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2016.05.26 (Thu)

【2016トーナメント】5/8 3位決定戦 東海大VS早稲田大

東海大が序盤から引き離して3位を獲得
早稲田大は終盤に迫る力を見せての4位


160508urabe.jpg 3位決定戦に臨んだのは、3連覇への道が絶たれた東海大と、機動力を活かしたアップテンポなバスケットを展開し、久しぶりに上位に食い込んだ早稲田大の両者。勢いでは早稲田大が勝る部分もあるかと思われたが、東海大の激しいディフェンスの前に苦しむ展開となった。

 1Q、東海大は#24卜部(3年・SF)が幸先良くシュートを決めると#25平岩(1年・PF・土浦日大)のシュート、#13中山(4年・PG)の速攻など、東海の得意とする部分での得点が続いた。早稲田大はサイズのある東海大に対し、#21南木(3年・G)が最初の1本を決めた以外はことごとく東海大ディフェンスの前にターンオーバーとなり、アウトサイドも入らず開始5分で4点とオフェンスで苦しむ。反対に東海大は気持ちよく速攻が決まる内容で、1Qは18-7とリードを奪った。

 2Qも早稲田大のオフェンスは好転せず、開始3分で#18森井(3年・PG)の3Pが決まるまでノーゴール。東海大もミスはあるものの、攻守で早稲田大を圧倒する。終盤、早稲田大が#27濱田(2年・F)によるこぼれ球のカバーや#7石原(3年・G)のドライブなどが出始めると、オフェンスリバウンドやアシストも決まり、東海大リードは変わらないが、34-25となんとか差を一桁にして前半終了。

 3Q、立ち上がりの東海大は#24卜部がゴール下でオフェンスリバウンドに粘り、アシスト、ジャンパーも続く。この流れに#25平岩がダンクを決めてチームを乗せ、リードを広げていく。早稲田大は再びターンオーバーが続く展開となり、前半で一桁に留めた点差が再び20点近く開いてしまった。東海大はリードしているものの、中盤からファウルが続いて流れが切れがちに。早稲田大は#25伊藤諄哉(4年・F)の速攻、#26濱田がスティールからバスケットを奪う、早稲田らしい足を使った攻撃も見せたが62-47と依然東海大リードで最終Qへ入った。

160508shinkawa.jpg 早稲田大は4Q開始早々、上から当たる激しいプレッシャーディフェンスを展開。#8新川(3年・F)が#25平岩をブロック、そしてようやく1本目の3Pが入り、さらに速攻からバスケットカウントを奪って反撃に出た。早稲田大の猛攻に東海大は#25平岩、#35伊藤達哉(4年・PG)のシュートなどで応戦し、15点以上のリードは保って試合は進む。残り時間5分、18点差を追う早稲田大はここで#18森井のアウトサイドに大当たりが来る。ここから5本の3Pを沈め、一気に東海大に迫ると、残り22秒で85-80と一気に13点を詰めて5点差に。しかし試合をひっくり返すまでには時間が足りず。終盤フリースローで逃げた東海大が88-82で逃げ切り勝利し、3位で大会を終えた。

 東海大は大会を通して小さな相手に逆のミスマッチへの対応を迫られる試合が続いた。対戦した慶應義塾大、拓殖大、早稲田大はいずれも全体的には小さく、機動力を活かした速いプレーを持ち味とする。そうした相手に対して失点が増える傾向を、いかに抑えて自分たちのロースコアゲームに持ち込むかが今後の課題か。3連覇はならなかったが、大学界でも1、2を争う層の厚さは変わらない。関東を引っ張る存在としてさらなる成長に期待したい。

 早稲田大は2007年に準優勝したとき以来のベスト4突破。惜しむらくはアウトサイドの当たりが終盤まで来なかったことだ。前半は打ち続けたものの3Pは2本、4Qだけで6本当たったが、最初からコンスタントに入ればもっと違った試合展開だったかもしれない。とはいえ、一昨年からガード主体のチームとなったが、その持ち味を上手く出せば上位とも十分勝負できるところを見せた。勢いと爆発力が続けば秋のリーグ戦も楽しみな存在に違いない。

写真上:東海大はスタメンになった卜部が得点面で貢献。年間を通じて安定した働きを期待したいところ。
写真下:早稲田大・新川は今年からポジションアップ。打つだけではないより幅広いプレイヤーへの進化を迫られている。

※東海大・寺園選手、関野選手、平岩選手、早稲田大・吉岡コーチ、河合選手、森井選手のコメントとインタビューは「続きを読む」へ。



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【INTERVIEW】

「最後の最後で勝てるチームになりたい」
失点の多さを反省に再度の鍛え直しに燃える

◆#4寺園脩斗(東海大・4年・主将・PG)
160508terazono.jpg常に声を出し、引っ張るタイプのリーダーは、今大会重要な場面でのシュートを担うなど、プレー面での責任感もはっきり見える大会だった。結果は3位。「春先は厳しい合宿をやったが、負けてしまった。甘さがあったのかもしれない」と言う。新シーズンの出来はどこも満足とは言いがたいものだろうが、年間を通してムラの少ない東海大のようなチームにしてみれば、課題の多い大会だったと言えるのかもしれない。昨年までのようなスターはいないということを、誰もが自覚している様子は見える。だが、それに比しても遜色のない厚い選手層を抱えているのも確か。一丸となっていかに爆発させられるかにかかっているだろう。


―今大会を振り返って。
「現状を再確認することができたので、あとはここから自分たちを鍛え直して上がっていくだけだと思います。チームでもう一回、一人ひとりやることを考えて集中してやっていきたいです」

―東海大にしては失点が多いのは大会でした。
「相手に合わせてしまうというか、昨年から60点以下に抑えられているゲームが少ないので、秋に向けてしっかりディフェンスを一から鍛え直して、60点以下に抑えるディフェンスを目指します」

―今回はサイズが小さく機動力があるチームが対戦相手に多かったと思います。やってみていかがでしたか?
「ピックを使ってビッグマンが引き出されて、それで切られていくという展開が多かったです。もっとビッグマンが足腰を鍛えてガード陣についていける足を作らないといけないなと。春先からやっていたと思うんですが、そこがまだ足りなかったので、そこは課題として見えたのは良かったかなと思います」

―これは、東海にずっとある部分だと思うのですが、スロースタートの試合が多く、昨年も追いかける試合というのが何度かありました。ベンドラメ選手や橋本選手のような追い上げの絶対的切り札がいない今年のチームとしては、その部分はどのように考えていますか?
「入りのところが練習試合を通して悪いのは事実で、どうしても後半の3Qから動きが良くなるというのはあります。そこは昔からの課題なんですが、アップから身体をしっかり動かせてなくてスロースターターになってしまうというのはあるかもしれません。入りのところが重要なのはわかっているので、もう一回考えなおして解決策を作りながらやっていくしかありません」

―最初から勢いよくディフェンスで相手の勢いを断ち切れれば、より良いゲームができそうですよね。寺園選手はベンチから出てくることがメインだと思うので、自分自身がプレーでそこを主導するという形にはなりにくいかと思いますが。
「スタメンの達哉(#35伊藤)は大事な試合は出ている時間も長いので、体力的に考えてしまう部分はあると思います。もしそこにもスロースターターの一因があるのだとしたら、彼に負担をかけるのではなく、1Qの終わりに出るバックアップのメンバーがそういうプレーやディフェンスをバッと見せるとか、そういうのはやっていきたいと思います。入りが悪くて離されてから追いつくのは大変なので、そういうゲーム展開にならないように秋までに修正しないといけません」

―今大会ではファウルがちょっと多かったですが、それも激しく当たりに行きにくいのでしょうか。ファウルが増えてしまった原因は今のところ何だと思いますか?
「手の使い方だと思いますね。今回はちょっと手が当たっただけで吹かれてしまっていたので、そこに対応しきれませんでした。審判は絶対ですし、そこにアジャストできるようにしなくてはなりません。手ではなく足でついていくディフェンスをしっかりやっていきたいです」

―昨年のベンドラメ選手と違って、寺園選手は熱く声を出すようなタイプに見えますが、主将としてどんなチームにしていきたいと考えていますか?
「今年はこういう風に負けることもあると思うんですけど、何回も何回もそこで這い上がって、最後の最後で勝てるチームになっていきたいと思います」

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「勝負どころのプレーを経験できたことは良かった」
目標達成のためにまだ一層の努力を誓う

◆#81関野剛平(東海大・4年・SF)
160508sekino.jpg4年目の春は、これまで以上のプレイングタイムをもらった。足を使った積極的なオフェンスが目立ったが、期待されているのはむしろディフェンスの方だと言う。そして、勝負どころでも出番をもらったのはこれまでにない経験だけに、今後に生きてくるはずだ。今年は主将以下、経験豊富な4年生は多い。そこに関野がさらに1枚の厚みを加えられれば、これほど頼もしいことはない。


―この試合を振り返って。
「この試合というか、大会全体を振り返って失点60点以下に抑えるという東海大のバスケットを達成できなかったので、そこが課題だなと感じています。オフェンス面では、前から当たられたときに、ハーフコート入ってから自分たちのオフェンスを作るまでに時間がかかってしまったので、フラッシュとかも使ってすぐ運べるようにしなきゃいけないなと思いました。あと、もっと頭を使ってやっていきたいです」

―点が取れない時間帯もありましたが、それよりもディフェンスの出来の方が気になるということですか。
「得点を取れない時間帯というか、自分たちは得点を取れなくても取られないようにディフェンスをして、最後に相手より1点取れていればいいという方針なので、そこをもっと突き詰めていかないといけないです」

―今のディフェンスの課題は?なぜ失点が多くなってしまったのでしょう。
「カバーに行ったあとのもう一回の寄りができていなくて、センターにポンと簡単にボールを入れられたり、外のスイッチとかのコールがなくて3Pをばんばん入れられたりというところですね。全員でもっとコミュニケーションを取って、スクリーンやスイッチの対応をもっと早くしたり、一人ひとりのディフェンスをもっと強くして、パスができない状態にするとかそういう部分ができていませんでした」

-準決勝の拓殖戦についてお聞きしたいのですが。
「拓殖はバンバ(#23)と成田(#39)が基本的に攻めてきて、やっぱりそこが抑えきれなかったのと、誰かが打った後のバンバのリバウンドをもっと抑ええられればよかったんですけど、そこも甘くて。失点60点以下っていうのもできていなかったですし、自分たちのバスケができていなかったですね」

-3位という結果をどう感じていますか。
「現状ではこれくらいのレベルということなので、夏にどれだけハードにやれるか、もう1回1から練習してどれだけ成長できるかですね」

-先輩方が抜けた穴が大きいなと感じました。
「そうですね。でも良い1年生がたくさん入ってきたので、リーグ・インカレに向けてもっと成長してもらって、チームで結束して頑張っていきたいです。今年はこの人が多く得点を取るっていうのがないので、チーム全員で協力してやっていかないといけないと思っています」

―関野選手は今大会はかなり出番がありましたが、何が評価されていると感じますか?
「自分の中ではオフェンスよりディフェンスですね。オフェンスの場合は、ファーストブレイクで走ってもらってそのまま行け、と言われているのでそれは意識してやっています。最初はポイントポイントで出されていたんですが、やっぱりディフェンスでお前が(相手に)ついてこい、と出される場面が増えました。まだ経験が少ないんですけど、勝負所で出されたりとかするので、もう4年生ですし、その4年生の意地を見せて頑張っていきたいと思います」

―4年になりましたし、最終学年としての意気込みは。
「キャプテンが立てたインカレと天皇杯優勝に向けて、この大会はいい経験になったと思うので、最後に笑えるように練習を一から見直して質の高い練習をして、ハードにやっていきたいと思いました」

―今年は4年生が多いのは強みだと思うのですが。
「そうですね、引っ張っていける人が多いので。4年生はコートに誰かしら出ていますし、出ていたら引っ張っていけるので、後輩もついていきやすいはずです」

―関野選手はその4年の中でどんなタイプですか?
「自分は引っ張ろうとして、誰もついてこないというタイプです(笑)」

-個人・チームとして収穫できたことは。
「個人としては、勝負所に出る経験をさせてもらったので、インカレでいきなりそういった場面で出されても失敗してしまうかもしれないですし、経験ができた点は良かったと思います。チーム的には、さっきも言ったんですけど“失点60点以下”がディフェンスの目標なので、やっぱりそこができていなかったなと痛感しました。そこをしっかりやっていかないとこれからも勝っていけないと思いますし、点を取るチームではないので、ディフェンスで頑張っていきたいと思いました」

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「自分ができるようになればもっと戦える」
自らの成長をチーム浮上の鍵を考え、高みを目指す

◆#25平岩 玄(東海大・1年・PF・土浦日大)
160508hiraiwa.jpgルーキーながら、今大会は堂々のスタメンを努めて期待に応える働きを見せた。本人は緊張があったと言い、相手チームにも警戒されてダブルチームで苦しむ場面も多かったが、それを補って余りあるポテンシャルも十分見えている。198cmのパワーフォワードだが、鍛えれば今以上の機敏さやタフネスを発揮することは可能だろう。それを自覚し、能力に頼らない泥臭いプレーを心がける意識もある。ここからの4年間で期待を越えるような選手に育って大学界を代表する存在になってもらいたい。


―この試合を振り返って。前半から調子よくいけましたが。
「チームで失点を60点以内に押さえることを目標に取り組んでいるので、最後この試合は80点以上取られてしまいました。しかも、勝負どころで自分のところから崩されることが多かったので、これから課題としてクリアしていかなければならないと、試合を通して感じました」

―早稲田大は小さなガードが多いチームですが。
「準々決勝の拓殖大もそうですけど、今回の大会は4人小さくて1人大きいというチームのスタイルが多く、そこに自分がつけなくて失点が増えてしまいました。そこからしかやられていないと思うので、責任は感じます。でも逆にそこができるようになれば、戦っていけるというのが分かったので、前向に捉えてやっていきたいです」

―高校バスケットでも小さくて走るチームは多いと思うんですが、大学の印象は違うのでしょうか?
「大学の選手はコートを走るスピードじゃなくて、一瞬の駆け引きや一瞬のスピードが違うという印象です。走ってる量は高校生に比べて多くないと思うんですけど、そうした一瞬の動きに今のところついていけていません」

―大きな相手では、準々決勝ではバンバ選手ともマッチアップしましたが、いかがでしたか?
「自分が入学する前から有名でしたし、少し構えてしまったところはあるかもしれません。もう少し自分らしくいけば結果は違ったのかもしれません。入りの問題ですね」

―まだ大学に入って初めての大会ということで、緊張などもあるのでしょうか?
「緊張はしているんですけど、先輩たちがすごく励ましてくれるのでそこは頼っています(笑)」

―東海大というのは希望して入ったのですか?こういうディフェンスチームということも理解して?
「こういう泥臭く、能力じゃない面で相手を押さえるというのがカッコいいなと思って」

―橋本選手(2015年度卒・現NBLリンク栃木ブレックス)が抜けて、平岩選手はサイズ面でも期待されているでしょうね。
「この大会を通して自分の成長がないとこれからも戦っていけないかもしれないと感じたので、これからいっぱい練習して成長していきたいです」

―今は何が自分に足りないと思っていますか?
「まずディフェンスの横の動きですね。小さな相手にもしっかりついていきたいし、シュートの機会を多くもらっているので、そこを確実に決めきる練習をもっとしないといけないと思います。高校のときもディフェンスを頑張るチームでしたが、大学ではまたやり方が違うし、いろんな考え方があるなと感じています」

―李相伯杯代表にも入っていますが、その後に新人戦もあります。筑波大と当たるブロックですね。
「勝たないといけないので、1回戦からしっかり準備したいです。新人戦は自分が中心になると思うので、このトーナメント、李相伯、そして新人戦の3つの試合で得られる経験を今後のことも考えて活かして成長していきたいです」

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◆早稲田大・吉岡修平コーチ

―試合を振り返って。
「速攻を出させないようにしたかったのですが、前半速攻だけで十数点取られてしまいました。後半はその対応がうまくいって何とか追いついていけたと思います。今日戦う上で、昨日の40点差での敗戦からどう立ち上がるかが勝敗以上に大事だという話をしていたので、20点差つけられたところでも気持ちを切らさず向かっていく姿勢を選手が見せてくれたのは評価してあげたいです」

―とくに4Q終盤の連続弾を含む、6本の3Pを決めた森井選手(#18)は最後まで集中していましたね。
「森井はシュートが苦手な選手だったのですが、昨シーズンが始まってから練習が終わったあと毎日、5分でも時間をつくってシューティングしていました。それが今日の試合に出た。スタッフも他の選手も皆彼に期待していたので、この試合で爆発して嬉しく思います」

―池田選手(昨年度主将)が卒業して、今年はどのようなカラーのチームになりそうですか?
「キャプテンだけでなく練習中に声を出して引っ張ってくれる4年生が多く、今年の代は全員で引っ張っていこうと考えてやってくれているのかなと感じます。うちは見ての通り背の低いチームですが、ピック&ロールだったりハンドオフでガード陣が中に切り込んでいくプレーを中心にやっていこうかなと。ただ、去年はそれだけになってしまったところがあるので、ガード陣の駆け引きのうまさを生かすべく、今シーズンはそこに動きを付け加えていければと考えています」

―期待する選手を挙げるとすれば?
「スタートに起用した濱田(#27)はプレッシャーが大きいでしょうが経験を積んでもらいたい。新川(#8)に関しては彼の将来を考えて今シーズンからアウトサイド、もらって打つだけでなくドリブルで自らプレーをつくっていこうと取り組んでいます。そして去年の新人戦でブレイクした石原(#7)には、それこそ池田のように声でもプレーでもリーダーとしてチームを引っ張ってほしいです。まだまだ才能を隠しているとスタッフ陣は感じています。たぶん彼自身がいちばんこの大会納得いっていないと思うので、今後に期待したいです」

―吉岡コーチとしては、初めてメインで指揮を取った大会となりました。自己評価はいかがですか。
「アシスタントコーチという形で携わった去年もベンチで指示は出させてもらっていたとはいえ、他の大学のコーチ陣はキャリアがあり選手としても活躍された方々ですが、僕はどちらもありません。ならばと、いかに選手とコミュニケーションを取りながらやるかを意識して今大会は臨みました。後悔があるとしたら、やはり昨日の試合です。ベスト4という目標を達成してどこかホッとした部分が出て、ああいった内容になってしまいましたが、もうちょっと持っていき方があったのではないかなと。今日これだけの試合ができるのであれば、昨日も40点差まではいかなかったはずです。もちろん力の差もありますが、その前にトスアップの瞬間から負けていたのかなという印象があります」

―反省もあるかと思いますが、「選手とコミュニケーションを取りながらやる」というのは年齢の近い吉岡コーチならではなのではないでしょうか。
「今の3・4年生は僕の現役時代に一緒にプレーしていたというのもあり、逆にそれしかできないと思ってやっていますが、なかなか難しいです。うまくいっているときはいいとして、うまくいかなくなったとき『何かもっと違う方法があるんじゃないか』と選手は必然として思うでしょう。その気持ちもわかった上で、ハーフタイムなどに『このプレーやってみてどう?』『何か気になるところはある?』と選手に問いかけ、アイディア出してもらって『じゃあこうしてみようか』と進めています。選手たちも高校までは基本的にコーチに言われたことをやっていたでしょうし、『どう?』と聞かれて本当に意見を言っていいのかと戸惑いはあるようです。でもそこがうまくいけば、いい形でやっていけるのではないかと思っています」

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「吹っ切れたことで皆の力を引き出せたと思う」
危機感を逃さずチャンスに変えて

◆#11河合祥樹(早稲田大・4年・主将・G)
160508kawai.jpgテーピングしている肩の状態は日によって違うというが、その影響を感じさせない。出番こそ多くはなかったが、バックアップとしても、精神面を支える存在としても比類ないものがある。3年時のインタビューでは駆け引きも含めて内面を表情に出さないようにしていると明かしてくれた河合。主将を務める今シーズンは、その責任感が滲み出るかのような顔つきをしていた。大会前にチームの気のゆるみをごまかさず目標のベスト4を達成。準決勝では現時点での力の差も味わったとはいえ、チームの課題とやるべきことを把握・実行できるリーダーがいる限り、後悔するような未来にはならないはずだ。


―大会を振り返って、収穫や課題があれば教えてください。
「いちばんは2・3年生の気持ちの入り方が、僕ら4年生にとって嬉しいものでした。六大学リーグを優勝で終えた頃は、ちょうどきついトレーニングを経て実戦に入ったばかりで『バスケ楽しい!』という気持ちで取り組めて雰囲気もよかったのですが、だんだん慢心に変わってしまった。京王電鉄杯の段階では、初日の試合で格下相手と思ったのかチームルールが徹底できなかったり、試合間の練習も『これくらいでいいんじゃないか』という気持ちで取り組んでしまう人もいるなど、波が感じられました。それで4年生で『これはまずい』と話し合い、まず4年生で意見を固めた上でミーティングを行って1~3年生に『このままではトーナメントは初戦や2戦目で負けるよ、もう一回引き締めないとだめだ』と話したんです。そういう状況の中で、特に3年生が気持ちの入ったプレーを大会通してやってくれて、僕ら4年を背中でも声でも引っ張らなければという気持ちに改めてさせてくれたのは本当によかったと思います。課題としては、筑波戦(準決勝)も専修戦(準々決勝)も今日の東海戦もそうなのですが、試合開始時に5人並んだ時点で本当に(自分たちは)ちっちゃいなと(苦笑)。その中で2mある相手に対して、どうリバウンドとルーズボールを徹底して取るか。特にディフェンスリバウンドはアウトサイドの選手が下からボールを取りに行ったりだとか、弾いたボールに飛び込んでいくとか、もっと突き詰められると思うので、リーグに向けて取り組んでいきたいです」

―気持ちに関する話がありましたが、今日の東海大戦も昨日の筑波大戦も戦う気持ちを切らさず、逆境でこそ本当の強さが見えるのかなと感じました。
「コートに立つメンバーが頑張るだけではなく、副将の佐藤(#31・4年)がベンチからでも『声出していこう!』と皆の士気を上げてくれたのが大きいです。そういう存在がいる中でコートに出るからには、プレーだけでなく、点差が離れても『まだ大丈夫だ』とか、チームやメンバー一人ひとりにどういう声を掛けたら気持ちを上げてくれるかを考えながらやっています。もちろん4年だけの力ではなくて、後輩たちもそれに連なってきてくれているので、チームの力だと思います」

―主将としてしっかりチームを導けていると捉えてよいでしょうか?
「うーん、京王電鉄杯までは、さっき話したような危機感を感じながらも、どうしたらいいんだろうという迷いもあり、プレーもまとめるのもどっちつかずだった自分がいました。でもこのトーナメントは自分の中で吹っ切って、プレーじゃない、と思ったんです。チームで勝つためには、自分がプレーに集中して引っ張るよりも、能力を持った下級生たちが最大限力を発揮できるように声を掛けようと割り切ってやった感じがあります。周りの皆も僕が言ったことに耳を傾けてくれたので、主将としてまだまだですが、ベスト4の目標を達成したという部分では、皆の力を引き出せたのかなと思っています」

―1部チームと対戦できて、リーグに向けての明確なイメージはできましたか。
「専修戦は、試合前にスタッフに指示されたプラン通りの展開でした。終盤の勝負どころでリバウンドを取りきるべく、頭からプレッシャーをかけ続けて相手に足を使わせるのが理想ながら、留学生はジャンプしなくても僕らの上から取れてしまいます。なので精神論になってしまいますが、最後は相手より取りに行けるかどうか。専修戦はそこがいちばん出たと思います。リーグでは筑波、東海相手にもそれができれば。ただでさえ身長で上回る相手があれだけの速さ・強さでやってくるというのをこの大舞台で体感できたのは、僕ら4年にとっても下級生にとっても大きな財産になりました。春の目標は達成したものの、それが皆の過信や慢心になってしまわないかという新たな不安も出てきます。もっともっと強くなっていかないと、春よりチーム力が上がった相手に、しかも能力で上回る相手にリーグで勝っていけない。相手以上の組織力を作っていきたいと思います」

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リーグ戦で目指すのは
”入替戦回避”ではなく”上位進出”

◆#25伊藤諄哉(早稲田大・4年・F)
160508ito.jpgアウトサイドが得意な選手だが、現在サイズのないチームにあっては、下のポジションでの貢献が目立った。
今大会、9年ぶりに準決勝進出をとげ、4位で大会を終えた早稲田大。久しぶりの上位進出だが、「あの大学だから勝てない、みたいなことを言うと、そういうことを言うな、と言われてしまうような雰囲気がある」という雰囲気もそうした成績につながった要因のひとつだろう。頂点へ登りつめるには、上位陣との対戦を勝ち抜かなければいけない。しかし、プレー以前に最初の障壁となるのが、相手への苦手意識であり、それが振り払えなければ、戦う前に負けているようなものだ。その“見えない壁”を作らせないチーム状況に、今季更なる飛躍の可能性を感じさせる。


―関東トーナメントを終えて。
「ここ数年、『ベスト4』というのがなかったので、とりあえずそこを越えよう、というのを目標でチーム一丸となってやってきました。結局、優勝はできませんでしたが、『ベスト4』には入れたので、100%満足ではありませんが、何か得たものはあったかな、と思います。

―多くの選手が出場し、プレータイムをシェアしている早稲田大は、ベンチ争いも激しいと伺いました。
「もちろんチーム内の争いもありますが、でも試合の出場について仲間と争うのは違うと思っていて、僕のかわりにスタートで出ている濱田とか経験がない分、緊張してしまったとか、まあ僕もするんですが(笑)、そういう行き詰った時に、自分がベンチから出て何をきっかけに悪い流れを断ち切れるのか、勢いを出せるのか、という所にこだわって、この大会は頑張ってきました。もちろん、僕が交代で出て、流れが悪くなってしまった時もありましたが、今大会は全試合を通して、自分の役割は果たせたかな、と思います。(3Q終わって12点ビハインドから4Qで逆転勝利したベスト16決定戦の)東洋大戦はどうしても重たい展開になってしまっていたので、速い展開を作る、とかそういうことをやってきました」

―今季から1部に復帰となりますが、リーグ戦に向けて改善していきたい点は?
「まずは外のシュート力ですね。他の1部校は、落ち着いて3Pを打っているのに、うちはどうしても慌ててしまって。練習では決めていますが、今日の試合結果を見ても(成功率が)30%もいっていないので、シュート力を改善したいです。あとは、場慣れですかね。1部でプレーしたことがあるのは、僕たち4年生だけで、あとの3年生から1年生までは経験したことがない舞台です。やはり、2部と全然レベルが違うので、その中でいかに落ち着いてやれるか、という所がポイントだと思っています」

―1部を経験しているからこその言葉ですね。
「1年生の時に全然試合に出ていたわけではないんですけどね(笑)。雰囲気だけで飲み込まれてしまうこともありますし。本当は落ち着いていないんですけど、自分が慌てているそぶりを見せたらいけないと思うので」

―伊藤選手は、試合中にあまり感情を表情に出さない印象がありますが。
「内心パニックになっている時もあります(笑)。自分が慌ててしまうと、後輩もそうなってしまうと思うので、絶対に表情は崩さずにやっています。本当は気持ちの起伏が激しいんです。そういう弱さを練習中とかはひとつのミスでずるずると引きずったりしてしまうことがあります。そうなってしまうことが、自分の弱みだということも自覚しつつあるので、どんなにいいプレーをしても喜ばないし、どんな悪いプレーをしてもへこまない、というのを意識してやっています」

―そうだっだのですね。それでは、41点差での敗戦となった昨日の準決勝・筑波大戦からの切り替えは、大変だったのでは?
「みんなも筑波大に大差で負けて、今日の東海大も練習試合で30点差とかで負けていて、やりたくないなというか、厳しい戦いになるな、という気持ちはあったと思います。自分もそういう想いはありましたが、絶対に表情に出さないように、すぱっと切り替えて、なんとか3位を勝ち取ろうと」

―今日の東海大戦、なかなかシュートが決まらず、苦しい内容でしたが、最後まで諦めずに走り切って、追い上げましたね。
「僕が入学した頃は、10点差つけられると『もう追い付けないな』とずるずる20点、30点と開いてしまった。それが、今までの早稲田だったと思います。去年から払拭しつつありましたが、入替戦の1戦目や、インカレの(ベスト8決定戦)青学戦も点差が離れてしまったら、もう手も足も出ない状況になってしまいました。ですが、今季は東洋大戦で20点差以上離されても、諦めずに追い続ける姿勢が出せたことは、大きな成果だと思っています。今日の試合も一時20点差ぐらいつけられて、このままずるずるいくのかなと思ったら、そこでちゃんとストップがかけられた。ベンチからも『ここで諦めるな』とか、佐藤(智也・#31)や長谷川(#13)が声を出してくれて、試合に出ている自分たちには責任があるので、それを果たそうと思って頑張りました」

―最後にリーグ戦に向けて、一言お願いします。
「上位に食い込みたいです。1年生の時はボロボロで順位は下から2番目とかでしたが、以前から『入替戦を回避できればいいかな』という空気が、断定はできませんがあったようです。そうではなく、今年は本気で筑波、拓殖、東海を倒す意気込みでやっていきたいです。あとは油断しないこと。毎回、このトーナメントで結果が出てしまうと油断しがちなので、厳しくやっていきたいと思います」

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「上位とのメンタルやスキルを埋めていかなければ」
久しぶりの上位進出も気を引き締める材料に

◆#18森井健太(早稲田大・3年・G)
160508morii_20160523091221f5f.jpg本来は司令塔として非凡なパスさばきを見せるが、4Qに5本の3Pを続けて沈め、この試合合計6本の3Pで東海大に迫る追い上げの立役者となった。得点力を見せつける形になったが、「練習をしてきた」と、影の努力があったことを伺わせる。
誰が出てもあまり変わらない状態でゲームができるのが早稲田大の強みだが、こうした得点力を個々で上積みできれば、さらに武器は増える。1部に挑むにあたって、それなりの心構えが見えるチーム状態が、秋に大きく花開くことを期待したい。


―ものすごく3Pが入りましたね。かなり追い上げムードにまで持っていけました。そこまでチームとしてほとんど決められていなかったのですが。
「僕だけ当たりましたね(笑)。でも3Pはずっと練習していました」

―プレッシャーはありましたか?
「自分としては高校の先輩である達哉さん(#35伊藤)とやりたいという気持ちが強くて、3決で戦えて楽しかったというのがありました。でもぜんぜん敵わなかったので、もっと上達したいという気持ちです」

―敵わなかったのはどのようなところですか?
「ディフェンスの駆け引きとかは相当うまいので、でもやれないことはないというのは分かったので、リーグに向けてそれもひとつのモチベーションとしてやっていきたいと思います」

―専修大戦だったり、この東海大の終盤のようにディフェンスで激しく当たって、というのは今大会で一定の成果が出たのでは。この東海大戦は後半にようやく勢いが出せたというのはありましたが。新川選手(#8)始め、前半は全体的に大人しかったですし。
「専修のガード陣たちは東海大に比べるとまだキープ力が弱いので狙っていました。東海大戦は追いかける展開だったので、仕掛けて行こうということでした。前半は新川も東海大の3番相手だとなかな敵わない部分もありましたが、ああやって点を取ってくれました。彼は今年から3番をやっているのでまだまだ慣れていないというのはあると思いますが、後半は吹っ切れたというか、自分のできるプレーをやっていて、それが良さにつながったと思います。能力自体はチームの中で一番だと思うので、それを引き出すのが僕の役目ですね」

―洛南のバスケだとそれも上手くできそうな気がしますが。
「京北と洛南のバスケはまったく違うことをやっているんですが、僕たちは合わせてやれると思うし、卓(#7石原)との兼ね合いもあるので2ガードでやれることはしっかりやっていこうとしています。僕らは3年生で来年もあるし、そこに向けてもいい経験になった大会でした。リーグもこの調子でやっていきたいです」

―早稲田大も関西学院大との定期戦、新人戦、早慶戦と続いていきますね。
「春はこのトーナメントが一番の重点目標で、チームとしてはベスト4を目指してそれを達成できました。でも上3つとの差は大きいなと僕自身は思うし、それをリーグ、インカレに向けてどうやって埋めていくかなというところです」

―1部復帰した年に、春はまずまずの内容を見せてもらったなとう気がしますが。
「それでホッとしていた人たちも多分いたし、ほかの3つはここからが勝負という思いと、うちは専修大に勝って、ある種の満足感があったないう気がします。そういうメンタルやスキルの部分も含めて、差を埋めるために秋に向けて頑張っていきたいと思います」

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「交代に呼ばれたときすべきことを考えながら観ている」
1部を戦う上で欠かせないインサイドプレイヤー

◆#28富田 頼(早稲田大・2年・C)
160508tomita_waseda.jpg昨年のルーキーシーズンは、与えられた時間を1年生らしくがむしゃらにやれば充分だった。だが1部に昇格した今年、相手の高さ・強さも、それに対抗すべく早稲田の速さ・運動量も上がる分、富田に求められるレベルも上がる。アウトサイドと同じく、インサイドもスタメンの宮脇だけでは早稲田が目指すバスケは実現できない。宮脇と富田、どちらが何分出てもパフォーマンスが変わらないようにできれば、ベスト4の先が見えてくる。


―昨日の筑波大戦も今日の東海大戦もインサイドの大きいチームが相手でしたが、どのようなプランで臨みましたか?
「相手のインサイドにダブルチームを仕掛け、ミスを誘発するというのを事前に指示されていました。そういったところを最初のほうは意識していたのですが、後半になるとなかなか仕掛けをうまくつくれない面もありました。それでもとにかくインサイドにボールを入れさせないよう頑張りました。1試合通して狙いを貫き通せなかった反省はあるものの、その分ポストで持たれた回数もあまり多くなかったかなと思うので、結果的にはよかったと思っています。もちろんまだまだ改善点はありますが」

―具体的には、どう改善していきますか。
「早稲田は他の大学と比べてサイズがないので、機動力でカバーするなりヘルプローテーションのスピードをもっと速くして、ギリギリまでチェックに出て相手にタフショットを打たせるというのを意識してやらないとだめかなと思います。去年1部リーグのトップを走っていた東海・筑波と対戦して、今の自分たちの力を再認識できました。秋のリーグでの再戦に向けて、どういったところを練習からもっと頑張らなければならないかを改めて感じられたのは大きな収穫だったと思います」

―試合では交代出場がメインでしたが、どんなことを心がけていますか?
「基本的に宮脇さん(#38)と交代するので、宮脇さんが果たしている役割はもちろん、チームの狙いがうまくいっていない部分、相手がどうやってきているかを意識して、スタートの人たちがやっていることをやり続けるのはもちろん、相手にやられてしまった部分は同じようにやられてはいけないと考えながら試合を観ています」

―富田選手としては2年目を迎え、昨年より視野が広がりましたか。
「去年トーナメント、新人戦、リーグ戦と経験でき、一学年上がって余裕が出たのもあって、精神的にも落ち着きはありました」

―相手だけでなく味方とぶつかりながらもオフェンスリバウンドを押し込むなど、精神面の成長もコートで出せたのではないでしょうか?
「昨日の試合が、ベスト4という目標が達成された直後で『優勝目指して頑張ろう』と口では言っていましたが、やはり安心感や気のゆるみがあり、それが40点差での敗戦という結果に表れました。これではだめだという認識をチーム全体で持っての今日だったのがひとつ。それと、東海とは練習試合をして30点差くらいで負けていたので、ここで借りを返し、3位を狙いにいくというのを自分だけでなく皆が意識し直した結果かなと思います。早稲田は勢いに乗っているときはシュートがガンガン入っていいリズムでいけるのですが、流れが相手に渡ったときどうしても踏ん張りきれず負けてしまうというのが今まで何度もありました。今年はそういうときも必死に我慢して、自分たちに流れが来るのを待とうと、新チーム始まって以来ずっと言っていたので、気持ちで負けてはいけないと思ってやっています」

―来月の新人戦では、チームを引っ張る立場になります。
「新人チームでもインサイドのメンバーは多くないのですが、あまり気負うことなくしっかりいつも通りのプレーをやっていければと自分では考えています」



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テーマ : バスケットボール(日本) - ジャンル : スポーツ

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