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2013.11.26 (Tue)
【2013インカレ】11/26レポート(大田区総合体育館)
常葉大・大阪学院大が善戦するも関東勢の壁は敗れず
地方勢対決は富山大・愛知学泉大に軍配が上がる
大田区総合体育館では1回戦のうちの6試合が行われた。接戦になる試合もあったが、関東のチームは勝負所を握って1回戦突破。地方同士の対決も、地力の差で後半に点差を広げる展開となった。
富山大と岩手大の試合は、前半こそ互角となったが3Qが勝負の分かれ目となった。立ち上がりにリードしたのは、#12工藤(2年・F)らが素早いトランジションから得点した岩手大。しかし固さのとれた富山大も#35中村(3年・F)や#33苗田(1年・F・北陸)のアウトサイドが決まり、2Qに逆転。岩手大も#4田中舘(4年・F)の得点でつないで、前半は46−42と4点ビハインドに留めたが、3Qの出だしで足が止まり、得点が止まる。その間に#41小山田(2年・F)や#33苗田のシュートが決まった富山大が置き去りにし、95−70と最後は差を広げて1回戦を突破した。
愛知学泉大は新潟医療福祉大と対戦。序盤こそイージーシュートがこぼれて離せそうで離せない展開が続いたが、徐々に動きも良くなりじわじわと点差を広げていった。新潟医療福祉大は#18江部(2年・SF)の得点などで対抗しようとするが、愛知学泉大の激しいプレッシャーを前になかなか得点が伸びない。#6森川(4年・SF)の28得点をはじめ4人が二桁得点を奪った愛知学泉大が80−54で勝利した。
白鴎大と愛媛大の対戦は、白鴎大が序盤で大差をつけると、主力を下げベンチメンバーを出場させる余裕の展開となった。愛媛大は、途中連続で速攻を決める見せ場も作ったものの、なかなか一矢報いることは叶わず。またしても四国勢初の1勝とはならなかった。白鴎大は控え選手の活躍にベンチも最後まで大いに沸き、132−47と大勝。実力が見えるのは、2回戦の愛知学泉大戦となりそうだ。
筑波大と鹿屋体育大の試合は、インサイドで強みを生かした筑波大が優位に立った。序盤から#32武藤(4年・C)のバスケットカウントや#92村越(2年・PF)のリバウンドシュートが出る筑波大に対し、鹿屋体育大は#17土器手(1年・SF・川内)の3Pでなんとかついていく形に。それでもフリースローでコツコツと加点し、#0占部(4年・PG)から#15深江(2年・PF)へ巧みなアシストも通って2Q終盤には3点差に。しかし3Qで#21笹山(3年・PG)や#14坂東(3年・SG)の3Pも効果的に決まった筑波大が点差を引き離し、最後は#10山田(3年・SF)や#42坂口(4年・PG)らベンチメンバーも活躍して追い打ちをかけて97−73で筑波大が快勝した。
写真:鹿屋体育大は最後まで応援団も含めて声を出し、一丸となって戦った。
※岩手大・田中舘選手、鹿屋体育大・占部選手のインタビューは「続きを読む」へ。
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【シーソーゲームを大東大が最後に抜け出す】
関西4位の大阪学院大と関東8位の大東文化大の対戦は、大東文化大が追いついてそこから競り合いとなったが、残り3分間の攻防を制して大東文化大が勝利をさらった。
幸先の良いスタートを切ったのは大阪学院大だった。関西新人王の#7澤邉(1年・SG・九州学院)、大黒柱の#99藤田(3年・PF)が3Pを立て続けに決め、#20合田(2年・PG)のシュートも決まって良いリズムを作る。大東大は#30鈴木(4年・SG)の2本の3Pで対抗するも、どこか固さも見えて後手にまわった。強みの高さもシュートがぽろりとこぼれて思うように生かせず、1Qは13−20。だが2Q中盤には12点差をつけられるものの、#55永井(4年・SG)がリバウンドで粘り、#8戸ケ崎(4年・F)もルーズボールに奮闘して#86小野寺(4年・C)のシュートにつなげるなど一桁差に。大阪学院大は残り5分半の間無得点に終わり、前半は29−29と互角になった。
そこからシーソーゲームが続いた。#20合田を起点に速い展開を出す大阪学院大に対し、大東大は#86小野寺がリバウンドシュートなどで強みを出す。大東大はファウルがかさんで追う展開となるが、#68花井(1年・SG・東海大三)、#30鈴木の3Pで締めて2点リードして4Qにつなげた。4Qも互いに持ち味を出して譲らず、残り3分半を切って57−57の同点。だがここで流れをさらったのは大東大だった。#99山崎(2年・F)のバスケットカウントに続いて、#30鈴木がドライブを決め、さらに#1高橋(3年・SG)がバスケットカウントを獲得して一気に7点リード。危ないところだったが、そのまま逃げ切り66−59で大阪学院大の挑戦を退けた。
初戦とあって、序盤はなかなか思うようにプレーがつながらなかった大東大。それでも徐々に動きは良くなり、終盤の勝負所で流れを掴んで競り勝った。入れ替え戦から切り替え、チームの雰囲気は暗くない。次の戦いで力を発揮したい。
大阪学院大は夏の練習試合で大東大に大敗しており、そこから成長も見えた試合に。あと一歩のところで白星をさらわれたのは悔しいが、下級生主体なだけに今後へと期待の持てる内容となった。怪我人も復帰すれば、来季はさらにレベルアップしたチームが見られるはずだ。
写真上:ワンポイントの出場でも良い働きを見せた大東大の主将・永井。
写真下:本来のポジションではないがインサイドを任される場面もあり、オールラウンドな働きをした大阪学院大・北川。
※大阪学院大・藤田選手のインタビューは「続きを読む」へ。
【常葉大が善戦するも、専修大が3点差で逃げ切り】
3大学が合併して生まれた常葉大。東海地区では常勝チームの浜松大のメンバーを中心に、常葉学園大・富士常葉大のメンバーも加えた布陣で関東7位の専修大に挑んだ。
序盤から点差が付かず離れずの展開が続いた。専修大に#24田代(2年・SF)の3Pや#11宇都(4年・G)の速攻が出れば、常葉大も#2会沢(4年・SF)が3Pでバスケットカウントを獲得するなど流れを変えるプレーで対抗。常葉大が一桁差のまま並走すると、2Q中盤には#14原口(2年・G)の連続得点で逆転に成功した。専修大も#0大澤のアウトサイドでなんとかつなぐが、常葉大のゾーンディフェンスを前に大量得点とはいかない。45−39と6点差で前半を終えた。
3Q、高い位置からディフェンスにあたって流れを掴もうとする専修大だったが、#2会沢の2本の3Pが決まって常葉大も一桁差から離れない。ディレイドオフェンスでゆっくり攻めながらも要所でブレイクを出し、#18林のゴール下が決まって7点差で4Qに。するとここで#14原口が攻め気を見せ、連続得点。専修大がフリースローを落とす間に、#41戸島が速攻、ジャンプシュートを決めて残り4分同点にした。専修大は24秒オーバータイムなど慌てた様子も見え、後手にまわる展開に。それでもここで#6渡辺(1年・SG・福岡第一)がオフェンスリバウンドに奮闘し、#24田代のバスケットカウントも出て逆転はさせない。1点リードで残り時間は1分を切るが、常葉大のシュートをなんとかしのぎ、#11宇都のフリースローで残り10秒3点差に。そのまま逃げ切り、82−79で辛勝した。
常葉大の思いきりの良いオフェンスにディフェンスが後手にまわり、相手のゾーンにどこか重いオフェンスを強いられた専修大だったが、リバウンドで13本の差をつけ、勝負所でも#6渡辺や#47藤田のリバウンドでの貢献が大きかった。3点差で1回戦を突破。次はベスト8をかけて富山大と対戦する。
あと一歩のところまで専修大を苦しめた常葉大。チームの前身となる浜松大で4年間チームの柱だった和田とジャーラが卒業し、東海地区でも3位に沈んだ今シーズンは、決して前評判は高くなかったものの、その分「見返してやろうという気持ちがあった」と戸島。その言葉通り全員が最後まで粘り強く戦う戦いぶりは、常葉大として新たなスタートを切ったチームにとって印象深いインカレとなったはずだ。来シーズンからの戦いにも期待したい。
写真上:リバウンドなどアグレッシブなプレーでチームを勢いづけた専修大・渡辺。
写真下:伸びやかなシュートを次々決めた常葉大・会沢。
※常葉大・戸島選手のインタビューは「続きを読む」へ。
「勝負の時こそ強気でプレーする」
得点源として、主将として背負った責任
◆#4田中舘 洸(岩手大・4年・主将・F)
2年連続東北地区で得点王となり、岩手大のエースとしてチームを引っ張ってきた田中舘。今シーズンは「柄じゃない」と苦笑するキャプテンにも就任し、様々な苦労を味わってきた。岩手大は国立大学だけにスポーツ推薦枠も限られ、人数も少ない少数精鋭チーム。それでも昨年は41年ぶりの東北地区優勝を果たし、今年も久々の2年連続インカレ出場。人数も少なくサイズもないメンバーの中でも日頃の練習を大切にしてきたからこその、チーム史に残る快挙を成し遂げたことには大きな拍手を送りたい。
―前半は互角の勝負でしたね。3Qで崩れてしまったのが惜しかったなと。
「そうですね。自分たちは相手と比べてもサイズがないので、出だしが勝負だから最初からどんどん走っていこうと言っていました。それはうまくいって、ブレイクも出せたし思い切り良くシュートも打てたと思います。でも自分が序盤にシュートを何本か決めてから相手のディフェンスがぴったりディナイにきて、自分はまわりの人にスクリーンをかけようという意識に切り替えたんですが、その時にみんな足も止まってしまったというか…。自分の点数でリズムを取れなくなったときにまわりも止まってしまいました。前半が終わるまではなんとか保っていたんですけど、後半に入ってからセットオフェンスになったときに全部止まってしまったし、ブレイクもちょっと走りきれなくなってしまって。あとは相手のシュートが3Qで入り始めて、こっちは入っていなかった。走れなかったことと、シュート力の差が出てしまったと思います」
―それでも前半から要所で息の合った連携プレーは出ていましたね。そこはサイズのない中で、この1年やり続けてきたことかと思いますが。
「はい。練習からドライブを仕掛けて合わせのプレーはやっていました。自分たちはやっぱり小さくて外のシュートが主体なので、積極的に外のシュートを打っていって、ディフェンスが外に出てきたら今度はドライブ。でもサイズがないぶん外したシュートのリバウンドを取ることがあまりできないので、なるべくドライブして中で合わせてノーマークで決めるということを常に意識してきました。自分も、点数をとっていくとディフェンスも寄ってくるので、そうしたら合わせのパスを出すようにしています。ただそこも、後半はあまりなくなってしまったかなと」
―自分個人の出来はいかがでしたか?得点源として点を取らなきゃという気持ちはあったと思いますが。
「そうですね。前半に関してはまだ良かったんですけど、後半はなかなか…。相手は後半に入っても自分に対するディナイのところは続けてきて、そこで1対1で走り回っても、フェイスガードされているとボールをもらいづらくなってしまって。だからまわりにスクリーンをかけて、まわりのやつがあけばそれでいいし、あかずに自分のマークマンが下がれば自分がセカンドでもらおうという意識だったんですけど、ちょっと全体的に一人ひとりのボールを持っている時間が長くなってしまいました。ボールがうまくまわらなくなって、ちょっとリズムが悪くなったなと。そこは悔しいの一言です」
―4年生として、このインカレには特別な思いもあったと思います。
「そうですね。今年のチームは、4年生が2人しかいないんです。5番のやつ(仲澤)がもうひとり4年生なんですけど、あまり長く試合には出られない形で4年生の影響力がほとんどなかったので、今年のチームでインカレに来られるか、リーグ戦で勝てるか、というのがまずすごく不安でした。でもリーグ戦でなんとか勝って、こうやって2年連続でインカレに来られて…」
―2年連続でのインカレ出場はかなり久々だそうですね。
「そうなんですよ。40年ぶりくらいとかで。だから4年生がふたりでもリーグ戦で勝ててインカレに来られたのはすごく嬉しかったんですけど、チームとして目標にしていたのはインカレの初戦に勝つことで。しかも今年は組み合わせが出て、富山大の人には失礼なんですけど、相手が関東のチームではなかったので、まわりの人にも初戦頑張れば勝てるんじゃないかとか期待もされていました。だからなんとか初戦を突破して去年の成績を超えたかったんですけど…まだまだ力不足でした」
―去年のキャプテンの吉田選手は、普段の練習が一番大事だということでまわりにも厳しく言い続けたと言っていましたね。今年は4年生の人数が少ない中で、そういう役目も果たしていく立場でしたが。
「そうですね。でもそこはすごく難しかったです。自分は中学校で一回キャプテンをやったくらいで、正直引っ張っていくキャラじゃないんです(苦笑)」
―プレーで引っ張るタイプなんですね。
「はい。あまりうまく口で言えるようなタイプではなくて…。自分も練習中だらけたところではちゃんと締めたり、練習の雰囲気が悪くならないよう声を出したり、できる範囲でやろうとしてきたんですが、どうしても柄じゃない部分があったかなと。それでちょっと厳しくしきれない部分がありました。でもそのぶん、プレーの部分に関して、そこだけはしっかり崩れないように常に意識してやってきたと思います」
―岩手大での4年間はいかがだったでしょう。
「大変でしたね。どの学年になっても、センターらしい大きい選手がいなかったので。3つ上に190のセンターの人がひとりいたくらいで、あとはずっと180前後の高さでやってきました。やっぱりリバウンドの部分が特に苦しかったですね」
―チームも毎年人数が少ないですよね。今年も16人だそうですが。
「そうですね。岩大はスポーツ推薦も学年にひとりとかふたりで、だいたいみんな勉強してセンターを受けて入ってくる一般生なんです。結構高校の時は県でベスト8とかそれ以下の進学校の人が多くて。もちろんひとりふたりは全国に出ていたやつも入ってくるんですけど、やっぱり全国とか出てなかった人たちみんなで練習して、うまくなっていくチームです。自分は盛岡市立でスポーツ推薦だったんですが、そうやってチーム状況も厳しい中で、やっぱり普段の練習からだと。うちは先生も忙しくてなかなか練習に来られないので、練習メニューをメールでもらって自分たちだけで練習することも多くて、本当に普段の練習から自主性を持ってやってきましたね」
―では練習の雰囲気なども結構4年生にかかっていたんですね。
「そうなんです。そこでやっぱり4年が2人しかいないのは大変でしたし、もうひとりのやつも声を出すタイプじゃなくて、後輩たちをまとめる苦労は結構ありましたね。やっぱり自分のプレーがうまくいかないと後輩にも言いにくくなるというか。『自分ができてないのにまわりに言えないだろう』みたいな考えも自分はあるし、でもそれでも言い続けなきゃいけないし、そこは大変でした。どんなに調子が悪くても言うようにはしてきたんですけど、やっぱり3年生以下はまだ自分たちの代ではないので4年生と同じような緊迫感とか危機感とか自覚を持つのは難しいし、どうしてもゆるくなってしまった部分もちょっとあったかなと。自分には4年生として足りない部分も多くて、去年の吉田竜二さんと比べたら自分はキャプテンとして全然及ばなかったですね」
―それでもエースとして頼もしかったですし、後輩たちに伝えられたものもあると思いますが。自分は4年間でチームに何を残せたと思いますか?
「東北の大会で競った試合とかもあったんですけど、自分が点数をとってなんとか勝てた試合もあって。そういう勝負の時こそ強気でプレーする姿は、見せられたんじゃないかなと思います。今日も点差は開いたんですけど、最後まで声を出して諦めないでやろうという気持ちは自分も持っていたし、それは後輩もベンチもそういう雰囲気があったので。そこは残せたかなと思います。来年も自分たち4年生2人が抜けるだけなので、またインカレに来てくれると信じています」
―田中舘選手は盛岡市立高校出身ということで、東海大の晴山選手の先輩にあたるんですね。
「そうですね。1個上です。ケビンは、高校からバスケットを始めて、リアルな桜木花道です(笑)。ほんっとに。どんどん上手くなってますね。高3から3Pとかも打ち始めて、見てても『おー、どこまでいくの?君』って感じでしたね(笑)。今もさらにガタイが良くなって、シュートも入るようになったみたいですし」
―では岩手に帰る前に試合は見ていかれるんですか?
「そうですね。28くらいまではいるので。それに東北出身の選手はわりと知り合いがいるので。筑波の武藤とか、青学の畠山とか高橋貴大とか。見れたら見て帰ろうと思います」
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「来年、リベンジしに戻ってくる」
善戦から手応えを手にし、さらなる飛躍を誓う
◆#99藤田 兼士朗(大阪学院大・3年・PF)
昨シーズンは関西1部リーグに昇格し、関西トーナメント、西日本選手権の2冠を達成するなど力をつけてきた大阪学院大。しかしその原動力のひとりとなった大黒柱の小阪が怪我で今シーズン離脱することとなり、チームは一からのスタートを切ることとなった。その中で奮闘したのが、インサイドの支柱となった藤田。190cmと他のチームのインサイド陣に比べれば高さでは劣るが、柔らかいシュートタッチと豊富な運動量で体を張り、チームに欠かせない存在へと成長した。キャプテンの西原以外、主力はほぼ3年生以下。来シーズン、さらなる飛躍を目指したい。
―最後まで分からない試合でしたが。
「そうですね。大東とは今年の夏に北海道で合宿したときに試合をしていて、そのときに30点差くらいでボコボコにされたんです。だから組み合わせが決まってからみんなでリベンジしようということで挑みました。結果届かなかったんですけど、みんなそれぞれシュートタッチも良かったし、戦えたなという実感もあったので良かったと思います」
―夏にやったときからどういう部分が良くなったんでしょうか。
「前回はダブルチームで潰されて全部速攻に持っていかれてしまったんですけど、それを課題に取り組んできて、今回はあまりそういう場面もなく改善できたと思います。そうやってボールをしっかり運べていたのと、あとは身長差があっても今回は中で戦えた部分もあったので、そこは良かったかなと思います」
―相手に高さでは劣りますが、工夫した点などはありますか?
「小さいということはみんな分かっていたので、リバウンドなども全員で飛び込んで。あとは小さい分走りまわるしかないので、普段の練習からめちゃくちゃ走ってきました。それでディフェンスからリバウンドをとってブレイクも出せたのは良かったかなと」
―最後残り3分半くらいまでは同点でしたが、そこから一気に流れを持っていかれてしまいましたね。要因はどこにあると思いますか?
「たぶん集中力が切れてしまったのかなって。それは課題ですね。最後に追い返そうとしたんですけど、ちょっと手遅れでした。もっと早く立て直せていれば、また違ったのかなと思います」
―自分自身は3年生ですが、どういう気持ちでインカレに臨みましたか?
「やっぱり4回生が練習とかではメインになって引っ張ってくれたので、試合にはあまり出られていなかったんですけど本当に4回生の思いも考えてひとつでも多く勝ちたいと思っていました。でもこうやって初戦で負けてしまったので、来年は今年の4回生のためにもこの経験を生かしてベスト4を目指したいと思います」
―今シーズンは春に小阪選手が怪我してしまったことも影響は大きかったと思いますが。
「そうですね。やっぱり大黒柱の方が怪我してしまったので、インサイドが小さくなってまた一からチームを作り直すような形でした。自分個人としても、試合に出る人の中で一番大きいということで、やらなきゃという気持ちはありましたし。でもチームの中では大きくてもやっぱり他のチームの同じポジションの人と比べたら小さい方なので、苦労はありましたね。そこはもう運動量でカバーするしかないと。あとはまわりの人にフォローしてもらった形ですね。リバウンドとかも僕ひとりでは絶対に取れないので、『弾くから取って』というのをみんなに伝えて、チーム全員で取りにいくようにしました」
―春に一からチームを作り直すことになって、チームの完成度はだんだん上がっていった感じですか?
「はい。最初は正直どうなるかと思ったし、インカレに来られるかどうかも分からなかったんですけど。でもインカレに来られて大東ともこうやって良い試合ができたので、思った以上に良かったかなと思います。来年が楽しみですね」
―今年も3年生以下が主体のチームですしね。去年卒業した石原選手がやっていたポイントガードの穴は、今年から2年生の合田選手が埋めている形ですね。もともと2番ポジションだったように思いますが。
「そうですね。あいつも今年からポイントガードになって。石原さんと合田は結構タイプが違って、石原さんは自分でドライブに行ってアシストすることが多かったんですけど、合田はジャンプシュートが入るので。だから僕らがあいつをフリーにさせて打たせることも考えていますね。あいつもまだ2回生なので、ちょっと気負ってしまった部分はあると思うんですけど、そこは上級生の責任だったかなと思います」
―試合に出る4年生が少ないということで、3年生も強い自覚を持っているようですね。
「はい。77番の北川とかも、本来は上のポジションだったんですがチーム事情的に急きょ下のポジションに落ちることになったんです。だから大変な部分もあったと思うんですけど本当に頑張ってくれて。まぁディフェンスは大変だと思うんですけど、オフェンスでは逆に大きい人がつくと逆ミスマッチみたいな感じでスピードを生かして抜けていたので、そこは良かったかなと思います」
―来年も期待しています。
「はい。今年のように走って、さらにサイズも大きくなれば全国とも戦えると思うので。僕らの目標は去年からずっとインカレベスト4なので、来年こそ絶対入れるように。リベンジしに戻ってきます!」
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「チーム一丸となってコミュニケーションは取れていた」
合併しても揺るがなかったチーム力
◆#41戸島健矢(常葉大・4年・主将・SG)
3つの大学が合併する中で、キャプテンという難しい立場を務めたのが戸島だった。それでも「みんな仲が良い」と言い、バラバラになることなくチームの雰囲気も良好だったと話す。専修大をあと1歩のところまで苦しめる善戦を見せたのも、そうしたところから来るチームの勢いが大きかった。
キャンパスがバラバラで、練習も限られた合同練習の中でやりくりする形となり、他のチームにはない難しさも多々あっただろう。それでもコミュニケーションをとり、今年が初のインカレとなる4年生の林や下地も奮闘した。白星には残らなかったものの、彼ら4年生が残したものはチームにとって非常に大きかったはずだ。
―ずっと食らいついていく展開でしたが、振り返ってどういう点が良かったと思いますか?
「練習でやってきたことを、そのまま出し切れたかなと思います。シュートもみんな思い切りよく打てて、2番の会沢とか14番の原口もよく決めてくれたし、0番の居村も良いアシストを出してくれて。本当に全員が良い役割を果たして、常葉大の一番良い形を出せたかなと」
―応援もにぎやかでしたしね。
「そうですね。見ていただければ分かる通り、あんな感じです、常葉大は(笑)。応援席も、監督もコーチも選手もみんなにぎやかですね」
―逆にあと一歩及ばなかった要因はどこにあると思いますか?
「リバウンドを課題としてやってきたんですけど、やっぱりそこでやられたなと思います。うちの方がサイズは小さいのは最初から分かっていたし対策もしてきたんですけど、どうしても打たれたあとのボックスアウトが甘くなってしまって。敗因はそこですね」
―今日ディフェンスはほぼゾーンでしたね。
「はい。そこは相手への対策で。サイズでは完全に負けているので、外は捨てて中だけは頑張って守ろうという感じでした」
―11番の宇都選手は相手チームのキーマンになるところかと思いますが。
「そうですね。でもそんなには気にしてなかったです。ゾーンなので、みんなでコミュニケーションとって全員で守ればいいよと」
―オフェンスでは、去年までの浜松大を見ているとディレイドのイメージが強いのですが、今日は速攻を出す場面も多かったですね。
「そうですね。今年はサイズが低いので、なるべく行けるところは全部走ろうみたいな感じで。走って無理なら、もう一回落ち着いて自分たちのリズムでやろうみたいな形でした」
―同点になった場面で、『いける』という思いはありましたか?
「ありましたね。というか、試合中ずっとありました。少し離されても、一桁差なら全然うちのペースだと。最後に1点でも勝てば、勝ちは勝ちだということでそこを狙っていたんですけどね」
―常葉大は今年浜松大・常葉学園大・富士常葉大の3チームがひとつに合併した形ですが、苦労もあったのでは?
「いや、でも最初から結構みんな仲が良かったので。合併する前から、会場で会って『一緒になるね〜』って話はしていたし、合併してからも練習が始まる前にみんな積極的にコミュニケーションをとりあって良い雰囲気でやれていました。だからそこはあまり問題なかったですね。逆に戦力が増えて、林(#18)と下地(#3)もすごく活躍してくれて、本当に感謝しています。ふたりはインカレが初めてでちょっと気にしていましたけど、いつも通りいけばいいよという風に声をかけたら、ああいう風にやってくれました。そこは助けられましたね」
―3つのキャンパスに分かれているという話ですが、練習はどこかに集まってやっているんですか?
「練習は、合同練習というのが月に3回か4回しかなくて、あとはキャンパスそれぞれで練習している形です。試合前の土日になったら集まるとか、それくらいしかできなくて。でもうちはみんな仲が良いので、チーム一丸となってコミュニケーションは取れていたと思います。そこが最大の武器になりましたね」
―ではキャプテンとしてそこまでまとめることに苦労もなく?
「そうですね。人数が増えてどうなるかなと思ったし、キャプテンを任されたときはすごく不安でしたけど、みんなに支えてもらったので。助けてもらって、本当に感謝ですね。その一言です」
―リーグ戦は東海地区で3位でしたね。
「はい。それはものすごく悔しかったです。優勝しか狙ってなかったというか、今までもずっと勝ってきて東海では優勝しなきゃいけないチームだと思っているので。でもそこからみんなすぐ切り替えて、『次はインカレだ!』という感じになることができました。うちは切り替えの早いチームなので(笑)。3位になってもすぐ次の練習からみんなで盛り上げてやれたのは良かったですね。組み合わせが決まって専修となっても、『よしやるか!』みたいな感じでしたし」
―去年までチームの柱だった和田選手とジャーラ選手が卒業して、今シーズンはチームも合併して本当に再スタートという感じだったと思いますが。
「そうですね。まわりからもシダット(ジャーラ)と力也さんが抜けて、今年の常葉大はダメでしょと言われていました。でも逆にやりやすかったですね。そういう評判も見返してやるよというか、ふたりがいなくてもやってやるよって感じの勢いだったので」
―こういう風に専修大をあと一歩のところまで追いつめて、見返せた部分はあると思います。
「勝てれば一番良かったんですけど、でもまぁ頑張れましたね。それに、今まであの人たちから学んだことは本当に多いので。4年間でチームも本当に成長していったと思います」
―去年ジャーラ選手が、和田選手の存在によって、まわりの選手も自信をつけて変わったと言っていました。
「そうですね。結果も残してきたし、力也さん自身もあのサイズなので、小さくてもやれるんだ、みたいなものは教えてもらいました。それに力也さんは、ああ見えてずっとチームのムードメイカーだったんですよ。試合前も、緊張してガチガチになっている人に声をかけて和ませるとか。そういうところも勉強になりましたね」
―戸島選手は鹿児島のれいめい高校出身ですよね。地元は鹿児島なんですか?
「あ、そうなんです。遠くから来ちゃいました(笑)。楽しくバスケットができるところに行きたいと思って浜大に来ました」
―実際、4年間楽しくやれましたか?
「はい。それは本当に。楽しくやらせてもらいましたね。ここに来て正解でしたね。本当にいろんな人に支えられて、楽しくバスケットができました」
―後輩たちに向けて。
「今年のリーグ戦で3位になってものすごく悔しい思いをしたので、来年はまず東海で1位を獲って、インカレでも1勝でも多く勝てるように頑張ってほしいですね」
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「最後は笑って終わりたかった」
体現した大好きなバスケットを楽しむ気持ち
◆#0占部賢人(鹿屋体育大・4年・PG)
結果的には筑波大相手に点差を開かれてしまった鹿屋体育大。それでもコートで『バスケットを楽しもう!』と仲間に声をかけ続け、得意のトリッキーなアシストパスで会場を沸かせたのが占部だった。木屋瀬中・北陸高校と全国レベルを経験してきたが、鹿屋体育大に進学してから「腐りかけた時期もあった」という。それでも「後悔したくない」と、鹿屋大としての誇りを持って戦い続け、司令塔としてチームを引っ張った。ラストイヤーとなる今年もバスケットスタイルの変化や怪我にも悩まされ苦労も多かった様子だが、最後まで楽しむ姿勢は貫いた。見ているものにもインパクトを残した選手だった。
―試合を振り返っていかがでしたか?
「やっぱり筑波さんは高校時代から有名だった選手ばかりで、キャリア的にも最初から鹿屋と筑波とで差はあったと思うんですけど、それ以外の気持ちの面だとかバスケットに対する思いは負けていなかったと思います。ただ向こうは高さもあって、村越くん(#92)とか武藤くん(#32)にはやられましたね。関東のレベルの高さを思い知らされました」
―高さがない中で、今年一年どういうところを工夫してきましたか?
「鹿屋体育大学は学生主体として活動していて、今シーズンも上野経雄コーチになってからプリンストンオフェンスを取り入れて新しいバスケットをしてきました。バックカットを中心に、平面でやるバスケットを徹底してきて。ディフェンスでもいろんなシステムを使って頭を使うバスケットをしてきたし、そういった面で高いチームにも対抗してきたと思います」
―福田コーチがいた頃からプリンストンオフェンスはやっていましたよね。
「プリンストンは僕たちが1年の時までやっていて、2年・3年の時は金本コーチのもとでまた別の戦い方をやってきた時期でした。それで今年上野コーチになってまた始めた形ですね。僕ら4年はかじった程度ですが経験もあったので、すんなり馴染んだ部分はあったかなと思います」
―では3年生以下にとっては真新しいスタイルということになりますね。
「そうですね。3年生以下はまったく知らなかったので、本当にシンプルにハイポストに入れてバックカットの練習とか、そういう中学生がやるような練習から始めました。本当にベーシックなところからやっていって、なかなか上手くいかないことも多かったし衝突もたくさんあって難しい1年間だったんですけど、でも自分のラストイヤーなので、大好きなバスケットを楽しむ気持ちでインカレには臨みましたね」
―楽しんでいる様子は伝わってきました。ベンチも応援席も、みんなすごく声を出していましたね。
「それは鹿屋の良さですね。今日もサプライズみたいな感じで女バスが応援に来てくれていて。まさかわざわざ鹿児島から東京まで来るとは思ってなかったので、本当にびっくりしました。男子も、4年生のメンバーに入ってないやつは引退なんですけど、さっきも三川くん(#14)とか内野くん(#89)とかが声を出してしっかりサポートしてくれましたね。Aチーム以外の人たちが、練習が終わったあとにおにぎりを作ってくれていたりとか、練習の補助をしてくれたりとか、本当に尽くしてくれていたので。勝って恩返ししたかったんですけど、悔しかったですね」
―チーム一丸となって戦う雰囲気がありましたが、それはどこからくるものなんでしょう。
「やっぱりうちはキャリアとかスキルとか高さがあるわけでもないし、スーパースターがいるわけでもないので、本当にコートに出る5人、またベンチとか応援してくれている人たちと一緒に戦わないと、勝てる相手ではないと。それでひとつになって戦えた感じです」
―点差は離されてしまいましたが、気持ちを切らさず最後まで戦う良いチームだなと思いました。
「ありがとうございます。やっぱり僕たちみたいなちっちゃいチームでも、まわりに感動とかを与えられたらいいなと思っていたので。そう思って練習も取り組んできましたし、何か、鹿屋として残せればなと。名前だけでも見てくれた人に覚えてもらえられれば、僕たちがバスケットをしてきた意味もあるんじゃないかなと思っていました」
―自分個人の出来はいかがでしたか?
「うーん…僕の得意なプレーはアシストなんですけど、相手も研究してきていますし、結構読まれている部分もあって。本調子というか、絶好調というプレーではなかったですね。そこは悔やまれますけど、でもそれは仕方ないことで。関東の強いチームは初戦が悪くても勝ち上がっていくうちに個人個人も調子を上げられると思いますが、地方のチームは本当に初戦に自分の力をぶつけないと勝てないので、そこは難しいところですね」
―それでも最後までコートで『バスケットを楽しもう!』とみんなに声をかけていましたね。
「そうですね。やっぱり大好きなバスケットボールをこうやって続けさせていただいているので。本当に感謝して、本当に楽しんでプレーしようと思いましたね」
―学生最後の今年1年はどんなシーズンでしたか?
「自分は半年間、怪我と就活と実習とあってバスケットから離れていて、その時に春季リーグがあって鹿屋は5位だったんです。そこからリーグ戦の直前に復帰して、リーグ前の遠征にちょっと参加してほぼぶっつけ本番みたいな形でリーグに臨んで。本当にバスケットをしたのはリーグからでしたね。で、最後までリーグも4位になるかの崖っぷちだったんですけど、そこでまたチームがまとまって。運良く2位という形でインカレに来られたので良かったです」
―苦しいことも多かったんですね。4年目で心境なども違いました?
「そうですね。やっぱり引っ張っていかなきゃいけない責任とかプレッシャーも正直ありましたし。OBの方たちが残してくれた伝統もあるので、しっかり受け継いでいかなきゃいけないなという思いはありましたね」
―北陸高校から鹿屋体育大に進んで、4年間振り返ってどうでしたか?
「最初は高校とのギャップとかもあってなかなか試合にも出させてもらえなくて本当に腐りかけた時もあったんですけど、でもやっぱり鹿屋に入学するというのは自分自身で決めたことで、本当に後悔したくないなと。最後は笑って終わりたいなと思ってここまでやってきました」
―そうした4年間を一緒に過ごしてきた同期にはどんな思いがありますか?
「僕たちの学年は12人いて人数が多い学年なんですけど、本当にプライベートでもよくごはん食べにいったり遊びにいったりして仲良くて。あと、このインカレのためにプレイヤーからスタッフ(アシスタントコーチ)になってくれた栗田くんって人がいるんですけど、彼が本当に厳しいことも言ってくれて。そういう存在がいたからこそ、僕らも12人まとまってやってこられたのかなと思います」
―4年間で後輩たちに伝えられたものは何だと思いますか?
「たぶん人としての見本にはならなかったと思うんですけど、バスケットを楽しむということは後輩にも教えられたかなと思います。好きなことをやっているわけなので、そこは忘れないで欲しいですね。来年、九州でもレベルが高いのでまた厳しい戦いが待っていると思うんですけど、後輩たちなら大丈夫だと思います。頑張ってほしいです」
地方勢対決は富山大・愛知学泉大に軍配が上がる

富山大と岩手大の試合は、前半こそ互角となったが3Qが勝負の分かれ目となった。立ち上がりにリードしたのは、#12工藤(2年・F)らが素早いトランジションから得点した岩手大。しかし固さのとれた富山大も#35中村(3年・F)や#33苗田(1年・F・北陸)のアウトサイドが決まり、2Qに逆転。岩手大も#4田中舘(4年・F)の得点でつないで、前半は46−42と4点ビハインドに留めたが、3Qの出だしで足が止まり、得点が止まる。その間に#41小山田(2年・F)や#33苗田のシュートが決まった富山大が置き去りにし、95−70と最後は差を広げて1回戦を突破した。
愛知学泉大は新潟医療福祉大と対戦。序盤こそイージーシュートがこぼれて離せそうで離せない展開が続いたが、徐々に動きも良くなりじわじわと点差を広げていった。新潟医療福祉大は#18江部(2年・SF)の得点などで対抗しようとするが、愛知学泉大の激しいプレッシャーを前になかなか得点が伸びない。#6森川(4年・SF)の28得点をはじめ4人が二桁得点を奪った愛知学泉大が80−54で勝利した。
白鴎大と愛媛大の対戦は、白鴎大が序盤で大差をつけると、主力を下げベンチメンバーを出場させる余裕の展開となった。愛媛大は、途中連続で速攻を決める見せ場も作ったものの、なかなか一矢報いることは叶わず。またしても四国勢初の1勝とはならなかった。白鴎大は控え選手の活躍にベンチも最後まで大いに沸き、132−47と大勝。実力が見えるのは、2回戦の愛知学泉大戦となりそうだ。
筑波大と鹿屋体育大の試合は、インサイドで強みを生かした筑波大が優位に立った。序盤から#32武藤(4年・C)のバスケットカウントや#92村越(2年・PF)のリバウンドシュートが出る筑波大に対し、鹿屋体育大は#17土器手(1年・SF・川内)の3Pでなんとかついていく形に。それでもフリースローでコツコツと加点し、#0占部(4年・PG)から#15深江(2年・PF)へ巧みなアシストも通って2Q終盤には3点差に。しかし3Qで#21笹山(3年・PG)や#14坂東(3年・SG)の3Pも効果的に決まった筑波大が点差を引き離し、最後は#10山田(3年・SF)や#42坂口(4年・PG)らベンチメンバーも活躍して追い打ちをかけて97−73で筑波大が快勝した。
写真:鹿屋体育大は最後まで応援団も含めて声を出し、一丸となって戦った。
※岩手大・田中舘選手、鹿屋体育大・占部選手のインタビューは「続きを読む」へ。
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【シーソーゲームを大東大が最後に抜け出す】

幸先の良いスタートを切ったのは大阪学院大だった。関西新人王の#7澤邉(1年・SG・九州学院)、大黒柱の#99藤田(3年・PF)が3Pを立て続けに決め、#20合田(2年・PG)のシュートも決まって良いリズムを作る。大東大は#30鈴木(4年・SG)の2本の3Pで対抗するも、どこか固さも見えて後手にまわった。強みの高さもシュートがぽろりとこぼれて思うように生かせず、1Qは13−20。だが2Q中盤には12点差をつけられるものの、#55永井(4年・SG)がリバウンドで粘り、#8戸ケ崎(4年・F)もルーズボールに奮闘して#86小野寺(4年・C)のシュートにつなげるなど一桁差に。大阪学院大は残り5分半の間無得点に終わり、前半は29−29と互角になった。

初戦とあって、序盤はなかなか思うようにプレーがつながらなかった大東大。それでも徐々に動きは良くなり、終盤の勝負所で流れを掴んで競り勝った。入れ替え戦から切り替え、チームの雰囲気は暗くない。次の戦いで力を発揮したい。
大阪学院大は夏の練習試合で大東大に大敗しており、そこから成長も見えた試合に。あと一歩のところで白星をさらわれたのは悔しいが、下級生主体なだけに今後へと期待の持てる内容となった。怪我人も復帰すれば、来季はさらにレベルアップしたチームが見られるはずだ。
写真上:ワンポイントの出場でも良い働きを見せた大東大の主将・永井。
写真下:本来のポジションではないがインサイドを任される場面もあり、オールラウンドな働きをした大阪学院大・北川。
※大阪学院大・藤田選手のインタビューは「続きを読む」へ。
【常葉大が善戦するも、専修大が3点差で逃げ切り】

序盤から点差が付かず離れずの展開が続いた。専修大に#24田代(2年・SF)の3Pや#11宇都(4年・G)の速攻が出れば、常葉大も#2会沢(4年・SF)が3Pでバスケットカウントを獲得するなど流れを変えるプレーで対抗。常葉大が一桁差のまま並走すると、2Q中盤には#14原口(2年・G)の連続得点で逆転に成功した。専修大も#0大澤のアウトサイドでなんとかつなぐが、常葉大のゾーンディフェンスを前に大量得点とはいかない。45−39と6点差で前半を終えた。

常葉大の思いきりの良いオフェンスにディフェンスが後手にまわり、相手のゾーンにどこか重いオフェンスを強いられた専修大だったが、リバウンドで13本の差をつけ、勝負所でも#6渡辺や#47藤田のリバウンドでの貢献が大きかった。3点差で1回戦を突破。次はベスト8をかけて富山大と対戦する。
あと一歩のところまで専修大を苦しめた常葉大。チームの前身となる浜松大で4年間チームの柱だった和田とジャーラが卒業し、東海地区でも3位に沈んだ今シーズンは、決して前評判は高くなかったものの、その分「見返してやろうという気持ちがあった」と戸島。その言葉通り全員が最後まで粘り強く戦う戦いぶりは、常葉大として新たなスタートを切ったチームにとって印象深いインカレとなったはずだ。来シーズンからの戦いにも期待したい。
写真上:リバウンドなどアグレッシブなプレーでチームを勢いづけた専修大・渡辺。
写真下:伸びやかなシュートを次々決めた常葉大・会沢。
※常葉大・戸島選手のインタビューは「続きを読む」へ。
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【INTERVIEW】「勝負の時こそ強気でプレーする」
得点源として、主将として背負った責任
◆#4田中舘 洸(岩手大・4年・主将・F)

―前半は互角の勝負でしたね。3Qで崩れてしまったのが惜しかったなと。
「そうですね。自分たちは相手と比べてもサイズがないので、出だしが勝負だから最初からどんどん走っていこうと言っていました。それはうまくいって、ブレイクも出せたし思い切り良くシュートも打てたと思います。でも自分が序盤にシュートを何本か決めてから相手のディフェンスがぴったりディナイにきて、自分はまわりの人にスクリーンをかけようという意識に切り替えたんですが、その時にみんな足も止まってしまったというか…。自分の点数でリズムを取れなくなったときにまわりも止まってしまいました。前半が終わるまではなんとか保っていたんですけど、後半に入ってからセットオフェンスになったときに全部止まってしまったし、ブレイクもちょっと走りきれなくなってしまって。あとは相手のシュートが3Qで入り始めて、こっちは入っていなかった。走れなかったことと、シュート力の差が出てしまったと思います」
―それでも前半から要所で息の合った連携プレーは出ていましたね。そこはサイズのない中で、この1年やり続けてきたことかと思いますが。
「はい。練習からドライブを仕掛けて合わせのプレーはやっていました。自分たちはやっぱり小さくて外のシュートが主体なので、積極的に外のシュートを打っていって、ディフェンスが外に出てきたら今度はドライブ。でもサイズがないぶん外したシュートのリバウンドを取ることがあまりできないので、なるべくドライブして中で合わせてノーマークで決めるということを常に意識してきました。自分も、点数をとっていくとディフェンスも寄ってくるので、そうしたら合わせのパスを出すようにしています。ただそこも、後半はあまりなくなってしまったかなと」
―自分個人の出来はいかがでしたか?得点源として点を取らなきゃという気持ちはあったと思いますが。
「そうですね。前半に関してはまだ良かったんですけど、後半はなかなか…。相手は後半に入っても自分に対するディナイのところは続けてきて、そこで1対1で走り回っても、フェイスガードされているとボールをもらいづらくなってしまって。だからまわりにスクリーンをかけて、まわりのやつがあけばそれでいいし、あかずに自分のマークマンが下がれば自分がセカンドでもらおうという意識だったんですけど、ちょっと全体的に一人ひとりのボールを持っている時間が長くなってしまいました。ボールがうまくまわらなくなって、ちょっとリズムが悪くなったなと。そこは悔しいの一言です」
―4年生として、このインカレには特別な思いもあったと思います。
「そうですね。今年のチームは、4年生が2人しかいないんです。5番のやつ(仲澤)がもうひとり4年生なんですけど、あまり長く試合には出られない形で4年生の影響力がほとんどなかったので、今年のチームでインカレに来られるか、リーグ戦で勝てるか、というのがまずすごく不安でした。でもリーグ戦でなんとか勝って、こうやって2年連続でインカレに来られて…」
―2年連続でのインカレ出場はかなり久々だそうですね。
「そうなんですよ。40年ぶりくらいとかで。だから4年生がふたりでもリーグ戦で勝ててインカレに来られたのはすごく嬉しかったんですけど、チームとして目標にしていたのはインカレの初戦に勝つことで。しかも今年は組み合わせが出て、富山大の人には失礼なんですけど、相手が関東のチームではなかったので、まわりの人にも初戦頑張れば勝てるんじゃないかとか期待もされていました。だからなんとか初戦を突破して去年の成績を超えたかったんですけど…まだまだ力不足でした」
―去年のキャプテンの吉田選手は、普段の練習が一番大事だということでまわりにも厳しく言い続けたと言っていましたね。今年は4年生の人数が少ない中で、そういう役目も果たしていく立場でしたが。
「そうですね。でもそこはすごく難しかったです。自分は中学校で一回キャプテンをやったくらいで、正直引っ張っていくキャラじゃないんです(苦笑)」
―プレーで引っ張るタイプなんですね。
「はい。あまりうまく口で言えるようなタイプではなくて…。自分も練習中だらけたところではちゃんと締めたり、練習の雰囲気が悪くならないよう声を出したり、できる範囲でやろうとしてきたんですが、どうしても柄じゃない部分があったかなと。それでちょっと厳しくしきれない部分がありました。でもそのぶん、プレーの部分に関して、そこだけはしっかり崩れないように常に意識してやってきたと思います」
―岩手大での4年間はいかがだったでしょう。
「大変でしたね。どの学年になっても、センターらしい大きい選手がいなかったので。3つ上に190のセンターの人がひとりいたくらいで、あとはずっと180前後の高さでやってきました。やっぱりリバウンドの部分が特に苦しかったですね」
―チームも毎年人数が少ないですよね。今年も16人だそうですが。
「そうですね。岩大はスポーツ推薦も学年にひとりとかふたりで、だいたいみんな勉強してセンターを受けて入ってくる一般生なんです。結構高校の時は県でベスト8とかそれ以下の進学校の人が多くて。もちろんひとりふたりは全国に出ていたやつも入ってくるんですけど、やっぱり全国とか出てなかった人たちみんなで練習して、うまくなっていくチームです。自分は盛岡市立でスポーツ推薦だったんですが、そうやってチーム状況も厳しい中で、やっぱり普段の練習からだと。うちは先生も忙しくてなかなか練習に来られないので、練習メニューをメールでもらって自分たちだけで練習することも多くて、本当に普段の練習から自主性を持ってやってきましたね」
―では練習の雰囲気なども結構4年生にかかっていたんですね。
「そうなんです。そこでやっぱり4年が2人しかいないのは大変でしたし、もうひとりのやつも声を出すタイプじゃなくて、後輩たちをまとめる苦労は結構ありましたね。やっぱり自分のプレーがうまくいかないと後輩にも言いにくくなるというか。『自分ができてないのにまわりに言えないだろう』みたいな考えも自分はあるし、でもそれでも言い続けなきゃいけないし、そこは大変でした。どんなに調子が悪くても言うようにはしてきたんですけど、やっぱり3年生以下はまだ自分たちの代ではないので4年生と同じような緊迫感とか危機感とか自覚を持つのは難しいし、どうしてもゆるくなってしまった部分もちょっとあったかなと。自分には4年生として足りない部分も多くて、去年の吉田竜二さんと比べたら自分はキャプテンとして全然及ばなかったですね」
―それでもエースとして頼もしかったですし、後輩たちに伝えられたものもあると思いますが。自分は4年間でチームに何を残せたと思いますか?
「東北の大会で競った試合とかもあったんですけど、自分が点数をとってなんとか勝てた試合もあって。そういう勝負の時こそ強気でプレーする姿は、見せられたんじゃないかなと思います。今日も点差は開いたんですけど、最後まで声を出して諦めないでやろうという気持ちは自分も持っていたし、それは後輩もベンチもそういう雰囲気があったので。そこは残せたかなと思います。来年も自分たち4年生2人が抜けるだけなので、またインカレに来てくれると信じています」
―田中舘選手は盛岡市立高校出身ということで、東海大の晴山選手の先輩にあたるんですね。
「そうですね。1個上です。ケビンは、高校からバスケットを始めて、リアルな桜木花道です(笑)。ほんっとに。どんどん上手くなってますね。高3から3Pとかも打ち始めて、見てても『おー、どこまでいくの?君』って感じでしたね(笑)。今もさらにガタイが良くなって、シュートも入るようになったみたいですし」
―では岩手に帰る前に試合は見ていかれるんですか?
「そうですね。28くらいまではいるので。それに東北出身の選手はわりと知り合いがいるので。筑波の武藤とか、青学の畠山とか高橋貴大とか。見れたら見て帰ろうと思います」
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「来年、リベンジしに戻ってくる」
善戦から手応えを手にし、さらなる飛躍を誓う
◆#99藤田 兼士朗(大阪学院大・3年・PF)

―最後まで分からない試合でしたが。
「そうですね。大東とは今年の夏に北海道で合宿したときに試合をしていて、そのときに30点差くらいでボコボコにされたんです。だから組み合わせが決まってからみんなでリベンジしようということで挑みました。結果届かなかったんですけど、みんなそれぞれシュートタッチも良かったし、戦えたなという実感もあったので良かったと思います」
―夏にやったときからどういう部分が良くなったんでしょうか。
「前回はダブルチームで潰されて全部速攻に持っていかれてしまったんですけど、それを課題に取り組んできて、今回はあまりそういう場面もなく改善できたと思います。そうやってボールをしっかり運べていたのと、あとは身長差があっても今回は中で戦えた部分もあったので、そこは良かったかなと思います」
―相手に高さでは劣りますが、工夫した点などはありますか?
「小さいということはみんな分かっていたので、リバウンドなども全員で飛び込んで。あとは小さい分走りまわるしかないので、普段の練習からめちゃくちゃ走ってきました。それでディフェンスからリバウンドをとってブレイクも出せたのは良かったかなと」
―最後残り3分半くらいまでは同点でしたが、そこから一気に流れを持っていかれてしまいましたね。要因はどこにあると思いますか?
「たぶん集中力が切れてしまったのかなって。それは課題ですね。最後に追い返そうとしたんですけど、ちょっと手遅れでした。もっと早く立て直せていれば、また違ったのかなと思います」
―自分自身は3年生ですが、どういう気持ちでインカレに臨みましたか?
「やっぱり4回生が練習とかではメインになって引っ張ってくれたので、試合にはあまり出られていなかったんですけど本当に4回生の思いも考えてひとつでも多く勝ちたいと思っていました。でもこうやって初戦で負けてしまったので、来年は今年の4回生のためにもこの経験を生かしてベスト4を目指したいと思います」
―今シーズンは春に小阪選手が怪我してしまったことも影響は大きかったと思いますが。
「そうですね。やっぱり大黒柱の方が怪我してしまったので、インサイドが小さくなってまた一からチームを作り直すような形でした。自分個人としても、試合に出る人の中で一番大きいということで、やらなきゃという気持ちはありましたし。でもチームの中では大きくてもやっぱり他のチームの同じポジションの人と比べたら小さい方なので、苦労はありましたね。そこはもう運動量でカバーするしかないと。あとはまわりの人にフォローしてもらった形ですね。リバウンドとかも僕ひとりでは絶対に取れないので、『弾くから取って』というのをみんなに伝えて、チーム全員で取りにいくようにしました」
―春に一からチームを作り直すことになって、チームの完成度はだんだん上がっていった感じですか?
「はい。最初は正直どうなるかと思ったし、インカレに来られるかどうかも分からなかったんですけど。でもインカレに来られて大東ともこうやって良い試合ができたので、思った以上に良かったかなと思います。来年が楽しみですね」
―今年も3年生以下が主体のチームですしね。去年卒業した石原選手がやっていたポイントガードの穴は、今年から2年生の合田選手が埋めている形ですね。もともと2番ポジションだったように思いますが。
「そうですね。あいつも今年からポイントガードになって。石原さんと合田は結構タイプが違って、石原さんは自分でドライブに行ってアシストすることが多かったんですけど、合田はジャンプシュートが入るので。だから僕らがあいつをフリーにさせて打たせることも考えていますね。あいつもまだ2回生なので、ちょっと気負ってしまった部分はあると思うんですけど、そこは上級生の責任だったかなと思います」
―試合に出る4年生が少ないということで、3年生も強い自覚を持っているようですね。
「はい。77番の北川とかも、本来は上のポジションだったんですがチーム事情的に急きょ下のポジションに落ちることになったんです。だから大変な部分もあったと思うんですけど本当に頑張ってくれて。まぁディフェンスは大変だと思うんですけど、オフェンスでは逆に大きい人がつくと逆ミスマッチみたいな感じでスピードを生かして抜けていたので、そこは良かったかなと思います」
―来年も期待しています。
「はい。今年のように走って、さらにサイズも大きくなれば全国とも戦えると思うので。僕らの目標は去年からずっとインカレベスト4なので、来年こそ絶対入れるように。リベンジしに戻ってきます!」
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「チーム一丸となってコミュニケーションは取れていた」
合併しても揺るがなかったチーム力
◆#41戸島健矢(常葉大・4年・主将・SG)

キャンパスがバラバラで、練習も限られた合同練習の中でやりくりする形となり、他のチームにはない難しさも多々あっただろう。それでもコミュニケーションをとり、今年が初のインカレとなる4年生の林や下地も奮闘した。白星には残らなかったものの、彼ら4年生が残したものはチームにとって非常に大きかったはずだ。
―ずっと食らいついていく展開でしたが、振り返ってどういう点が良かったと思いますか?
「練習でやってきたことを、そのまま出し切れたかなと思います。シュートもみんな思い切りよく打てて、2番の会沢とか14番の原口もよく決めてくれたし、0番の居村も良いアシストを出してくれて。本当に全員が良い役割を果たして、常葉大の一番良い形を出せたかなと」
―応援もにぎやかでしたしね。
「そうですね。見ていただければ分かる通り、あんな感じです、常葉大は(笑)。応援席も、監督もコーチも選手もみんなにぎやかですね」
―逆にあと一歩及ばなかった要因はどこにあると思いますか?
「リバウンドを課題としてやってきたんですけど、やっぱりそこでやられたなと思います。うちの方がサイズは小さいのは最初から分かっていたし対策もしてきたんですけど、どうしても打たれたあとのボックスアウトが甘くなってしまって。敗因はそこですね」
―今日ディフェンスはほぼゾーンでしたね。
「はい。そこは相手への対策で。サイズでは完全に負けているので、外は捨てて中だけは頑張って守ろうという感じでした」
―11番の宇都選手は相手チームのキーマンになるところかと思いますが。
「そうですね。でもそんなには気にしてなかったです。ゾーンなので、みんなでコミュニケーションとって全員で守ればいいよと」
―オフェンスでは、去年までの浜松大を見ているとディレイドのイメージが強いのですが、今日は速攻を出す場面も多かったですね。
「そうですね。今年はサイズが低いので、なるべく行けるところは全部走ろうみたいな感じで。走って無理なら、もう一回落ち着いて自分たちのリズムでやろうみたいな形でした」
―同点になった場面で、『いける』という思いはありましたか?
「ありましたね。というか、試合中ずっとありました。少し離されても、一桁差なら全然うちのペースだと。最後に1点でも勝てば、勝ちは勝ちだということでそこを狙っていたんですけどね」
―常葉大は今年浜松大・常葉学園大・富士常葉大の3チームがひとつに合併した形ですが、苦労もあったのでは?
「いや、でも最初から結構みんな仲が良かったので。合併する前から、会場で会って『一緒になるね〜』って話はしていたし、合併してからも練習が始まる前にみんな積極的にコミュニケーションをとりあって良い雰囲気でやれていました。だからそこはあまり問題なかったですね。逆に戦力が増えて、林(#18)と下地(#3)もすごく活躍してくれて、本当に感謝しています。ふたりはインカレが初めてでちょっと気にしていましたけど、いつも通りいけばいいよという風に声をかけたら、ああいう風にやってくれました。そこは助けられましたね」
―3つのキャンパスに分かれているという話ですが、練習はどこかに集まってやっているんですか?
「練習は、合同練習というのが月に3回か4回しかなくて、あとはキャンパスそれぞれで練習している形です。試合前の土日になったら集まるとか、それくらいしかできなくて。でもうちはみんな仲が良いので、チーム一丸となってコミュニケーションは取れていたと思います。そこが最大の武器になりましたね」
―ではキャプテンとしてそこまでまとめることに苦労もなく?
「そうですね。人数が増えてどうなるかなと思ったし、キャプテンを任されたときはすごく不安でしたけど、みんなに支えてもらったので。助けてもらって、本当に感謝ですね。その一言です」
―リーグ戦は東海地区で3位でしたね。
「はい。それはものすごく悔しかったです。優勝しか狙ってなかったというか、今までもずっと勝ってきて東海では優勝しなきゃいけないチームだと思っているので。でもそこからみんなすぐ切り替えて、『次はインカレだ!』という感じになることができました。うちは切り替えの早いチームなので(笑)。3位になってもすぐ次の練習からみんなで盛り上げてやれたのは良かったですね。組み合わせが決まって専修となっても、『よしやるか!』みたいな感じでしたし」
―去年までチームの柱だった和田選手とジャーラ選手が卒業して、今シーズンはチームも合併して本当に再スタートという感じだったと思いますが。
「そうですね。まわりからもシダット(ジャーラ)と力也さんが抜けて、今年の常葉大はダメでしょと言われていました。でも逆にやりやすかったですね。そういう評判も見返してやるよというか、ふたりがいなくてもやってやるよって感じの勢いだったので」
―こういう風に専修大をあと一歩のところまで追いつめて、見返せた部分はあると思います。
「勝てれば一番良かったんですけど、でもまぁ頑張れましたね。それに、今まであの人たちから学んだことは本当に多いので。4年間でチームも本当に成長していったと思います」
―去年ジャーラ選手が、和田選手の存在によって、まわりの選手も自信をつけて変わったと言っていました。
「そうですね。結果も残してきたし、力也さん自身もあのサイズなので、小さくてもやれるんだ、みたいなものは教えてもらいました。それに力也さんは、ああ見えてずっとチームのムードメイカーだったんですよ。試合前も、緊張してガチガチになっている人に声をかけて和ませるとか。そういうところも勉強になりましたね」
―戸島選手は鹿児島のれいめい高校出身ですよね。地元は鹿児島なんですか?
「あ、そうなんです。遠くから来ちゃいました(笑)。楽しくバスケットができるところに行きたいと思って浜大に来ました」
―実際、4年間楽しくやれましたか?
「はい。それは本当に。楽しくやらせてもらいましたね。ここに来て正解でしたね。本当にいろんな人に支えられて、楽しくバスケットができました」
―後輩たちに向けて。
「今年のリーグ戦で3位になってものすごく悔しい思いをしたので、来年はまず東海で1位を獲って、インカレでも1勝でも多く勝てるように頑張ってほしいですね」
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「最後は笑って終わりたかった」
体現した大好きなバスケットを楽しむ気持ち
◆#0占部賢人(鹿屋体育大・4年・PG)

―試合を振り返っていかがでしたか?
「やっぱり筑波さんは高校時代から有名だった選手ばかりで、キャリア的にも最初から鹿屋と筑波とで差はあったと思うんですけど、それ以外の気持ちの面だとかバスケットに対する思いは負けていなかったと思います。ただ向こうは高さもあって、村越くん(#92)とか武藤くん(#32)にはやられましたね。関東のレベルの高さを思い知らされました」
―高さがない中で、今年一年どういうところを工夫してきましたか?
「鹿屋体育大学は学生主体として活動していて、今シーズンも上野経雄コーチになってからプリンストンオフェンスを取り入れて新しいバスケットをしてきました。バックカットを中心に、平面でやるバスケットを徹底してきて。ディフェンスでもいろんなシステムを使って頭を使うバスケットをしてきたし、そういった面で高いチームにも対抗してきたと思います」
―福田コーチがいた頃からプリンストンオフェンスはやっていましたよね。
「プリンストンは僕たちが1年の時までやっていて、2年・3年の時は金本コーチのもとでまた別の戦い方をやってきた時期でした。それで今年上野コーチになってまた始めた形ですね。僕ら4年はかじった程度ですが経験もあったので、すんなり馴染んだ部分はあったかなと思います」
―では3年生以下にとっては真新しいスタイルということになりますね。
「そうですね。3年生以下はまったく知らなかったので、本当にシンプルにハイポストに入れてバックカットの練習とか、そういう中学生がやるような練習から始めました。本当にベーシックなところからやっていって、なかなか上手くいかないことも多かったし衝突もたくさんあって難しい1年間だったんですけど、でも自分のラストイヤーなので、大好きなバスケットを楽しむ気持ちでインカレには臨みましたね」
―楽しんでいる様子は伝わってきました。ベンチも応援席も、みんなすごく声を出していましたね。
「それは鹿屋の良さですね。今日もサプライズみたいな感じで女バスが応援に来てくれていて。まさかわざわざ鹿児島から東京まで来るとは思ってなかったので、本当にびっくりしました。男子も、4年生のメンバーに入ってないやつは引退なんですけど、さっきも三川くん(#14)とか内野くん(#89)とかが声を出してしっかりサポートしてくれましたね。Aチーム以外の人たちが、練習が終わったあとにおにぎりを作ってくれていたりとか、練習の補助をしてくれたりとか、本当に尽くしてくれていたので。勝って恩返ししたかったんですけど、悔しかったですね」
―チーム一丸となって戦う雰囲気がありましたが、それはどこからくるものなんでしょう。
「やっぱりうちはキャリアとかスキルとか高さがあるわけでもないし、スーパースターがいるわけでもないので、本当にコートに出る5人、またベンチとか応援してくれている人たちと一緒に戦わないと、勝てる相手ではないと。それでひとつになって戦えた感じです」
―点差は離されてしまいましたが、気持ちを切らさず最後まで戦う良いチームだなと思いました。
「ありがとうございます。やっぱり僕たちみたいなちっちゃいチームでも、まわりに感動とかを与えられたらいいなと思っていたので。そう思って練習も取り組んできましたし、何か、鹿屋として残せればなと。名前だけでも見てくれた人に覚えてもらえられれば、僕たちがバスケットをしてきた意味もあるんじゃないかなと思っていました」
―自分個人の出来はいかがでしたか?
「うーん…僕の得意なプレーはアシストなんですけど、相手も研究してきていますし、結構読まれている部分もあって。本調子というか、絶好調というプレーではなかったですね。そこは悔やまれますけど、でもそれは仕方ないことで。関東の強いチームは初戦が悪くても勝ち上がっていくうちに個人個人も調子を上げられると思いますが、地方のチームは本当に初戦に自分の力をぶつけないと勝てないので、そこは難しいところですね」
―それでも最後までコートで『バスケットを楽しもう!』とみんなに声をかけていましたね。
「そうですね。やっぱり大好きなバスケットボールをこうやって続けさせていただいているので。本当に感謝して、本当に楽しんでプレーしようと思いましたね」
―学生最後の今年1年はどんなシーズンでしたか?
「自分は半年間、怪我と就活と実習とあってバスケットから離れていて、その時に春季リーグがあって鹿屋は5位だったんです。そこからリーグ戦の直前に復帰して、リーグ前の遠征にちょっと参加してほぼぶっつけ本番みたいな形でリーグに臨んで。本当にバスケットをしたのはリーグからでしたね。で、最後までリーグも4位になるかの崖っぷちだったんですけど、そこでまたチームがまとまって。運良く2位という形でインカレに来られたので良かったです」
―苦しいことも多かったんですね。4年目で心境なども違いました?
「そうですね。やっぱり引っ張っていかなきゃいけない責任とかプレッシャーも正直ありましたし。OBの方たちが残してくれた伝統もあるので、しっかり受け継いでいかなきゃいけないなという思いはありましたね」
―北陸高校から鹿屋体育大に進んで、4年間振り返ってどうでしたか?
「最初は高校とのギャップとかもあってなかなか試合にも出させてもらえなくて本当に腐りかけた時もあったんですけど、でもやっぱり鹿屋に入学するというのは自分自身で決めたことで、本当に後悔したくないなと。最後は笑って終わりたいなと思ってここまでやってきました」
―そうした4年間を一緒に過ごしてきた同期にはどんな思いがありますか?
「僕たちの学年は12人いて人数が多い学年なんですけど、本当にプライベートでもよくごはん食べにいったり遊びにいったりして仲良くて。あと、このインカレのためにプレイヤーからスタッフ(アシスタントコーチ)になってくれた栗田くんって人がいるんですけど、彼が本当に厳しいことも言ってくれて。そういう存在がいたからこそ、僕らも12人まとまってやってこられたのかなと思います」
―4年間で後輩たちに伝えられたものは何だと思いますか?
「たぶん人としての見本にはならなかったと思うんですけど、バスケットを楽しむということは後輩にも教えられたかなと思います。好きなことをやっているわけなので、そこは忘れないで欲しいですね。来年、九州でもレベルが高いのでまた厳しい戦いが待っていると思うんですけど、後輩たちなら大丈夫だと思います。頑張ってほしいです」
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