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2012.11.25 (Sun)
【2012インカレ】専修大vs筑波大(5位決定戦)
【専修大が追い上げるも、延長戦の末筑波大が劇的勝利!】
準々決勝でそれぞれ惜敗を喫した専修大と筑波大が、5位決定戦で相まみえた。専修大は2008年、筑波大は2007年以来のベスト8進出となる。順位決定戦の中での最高位となる5位の座をめぐって、試合は延長戦にもつれ込む白熱した展開となった。
1Qは点の取り合いとなったが、速攻や#33館山(4年・F)の3P、#11宇都(3年・G)のバスケットカウントで専修大が一歩抜け出す。だが筑波大も25-20で2Qに入ると、#21笹山(2年・PG)を起点に#32武藤(3年・C)、#50梅津(4年・C)が加点し、#34池田(3年・SF)のバスケットカウントで逆転。そこからは互いに守り合う展開が続いた。専修大にブロックや#4高橋(4年・PG)のテイクチャージが出れば、負けじと筑波大も素早いヘルプの寄りで専修大のドライブをシャットアウトする。専修大#69湊(3年・PF)のブザービーターで締め、前半を40-40と同点で試合を折り返すと、3Qに入っても依然としてシーソーゲーム。点差が離れず、61-59で3Qを終えた。
「あと10分!」という声がどちらともなく聞こえる中、いよいよ最終Qがスタート。開始から勢いに乗ったのは筑波大。#14坂東(2年・SG)のジャンプシュートを皮切りに、#32武藤のバックシュートで逆転し、#76星野(4年・SF)も速攻を決める。極めつけは#14坂東の2連続3P。4分経過して2得点とオフェンスが沈黙する専修大に対し、筑波大は怒涛の猛攻で16得点を奪い、残り6分12点リードと優位に立った。だが、ここから専修大は#11宇都が魅せた。次々速攻に走り、わずか1分半の間に一人で10点を稼いで残り4分で4点差に。筑波大も#76星野の2連続得点で8点差に押し戻すが、専修大は#3廣島(4年・G)のスティールから#11宇都が決め、再び#11宇都の一対一で残り1分半に4点差と食らいつく。#22樋口(4年・PF)も2連続でブロックショットを決めてゴールキーパーさながらの活躍。すると残り21.9秒、#11宇都が速攻からバスケットカウントを決め2点差に。この1スローは外れるが、リバウンドは専修大のもとへ。パスを受け取った#11宇都がそのままドライブを決め、残り16.9秒、ついに81-81と同点に追いついた。筑波大は次のオフェンスで#21笹山から#32武藤へのパスがつながらず、最後に専修大にチャンスが回ってくる。しかし#3廣島のジャンプシュートはこぼれ、オフェンスリバウンドを時間内に決められずタイムアップのブザーが鳴り響いてノーカウント。試合は同点のまま、延長戦へ。
泣いても笑っても最後となる5分間。互角のせめぎ合いとなり、終盤まで2点差以内の緊迫した展開が続く。残り1分、筑波大は#34池田がジャンプシュート、フリースローを決め、延長戦最大となる4点のリードを奪った。専修大も残り45秒、#22樋口のゴール下で2点差にし、続く筑波大のオフェンスをしのいだものの、そのリバウンドからのパスアウトを筑波大#21笹山が見事にカット。時間は残り20秒となり、このまま筑波大がボールを回して勝利するかと思われた。だがドラマは終わっていなかった。専修大は激しく#21笹山に当たってボールを取り返し、残り13.6秒、#11宇都が速攻に走って89-89と同点に。筑波大はタイムアウトを挟み、最後のオフェンスチャンスに懸けることとなる。すると交代で入った#47砂川(4年・PF)がペイントエリアに切れ込み、そこにパスが渡った。ボールをもらった足が一瞬トラベリングかと思われたが、これはセーフの判定。専修大は一瞬ディフェンスに出遅れ、#47砂川はひとりノーマークとなった。そして、ジャンプせずにつま先立ちでふわりと放たれたボールが、きれいにリングを通過。タイマーの表示は残り1秒89-91。専修大はタイムアウトを挟んで最後のオフェンスに望みを託すが、#11宇都のシュートは外れてタイムアップ。劇的な幕切れに喜びを爆発させる筑波大の選手たちはもちろん、専修大も最後の際どい判定に悔しがりながらも、これでラストゲームとなる4年生は晴れ晴れとした表情。互いをねぎらい合い握手や抱擁を交わす両チームを、観客たちからの大きな拍手が包んだ。
最高の形で5位の座についた筑波大。1点差で惜敗した準々決勝から切り替え、「真価の問われる戦い」(#34池田)を見事に勝ち抜いた。主力だった昨年の4年生が卒業したものの、今年は学年関係なく互いに補い合うことでその穴をカバー。トーナメント3位、新人戦2位、リーグ戦4位、インカレ5位と、コンスタントに上位入賞を果たしたのは、チームが一丸とならなければ成し遂げられなかったことだろう。選手たちが口々に出てみたかったと話すオールジャパンでも、貴重な経験を積んで欲しい。
あと一歩及ばず、6位となった専修大。4Qの全20得点を稼ぎ、トータル46得点を稼いだ宇都の活躍はもちろん、4年生たちのディフェンスやルーズボールに飛び込む姿勢も追い上げに一役買っていた。過去3年間、なかなか勝てない苦しいシーズンも経験したが、今年は今まで以上に練習への意識も高まったと言い、朝練なども行って大きな飛躍を見せた年。来季からは今の4年生が抜けてまたメンバーも大きく様変わりするが、変わらぬ奮闘を期待したい。
写真上:21得点13リバウンドとチームハイの活躍で奮闘した武藤。
写真中:圧巻の得点力を見せつけた宇都。終盤の池田とのマッチアップも白熱した。
写真下:専修大は廣島の執拗なディフェンスやスティールも大事な局面で大きかった。
※筑波大・坂東選手、砂川選手、梅津選手、専修大・高橋選手、館山選手のインタビュー、専修大・樋口選手、廣島選手、松井選手のコメントは「続きを読む」へ。
「上手くいかない時こそ声を出そうと意識した」
不調を乗り越えてチームの勝利に貢献
◆#14坂東 拓(筑波大・2年・SG)
正確無比な3Pを持つ屈指のシューターだが、「今大会はものすごく調子が悪かった」と自身で振り返るよう、思うように決められない場面もあった。それでもその存在感が大きかったのは、コート上で誰よりも声を出し、仲間を鼓舞し続けていたからだろう。「星野さんをサポートしようと思った」とキャプテンを支え、シュート以外の部分でも頼もしさが見られた大会だった。またプレーでも、この5位決定戦では終盤に2連続3Pを決める見せ場も作った。目をつぶって力強いガッツポーズをつくる姿は、自分本来のシュートを噛みしめているようだった。
2年生の今から、主力を担う責任感や成長への高い意識がその言葉から伝わってくる。同学年の司令塔#21笹山と共に、来年は3年生。上級生となる来季を見据え、さらにひとまわり大きなプレーヤーになって欲しい。
―5位でインカレを終えました。この結果についてはどう捉えていますか?
「率直に、やっぱり関西の近大に負けたのが悔しかったんですが、そこから切り替えられて5位になれたのはものすごく収穫ですし、その前にオールジャパンに出られることになったというのが嬉しかったです。満足してはいけないですけど、4年生たちと一緒にプレーできて5位になれたのは良かったと思います」
―近畿大に敗れてから、うまく切り替えられた要因はなんですか?
「今大会は最初、各々みんなが緊張していて個人のプレーが上手くいかなくて、自分が上手くいくためにはどうすればいいかってことばかり考えていたんです。チームが良くなるためには、ということを全員で考えられていなかったので、それを考えられるようになったことが切り替えにつながったかなと。日本一になるという夢は絶たれたんですけど、そういうポイントがしっかりしたことが良かったんだと思います」
―この5位決定戦にはどんなことを意識して試合に臨みましたか?
「専修は抑えるところが明確に分かっている相手で、でも最終的にはやられてしまいましたね。でも、とりあえず楽しむということをミーティングで話していて。思いっきりやるということをみんなで意識して試合に臨みました」
―延長戦に入る時にハドルを組んで星野選手(#76)がみんなに声をかけていましたが、あそこではどんな話を?
「ミスした時や落ち込んでしまった時に、今までの筑波は引きずってそのまま流れを取り戻せないことがあったので、引きずらずに積極的にいこうと。例えば最後にシュートを決められて同点になった時も、まだオフェンスのチャンスがあるし、それを決めればいいからというようなプラス思考、積極的な考えを持つように、というハドルでした。それは星野さんがすごくチームを気遣ってくれて、良い声掛けをしてくれたなと思います」
―インカレを通して、ご自身の出来はいかがでしたか?
「今大会ものすごく調子が悪くて、思った以上にプレーできませんでした。でも、まわりは僕にシュートを決められることが怖いと思っていると思うんですけど、僕がこうしてプレータイムをもらっているのって、なぜかと言ったら、ディフェンスとか精神的な部分とかシュート以外の部分も大きいと僕自身自覚しているんです。だから、シュートが入らなくても、そういうところからしっかり、自分が上手くいかない時こそ声を出そうという意識を持って今大会はやってきました。それが最後の最後にああいう風な形に出て良かったと思います」
―4Qで連続3Pを決めた時には、これまでの不調を乗り越えての渾身のガッツポーズでしたね。
「そうですね(笑)。絶対マークがきついとは思っていたので、最初の方は“ここ”って勝負所をずっと伺っていて、それが4Qのあの時かなと思ったんです。でも離しても結局最終的には追いつかれてしまったので、そこは反省すべき点かなと思います」
―筑波大は、春に良い成績が残せてもリーグ戦やインカレで結果が出ないというシーズンがここ何年か続きましたが、今シーズンは1年通して上位をキープしましたね。今シーズンを振り返っていかがでしたか?
「今までは、練習の強度とか練習に対する意識、試合のイメージというのが、春秋冬とどんどん落ちていっていたんです。だからいかにモチベーションを持続したままやれるかだったんですが、そこは4年生に結構助けられた部分がありました。下級生はそれについていっただけなので、本当に今シーズンのこういう結果は4年生のおかげですね」
―その4年生の中で主将を務めているのが星野選手(#76)ですが、坂東選手から見てどんなキャプテンですか?
「星野さんに直接は言わないですけど、ものすごくチームを変えようとする気持ちが伝わってくる人ですね。星野さんってかなり不器用なので、みんなに話す言い方とかタイミングとかが正直めちゃくちゃなんですよ(笑)。でも、気持ちはすごく伝わってくるんです。はじめはそれを分からない人が星野さんに文句を言ったりチーム内でぶつかり合ったりした時もあったんですけど、チームを想って声をかけてくれたり、チームのことをものすごく考えてくれたりすることが最終的にみんなに伝わって。それをやっぱり僕もサポートしようと思ってずっとやってきました。星野さんは最上級生で責任やプレッシャーをすごく感じてしまっていて、例えばコートで声を出すとかそういうところまで頭が回らない時もあると思うんです。だからそういう声出しを僕がやれたらいいかなと思ってやってきました」
―インカレは終わりましたが、最後にオールジャパンという舞台が残っていますね。
「今シーズンはインカレでの日本一を目標にやってきたんですけど、オールジャパンはチャレンジャー精神というか、チームとしてバスケットを楽しみながら戦いたいなと思います。個人的には、僕自身来年に向けて課題点も明確に分かっているので、そういうのも色々試していきたいですね。来年に向けてどういう風なプレーをしていけばいいのかというのを見つけて、上のチームとやってみて通用すれば大学生にももちろん通用すると思うので、そういうのをしっかり挑戦していきたいなと思います」
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「バカなやつもチームに一人は絶対必要」
仲間をフォローし笑顔を咲かせたムードメーカー
◆#47砂川貴哉(筑波大・4年・)
残り1秒のラストショットで勝利を手繰り寄せた砂川。試合終了と共に仲間と抱き合い嬉し涙で顔をゆがめる光景からは、喜びがひしひしと伝わってきた。
下級生の頃はベンチで盛り上げ役を果たすことが多かったが、4年目の今年はコートに立つ時間も増え、独特のリズムで何度も会場をあっと言わせてきた。シュートを決めたあとの、ひときわ大きなガッツポーズや雄叫びも印象的で、真面目で堅実なバスケットが持ち味の筑波大の中では、ある意味異質な存在だったと言えるだろう。考えすぎてしまう仲間を、「少しくらい笑って他のことを考えたほうが頭もスッキリする」と、おどけて笑顔にさせる場面も多かった。自他ともに認めるムードメーカーとして、チームに欠かせない役割を担っていた。
―5位という結果でインカレを終えましたが。
「今シーズンの目標は優勝だったので本当は悔しいんですけど、最後まで自分たちの気持ちを持ってバスケットができてなおかつ勝って終わることができたので、終わり良ければすべて良しじゃないですけど、良かったと思います」
―延長戦、残り数秒でコートに立ちましたね。あの時は吉田監督からどんな指示が?
「身長が高い分、インサイドを攻めろというようなことを言われました。だからとりあえずペイントエリアに入っていこうと思いました」
―そこで最後のシュートをよく決めましたね。
「決めたんですけど、まぁラッキーだったなぁと、本当に(笑)。僕、いつもそんな感じなので、ある意味俺らしいかなとも思います(笑)」
―持っているなと感じました(笑)。試合を通して、チームの雰囲気はいかがでしたか?
「今大会は一回戦から接戦が続いたんですけど、一回戦は坂東(#14)がよく声を出してくれて、自分たちが暗くならないようにしてくれました。そこからやっぱり、ネガティブな考えをすることはダメだと。失敗しても前だけを向いて行こうとみんなで言っていて、そこからネガティブな考えはなくして、失敗よりもその次のプレーのことを考えてプレーしていました」
―今年はトーナメント、新人戦、リーグ、インカレと1年平均して好成績を残せた年でしたが、この1年を振り返っていかがでしたか?
「今までの筑波と違って、今年は良い意味で上下関係が少なかったかなと。僕らはプレーではやっぱり後輩に劣るので、そこで僕らも後輩たちの意見を聞いたし、もちろん言うこともあったし。学年という意識ではなくて、みんな同じチームメイトという意識でやっていました。外国とかって学年とか関係ないと思うんですけど、まさにそんな感じで。だけど、やっぱり気持ちの面とか私生活、日頃の行いとかは、4年生がしっかり注意して、そういうプレー以外の部分で引っ張っていくことを意識しました。そういうところがいつもの筑波とは違ったから、今年1年良いシーズンを送れたのかなと思います」
―その中で自分の役割はどういう部分だと感じていましたか?
「星野がキャプテンとして、後輩に色々言うんです。例えばこういうプレーをしていたとか、片付けをちゃんとやってないとか。だからそのあとに僕がフォローして、後輩に『星野はお前らに頑張って欲しいから言っているんだよ。だから切れずに頑張れ』みたいな声をかけていました。そういう感じでフォローする役割があると思っていて。星野も強く言ってしまう時もあったんですけど、後輩もそれを分かっていて、そこで反感を抱くんじゃなくて『星野さんも俺らにこうなって欲しいから言っているんだな』って理解を持ってくれたから、良かったんだと思います」
―今年は『団結』というテーマでやっていきたいと春に星野選手らがおっしゃっていましたが、そのテーマに対する手応えはどうですか?
「どれくらいやれていたかというのは、結果として本当は優勝につながらないといけないと思うので分からないですけど、でも結果には出なくても気持ちの面では良かったと思います。筑波ってみんな人間性が良くて、性格もきっちりしている人が多いんですよ。それを、団結することでさらにもう少し良くすることができたのかなと思います」
―これで学生としての大会を終えました。4年間のうち怪我で出られない時期もありましたが、4年間を振り返っていかがですか?
「本当に、吉田先生には迷惑をかけて…。怪我もあったし、3年までは体も弱くて体調不良になることも多くて、試合に全然出られませんでした。でも4年になって意識が変わって、自分の生活から変えて、色んな健康法とか自分の体に良いものを取り入れ始めたら、段々と調子が良くなって。それで今があるんですけど、1年の頃からもっとやれていたらもっと上を目指せていたのかなとか、今思うと後悔もあります。でも、今まで3年間はプレーで見せられなかったんですけど、今年1年はプレーでも少し見せられたし、気持ちの面でも後輩にこうした方が良いとかこういう人間になって欲しいというのを伝えられたと思います」
―下級生の頃はベンチで盛り上げている姿が印象的でしたが、今年はコートでも仲間を盛り上げることができましたね。チームのムードメーカーであることが伝わってきました。
「筑波って、みんな考えすぎるんですよ。歴史もあるチームだし、そんなはっちゃけるようなタイプもあまりいなくて。でも、バカなやつもチームに一人は絶対必要だと思うんです。考えすぎてしまった時に、少しくらい笑って他のことを考えて、そうすれば頭もスッキリすると思うので。それで僕は沖縄出身だし、こういうキャラだし、そういうムードメーカーになろうと心掛けてやっていました」
―ここまで一緒に頑張ってきた4年生にはどんな想いがありますか?
「入学当時から、本当に4年生は仲良くて。部員も少ないんですけど、少ないからこそ話し合いができて、『こういうチームにしたい』とかみんなで意思疎通ができていたと思います。それにやっぱり星野は本当にリーダーシップがあって。自分からキャプテンもやると言ったし、みんなも星野さんについていこうという感じでした。梅津も梅津で、練習後とかにちゃんとプレーがどうだったとか言うんですね。梅津も指摘するタイプで、僕がフォローするタイプで、そういう調和が取れた4年生だったのかなと思います」
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「学年関係なくお互いに言い合える関係だった」
後輩たちの力も借りながら、発揮した4年生らしさ
◆#50梅津大介(筑波大・4年・C)
チーム一の高さもありつつ、外からのプレーも上手い器用なプレイヤー。4年目となる今季は怪我でトーナメントを欠場するなど春から試練も味わうシーズンだったが、葛藤を乗り越え、シックスマンとして仲間を支えた。その中で掴んだ1年間を通しての好成績には、自身も納得している様子だった。
青森山田高校出身で、U-18に選ばれた実績はあるが常に全国を舞台としてきたわけではなかった。そこから全国常連者の多い筑波大に飛び込み、4年間を高いレベルで争ってきたことには充実感をうかがわせる。「学年関係なく仲が良い」という今年のチーム。自身初めての出場となるオールジャパンまでの残された期間も、このチームの大切な仲間と全力でバスケットを楽しんで欲しい。
―チームとして久々にベスト8に入って、5位で大会を終えました。
「去年はベスト4以上が当たり前のような雰囲気でしたが、結局8がけで負けて。それで新チームになった時に、4年生のインパクトが欠けているということで、まわりから『今年は大丈夫なのか』みたいな声もすごくありました。でもその中でこうしてベスト8も突破して、ベスト4には入れなかったけど1点差だったし、最後も5位で終われたので、結果として個人的には満足かなと。優勝はできなかったし5位なんですけど、悪くはなかったかなと思います」
―シーズンを通して、良い成績を残せましたね。
「そうですね。毎年、『春の筑波』みたいなことは毎回言われていて。でも今年はリーグ戦も、ベスト4以上は確か10年ぶりくらいだったんですよね。10年くらい前に優勝(※)した以来のベスト4入りらしくて、そういう意味でも良かったかなと思います。得失点差で3位は逃したんですけど、それでもベスト4に食い込めたのは意味のあることかなと」※2002年に1部復帰し、1部リーグ優勝。
―そういう『春の筑波』に終わらなかった要因というのはどこにあるんでしょう。
「なんですかね…?普通に戦ったらそういう風に…(笑)。まぁでも今年は特に、学年関係なく仲が良いということはあったと思います。上下関係も、しっかりしているところはしっかりしていますが、くだけているところはくだけていたし,お互いに言い合える関係でした。僕たちから言うこともあるけど、下から言われることの方が多くて(笑)。下の方がバスケットはできますし、逆にプレーでは僕らが引っ張られるくらいでした。下も言いたいことが言えて、こっちもそれを受け止めて、その中でも間違っていたら言ったし、そういう関係ができたから良い成績につながったかなと思います」
―梅津選手自身、スタメンを務めた時期もありましたが、春の怪我もあってシックスマンとしての役回りになりましたね。悔しい気持ちもあったのかなと思いますが。
「まぁそれはありましたね。やるからにはスタメンで出たいという気持ちもありますから。でもチーム方針がそうなら、その中で結果が出せればいいかなという思いが自分の中にあって。その中で求められることも、できる時とできない時があったんですけど、シックスマンという位置について今では納得しているというか、良かったかなと思います」
―葛藤はありませんでしたか?
「…夏くらいまではありましたけど、でも怪我をしている期間も長かったですし、怪我が治ってからもそこまでインパクトを残せたかと言ったら自分の中でも疑問が残るので。自分の力が下だと思っているわけではないですけど、同じく肩を並べたらそれこそ春に結果を残したメンバーでやった方が当然チームとして流れも良いだろうと思うし。だからその良い流れの中に自分がどれだけ入って行けるかがポイントだと思って、割り切った部分はありますね」
―コートで表現するのが難しいとなった中で、後輩たちがのびのびプレーするために何か心掛けたことはありますか?
「正直に言えば、後輩たちはやれと言えばしっかりとやれるメンバーなんですよね(笑)。だからこっちからああしろ、こうしろと言う必要もあまりありませんでした。どちらかと言うと、好きにやらせてミスした時に『大丈夫、もう一回いってこい』って声をかけるくらいでしたね」
―今年はチームの雰囲気がとても良かったですね。
「そうですね。今年は、何か悪いことがあればコートの中でも頻繁に円を組むというのをやり始めて。細かいことでもチェックして修正していったし、そういう円の中で4年生だけじゃなく下級生もどんどん意見を出していける関係だったので、良かったんじゃないかと思います」
―星野選手はどんなキャプテンでしたか?
「ザ・キャプテンって感じでしたね。あいつは大学に入る前も今までずっとキャプテンをやってきたみたいですし、なんとなく1年生の頃から星野がキャプテンだろうというのは決まっていたんです。筑波って学年代表みたいなのがあるんですけど、他の学年は結構『お前やれよ』『いや、俺は無理』って決めるのに時間がかかる代もある中で、自分らの代は一瞬で『星野やれよ』『おう、俺やる』みたいな感じで決まって。あいつに安心してみんながついていくという感じでしたね」
―同じく4年生の砂川選手はどんな人でしたか?
「もう、見たまんまですね(笑)。今日の最後のプレーも、あいつらしいというか、あんな感じです。チームに勢いをもたらしてくれる楽しいやつというか。勢いだけ持ってきて、疲れたらサッとベンチに戻る、それでまた元気になったらバッと出てくる(笑)。そういう、台風みたいなやつでした。ちょっと今までに出会ったことのないタイプでしたね…」
―(笑)。そうしたメンバーと過ごした4年間は、梅津選手にとってどんな4年間でしたか?
「もう本当に楽しかったですね。自分は高校(青森山田高)が県でもベスト4とか2位とか、全国大会に行けそうで行けないチームだったので、こうやって急に上の世界に飛び込んで、貴哉(砂川)とか星野とか常に全国で戦ってきたやつらと一緒にやれたのは良かったです。先輩も後輩もそういう人たちだったし、その中で4年間、しかも1部でずっとやれたというのは本当に楽しかったです」
―では、最後の大会であるオールジャパンに向けて意気込みを。
「正直、オールジャパンにどういうモチベーションで臨めばいいのかまだよく分からないんですよね(笑)。それこそ5年ぶりなので、すぐ上の先輩たちに聞くこともできないですし。まぁそれはこれから4年生と吉田先生で、4年生がどうするかというのは話し合うと思います。でも上のチームともしやれるのなら全力で戦って、結果を残して、良い形で最後のシーズンを終えられたらいいなと思います」
―このチームでまだバスケットをしたい気持ちも強いのでは?
「そうですね。すごくやっていて楽しいので。練習から普通に楽しいんです。できればずっと一緒にやりたいですけど、それは無理なので、最後この2ヶ月でどれだけ楽しめるかだと思いますね」
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「相手を抑えられて勝てた時は気持ちよかった」
リーグ屈指のディフェンス力が光ったチームリーダー
◆#4高橋 陽(専修大・4年・PG)
準々決勝のあと、順位決定戦に向けて「後悔の無いように頑張りたい」と言っていた高橋だが、ラストゲームを終えたその表情は実に晴れ晴れとしたものだった。最後までディフェンスやリバウンド、ルーズボールなど泥臭い部分で体を張り、なによりブレの無い強いメンタリティでチームを引っ張る姿勢が光った。
下級生の頃からチームの精神的支柱であり、まわりの選手からもその信頼度は伝わってきた。そんな高橋が春から常々口にしていたのは、日々の練習の大切さ。「毎日練習の質を上げていけば、その先に見えるものがあるはず」とトーナメントで話していたことを1年間通して貫き、朝練や熱気あふれる練習の積み重ねが、苦難の多かった過去3年間の成績を塗り替える源となった。後輩たちへの言葉も、「練習次第」という彼らしいもの。大学バスケットに欠かせないこの姿勢が、これからもチームに受け継がれることを願いたい。
―白熱したラストゲームになりましたね。
「最高でしたね(笑)」
―どんな心境で試合に臨みましたか?
「結構朝とか試合前はいつも通りだったんですけど、アップの時に“あー最後なんだなぁ”とひしひしと思いました。最後だし、わざわざこういう体育館に来てくれるお客さんのためにも、恥のない試合にしようと思って。負けはしましたけど、ゲームもゲームで競った展開になったし、楽しかったですね」
―今シーズンはどんな1年間でしたか?
「今年1年で自分に何ができたかよく分からないですけど、チームでリーグ3位という結果を残せたし、後輩も後輩で4年生から何か感じ取れることが少しでもあったんじゃないかなと思います。インカレの結果はこういう感じになりましたけど、振り返れば後輩にいい形でつなげられることができたのかなって。あとは後輩に頑張ってほしいですね。自分も試合たまに見に行って応援したいと思います」
―“自分に何ができたか分からない”と言いますが、高橋選手の強い気持ちがチームをまとめていたと思います。プレーでも特にディフェンスは素晴らしかったですね。
「自分は関東の大学の中で全然得点能力もないし、上手くないです。でも、ディフェンスに関しては負けないと自分の中で思っていました」
―ディフェンスして印象に残っている選手はいますか?
「うーん、色々いますけどね。岸本(大東文化大#14)とか…。海斗(日本大#3石川)とリーグ戦でできなかったのが残念でしたけど。まぁ、やっぱりディフェンスは面白いですよね。相手を抑えるということが、違う感覚で面白いんです。自分の役割はディフェンスだとも分かっていたので、相手を抑えられて勝てた時は気持ちよかったですね」
―テイクチャージが決まった時は、チームも盛り上がりますよね。
「そうですね。気持ちいいです。今日のは死ぬほど痛かったですけど(苦笑)」
―4年間を終えて、どんな思いですか?
「自分は本気のバスケはここで終わりなので、バスケ人生最後の試合だったんですよね。中原さん(監督)には1年生の時から試合に使っていただいて、コーチの方にもトレーナーの方にも色々指導していただいて…、話せばきりがないくらい色んな人にお世話になって、本当に感謝の気持ちしかないです。社会に出ても頑張っていきたいと思います」
―何年間のバスケ人生だったんですか?
「何年ですかね?(笑)幼稚園くらいから始めたので、結構長いです。でも悔いはありませんね。館山ともここまで一緒にやってこれたし」
―館山選手とも最後でしたね。
「館山とは、能代(能代工業高校)から7年間ずっと一緒にやってきましたからね。本当にあっという間でした。あいつには感謝したいです」
―館山選手はどんな存在でしたか?
「うーん、なんて言えばいいんですかね…言葉にするのは難しいな。よきパートナーですかね。自分は怒られ役で、あいつの方がバスケを知っているし僕が合わせる感じだったんですけど、そのおかげでしっかり戦えたし勝てたことが、自分にとっての財産です。思い出深いというか、ちゃんとここまでやってこられて良かったです」
―能代工高校と大学とで変化は感じましたか?
「最初は戸惑いましたね。でもバスケットのスタイル自体はそんな変わらなかったので。それに今考えると、能代で3年生の時に(佐藤)信長先生が監督になって、マンツーマンとかそういうディフェンスの指導はされてきたんです。加藤先生(元能代工高監督・現西武文理大学監督)だったら基本的にゾーンじゃないですか。だから、高校の時に色々教わったことがあって、プラスアルファ、中原さんとかに教えてもらったことや考えが浸透して、体も強くなって、今のディフェンスがあるのかなと思います」
―では、最後に後輩たちに向けて。
「やるべき時にやって、オンとオフをしっかりつけるということと、あとは練習次第だと思います。能力がなくても練習をしっかりやっていけばおのずと結果は出てくると思うので、そこは頑張ってほしいですね」
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「シュートが入らない時でも他にできることが見つかった」
3Pシュートだけに終わらない選手へと成長
◆#33館山健太(専修大・4年・F)
チームの得点頭として、宇都とともにオフェンスの鍵を握った館山。調子に波もあるが、一度波に乗ってしまえば、3Pラインのはるか後ろからでも、どんな苦しい体勢でも不思議とボールはきれいにリングを通過した。今年は安定感も増したが、シュート以外のドライブやポストプレーにも磨きがかかったことも大きい。それは3Pシューターとして厳しいマークに遭う中で、自ずと見えてきた形だろう。成長を遂げた館山の活躍は、チーム上昇の一翼を担っていた。
#4高橋陽と能代工高校時代からの7年間を終えたことには感慨深げだったが、今後もバスケットを続けるというだけに、この先の舞台でも活躍を期待したい。
―最後の試合、振り返っていかがでしたか?
「やっぱり最後に勝って終わりたかったというのが正直なところですけど、楽しかったので良かったですね。準々決勝で負けてモチベーションとか気持ちの持って行き方が難しかったんですけど、最後に勝ちたかったし、試合前も星野(筑波大#76)とメールで『楽しく試合して終わろう』みたいなやり取りをしていたんです。楽しくできたのは本当に良かったです」
―星野選手とは試合中も言葉を交わして楽しそうでしたね。4Q序盤で筑波大に流れを持っていかれましたが、追い上げて追い付いた粘りは素晴らしかったです。延長戦でみんなと少しだけ長くバスケットができましたね。
「はい。あのタップシュートを自分が決めていれば勝ってたんですけどね(笑)。力みました。4年間の集大成のシュートがあれです(笑)。今日は宇都(#11)が最後まで走ってくれたので、追いつけましたね。なんだかんだ今年も来年も宇都のチームだと思います。4年生は抜けるけど、あいつには頑張ってほしいですね」
―今シーズンを振り返ると、リーグ戦で3位、インカレで6位と上位に入り、大きく飛躍した年でしたね。
「入学して1年生でいきなり全敗を経験して、入替戦も経験して、でも上位に入る喜びも経験して。優勝だけは経験できなかったですけど、自分たちの中で最高順位を経験できたので、今シーズンは満足かなと思います」
―学生としてのバスケットを終えて、どんな気持ちですか?
「やっぱり一番大きいのは、陽(#4高橋)と7年間やってきて今日が最後の試合だったってことですね。最後に勝てなかったのは悔しいですけど、バスケットはこれからも続いていくので、いつかまた一緒にバスケしたいなと思います。学生としてのバスケは終わりですけど、今後も頑張っていきたいです」
―館山選手にとって高橋選手はどんな存在でしたか?
「泣かせる気ですか?(笑)そこは語らないです! 泣いちゃうから!」
―(笑)。高橋選手だけでなく、樋口選手(#22)や廣島選手(#3)らもずっと下級生の頃から4年間試合に絡んできたメンバーですよね。
「そうですね。僕らは、1年からみんな結構試合に絡んでいる代で。実際自分なんて全く使えなかったのに、中原さんがずっと使い続けて4年目まで育ててくれたことには本当に感謝ですね。中原さんの僕らの代への気持ちというのはすごく分かっていたので、今年はその思いに応える意味でも結果を出したかったです」
―館山選手自身、4年目の今年はこれまで以上に安定して点を取っていた印象を受けます。
「どうですかね…?あいかわらずシュートも入らない時は入らないですけど、でも前よりは、シュートが入らない時に他にできることが見つかったかなって。リバウンドとか、ドライブに行くことも結構増えました。まぁ自分は太ったので(笑)、その分体を使って、宇都とはまた違うドライブを仕掛けて相手も止めづらかったんじゃないかなと思います」
―専修大のバスケットはどうでしたか?高校とはまた違う環境だったと思いますが。
「環境は、実際悪くないと思うんですよ。体育館も使えるし、寮もついているし。でもそこで、高校と違って甘えが出てしまう部分も大学にはあって。でも、今年はみんな練習もガツガツやっていたと思います。大学は、本当に自分次第ですね」
―では後輩たちに向けてメッセージを。
「宇都を筆頭に、なんとかしてくれると信じてます!応援してます」
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【COMMENT】

(写真、左から)
◆#22樋口大倫(専修大・4年・PF)
「感動しました。宇都が泣いちゃったから、泣きそうでしたよ、本当に。最後にふさわしい試合だったと思います。4年間は、疲れました(苦笑)。でも専修の絆は…強いです!」
◆#3廣島 駿(専修大・4年・G)
「最後の試合を終えて、爽快!惜しかった!僕たちには絆があります。それにやっぱり、僕たちは松井さん(#77)の下で頑張ってきたんですよ。まっちゃん(松井)を試合に出そうと思って頑張ってたから。だから僕らではなく、試合出てなくても松井さんに話聞いてあげて下さい!」
◆#77松井成嗣(専修大・4年・SG)
「もうほんとみんな頑張ってくれて…試合に出ているやつらが頑張ってくれたから、自分も良い思いができました。(松井選手は一般生で、朝練など自主練をすごく頑張っていたそうですね?)そうです。朝練の鬼です(笑)。試合前も朝練に行ってました。他のみんなも朝練してたし、試合が終わってからもみんなでシューティングに行ったり。専修って悪役でも、みんな努力してるんですよね、実は(笑)。自分はこれでバスケは最後なんですけど、みんなでできたことが良かったです!」
写真:最後はちょっとおどけて専修大らしいコメントで締めた3名。左から樋口、廣島、松井選手。
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【PHOTO】

5位となった筑波大学。4年生らの胴上げのあとに、集合写真を撮影。

1Qは点の取り合いとなったが、速攻や#33館山(4年・F)の3P、#11宇都(3年・G)のバスケットカウントで専修大が一歩抜け出す。だが筑波大も25-20で2Qに入ると、#21笹山(2年・PG)を起点に#32武藤(3年・C)、#50梅津(4年・C)が加点し、#34池田(3年・SF)のバスケットカウントで逆転。そこからは互いに守り合う展開が続いた。専修大にブロックや#4高橋(4年・PG)のテイクチャージが出れば、負けじと筑波大も素早いヘルプの寄りで専修大のドライブをシャットアウトする。専修大#69湊(3年・PF)のブザービーターで締め、前半を40-40と同点で試合を折り返すと、3Qに入っても依然としてシーソーゲーム。点差が離れず、61-59で3Qを終えた。
「あと10分!」という声がどちらともなく聞こえる中、いよいよ最終Qがスタート。開始から勢いに乗ったのは筑波大。#14坂東(2年・SG)のジャンプシュートを皮切りに、#32武藤のバックシュートで逆転し、#76星野(4年・SF)も速攻を決める。極めつけは#14坂東の2連続3P。4分経過して2得点とオフェンスが沈黙する専修大に対し、筑波大は怒涛の猛攻で16得点を奪い、残り6分12点リードと優位に立った。だが、ここから専修大は#11宇都が魅せた。次々速攻に走り、わずか1分半の間に一人で10点を稼いで残り4分で4点差に。筑波大も#76星野の2連続得点で8点差に押し戻すが、専修大は#3廣島(4年・G)のスティールから#11宇都が決め、再び#11宇都の一対一で残り1分半に4点差と食らいつく。#22樋口(4年・PF)も2連続でブロックショットを決めてゴールキーパーさながらの活躍。すると残り21.9秒、#11宇都が速攻からバスケットカウントを決め2点差に。この1スローは外れるが、リバウンドは専修大のもとへ。パスを受け取った#11宇都がそのままドライブを決め、残り16.9秒、ついに81-81と同点に追いついた。筑波大は次のオフェンスで#21笹山から#32武藤へのパスがつながらず、最後に専修大にチャンスが回ってくる。しかし#3廣島のジャンプシュートはこぼれ、オフェンスリバウンドを時間内に決められずタイムアップのブザーが鳴り響いてノーカウント。試合は同点のまま、延長戦へ。


あと一歩及ばず、6位となった専修大。4Qの全20得点を稼ぎ、トータル46得点を稼いだ宇都の活躍はもちろん、4年生たちのディフェンスやルーズボールに飛び込む姿勢も追い上げに一役買っていた。過去3年間、なかなか勝てない苦しいシーズンも経験したが、今年は今まで以上に練習への意識も高まったと言い、朝練なども行って大きな飛躍を見せた年。来季からは今の4年生が抜けてまたメンバーも大きく様変わりするが、変わらぬ奮闘を期待したい。
写真上:21得点13リバウンドとチームハイの活躍で奮闘した武藤。
写真中:圧巻の得点力を見せつけた宇都。終盤の池田とのマッチアップも白熱した。
写真下:専修大は廣島の執拗なディフェンスやスティールも大事な局面で大きかった。
※筑波大・坂東選手、砂川選手、梅津選手、専修大・高橋選手、館山選手のインタビュー、専修大・樋口選手、廣島選手、松井選手のコメントは「続きを読む」へ。
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【INTERVIEW】「上手くいかない時こそ声を出そうと意識した」
不調を乗り越えてチームの勝利に貢献
◆#14坂東 拓(筑波大・2年・SG)

2年生の今から、主力を担う責任感や成長への高い意識がその言葉から伝わってくる。同学年の司令塔#21笹山と共に、来年は3年生。上級生となる来季を見据え、さらにひとまわり大きなプレーヤーになって欲しい。
―5位でインカレを終えました。この結果についてはどう捉えていますか?
「率直に、やっぱり関西の近大に負けたのが悔しかったんですが、そこから切り替えられて5位になれたのはものすごく収穫ですし、その前にオールジャパンに出られることになったというのが嬉しかったです。満足してはいけないですけど、4年生たちと一緒にプレーできて5位になれたのは良かったと思います」
―近畿大に敗れてから、うまく切り替えられた要因はなんですか?
「今大会は最初、各々みんなが緊張していて個人のプレーが上手くいかなくて、自分が上手くいくためにはどうすればいいかってことばかり考えていたんです。チームが良くなるためには、ということを全員で考えられていなかったので、それを考えられるようになったことが切り替えにつながったかなと。日本一になるという夢は絶たれたんですけど、そういうポイントがしっかりしたことが良かったんだと思います」
―この5位決定戦にはどんなことを意識して試合に臨みましたか?
「専修は抑えるところが明確に分かっている相手で、でも最終的にはやられてしまいましたね。でも、とりあえず楽しむということをミーティングで話していて。思いっきりやるということをみんなで意識して試合に臨みました」
―延長戦に入る時にハドルを組んで星野選手(#76)がみんなに声をかけていましたが、あそこではどんな話を?
「ミスした時や落ち込んでしまった時に、今までの筑波は引きずってそのまま流れを取り戻せないことがあったので、引きずらずに積極的にいこうと。例えば最後にシュートを決められて同点になった時も、まだオフェンスのチャンスがあるし、それを決めればいいからというようなプラス思考、積極的な考えを持つように、というハドルでした。それは星野さんがすごくチームを気遣ってくれて、良い声掛けをしてくれたなと思います」
―インカレを通して、ご自身の出来はいかがでしたか?
「今大会ものすごく調子が悪くて、思った以上にプレーできませんでした。でも、まわりは僕にシュートを決められることが怖いと思っていると思うんですけど、僕がこうしてプレータイムをもらっているのって、なぜかと言ったら、ディフェンスとか精神的な部分とかシュート以外の部分も大きいと僕自身自覚しているんです。だから、シュートが入らなくても、そういうところからしっかり、自分が上手くいかない時こそ声を出そうという意識を持って今大会はやってきました。それが最後の最後にああいう風な形に出て良かったと思います」
―4Qで連続3Pを決めた時には、これまでの不調を乗り越えての渾身のガッツポーズでしたね。
「そうですね(笑)。絶対マークがきついとは思っていたので、最初の方は“ここ”って勝負所をずっと伺っていて、それが4Qのあの時かなと思ったんです。でも離しても結局最終的には追いつかれてしまったので、そこは反省すべき点かなと思います」
―筑波大は、春に良い成績が残せてもリーグ戦やインカレで結果が出ないというシーズンがここ何年か続きましたが、今シーズンは1年通して上位をキープしましたね。今シーズンを振り返っていかがでしたか?
「今までは、練習の強度とか練習に対する意識、試合のイメージというのが、春秋冬とどんどん落ちていっていたんです。だからいかにモチベーションを持続したままやれるかだったんですが、そこは4年生に結構助けられた部分がありました。下級生はそれについていっただけなので、本当に今シーズンのこういう結果は4年生のおかげですね」
―その4年生の中で主将を務めているのが星野選手(#76)ですが、坂東選手から見てどんなキャプテンですか?
「星野さんに直接は言わないですけど、ものすごくチームを変えようとする気持ちが伝わってくる人ですね。星野さんってかなり不器用なので、みんなに話す言い方とかタイミングとかが正直めちゃくちゃなんですよ(笑)。でも、気持ちはすごく伝わってくるんです。はじめはそれを分からない人が星野さんに文句を言ったりチーム内でぶつかり合ったりした時もあったんですけど、チームを想って声をかけてくれたり、チームのことをものすごく考えてくれたりすることが最終的にみんなに伝わって。それをやっぱり僕もサポートしようと思ってずっとやってきました。星野さんは最上級生で責任やプレッシャーをすごく感じてしまっていて、例えばコートで声を出すとかそういうところまで頭が回らない時もあると思うんです。だからそういう声出しを僕がやれたらいいかなと思ってやってきました」
―インカレは終わりましたが、最後にオールジャパンという舞台が残っていますね。
「今シーズンはインカレでの日本一を目標にやってきたんですけど、オールジャパンはチャレンジャー精神というか、チームとしてバスケットを楽しみながら戦いたいなと思います。個人的には、僕自身来年に向けて課題点も明確に分かっているので、そういうのも色々試していきたいですね。来年に向けてどういう風なプレーをしていけばいいのかというのを見つけて、上のチームとやってみて通用すれば大学生にももちろん通用すると思うので、そういうのをしっかり挑戦していきたいなと思います」
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「バカなやつもチームに一人は絶対必要」
仲間をフォローし笑顔を咲かせたムードメーカー
◆#47砂川貴哉(筑波大・4年・)

下級生の頃はベンチで盛り上げ役を果たすことが多かったが、4年目の今年はコートに立つ時間も増え、独特のリズムで何度も会場をあっと言わせてきた。シュートを決めたあとの、ひときわ大きなガッツポーズや雄叫びも印象的で、真面目で堅実なバスケットが持ち味の筑波大の中では、ある意味異質な存在だったと言えるだろう。考えすぎてしまう仲間を、「少しくらい笑って他のことを考えたほうが頭もスッキリする」と、おどけて笑顔にさせる場面も多かった。自他ともに認めるムードメーカーとして、チームに欠かせない役割を担っていた。
―5位という結果でインカレを終えましたが。
「今シーズンの目標は優勝だったので本当は悔しいんですけど、最後まで自分たちの気持ちを持ってバスケットができてなおかつ勝って終わることができたので、終わり良ければすべて良しじゃないですけど、良かったと思います」
―延長戦、残り数秒でコートに立ちましたね。あの時は吉田監督からどんな指示が?
「身長が高い分、インサイドを攻めろというようなことを言われました。だからとりあえずペイントエリアに入っていこうと思いました」
―そこで最後のシュートをよく決めましたね。
「決めたんですけど、まぁラッキーだったなぁと、本当に(笑)。僕、いつもそんな感じなので、ある意味俺らしいかなとも思います(笑)」
―持っているなと感じました(笑)。試合を通して、チームの雰囲気はいかがでしたか?
「今大会は一回戦から接戦が続いたんですけど、一回戦は坂東(#14)がよく声を出してくれて、自分たちが暗くならないようにしてくれました。そこからやっぱり、ネガティブな考えをすることはダメだと。失敗しても前だけを向いて行こうとみんなで言っていて、そこからネガティブな考えはなくして、失敗よりもその次のプレーのことを考えてプレーしていました」
―今年はトーナメント、新人戦、リーグ、インカレと1年平均して好成績を残せた年でしたが、この1年を振り返っていかがでしたか?
「今までの筑波と違って、今年は良い意味で上下関係が少なかったかなと。僕らはプレーではやっぱり後輩に劣るので、そこで僕らも後輩たちの意見を聞いたし、もちろん言うこともあったし。学年という意識ではなくて、みんな同じチームメイトという意識でやっていました。外国とかって学年とか関係ないと思うんですけど、まさにそんな感じで。だけど、やっぱり気持ちの面とか私生活、日頃の行いとかは、4年生がしっかり注意して、そういうプレー以外の部分で引っ張っていくことを意識しました。そういうところがいつもの筑波とは違ったから、今年1年良いシーズンを送れたのかなと思います」
―その中で自分の役割はどういう部分だと感じていましたか?
「星野がキャプテンとして、後輩に色々言うんです。例えばこういうプレーをしていたとか、片付けをちゃんとやってないとか。だからそのあとに僕がフォローして、後輩に『星野はお前らに頑張って欲しいから言っているんだよ。だから切れずに頑張れ』みたいな声をかけていました。そういう感じでフォローする役割があると思っていて。星野も強く言ってしまう時もあったんですけど、後輩もそれを分かっていて、そこで反感を抱くんじゃなくて『星野さんも俺らにこうなって欲しいから言っているんだな』って理解を持ってくれたから、良かったんだと思います」
―今年は『団結』というテーマでやっていきたいと春に星野選手らがおっしゃっていましたが、そのテーマに対する手応えはどうですか?
「どれくらいやれていたかというのは、結果として本当は優勝につながらないといけないと思うので分からないですけど、でも結果には出なくても気持ちの面では良かったと思います。筑波ってみんな人間性が良くて、性格もきっちりしている人が多いんですよ。それを、団結することでさらにもう少し良くすることができたのかなと思います」
―これで学生としての大会を終えました。4年間のうち怪我で出られない時期もありましたが、4年間を振り返っていかがですか?
「本当に、吉田先生には迷惑をかけて…。怪我もあったし、3年までは体も弱くて体調不良になることも多くて、試合に全然出られませんでした。でも4年になって意識が変わって、自分の生活から変えて、色んな健康法とか自分の体に良いものを取り入れ始めたら、段々と調子が良くなって。それで今があるんですけど、1年の頃からもっとやれていたらもっと上を目指せていたのかなとか、今思うと後悔もあります。でも、今まで3年間はプレーで見せられなかったんですけど、今年1年はプレーでも少し見せられたし、気持ちの面でも後輩にこうした方が良いとかこういう人間になって欲しいというのを伝えられたと思います」
―下級生の頃はベンチで盛り上げている姿が印象的でしたが、今年はコートでも仲間を盛り上げることができましたね。チームのムードメーカーであることが伝わってきました。
「筑波って、みんな考えすぎるんですよ。歴史もあるチームだし、そんなはっちゃけるようなタイプもあまりいなくて。でも、バカなやつもチームに一人は絶対必要だと思うんです。考えすぎてしまった時に、少しくらい笑って他のことを考えて、そうすれば頭もスッキリすると思うので。それで僕は沖縄出身だし、こういうキャラだし、そういうムードメーカーになろうと心掛けてやっていました」
―ここまで一緒に頑張ってきた4年生にはどんな想いがありますか?
「入学当時から、本当に4年生は仲良くて。部員も少ないんですけど、少ないからこそ話し合いができて、『こういうチームにしたい』とかみんなで意思疎通ができていたと思います。それにやっぱり星野は本当にリーダーシップがあって。自分からキャプテンもやると言ったし、みんなも星野さんについていこうという感じでした。梅津も梅津で、練習後とかにちゃんとプレーがどうだったとか言うんですね。梅津も指摘するタイプで、僕がフォローするタイプで、そういう調和が取れた4年生だったのかなと思います」
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「学年関係なくお互いに言い合える関係だった」
後輩たちの力も借りながら、発揮した4年生らしさ
◆#50梅津大介(筑波大・4年・C)

青森山田高校出身で、U-18に選ばれた実績はあるが常に全国を舞台としてきたわけではなかった。そこから全国常連者の多い筑波大に飛び込み、4年間を高いレベルで争ってきたことには充実感をうかがわせる。「学年関係なく仲が良い」という今年のチーム。自身初めての出場となるオールジャパンまでの残された期間も、このチームの大切な仲間と全力でバスケットを楽しんで欲しい。
―チームとして久々にベスト8に入って、5位で大会を終えました。
「去年はベスト4以上が当たり前のような雰囲気でしたが、結局8がけで負けて。それで新チームになった時に、4年生のインパクトが欠けているということで、まわりから『今年は大丈夫なのか』みたいな声もすごくありました。でもその中でこうしてベスト8も突破して、ベスト4には入れなかったけど1点差だったし、最後も5位で終われたので、結果として個人的には満足かなと。優勝はできなかったし5位なんですけど、悪くはなかったかなと思います」
―シーズンを通して、良い成績を残せましたね。
「そうですね。毎年、『春の筑波』みたいなことは毎回言われていて。でも今年はリーグ戦も、ベスト4以上は確か10年ぶりくらいだったんですよね。10年くらい前に優勝(※)した以来のベスト4入りらしくて、そういう意味でも良かったかなと思います。得失点差で3位は逃したんですけど、それでもベスト4に食い込めたのは意味のあることかなと」※2002年に1部復帰し、1部リーグ優勝。
―そういう『春の筑波』に終わらなかった要因というのはどこにあるんでしょう。
「なんですかね…?普通に戦ったらそういう風に…(笑)。まぁでも今年は特に、学年関係なく仲が良いということはあったと思います。上下関係も、しっかりしているところはしっかりしていますが、くだけているところはくだけていたし,お互いに言い合える関係でした。僕たちから言うこともあるけど、下から言われることの方が多くて(笑)。下の方がバスケットはできますし、逆にプレーでは僕らが引っ張られるくらいでした。下も言いたいことが言えて、こっちもそれを受け止めて、その中でも間違っていたら言ったし、そういう関係ができたから良い成績につながったかなと思います」
―梅津選手自身、スタメンを務めた時期もありましたが、春の怪我もあってシックスマンとしての役回りになりましたね。悔しい気持ちもあったのかなと思いますが。
「まぁそれはありましたね。やるからにはスタメンで出たいという気持ちもありますから。でもチーム方針がそうなら、その中で結果が出せればいいかなという思いが自分の中にあって。その中で求められることも、できる時とできない時があったんですけど、シックスマンという位置について今では納得しているというか、良かったかなと思います」
―葛藤はありませんでしたか?
「…夏くらいまではありましたけど、でも怪我をしている期間も長かったですし、怪我が治ってからもそこまでインパクトを残せたかと言ったら自分の中でも疑問が残るので。自分の力が下だと思っているわけではないですけど、同じく肩を並べたらそれこそ春に結果を残したメンバーでやった方が当然チームとして流れも良いだろうと思うし。だからその良い流れの中に自分がどれだけ入って行けるかがポイントだと思って、割り切った部分はありますね」
―コートで表現するのが難しいとなった中で、後輩たちがのびのびプレーするために何か心掛けたことはありますか?
「正直に言えば、後輩たちはやれと言えばしっかりとやれるメンバーなんですよね(笑)。だからこっちからああしろ、こうしろと言う必要もあまりありませんでした。どちらかと言うと、好きにやらせてミスした時に『大丈夫、もう一回いってこい』って声をかけるくらいでしたね」
―今年はチームの雰囲気がとても良かったですね。
「そうですね。今年は、何か悪いことがあればコートの中でも頻繁に円を組むというのをやり始めて。細かいことでもチェックして修正していったし、そういう円の中で4年生だけじゃなく下級生もどんどん意見を出していける関係だったので、良かったんじゃないかと思います」
―星野選手はどんなキャプテンでしたか?
「ザ・キャプテンって感じでしたね。あいつは大学に入る前も今までずっとキャプテンをやってきたみたいですし、なんとなく1年生の頃から星野がキャプテンだろうというのは決まっていたんです。筑波って学年代表みたいなのがあるんですけど、他の学年は結構『お前やれよ』『いや、俺は無理』って決めるのに時間がかかる代もある中で、自分らの代は一瞬で『星野やれよ』『おう、俺やる』みたいな感じで決まって。あいつに安心してみんながついていくという感じでしたね」
―同じく4年生の砂川選手はどんな人でしたか?
「もう、見たまんまですね(笑)。今日の最後のプレーも、あいつらしいというか、あんな感じです。チームに勢いをもたらしてくれる楽しいやつというか。勢いだけ持ってきて、疲れたらサッとベンチに戻る、それでまた元気になったらバッと出てくる(笑)。そういう、台風みたいなやつでした。ちょっと今までに出会ったことのないタイプでしたね…」
―(笑)。そうしたメンバーと過ごした4年間は、梅津選手にとってどんな4年間でしたか?
「もう本当に楽しかったですね。自分は高校(青森山田高)が県でもベスト4とか2位とか、全国大会に行けそうで行けないチームだったので、こうやって急に上の世界に飛び込んで、貴哉(砂川)とか星野とか常に全国で戦ってきたやつらと一緒にやれたのは良かったです。先輩も後輩もそういう人たちだったし、その中で4年間、しかも1部でずっとやれたというのは本当に楽しかったです」
―では、最後の大会であるオールジャパンに向けて意気込みを。
「正直、オールジャパンにどういうモチベーションで臨めばいいのかまだよく分からないんですよね(笑)。それこそ5年ぶりなので、すぐ上の先輩たちに聞くこともできないですし。まぁそれはこれから4年生と吉田先生で、4年生がどうするかというのは話し合うと思います。でも上のチームともしやれるのなら全力で戦って、結果を残して、良い形で最後のシーズンを終えられたらいいなと思います」
―このチームでまだバスケットをしたい気持ちも強いのでは?
「そうですね。すごくやっていて楽しいので。練習から普通に楽しいんです。できればずっと一緒にやりたいですけど、それは無理なので、最後この2ヶ月でどれだけ楽しめるかだと思いますね」
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「相手を抑えられて勝てた時は気持ちよかった」
リーグ屈指のディフェンス力が光ったチームリーダー
◆#4高橋 陽(専修大・4年・PG)

下級生の頃からチームの精神的支柱であり、まわりの選手からもその信頼度は伝わってきた。そんな高橋が春から常々口にしていたのは、日々の練習の大切さ。「毎日練習の質を上げていけば、その先に見えるものがあるはず」とトーナメントで話していたことを1年間通して貫き、朝練や熱気あふれる練習の積み重ねが、苦難の多かった過去3年間の成績を塗り替える源となった。後輩たちへの言葉も、「練習次第」という彼らしいもの。大学バスケットに欠かせないこの姿勢が、これからもチームに受け継がれることを願いたい。
―白熱したラストゲームになりましたね。
「最高でしたね(笑)」
―どんな心境で試合に臨みましたか?
「結構朝とか試合前はいつも通りだったんですけど、アップの時に“あー最後なんだなぁ”とひしひしと思いました。最後だし、わざわざこういう体育館に来てくれるお客さんのためにも、恥のない試合にしようと思って。負けはしましたけど、ゲームもゲームで競った展開になったし、楽しかったですね」
―今シーズンはどんな1年間でしたか?
「今年1年で自分に何ができたかよく分からないですけど、チームでリーグ3位という結果を残せたし、後輩も後輩で4年生から何か感じ取れることが少しでもあったんじゃないかなと思います。インカレの結果はこういう感じになりましたけど、振り返れば後輩にいい形でつなげられることができたのかなって。あとは後輩に頑張ってほしいですね。自分も試合たまに見に行って応援したいと思います」
―“自分に何ができたか分からない”と言いますが、高橋選手の強い気持ちがチームをまとめていたと思います。プレーでも特にディフェンスは素晴らしかったですね。
「自分は関東の大学の中で全然得点能力もないし、上手くないです。でも、ディフェンスに関しては負けないと自分の中で思っていました」
―ディフェンスして印象に残っている選手はいますか?
「うーん、色々いますけどね。岸本(大東文化大#14)とか…。海斗(日本大#3石川)とリーグ戦でできなかったのが残念でしたけど。まぁ、やっぱりディフェンスは面白いですよね。相手を抑えるということが、違う感覚で面白いんです。自分の役割はディフェンスだとも分かっていたので、相手を抑えられて勝てた時は気持ちよかったですね」
―テイクチャージが決まった時は、チームも盛り上がりますよね。
「そうですね。気持ちいいです。今日のは死ぬほど痛かったですけど(苦笑)」
―4年間を終えて、どんな思いですか?
「自分は本気のバスケはここで終わりなので、バスケ人生最後の試合だったんですよね。中原さん(監督)には1年生の時から試合に使っていただいて、コーチの方にもトレーナーの方にも色々指導していただいて…、話せばきりがないくらい色んな人にお世話になって、本当に感謝の気持ちしかないです。社会に出ても頑張っていきたいと思います」
―何年間のバスケ人生だったんですか?
「何年ですかね?(笑)幼稚園くらいから始めたので、結構長いです。でも悔いはありませんね。館山ともここまで一緒にやってこれたし」
―館山選手とも最後でしたね。
「館山とは、能代(能代工業高校)から7年間ずっと一緒にやってきましたからね。本当にあっという間でした。あいつには感謝したいです」
―館山選手はどんな存在でしたか?
「うーん、なんて言えばいいんですかね…言葉にするのは難しいな。よきパートナーですかね。自分は怒られ役で、あいつの方がバスケを知っているし僕が合わせる感じだったんですけど、そのおかげでしっかり戦えたし勝てたことが、自分にとっての財産です。思い出深いというか、ちゃんとここまでやってこられて良かったです」
―能代工高校と大学とで変化は感じましたか?
「最初は戸惑いましたね。でもバスケットのスタイル自体はそんな変わらなかったので。それに今考えると、能代で3年生の時に(佐藤)信長先生が監督になって、マンツーマンとかそういうディフェンスの指導はされてきたんです。加藤先生(元能代工高監督・現西武文理大学監督)だったら基本的にゾーンじゃないですか。だから、高校の時に色々教わったことがあって、プラスアルファ、中原さんとかに教えてもらったことや考えが浸透して、体も強くなって、今のディフェンスがあるのかなと思います」
―では、最後に後輩たちに向けて。
「やるべき時にやって、オンとオフをしっかりつけるということと、あとは練習次第だと思います。能力がなくても練習をしっかりやっていけばおのずと結果は出てくると思うので、そこは頑張ってほしいですね」
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「シュートが入らない時でも他にできることが見つかった」
3Pシュートだけに終わらない選手へと成長
◆#33館山健太(専修大・4年・F)

#4高橋陽と能代工高校時代からの7年間を終えたことには感慨深げだったが、今後もバスケットを続けるというだけに、この先の舞台でも活躍を期待したい。
―最後の試合、振り返っていかがでしたか?
「やっぱり最後に勝って終わりたかったというのが正直なところですけど、楽しかったので良かったですね。準々決勝で負けてモチベーションとか気持ちの持って行き方が難しかったんですけど、最後に勝ちたかったし、試合前も星野(筑波大#76)とメールで『楽しく試合して終わろう』みたいなやり取りをしていたんです。楽しくできたのは本当に良かったです」
―星野選手とは試合中も言葉を交わして楽しそうでしたね。4Q序盤で筑波大に流れを持っていかれましたが、追い上げて追い付いた粘りは素晴らしかったです。延長戦でみんなと少しだけ長くバスケットができましたね。
「はい。あのタップシュートを自分が決めていれば勝ってたんですけどね(笑)。力みました。4年間の集大成のシュートがあれです(笑)。今日は宇都(#11)が最後まで走ってくれたので、追いつけましたね。なんだかんだ今年も来年も宇都のチームだと思います。4年生は抜けるけど、あいつには頑張ってほしいですね」
―今シーズンを振り返ると、リーグ戦で3位、インカレで6位と上位に入り、大きく飛躍した年でしたね。
「入学して1年生でいきなり全敗を経験して、入替戦も経験して、でも上位に入る喜びも経験して。優勝だけは経験できなかったですけど、自分たちの中で最高順位を経験できたので、今シーズンは満足かなと思います」
―学生としてのバスケットを終えて、どんな気持ちですか?
「やっぱり一番大きいのは、陽(#4高橋)と7年間やってきて今日が最後の試合だったってことですね。最後に勝てなかったのは悔しいですけど、バスケットはこれからも続いていくので、いつかまた一緒にバスケしたいなと思います。学生としてのバスケは終わりですけど、今後も頑張っていきたいです」
―館山選手にとって高橋選手はどんな存在でしたか?
「泣かせる気ですか?(笑)そこは語らないです! 泣いちゃうから!」
―(笑)。高橋選手だけでなく、樋口選手(#22)や廣島選手(#3)らもずっと下級生の頃から4年間試合に絡んできたメンバーですよね。
「そうですね。僕らは、1年からみんな結構試合に絡んでいる代で。実際自分なんて全く使えなかったのに、中原さんがずっと使い続けて4年目まで育ててくれたことには本当に感謝ですね。中原さんの僕らの代への気持ちというのはすごく分かっていたので、今年はその思いに応える意味でも結果を出したかったです」
―館山選手自身、4年目の今年はこれまで以上に安定して点を取っていた印象を受けます。
「どうですかね…?あいかわらずシュートも入らない時は入らないですけど、でも前よりは、シュートが入らない時に他にできることが見つかったかなって。リバウンドとか、ドライブに行くことも結構増えました。まぁ自分は太ったので(笑)、その分体を使って、宇都とはまた違うドライブを仕掛けて相手も止めづらかったんじゃないかなと思います」
―専修大のバスケットはどうでしたか?高校とはまた違う環境だったと思いますが。
「環境は、実際悪くないと思うんですよ。体育館も使えるし、寮もついているし。でもそこで、高校と違って甘えが出てしまう部分も大学にはあって。でも、今年はみんな練習もガツガツやっていたと思います。大学は、本当に自分次第ですね」
―では後輩たちに向けてメッセージを。
「宇都を筆頭に、なんとかしてくれると信じてます!応援してます」
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【COMMENT】

(写真、左から)
◆#22樋口大倫(専修大・4年・PF)
「感動しました。宇都が泣いちゃったから、泣きそうでしたよ、本当に。最後にふさわしい試合だったと思います。4年間は、疲れました(苦笑)。でも専修の絆は…強いです!」
◆#3廣島 駿(専修大・4年・G)
「最後の試合を終えて、爽快!惜しかった!僕たちには絆があります。それにやっぱり、僕たちは松井さん(#77)の下で頑張ってきたんですよ。まっちゃん(松井)を試合に出そうと思って頑張ってたから。だから僕らではなく、試合出てなくても松井さんに話聞いてあげて下さい!」
◆#77松井成嗣(専修大・4年・SG)
「もうほんとみんな頑張ってくれて…試合に出ているやつらが頑張ってくれたから、自分も良い思いができました。(松井選手は一般生で、朝練など自主練をすごく頑張っていたそうですね?)そうです。朝練の鬼です(笑)。試合前も朝練に行ってました。他のみんなも朝練してたし、試合が終わってからもみんなでシューティングに行ったり。専修って悪役でも、みんな努力してるんですよね、実は(笑)。自分はこれでバスケは最後なんですけど、みんなでできたことが良かったです!」
写真:最後はちょっとおどけて専修大らしいコメントで締めた3名。左から樋口、廣島、松井選手。
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【PHOTO】

5位となった筑波大学。4年生らの胴上げのあとに、集合写真を撮影。
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