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2015.12.15 (Tue)
【2015インカレ】11/29 5位決定戦 明治大VS近畿大
最後の試練を跳ね返した近畿大が5位到達
明治大は揺れ動いた1年間を最後まで戦い抜く
5位決定戦は、ベスト8敗退から切り替え、前日の順位決定戦では延長の末に勝利した明治大と近畿大の対戦となった。この4年間でインカレでの対戦はこれが3度目。過去2回はいずれも明治大が勝利しており、明治大が今回も意地を見せるか、それとも近畿大が三度目の正直を果たせるかが焦点となった。
経験の少ないハイレベルな連戦をこなしてきた近畿大。さすがに疲弊の影響あってかターンオーバーが続くなど、立ち上がりは重い。これを払拭したのが#22ソウ(4年・C)。豪快なブロックで喝を入れると、#11室垣(4年・PG)の得点でムードを打開。前日に続いて#50伊澤(4年・PF)が欠場となった明治大は、先制点を決めた#28今川(1年・PF・大阪桐蔭)が早い段階で3ファウルとなってしまうなど、勢いを得た近畿大の圧力にさらされる。#22宮本(2年・PF)が奮起するが、近畿大は#22ソウと#11室垣が相次いで3Pを決めて流れを渡さず、1Qは19−13。2Qに入ると近畿大の攻勢は加速し、手薄な明治大インサイドで#22ソウが得点を続けて一方的な展開に。残り4分22秒で明治大がタイムアウトを請求した段階で17点差をつける。ここからはこのままでは終われない明治大が反撃に出る。#24森山(1年・PF・瀬田工業)の3P、#32吉川(2年・PG)の得点と、下級生が奮起。最後のインカレとなる#55吉本(4年・SF)も意地の3Pを沈める。それでも近畿大は#22ソウが安定して得点。前半は12点リードで終了した。
3Qはイーブンの展開が続いた。明治大#5會田(3年・PG)が続けて得点するも、近畿大も#33藤田(4年・SF)、#9渡邊(4年・PF)のシュートが決まる。攻撃にリズムが生まれながらもなかなか相手の尻尾をつかめない明治大は、ここでディフェンスの締めつけを強める。すると近畿大にターンオーバーが頻発し、徐々に明治大のペースに。#22宮本のリバウンドシュート、#55吉本のフリースローなどでようやく1桁の差とした。対照的に、近畿大は相手ディフェンスを前に失速の時間帯となった。それでも強力な#22ソウのインサイドは安定し、詰め寄られず。しかし、4Q序盤に近畿大を大きなアクシデントが襲った。転倒した#22ソウが負傷し、プレー続行が不可能となる。近畿大は突如大黒柱を失い、残り約9分を大黒柱なしで戦う状況となった。これを払拭したのが#33藤田。速攻とジャンプシュートを続けて嫌な空気をはね除け、外れても室垣がオフェンスリバウンドを制すなど流れを渡さない。またとないチャンスを迎えた明治大だが、近畿大の必死のディフェンスを前にシュートに当たりが来ない。残り5分を切ったところから、#2齋藤(2年・PG)が自ら決めていくが、近畿大は#5山本(4年・PF)、#33藤田らが決め返してリードを死守。残り1分を切って5点差にまで詰め寄られるが、相手ファウルで得たフリースローは#11室垣などが落ち着いて決めていき、再びリードが開いた。最後は74−66。最後は肝を冷やした部分のあった近畿大が、この試合を制した。
ソウという強力なインサイドを擁し、関西を席巻、インカレでも存在感を見せてきた近畿大。反面その分だけソウへの依存度の高さは拭えなかった。しかし、彼を欠いた最後の9分間は、ソウと共に戦ってきた4年生を中心にこれまで以上に結束。動揺を払拭して勝利を掴み、第5シードを関西に持ち帰ることとなった。3年前の4位を超えられなかったことは惜しいが、輝きと存在感を見せてインカレを終えた。
スタッフ陣が刷新され、明治大には難しい1年間となった。年間を通じて出来不出来の波が大きかった。ただし、若い布陣でありガード陣も伸びしろは十分。来年は彼らが上級生となり、チームを引っ張る立場となる。可能性の大きいチームがどこまで飛躍していくか、今後も注目される。
写真上:近畿大は中西もソウの不在を埋めた。
写真下:今シーズンは流れを変える役割を果たした明治大・秋葉。
※近畿大・藤田選手、室垣選手、明治大・伊澤選手、吉本選手のインタビューは「続きを読む」へ。
「先生やチームメイト、親にも感謝」
自分にしかできない仕事で近畿大を関西の雄に押し上げる
◆#33藤田俊祐(近畿大・4年・主将・SF)
ソウがコートを去った最終局面は内心ではヒヤヒヤだったというが、落ち着いて得点していき、瀬戸際に追い込まれるまでには至らず。目標にしていたベスト4入りはならなかったが、最後の試練を跳ね返して5位の座を勝ち取った。
関西でもトップを走り続け、インカレでも存在感を発揮し続けた4年間は、一番に仲間に助けられたと振り返る。それでも、彼自身も率先してコミュニケーションを重ね、限られた選手でしか果たせない重要局面での得点はソウとともに藤田も担うようになった。チームに貢献した部分は、計り知れない。
—最後はヒヤヒヤしながらの勝利でしたね。
「正直これまではソウでもっていた部分があるので、みんなでは『引き締めよう引き締めよう』と言っていたんですけど、自分の中では怖かったです。けど、それで逆にみんなに気持ちが出てきて、良いプレーに繋がって、良い形で終われたかなと思います」
—ソウ選手なしでの練習もしていたんですよね。
「一応は。ソウもちょこちょこケガをしたりして無理はさせないでいたので、ソウなしでの練習はやっていました。ただ、相手が関東の上位のレベルなのでそこはやっていて怖かったですね。だから全員でディフェンスして、全員でリバウンドを取って、全員で走って。今まではソウに頼っていた部分が大きいから、全員で全員でと必死にやっていた時に室垣(#11)がオフェンスリバウンドや、ディフェンスでも良い仕事をしてくれたので、それも良かったと思います」
—3年前はベスト4でしたが、その時のチームで同じ状況になっていたらどうなっていたと思いますか。
「違っていたと思いますね。その時の上級生もメンバーは揃っていましたけど、自分の代になったから言えますけれど、気持ちの入り方が1年生の時とは違うし、絶対勝ちたいという気持ちも今回は強かったので、今の方が絶対に耐えられたと思います」
—拓殖大に準々決勝で敗れてからの切り替えは上手くいきましたか。
「そうですね。完全にボコボコにされたので切り替えやすくて(苦笑)。みんなで『去年の成績を超えて5位を取りにいくぞ』と話し合って臨めました」
—拓殖大に離されたところと、昨日の試合の前半は、チームのコミュニケーションの部分が足りないように感じました。やはり圧倒されるとその辺りも難しさはありましたか。
「そうですね。中京大戦もあまり離れなくて、やっぱり疲れもあって。みんなも緊張もあって、それでも勝たなあかんという気持ちで、自分でやろうという気持ちが先走ってしまって。チームで、というよりも、個々で、という感じになってしまっていたと思います」
—今日は追い込まれてもその部分が良かったですね
「追い上げられたところで室垣がしゃべってくれて、『勝とう』と。山本とかもそれに応えてしゃべってくれたから良くなったかなと思います」
—インカレでは明治大とは3回目の対戦でしたが、初めて勝利を掴みましたね。
「1回目はあんまり印象にないんですけれど、去年順位決定戦でやった時には悔しい負け方でした。リードしていたのに最後の最後にプレスに引っかかって。そこは試合前にみんなで『リベンジしよう』と話してやりました」
—1年生の時から試合に出続けてきましたが、どんな4年間でしたか。
「自分の代にはソウがいて、他のチームメイトも良い人間ばかりなので、自分で何かしたというよりもみんなに助けてもらったかなと思います。今年は特にキャプテンをやらせてもらって、僕はあんまり発言しないんですけれど、学生コーチの山本だったり室垣だったりソウだったりが、試合に出ている分しゃべってくれるので、楽な感じで自分のプレーをやらせてくれました。良いチームメイトに恵まれたかなと思います。先生にも感謝ですし、チームメイトにも感謝して、ここまで来させてくれた親にも本当に感謝ですね」
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「僕の気持ちでチームの気持ちも変わってくる」
頼もしい成長を遂げ確固たる立場を築く
◆#11室垣佑真(近畿大・4年・PG)
ガードながら、緊迫の場面でオフェンスリバウンドに絡むなどして、インサイド穴を消す活躍を見せた。下級生時は自分の考えとチームのスタイルが一致しない部分もあったというが、戸梶や岡田といったカラーの異なるガードが揃う中でも、競り合った攻防のゲームメイク面では彼が重要な役割を果たすようになった。一方で、そのような場面でも時に剽軽なリアクションを見せ、見る者を楽しませてもくれた。スッキリした表情で悔いは無いと話した彼もまた、近畿大の一時代を築くにあたって、なくてはならない存在だった。
—最後にまさかソウ選手が退場して、あの状況になるとは予想外だったと思います。
「そうですね。でも、いつもソウに頼っていたので、最後のインカレでは僕らが恩返しをするつもりでやったろかなという気持ちで。ディフェンスもリバウンドも、全部必死にやりました」
—その気持ちが表れていましたね。
「やっぱり僕はディフェンスも一番前で、速攻に走るのも一番前なので、ガードの背中というのをみんな見てると思うので、僕の気持ちでチームの気持ちも変わってくると思ってます。僕が頑張ろうと思いました」
—ソウ選手がいない対策もしてきたと思いますが、いざこのような状況でやってみて、焦りはなかったでしょうか。
「試合では初めてですね。でもリードはあったので、ここは焦らずに一本一本確実にやろうと。特にやろうとすることは変えずに、ディフェンスから速攻を出せたらなと思っていたんですけれど、良いところでシュートが決まって良かったです」
—かつての近畿大は今よりソウ選手への依存度が高かったですが、持ちこたえました。3年前からの成長を実感できたのではないでしょうか。
「あの頃はソウ一本でやっているようなところがあったと思うんですけれど、今は個々の力もついて、僕たち4回生は下級生の頃から経験を積ませてもらっていたので、最後の集大成としてみんなが自覚と責任を持ってプレーできたかなと思います。前に比べて多少のことでは慌てなくなったし、体もみんな強くなって、関東相手にも渡り合えるくらいになったんじゃないかなと思います。あとは能力の差、リバウンドとかシュート力とか、そういう部分では関東はまだ一枚上手だなと感じました。でもその差の部分も段々縮まってきていると思います」
—その差を追いつき、追い越すのは後輩たちの役目になりますね。
「そうですね。折角5位シードが取れたので、来年の関西1位には頑張って欲しいと思います」
—大学バスケを4年間やってきましたが、この4年間を振り返ってどのようなものでしたか。
「1年生の時はチームのやろうとしていることと合わない部分もあったんですけれど、でも試合に出てナンボかなと思って、近大のスタイルに合わせようと。監督を信頼した結果、最高の4年間になったかなと思います。関西でも勝てたので。インカレでは目標のベスト4には行けなかったですけど、それでも悔いは無いです」
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「自分たちのバスケについて共有意識が持てた」
変化した環境を選手たち主体で乗り越えた1年間
◆#50伊澤実孝(明治大・4年・PF)
ベスト8を決めた日体大戦で負傷。準々決勝には出場したものの、精彩を欠いた。その後の順位決定戦は出場せず、ベンチで4年間を終えた。これから先もバスケット人生は続くのだから、とさっぱりした表情を見せたが、チームが確かな成長を遂げたことで、任せても大丈夫という気持ちもあっただろう。オールジャパンもある。残りのシーズンを次に繋げる時間として大事にしてもらいたい。
―3回戦の日体大戦の最後に怪我をしていたということでしたが、準々決勝は出場したものの、残り2試合は欠場したということになりますね。
「これから先バスケットを続けていくこともあるので、トレーナーの人としっかり相談して。痛めた場所も良くなかったので、大事を取ることになりました」
―チームとしての最終結果は6位でした。インカレを終えてどう感じていますか?
「優勝をチームの目標としてやっていて、自分の中で負けたくない気持ちも本当に強かったし、そういう意識の中で戦ったんですが、青学戦で力負けしてしまいました。その中で、順位決定戦に自分は出なかったんですけど、チームが青学戦の敗けを引きずらずに粘り強いバスケをしてくれたことは、リーグ戦でみんなが成長した部分の証だと思います。そしてそれが後輩たちの自信にもつながったと思うので、結果は6位でしたけど内容は負けた次の試合もしっかり戦えていたので、いい部分もあったと思います」
―青学戦は個人的には100%では戦えていなかったということでしょうか?
「終わってしまったので言えますが、そうですね。シュートは狙っていましたが、身体の中のバランスが悪くて自然と自分のプレーができていなかったなと思います」
―今年はコーチが交代したり変動がありましたが、チームの成長も見えたように思います。
「コーチが何度も変わった状況もありましたが、選手たちが教わってきた自分たちのバスケについて、チームとしての共通意識を持つことができました。そこが成長できた部分です。チームとしてどういうバスケをしていくか方向性を、みんなが持てました。ときにはずれることもありましたが、結果として悪くもなくその結果、安定した成績を出せたのだと思います」
―中でも2年生たちは去年よりチームプレーも増えてきたような。
「試合に出る時間も長くなって、ひとつのプレーに責任を感じる部分もあると思います。発言からもそれを感じられることもあります。そういう成長が今年は頼もしかった部分もありますし、助けられた部分もあるので、それをどう来年につなげて成長していってくれるかが、これから楽しみな部分ではあります」
―伊澤選手個人の話ですが、明治に来て4年間どうでしたか?成長したと感じる部分は?
「成長というと、自分のバスケ観の変化ですね。ディフェンスについては1年のときは少し分からなかったんですが、2年になるにつれて試合に絡んで大切さがわかってきて、練習の意図もわかってきました。ディフェンスへの意識の変化が大学で一番変わった部分だと思います」
―前HCである塚本さんはディフェンスをまず大事にされる方でしたが、最初はディフェンスについてはピンと来てなかったのでしょうか?
「大事だとはわかっていましたが、オフェンス重視のバスケをずっとやってきていたのですぐには馴染めませんでした。大学の練習はディフェンスしかしなかったので、ちょっと違和感は感じました」
―でもそんな中でシュートはずっと上手でしたが、ディフェンスしかやってない中でどうやって維持してきたのですか?
「そこは、大学までずっとオフェンス重視の学校にいたのでというのがありますね。攻めでは負けたくなかったので、シュートはずっと打っていましたね」
―4年の仲間にはどんな思いがありますか?
「自分のほかは去年から吉本 (#55)が試合に出ていて、他のメンバーはずっと試合に出られない時期がありました。今年は自分たちでやる分のプレッシャーがあったと思うし、その中でチームをすごく引っ張っていってくれたので、感謝している部分も大きいです。自分のわがままにも結構付き合ってもらいましたし、付き合ってくれてありがとうという思いが大きいです」
―今回は残念でしたが、まだオールジャパンがありますね。
「怪我は2週間くらいで治ります。頑張るというより自分たちが教わってきたバスケをどう1か月という短い部分で伝えるかというところですね。それを意識してやっていきます」
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「明治に来てよかったと思う」
厳しい練習を乗り越えた4年間
◆#55吉本健人(明治大・4年・SF)
美しい弧を描くシュートが何度もゴールを鋳抜き、明治大のシューターとしての役割を担ってきた。同時に、入学から鍛えられたディフェンスで相手のポイントゲッターを押さえ、攻守ともに確かな働きを見せた。真面目な性格で、大きく環境の変わった今年は最上級生としてどうするべきか、悩んでいるようでもあった。しかしインカレ優勝には届かなかったが、チームとしての成長が大きく見えた今年の明治大。迷いの中、何が必要かを考え、やるべきことを果たした1年だったとも言えるだろう。
-今日の試合を振り返って。
「伊澤(#50)がいない中でインサイドのディフェンスっていうのを意識したんですけど、出だしからそこでやられてしまって。リバウンドのところも取れなかったですし、そういったところから自分たちのリズムが作れなかったっていうのが1番大きかったですね」
-オフェンス面でも伊澤選手がいないというのは厳しいと感じましたか。
「アウトサイドの調子が良い時はいいんですけど、苦しい時にインサイドにボールが集まりませんでした。そこがどうしてもピックとか、全部ドリブルで単発なシュートになっちゃったりとかして、パッシングもあまり回らなかったので、そこはどうしてもディフェンスもオフェンスも連動性がなかったなって感じでした」
-青山学院大に敗れて順位決定戦にまわりましたが、どんなモチベーションで戦っていましたか。
「まずは、最後の大会っていうのは思っていて、あとはリーグ戦からずっと自分たちがやってきたことっていうのを整理して、しっかりやるっていうのを考えてやっていました。自分は最後でしたし、4年間の思いっていうのを乗せてプレーしました」
-準々決勝の話に戻ります。リーグ戦では負けたことのなかった青山学院大が相手でしたが、今回の敗因については。
「それに関しては試合後も何が悪かったのかなかなかすぐにはわからなくって。ディフェンスは守りきれた部分はあったんですけど、決められてしまったりだとか、まあそこは自分らの詰めが甘かったかなって思うんですけど。あとは相手が徹底して伊澤のところにダブルチームいっていましたし。正直試合をしていて、相手の方がリーグ戦終わってからインカレまでにしっかり仕上げてきたなっていうのは感じました。自分たちがあんまり上げきれなかったっていうのもあって、そこがやっぱり大きかったかなって思います。最後はチーム力の差っていうのを感じましたね」
-6位という結果に終わりましたが、チームとしてどう捉えていますか。
「今年1年バスケ以外のところで色々とあって、苦しい中みんなで協力してきてリーグ戦も5位になれたし、インカレはベスト8にしっかり入りました。ただ、ベスト4に入れる組み合わせではあったので、負けてしまったことはすごく悔しいですね。今日勝って終わりたかったですけど、昨日の試合に勝って5位決定戦に来られたことは良かったですし、来年につなげることができたのかなって思います」
-4年生としてのラスト1年間はどうでしたか。
「自分のプレーや行動が全部チームに影響するっていうのがわかったので、責任はすごく感じてやっていました。それを跳ね除けてプレーできたこともあったし、できなかったこともあったし、そこは良い経験になったと思います。また、コーチ陣が変わる中で色々と自分たち4年が引っ張っていかないといけないっていう状況になって、そこから学ぶことっていうのはありました」
-明治大でバスケをしてきた4年間を振り返って。
「塚本さん(現法政大HC)がいた時は練習量とか、その塚本さんのバスケっていうものに全然慣れなくて、1度バスケから離れたくなったこともあったんですけど、ほんとに今は明治に来てよかったなって思えています」
-後輩に向けて、今後どんなプレーをしていったらよいか教えてください。
「今は“自分が、自分が”っていうのが多いので、そこはもっとチームプレーで楽して点を取っていければ、他のこと、例えばディフェンスだとかに体力を回せると思うんですよ。まだ自分だけでどうにかっていう感じが強くて、その気持ちも大事なんですけど、そういうときこそもっとチームプレーで楽に点を取れる方法を考えてやってほしいなっていうのはあります」
明治大は揺れ動いた1年間を最後まで戦い抜く

経験の少ないハイレベルな連戦をこなしてきた近畿大。さすがに疲弊の影響あってかターンオーバーが続くなど、立ち上がりは重い。これを払拭したのが#22ソウ(4年・C)。豪快なブロックで喝を入れると、#11室垣(4年・PG)の得点でムードを打開。前日に続いて#50伊澤(4年・PF)が欠場となった明治大は、先制点を決めた#28今川(1年・PF・大阪桐蔭)が早い段階で3ファウルとなってしまうなど、勢いを得た近畿大の圧力にさらされる。#22宮本(2年・PF)が奮起するが、近畿大は#22ソウと#11室垣が相次いで3Pを決めて流れを渡さず、1Qは19−13。2Qに入ると近畿大の攻勢は加速し、手薄な明治大インサイドで#22ソウが得点を続けて一方的な展開に。残り4分22秒で明治大がタイムアウトを請求した段階で17点差をつける。ここからはこのままでは終われない明治大が反撃に出る。#24森山(1年・PF・瀬田工業)の3P、#32吉川(2年・PG)の得点と、下級生が奮起。最後のインカレとなる#55吉本(4年・SF)も意地の3Pを沈める。それでも近畿大は#22ソウが安定して得点。前半は12点リードで終了した。
3Qはイーブンの展開が続いた。明治大#5會田(3年・PG)が続けて得点するも、近畿大も#33藤田(4年・SF)、#9渡邊(4年・PF)のシュートが決まる。攻撃にリズムが生まれながらもなかなか相手の尻尾をつかめない明治大は、ここでディフェンスの締めつけを強める。すると近畿大にターンオーバーが頻発し、徐々に明治大のペースに。#22宮本のリバウンドシュート、#55吉本のフリースローなどでようやく1桁の差とした。対照的に、近畿大は相手ディフェンスを前に失速の時間帯となった。それでも強力な#22ソウのインサイドは安定し、詰め寄られず。しかし、4Q序盤に近畿大を大きなアクシデントが襲った。転倒した#22ソウが負傷し、プレー続行が不可能となる。近畿大は突如大黒柱を失い、残り約9分を大黒柱なしで戦う状況となった。これを払拭したのが#33藤田。速攻とジャンプシュートを続けて嫌な空気をはね除け、外れても室垣がオフェンスリバウンドを制すなど流れを渡さない。またとないチャンスを迎えた明治大だが、近畿大の必死のディフェンスを前にシュートに当たりが来ない。残り5分を切ったところから、#2齋藤(2年・PG)が自ら決めていくが、近畿大は#5山本(4年・PF)、#33藤田らが決め返してリードを死守。残り1分を切って5点差にまで詰め寄られるが、相手ファウルで得たフリースローは#11室垣などが落ち着いて決めていき、再びリードが開いた。最後は74−66。最後は肝を冷やした部分のあった近畿大が、この試合を制した。

スタッフ陣が刷新され、明治大には難しい1年間となった。年間を通じて出来不出来の波が大きかった。ただし、若い布陣でありガード陣も伸びしろは十分。来年は彼らが上級生となり、チームを引っ張る立場となる。可能性の大きいチームがどこまで飛躍していくか、今後も注目される。
写真上:近畿大は中西もソウの不在を埋めた。
写真下:今シーズンは流れを変える役割を果たした明治大・秋葉。
※近畿大・藤田選手、室垣選手、明治大・伊澤選手、吉本選手のインタビューは「続きを読む」へ。
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【INTERVIEW】「先生やチームメイト、親にも感謝」
自分にしかできない仕事で近畿大を関西の雄に押し上げる
◆#33藤田俊祐(近畿大・4年・主将・SF)

関西でもトップを走り続け、インカレでも存在感を発揮し続けた4年間は、一番に仲間に助けられたと振り返る。それでも、彼自身も率先してコミュニケーションを重ね、限られた選手でしか果たせない重要局面での得点はソウとともに藤田も担うようになった。チームに貢献した部分は、計り知れない。
—最後はヒヤヒヤしながらの勝利でしたね。
「正直これまではソウでもっていた部分があるので、みんなでは『引き締めよう引き締めよう』と言っていたんですけど、自分の中では怖かったです。けど、それで逆にみんなに気持ちが出てきて、良いプレーに繋がって、良い形で終われたかなと思います」
—ソウ選手なしでの練習もしていたんですよね。
「一応は。ソウもちょこちょこケガをしたりして無理はさせないでいたので、ソウなしでの練習はやっていました。ただ、相手が関東の上位のレベルなのでそこはやっていて怖かったですね。だから全員でディフェンスして、全員でリバウンドを取って、全員で走って。今まではソウに頼っていた部分が大きいから、全員で全員でと必死にやっていた時に室垣(#11)がオフェンスリバウンドや、ディフェンスでも良い仕事をしてくれたので、それも良かったと思います」
—3年前はベスト4でしたが、その時のチームで同じ状況になっていたらどうなっていたと思いますか。
「違っていたと思いますね。その時の上級生もメンバーは揃っていましたけど、自分の代になったから言えますけれど、気持ちの入り方が1年生の時とは違うし、絶対勝ちたいという気持ちも今回は強かったので、今の方が絶対に耐えられたと思います」
—拓殖大に準々決勝で敗れてからの切り替えは上手くいきましたか。
「そうですね。完全にボコボコにされたので切り替えやすくて(苦笑)。みんなで『去年の成績を超えて5位を取りにいくぞ』と話し合って臨めました」
—拓殖大に離されたところと、昨日の試合の前半は、チームのコミュニケーションの部分が足りないように感じました。やはり圧倒されるとその辺りも難しさはありましたか。
「そうですね。中京大戦もあまり離れなくて、やっぱり疲れもあって。みんなも緊張もあって、それでも勝たなあかんという気持ちで、自分でやろうという気持ちが先走ってしまって。チームで、というよりも、個々で、という感じになってしまっていたと思います」
—今日は追い込まれてもその部分が良かったですね
「追い上げられたところで室垣がしゃべってくれて、『勝とう』と。山本とかもそれに応えてしゃべってくれたから良くなったかなと思います」
—インカレでは明治大とは3回目の対戦でしたが、初めて勝利を掴みましたね。
「1回目はあんまり印象にないんですけれど、去年順位決定戦でやった時には悔しい負け方でした。リードしていたのに最後の最後にプレスに引っかかって。そこは試合前にみんなで『リベンジしよう』と話してやりました」
—1年生の時から試合に出続けてきましたが、どんな4年間でしたか。
「自分の代にはソウがいて、他のチームメイトも良い人間ばかりなので、自分で何かしたというよりもみんなに助けてもらったかなと思います。今年は特にキャプテンをやらせてもらって、僕はあんまり発言しないんですけれど、学生コーチの山本だったり室垣だったりソウだったりが、試合に出ている分しゃべってくれるので、楽な感じで自分のプレーをやらせてくれました。良いチームメイトに恵まれたかなと思います。先生にも感謝ですし、チームメイトにも感謝して、ここまで来させてくれた親にも本当に感謝ですね」
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「僕の気持ちでチームの気持ちも変わってくる」
頼もしい成長を遂げ確固たる立場を築く
◆#11室垣佑真(近畿大・4年・PG)

—最後にまさかソウ選手が退場して、あの状況になるとは予想外だったと思います。
「そうですね。でも、いつもソウに頼っていたので、最後のインカレでは僕らが恩返しをするつもりでやったろかなという気持ちで。ディフェンスもリバウンドも、全部必死にやりました」
—その気持ちが表れていましたね。
「やっぱり僕はディフェンスも一番前で、速攻に走るのも一番前なので、ガードの背中というのをみんな見てると思うので、僕の気持ちでチームの気持ちも変わってくると思ってます。僕が頑張ろうと思いました」
—ソウ選手がいない対策もしてきたと思いますが、いざこのような状況でやってみて、焦りはなかったでしょうか。
「試合では初めてですね。でもリードはあったので、ここは焦らずに一本一本確実にやろうと。特にやろうとすることは変えずに、ディフェンスから速攻を出せたらなと思っていたんですけれど、良いところでシュートが決まって良かったです」
—かつての近畿大は今よりソウ選手への依存度が高かったですが、持ちこたえました。3年前からの成長を実感できたのではないでしょうか。
「あの頃はソウ一本でやっているようなところがあったと思うんですけれど、今は個々の力もついて、僕たち4回生は下級生の頃から経験を積ませてもらっていたので、最後の集大成としてみんなが自覚と責任を持ってプレーできたかなと思います。前に比べて多少のことでは慌てなくなったし、体もみんな強くなって、関東相手にも渡り合えるくらいになったんじゃないかなと思います。あとは能力の差、リバウンドとかシュート力とか、そういう部分では関東はまだ一枚上手だなと感じました。でもその差の部分も段々縮まってきていると思います」
—その差を追いつき、追い越すのは後輩たちの役目になりますね。
「そうですね。折角5位シードが取れたので、来年の関西1位には頑張って欲しいと思います」
—大学バスケを4年間やってきましたが、この4年間を振り返ってどのようなものでしたか。
「1年生の時はチームのやろうとしていることと合わない部分もあったんですけれど、でも試合に出てナンボかなと思って、近大のスタイルに合わせようと。監督を信頼した結果、最高の4年間になったかなと思います。関西でも勝てたので。インカレでは目標のベスト4には行けなかったですけど、それでも悔いは無いです」
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「自分たちのバスケについて共有意識が持てた」
変化した環境を選手たち主体で乗り越えた1年間
◆#50伊澤実孝(明治大・4年・PF)

―3回戦の日体大戦の最後に怪我をしていたということでしたが、準々決勝は出場したものの、残り2試合は欠場したということになりますね。
「これから先バスケットを続けていくこともあるので、トレーナーの人としっかり相談して。痛めた場所も良くなかったので、大事を取ることになりました」
―チームとしての最終結果は6位でした。インカレを終えてどう感じていますか?
「優勝をチームの目標としてやっていて、自分の中で負けたくない気持ちも本当に強かったし、そういう意識の中で戦ったんですが、青学戦で力負けしてしまいました。その中で、順位決定戦に自分は出なかったんですけど、チームが青学戦の敗けを引きずらずに粘り強いバスケをしてくれたことは、リーグ戦でみんなが成長した部分の証だと思います。そしてそれが後輩たちの自信にもつながったと思うので、結果は6位でしたけど内容は負けた次の試合もしっかり戦えていたので、いい部分もあったと思います」
―青学戦は個人的には100%では戦えていなかったということでしょうか?
「終わってしまったので言えますが、そうですね。シュートは狙っていましたが、身体の中のバランスが悪くて自然と自分のプレーができていなかったなと思います」
―今年はコーチが交代したり変動がありましたが、チームの成長も見えたように思います。
「コーチが何度も変わった状況もありましたが、選手たちが教わってきた自分たちのバスケについて、チームとしての共通意識を持つことができました。そこが成長できた部分です。チームとしてどういうバスケをしていくか方向性を、みんなが持てました。ときにはずれることもありましたが、結果として悪くもなくその結果、安定した成績を出せたのだと思います」
―中でも2年生たちは去年よりチームプレーも増えてきたような。
「試合に出る時間も長くなって、ひとつのプレーに責任を感じる部分もあると思います。発言からもそれを感じられることもあります。そういう成長が今年は頼もしかった部分もありますし、助けられた部分もあるので、それをどう来年につなげて成長していってくれるかが、これから楽しみな部分ではあります」
―伊澤選手個人の話ですが、明治に来て4年間どうでしたか?成長したと感じる部分は?
「成長というと、自分のバスケ観の変化ですね。ディフェンスについては1年のときは少し分からなかったんですが、2年になるにつれて試合に絡んで大切さがわかってきて、練習の意図もわかってきました。ディフェンスへの意識の変化が大学で一番変わった部分だと思います」
―前HCである塚本さんはディフェンスをまず大事にされる方でしたが、最初はディフェンスについてはピンと来てなかったのでしょうか?
「大事だとはわかっていましたが、オフェンス重視のバスケをずっとやってきていたのですぐには馴染めませんでした。大学の練習はディフェンスしかしなかったので、ちょっと違和感は感じました」
―でもそんな中でシュートはずっと上手でしたが、ディフェンスしかやってない中でどうやって維持してきたのですか?
「そこは、大学までずっとオフェンス重視の学校にいたのでというのがありますね。攻めでは負けたくなかったので、シュートはずっと打っていましたね」
―4年の仲間にはどんな思いがありますか?
「自分のほかは去年から吉本 (#55)が試合に出ていて、他のメンバーはずっと試合に出られない時期がありました。今年は自分たちでやる分のプレッシャーがあったと思うし、その中でチームをすごく引っ張っていってくれたので、感謝している部分も大きいです。自分のわがままにも結構付き合ってもらいましたし、付き合ってくれてありがとうという思いが大きいです」
―今回は残念でしたが、まだオールジャパンがありますね。
「怪我は2週間くらいで治ります。頑張るというより自分たちが教わってきたバスケをどう1か月という短い部分で伝えるかというところですね。それを意識してやっていきます」
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「明治に来てよかったと思う」
厳しい練習を乗り越えた4年間
◆#55吉本健人(明治大・4年・SF)

-今日の試合を振り返って。
「伊澤(#50)がいない中でインサイドのディフェンスっていうのを意識したんですけど、出だしからそこでやられてしまって。リバウンドのところも取れなかったですし、そういったところから自分たちのリズムが作れなかったっていうのが1番大きかったですね」
-オフェンス面でも伊澤選手がいないというのは厳しいと感じましたか。
「アウトサイドの調子が良い時はいいんですけど、苦しい時にインサイドにボールが集まりませんでした。そこがどうしてもピックとか、全部ドリブルで単発なシュートになっちゃったりとかして、パッシングもあまり回らなかったので、そこはどうしてもディフェンスもオフェンスも連動性がなかったなって感じでした」
-青山学院大に敗れて順位決定戦にまわりましたが、どんなモチベーションで戦っていましたか。
「まずは、最後の大会っていうのは思っていて、あとはリーグ戦からずっと自分たちがやってきたことっていうのを整理して、しっかりやるっていうのを考えてやっていました。自分は最後でしたし、4年間の思いっていうのを乗せてプレーしました」
-準々決勝の話に戻ります。リーグ戦では負けたことのなかった青山学院大が相手でしたが、今回の敗因については。
「それに関しては試合後も何が悪かったのかなかなかすぐにはわからなくって。ディフェンスは守りきれた部分はあったんですけど、決められてしまったりだとか、まあそこは自分らの詰めが甘かったかなって思うんですけど。あとは相手が徹底して伊澤のところにダブルチームいっていましたし。正直試合をしていて、相手の方がリーグ戦終わってからインカレまでにしっかり仕上げてきたなっていうのは感じました。自分たちがあんまり上げきれなかったっていうのもあって、そこがやっぱり大きかったかなって思います。最後はチーム力の差っていうのを感じましたね」
-6位という結果に終わりましたが、チームとしてどう捉えていますか。
「今年1年バスケ以外のところで色々とあって、苦しい中みんなで協力してきてリーグ戦も5位になれたし、インカレはベスト8にしっかり入りました。ただ、ベスト4に入れる組み合わせではあったので、負けてしまったことはすごく悔しいですね。今日勝って終わりたかったですけど、昨日の試合に勝って5位決定戦に来られたことは良かったですし、来年につなげることができたのかなって思います」
-4年生としてのラスト1年間はどうでしたか。
「自分のプレーや行動が全部チームに影響するっていうのがわかったので、責任はすごく感じてやっていました。それを跳ね除けてプレーできたこともあったし、できなかったこともあったし、そこは良い経験になったと思います。また、コーチ陣が変わる中で色々と自分たち4年が引っ張っていかないといけないっていう状況になって、そこから学ぶことっていうのはありました」
-明治大でバスケをしてきた4年間を振り返って。
「塚本さん(現法政大HC)がいた時は練習量とか、その塚本さんのバスケっていうものに全然慣れなくて、1度バスケから離れたくなったこともあったんですけど、ほんとに今は明治に来てよかったなって思えています」
-後輩に向けて、今後どんなプレーをしていったらよいか教えてください。
「今は“自分が、自分が”っていうのが多いので、そこはもっとチームプレーで楽して点を取っていければ、他のこと、例えばディフェンスだとかに体力を回せると思うんですよ。まだ自分だけでどうにかっていう感じが強くて、その気持ちも大事なんですけど、そういうときこそもっとチームプレーで楽に点を取れる方法を考えてやってほしいなっていうのはあります」
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