え方はせずに、一試合一試合、目の前の試合に向き合ったからこその15連勝だと思いますし、インカレでも特別な意識はせずに、目の前の試合を戦うだけです」

※10月15日(土)インタビュー。

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「自分たちが下でしっかり支えなあかん」
4年間輝き続けた関学大の屋台骨

◆#34池嶋一輝(関西学院大・4年・PF)
161022IKEJIMA.jpg綾部コーチが「チームの心臓」と評する通りの働きを示した。残り試合僅かとなっても拮抗した展開で、池嶋の活躍で勝てた、という試合も多かった。190センチに満たない身長ながら、フィジカルの強さと卓越した跳躍力を誇る選手が4番ポジションに構えるのは、相手にすれば脅威そのものだった。優勝を果たしたが、全勝優勝を逃したことに誰よりも悔しそうな表情を見せていたのも印象的。だが、学生同士としては最後の大会に堂々の関西チャンピオンとして臨むことには、胸を張って良いだろう。この先も緊張感を持続すれば、最終目標にも手が届くはず。その時に池嶋がどれだけの活躍を見せるのか、今から楽しみでならない。


—優勝の瞬間はどんな気持ちでしたか。
「そこまでこみ上げることもなく、なんか、あんま実感もなくて(笑)。終わっても3試合残っていましたし、自分たちでも目標は全勝優勝だと言っていたので、大それたことではありますけれど、やっと通過点を通過できたなと思いましたね」

—そこから負けてしまったことは、やはり緩んだ部分があったのではないでしょうか。
「一番はコートに出ている選手だと思いますけれど、ベンチやギャラリーも、優勝を決めたことへの気の緩みは少なからずあったとは思いますね。それを修正できる時間は、コートの中でいくらでもあったと思うんですけど、それができひんかったのは、自分たちの甘さだと思います。今日は完敗だったとおもいます」

—とは言え、競りながらも終盤に流れを掴んで押し切り、無敗の状態で優勝が決まりました。チームが進化したと言えるのでは。
「今までやったら、そういう競ったゲームは落としてきてたんですけど、やっぱり泥臭くやって勝ててきたのは強みやったんで、それだけにそういうことが出来ずに優勝してから負けたというのは、自分たちはこれまで余裕で勝ててきたという試合はなくて、やっぱり自分たちがやることをやらんかったらダメだということが、メンバー全員身に染みたと思います。あとはこの一週間が重要だと思います」

—綾部コーチは池嶋選手を評して『チームの心臓』と仰っていたのですが、ご自身でその辺りの自覚はいかがですか。
「自覚というよりは、自分と松田以外は3年生以下のチームで、堤はだいぶしっかりやってくれたんですけど、松原はちゃらんぽらんなところもあるし(笑)、中野もまだ情緒不安定なところもあるので、いつ崩れるか分からないという状況で。自分が好き放題やってしまったら、チームが崩れちゃうということは分かっているので、自分たちが下でしっかり支えなあかんという気持ちはありますね」

—学年が4回生になったことで、よりチームを支えることを考えるようになった部分はあると思いますが。
「自分は口で引っ張るよりも、プレーで見せて引っ張るタイプだと思うんで、人一倍体を張ってやっていかなあかん、という意識は、芽生えたことは芽生えたのかなと思います」

—この先インカレまではどのように過ごしていきたいですか。
「残り試合は絶対に落とせないと思うんで、チームでもさっき離していたんですけど、残り試合をただの消化試合にするか、ちゃんと修正して勝つかは、自分たちの気持ちの部分が大事だと思うんで、それだけは絶対に勝つとチームで決めて。ここで修正して残り試合に臨むことが、またインカレにも繋がると思うんで、残りのリーグで修正してインカレでベスト8に行けるためのチーム作りをしていきたいと思います」

—インカレでは2年前に筑波大に惜敗、という試合もありました。ただ、まだイメージはできていない?
「そうですね。まだできていないんですけど、僕個人としてはユニバの合宿に呼んでもらって、関東の選手とも一緒に練習をしてきて、全然戦えない相手ではないと思うし、結局は同じ大学生相手なので、100パーセント無理なんて考え方をしたら絶対にダメだと思うんですよ。仮にベスト8をかけて関東と当たることになっても、気持ちの面で負けたら絶対にダメだと思うんで。それで勝てた試合も何個もありますし、次のインカレに向けてを考えるならば、しっかりそういうところから作っていきたいと思います」

※10月16日(日)インタビュー。

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「全然できなかったという試合は今までほとんどない
今までのリーグよりもチームに貢献出来ている」

◆#23松田健太(関西学院大・4年・C)
161022MATSUDA.jpgどこか剽軽な性格であり、優勝決定後はなぜか彼だけが胴上げされていた。しかし、プレー面では、恵まれた体格で無駄なミスの少ない安定感が光っていた。数字の面で目立った記録を残すことはないが、池嶋とのコンビは両者の長所を引き出し短所を補う良好な関係だった。ケガから満を持して復帰した関西では最後となる大会で、タイトル奪還が待っているとは、目標として口にはしながらも、どこか実感がわかない様子。関西の大学バスケでは最後となるゲームをしっかりと戦い抜き、今後への弾みとしたい。


—優勝の感想はいかがでしょうか。
「今週の練習はあんまり良くなくて、一週間以上間隔が開いて怖いなという部分もあったんですけど、きっちり勝てて。ただ、京産に負けたのは気の緩みがあったと思いますね。こうなってしまったことは勝手な達成感があったかと思います。昨日勝てて優勝出来たことは良かったんですけれど、ミーティングでも話をしていたんですが、逆に今日負けたことが良かったと思いたいです。修正点も色々見つかりましたし、インカレに向けては良い負けだったかもしれないです」

—リーグ途中にお話を伺った際には、ご自身で意外に動けるな、という話がありましたが、改めてその点はいかがでしたか。
「全然できなかったという試合は今までほとんどなくて、今までのリーグよりもチームに貢献できているのかなと。あと、それが勝ちに繋がっているので、それが自信に繋がってきましたね。自分は今まで通りで良かったんだな、と。無理に点を取りに行くこともなく、気ままにやってきたんですけど、それが勝ちに繋がってきたので自信にはなっていますね」

—プレーの出来映えについては。
「自分で特に今日良かったなと思ったことは多くないんですけど(笑)、でもプレータイムを貰えていたということは、綾部さんや周りのメンバーは信頼してくれているのかなと、ポジティブに考えていますね。自分が良くなくても、結果的に30分以上出ているので、そこはそういう風に考えています」

—こうした大会を勝つには4回生の役割が重要となりますが、そうした精神面での働きはご自身で意識されていましたか。
「一年間試合に出ていなかったこともあったので、自分が4回生なのか分からんくらい気ままにやっています。自由に(笑)。4回生だからといって変に声をかけてチームをまとめるところは、池嶋や横澤に任せているので。自分はコートでいつも通りにやるということを意識してやってきています。特にメンバーを仕切ろうとか、声を出して引っ張ろうということとは関係なく、自分はプレーで頑張ろうと思っています」

—学生最後の大会も徐々に近づいていますが、現時点でそこで勝ち抜くために必要なことはなんでしょうか。
「優勝を決めた近大戦で相手のディナイがきつくて、フォワード陣が思うようにボールが持てずに結構苦しい展開が続きました。関東はディナイとか体の当たりはもっと強くなってくると思うんで、その点は自分や池嶋主導でもっと動いて、フォワードを動きやすくするのは修正点だと思いますね」

—負けた次の試合こそ重要だと言われます。
「ここでの負けをポジティブに考えて、インカレで勝つために、まだまだ強くなるために残り試合を使うという方針なので、良い勝ち方をして、良い内容で終わりたいです」

※10月16日(日)インタビュー。

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「チームの主力として出ている以上、周りのことも考えつつ
なおかつ点も取りつつと考えながらやってこれた」

◆#10松原寿樹(関西学院大・3年・SF)
161022MATSUBARA.jpg 元々はインサイドプレーヤーだったが、大学で3番ポジションにコンバートされた。自他共にまだまだ課題が多いと認めるが、それは彼自身に高いポテンシャルがあるからこそ。今季は最低限度かもしれないが、チームのエースとして相応しい活躍を続けたことが、優勝へとリンクしていった要因でもある。まだまだこの先が楽しみな選手だ。


—優勝の瞬間はどのような感情でしたか。
「その試合に勝てて嬉しいというのが第一で。その次に、『あ、これで優勝か』と、おまけ的に考えて。あんまり重く受け止めてはいなかったですね。まだ3戦残っていたので、優勝したんだなというよりも、今日も勝てて良かったな、というのが率直な意見ですね」

—ということは、松原選手自身は2週間の中断は上手く過ごせた?
「いや、それが、練習からモチベーションを保つのが難しくて。練習中から怒られたりしているんですけれど、試合の2日前くらいから徐々にリーグ戦を意識するようになってきたんで、良い状態で試合に入れたと思いますね」

—入学当初は練習から色々な指摘をされてきたと聞いています。そこから成長してきたという実感はありますか。
「プレーの出来は、学年を経つごとに成長してきたと思うんですけれど、一番変わったと思うのは自分の性格、気持ちの持ち方みたいなものが変わってきたので。学年が上がるにつれて背負うものが大きくなってきたので、ちょっとずつですけど自覚が芽生えるというか。それで試合に対する姿勢も変わってきました。それが3年目に出て良かったかなと思います」

—お手本になる先輩もいましたしね。
「池嶋さんがずっと1年生の時から試合に出続けていて、あれだけ体を張っていて。僕は後輩なんで、ちょっとでも手助け出来たらなという気持ちでやってはいるんですよ(笑)。だから、池嶋さんの背中を見ると、頑張ろうと思います」

—松原選手と中野選手のアウトサイドも優勝の要因だったと思います。
「シュートについては、結構ノーマークでフリーで打たせてもらっているので、シューティングもやり込んできているんですけど。でもシュートを打つ過程ではインサイドが大きいので、健太さん(松田)と池嶋さんが引きつけてくれて、僕らにパスをくれるんで、インサイドの存在が大きいです」

—それプラス、今大会は松原選手のプレーの幅が増えましたね。ドライブやパスアウトも多かったと思います。
「そうですね。やっぱり点を取るだけではいざきっちりマークされた時に何も出来ないと思うんで、きついマークの中でも味方を活かすプレーだったりとか、パスをしたりリバウンドとか、他にできることはたくさんあるので。そういうところができるのは自分の強みだと思っているので、そこには力を入れてきましたね」

—やはり、指摘を受け続けた結果そのようになったのでしょうか。
「下級生の時は好きにやらせてもらっていたんですが、去年までは点を取るだけという考え方だったんですけど、今はチームの主力として出ている以上、周りのことも考えつつ、なおかつ点も取りつつと考えながらやってこれたので、その結果プレーの幅が広がったと思います」

—逆にご自身の課題は。
「やっぱりディフェンスですね。オフェンスはチームで作ることが多いんですけど、ディフェンスはどうしても一対一の戦いなので、そこで止めれなかったら話にならないので。僕は元々インサイドから外にコンバートされたので、そこで相手についていくというところはまだまだなんですけど、インカレまであと1か月なので、そこを詰められれば良いなと思います」

—大学でポジションアップというのは、正直いかがでしたか。
「最初は戸惑いもあったんですけど、僕自身が外のポジションをやりたいというのは高校時代からあって。高校の時もちょっとずつ練習していたんですけど、大学で本格的にやり始めて、1年目は全然だったんですけど、やっと形になってきたので、そこは評価していいと思います」

—まだリーグが終わっていないのでイメージが難しいと思いますが、インカレでの躍進も期待されます。
「チームの目標がベスト8と決まっていて、それに向かって今後練習していくと思うんですけど、ディフェンスが崩れちゃうと、脆く崩れちゃうので。ディフェンスももっとミスなく詰めて、そこからアーリーオフェンスに繋げれれば、自分たちの良い形になって、テンポも上がって良いゲームができると思うんで、そういうところで関東と戦っていきたいですね」

※10月16日(日)インタビュー。

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◆綾部 有 ヘッドコーチ

161022AYABEHC.jpg「ヘッドコーチになって4年目ですが、ちょうど今の4年生が1年生の時からで、それを4年間育ててきて、やっと取れたなという感じ。ただ全勝優勝という目標があるので、まだ優勝に浸りはできない。インカレベスト8が、うちが何十年も目標にしていることですが、全勝で行けば勢いがつくはず。まだ優勝に浸る感覚はない。

 一番の要因は、ゲームの流れを読む中で、選手自身が、今は絶対にここは止めなきゃいけないとか、突っかからないといけないとか、3Pを狙わないといけないとか、そういった流れを考えながら、やるべきことがコートの中で表現できるようになってきた。ここまでの中でも、最初に離して追いつかれる展開もあれば、最初にやられて追いつく展開もあれば、今日のようにずっと競り合う展開もあって、本当に色んな展開があった。けれどどの展開でも勝負どころで離して勝ちきれるところや、クロスゲームの最後に指示したところで勝負できているといったところが一番の成長。関東のチームは、当たり前にやっているが、それをこのリーグで出来ているというのは、一つの大きな成長かなと思う。

 それについて一番大きいのは、松田が戻ってきたことによって、元々僕がチームにやらせようとしていたインサイドを使ったバスケットがやっとできるようになった。この夏ケガから戻ってきてくれて、夏合宿でも関東のチームとやらせてもらってチームを作ることができたのが、このリーグ戦に繋がっている。あと、全部気持ちよく勝ってきたわけではなく、いつ負けるか分からないという緊張感がある状態だったので、それが逆に良かったのかなと思う。だから、この中断の2週間は本当に難しかった。あえて怒ったりして追い込んで、気持ち的に繋ごうとしてきた。

 (3Pも持ち味のチームだが)打つだけのチームはたくさんありますが、うちはシュートセレクションにはものすごく拘りがあって、勝手なシュートを打つと、次のディフェンスができなくなってしまう。何回か悪い面が出てしまったこともあったが、その面はインサイドで補えた。オープンショットが仮に落ちても、リバウンドからのセカンドショットの面でアドバンテージが取れるというのが、計算に入ってきた。去年まではディフェンスから流れを変えろと言っていたが、今年はオフェンスでも流れを変えられるようになってきた。もちろんシュートは入るか入らないか、というところはある。でも、そこはメンバーを信じて、交代のカードも切って、例えば次の2本をもし落としたらダメだよ、とも言いながらだった。そこは信じてあげるしかない。その分責任を持って、フィニッシュを決めなきゃという意識でシューティングをして個人練習をやっているので、良い循環が出ているのかなと思う。

 去年は松田が離脱したことによって、今年と同じくらいの精神状態での準備ができたはずの状態でリーグ戦に臨んだが、結局ああいう結果(6位でインカレ出場を逃す)に終わった。僕の責任でもあったんですけれど、それを次の新チームに引きずってしまったところはあった。ただ、春のゲームではここまでは作り上げよう、夏までではここまで、という具合に決めて、段階的にクリアしながらやってこられた。私は今年で4年目ですが、ここまでの3年間は、例えば春は準優勝、西日本3位から、リーグ戦で尻すぼみになってしまうというケースが多く、選手はそういうこともあって、自分たちは弱いんだと確認した上でリーグ戦に入れたのが、逆に大きかった。

 ガードでのスタメンは八角(#29)でしたが、色んな方から言われるけれど(笑)、堤はどんな場面でも流れを変えてくれる。スタートで行けと言われたらスタートでも問題なくできる。ただ、逆に来年、再来年を見越して下級生を育てるという意味と、相手にとって堤が途中から投入されてくる嫌らしさ。僕が相手だったら嫌だなという部分があるので、そこが狙い。本当は八角や古家(#13)がしっかりと出てきて、堤なんかちょっとしか出てこないことが理想だと思い続けている。ただ、結局堤が持って行ってしまうけれど(苦笑)。足立(#15)が故障で出られなかったのは痛かったが、キャプテンの横澤(#20)や高山(#14)も経験を積めるようになってきたので、大崩れしなくなった。ただ、やはり池嶋、松田、松原の下3人が、核となっているので、そこで安定していると思う」

※10月15日(土)インタビュー。


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