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2013.12.01 (Sun)
【2013インカレ】11/30 明治大VS青山学院大(準決勝)
築きあげてきた固いディフェンスで
明治大が青山学院大の夢を砕く
準決勝第1試合、青山学院大対明治大の戦いは、バスケット部の応援に駆けつけた明治大サッカー部の声援により代々木がいつもとは異なる雰囲気に包まれる中始まった。
青山学院大は#7野本(3年・F)のドライブで初得点とすると、明治大は#12中東(3年・SG)の3Pで返す。#7野本の速攻や#25永吉(4年・C)のインサイドにより得点する青山学院大に対し、明治大は#24田中(4年・SG)が2本の3Pを沈め、互いに譲らない展開となる。明治大がファウルやフリースローなどでややミスをする間に青山学院大は#32畠山(4年・PG)の3Pで逆転。#8張本(4年・F)、#3小林(4年・PG)の好ディフェンスもあって18-21と1Qはリードで終えた。
2Q、明治大は2−3のゾーンにディフェンスをチェンジ。これが勝負の最初のキーポイントになった。青山学院大はなかなか得点が伸びずに逆転されてしまう。明治大のタイムアウトを挟んで今度は青山学院大がここまで相手に脅威を与える武器だった3−2のゾーンで対抗。しかしそれをものともせず#16安藤(3年・PG)の3Pが決まり、続けて#24田中のミドルシュートが決まると青山学院大はすぐゾーンをやめる。「外のあるチームだし、もう1本が決まったらすぐやめるつもりだった」という廣瀬コーチに対し、明治大の塚本HCは「春に比べて真ん中の張本の動きがそこまでではなく、ゾーンのアクティブさが失われていた」と勝負のポイントとなった部分について述べた。青山学院大はこの後も明治大のチェンジングのディフェンスの前にオフェンスがうまくいかず、前半は37-28と明治大が9点のリードで終えた。
3Q、明治大のディフェンスの前にターンオーバーの続く青山学院大はおよろ3分半無得点。対する明治大もややシュートが落ちる場面もあるが、それでも#12中東の速攻で最大13点のリードを奪う。青山学院大は#7野本が苦しいところを中で点を取っていき、残り2分を切ってから反撃に出た。#12中東のフリースローが2本落ちたのを機に、オフェンスに転じた青山学院大は#3小林の3Pで追い上げのきっかけを作ると、#7野本のシュートで4点差に。明治大のスローインに対し#3小林、#13鵤(2年・PG)が果敢にルーズボールで粘り、このQを45-41と追い上げて終了。明治大は残り2分半無得点となった。
4Q開始早々、#32畠山の3Pが決まり1点差。しかし明治大は#16安藤がドライブで決め返し、#12中東がペイント内で大きくターンしディフェンスを振り切りシュート。しかし#2目(4年・F)が立て続けにファウルに見舞われ、4つとなってしまうと、青山学院大は#7野本のバスケットカウント、#13鵤の3Pで逆転に成功する。だが、明治大はここまで無得点だった#22西川(4年・F)の3Pが決まり逆転すると、今度は#13張本(4年・F)の3Pで再度青山学院大がリードを奪い返す白熱の展開となる。勝負は残り2分となったが、ここで流れを掴んだのは明治大の方だった。#24田中のドライブが決まって同点とすると、#22西川の2本目の3Pが炸裂し57-54。青山学院大は明治大の固いディフェンスを割れず単発なオフェンスになってしまう。48.7秒、必死の守りでリバウンドからのルーズボールを拾ったかに見えた#32畠山が、5つ目のファウル宣告を受けて退場。これでフリースローを得た明治大は#50伊澤(2年・PF)がきっちり決めて5点のリード。青山学院大は残り22.5秒で#25永吉がシュートを決めるがその直後にまたも5つ目のファウルを吹かれ、永吉までも退場に追い込まれた。残り20.5秒、#22西川のフリースローは2本外れるが、#50伊澤がこれをエンドに弾き、青山学院大がすぐには走れなくする。青山学院大は最後のオフェンスで#3小林がシュートを打つがこれが外れ、ボールが回ってきた#5高橋(3年・PG)が3Pを放つ。しかしこれは決まらず、試合終了のブザーが鳴り響く。59-56で明治大が青山学院大を倒し、決勝進出へ名乗りをあげた。
「10年かかってここまで来た。感謝しかない」と塚本HC。今のチームの主力たちは下級生の頃からどこよりも厳しく育ててきた面子であり、練習量では大学界屈指。磨き上げてきたディフェンスは本物であり、また今年はどのポジションでも点が取れる選手が揃った。ゾーンを勝負のポイントにあげ、今大会で3番起用となっている西川も最後によく応えたと評価。決勝に向けては「東海は強い。選手を信じるしかない。しかし楽しみたい」と語った。
勝負を分けた一番のポイントは2Qのゾーン、と言う青山学院大・廣瀬コーチ。そこを崩せなかったのは最大のポイントと語った。また、選手の面々は記者会見でリバウンドと球際の弱さをあげたが、それもまた苦しんだ要素に違いない。リバウンドの総本数では上回っているが、弾いたあとのボールへの反応は決して良いとは言えなかった。リーグ戦中からたびたびリバウンドの悪さについては指摘されている。大学屈指の高さを持ちながら、それを最大の強みとできなかったのは惜しい。ゾーン攻略とリバウンド、2つの課題を克服できなかった青山学院大の、頂点奪還の夢はここで潰えた。
写真上:明治大・中東はチームハイの17得点。野本をブロックするシーンも見せた。
写真中:青山学院大は小林の3Pが後半の流れを変えた。
写真下:勝利に歓喜する明治大の面々。チームで成長を遂げ、昨年大差で敗れた青山学院大に借りを返した。
※明治大・西川選手、田中選手、安藤選手のインタビューは「続きを読む」へ。
「みんなが信頼しあい、チームは本当に良い状態」
チームとしても個人としても、1年前から飛躍的に進歩
◆#24田中成也(明治大・4年・SG)
明治大にとって、まず立ち上がりのポイントとなったのが田中のアウトサイドだった。高確率でシュートを決めてその都度雄叫びを上げ、「打倒・青学大」の先鋒というべき役割を示した。昨年のリーグ戦途中から少しずつ出場機会をもらいはじめ、遂にはスタメンにも名を連ねるようになった。アウトサイドだけでなく、状況に応じてプレーの内容も使い分けるように心がけているという器用さ、バランス感覚を兼ね揃えており、対戦する相手は対処に苦慮する存在である。優勝をかけた大一番でも、大事な場面でその存在が必要とされることになるだろう。
—ようやくの決勝ですね。
「そうですね。去年は、自分たちはベスト4に入って、それでチームとしてそこで満足してしまったというか。青学には勝つつもりでいったんですけれど、どこかで劣っている部分があるんじゃないかとみんな自信がなくて、そこから1年かけてリベンジを果たして決勝に行けたというのは、本当にチームとしても自分としても大きいですね」
—2年間かけて作ってきた甲斐がありましたね。
「はい。それが本当に、この試合に集約されていると思います」
—立ち上がりから田中選手はかなり気合いが入っていましたね。得点を決める度にリアクションを起こしていましたし。
「はい。この大会を通してのことなんですけれど、去年はベスト4に入って、それよりも成績を落とせないと思っていて、国士舘戦と筑波戦では自分はめちゃくちゃ力が入っていて。もう、なんだかシュートが自分のシュートじゃない、というか。今日は、こういう言い方は悪いですけれど、ここでベスト4にはなれたので、去年と同じ舞台に持ってこれたという意味で自分としては試合前にリラックスできていて、あとはチャレンジャー精神を持って挑戦するだけだという気持ちを持ってやれたので、あの入り方ができたんだと思います」
—昨日までは、どこかから回っていた部分があったということでしょうか。
「そうですね。シュートがとにかくめちゃくちゃ力が入っていたので」
—田中選手は昨年のリーグ戦の途中から頭角を現してきましたよね。当時はシューターの印象が強かったですが、今はポストアップをするなど、求められる役割が多くなっている印象があります。
「塚さん(塚本HC)からは自由にやっていいと言われていて、明治のチームカラーとして西川(#22)や健人(#2目)の3Pが入るので、そこで自分も3Pを狙うと役割が重なるじゃないですか。だから自分なりに考えてはいて、ドライブとかリバウンドとか、そういった体を張ったプレーをやっていこうという風には、今回はずっと意識してやっていました」
—後半に何度も追いつかれて、それでも跳ね返し続けられたのは、何が大きかったと感じていますか。
「やっぱり、リングに向かっていく気持ちですね。青学相手にパスを狙って横に回すとプレッシャーにあおられちゃうので、そこは強い気持ちを持ってリングに向かっていくプレーができたから、一本一本つなげて。それができなくても、自分たちにはディフェンスができれば絶対に守れるという自信があったので、本当にそこのところはチームとして成長できたのかなと思いますね」
—昨日の試合、ビハインドの状況でハーフタイムに『これまで自分たちのやってきたことを信じよう』と再確認し、自信のあるディフェンスを信じて後半に望もうとしていたと話していた選手が多く、今の明治大はその『信じる』というフレーズがキーワードなのかなと思います。
「いや、本当にそうですね。別に点が取れなくても、ディフェンスだけちゃんとやってチーム全体でまとまれば、そのうち均衡は崩れるかなと思っていました。チームメイトもみんな信頼し合っているので、本当に今はチーム状態はいいですね。みんな、ぶれていないですし」
—田中選手はどの辺りから手応えを感じ始めましたか。
「インカレに入る前に練習試合を3試合くらいやって、その時は塚さんから『リーグ最後の4試合のディフェンスの良さがなくなっている』と指摘されていて。リーグ戦は3位だったじゃないですか。練習の空気も、『どうせ勝てるだろ』というか、慢心しているわけじゃないと思うんですけれど、気が抜けている部分は出てきてしまって。そういうこともあってみんな危機感は感じていたんですけれど、それでもインカレに入るまでに空気は変わらなくて、昨日の試合にハーフタイムで『もう一回信じてディフェンスをやろう』という中から変わっていったんじゃないかなと思います」
—そうすると、結構日替わりで色々なことがあるんですね。
「そうですね、ムラがありますね、明治は(笑)」
—ただ、それが勝利という結果となって良い方向に出ていると思いますが。
「4年生を中心に、去年の借りを返そうという思いで一つになっていると思うので、そういう面で、今日の勝利はチーム全員で勝ち取ったんだと思いますね」
—決勝は東海大相手です。今年は唯一勝てていない相手ですね。
「そうですね。だから、東海にもう一度リベンジするチャンスを得られたというのは大きいですね。今日みたいなチャレンジャー精神でやっていきたいと思います」
--------------------------------
「今できることを必死にやることしか考えていない」
心身ともに充実、自身初の日本一を決める舞台へ
◆#22西川貴之(明治大・4年・F)
勝負どころの4Q、西川の3Pは追いつかれても相手を振り切る今の明治大の力強さを象徴するものだった。個人では好不調の波もあったが、根幹となるチームディフェンスの核は揺らいではいない。日本一の称号をかけて戦う一発勝負の舞台は自身では初めてだというが、今の明治大にはどの選手も気負いはないだろう。決勝でも、基本的なことであるディフェンスの良さを意識しながら試合に入りたいところだ。
—決勝進出おめでとうございます。昨年とは違う結果を示すことができましたね。
「去年この準決勝の舞台で、本当にゼロからの状況にさせられるくらいボコボコにされたので、この1年間リベンジするためにディフェンスなどをやってきて。結構しんどい思いもしましたけれど、やり続けてきて、止まった時間を取り戻せて良かったです」
—去年と今年の違いはどこにありますか。
「みんなディフェンスがすごく良くなったと思うので、そこですね」
—2Qの出来がすばらしかったですね。
「ディフェンスで良い守りができていたので、失点もすごく少なくて。9点リードで後半を迎えられたので、みんなディフェンスを頑張っていたと思います」
—その後は苦しかったですね。
「3Qは、ゲームの流れもすごく変わるので、難しいところなんですけれど、そんなに悪くはなかったですけれど、5点詰められて最後は4点差になってしまったので、あの辺をもうちょっと修正できればなと思います」
—春の準々決勝と似たような展開かと感じました。少し頭をよぎることはなかったですか。
「試合中は目の前のディフェンスをしっかりやることしか考えていないんですが、何回も青学とは接戦になって、競り合った時にいつも勝利を持っていかれるので、今日は耐えられたので良かったです」
—悪いイメージは特になく?
「そうですね。本当に今できることを必死にやることしか考えていなかったので」
—張本選手(青山学院大・#8)とのマッチアップもありましたね。
「ケガから復帰して、前々から彼が出たらマッチアップすることは分かっていました。きちんと準備はしていました」
—対戦してみて、張本選手の動きはどのように感じましたか。
「復帰したばかりで万全の状態だったかどうかは分からないですけれど、それにしても元々すごいプレーヤーで、経験も身体能力もすごくあります。ドライブもすごく速かったです。かなり苦戦しましたね」
—そういう対戦相手に対峙しても勝ちきるところに今の明治大の強さを感じます。
「ディフェンスの練習しかやってないんじゃないか、というくらいディフェンスばっかりやっていて、今までだったら強い相手に引いてしまってそのまま持っていかれることが多かったと思うんですけど、リーグの終わり頃からみんな自信というか、みんな自分からやるということができていると思うので、今日もそれで何とか勝つことができました」
—西川選手個人の調子はいかがですか。リーグ戦終了の際は、すこし落ち込んでいる部分もあると話されていましたが。
「リーグの終わりでは、得点を取るという意味では一桁で終わったりして良くはなかったんですが、うちのチームはディフェンスができればオッケーという部分があります。オフェンスがダメでもディフェンスが崩されないようにやってきたので、インカレに入ってからはオフェンスのことは考えていないんですけれど、ディフェンスを頑張ればオフェンスにつながってくると思うので、最近はその流れがいい方向にきていると思います」
—大事な部分で得点を取っている印象はありますよ。
「今日もプレッシャーをかけられてあまり簡単にボールを持たせてもらえないことが続いたので、塚さん(塚本HC)にもずっと我慢だと言われていて、エゴを出すとチームの流れも悪くなってしまうので、チャンスがくるまで待っていようと自分でも辛抱していました。今日もチャンスがまわってきて、ああいう場面で決められたのは、その気持ちの部分が大きいと思います。本当に、今までビビっていたというか、消極的な気持ちでやっていたんですけれど、最近になって絶対に決めるという前向きな気持ちでやっているので、それで入ったのかなと思います」
—西川選手は、全国大会での決勝の経験はなかったですよね。
「僕は初めてです。(今までの最高は?)インカレの3位決定戦です」
—ということはご自身では今まででは最高の舞台ですね。
「去年よりも上にいくことが今年の目標だったので、その目標に辿り着くことができました。でも決勝でもまた引いてしまったら何もできずに終わってしまうと思うので、出だしから自分のできることを全てやって、優勝を勝ち取れるように頑張りたいと思います」
—東海大相手ですが、その点はどう考えていますか。
「元チームメイトの須田(#51)がいるので(ともに東海大四高出身)、あいつと決勝で戦えるのはすごく楽しみですし、東海には今年勝てていないので、最後の最後に勝って、最高の成績を残せるように頑張っていきたいです」
--------------------------------
「1試合ごとに成長してきている」
3年目にして掴んだ確かな手応え
◆#16安藤誓哉(明治大・3年・PG)
要所の得点、ゾーンを崩した3Pも見事だった。試合の日でも練習する明治大だが、この日は朝のゾーンブレイクの練習が当たった。オフェンスも好調だが、ほかの明治大の選手たちが口をそろえて言うように、彼らの土台となっているのはここまで鍛えあげてきたディフェンスだ。それを全員が共通意識として言葉の端々に載せる今の明治大は、自信と希望にあふれている。それを決勝の舞台でどう表現するか、それを楽しみにしたい。
ーおめでとうございます。
「初の決勝進出なので嬉しいです」
ー昨日の試合の経験がどう生きているというのあありますか?
「国士舘は離して詰められてから、再度離しての勝ちでした。昨日は最大22点のビハインドからの逆転勝利ということで、自分たちを信じてあきらめないでディフェンスをやっていくということを学んで、1試合ごとに成長してきていると思います」
ー朝も練習はしてきたということですが。
「今日は頭を使ったゾーンブレイクの練習でした。昨日青学はゾーンで点差を開いたと思うんですけど、今日はゾーンをしてきたときに2Qで僕たちがうまく崩せたと思うんです。それで相手もゾーンできなかったと思うし、朝の練習の成果が出たと思います」
ー一度追いつかれましたが、そこで危ないという感覚はありましたか?
「ちょっとは下を向く瞬間はあると思いますが、そこで下を向かないように声がけはしていました。雰囲気はちょっと悪くなりますけど、持ち直しました」
ーリーグ戦では前半は何試合か星を落としましたが、後半からここまで上向きになってきているように思います。何かきっかけようなものはありましたか?
「リーグ戦の3週間の休止期間に自分たちのやることはディフェンスというのが明確になったからだと思います。そこを徹底するように共通意識持てたので、そこが良かったと思います。それまではなんだかオフェンスをやって崩すような感じもあって。とにかくディフェンス、オフェンスがダメでもディフェンスをやるコンセプトが明治は外せないし、その共通意識がしっかりできているのが大きいです」
ー決勝に対しては。まだ相手はわかりませんが(※インタビュー時点では未定)。
「特別な舞台だとは思うんですけど、今自分たちのチームも来ているので自分たちを信じて今までやってきたことをしっかりやって、どっちかわかりませんが東海だったら1回も勝っていないし、絶対に勝ちたいです」
ー1年の頃は結果が出ず苦労したと思いますが、手応えを掴んできたのはどのあたりからですか?
「今年の春から徐々にそういうのが芽生えてきたと思います。今年は行くぞ、という雰囲気はありました。今、最後の最後で本当にいいところに来ています。決勝は初だし相手が東海だったらチャンピオンチームなのでチャレンジャーなのでぶつかっていきたいです」
明治大が青山学院大の夢を砕く

青山学院大は#7野本(3年・F)のドライブで初得点とすると、明治大は#12中東(3年・SG)の3Pで返す。#7野本の速攻や#25永吉(4年・C)のインサイドにより得点する青山学院大に対し、明治大は#24田中(4年・SG)が2本の3Pを沈め、互いに譲らない展開となる。明治大がファウルやフリースローなどでややミスをする間に青山学院大は#32畠山(4年・PG)の3Pで逆転。#8張本(4年・F)、#3小林(4年・PG)の好ディフェンスもあって18-21と1Qはリードで終えた。
2Q、明治大は2−3のゾーンにディフェンスをチェンジ。これが勝負の最初のキーポイントになった。青山学院大はなかなか得点が伸びずに逆転されてしまう。明治大のタイムアウトを挟んで今度は青山学院大がここまで相手に脅威を与える武器だった3−2のゾーンで対抗。しかしそれをものともせず#16安藤(3年・PG)の3Pが決まり、続けて#24田中のミドルシュートが決まると青山学院大はすぐゾーンをやめる。「外のあるチームだし、もう1本が決まったらすぐやめるつもりだった」という廣瀬コーチに対し、明治大の塚本HCは「春に比べて真ん中の張本の動きがそこまでではなく、ゾーンのアクティブさが失われていた」と勝負のポイントとなった部分について述べた。青山学院大はこの後も明治大のチェンジングのディフェンスの前にオフェンスがうまくいかず、前半は37-28と明治大が9点のリードで終えた。

4Q開始早々、#32畠山の3Pが決まり1点差。しかし明治大は#16安藤がドライブで決め返し、#12中東がペイント内で大きくターンしディフェンスを振り切りシュート。しかし#2目(4年・F)が立て続けにファウルに見舞われ、4つとなってしまうと、青山学院大は#7野本のバスケットカウント、#13鵤の3Pで逆転に成功する。だが、明治大はここまで無得点だった#22西川(4年・F)の3Pが決まり逆転すると、今度は#13張本(4年・F)の3Pで再度青山学院大がリードを奪い返す白熱の展開となる。勝負は残り2分となったが、ここで流れを掴んだのは明治大の方だった。#24田中のドライブが決まって同点とすると、#22西川の2本目の3Pが炸裂し57-54。青山学院大は明治大の固いディフェンスを割れず単発なオフェンスになってしまう。48.7秒、必死の守りでリバウンドからのルーズボールを拾ったかに見えた#32畠山が、5つ目のファウル宣告を受けて退場。これでフリースローを得た明治大は#50伊澤(2年・PF)がきっちり決めて5点のリード。青山学院大は残り22.5秒で#25永吉がシュートを決めるがその直後にまたも5つ目のファウルを吹かれ、永吉までも退場に追い込まれた。残り20.5秒、#22西川のフリースローは2本外れるが、#50伊澤がこれをエンドに弾き、青山学院大がすぐには走れなくする。青山学院大は最後のオフェンスで#3小林がシュートを打つがこれが外れ、ボールが回ってきた#5高橋(3年・PG)が3Pを放つ。しかしこれは決まらず、試合終了のブザーが鳴り響く。59-56で明治大が青山学院大を倒し、決勝進出へ名乗りをあげた。

勝負を分けた一番のポイントは2Qのゾーン、と言う青山学院大・廣瀬コーチ。そこを崩せなかったのは最大のポイントと語った。また、選手の面々は記者会見でリバウンドと球際の弱さをあげたが、それもまた苦しんだ要素に違いない。リバウンドの総本数では上回っているが、弾いたあとのボールへの反応は決して良いとは言えなかった。リーグ戦中からたびたびリバウンドの悪さについては指摘されている。大学屈指の高さを持ちながら、それを最大の強みとできなかったのは惜しい。ゾーン攻略とリバウンド、2つの課題を克服できなかった青山学院大の、頂点奪還の夢はここで潰えた。
写真上:明治大・中東はチームハイの17得点。野本をブロックするシーンも見せた。
写真中:青山学院大は小林の3Pが後半の流れを変えた。
写真下:勝利に歓喜する明治大の面々。チームで成長を遂げ、昨年大差で敗れた青山学院大に借りを返した。
※明治大・西川選手、田中選手、安藤選手のインタビューは「続きを読む」へ。
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【INTERVIEW】「みんなが信頼しあい、チームは本当に良い状態」
チームとしても個人としても、1年前から飛躍的に進歩
◆#24田中成也(明治大・4年・SG)

—ようやくの決勝ですね。
「そうですね。去年は、自分たちはベスト4に入って、それでチームとしてそこで満足してしまったというか。青学には勝つつもりでいったんですけれど、どこかで劣っている部分があるんじゃないかとみんな自信がなくて、そこから1年かけてリベンジを果たして決勝に行けたというのは、本当にチームとしても自分としても大きいですね」
—2年間かけて作ってきた甲斐がありましたね。
「はい。それが本当に、この試合に集約されていると思います」
—立ち上がりから田中選手はかなり気合いが入っていましたね。得点を決める度にリアクションを起こしていましたし。
「はい。この大会を通してのことなんですけれど、去年はベスト4に入って、それよりも成績を落とせないと思っていて、国士舘戦と筑波戦では自分はめちゃくちゃ力が入っていて。もう、なんだかシュートが自分のシュートじゃない、というか。今日は、こういう言い方は悪いですけれど、ここでベスト4にはなれたので、去年と同じ舞台に持ってこれたという意味で自分としては試合前にリラックスできていて、あとはチャレンジャー精神を持って挑戦するだけだという気持ちを持ってやれたので、あの入り方ができたんだと思います」
—昨日までは、どこかから回っていた部分があったということでしょうか。
「そうですね。シュートがとにかくめちゃくちゃ力が入っていたので」
—田中選手は昨年のリーグ戦の途中から頭角を現してきましたよね。当時はシューターの印象が強かったですが、今はポストアップをするなど、求められる役割が多くなっている印象があります。
「塚さん(塚本HC)からは自由にやっていいと言われていて、明治のチームカラーとして西川(#22)や健人(#2目)の3Pが入るので、そこで自分も3Pを狙うと役割が重なるじゃないですか。だから自分なりに考えてはいて、ドライブとかリバウンドとか、そういった体を張ったプレーをやっていこうという風には、今回はずっと意識してやっていました」
—後半に何度も追いつかれて、それでも跳ね返し続けられたのは、何が大きかったと感じていますか。
「やっぱり、リングに向かっていく気持ちですね。青学相手にパスを狙って横に回すとプレッシャーにあおられちゃうので、そこは強い気持ちを持ってリングに向かっていくプレーができたから、一本一本つなげて。それができなくても、自分たちにはディフェンスができれば絶対に守れるという自信があったので、本当にそこのところはチームとして成長できたのかなと思いますね」
—昨日の試合、ビハインドの状況でハーフタイムに『これまで自分たちのやってきたことを信じよう』と再確認し、自信のあるディフェンスを信じて後半に望もうとしていたと話していた選手が多く、今の明治大はその『信じる』というフレーズがキーワードなのかなと思います。
「いや、本当にそうですね。別に点が取れなくても、ディフェンスだけちゃんとやってチーム全体でまとまれば、そのうち均衡は崩れるかなと思っていました。チームメイトもみんな信頼し合っているので、本当に今はチーム状態はいいですね。みんな、ぶれていないですし」
—田中選手はどの辺りから手応えを感じ始めましたか。
「インカレに入る前に練習試合を3試合くらいやって、その時は塚さんから『リーグ最後の4試合のディフェンスの良さがなくなっている』と指摘されていて。リーグ戦は3位だったじゃないですか。練習の空気も、『どうせ勝てるだろ』というか、慢心しているわけじゃないと思うんですけれど、気が抜けている部分は出てきてしまって。そういうこともあってみんな危機感は感じていたんですけれど、それでもインカレに入るまでに空気は変わらなくて、昨日の試合にハーフタイムで『もう一回信じてディフェンスをやろう』という中から変わっていったんじゃないかなと思います」
—そうすると、結構日替わりで色々なことがあるんですね。
「そうですね、ムラがありますね、明治は(笑)」
—ただ、それが勝利という結果となって良い方向に出ていると思いますが。
「4年生を中心に、去年の借りを返そうという思いで一つになっていると思うので、そういう面で、今日の勝利はチーム全員で勝ち取ったんだと思いますね」
—決勝は東海大相手です。今年は唯一勝てていない相手ですね。
「そうですね。だから、東海にもう一度リベンジするチャンスを得られたというのは大きいですね。今日みたいなチャレンジャー精神でやっていきたいと思います」
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「今できることを必死にやることしか考えていない」
心身ともに充実、自身初の日本一を決める舞台へ
◆#22西川貴之(明治大・4年・F)

—決勝進出おめでとうございます。昨年とは違う結果を示すことができましたね。
「去年この準決勝の舞台で、本当にゼロからの状況にさせられるくらいボコボコにされたので、この1年間リベンジするためにディフェンスなどをやってきて。結構しんどい思いもしましたけれど、やり続けてきて、止まった時間を取り戻せて良かったです」
—去年と今年の違いはどこにありますか。
「みんなディフェンスがすごく良くなったと思うので、そこですね」
—2Qの出来がすばらしかったですね。
「ディフェンスで良い守りができていたので、失点もすごく少なくて。9点リードで後半を迎えられたので、みんなディフェンスを頑張っていたと思います」
—その後は苦しかったですね。
「3Qは、ゲームの流れもすごく変わるので、難しいところなんですけれど、そんなに悪くはなかったですけれど、5点詰められて最後は4点差になってしまったので、あの辺をもうちょっと修正できればなと思います」
—春の準々決勝と似たような展開かと感じました。少し頭をよぎることはなかったですか。
「試合中は目の前のディフェンスをしっかりやることしか考えていないんですが、何回も青学とは接戦になって、競り合った時にいつも勝利を持っていかれるので、今日は耐えられたので良かったです」
—悪いイメージは特になく?
「そうですね。本当に今できることを必死にやることしか考えていなかったので」
—張本選手(青山学院大・#8)とのマッチアップもありましたね。
「ケガから復帰して、前々から彼が出たらマッチアップすることは分かっていました。きちんと準備はしていました」
—対戦してみて、張本選手の動きはどのように感じましたか。
「復帰したばかりで万全の状態だったかどうかは分からないですけれど、それにしても元々すごいプレーヤーで、経験も身体能力もすごくあります。ドライブもすごく速かったです。かなり苦戦しましたね」
—そういう対戦相手に対峙しても勝ちきるところに今の明治大の強さを感じます。
「ディフェンスの練習しかやってないんじゃないか、というくらいディフェンスばっかりやっていて、今までだったら強い相手に引いてしまってそのまま持っていかれることが多かったと思うんですけど、リーグの終わり頃からみんな自信というか、みんな自分からやるということができていると思うので、今日もそれで何とか勝つことができました」
—西川選手個人の調子はいかがですか。リーグ戦終了の際は、すこし落ち込んでいる部分もあると話されていましたが。
「リーグの終わりでは、得点を取るという意味では一桁で終わったりして良くはなかったんですが、うちのチームはディフェンスができればオッケーという部分があります。オフェンスがダメでもディフェンスが崩されないようにやってきたので、インカレに入ってからはオフェンスのことは考えていないんですけれど、ディフェンスを頑張ればオフェンスにつながってくると思うので、最近はその流れがいい方向にきていると思います」
—大事な部分で得点を取っている印象はありますよ。
「今日もプレッシャーをかけられてあまり簡単にボールを持たせてもらえないことが続いたので、塚さん(塚本HC)にもずっと我慢だと言われていて、エゴを出すとチームの流れも悪くなってしまうので、チャンスがくるまで待っていようと自分でも辛抱していました。今日もチャンスがまわってきて、ああいう場面で決められたのは、その気持ちの部分が大きいと思います。本当に、今までビビっていたというか、消極的な気持ちでやっていたんですけれど、最近になって絶対に決めるという前向きな気持ちでやっているので、それで入ったのかなと思います」
—西川選手は、全国大会での決勝の経験はなかったですよね。
「僕は初めてです。(今までの最高は?)インカレの3位決定戦です」
—ということはご自身では今まででは最高の舞台ですね。
「去年よりも上にいくことが今年の目標だったので、その目標に辿り着くことができました。でも決勝でもまた引いてしまったら何もできずに終わってしまうと思うので、出だしから自分のできることを全てやって、優勝を勝ち取れるように頑張りたいと思います」
—東海大相手ですが、その点はどう考えていますか。
「元チームメイトの須田(#51)がいるので(ともに東海大四高出身)、あいつと決勝で戦えるのはすごく楽しみですし、東海には今年勝てていないので、最後の最後に勝って、最高の成績を残せるように頑張っていきたいです」
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「1試合ごとに成長してきている」
3年目にして掴んだ確かな手応え
◆#16安藤誓哉(明治大・3年・PG)

ーおめでとうございます。
「初の決勝進出なので嬉しいです」
ー昨日の試合の経験がどう生きているというのあありますか?
「国士舘は離して詰められてから、再度離しての勝ちでした。昨日は最大22点のビハインドからの逆転勝利ということで、自分たちを信じてあきらめないでディフェンスをやっていくということを学んで、1試合ごとに成長してきていると思います」
ー朝も練習はしてきたということですが。
「今日は頭を使ったゾーンブレイクの練習でした。昨日青学はゾーンで点差を開いたと思うんですけど、今日はゾーンをしてきたときに2Qで僕たちがうまく崩せたと思うんです。それで相手もゾーンできなかったと思うし、朝の練習の成果が出たと思います」
ー一度追いつかれましたが、そこで危ないという感覚はありましたか?
「ちょっとは下を向く瞬間はあると思いますが、そこで下を向かないように声がけはしていました。雰囲気はちょっと悪くなりますけど、持ち直しました」
ーリーグ戦では前半は何試合か星を落としましたが、後半からここまで上向きになってきているように思います。何かきっかけようなものはありましたか?
「リーグ戦の3週間の休止期間に自分たちのやることはディフェンスというのが明確になったからだと思います。そこを徹底するように共通意識持てたので、そこが良かったと思います。それまではなんだかオフェンスをやって崩すような感じもあって。とにかくディフェンス、オフェンスがダメでもディフェンスをやるコンセプトが明治は外せないし、その共通意識がしっかりできているのが大きいです」
ー決勝に対しては。まだ相手はわかりませんが(※インタビュー時点では未定)。
「特別な舞台だとは思うんですけど、今自分たちのチームも来ているので自分たちを信じて今までやってきたことをしっかりやって、どっちかわかりませんが東海だったら1回も勝っていないし、絶対に勝ちたいです」
ー1年の頃は結果が出ず苦労したと思いますが、手応えを掴んできたのはどのあたりからですか?
「今年の春から徐々にそういうのが芽生えてきたと思います。今年は行くぞ、という雰囲気はありました。今、最後の最後で本当にいいところに来ています。決勝は初だし相手が東海だったらチャンピオンチームなのでチャレンジャーなのでぶつかっていきたいです」
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テーマ : バスケットボール(日本) - ジャンル : スポーツ
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