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2013.05.03 (Fri)
【その他の試合】第48回日筑戦レポート
伝統の日筑定期戦は筑波大が熱戦を制して連勝
今年で48回目となった日本体育大と筑波大の「日筑定期戦」。伝統の一戦であると同時に、両チームにとってはシーズンを占う試金石のゲームでもある。昨年は新装となった日体大体育館を使用して行われたが、今年は2年ぶりに代々木での開催となった。
この日はBチーム戦である「Junior Varsity戦」で男女いずれも筑波大が勝利。この後に開催される本戦(Aチーム戦)でも、筑波大がアベック勝利を果たし、両チームの明暗がくっきり分かれる結果となった。筑波大はこれを弾みに更なるステップアップを、日体大はこの日得た収穫と反省点をトーナメントにつなげたいところだ。
写真:閉会式後に行われた集合写真撮影。熱戦後だったが、両チーム和やかな雰囲気で一日を締めくくった。
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【男子Junior Varsity戦】
好ディフェンスの筑波大が男子Bチーム戦を制す
男子ジュニアバーシティ戦は、筑波大が終始リードを保った。#22服部(4年・F)のインサイド、#1橋本(4年・G)のアウトサイドでスコアを伸ばす。サイズで劣る日体大は、筑波大の足を使ったディフェンスの前に苦しみ、シュートの確率が上がらない。#7山下純也(4年・G)が3Pやドライブで孤軍奮闘するものの、チームではトラベリングや3秒オーバーのミスも出てしまい点差が広がっていく。筑波大はベンチスタートの#77梅原(4年・PF)や#33濱砂(3年・PG)も順調に得点を重ね、前半だけで43−23と20点リードを得る。
3Q、このまま引き下がるわけにはいかない日体大は前半なかなか決まらなかった#13中尾(4年・G)、#14田中(4年・G)の3Pで筑波大を追い上げる。しかし筑波大も#41上部(2年・SF)がリバウンドシュートを決め、#12越智(3年・F)が3Pを沈めて安全圏の点差をキープ。62−39と、逆にリードが広がって4Qに。筑波大は勝利がほぼ手中となった状況でも攻撃の手を緩めない。シュート率が上がってきた日体大だったが、この場面で再度オフェンスが単発となってしまう。だが、両チームとも代々木の舞台を噛み締めるように、笑顔でのプレーは最後まで継続。82−49と大差で筑波大が勝利した試合だったが、大きな拍手で「もうひとつの日筑」を締めくくった。
写真:昨年の日筑戦は本戦でスタメンを務めた筑波大・橋本。文句なしの活躍で最優秀選手賞を獲得した。
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【男子本戦】
最終盤で筑波大が抜け出し2年連続の定期戦勝利
女子Bチーム戦、男子Bチーム戦、女子本戦と、いずれも筑波大勝利の中で迎えた男子本戦。この試合も先に抜け出したのは筑波大だった。#92村越(2年・PF)のゴール下、#32武藤(4年・C)や#35池田(4年・SF)がペイント内で合わせて得点を重ねる。開始5分で池田が2ファウルとなるが、日体大も#19中野(4年・F)と#11北川(4年・G)が相次いで2つ目をコールされて苦しい状況に。
だが#13清水(4年・G)のバスケットカウントが出て日体大がリズムを得る。#12周(3年・C)のリバウンドシュートに続き、交代出場の#39松田(2年・F)が3Pを決めて追いつき、1Qは15—15。ペースを掴んだ日体大は2Q早々に得たフリースローを#12周が2つ揃え、#13清水のレイアップでリードを拡大する。だが、筑波大も#10山田(3年・SF)のセカンドショットでついていき、#14坂東(3年・SG)の3Pですかさずリードを奪回。日体大は、筑波大#81小原(1年・C・横浜)の高さを前にインサイドでの得点が伸びず、鍵を握るアウトサイドもことごとくリングに弾かれオフェンスが停滞。徐々に筑波大に離される。しかし日体大は#15濱田(3年・F)のリバウンドシュートで苦境を脱し、#11北川の3Pで追い上げる。筑波大は#14坂東がテクニカルを吹かれるなどしてなかなか日体大を突き放しきれない。前半は33—29と、筑波大4点リードで終了した。
3Q、まずは筑波大のペースに。#32武藤の3P、#35池田が豪快にリバウンドをもぎ取り得点に繋げ、点差を拡大。だが日体大も集中を切らさず、#19中野の連続3P、#75赤土(1年・C・美濃加茂)のミドルシュートであっという間に追いつく。ディフェンスではターンオーバーやチャージングを誘って筑波大の得点を止め、息つく暇もなく#19中野がレイアップを決め逆転に成功。ここからイージーミスも出るが、さらに#11北川のレイアップでリードを拡大する。
しかしこの場面で筑波大は#32武藤・#35池田の4年生コンビが覚醒。池田が速攻のバスケットカウントやアリウープも決めれば、武藤が外を中心に好調にシュートを決めていき5点リードとして3Qを終える。4Qは立ち上がりこそ互いにシュートを決め合うが、#32武藤のバスケットカウントで日体大はたまらずタイムアウトを請求。それでも筑波大は勢いを止めず、#42坂口(4年・PG)が激しいプレスで日体大のターンオーバーを誘い、完全に筑波大が主導権を掌握。#35池田がレイアップに続いて3Pを決めて点差はこの試合最大の17点となった。日体大は再度のタイムアウト後に#13清水の3Pが一本決まるが、既に時間は残り僅か。最終的にはベンチメンバーを送り込んだ筑波大が73—58で快勝を果たした。
思うようにスコアを伸ばせず、なかなか突き放せない展開を強いられた筑波大だが、最終的には池田や武藤の活躍で点差を離しての勝利を果たした。今年は小原というビッグマンもチームに加わり、バランスの良さが一気に向上。昨年は全ての大会で一貫して好成績を残してきたが、今年はタイトル奪取を虎視眈々とうかがう。
昨年は故障者の続出に泣いた日体大は、敗れたもののディフェンスでは通用する部分を見せた。2部リーグからの再出発となるが、主将の清水も「ディフェンスで耐えられた部分は収穫だった」と、この一戦から自信を得た様子。この日は#88万(2年・C)が故障で出場せず、ベストメンバーであればリバウンドの本数も増え志向する「走るバスケット」が展開できるはずだ。まずはトーナメントでの上位進出を狙う。
写真上:最上級生となった武藤は得意の多彩なオフェンスでチーム最多の18得点。
写真下:敗れはしたが、日体大は中野らの思い切りの良いシュートで筑波大に食い下がった。
※筑波大・池田選手、日体大・清水選手のインタビューは「続きを読む」へ。
「やりたいことがたくさんある」
喜びを噛みしめ、チームに恩返しを
◆#35池田龍之介(筑波大・4年・SF)
前半はファウルトラブルに苦しんだが、後半は何度もオフェンスリバウンドをもぎ取りチームを鼓舞。優秀選手賞こそ#32武藤に譲ったが、最終的には14得点で存在感を示した。
昨年はシーズン終盤から調子を上げ、チームの躍進に一役買った。最上級生となった今シーズンは更なる活躍が求められるが、まずは自ら話すように「焦らず自分らしくやって」いくことがベースとなる。
―試合を終えて。
「勝つことができてよかったです。試合前に『自分の役割をしっかり果たそう』という話をして試合に臨みました。チーム的にはよかったと思います。個人的には最初にファウルをしてしまってリズムを掴むのが難しかったですが、助けてもらいました」
―おっしゃる通り、前半はファウルがかさんでベンチを温める時間が長かった訳ですが、後半は要所での活躍が光りました。切り替えはどのように?
「ファウルトラブルで試合に出られなくなる、というのが大学に入ってから初めての経験だったので、何の先入観もありませんでした。それに、みんなが頑張ってくれていたのと、最上級生として情けないプレーをしていたら替わって出てくる同じポジションの選手も不安になるだろうなと思っていたので、何も意識せず試合前のような気持ちでプレーすることを心掛けました。ただ、ファウルはしないようにというのは意識していましたが、それ以外はいつも通りやろうと思っていました」
―中盤までは競った展開になりましたね。
「相手の外のシュートが決まってしまって……。そこのチェックはもっと厳しくすべきでした。あとはリバウンド。相手の方が高くてこぼれ球を拾って入れられてしまいました。あとは、オフェンスでちょっとしたミスが出てしまったことですね。でも、吉田先生がハーフタイムの時に『こういうミスを無くしていけば絶対に点は伸びていくから気にしないでいこう。今は悪くないから大丈夫』とチームに声をかけて下さいました。それが後半に繋がったと思っています」
―突き放したのは4Qでしたが、流れを作ったのは同じ4年生の坂口選手(#42)でしたね。
「そうですね。去年までだったら試合に出てくる場面ではなかったと思うんですが、出てきたときは『ああ、大丈夫だろうな。一緒に頑張ろう!』と思えました。坂口は“チームのために自分は何をすべきか”をいつも考えている奴なんです。そういう気持ちがかっこいいし、彼の言葉を聞いて自分も頑張らなきゃという気持ちになるんです。いつも勉強させてもらってばかりだし、尊敬しています。今日も助けられました」
―即戦力になりそうなルーキーが入ってきて、チーム内の争いも激しくなりそうですね。チームの層が厚くなったことで今後はプレイングタイムをシェアしていくことが多くなるのかなと思ったのですが。
「プレイングタイムについては吉田先生に聞いてみないとわからないところですが、僕としては誰が出ても変わらないチームの方が強いと思っています。替わった選手がみんなで同じくらいのプレーができて、その中で個性を出していくことができればチームは強くなっていくと思います。そういう風になれるように練習からみんなで競い合って頑張っていきたいという気持ちはあります」
―現在のご自身の調子はいかがですか?
「良いとか悪いとかというのは、今は考えていません。『こういうプレーをしてみようかな』とか、誰かがプレーしているのを見て『これを真似してみようかな』という感じでバスケをしているので、調子と言われても難しいですね。今はバスケットができることが本当にうれしいんです。毎年この時期っていつも怪我とかでいなかったじゃないですか。それが悔しかったんですが、今年はこうしてプレーできていて。そうするとやりたいことがたくさんあって…。『こういうプレーをしてみようかな』というコミュニケーションを坂東(#14)や笹山(#21)、武藤(#32)と取っています。先輩後輩関係なく色んな話をできていることがとても楽しいです」
―そういう意味では、シーズンが終わった時に今とは違った池田選手が観られると期待して良いでしょうか?
「どうですかね(笑)?焦らず自分らしくやっていきたいと思います!」
―大学生最後のシーズンはどんな1年にしたいと思っていますか?
「いい結果を残したいというのはもちろんですが、この3年間、僕は怪我をしたり上手く調子が上がらなかったりして、チームや先生にずっと迷惑をかけて恩を受けてばかりでした。何をどうというよりも勝って、今年一年、怪我なくしっかりとやり切って恩返しできればいいなと思っています。今年は恩返しの年だと思ってスタートしました。最上級生としては、僕は引っ張るよりは引っ張られている方なので……(笑)。まあ、引っ張られるまではいかないですが、引っ張らなくても自分のやるべきことはしっかりとやっていかないといけないなとは思っていて。今はそれを周りの人が受け入れてくれているので、ちょっと甘えてしまっているところがあるんですが、まだまだここからなのでしっかりやっていきたいと思っています」
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「変わらず自分たちがやろうとしていることを突き詰める」
課題を冷静にとらえて春シーズンスタート
◆#13清水翔平(日本体育大・4年・G・主将)
最終学年となった今季から、メインガードの役割を担う。同時に伝統の日体大の主将を務めるが、これまでにも主将経験は豊富で本人はプレッシャーなどについて「それほど感じていない」と話す。
新チーム最初の公式戦である日筑戦は敗れたものの手応えは感じている様子。2部リーグからの再出発となるが、北川や中野、周といった経験値の高い選手が揃い前途は決して悪くない。既にトーナメントまでは一週間を切っている。シードの位置を少しでも上げ、最低でも順位決定戦に進出したいところだ。
—試合を振り返って。
「勝てないことはなかったはずですが、試合をやっていてもスタッツを見てもリバウンドとシュート力の差を感じましたね」
—4Qにその差が一気に出た印象です。
「そうですね。自分たちも数字は上がったんですけど、相手の方が全然上でした。そこが1部と2部の違いかな、とすごく実感しました」
—シュートという意味では前半から確率が悪いようでしたが。
「シュートミスは確かに多かったんですけど、その分ディフェンスで耐えられた部分は大きかったと思うので、そこはトーナメントに向けての収穫だったと思います。いつもだったらシュートが入らずにそこで集中が切れることが多いんですけど、ディフェンスで粘れたというのは良かったんじゃないかな、と。反省点ではありますが、同時に良かった部分も見えましたね」
—4Qで離されたのはその部分も影響しているのではないでしょうか。
「そうですね。そこで一回切れてしまった部分はありますね」
—メインガードとしての出場でした。昨年の日体大を見ていて北川選手(#11)がそのまま1番ポジションを務めるのかと考えていたのですが、今年は清水選手がメインガードなんですね。
「そうですね。直接藤田さん(監督)と何か話したわけではないんですが、僕を使ってくれて、自分はその起用に応えるだけです。周りがどう思おうがやるべきことは自分の中では決まっているので、特に違和感は感じていないです」
—今年の日体大の戦い方は、どのようにしていきたいと考えていますか。
「去年に比べて4番ポジションの熊谷さん(現NBL・リンク栃木)の抜けた穴は大きいと思うんですけど、その分新チームが始まった時から走れる速攻のチームを作ろうと言われてきているので、ディフェンスから走るスタイルで今年はやっていこうと考えています」
—ただ、去年までもその考え方はチームとして共有していましたよね。
「そうですね。ただ今年はその部分をもっと強調してやっていこうと考えていますね」
—今日の試合はプレーしてみて、そういった部分の手応えはいかがでしたか。
「正直出なかったかな、と。オフェンスリバウンドを取られた回数が多いので、簡単に出せなかったのが正直なところです」
—スコアの面ではもう少しハイスコアのゲームをやりたかったのでは?
「はい、取り合いぐらいでもいいという考え方でやっていきたいんですど、なかなかそれがはまらないというか……」
—万選手(#88)が負傷欠場で、リバウンドが取れなかった部分が響いたのではないでしょうか。
「それはありますね。ゴール下でファウルを貰えないので。あいつがファウルを貰うことで時間も止まって、確率はどうであれフリースローは貰えるので、その部分は大きいです。ただ今日は周率(#12)がいつもよりリバウンドを取っていたと感じるので、今日はそれほど悪くはなかったかな、と」
—万選手の負傷はいつ頃だったのでしょうか。
「一週間くらい前です。かなり最近ですね。周率を下げて小さくするパターンもあるにはあるんですが、それだとリバウンドが全然取れなくなってしまうので、今日は周率がいないと厳しいところでした。」
—4番ポジションに入った赤土選手(#75)も、ルーキーながら奮闘していましたね。
「入学した時から練習ではスタート扱いで使われているんですど、僕は今日の試合で成長したように見えました。声も自ら出して、ハッスルして、フレッシュさが出ていて。あいつも一年や二年すればもっと計算できる選手になるかなと。身体能力は別にして、技術面だったら熊谷さんよりも上にいけると思うので、楽しみです」
—トーナメントまで残された時間は限られています。一週間弱でどのようにレベルアップを図っていきたいですか。
「フェイ(#88万)もその頃までには戻ってくると思うので、変わらずに自分たちがやろうとしていること、走るバスケを突き詰めて。あとは課題のディフェンスですかね。そこを固めていかないことには手こずるのではないかという不安はあるので、この一週間では特にメンタルですね。気持ちだけです。技術はあと一週間でどうこうなる問題ではないので、まずメンタル。あとはディフェンスですね」

この日はBチーム戦である「Junior Varsity戦」で男女いずれも筑波大が勝利。この後に開催される本戦(Aチーム戦)でも、筑波大がアベック勝利を果たし、両チームの明暗がくっきり分かれる結果となった。筑波大はこれを弾みに更なるステップアップを、日体大はこの日得た収穫と反省点をトーナメントにつなげたいところだ。
写真:閉会式後に行われた集合写真撮影。熱戦後だったが、両チーム和やかな雰囲気で一日を締めくくった。
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【男子Junior Varsity戦】
好ディフェンスの筑波大が男子Bチーム戦を制す

3Q、このまま引き下がるわけにはいかない日体大は前半なかなか決まらなかった#13中尾(4年・G)、#14田中(4年・G)の3Pで筑波大を追い上げる。しかし筑波大も#41上部(2年・SF)がリバウンドシュートを決め、#12越智(3年・F)が3Pを沈めて安全圏の点差をキープ。62−39と、逆にリードが広がって4Qに。筑波大は勝利がほぼ手中となった状況でも攻撃の手を緩めない。シュート率が上がってきた日体大だったが、この場面で再度オフェンスが単発となってしまう。だが、両チームとも代々木の舞台を噛み締めるように、笑顔でのプレーは最後まで継続。82−49と大差で筑波大が勝利した試合だったが、大きな拍手で「もうひとつの日筑」を締めくくった。
写真:昨年の日筑戦は本戦でスタメンを務めた筑波大・橋本。文句なしの活躍で最優秀選手賞を獲得した。
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【男子本戦】
最終盤で筑波大が抜け出し2年連続の定期戦勝利

だが#13清水(4年・G)のバスケットカウントが出て日体大がリズムを得る。#12周(3年・C)のリバウンドシュートに続き、交代出場の#39松田(2年・F)が3Pを決めて追いつき、1Qは15—15。ペースを掴んだ日体大は2Q早々に得たフリースローを#12周が2つ揃え、#13清水のレイアップでリードを拡大する。だが、筑波大も#10山田(3年・SF)のセカンドショットでついていき、#14坂東(3年・SG)の3Pですかさずリードを奪回。日体大は、筑波大#81小原(1年・C・横浜)の高さを前にインサイドでの得点が伸びず、鍵を握るアウトサイドもことごとくリングに弾かれオフェンスが停滞。徐々に筑波大に離される。しかし日体大は#15濱田(3年・F)のリバウンドシュートで苦境を脱し、#11北川の3Pで追い上げる。筑波大は#14坂東がテクニカルを吹かれるなどしてなかなか日体大を突き放しきれない。前半は33—29と、筑波大4点リードで終了した。

しかしこの場面で筑波大は#32武藤・#35池田の4年生コンビが覚醒。池田が速攻のバスケットカウントやアリウープも決めれば、武藤が外を中心に好調にシュートを決めていき5点リードとして3Qを終える。4Qは立ち上がりこそ互いにシュートを決め合うが、#32武藤のバスケットカウントで日体大はたまらずタイムアウトを請求。それでも筑波大は勢いを止めず、#42坂口(4年・PG)が激しいプレスで日体大のターンオーバーを誘い、完全に筑波大が主導権を掌握。#35池田がレイアップに続いて3Pを決めて点差はこの試合最大の17点となった。日体大は再度のタイムアウト後に#13清水の3Pが一本決まるが、既に時間は残り僅か。最終的にはベンチメンバーを送り込んだ筑波大が73—58で快勝を果たした。
思うようにスコアを伸ばせず、なかなか突き放せない展開を強いられた筑波大だが、最終的には池田や武藤の活躍で点差を離しての勝利を果たした。今年は小原というビッグマンもチームに加わり、バランスの良さが一気に向上。昨年は全ての大会で一貫して好成績を残してきたが、今年はタイトル奪取を虎視眈々とうかがう。
昨年は故障者の続出に泣いた日体大は、敗れたもののディフェンスでは通用する部分を見せた。2部リーグからの再出発となるが、主将の清水も「ディフェンスで耐えられた部分は収穫だった」と、この一戦から自信を得た様子。この日は#88万(2年・C)が故障で出場せず、ベストメンバーであればリバウンドの本数も増え志向する「走るバスケット」が展開できるはずだ。まずはトーナメントでの上位進出を狙う。
写真上:最上級生となった武藤は得意の多彩なオフェンスでチーム最多の18得点。
写真下:敗れはしたが、日体大は中野らの思い切りの良いシュートで筑波大に食い下がった。
※筑波大・池田選手、日体大・清水選手のインタビューは「続きを読む」へ。
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【INTERVIEW】「やりたいことがたくさんある」
喜びを噛みしめ、チームに恩返しを
◆#35池田龍之介(筑波大・4年・SF)

昨年はシーズン終盤から調子を上げ、チームの躍進に一役買った。最上級生となった今シーズンは更なる活躍が求められるが、まずは自ら話すように「焦らず自分らしくやって」いくことがベースとなる。
―試合を終えて。
「勝つことができてよかったです。試合前に『自分の役割をしっかり果たそう』という話をして試合に臨みました。チーム的にはよかったと思います。個人的には最初にファウルをしてしまってリズムを掴むのが難しかったですが、助けてもらいました」
―おっしゃる通り、前半はファウルがかさんでベンチを温める時間が長かった訳ですが、後半は要所での活躍が光りました。切り替えはどのように?
「ファウルトラブルで試合に出られなくなる、というのが大学に入ってから初めての経験だったので、何の先入観もありませんでした。それに、みんなが頑張ってくれていたのと、最上級生として情けないプレーをしていたら替わって出てくる同じポジションの選手も不安になるだろうなと思っていたので、何も意識せず試合前のような気持ちでプレーすることを心掛けました。ただ、ファウルはしないようにというのは意識していましたが、それ以外はいつも通りやろうと思っていました」
―中盤までは競った展開になりましたね。
「相手の外のシュートが決まってしまって……。そこのチェックはもっと厳しくすべきでした。あとはリバウンド。相手の方が高くてこぼれ球を拾って入れられてしまいました。あとは、オフェンスでちょっとしたミスが出てしまったことですね。でも、吉田先生がハーフタイムの時に『こういうミスを無くしていけば絶対に点は伸びていくから気にしないでいこう。今は悪くないから大丈夫』とチームに声をかけて下さいました。それが後半に繋がったと思っています」
―突き放したのは4Qでしたが、流れを作ったのは同じ4年生の坂口選手(#42)でしたね。
「そうですね。去年までだったら試合に出てくる場面ではなかったと思うんですが、出てきたときは『ああ、大丈夫だろうな。一緒に頑張ろう!』と思えました。坂口は“チームのために自分は何をすべきか”をいつも考えている奴なんです。そういう気持ちがかっこいいし、彼の言葉を聞いて自分も頑張らなきゃという気持ちになるんです。いつも勉強させてもらってばかりだし、尊敬しています。今日も助けられました」
―即戦力になりそうなルーキーが入ってきて、チーム内の争いも激しくなりそうですね。チームの層が厚くなったことで今後はプレイングタイムをシェアしていくことが多くなるのかなと思ったのですが。
「プレイングタイムについては吉田先生に聞いてみないとわからないところですが、僕としては誰が出ても変わらないチームの方が強いと思っています。替わった選手がみんなで同じくらいのプレーができて、その中で個性を出していくことができればチームは強くなっていくと思います。そういう風になれるように練習からみんなで競い合って頑張っていきたいという気持ちはあります」
―現在のご自身の調子はいかがですか?
「良いとか悪いとかというのは、今は考えていません。『こういうプレーをしてみようかな』とか、誰かがプレーしているのを見て『これを真似してみようかな』という感じでバスケをしているので、調子と言われても難しいですね。今はバスケットができることが本当にうれしいんです。毎年この時期っていつも怪我とかでいなかったじゃないですか。それが悔しかったんですが、今年はこうしてプレーできていて。そうするとやりたいことがたくさんあって…。『こういうプレーをしてみようかな』というコミュニケーションを坂東(#14)や笹山(#21)、武藤(#32)と取っています。先輩後輩関係なく色んな話をできていることがとても楽しいです」
―そういう意味では、シーズンが終わった時に今とは違った池田選手が観られると期待して良いでしょうか?
「どうですかね(笑)?焦らず自分らしくやっていきたいと思います!」
―大学生最後のシーズンはどんな1年にしたいと思っていますか?
「いい結果を残したいというのはもちろんですが、この3年間、僕は怪我をしたり上手く調子が上がらなかったりして、チームや先生にずっと迷惑をかけて恩を受けてばかりでした。何をどうというよりも勝って、今年一年、怪我なくしっかりとやり切って恩返しできればいいなと思っています。今年は恩返しの年だと思ってスタートしました。最上級生としては、僕は引っ張るよりは引っ張られている方なので……(笑)。まあ、引っ張られるまではいかないですが、引っ張らなくても自分のやるべきことはしっかりとやっていかないといけないなとは思っていて。今はそれを周りの人が受け入れてくれているので、ちょっと甘えてしまっているところがあるんですが、まだまだここからなのでしっかりやっていきたいと思っています」
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「変わらず自分たちがやろうとしていることを突き詰める」
課題を冷静にとらえて春シーズンスタート
◆#13清水翔平(日本体育大・4年・G・主将)

新チーム最初の公式戦である日筑戦は敗れたものの手応えは感じている様子。2部リーグからの再出発となるが、北川や中野、周といった経験値の高い選手が揃い前途は決して悪くない。既にトーナメントまでは一週間を切っている。シードの位置を少しでも上げ、最低でも順位決定戦に進出したいところだ。
—試合を振り返って。
「勝てないことはなかったはずですが、試合をやっていてもスタッツを見てもリバウンドとシュート力の差を感じましたね」
—4Qにその差が一気に出た印象です。
「そうですね。自分たちも数字は上がったんですけど、相手の方が全然上でした。そこが1部と2部の違いかな、とすごく実感しました」
—シュートという意味では前半から確率が悪いようでしたが。
「シュートミスは確かに多かったんですけど、その分ディフェンスで耐えられた部分は大きかったと思うので、そこはトーナメントに向けての収穫だったと思います。いつもだったらシュートが入らずにそこで集中が切れることが多いんですけど、ディフェンスで粘れたというのは良かったんじゃないかな、と。反省点ではありますが、同時に良かった部分も見えましたね」
—4Qで離されたのはその部分も影響しているのではないでしょうか。
「そうですね。そこで一回切れてしまった部分はありますね」
—メインガードとしての出場でした。昨年の日体大を見ていて北川選手(#11)がそのまま1番ポジションを務めるのかと考えていたのですが、今年は清水選手がメインガードなんですね。
「そうですね。直接藤田さん(監督)と何か話したわけではないんですが、僕を使ってくれて、自分はその起用に応えるだけです。周りがどう思おうがやるべきことは自分の中では決まっているので、特に違和感は感じていないです」
—今年の日体大の戦い方は、どのようにしていきたいと考えていますか。
「去年に比べて4番ポジションの熊谷さん(現NBL・リンク栃木)の抜けた穴は大きいと思うんですけど、その分新チームが始まった時から走れる速攻のチームを作ろうと言われてきているので、ディフェンスから走るスタイルで今年はやっていこうと考えています」
—ただ、去年までもその考え方はチームとして共有していましたよね。
「そうですね。ただ今年はその部分をもっと強調してやっていこうと考えていますね」
—今日の試合はプレーしてみて、そういった部分の手応えはいかがでしたか。
「正直出なかったかな、と。オフェンスリバウンドを取られた回数が多いので、簡単に出せなかったのが正直なところです」
—スコアの面ではもう少しハイスコアのゲームをやりたかったのでは?
「はい、取り合いぐらいでもいいという考え方でやっていきたいんですど、なかなかそれがはまらないというか……」
—万選手(#88)が負傷欠場で、リバウンドが取れなかった部分が響いたのではないでしょうか。
「それはありますね。ゴール下でファウルを貰えないので。あいつがファウルを貰うことで時間も止まって、確率はどうであれフリースローは貰えるので、その部分は大きいです。ただ今日は周率(#12)がいつもよりリバウンドを取っていたと感じるので、今日はそれほど悪くはなかったかな、と」
—万選手の負傷はいつ頃だったのでしょうか。
「一週間くらい前です。かなり最近ですね。周率を下げて小さくするパターンもあるにはあるんですが、それだとリバウンドが全然取れなくなってしまうので、今日は周率がいないと厳しいところでした。」
—4番ポジションに入った赤土選手(#75)も、ルーキーながら奮闘していましたね。
「入学した時から練習ではスタート扱いで使われているんですど、僕は今日の試合で成長したように見えました。声も自ら出して、ハッスルして、フレッシュさが出ていて。あいつも一年や二年すればもっと計算できる選手になるかなと。身体能力は別にして、技術面だったら熊谷さんよりも上にいけると思うので、楽しみです」
—トーナメントまで残された時間は限られています。一週間弱でどのようにレベルアップを図っていきたいですか。
「フェイ(#88万)もその頃までには戻ってくると思うので、変わらずに自分たちがやろうとしていること、走るバスケを突き詰めて。あとは課題のディフェンスですかね。そこを固めていかないことには手こずるのではないかという不安はあるので、この一週間では特にメンタルですね。気持ちだけです。技術はあと一週間でどうこうなる問題ではないので、まずメンタル。あとはディフェンスですね」
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