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2016.05.18 (Wed)
【2016トーナメント】5/7 9位決定戦 慶應義塾大VS大東文化大
高さと激しいディフェンスが光った大東文化大学が9位
慶應義塾大は粘りのプレーを見せて10位フィニッシュ
ベスト8以下の最高位、9位を目指す戦いは高さ、選手層ともに厚みのある大東文化大が序盤から強みを発揮するが、慶應義塾大が食らいつく展開となった。
この日、大東文化大はスタメンに#20毕(3年・PF)ではなく、#15モッチ(1年・C・桜丘)を起用。器用で機動力のある#20毕よりも、インサイドでシンプルに仕事をこなす#15モッチの方が有効という西尾HCの考えによるもの。これによって立ち上がりから慶應大はゴール下で#22トカチョフ(3年・CF)や#7高橋(3年・F)といったインサイド陣がうまく機能せず、外からのシュートが多くなる。一方の大東大は#0葛原(3年・SG)、#68花井(4年・SG)などによる3Pが続き、ゴール下でも#15モッチがオフェンスリバウンドをもぎ取っていった。慶應大も速攻を出す場面はあるが、攻撃パターンが限られ、1Qから大東大が12-21リードする格好となった。
2Q、大東大はフリースローを得ていくものの確率が悪く、得点の伸びが鈍る。慶應大は#5後藤(4年・G)の3Pを皮切りに加点したいところが、こちらもファウルが混んでくる。大東大はここで#32原(4年・SF)のシュートや飛び込みリバウンド、#20毕の3Pなどが出るが安全圏に引き離す形まではいかず。慶應大は速攻、スティールなど持ち味を出す部分も見えるが点差は縮まらず27-37の大東大リードで前半終了。
3Q、気を引き締め直した慶應大が大東大に迫った。立ち上がりの#22トカチョフのミドルシュートが決まると、#7髙橋のオフェンスリバウンドやシュート、#5後藤の3Pが続き開始1分半の猛攻で1点差に。大東大は#68花井が速攻からバスケットカウントを獲得するが、その後はファウルが続いた。慶應大は#23木村(3年・CF)の3Pが決まって逆転すると、#7高橋のバスケットカウント、#5後藤の3Pで4点のリードに成功した。ミスが続く大東大は得点が止まりがちになるが、メンバーチェンジで打開をはかる。慶應大のファウルが嵩んでいくのを尻目に、#87波多(4年・SG)、#12熊谷(2年・F)の3Pに#56山岸(3年・PF)の速攻が出た大東大が逆転し、48-55とリードして最終Qへ入った。
追いつきたい慶應大はパスミスやファウルが続き、ターンオーバーを止めることができない。大東大は#15モッチのゴール下での存在感が大きくなり、リバウンド、フリースローでの得点で慶應大を引き離していった。慶應大はアウトサイドが決まらず、追い上げのきっかけができない。一方の大東大は小気味よく得点を重ねて最終的には63-80で試合終了。9位の座を獲得した。
高さ、選手層で優っている大東大に最後は軍配が上がった。モッチはケガがあってチームとの合わせはまだ十分ではないが、その存在感は大きく、今後のチームに頼もしい選手が加わった。大東大は選手層が厚く誰が出ても任せられる利点がある。特定のエースに頼るのではなく、全員でやることを目指しているという。全員が安定したプレーを1年間続けられるようになることが、1部復帰の鍵を握るだろう。
慶應大はここ2年、コーチ交代や春先の練習不足で一昨年は15位、昨年は16位と結果が出ていない春だった。それに比べるとかなり躍進ともいえる10位となったが、課題も見えた。チームとしての粘り強さや後藤の開花などはひとつの収穫だが、長いシーズンを戦うためには体力増強や控えメンバーの成長はまだまだ問われる。それでも春最大の目標とする早慶戦(慶早戦)に向け、チームの士気は高い。試合をこなしながら全体の底上げをはかりたい。
写真上:次世代のエースとして期待される葛原は序盤に3Pなど見せ場を作った。大会を通しては「意気込みはあるものの空回りした」との弁。「期待されているのは得点。コンスタントに20点以上取っていきたい」と目標を持って今シーズンに臨んでいる。
写真下:インサイドで踏ん張りを見せた慶應大・髙橋。得点面でもかなり貢献を見せ、代々のエースナンバー「7」を背負い、チームの要のひとりとしての活躍が問われる。
※大東文化大・原選手、山岸選手、熊谷選手、慶應義塾大・西戸選手、トカチョフ選手のインタビューは「続きを読む」へ。
◆大東文化大・西尾吉弘ヘッドコーチ
「(大会を振り返って)主力メンバーがケガで練習を抜けていたので、トーナメントに入ってからようやく息が合っていった部分があります。試合を重ねるごとに粘り強さも出てきたので、秋につなげていける大会になったと感じています。下級生が多く、アウトサイドもシュートがきっちり入っていたわけではなかったりと、のびしろはまだまだあります。
(選手起用について)小さい選手でもしっかり守れるのであまり高さは考えず、体力的にハードにプレーしてもらいたいと思って単純にタイムシェアをしています。日大(9~13位決定戦)にしても慶應(9位決定戦)にしてもシューターチームで、疲れてきたときに放たれるのがいやだったので。8決めの専修大戦は高さを考え過ぎて、メンバーチェンジが重くなってしまったという反省があります。インサイドは先手を取れるよう、リバウンドを安定して計算できるモッチをまず起用しています。
(大会を通して相手をロースコアに抑えたが、唯一の敗戦である専修大戦は得点が伸びなかったのがもったいなかったのでは)オフェンスに関してはまだシフトもなく、インサイドにボールを入れてディフェンスが寄ったら外で打つくらいだったのもありますが、得点できない時間は確かにありました。ただ、実はそれはどのチームでもあるものです。うちの選手たちはそれを我慢できなかったのが課題です。得点を取れない時間帯にディフェンスも弱くなってしまった。精神的に強くなり、やるべきことをやり続ければ点を取れるのはわかっているので、一人ひとりがそれを理解してくれればスコアは伸びるのかなと感じています。あとはインサイドの使い方がさらに磨かれれば、アウトサイドももっと楽にプレーできるはずです」
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「主将が引っ張り、自分は後押しする」
縁の下を支えるムードメイカー
◆#32原 幸二朗(大東文化大・4年・SF)
原が両拳を掲げると、ベンチや応援席のメンバーも同じようにガッツポーズする場面があった。チームの結束を強める力を持つ選手だ。プレーにおいては機動力を生かし、山岸・ビリシベとプレータイムを分け合っている。最終学年を迎え、これまで悔しさを味わってきたからこその「チームを後ろから締める」役割を口にした。原の存在によって、今年こそ取りこぼしなく前へと突き進めるか。
―大会を振り返って。
「オフェンス力がまだ他のチームに比べて低いと感じました。今日も勝てたものの外のシュートばかりだったので、リーグ戦までにはそれぞれのシュート力はもちろんドライブ力も上げていかなければなりません。オフェンスの向上がチームのレベルアップにつながると思います」
―副主将としての自身の評価はいかがですか?
「キャプテンの花井(#68)が前で引っ張っている分、自分はいちばん後ろからチームの後押しができればと考えています。ただトーナメントでは、教育実習との兼ね合いで欠場があったり、コートに立ってもあまり活躍できない試合もあったので、率直に言えばあまり実行できませんでした。リーグ戦では、コート上のプレーでも、ベンチにいてもしっかりチームを後押しできるように頑張っていきたいです」
―コートでもベンチでも、個々への声掛けなど細かな気遣いが見られました。
「流れが悪いときはもちろん、流れがいいときでもチームを少しでも盛り上げようと思って、細かいところからやっていっているつもりです」
―プレー面では、4番ポジションを主に3人でタイムシェアしていましたが、どんな基準で分けているのですか?
「相手の特徴ですかね。相手がアウトサイド主体だったときは自分が呼ばれやすく、逆にセンタープレイ主体のときは、身体が強い山岸(#56)やビリシベ(#91)のほうがプレータイムが長めになります。相手によって自分たちの布陣を変えながら、それぞれができる限りのことをしっかりやれと言われていました」
―それぞれの強みを生かす形ですね。インサイドプレーヤー間でよい競争が生まれているのではないでしょうか。
「はい、モッチ(#15)が入ってくれたおかげで、チームが安定したのもありますが、お互い試合に出たいという気持ちも強いので、練習の中で結構バチバチやり合ったりしています。切磋琢磨する関係ができていて、すごくいい雰囲気だと思います」
―ただ、去年・一昨年とよい雰囲気を持ちながら、勝負どころで弱みが露わになってしまったかと思います。今年はそのパターンを変えられそうですか?
「1部昇格という目標に向かって、チーム一丸となって突き進んでいきます。自分や花井がしっかりチームをまとめて、上(1部)まで持っていけたらいいなと。去年のチームも真面目でしたが、ただ真面目に努力をするだけでは意味がない。自分に必要な努力をしっかりしないと努力とは言わないと僕は思うんです。去年は少し甘い部分もあり、それができていなかったと思うので、しっかり締めて、チームを少しでも強くできれば。僕は普段はどちらかというと温厚なほうながら、チームをまとめるときは花井とともに厳しくなるのですが、皆もそれに乗ってきてくれれば1部昇格も見えてくると思います」
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「勝ち方を全員が徹底しなければ」
楽観視せず、かつ投げ出さず取り組む
◆#56山岸優希(大東文化大・3年・PF)
昨年の新人戦のインタビューにて、「スコアに表れないところで頑張るのが自分の役割」と語っていた。そういったチームのためのプレーは誰にでもできることではなく、本人は謙遜するがスタメンに起用されたのも頷ける。3年生となって、チームへ向ける目がより広く・深くなった。「概観する選手がひとりはいないと」と言う山岸の目には、課題も進むべき方向もよく見えている。あとは個々がいかにその課題と向き合えるかで、リーグの結果は変わってくるだろう。
―まずは大会を振り返って。今シーズンからスターティングメンバーとなりました。
「3月の中京大との試合でスタートに起用され、その流れで(#32)原さんではなく自分が4番ポジションのスタートを務めましたが、リーグのスタートがどうなるかはまだわかりません。ただ、どの試合も相手を60点台に抑えられたのは自信になるかなと思います。前半で42点取られ、普通に考えれば80失点の試合になり兼ねなかった日大戦も最終的に60点台に抑えられたのは大きい。あとはオフェンスかなと。(8決めの)専修大戦はこれが自分たちのやってきた結果だったと受け止めています」
―外から見ていてもオフェンスがもったいない印象はありました。選手の方々自身、課題を感じているのでしょうか?
「インサイドは自分たちのほうが有利、と言いつつ結局そこで決めきれなくて専修大戦を落とし、順位決定戦に回ってからもインサイドが入らなくなると一気に相手にやられたりといったことがありました。それからファウルをもらった後のフリースロー。今日は入っていたほう(13/20)ですが昨日の日大戦は5/14、その前の法政戦も17/31でした。つまり2投のうち1投しか入っていないようなもので、これでは相手にチャンスを与えてしまう。気持ち次第だと思うのですが、直さなければと思います。そういったミスはこれまでのリーグ戦でもありましたが、その繰り返しをストップさせれば頑張ってもダメという結果には絶対ならないはずです。戦い方というか、勝ち方を全員がもっと徹底しなければなりません。アウトサイドは熊谷(#12)だったり花井キャプテン(#68)だったりがコンスタントに入れていたので、あとはインサイドがもっと点を取れるようになれば楽な展開になると思います」
―インサイドの得点源として毕選手(#20)の他、モッチ選手も加わりました。
「モッチはインサイド中心、毕は外もできてと特徴は違いますが、チームを引っ張れるようなプレーをしてもらいたいのは同じです。先に話したようにゴール下で頑張っていけば、チームも流れに乗っていく。相手のペースに合わせないことが大切です。それとモッチはケガで抜けていた期間があるので、これからもっとコミュニケーションして、フォーメーションを覚えてうちのバスケットに慣れてくれれば秋は変わってくるのではないかと思います」
―全体としては、リーグに向けての手応えは掴めたと言えますか?
「多くのメンバーがこの舞台でプレーできたのはよかったです。1年生も『大学のゲームはこういう感じなんだ』というのがわかったでしょうし、1年生だけでなくBチームからも試合に絡んでくるメンバーがいればいるだけ、うちは強い。スタメンにしても、相手とのマッチアップによって入れ替わりは必ずあります。スタートで出る人間はその責任を果たし、ベンチから出る人間も集中しなければいけなりません。一人ひとりの準備の仕方が大事になってくると思います」
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「チームメートの長所をもっと生かしたい」
司令塔として支配力を増す2年生
◆#12熊谷 航(大東文化大・2年・F)
期待されていた選手とはいえ、1年だった昨秋のリーグ、そして2年目の今トーナメントとも同じポジションの選手のケガ等のアクシンデントにより出場機会が増え、責任が重くなった。それでも下級生とは思えないほど堂々とコントロールし、勝負強い3Pも決めて西尾ヘッドコーチに「大会を通してしんどい時間はいつも彼が救ってくれた」といわしめた。新人戦にて、自分が攻めるか・パスをさばくかの判断といった実戦ならではの経験をさらに積みたいところだ。
―まずはこの試合を振り返って。一時追い上げられながらも最後は突き放す展開となりました。
「3Qに点差を詰められたとき、ディフェンスがよくありませんでした。そこでディフェンスをしっかり締めて、速攻につなげていこうと確認し合い、ガードとして起点になれるよう努めました。それと僕たちはセンターが強いので1回センターポジションにボールを入れて、落ち着いてプレーできたことがよかったと思います」
―大会全体を通して、手応えや課題は見つかりましたか。
「シュート力ですね。(8決めの)専修大戦で全く入らなくて、その後は入るようになっていきましたが、やはりトーナメントは一発勝負なのでその中でいかに決められるかが課題だと思います」
―熊谷選手としては、初戦で3年の竹内選手(#3)のケガもありガードとしての責任が重くなりました。気持ちの準備はできましたか?
「はい、それはすぐできました。自分としてはトーナメントは去年は出られず初めての経験でしたが、うちはセンターが強くシューター陣も揃っているので、自分がしっかりまとめないといけないという気持ちで臨みました。それができたかというと、まだまだです。モッチ(#15)は『もっとボールをくれ』という部分があるのですが、周りにもパスを出したり、自分が行けるときは点を取って、というバランスが難しいです」
―自分で点を取る意識は去年より強くなったのでは?
「去年はエースの山崎さん(15年主将)が点を取ってくれたので、僕はディフェンスを頑張ってボールを運ぶ役割にまず集中していました。今年は山崎さんが抜けた分を埋めるべく、苦しいところで1、2本決められたらいいなと思っています」
―タイムシェアとのことで、多様なメンバーと組む中で何に注意していますか。
「2、3番ポジションの選手はそれぞれ20分ずつメンバーチェンジするような形ですが、一人ひとり長所があるので、僕はそれを生かしたいなと。たとえば葛原さん(#0)だったらもっとボールを持たせて1on1に行ってもらおうとか、シューターだったらもっと3Pを打たせようとか考えています」
―インサイドのモッチへは、皆でこまめに声を掛けている印象でした。
「まだわがままな部分もあるので。周りとしては、『おまえのこともちゃんと見てるけど、ディフェンスが寄ってるから、アウトサイドにボールを出してるんだよ』と伝えたりしています。もちろんモッチの意見も聞きます」
―さて、新人戦では8決めで日本大が同じブロックに入りました。どんな準備をして臨みますか。
「モッチは合流してまだ間もないので、トーナメントでは4番ポジションとの連携や、ガードの自分とも合ってないところがありましたが、新人戦までに改善できればと思います。日大は2・3番にいいシューターが揃っているのでそれをいかに止めるか。インサイドはこちらに分があると思うので、そこを起点に攻められれば。トーナメントが終わった今、もう少しずつ考え始めています」
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「全員が主体者意識を持って取り組んでいる」
思いを実現する慶應大らしいチームを作れるかが鍵
◆#4西戸 良(慶應義塾大・4年・主将・G)
今年、慶應義塾大の4番を背負う西戸。寡黙なタイプだが、中身には確かな思いと考えがある。入学した年はAOを突破したのは後藤と2名。4年一丸が基本とはいえ、プレイヤーとしてはこのふたりがチームを引っ張っていかなければならない。
1年のときは最上級には良い選手がひしめきながらも、リーグ戦直前の練習で結果を出し、スタメンを勝ち取った。それ以降、クレバーなオフェンスと守りの上手さでチームに無くてはならない存在だ。今年は主将というこれまで以上の荷物を背負うことになるが、そのプレッシャーをはねのけるような働きを期待したい。
―最終戦、大東文化大はさすがに強かったですが、プレッシャーなどは前の試合までと違ったのでは?ふりかえっていかがですか。
「大東大はもちろんそうですが、このトーナメントを通してああいうチーム、中がゴリゴリでディフェンスが強いチームに対してうまく戦えていないなというのがわかりました。でもリーグ戦で戦う1部というのはもうそういう相手しかいない訳です。そこを9月までに成長しないと1部には残れないな、という課題が見つかった試合でした」
―インサイドは簡単にプレーさせてもらえませんでしたね。
「そうですね。それに連戦が効いていたのもあったかと思います。選手層が薄いので3人は出続けている状態になりますし、それで体力がなくなってしまうというのがあります。そこを上回るための気持ちも、途中で折れてしまった時間帯がありました。もう少し鍛えないといけないと痛感しています」
―3Qに追いつけて逆転できたのはまだ良い面だったかなと。去年は僅差まで迫って逆転できないという試合が何度もありました。
「3Qのハーフタイムのときに全員でやろうと言って、それが体現できたのはひとつの収穫ではあります。でもそのあとに崩れてしまってから修正できなかったのが、この点差になった原因ですね。ダメなパターンですね」
―西戸選手は今年は主将を努めますが、どのようなチームを目指しているのでしょう。
「今年チームで目指すコンセプトというのが、自分が1年のときの蛯名さん(2013年度主将)の代のように泥臭くというか、ディフェンス、リバウンド、ルーズボールから頑張るチームです。昨年の12月から取り組んでここまできて、それができているときはいい流れでオフェンスもいいリズムでできているんですが、継続できていないのが今の現状なので、もう少し徹底したいです。蛯名さんはどんな状況でも体現してくれていたし、貫くものを常にコートで発揮してくれていたので、それについていこうという気持ちがチーム全体に及んで、ひとつになっていました。今年はまだそこまで僕ができていません」
―西戸選手はそこまでコート上でしゃべるタイプの選手ではありませんね。どのように引っ張っていこうと思っていますか?
「発信というか、チームに声を掛けるのは意識しようとしています。ここがこうだから、こうしようという風に。後藤(#5)の方が常に声を出してくれるので、僕は一歩引いて冷静な立場から修正や方向転換できるように引っ張っていければいいのかなと思います。それプラス、プレーでミスがない安定感やここぞというところで力を発揮できるような働きを心がけています」
―3年生は今大会で粘り強いプレーができる時間帯が増えたのではないでしょうか。
「だいぶ変わりましたね。相撲部の練習に行かせたのも良かったのかもしれないですね。僕らが阪口さん(HC)と話す中で、下(インサイド)のポジションがプレーでも気持ちの部分でも弱いという課題があったので、練習に行くことになったのですが、相撲部の練習がプレーに見えてきたのはオフシーズンの収穫です」
―収穫も課題もあった大会ですが、慶應大はここから新人戦以外に定期戦(慶関・早慶・延世大)が続きますし先は長いですね。
「春シーズン最大の目標は早慶戦です。これは慶應大ならではで毎年のことですが。春から早慶戦のために成長を遂げようというのを目標にやってきました。選手層の部分ではあまり収穫はなかったのですが、自分たちが攻められるときのリズムはつかめたと思うので、それをどう早慶戦の一戦に持ってこられるかがここからの課題です。一人ひとりがこのトーナメントを通してできたこと、できなかったことをもう一度反省してチームがひとつになるために練習に取り組むだけだと思います」
―人数は少ないですが、元々少数精鋭でも全員が頑張るというのが慶應大のカラーでした。今年のチームはそういう原点にもどるべき様子が見えますね。
「それが逆にモチベーションにもなりますね。周りから今年のチームはヤバいと言われている中で、みんなその現状は認識しています。スーパースターは誰もいない中で勝つという、慶應らしいチームを見せられればいいなと。それは共通意識として持ってやっています。全員が主体者意識を持って練習に取り組んでいるので、試合にも少しずつ出てきています。コートに立つ選手がみんなの思いを背負って、常に発揮し続ける気持ちを磨いていきたいなと思います」
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「自分たちが大黒柱にならなければ」
チームの核としての意識をどこまで体現できるかが課題
◆#22トカチョフ サワ(慶應義塾大・3年・CF)
黒木が卒業した今シーズンは、3年生トリオがインサイド支えなければならない。その課題に向き合うため、オフ期間中のトレーニングと相撲部への出向練習でフィジカルを強化。アウトサイドに出がちだったプレーも抑え、今大会はリバウンドに集中する時間帯が増えた。自分が今、何をすべきか、精神的にも成長のしるしが見えている。まだ個人的には納得のいかない部分もあるようだが、見えている課題を確実に克服していくことが、今年の慶應大浮沈の鍵を握ることは間違いない。
―下の順位決定戦に進みましたが、大東文化大は簡単な相手ではなかったですね。
「昨日(国士舘大戦)も簡単ではなかったですけどね。個人的には体力が保たない部分がありました。前半は競れていたのに後半に引き離されてしまって、僕自身ちょっと悔いが残る試合でした」
―最初からトカチョフ選手のところでファウルが続いてしまいましたね。疲れがありましたか?
「集中力が欠けている部分だったり、特に3回目の変に掴んでしまったのは本当にいらないファウルだったりでした。あとは運もあるし、4回目はたまたま自分がいたところに当たってしまいましたが、ツイてないのもありましたね」
―この大会で良かったところとダメだったところは?
「西戸さんも言っていましたが、勝つ試合と負ける試合がすごく明確でした。勝つときはみんながすごくいいリズムで攻めて、アウトサイドのシュートも入って速攻も決まりました。でも入らないときはどうしてもドリブルで打開しようとする部分が増えて、ミスしたり最後にタフショットで終わることが多い。それが明確になったことは大きな収穫です。6月に控えている早慶戦に自分たちが勝つときのバスケットを遂行すればきっと勝てるので、そこのためにも大きなものを得られました」
―春は相撲部の練習に行っていたと聞きました。その他のトレーニングのせいか、身体も一回り大きくなったように感じます。
「木村(#23)、高橋(#7)と僕の3名が3か月間行きました。いろんな方から身体が大きくなったとは言ってもらえていますが、それをまだバスケットに落とし込めていないのが正直なところです。もっとバスケットに相撲やウエイトでやってきたものをつなげられる動きが出れば、やってきた意味があります。そこを早慶戦までに考えながら、それにまだ高橋や木村との兼ね合いも少ないので、そういうプレーが必要だと思います。ひとりでじゃなくてふたりで状況を打開できるようになれば、もっといいプレーができると思います」
―そういったコンビネーションは磨きたいところですね。当たり負けという部分ではかなりしなくなった印象ですが。
「昨日も板垣選手(#88)は本場の力士みたいなものなのでちょっとやられましたが(笑)、馬選手(#68)なんかにも当たり負けはしなくなったなと思います」
―相撲の練習は本当に相撲としての練習をするのですか?
「そうです。四股から入ってすり足、てっぽうなど下半身を鍛える内容です。バスケのパワーポジションとしては足元がぶれなくなる感じですね。最初は本当にやるの!?って思ったし、普段使わない筋肉なのできつかったですけど、やっているうちに楽しくなっていい経験でした。相撲部の部員の方々も親切に教えてくれて、ちゃんこ鍋も食べましたし」
―ちょっと見てみたかったです(笑)。でもその練習が中で踏ん張るプレーに表れているように思いました。
「そうですね。あとは自分が外に行ったときにオフェンスリバウンドになかなか絡めなくなっているので、そこを取りに行くという意識をもう一回持つようにしないといけないですね。高橋だけがオフェンスリバウンドに踏ん張っているようでは苦しいし、一回チップしたあとの次を自分が取れるようにならないと。そういう意識を保たないとこの先厳しいし、そこは反省です」
―そこで体力問題に帰結する訳ですね。
「そうです、どうしても楽をしようとしてしまうんですよね。無意識にそうしてしまうので夏はまた走って体力つけて、リーグ戦でエネルギッシュに走りまくりたいと思います」
―それに今年は4年生が少ない分、3年生の働きが重要ですね。
「自分と高橋が大黒柱にならなければいけないと阪口先生もおっしゃっています。やっちゃいけないプレーを今日もしてしまったし、まだまだしっかりしないといけないです。頑張ります」
慶應義塾大は粘りのプレーを見せて10位フィニッシュ

この日、大東文化大はスタメンに#20毕(3年・PF)ではなく、#15モッチ(1年・C・桜丘)を起用。器用で機動力のある#20毕よりも、インサイドでシンプルに仕事をこなす#15モッチの方が有効という西尾HCの考えによるもの。これによって立ち上がりから慶應大はゴール下で#22トカチョフ(3年・CF)や#7高橋(3年・F)といったインサイド陣がうまく機能せず、外からのシュートが多くなる。一方の大東大は#0葛原(3年・SG)、#68花井(4年・SG)などによる3Pが続き、ゴール下でも#15モッチがオフェンスリバウンドをもぎ取っていった。慶應大も速攻を出す場面はあるが、攻撃パターンが限られ、1Qから大東大が12-21リードする格好となった。
2Q、大東大はフリースローを得ていくものの確率が悪く、得点の伸びが鈍る。慶應大は#5後藤(4年・G)の3Pを皮切りに加点したいところが、こちらもファウルが混んでくる。大東大はここで#32原(4年・SF)のシュートや飛び込みリバウンド、#20毕の3Pなどが出るが安全圏に引き離す形まではいかず。慶應大は速攻、スティールなど持ち味を出す部分も見えるが点差は縮まらず27-37の大東大リードで前半終了。
3Q、気を引き締め直した慶應大が大東大に迫った。立ち上がりの#22トカチョフのミドルシュートが決まると、#7髙橋のオフェンスリバウンドやシュート、#5後藤の3Pが続き開始1分半の猛攻で1点差に。大東大は#68花井が速攻からバスケットカウントを獲得するが、その後はファウルが続いた。慶應大は#23木村(3年・CF)の3Pが決まって逆転すると、#7高橋のバスケットカウント、#5後藤の3Pで4点のリードに成功した。ミスが続く大東大は得点が止まりがちになるが、メンバーチェンジで打開をはかる。慶應大のファウルが嵩んでいくのを尻目に、#87波多(4年・SG)、#12熊谷(2年・F)の3Pに#56山岸(3年・PF)の速攻が出た大東大が逆転し、48-55とリードして最終Qへ入った。
追いつきたい慶應大はパスミスやファウルが続き、ターンオーバーを止めることができない。大東大は#15モッチのゴール下での存在感が大きくなり、リバウンド、フリースローでの得点で慶應大を引き離していった。慶應大はアウトサイドが決まらず、追い上げのきっかけができない。一方の大東大は小気味よく得点を重ねて最終的には63-80で試合終了。9位の座を獲得した。
高さ、選手層で優っている大東大に最後は軍配が上がった。モッチはケガがあってチームとの合わせはまだ十分ではないが、その存在感は大きく、今後のチームに頼もしい選手が加わった。大東大は選手層が厚く誰が出ても任せられる利点がある。特定のエースに頼るのではなく、全員でやることを目指しているという。全員が安定したプレーを1年間続けられるようになることが、1部復帰の鍵を握るだろう。

写真上:次世代のエースとして期待される葛原は序盤に3Pなど見せ場を作った。大会を通しては「意気込みはあるものの空回りした」との弁。「期待されているのは得点。コンスタントに20点以上取っていきたい」と目標を持って今シーズンに臨んでいる。
写真下:インサイドで踏ん張りを見せた慶應大・髙橋。得点面でもかなり貢献を見せ、代々のエースナンバー「7」を背負い、チームの要のひとりとしての活躍が問われる。
※大東文化大・原選手、山岸選手、熊谷選手、慶應義塾大・西戸選手、トカチョフ選手のインタビューは「続きを読む」へ。
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【COMMENT・INTERVIEW】◆大東文化大・西尾吉弘ヘッドコーチ
「(大会を振り返って)主力メンバーがケガで練習を抜けていたので、トーナメントに入ってからようやく息が合っていった部分があります。試合を重ねるごとに粘り強さも出てきたので、秋につなげていける大会になったと感じています。下級生が多く、アウトサイドもシュートがきっちり入っていたわけではなかったりと、のびしろはまだまだあります。
(選手起用について)小さい選手でもしっかり守れるのであまり高さは考えず、体力的にハードにプレーしてもらいたいと思って単純にタイムシェアをしています。日大(9~13位決定戦)にしても慶應(9位決定戦)にしてもシューターチームで、疲れてきたときに放たれるのがいやだったので。8決めの専修大戦は高さを考え過ぎて、メンバーチェンジが重くなってしまったという反省があります。インサイドは先手を取れるよう、リバウンドを安定して計算できるモッチをまず起用しています。
(大会を通して相手をロースコアに抑えたが、唯一の敗戦である専修大戦は得点が伸びなかったのがもったいなかったのでは)オフェンスに関してはまだシフトもなく、インサイドにボールを入れてディフェンスが寄ったら外で打つくらいだったのもありますが、得点できない時間は確かにありました。ただ、実はそれはどのチームでもあるものです。うちの選手たちはそれを我慢できなかったのが課題です。得点を取れない時間帯にディフェンスも弱くなってしまった。精神的に強くなり、やるべきことをやり続ければ点を取れるのはわかっているので、一人ひとりがそれを理解してくれればスコアは伸びるのかなと感じています。あとはインサイドの使い方がさらに磨かれれば、アウトサイドももっと楽にプレーできるはずです」
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「主将が引っ張り、自分は後押しする」
縁の下を支えるムードメイカー
◆#32原 幸二朗(大東文化大・4年・SF)

―大会を振り返って。
「オフェンス力がまだ他のチームに比べて低いと感じました。今日も勝てたものの外のシュートばかりだったので、リーグ戦までにはそれぞれのシュート力はもちろんドライブ力も上げていかなければなりません。オフェンスの向上がチームのレベルアップにつながると思います」
―副主将としての自身の評価はいかがですか?
「キャプテンの花井(#68)が前で引っ張っている分、自分はいちばん後ろからチームの後押しができればと考えています。ただトーナメントでは、教育実習との兼ね合いで欠場があったり、コートに立ってもあまり活躍できない試合もあったので、率直に言えばあまり実行できませんでした。リーグ戦では、コート上のプレーでも、ベンチにいてもしっかりチームを後押しできるように頑張っていきたいです」
―コートでもベンチでも、個々への声掛けなど細かな気遣いが見られました。
「流れが悪いときはもちろん、流れがいいときでもチームを少しでも盛り上げようと思って、細かいところからやっていっているつもりです」
―プレー面では、4番ポジションを主に3人でタイムシェアしていましたが、どんな基準で分けているのですか?
「相手の特徴ですかね。相手がアウトサイド主体だったときは自分が呼ばれやすく、逆にセンタープレイ主体のときは、身体が強い山岸(#56)やビリシベ(#91)のほうがプレータイムが長めになります。相手によって自分たちの布陣を変えながら、それぞれができる限りのことをしっかりやれと言われていました」
―それぞれの強みを生かす形ですね。インサイドプレーヤー間でよい競争が生まれているのではないでしょうか。
「はい、モッチ(#15)が入ってくれたおかげで、チームが安定したのもありますが、お互い試合に出たいという気持ちも強いので、練習の中で結構バチバチやり合ったりしています。切磋琢磨する関係ができていて、すごくいい雰囲気だと思います」
―ただ、去年・一昨年とよい雰囲気を持ちながら、勝負どころで弱みが露わになってしまったかと思います。今年はそのパターンを変えられそうですか?
「1部昇格という目標に向かって、チーム一丸となって突き進んでいきます。自分や花井がしっかりチームをまとめて、上(1部)まで持っていけたらいいなと。去年のチームも真面目でしたが、ただ真面目に努力をするだけでは意味がない。自分に必要な努力をしっかりしないと努力とは言わないと僕は思うんです。去年は少し甘い部分もあり、それができていなかったと思うので、しっかり締めて、チームを少しでも強くできれば。僕は普段はどちらかというと温厚なほうながら、チームをまとめるときは花井とともに厳しくなるのですが、皆もそれに乗ってきてくれれば1部昇格も見えてくると思います」
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「勝ち方を全員が徹底しなければ」
楽観視せず、かつ投げ出さず取り組む
◆#56山岸優希(大東文化大・3年・PF)

―まずは大会を振り返って。今シーズンからスターティングメンバーとなりました。
「3月の中京大との試合でスタートに起用され、その流れで(#32)原さんではなく自分が4番ポジションのスタートを務めましたが、リーグのスタートがどうなるかはまだわかりません。ただ、どの試合も相手を60点台に抑えられたのは自信になるかなと思います。前半で42点取られ、普通に考えれば80失点の試合になり兼ねなかった日大戦も最終的に60点台に抑えられたのは大きい。あとはオフェンスかなと。(8決めの)専修大戦はこれが自分たちのやってきた結果だったと受け止めています」
―外から見ていてもオフェンスがもったいない印象はありました。選手の方々自身、課題を感じているのでしょうか?
「インサイドは自分たちのほうが有利、と言いつつ結局そこで決めきれなくて専修大戦を落とし、順位決定戦に回ってからもインサイドが入らなくなると一気に相手にやられたりといったことがありました。それからファウルをもらった後のフリースロー。今日は入っていたほう(13/20)ですが昨日の日大戦は5/14、その前の法政戦も17/31でした。つまり2投のうち1投しか入っていないようなもので、これでは相手にチャンスを与えてしまう。気持ち次第だと思うのですが、直さなければと思います。そういったミスはこれまでのリーグ戦でもありましたが、その繰り返しをストップさせれば頑張ってもダメという結果には絶対ならないはずです。戦い方というか、勝ち方を全員がもっと徹底しなければなりません。アウトサイドは熊谷(#12)だったり花井キャプテン(#68)だったりがコンスタントに入れていたので、あとはインサイドがもっと点を取れるようになれば楽な展開になると思います」
―インサイドの得点源として毕選手(#20)の他、モッチ選手も加わりました。
「モッチはインサイド中心、毕は外もできてと特徴は違いますが、チームを引っ張れるようなプレーをしてもらいたいのは同じです。先に話したようにゴール下で頑張っていけば、チームも流れに乗っていく。相手のペースに合わせないことが大切です。それとモッチはケガで抜けていた期間があるので、これからもっとコミュニケーションして、フォーメーションを覚えてうちのバスケットに慣れてくれれば秋は変わってくるのではないかと思います」
―全体としては、リーグに向けての手応えは掴めたと言えますか?
「多くのメンバーがこの舞台でプレーできたのはよかったです。1年生も『大学のゲームはこういう感じなんだ』というのがわかったでしょうし、1年生だけでなくBチームからも試合に絡んでくるメンバーがいればいるだけ、うちは強い。スタメンにしても、相手とのマッチアップによって入れ替わりは必ずあります。スタートで出る人間はその責任を果たし、ベンチから出る人間も集中しなければいけなりません。一人ひとりの準備の仕方が大事になってくると思います」
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「チームメートの長所をもっと生かしたい」
司令塔として支配力を増す2年生
◆#12熊谷 航(大東文化大・2年・F)

―まずはこの試合を振り返って。一時追い上げられながらも最後は突き放す展開となりました。
「3Qに点差を詰められたとき、ディフェンスがよくありませんでした。そこでディフェンスをしっかり締めて、速攻につなげていこうと確認し合い、ガードとして起点になれるよう努めました。それと僕たちはセンターが強いので1回センターポジションにボールを入れて、落ち着いてプレーできたことがよかったと思います」
―大会全体を通して、手応えや課題は見つかりましたか。
「シュート力ですね。(8決めの)専修大戦で全く入らなくて、その後は入るようになっていきましたが、やはりトーナメントは一発勝負なのでその中でいかに決められるかが課題だと思います」
―熊谷選手としては、初戦で3年の竹内選手(#3)のケガもありガードとしての責任が重くなりました。気持ちの準備はできましたか?
「はい、それはすぐできました。自分としてはトーナメントは去年は出られず初めての経験でしたが、うちはセンターが強くシューター陣も揃っているので、自分がしっかりまとめないといけないという気持ちで臨みました。それができたかというと、まだまだです。モッチ(#15)は『もっとボールをくれ』という部分があるのですが、周りにもパスを出したり、自分が行けるときは点を取って、というバランスが難しいです」
―自分で点を取る意識は去年より強くなったのでは?
「去年はエースの山崎さん(15年主将)が点を取ってくれたので、僕はディフェンスを頑張ってボールを運ぶ役割にまず集中していました。今年は山崎さんが抜けた分を埋めるべく、苦しいところで1、2本決められたらいいなと思っています」
―タイムシェアとのことで、多様なメンバーと組む中で何に注意していますか。
「2、3番ポジションの選手はそれぞれ20分ずつメンバーチェンジするような形ですが、一人ひとり長所があるので、僕はそれを生かしたいなと。たとえば葛原さん(#0)だったらもっとボールを持たせて1on1に行ってもらおうとか、シューターだったらもっと3Pを打たせようとか考えています」
―インサイドのモッチへは、皆でこまめに声を掛けている印象でした。
「まだわがままな部分もあるので。周りとしては、『おまえのこともちゃんと見てるけど、ディフェンスが寄ってるから、アウトサイドにボールを出してるんだよ』と伝えたりしています。もちろんモッチの意見も聞きます」
―さて、新人戦では8決めで日本大が同じブロックに入りました。どんな準備をして臨みますか。
「モッチは合流してまだ間もないので、トーナメントでは4番ポジションとの連携や、ガードの自分とも合ってないところがありましたが、新人戦までに改善できればと思います。日大は2・3番にいいシューターが揃っているのでそれをいかに止めるか。インサイドはこちらに分があると思うので、そこを起点に攻められれば。トーナメントが終わった今、もう少しずつ考え始めています」
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「全員が主体者意識を持って取り組んでいる」
思いを実現する慶應大らしいチームを作れるかが鍵
◆#4西戸 良(慶應義塾大・4年・主将・G)

1年のときは最上級には良い選手がひしめきながらも、リーグ戦直前の練習で結果を出し、スタメンを勝ち取った。それ以降、クレバーなオフェンスと守りの上手さでチームに無くてはならない存在だ。今年は主将というこれまで以上の荷物を背負うことになるが、そのプレッシャーをはねのけるような働きを期待したい。
―最終戦、大東文化大はさすがに強かったですが、プレッシャーなどは前の試合までと違ったのでは?ふりかえっていかがですか。
「大東大はもちろんそうですが、このトーナメントを通してああいうチーム、中がゴリゴリでディフェンスが強いチームに対してうまく戦えていないなというのがわかりました。でもリーグ戦で戦う1部というのはもうそういう相手しかいない訳です。そこを9月までに成長しないと1部には残れないな、という課題が見つかった試合でした」
―インサイドは簡単にプレーさせてもらえませんでしたね。
「そうですね。それに連戦が効いていたのもあったかと思います。選手層が薄いので3人は出続けている状態になりますし、それで体力がなくなってしまうというのがあります。そこを上回るための気持ちも、途中で折れてしまった時間帯がありました。もう少し鍛えないといけないと痛感しています」
―3Qに追いつけて逆転できたのはまだ良い面だったかなと。去年は僅差まで迫って逆転できないという試合が何度もありました。
「3Qのハーフタイムのときに全員でやろうと言って、それが体現できたのはひとつの収穫ではあります。でもそのあとに崩れてしまってから修正できなかったのが、この点差になった原因ですね。ダメなパターンですね」
―西戸選手は今年は主将を努めますが、どのようなチームを目指しているのでしょう。
「今年チームで目指すコンセプトというのが、自分が1年のときの蛯名さん(2013年度主将)の代のように泥臭くというか、ディフェンス、リバウンド、ルーズボールから頑張るチームです。昨年の12月から取り組んでここまできて、それができているときはいい流れでオフェンスもいいリズムでできているんですが、継続できていないのが今の現状なので、もう少し徹底したいです。蛯名さんはどんな状況でも体現してくれていたし、貫くものを常にコートで発揮してくれていたので、それについていこうという気持ちがチーム全体に及んで、ひとつになっていました。今年はまだそこまで僕ができていません」
―西戸選手はそこまでコート上でしゃべるタイプの選手ではありませんね。どのように引っ張っていこうと思っていますか?
「発信というか、チームに声を掛けるのは意識しようとしています。ここがこうだから、こうしようという風に。後藤(#5)の方が常に声を出してくれるので、僕は一歩引いて冷静な立場から修正や方向転換できるように引っ張っていければいいのかなと思います。それプラス、プレーでミスがない安定感やここぞというところで力を発揮できるような働きを心がけています」
―3年生は今大会で粘り強いプレーができる時間帯が増えたのではないでしょうか。
「だいぶ変わりましたね。相撲部の練習に行かせたのも良かったのかもしれないですね。僕らが阪口さん(HC)と話す中で、下(インサイド)のポジションがプレーでも気持ちの部分でも弱いという課題があったので、練習に行くことになったのですが、相撲部の練習がプレーに見えてきたのはオフシーズンの収穫です」
―収穫も課題もあった大会ですが、慶應大はここから新人戦以外に定期戦(慶関・早慶・延世大)が続きますし先は長いですね。
「春シーズン最大の目標は早慶戦です。これは慶應大ならではで毎年のことですが。春から早慶戦のために成長を遂げようというのを目標にやってきました。選手層の部分ではあまり収穫はなかったのですが、自分たちが攻められるときのリズムはつかめたと思うので、それをどう早慶戦の一戦に持ってこられるかがここからの課題です。一人ひとりがこのトーナメントを通してできたこと、できなかったことをもう一度反省してチームがひとつになるために練習に取り組むだけだと思います」
―人数は少ないですが、元々少数精鋭でも全員が頑張るというのが慶應大のカラーでした。今年のチームはそういう原点にもどるべき様子が見えますね。
「それが逆にモチベーションにもなりますね。周りから今年のチームはヤバいと言われている中で、みんなその現状は認識しています。スーパースターは誰もいない中で勝つという、慶應らしいチームを見せられればいいなと。それは共通意識として持ってやっています。全員が主体者意識を持って練習に取り組んでいるので、試合にも少しずつ出てきています。コートに立つ選手がみんなの思いを背負って、常に発揮し続ける気持ちを磨いていきたいなと思います」
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「自分たちが大黒柱にならなければ」
チームの核としての意識をどこまで体現できるかが課題
◆#22トカチョフ サワ(慶應義塾大・3年・CF)

―下の順位決定戦に進みましたが、大東文化大は簡単な相手ではなかったですね。
「昨日(国士舘大戦)も簡単ではなかったですけどね。個人的には体力が保たない部分がありました。前半は競れていたのに後半に引き離されてしまって、僕自身ちょっと悔いが残る試合でした」
―最初からトカチョフ選手のところでファウルが続いてしまいましたね。疲れがありましたか?
「集中力が欠けている部分だったり、特に3回目の変に掴んでしまったのは本当にいらないファウルだったりでした。あとは運もあるし、4回目はたまたま自分がいたところに当たってしまいましたが、ツイてないのもありましたね」
―この大会で良かったところとダメだったところは?
「西戸さんも言っていましたが、勝つ試合と負ける試合がすごく明確でした。勝つときはみんながすごくいいリズムで攻めて、アウトサイドのシュートも入って速攻も決まりました。でも入らないときはどうしてもドリブルで打開しようとする部分が増えて、ミスしたり最後にタフショットで終わることが多い。それが明確になったことは大きな収穫です。6月に控えている早慶戦に自分たちが勝つときのバスケットを遂行すればきっと勝てるので、そこのためにも大きなものを得られました」
―春は相撲部の練習に行っていたと聞きました。その他のトレーニングのせいか、身体も一回り大きくなったように感じます。
「木村(#23)、高橋(#7)と僕の3名が3か月間行きました。いろんな方から身体が大きくなったとは言ってもらえていますが、それをまだバスケットに落とし込めていないのが正直なところです。もっとバスケットに相撲やウエイトでやってきたものをつなげられる動きが出れば、やってきた意味があります。そこを早慶戦までに考えながら、それにまだ高橋や木村との兼ね合いも少ないので、そういうプレーが必要だと思います。ひとりでじゃなくてふたりで状況を打開できるようになれば、もっといいプレーができると思います」
―そういったコンビネーションは磨きたいところですね。当たり負けという部分ではかなりしなくなった印象ですが。
「昨日も板垣選手(#88)は本場の力士みたいなものなのでちょっとやられましたが(笑)、馬選手(#68)なんかにも当たり負けはしなくなったなと思います」
―相撲の練習は本当に相撲としての練習をするのですか?
「そうです。四股から入ってすり足、てっぽうなど下半身を鍛える内容です。バスケのパワーポジションとしては足元がぶれなくなる感じですね。最初は本当にやるの!?って思ったし、普段使わない筋肉なのできつかったですけど、やっているうちに楽しくなっていい経験でした。相撲部の部員の方々も親切に教えてくれて、ちゃんこ鍋も食べましたし」
―ちょっと見てみたかったです(笑)。でもその練習が中で踏ん張るプレーに表れているように思いました。
「そうですね。あとは自分が外に行ったときにオフェンスリバウンドになかなか絡めなくなっているので、そこを取りに行くという意識をもう一回持つようにしないといけないですね。高橋だけがオフェンスリバウンドに踏ん張っているようでは苦しいし、一回チップしたあとの次を自分が取れるようにならないと。そういう意識を保たないとこの先厳しいし、そこは反省です」
―そこで体力問題に帰結する訳ですね。
「そうです、どうしても楽をしようとしてしまうんですよね。無意識にそうしてしまうので夏はまた走って体力つけて、リーグ戦でエネルギッシュに走りまくりたいと思います」
―それに今年は4年生が少ない分、3年生の働きが重要ですね。
「自分と高橋が大黒柱にならなければいけないと阪口先生もおっしゃっています。やっちゃいけないプレーを今日もしてしまったし、まだまだしっかりしないといけないです。頑張ります」
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