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2016.05.03 (Tue)
【2016トーナメント】5/3レポート
ベスト8が決定した春トーナメントは
ここから実力校がしのぎを削る戦いに突入
第65回関東大学バスケットボール選手権、通称春のトーナメントは4月23日から下位の対戦がスタート。例年より1日ないしは2日早く試合が消化される格好となった今年、1日からは1部校が登場するベスト16の戦いが始まり、3日のこの日は一気にベスト8まで決まった。
一昨年から16位までの順位決定戦が行われるようになり、その結果で翌年の16シードまで決まる形になっている。1年前から翌年の構図が見えている状況だが、その中でも優勝候補と目される大学は確実に勝ちを重ね、ベスト8には東海大、筑波大、拓殖大、青山学院大、中央大、専修大、早稲田大、明治大が名を連ねた。また、この日惜しくも敗退したものの、ベスト16に入ったチームはここから順位決定戦へと入る。シード校白鷗大の棄権があってやや予想と異なった部分もあり、昨年12位の関東学院大はベスト16から陥落。今期2部昇格の順天堂大、3部の学習院大がベスト16に入り、新鮮な顔ぶれで16位までをかけて戦う。
写真:3連覇を狙う東海大学。ルーキーの平岩は198cmの高さに加え、機動力も十分。
【大田区総合体育館】
東海大が連覇に向けて好発進
ルーキーの活躍も光る
大田区総合体育館には、第1から第3シードの上位校が登場。今年も優勝候補と目されるチームがベスト8の最初の関門に差し掛かったが、これと対戦するチームがどのような戦いを見せるかがひとつの注目となった。
昨年5位の拓殖大は、関東学院大を破ってベスト16に名乗りを上げた順天堂大と対戦。アウトサイドが持ち味の順天堂大は、#29千葉(1年・F・盛岡市立)がシュートを積極的に放っていくが、拓殖大にリバウンドを押さえられて何度も速攻に走られた。拓殖大は#39成田(4年・F)、#23バンバ(4年・C)を中心に前半で51点を取るペースで快調に飛ばす。順天堂は前半で5本の3Pを沈めた#29千葉が後半も打ち続け35得点。#6川久保(3年・F)が22得点で奮闘を見せるが、106-79で拓殖大が勝利。
昨年準優勝の筑波大は第16シードの駒澤大につけいる隙を与えず1Qから11-24とリードを得た。駒澤大はインサイドで#65針生(2年・PF)が仕事をさせてもらえず、アウトサイドのシュートが目立つ形に。3Qには#18前田(3年・PG)が果敢に攻めて、3P2本を含む3連続のシュートと、#14川嵜(4年・F)の3Pで見せ場も作るが、筑波大が余裕の逃げ切り。#46生原(4年・PG)がケガでDNPとなったが、ルーキーたちものびのびと躍動し、95-49でベスト8を決めた。
現在2連覇中の東海大は、近年はベスト8がけでの対戦で当たることが多い慶應義塾大との対戦となったが、東海大の層の厚さが目立つ内容となった。ともに出足から激しいディフェンスを展開するが、慶應大のターンオーバーを逃さず東海大が先行リード。リバウンド、シュートともに確実なプレーを重ねていく。慶應大はなかなか当たりが来ないが、#9鳥羽(2年・G)、#5後藤(4年・G)らが積極的に仕掛け、#22トカチョフ(3年・CF)もゴール下で踏ん張る。後半に入るとファウルの嵩んだ東海大に対し、慶應大がフリースローで得点を重ねた。一時は20点以上離されたところを縮めて最終的には60点以上の得点を挙げるが、86-67と東海大がベスト8関門を突破。ルーキーの#25平岩(1年・PF・土浦日大)が20点7リバウンドと十分な活躍をインサイドで見せ、新生東海大の新たな魅力を披露する格好となった。
写真上:順天堂大のルーキー千葉は3ポイント7本を含む35得点で魅せた。
写真下:上級生となった馬場。筑波大をどのように引っ張っていくかも注目だ。
※東海大・伊藤選手のインタビューは「続きを読む」へ。
【立教大学新座】
堅守によるロースコアゲームの連続
青学大は1分半で9点差を跳ね返し勝利
立教大学新座キャンパスでは1部から3部までの多彩なチームが会し、5試合が行われた。
4年生中心の学習院大は積極的にゴールを狙い、中央大にくらいつく。だがファウルがかさみ、じわじわとシュート力の差が出る。中央大は後半、1・2年生もコートに送り出して84-58と大勝。ただゾーンを攻めあぐんだり、ガード陣にプレッシャーをかけた後ゴール下が空くなど詰めの甘さも見られた。
日本大-青山学院大は日本大が10点前後のリードを得ては青学大が追いつく展開。4Q残り1分半で9点差と日本大が逃げ切るかと思われたが、青学大が#17柏倉のバスカン3Pや#3大崎のシュートで66-65と逆転。2年ぶりのベスト8へ駒を進めた。
専修大-大東文化大は、1Q終盤~2Q序盤に3Pを固めた専修大が主導権を握る。大東大も#12熊谷(2年・F)らが粘りを見せ29-26で勝負の行方は後半へ。3Q、大東大#20毕(3年・PF)がファールトラブルでベンチに下がった隙に専修大#6渡辺(4年・G)、#30アブ(1年・PF・アレセイア湘南)がインサイドで畳み掛ける。14点差となっても大東大は激しいディフェンスで食い下がるが、中・外とも当たりが来ず、59-49と力尽きた。
昨年の1-2部入替戦と同じカードになった法政大-早稲田大は、早稲田大に固さが見られたこともあり前半は1点差の接戦に。後半は3P合戦となり、残り5分を切っても73-71とわからない。勝負を決めたのは早稲田大のガード陣。#7石原(3年・G)のロング3P、#11河合(4年・G)のスティールからのレイアップで74-86ととどめを刺した。法政大は1歩及ばなかったものの、#57玉城(2年・PG)や#6中村(1年・PG・福大大濠)といったフレッシュな奮闘が光った。
国士舘大-明治大は、明治大がサイズの劣勢を運動量でカバー。前半国士舘大を26点に抑え、3Qに#9田中井(4年・G)のブザービーターなどで突き放すと、フリースローも重ねて67-47とリードを守り切った。
写真上:外角・ドライブとも技ありのプレイを見せる早稲田大・石原。
写真下:明治大・田中井は新主将らしく気を吐いた。
※学習院大・荻野選手、青山学院大・柏倉選手、法政大・藤井選手のインタビューは「続きを読む」へ。
【見応えのあるリーダーシップのぶつかり合い】
日本大#11門馬(4年・SG)、青学大#14柏倉(4年・PG)。両チームの新主将がみなぎる闘志でチームを引っ張った。結末は奇しくもその二人が明暗を分けた。
1Q、日本大がリバウンドを支配して開始5分13-3と先手を取る。青学大は#24安藤(4年・SF)が3Pを粛々と重ねて追い上げる。2Q、両者小さい布陣に変えるもなかなか速攻を繰り出せず、我慢比べに。日本大が#23本村(2年・SG)の3Pで32-29とリードを守る。
3Q立ち上がり、日本大が#11門馬のバスケットカウントや#24高橋(4年・SG)の速攻で早々に10点差をつける。青学大はスモールラインナップを継続してコツコツ追い上げ、44-46まで持っていくも、またも日本大#23本村に3Pを許してしまう。
52-44で迎えた4Q、日本大は4分半を残してインサイドの要・#5仁平(4年・PF)を連続ファウルにより失う。ただ、代わった#48ジャワラ(1年・PF・日大豊山)が奮闘、流れまでは失わない。一方の青学大はフリースローを決めきれず、63-54と9点差のまま残り1分半を切る。ここでタッチのよい#32前田(2年・SF)が3Pを沈めると、日本大#48ジャワラの合わせを挟んで#3大崎(4年・SG)もバスカンをねじ込み、残り53秒65-60と猛追。日本大が外角を選択し決めきれないのに対し、青学大は#14柏倉が日本大#11門馬の激しいチェックを受けながらも3Pを決めて4点プレイ。それでも残り22秒1点リードの日本大有利のはずが、バックコートですさまじいディフェンスを受けてターンオーバーを犯し、青学大#24安藤にフリースローを与えてしまう。
だが2本とも外れ、ボールは日本大に渡る。青学大としては今度こそ万事休すと思いきや、すぐに切り替えてプレッシャーをかけパスミスを誘う。それを#3大崎が冷静に決め、65-66とついに逆転に成功。残り10秒、タイムアウト明けの日本大はもちろん#11門馬に託す。ゴールに突進するも、まさかの足元がスリップ。倒れ込みながらもボールは生かすが得点にはつなげられず、ルーズボールは青学大#14柏倉のもとへ。数秒間がっちり保持して歓喜の雄叫びをあげた。
写真上:日本大・本村の3Pがチームを勢いづかせた。
写真下:大逆転勝利を喜ぶ青学大・柏倉、安藤、前田。
「今年はチーム力で戦わなければならない」
司令塔として周囲を活かすことも意識
◆#35伊藤達哉(東海大・4年・PG)
昨年卒業したベンドラメよりスタメンガードの立場を引き継ぐが、1年生の時から出番を得ており昨季も2ガードとして十分な活躍を果たし、司令塔として頼もしい存在だ。攻撃的な部分があると同時に周囲をうまく使える選手。今年は大エースというべき存在はないが、タレント豊富な東海大の選手たちの力をいかに引き出すかといったところにも注目したい。油断はないが、見据えるのはやはり優勝の2文字。ここから先も確実に力を発揮できるかが見どころとなるだろう。
―慶應大との試合を振り返って。
「毎回慶應大と当たるので特徴はよく分かっています。でもスリーポイントを打たれたり、オフェンスリバウンドを取られたりしていたので、そこはこの2試合目の段階で対戦して(意識することができて)良かったです」
―ルーズボールからのターンオーバーを狙われたりといった部分も目立ちましたね。
「自分たちの特徴も相手はよく分かっているので、ドライブに行ったら一気に3人とか寄ってきて、ちょっとやりづらいといえばやりづらい部分はありました」
―伊藤選手たちは下級生から経験を積んできて十分といえますが、ベンドラメ選手(現NBL日立)や橋本選手(現NBLリンク栃木ブレックス)らの核となるメンバーが抜けました。今年のチームはどんなチームといえますか?
「去年は礼生さん(ベンドラメ)、晃さん(橋本)がいてエースような存在でしたが、今年はそういった選手はいないので、そこはチーム力でカバーしないといけないなと思っています。このトーナメントでは自分たちがダメでも後から出てきたメンバーが頑張ろうと言っていて、それが初戦とこの試合ではできていたので、筑波のような相手にどれだけできるかだと思っています。次からも大事ですが、最後は筑波と戦いたいなと思っているので」
―下級生、特に平岩選手(#25)は今日は素晴らしい活躍でしたが、慣れないメンバーに不安はありませんか?
「玄(平岩)が入ってきてくれて頼りになっています。彼をもっと信頼してもいいのかなと思います。まだまだ良くなると思うし、彼の活躍がこれからの東海の力にもなると思うので、彼をどんどん使っていくプレーをしたいです」
―オフェンス力のあったベンドラメ選手とはカラーが違い、伊藤選手はボールを回して作ることも上手いと思うのですが、どのようにチームを活かしたいと思っていますか?
「自分で点を取りに行こうという気持ちもありますが、今日は玄が良かったし、なるべく調子のいい人を使う意識でいました。攻めるか、使うかといった部分は試合によって使い分けていこうと思います」
―慶應大の西戸選手(#4)とのマッチアップはいつも見ていて興味深いところなんですが、意識することはありますか?お互い洛南高校出身ですが。
「あっちが真似してくるんですよね、ディフェンスを(笑)。バックファイアとか。高校のときから仲が良くて、高校時代はお互い控えで1番と2番として出ていたので、負けたくないというのはあります」
―今後も対戦のときは注目したいと思います。さて、チームとしては大きな怪我人等もいなさそうですが、状態としてはいいようですね?
「4月ぐらいから比べるとチームとしてもまとまってきていますね」
―決勝を目指して、修正していきたい点は?
「自分たちはディフェンスチームとしてやっているんですが、今日みたいに自分たちスタートが激しいディフェンスをするのはいいけれど、それが重なってしまうと後から出てきたメンバーがやりにくくなってしまうので、そこは修正していかないと。今日もそのせいでフリースローで簡単に点を取られていたので、気をつけないといけないと思います」
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「この機会を活かすではなく、つなげていきたい」
対戦したからこそ感じた差は、これからの糧へ
◆#6荻野 駿(学習院大・4年・主将・G)
ベスト8決定戦を戦い抜いた学習院大。大会直前に、ベスト16を掛けた対戦相手となる1部校・白鴎大が不出場となったことにより得たチャンスでもあるが、それを掴むのも日ごろの彼らの頑張りが引き寄せたことには違いない。
2部校・中央大相手に試合開始からリードされる展開になったが、チームトップの14得点をマークした主将・荻野を中心に最後まで果敢にプレーする姿は、必ず次につながっていくだろう。残りの順位決定戦でも、1つでも多くのものを掴み、リーグ戦への弾みとしたい。
―今、試合を振り返って
「対戦予定だった白鴎大が棄権で出場しないことになったのもあって、自分たちは3部ですがベスト16に入りましたが、正直自分たちのレベルはまだそのレベルに達していない、という風に思っていて。でも、その中でどう戦うかといったら、一人ひとりが相手以上の気持ちを持って、しっかりと向かっていく姿勢を出さなければならないと思いました。試合を振り返ると、まだまだそういう部分が足りなかった。もっと立ち向かっていく気持ちだとか、そういうのを出していってやっていかないと、勝ちにはいけないと感じました。これから順位決定戦があって試合が続きます。格上相手ですが、一人ひとりが相手に絶対に勝つという気持ちを改めて持ちたいです。もうここまでくると、技術面というよりも精神面の話になってしまいますが、立ち向かう気持ちをチームでしっかりと共有して、勝ちにいきたいです」
―その姿勢はすごく伝わってきました。さて、今年は4年生が中心のチームで、こういったベスト8決定戦の機会が巡ってきたことについては?
「すごく嬉しいです。滅多にないことなので。こういう機会を活かす、ではなく、つなげていかないといけないと思っています。トーナメントが終わっても、リーグ戦に向けて気持ちだとかが成長していけると感じているので、4年生が中心となって、後輩たちをついてこさせるようにプレーで示していきたいです」
―少し学習院大について教えてください。
「コーチはボランティアでOBにやってもらっていて、原則土日だけ来てもらっています。基本的にはコーチと自分が中心になって、練習メニューを考えてやっています」
―それでは、今年のコンセプトもコーチと相談して決めたのですか?
「はい。自分たちは他のチームよりも小さくて、走らないといけないと感じているので、まずはディフェンスから速攻を中心に、まずはいいプレッシャーをかけられるようなディフェンスを体現したいと思っています」
―現在、3部の学習院大にとって、中央大がいる2部は目指すべき地点だと思いますが、実際に対戦して感じた2部校との違いを教えてください。
「一番は、フィジカルとアジリティの違いをものすごく感じました。自分たちも走っていこうと決めてやっていますが、その点でまだまだ中央大の方がレベルが高いな、と感じました。自分たちもさらに一段、二段とレベルを高くして練習していかないと目指すところには到達しないと気が引き締まりました」
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「絶対に諦めるな」
残り5分から逆転勝利を胸に、更なる高みへ
◆#14柏倉哲平(青学大・4年・主将・PG)
最後の最後まで苦しい試合だった。序盤から勢いのあるプレーで終始リードする日本大に対し、自分たちのやりたいバスケを展開できずにいた青学大。しかし、主将・柏倉の諦めない気持ちがチームを鼓舞。試合終了間際には、逆転勝利を呼び込む3Pバスケットカウントを決めた。
2015年夏は、半月板損傷によりリーグ戦には出場できず。手術に踏み切り、復帰したのは、インカレ1回戦だった。バスケ人生初だったという長期離脱を乗り越え迎えた今季は、青学大主将そしてガードとしてあらゆる面でのリーダーシップが求められる存在だ。
この試合、決していい内容とは言えない。しかし、それでも勝利する姿は、上位陣に食い込む必須要素”底力”があるということだ。伸びしろも感じさせるだけに、今後柏倉を中心にどのようなチームに成長していくのか、ぜひ注目したい。
―今、試合を終えた感想は?
「しんどかったですね。前半出だしから、自分が(ガードとして)コントロールできていなくて。チームのみんながどうしたらいいのかわからない、というような状況を作ってしまった。そこは本当に反省すべき点だと思います」
―コートの外から見ていても、いつもの青山学院大と違い、少しちぐはぐしているな、という印象でした。それを自分達で感じながら試合をしていたということですね。
「そうですね。指示をしてそれをやらせるというのを明確にしていれば、他のメンバーも積極的に攻める時は攻められたと思います。でも、ただパスを回して『えっ? 何すればいいの?』という時間帯が長く続いてしまって。そこで、セットプレーもいろいろあるので、セットプレーをコールして、その中で攻めていこうというのは明確にしましたが、ゲームの流れがずっと同じペースで。走る所も走らずに、全部ハーフコートオフェンスにしてしまっていたので、全体的に重くなってしまいました」
―広瀬HCが4月の京王電鉄杯で「今年はもっとブレイクを出していきたい」と言われていましたが、この日大戦ではあまり見られなかったですね。
「そうですね。持ち味であるディフェンスからのブレイクが出せれば、点差を開ける時は開けると思いますが、それもなかった。相手に合わせてたわけじゃないと思うのですが。色々とうまくいかなくて、悪循環になっていたのかなって。そこで自分が、走る時は『走れ!』と指示を出して、展開を変えていかないとああいうリズムになってしまうのかなと」
―本来、どういう試合展開を考えていましたか。
「ディフェンスはハードにして、球際のリバウンドは確実に自分達のものにする。それと、日大は速い展開でノーマークを作るとポンポンとシュートを打ってきて、それが入ると流れに乗るチームなので、そのトランジションをしっかりと止めて、相手をハーフコートバスケに持ち込もう、と考えていました。それで、こっちはこっちでうちのバスケスタイルであるディフェンスから走って点を取りにいこう、という話はしていたのですが、真逆になってしまいました」
―試合開始序盤から、日大ペースで進み、追いついては離されの繰り返し。よく最後まで我慢しましたね。
「いやあ、もう諦めたら絶対に終わりだと思っていたので。絶対に諦めるなよ、とはチーム全員に言っていました。最後まで何があるかわからないから」
―残り5分でタイムアウトを取った時に「『絶対に諦めるな』と柏倉が全員に言っていたのを聞いて、『ああ、こいつらなら大丈夫だな』と思った」という話を広瀬HCから伺いました。
「正直、その時点で9点差離されていたので、きついなという気持ちはありましたが、高校の時も残り1分で10点差を逆転したこともあったので。だから、本当に諦めたら終わりだなって。自分の性格上、最後まで絶対に諦めたくない。自分が折れたらチーム全員が折れると思うので、自分だけは絶対に諦めないで、それをチームみんなに伝えようとは心掛けていて、姿勢では示したつもりです」
―残り22秒で決めたバスケットカウントの3Pもそうですが、その前の強気に日本大ディフェンスにドライブを仕掛けたプレーが印象的でした。勝ちたいという気持ちを強く感じる場面でしたが、ただその時はアウトサイドで安藤周人選手(#24)がいたような気が。
「ノーマークでいましたね(笑) ただ、日大もファウル4つ目だったので、ファウルをもらってフリースローでもありかな、と思ってとにかく攻めようと。だから、決めたかったですね」
―そのシュートは惜しくも入りませんでしたが、その気持ちがバスケットカウントの3Pにつながったのではないでしょうか。
「そうだといいです(笑)」
―でも、あの3Pも前田 悟選手(#32)がフリーで前にいたような。
「そうです、あれもパスをくれと呼ばれました(笑)。でも、構わずに打ちました」
―なるほど(笑)。もうとにかくシュートを狙うということだけを考えていたということですね。この試合に勝利し、青学大は関東トーナメント2年ぶりのベスト8入り。終わった瞬間にほっとした気持ちなどは?
「かなりほっとしました(笑)。試合後にみんなとも話していましたが、試合の途中に去年(2015年)のことがちょっと思い浮かんだ、とか言っていて。去年は、2戦目で負けてベスト8入りを逃していたので、その時のようにはなりたくないって。本当に1点でもいいから相手より多く取って勝とうと思っていたので、勝てて本当によかったです」
―ベスト8入りした今、上位チームとの戦いが続きますが、関東トーナメントをどう戦っていきたいですか。
「自分たちのチームスタイルであるディフェンスというものは絶対にくずさないように、そこはチーム全員で声を出しながら。よく自分たちは『ハードワークを楽しもう』と言っていますが、そういう所は1試合1試合継続していって、下級生も多く出ているので、試合を重ねるごとに相手との駆け引きだったり、合わせ方とかを学んでいくと思うので、そこでチームの連携がうまくいけばいいかな、と思います。あと、得点力は伸ばしていきたいですね、チーム全体で」
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「相手にやられて落ち込んでいくのはもうやめたい」
明暗両面の見えた2試合を踏まえ、進化を誓う
◆#7藤井裕太(法政大・4年・主将・SG)
昨年、塚本清彦HCが就任以降、チームカラーを変えつつある法政大。昨年度は戸惑いを払しょくすることはできずに、2部降格という結果に。奇しくもその入替戦の相手はこの早稲田大だった。ガード陣のフィジカル差により、ボール運びに苦労していた姿が印象に残っているが、その反省点は今春のウェイトトレーニングにより身体が大きくなってきていることに活かされている。
悔しい想いは活力となる。この試合では惜しくも敗れたが、全員の意志疎通が取れたチームディフェンスをふと見せることも出てきた法政大。主将・藤井ら4年生とともに植村(#14・3年)、玉城(#57・2年)らガード陣が力をつけつつ、中村大地(#6)など即戦力の1年生も加入。3年生以下が主力を占めるだけに、今年、来年は目が離せないチームとなりそうだ。
―今、試合を振り返って。
「昨日のベスト16決定戦で3部の明治学院大を相手に、初めから自分たちのプレーができず、戦う姿勢も見せることができなかったことが反省点でした。なので低いレベルの話になりますが、まず”戦う姿勢を見せよう”というのがこの試合の課題で、それが少し見られた部分もありますが、大事な場面で弱気になってしまいターンオーバー、というのがあったのでそこが敗因だと思っています」
―弱気になってしまった大事な場面とは?
「3Qの入りですね。ターンオーバーから始まって3Pを決められてしまったのがあったので。それとやっぱり4Qの最後のところですね。連続でターンオーバーを出してしまった。そこは弱いところかなと思っています」
―これまでの2試合で、初戦の明治学院大戦は自分たちのバスケができずに辛くも勝利、この早稲田大戦では惜敗でしたが何度引き離されても食らいつくバスケができたことは、今の法政大の悪い部分といい部分がくっきり出た試合だったのではないかと。
「今までの法政大は”やられたらそこで終わり”というのがありました。そこについては自分たちでも感じていて、それでも直せなかった。でも、塚本さんが法政に来て、だんだんと意思疎通もできるようになって。試合中は、必ず悪くなる時間帯が出てきますが、そこでみんなでコミュニケーションを取って、修正できるようになってきたのかなとは思います」
―それを試合中に感じることがあるということでしょうか。
「そうですね。いつもだったら、やられるとそのまま沈んでいきますが、そこはちょっと気持ちを変えて、声を出して、というのは意識していますし、ベンチも含め、他のメンバーも意識していると思います」
―藤井選手から見て、今年はどんなチームですか。
「1年生も入ってきて、去年までとは違う中村(大地・#6・福大大濠)とか新しい色が出てきました。そこは先輩後輩関係なく、あいつに合わせる場合もあれば、自分で攻めてあいつを使うというのもあると思います。去年は、加藤さん(現・NBLアイシン)と沼田さん(2015年度卒)がいましたが、ふたりが抜けて戦力が落ちるのではなく、4ガードといった新しい戦術を取り入れつつ、去年とは違うチームになっていければいいかなと思っています」
―4年生として、チームをどう牽引していきたいか、というような話は4年生で話し合ったりしていますか。
「4年生としては、というよりも、自分自身が最終学年としてただ単に”勝ちたい”というのがあって。やっぱり去年までの(やられたら)落ち込んでいく、というのは本当にやめたい。だから、自分は試合に出ているので、できるだけ常にいい状態を保てるようにコミュニケーションなどを下級生に対してするようにしています」
―最後に、何度引き離されたとしても食らい付いたこの試合を受けて「初戦はダメな法政が出た。今日は何とか頑張る法政が出た。法政大が変わったかどうか、粘りが出てきたかどうかは次の試合次第。そこで大差をつけられたら、まだ変わっていないということ。ただし、大差をつけられたとしても、そこから立ち上がれるかどうか」と塚本HCに伺いました。次の大東文化大戦に向けて一言お願いします。
「秋にあるリーグ戦は土日2試合があって、土曜日負けても日曜日に試合がある。そういうことも意識して、次の順位決定戦に向けては今日のことを忘れるというか、いい意味でポジティブに捉えて、今日以上にアグレッシブに戦う姿勢を見せられたらと思っています」
ここから実力校がしのぎを削る戦いに突入

一昨年から16位までの順位決定戦が行われるようになり、その結果で翌年の16シードまで決まる形になっている。1年前から翌年の構図が見えている状況だが、その中でも優勝候補と目される大学は確実に勝ちを重ね、ベスト8には東海大、筑波大、拓殖大、青山学院大、中央大、専修大、早稲田大、明治大が名を連ねた。また、この日惜しくも敗退したものの、ベスト16に入ったチームはここから順位決定戦へと入る。シード校白鷗大の棄権があってやや予想と異なった部分もあり、昨年12位の関東学院大はベスト16から陥落。今期2部昇格の順天堂大、3部の学習院大がベスト16に入り、新鮮な顔ぶれで16位までをかけて戦う。
写真:3連覇を狙う東海大学。ルーキーの平岩は198cmの高さに加え、機動力も十分。
【大田区総合体育館】
東海大が連覇に向けて好発進
ルーキーの活躍も光る

昨年5位の拓殖大は、関東学院大を破ってベスト16に名乗りを上げた順天堂大と対戦。アウトサイドが持ち味の順天堂大は、#29千葉(1年・F・盛岡市立)がシュートを積極的に放っていくが、拓殖大にリバウンドを押さえられて何度も速攻に走られた。拓殖大は#39成田(4年・F)、#23バンバ(4年・C)を中心に前半で51点を取るペースで快調に飛ばす。順天堂は前半で5本の3Pを沈めた#29千葉が後半も打ち続け35得点。#6川久保(3年・F)が22得点で奮闘を見せるが、106-79で拓殖大が勝利。

現在2連覇中の東海大は、近年はベスト8がけでの対戦で当たることが多い慶應義塾大との対戦となったが、東海大の層の厚さが目立つ内容となった。ともに出足から激しいディフェンスを展開するが、慶應大のターンオーバーを逃さず東海大が先行リード。リバウンド、シュートともに確実なプレーを重ねていく。慶應大はなかなか当たりが来ないが、#9鳥羽(2年・G)、#5後藤(4年・G)らが積極的に仕掛け、#22トカチョフ(3年・CF)もゴール下で踏ん張る。後半に入るとファウルの嵩んだ東海大に対し、慶應大がフリースローで得点を重ねた。一時は20点以上離されたところを縮めて最終的には60点以上の得点を挙げるが、86-67と東海大がベスト8関門を突破。ルーキーの#25平岩(1年・PF・土浦日大)が20点7リバウンドと十分な活躍をインサイドで見せ、新生東海大の新たな魅力を披露する格好となった。
写真上:順天堂大のルーキー千葉は3ポイント7本を含む35得点で魅せた。
写真下:上級生となった馬場。筑波大をどのように引っ張っていくかも注目だ。
※東海大・伊藤選手のインタビューは「続きを読む」へ。
【立教大学新座】
堅守によるロースコアゲームの連続
青学大は1分半で9点差を跳ね返し勝利

4年生中心の学習院大は積極的にゴールを狙い、中央大にくらいつく。だがファウルがかさみ、じわじわとシュート力の差が出る。中央大は後半、1・2年生もコートに送り出して84-58と大勝。ただゾーンを攻めあぐんだり、ガード陣にプレッシャーをかけた後ゴール下が空くなど詰めの甘さも見られた。
日本大-青山学院大は日本大が10点前後のリードを得ては青学大が追いつく展開。4Q残り1分半で9点差と日本大が逃げ切るかと思われたが、青学大が#17柏倉のバスカン3Pや#3大崎のシュートで66-65と逆転。2年ぶりのベスト8へ駒を進めた。
専修大-大東文化大は、1Q終盤~2Q序盤に3Pを固めた専修大が主導権を握る。大東大も#12熊谷(2年・F)らが粘りを見せ29-26で勝負の行方は後半へ。3Q、大東大#20毕(3年・PF)がファールトラブルでベンチに下がった隙に専修大#6渡辺(4年・G)、#30アブ(1年・PF・アレセイア湘南)がインサイドで畳み掛ける。14点差となっても大東大は激しいディフェンスで食い下がるが、中・外とも当たりが来ず、59-49と力尽きた。

国士舘大-明治大は、明治大がサイズの劣勢を運動量でカバー。前半国士舘大を26点に抑え、3Qに#9田中井(4年・G)のブザービーターなどで突き放すと、フリースローも重ねて67-47とリードを守り切った。
写真上:外角・ドライブとも技ありのプレイを見せる早稲田大・石原。
写真下:明治大・田中井は新主将らしく気を吐いた。
※学習院大・荻野選手、青山学院大・柏倉選手、法政大・藤井選手のインタビューは「続きを読む」へ。
【見応えのあるリーダーシップのぶつかり合い】

1Q、日本大がリバウンドを支配して開始5分13-3と先手を取る。青学大は#24安藤(4年・SF)が3Pを粛々と重ねて追い上げる。2Q、両者小さい布陣に変えるもなかなか速攻を繰り出せず、我慢比べに。日本大が#23本村(2年・SG)の3Pで32-29とリードを守る。
3Q立ち上がり、日本大が#11門馬のバスケットカウントや#24高橋(4年・SG)の速攻で早々に10点差をつける。青学大はスモールラインナップを継続してコツコツ追い上げ、44-46まで持っていくも、またも日本大#23本村に3Pを許してしまう。
52-44で迎えた4Q、日本大は4分半を残してインサイドの要・#5仁平(4年・PF)を連続ファウルにより失う。ただ、代わった#48ジャワラ(1年・PF・日大豊山)が奮闘、流れまでは失わない。一方の青学大はフリースローを決めきれず、63-54と9点差のまま残り1分半を切る。ここでタッチのよい#32前田(2年・SF)が3Pを沈めると、日本大#48ジャワラの合わせを挟んで#3大崎(4年・SG)もバスカンをねじ込み、残り53秒65-60と猛追。日本大が外角を選択し決めきれないのに対し、青学大は#14柏倉が日本大#11門馬の激しいチェックを受けながらも3Pを決めて4点プレイ。それでも残り22秒1点リードの日本大有利のはずが、バックコートですさまじいディフェンスを受けてターンオーバーを犯し、青学大#24安藤にフリースローを与えてしまう。

写真上:日本大・本村の3Pがチームを勢いづかせた。
写真下:大逆転勝利を喜ぶ青学大・柏倉、安藤、前田。
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【INTERVIEW】「今年はチーム力で戦わなければならない」
司令塔として周囲を活かすことも意識
◆#35伊藤達哉(東海大・4年・PG)

―慶應大との試合を振り返って。
「毎回慶應大と当たるので特徴はよく分かっています。でもスリーポイントを打たれたり、オフェンスリバウンドを取られたりしていたので、そこはこの2試合目の段階で対戦して(意識することができて)良かったです」
―ルーズボールからのターンオーバーを狙われたりといった部分も目立ちましたね。
「自分たちの特徴も相手はよく分かっているので、ドライブに行ったら一気に3人とか寄ってきて、ちょっとやりづらいといえばやりづらい部分はありました」
―伊藤選手たちは下級生から経験を積んできて十分といえますが、ベンドラメ選手(現NBL日立)や橋本選手(現NBLリンク栃木ブレックス)らの核となるメンバーが抜けました。今年のチームはどんなチームといえますか?
「去年は礼生さん(ベンドラメ)、晃さん(橋本)がいてエースような存在でしたが、今年はそういった選手はいないので、そこはチーム力でカバーしないといけないなと思っています。このトーナメントでは自分たちがダメでも後から出てきたメンバーが頑張ろうと言っていて、それが初戦とこの試合ではできていたので、筑波のような相手にどれだけできるかだと思っています。次からも大事ですが、最後は筑波と戦いたいなと思っているので」
―下級生、特に平岩選手(#25)は今日は素晴らしい活躍でしたが、慣れないメンバーに不安はありませんか?
「玄(平岩)が入ってきてくれて頼りになっています。彼をもっと信頼してもいいのかなと思います。まだまだ良くなると思うし、彼の活躍がこれからの東海の力にもなると思うので、彼をどんどん使っていくプレーをしたいです」
―オフェンス力のあったベンドラメ選手とはカラーが違い、伊藤選手はボールを回して作ることも上手いと思うのですが、どのようにチームを活かしたいと思っていますか?
「自分で点を取りに行こうという気持ちもありますが、今日は玄が良かったし、なるべく調子のいい人を使う意識でいました。攻めるか、使うかといった部分は試合によって使い分けていこうと思います」
―慶應大の西戸選手(#4)とのマッチアップはいつも見ていて興味深いところなんですが、意識することはありますか?お互い洛南高校出身ですが。
「あっちが真似してくるんですよね、ディフェンスを(笑)。バックファイアとか。高校のときから仲が良くて、高校時代はお互い控えで1番と2番として出ていたので、負けたくないというのはあります」
―今後も対戦のときは注目したいと思います。さて、チームとしては大きな怪我人等もいなさそうですが、状態としてはいいようですね?
「4月ぐらいから比べるとチームとしてもまとまってきていますね」
―決勝を目指して、修正していきたい点は?
「自分たちはディフェンスチームとしてやっているんですが、今日みたいに自分たちスタートが激しいディフェンスをするのはいいけれど、それが重なってしまうと後から出てきたメンバーがやりにくくなってしまうので、そこは修正していかないと。今日もそのせいでフリースローで簡単に点を取られていたので、気をつけないといけないと思います」
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「この機会を活かすではなく、つなげていきたい」
対戦したからこそ感じた差は、これからの糧へ
◆#6荻野 駿(学習院大・4年・主将・G)

2部校・中央大相手に試合開始からリードされる展開になったが、チームトップの14得点をマークした主将・荻野を中心に最後まで果敢にプレーする姿は、必ず次につながっていくだろう。残りの順位決定戦でも、1つでも多くのものを掴み、リーグ戦への弾みとしたい。
―今、試合を振り返って
「対戦予定だった白鴎大が棄権で出場しないことになったのもあって、自分たちは3部ですがベスト16に入りましたが、正直自分たちのレベルはまだそのレベルに達していない、という風に思っていて。でも、その中でどう戦うかといったら、一人ひとりが相手以上の気持ちを持って、しっかりと向かっていく姿勢を出さなければならないと思いました。試合を振り返ると、まだまだそういう部分が足りなかった。もっと立ち向かっていく気持ちだとか、そういうのを出していってやっていかないと、勝ちにはいけないと感じました。これから順位決定戦があって試合が続きます。格上相手ですが、一人ひとりが相手に絶対に勝つという気持ちを改めて持ちたいです。もうここまでくると、技術面というよりも精神面の話になってしまいますが、立ち向かう気持ちをチームでしっかりと共有して、勝ちにいきたいです」
―その姿勢はすごく伝わってきました。さて、今年は4年生が中心のチームで、こういったベスト8決定戦の機会が巡ってきたことについては?
「すごく嬉しいです。滅多にないことなので。こういう機会を活かす、ではなく、つなげていかないといけないと思っています。トーナメントが終わっても、リーグ戦に向けて気持ちだとかが成長していけると感じているので、4年生が中心となって、後輩たちをついてこさせるようにプレーで示していきたいです」
―少し学習院大について教えてください。
「コーチはボランティアでOBにやってもらっていて、原則土日だけ来てもらっています。基本的にはコーチと自分が中心になって、練習メニューを考えてやっています」
―それでは、今年のコンセプトもコーチと相談して決めたのですか?
「はい。自分たちは他のチームよりも小さくて、走らないといけないと感じているので、まずはディフェンスから速攻を中心に、まずはいいプレッシャーをかけられるようなディフェンスを体現したいと思っています」
―現在、3部の学習院大にとって、中央大がいる2部は目指すべき地点だと思いますが、実際に対戦して感じた2部校との違いを教えてください。
「一番は、フィジカルとアジリティの違いをものすごく感じました。自分たちも走っていこうと決めてやっていますが、その点でまだまだ中央大の方がレベルが高いな、と感じました。自分たちもさらに一段、二段とレベルを高くして練習していかないと目指すところには到達しないと気が引き締まりました」
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「絶対に諦めるな」
残り5分から逆転勝利を胸に、更なる高みへ
◆#14柏倉哲平(青学大・4年・主将・PG)

2015年夏は、半月板損傷によりリーグ戦には出場できず。手術に踏み切り、復帰したのは、インカレ1回戦だった。バスケ人生初だったという長期離脱を乗り越え迎えた今季は、青学大主将そしてガードとしてあらゆる面でのリーダーシップが求められる存在だ。
この試合、決していい内容とは言えない。しかし、それでも勝利する姿は、上位陣に食い込む必須要素”底力”があるということだ。伸びしろも感じさせるだけに、今後柏倉を中心にどのようなチームに成長していくのか、ぜひ注目したい。
―今、試合を終えた感想は?
「しんどかったですね。前半出だしから、自分が(ガードとして)コントロールできていなくて。チームのみんながどうしたらいいのかわからない、というような状況を作ってしまった。そこは本当に反省すべき点だと思います」
―コートの外から見ていても、いつもの青山学院大と違い、少しちぐはぐしているな、という印象でした。それを自分達で感じながら試合をしていたということですね。
「そうですね。指示をしてそれをやらせるというのを明確にしていれば、他のメンバーも積極的に攻める時は攻められたと思います。でも、ただパスを回して『えっ? 何すればいいの?』という時間帯が長く続いてしまって。そこで、セットプレーもいろいろあるので、セットプレーをコールして、その中で攻めていこうというのは明確にしましたが、ゲームの流れがずっと同じペースで。走る所も走らずに、全部ハーフコートオフェンスにしてしまっていたので、全体的に重くなってしまいました」
―広瀬HCが4月の京王電鉄杯で「今年はもっとブレイクを出していきたい」と言われていましたが、この日大戦ではあまり見られなかったですね。
「そうですね。持ち味であるディフェンスからのブレイクが出せれば、点差を開ける時は開けると思いますが、それもなかった。相手に合わせてたわけじゃないと思うのですが。色々とうまくいかなくて、悪循環になっていたのかなって。そこで自分が、走る時は『走れ!』と指示を出して、展開を変えていかないとああいうリズムになってしまうのかなと」
―本来、どういう試合展開を考えていましたか。
「ディフェンスはハードにして、球際のリバウンドは確実に自分達のものにする。それと、日大は速い展開でノーマークを作るとポンポンとシュートを打ってきて、それが入ると流れに乗るチームなので、そのトランジションをしっかりと止めて、相手をハーフコートバスケに持ち込もう、と考えていました。それで、こっちはこっちでうちのバスケスタイルであるディフェンスから走って点を取りにいこう、という話はしていたのですが、真逆になってしまいました」
―試合開始序盤から、日大ペースで進み、追いついては離されの繰り返し。よく最後まで我慢しましたね。
「いやあ、もう諦めたら絶対に終わりだと思っていたので。絶対に諦めるなよ、とはチーム全員に言っていました。最後まで何があるかわからないから」
―残り5分でタイムアウトを取った時に「『絶対に諦めるな』と柏倉が全員に言っていたのを聞いて、『ああ、こいつらなら大丈夫だな』と思った」という話を広瀬HCから伺いました。
「正直、その時点で9点差離されていたので、きついなという気持ちはありましたが、高校の時も残り1分で10点差を逆転したこともあったので。だから、本当に諦めたら終わりだなって。自分の性格上、最後まで絶対に諦めたくない。自分が折れたらチーム全員が折れると思うので、自分だけは絶対に諦めないで、それをチームみんなに伝えようとは心掛けていて、姿勢では示したつもりです」
―残り22秒で決めたバスケットカウントの3Pもそうですが、その前の強気に日本大ディフェンスにドライブを仕掛けたプレーが印象的でした。勝ちたいという気持ちを強く感じる場面でしたが、ただその時はアウトサイドで安藤周人選手(#24)がいたような気が。
「ノーマークでいましたね(笑) ただ、日大もファウル4つ目だったので、ファウルをもらってフリースローでもありかな、と思ってとにかく攻めようと。だから、決めたかったですね」
―そのシュートは惜しくも入りませんでしたが、その気持ちがバスケットカウントの3Pにつながったのではないでしょうか。
「そうだといいです(笑)」
―でも、あの3Pも前田 悟選手(#32)がフリーで前にいたような。
「そうです、あれもパスをくれと呼ばれました(笑)。でも、構わずに打ちました」
―なるほど(笑)。もうとにかくシュートを狙うということだけを考えていたということですね。この試合に勝利し、青学大は関東トーナメント2年ぶりのベスト8入り。終わった瞬間にほっとした気持ちなどは?
「かなりほっとしました(笑)。試合後にみんなとも話していましたが、試合の途中に去年(2015年)のことがちょっと思い浮かんだ、とか言っていて。去年は、2戦目で負けてベスト8入りを逃していたので、その時のようにはなりたくないって。本当に1点でもいいから相手より多く取って勝とうと思っていたので、勝てて本当によかったです」
―ベスト8入りした今、上位チームとの戦いが続きますが、関東トーナメントをどう戦っていきたいですか。
「自分たちのチームスタイルであるディフェンスというものは絶対にくずさないように、そこはチーム全員で声を出しながら。よく自分たちは『ハードワークを楽しもう』と言っていますが、そういう所は1試合1試合継続していって、下級生も多く出ているので、試合を重ねるごとに相手との駆け引きだったり、合わせ方とかを学んでいくと思うので、そこでチームの連携がうまくいけばいいかな、と思います。あと、得点力は伸ばしていきたいですね、チーム全体で」
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「相手にやられて落ち込んでいくのはもうやめたい」
明暗両面の見えた2試合を踏まえ、進化を誓う
◆#7藤井裕太(法政大・4年・主将・SG)

悔しい想いは活力となる。この試合では惜しくも敗れたが、全員の意志疎通が取れたチームディフェンスをふと見せることも出てきた法政大。主将・藤井ら4年生とともに植村(#14・3年)、玉城(#57・2年)らガード陣が力をつけつつ、中村大地(#6)など即戦力の1年生も加入。3年生以下が主力を占めるだけに、今年、来年は目が離せないチームとなりそうだ。
―今、試合を振り返って。
「昨日のベスト16決定戦で3部の明治学院大を相手に、初めから自分たちのプレーができず、戦う姿勢も見せることができなかったことが反省点でした。なので低いレベルの話になりますが、まず”戦う姿勢を見せよう”というのがこの試合の課題で、それが少し見られた部分もありますが、大事な場面で弱気になってしまいターンオーバー、というのがあったのでそこが敗因だと思っています」
―弱気になってしまった大事な場面とは?
「3Qの入りですね。ターンオーバーから始まって3Pを決められてしまったのがあったので。それとやっぱり4Qの最後のところですね。連続でターンオーバーを出してしまった。そこは弱いところかなと思っています」
―これまでの2試合で、初戦の明治学院大戦は自分たちのバスケができずに辛くも勝利、この早稲田大戦では惜敗でしたが何度引き離されても食らいつくバスケができたことは、今の法政大の悪い部分といい部分がくっきり出た試合だったのではないかと。
「今までの法政大は”やられたらそこで終わり”というのがありました。そこについては自分たちでも感じていて、それでも直せなかった。でも、塚本さんが法政に来て、だんだんと意思疎通もできるようになって。試合中は、必ず悪くなる時間帯が出てきますが、そこでみんなでコミュニケーションを取って、修正できるようになってきたのかなとは思います」
―それを試合中に感じることがあるということでしょうか。
「そうですね。いつもだったら、やられるとそのまま沈んでいきますが、そこはちょっと気持ちを変えて、声を出して、というのは意識していますし、ベンチも含め、他のメンバーも意識していると思います」
―藤井選手から見て、今年はどんなチームですか。
「1年生も入ってきて、去年までとは違う中村(大地・#6・福大大濠)とか新しい色が出てきました。そこは先輩後輩関係なく、あいつに合わせる場合もあれば、自分で攻めてあいつを使うというのもあると思います。去年は、加藤さん(現・NBLアイシン)と沼田さん(2015年度卒)がいましたが、ふたりが抜けて戦力が落ちるのではなく、4ガードといった新しい戦術を取り入れつつ、去年とは違うチームになっていければいいかなと思っています」
―4年生として、チームをどう牽引していきたいか、というような話は4年生で話し合ったりしていますか。
「4年生としては、というよりも、自分自身が最終学年としてただ単に”勝ちたい”というのがあって。やっぱり去年までの(やられたら)落ち込んでいく、というのは本当にやめたい。だから、自分は試合に出ているので、できるだけ常にいい状態を保てるようにコミュニケーションなどを下級生に対してするようにしています」
―最後に、何度引き離されたとしても食らい付いたこの試合を受けて「初戦はダメな法政が出た。今日は何とか頑張る法政が出た。法政大が変わったかどうか、粘りが出てきたかどうかは次の試合次第。そこで大差をつけられたら、まだ変わっていないということ。ただし、大差をつけられたとしても、そこから立ち上がれるかどうか」と塚本HCに伺いました。次の大東文化大戦に向けて一言お願いします。
「秋にあるリーグ戦は土日2試合があって、土曜日負けても日曜日に試合がある。そういうことも意識して、次の順位決定戦に向けては今日のことを忘れるというか、いい意味でポジティブに捉えて、今日以上にアグレッシブに戦う姿勢を見せられたらと思っています」
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