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2012.06.29 (Fri)
【2012新人戦】6/17決勝 東海大vs筑波大
前半まで主導権を握ったのは筑波大
だが3Qで爆発した東海大が優勝を果たす
新人戦のファイナリストは東海大と筑波大。春のトーナメントに続いて決勝進出となった東海大は、全体チームでも主力となる豪華なメンバーを擁し、強豪ひしめく左側ブロックを勝ち抜いてきた。だが対する筑波大も、小兵ながら安定感あるアウトサイドシュートとトランジションバスケットで勝ちあがり、久しぶりの決勝進出。互いに異なるスタイルを持ち、昨年の新人戦準々決勝で1点差の末筑波大が東海大を下した因縁もある。筑波大は2004年、東海大は2008年以来の優勝を目指し、負けられない一戦が幕を切った。
先制は筑波大。#21笹山(2年・PG)がパスカットから自らレイアップを決める。さらにエース#14坂東(2年・SG)がミドルシュートを沈め、#92村越(1年・PF・福大大濠)も外に出て3Pで続いた。「前半は浮き足立っていて、チームで戦えていなかった」(陸川監督)という東海大は#10バランスキー(2年・PF)がゴール下で得点していくが、ターンオーバーが多く手数が少ない。#22飯島(2年・PG)が積極的に3Pを狙うが全て落してしまい、追いかける展開を余儀なくされた。筑波大も#10山田(2年・PF)が2ファウルで退き、ダブルドリブルのミスもあって思うようにスコアを伸ばせないが、終盤の#58船橋(1年・SF・千種)の得点が効いて12-16とリードして1Qを終える。
2Qに入り、東海大は優位に立つインサイドで再三オフェンスリバウンドを拾うが、#7晴山(2年・PF)のシュートがことごとくこぼれる。波に乗れない東海大をよそに、筑波大は#21笹山から#92村越へアリウープが決まり、#14坂東の3Pもあってリードを9点に広げた。東海大は堪らずタイムアウト。するとこの大事な場面で、#0ベンドラメ(1年・SG・延岡学園)が2本の3Pを決めて反撃の狼煙を上げる。#10バランスキーから#21橋本(1年・C・宇都宮工)へ合わせが決まり、#22飯島がスティールからワンマン速攻に走って遂に同点に追いついた。しかし筑波大も、#21笹山が相手のゾーンディフェンスに2本の3Pで対抗し再びのリード。ロースコアの1Qから一転して2Qは追いつ追われつの展開となり、35-40と筑波大リードで後半へ。
勝負のポイントとなった3Q、東海大が開始から猛チャージ。#0ベンドラメが3Pあり、ドライブありの今大会ベストともいえるパフォーマンスを披露し、前半は不調だった#7晴山もパワープレーやリバウンドシュートで奮闘。東海大が畳み掛ける様に11得点を積み上げ、開始3分で46-40と形勢逆転となった。逆に得点がぴたりと止まってしまった筑波大。その後もオフェンスが#14坂東の3P頼みとなり、単発に終わる苦しい展開が続く。完全に自分たちのペースに持ち込んだ東海大は、10分間に渡り一度も良い流れを切らさず、この3Qは35-11。一気に19点差をつけて試合を大きく動かした。
4Q、東海大は激しくディフェンスを仕掛けて速攻に走り、20点差をつけても手を緩めない。だがここで筑波大は#14坂東がチームを鼓舞する2連続3Pを決め、#21笹山が中に切れ込み得点を奪う。決死のダブルチームからボールを奪うなど東海大の得点を止め、#14坂東がきっちり3Pを決めて残り5分77-64まで点差を縮めた。しかし東海大も慌てず、#10バランスキーがリバウンドシュートを決め、#21橋本へのアシストも上手く通ってそれ以上は詰めさせない。残りの時間もそのまま押しきると、結局94-82でタイムアップ。春のトーナメントで苦汁をなめた東海大は、今シーズン2度目の決勝の舞台で悲願の優勝を果たした。
準優勝となった筑波大。高さでは分が悪くリバウンド数で35本もの大差をつけられたが、#14坂東の8本の3Pを含めチームで計14本の3Pを決めるなど、自分たちの持ち味を出して立ち向かった。3Qで引き離される展開にはなったが、前半可能性を見せた戦いぶりや、点差がついてからも諦めない姿勢は光った。少数精鋭で勝ち抜き、1年生が経験を積んだことも大きな収穫だ。昨年から一つ順位を上げ、準優勝で今大会を終えた。
嬉しい優勝を果たした東海大。特に3Q、チームが一つになったときの爆発力はすさまじかった。タイムアップと共に全員笑顔がはじけ、主将の#8藤永は溢れ出る涙に両手で顔を覆った。リバウンドやディフェンスで粘り、オフェンスでも積極性を見せて素晴らしいプレーを見せたコートの5人はもちろん、ベンチから気丈に声を掛け続けた藤永や、1プレー1プレーを大歓声で盛り上げた仲間の存在も優勝には欠かせなかっただろう。東海大は下級生がスタメンに名を連ねる今期、春から試合を重ねるたび確実にレベルアップしている。チーム一丸となり、リーグ戦でさらなる進化を遂げたい。
写真上:筑波大の笹山はアシスト王を獲得。坂東とともにチームの要だった。
写真下:この面子が東海大を更なる上に押し上げられるか。成長が楽しみでもある。
※東海大・橋本選手、飯島選手、ベンドラメ選手、筑波大・坂東選手のインタビューは「続きを読む」へ。
「誰一人欠けても得られなかった優勝」
チームの一体感で掴んだ勝利に安堵
◆#22飯島理貴(東海大・2年・PG)
トーナメントに続き今大会はスタメンの司令塔を任された。準決勝・決勝と持ち味のシュートが不調で本人は納得のいかない様子だったが、それでもここまでの5試合、チームをコントロールし、要所で活躍してきた彼の働きは大きい。トーナメントで自分のやるべきことが明確になり成長した印象を受けるが、この新人戦でさらに自信と課題を手にしたようだ。秋から3年生の#18和田が復帰すれば、ガード陣もより層が厚くなる。自分の持ち味を出して、リーグ戦でも魅せて欲しいところだ。
―優勝おめでとうございます。今のお気持ちはいかがですか?
「もうとにかく嬉しいです。本当に全員で掴みとった勝利でした。応援もすごく力になったし、誰一人欠けても得られなかった優勝かなと思います」
―新人戦のチームはBチームも混ざってチームを組むことになりますが、とてもまとまりのあるチームでしたね。
「そうですね。今年の新人戦チームはAもBも仲が良いですし、試合に出る出ない関係なしに全員が“チームの為に”という強い気持ちを持っていて、結束力がすごくありました。このチームが終わってしまうのがすごく寂しいくらいですね」
―決勝とあって、やや前半は硬かったように思います。
「立ち上がりがあまり良くなくて…。自分のミスから入ってしまったのもあるんですけど、そこから相手の雰囲気に飲まれてしまったかなと思います。それを立て直すのに前半まで掛かってしまったのは反省点ですね」
―飯島選手は自分の出来としてはあまり納得のいっていない様子ですね。
「はい(苦笑)。もう全然納得いってないです。この2日間、全然スリーが入らなかったし、課題だらけでしたね。自分が外したシュートをザック(#10バランスキー)や晃佑(#21橋本)やケビン(#7晴山)がリバウンドを取ってくれて、そこからリバウンドシュートが生まれたのは良かったんですけど…。高さを活かした勝利とも言えるんですが、裏を返せば今後その高さを抑えられた時にシュートが入らなければ負けてしまうので、それは自分の課題ですね」
―週末に入るまでは良いプレーも見られたように思いますが、大会全体として調子はいかがでしたか?
「最初は普通にスリーも入ったし結構調子も良かったんですけど、この土日はあまり上手くいかなかったですね。何本も“入った!”と思ったシュートはあったんですよ。なのになかなか決まらなくて…。よく分からないですけど、力が入りすぎたんですかね? 緊張は全くなかったんですけど。うーん…まだ練習も足りないのかなと思います」
―個人としては課題も残る新人戦だったんですね。
「そうですね。シュートセレクションをもう少し良くした方がいいなと感じました。アウトサイドの調子が上がらない時に、悪い流れの中でタフショットを打ったらそれこそ入らないじゃないですか。シュートセレクションを考えて、自分が打つべき時に打っていって確率を上げていくということをこの新人戦で学びました。あとは、自分が入らない時にもっとまわりにアシストしないといけないですね。今日もまだまだ全然足りなかったです。自分が得点で絡めなかったら、もっと仲間を生かすパスを出せるようにしなきゃいけないのに。そこは秋までに成長したいです」
―では今日の勝利はインサイド陣の役割が大きいと。
「本当にそうですね。外れたボールをことごとく拾ってくれて、本当に助かりました」
―あとは#0ベンドラメ選手の活躍も鍵になったと思いますが。
「彼はすごかったです。昨日は全然スリーも入ってなかったのに、決勝ではちゃんと決めてきて…やっぱり持ってますね(笑)。そういうところはすごいなと本当に思いました」
―1年生がのびのびプレーしていた印象を受けますが、2年生としてどのような働きがけをしましたか?
「礼生(#0ベンドラメ)も晃佑(#21橋本)も、こっちが言わなくても自分のやるべきことを結構分かっているんです。だから、ミスしても『いいぞいいぞ!』ってプラスの声掛けをしてあげたことが良かったのかなと。このチームって、積極的なプレーをする中でのミスにはみんなが『いいぞ!』とか『ドンマイ!』とかプラスの声掛けをしてたんですよ。喝を入れるときは入れますけど、2年生やベンチが1年生をうまく乗せてあげられて、1年生も先輩に気を遣わないでプレーできたのが良かったのかなと思います」
―声掛けの部分では#8藤永選手の存在が大きかったように思います。ベンチから熱く声を掛け続けていましたね。
「ああいうのって、あいつにしかできないですよね。本当にアキ(#8藤永)の存在は大きかったです。ずっと引っ張ってくれていました。あいつ、今日の朝から足が痛かったみたいで、それでも『最後だし大丈夫!』って言ってたんですけど、やっぱり試合にはあまり出られる状態じゃなかったようで…。でもベンチからあいつがずっと声を掛け続けてくれたから、自分も気持ちを切らさず1本頑張ろうって思うことができました。仲間のことを想って動けるやつだし、すごく頼りにしていますね」
―こうして優勝を果たして、2年後自分たちが4年生になった時のことは考えますか?
「それはもちろん考えますね。この新人戦ですごく自信がつきました。それに自分とアキって、タイプが違うからこそお互い補いあえる関係だし、すごく相性が良いと思うんです。お互いこれからどんどん磨いていきたいですね。4年になった時のことが今からすごく楽しみです」
―下級生の活躍が3・4年生の刺激にもなったと思います。
「この勢いを先輩たちに加わっても切らさないで、チームで成長してインカレで優勝できればいいなと思います。直樹さん(#18和田)が復帰してガードは自分とアキと3人になるから、ファウルトラブルも気にせずに思いっきりプレーできると思いますし。自分たちも経験を積んで自信がついたので、全体チームに戻っても臆せずにプレーしていきたいですね」
―リーグ戦まで間が空きますが、どんなところを頑張っていきたいですか?
「もっとシュートの確率を上げることと、あと自分が攻めていく中で仲間を生かすようなプレーをもっとできるようになること。あとディフェンスもあまり良くなかったので、もっとプレッシャーを掛けられるように、夏の間に頑張りたいです」
「自分のできることを一生懸命やるだけ」
ここ一番の勝負強さを持つ今期新人王
◆#0ベンドラメ礼生(東海大学・1年・SG・延岡学園)
チームとしては、2008年の満原(11年度卒・現JBL日立)以来となる新人王授賞となった。今期注目すべきルーキーがその期待に応えた。決勝では、本人が重点を置くディフェンスはもちろん、トーナメントでは確率の上がらなかった外のシュートも効果的に決めていった。チーム状況次第では1番ポジションもこなせる持ち味があるのも大きな魅力だ。一方で、1年生だけあって、まだまだレベルアップすべきポイントは多い。大学4年間で、どれだけの選手に成長するか、期待したいところだ。
―大学では初のタイトルですね。
「やっぱり優勝するのは気持ち良いですね。嬉しかったです」
―高校時代での優勝経験とは、感じ方が違いますか。
「春のトーナメントで一回負けていた中で、途中で青学を破っての優勝なので。負けた経験を経た上での優勝は、高校時代とは違いますね」
―トーナメントで敗れた悔しさもあったと思いますが。
「トーナメント決勝は大事な場面で出してもらって、そこでスティールされて、自分のミスでやられてしまいました。1年生で出させてもらってるからにはミスはいけないな、と思っていたんですが、あのミスはショックでしたね」
―新人王授賞ですが、今大会の個人的な出来はどう感じていますか。
「1回戦から全然アウトサイドが入っていなくて。それでもザックさん(#10バランスキー)とかケビンさん(#7晴山)とか、リバウンドが強い先輩たちがいて、それがあるから思い切って打てていけたと思います。その思い切り打つということを忘れずにやっていったら、決勝にはよく決まって、良い結果に繋がりましたね」
―今日のアウトサイドは効果的でしたが、大事な場面で決められた要因は何でしょうか。
「とにかく打たないと入らないので。とにかく打ち続けただけですね。無心でやっていました」
―今日の試合、チームとしては1Qのターンオーバーが多かったです。立ち上がりは課題ですね。
「入りが悪くても、うちはリバウンドという武器があるし、ディフェンスから、というのもあります。だからハーフタイムにリードされていても焦りはなかったですね。リーグでも、入りをもっと大事にしていったらこのチームはもっと強くなれると思います。そのところが課題ですね」
―『ディフェンスから』というフレーズはトーナメントの際にも仰っていましたが、今回もその意識を変えなかったと。
「はい、常にディフェンスからゲームは始まると思っているので」
―新人戦チームではスタートでの出場でしたが、全体チームはベンチスタートです。やはり違い、難しさはありますか。
「気持ちは常に『一生懸命やる』と思っているので、そんなに変わりはないです。自分のできることを一生懸命やるだけなので。スタートだから、とか、シックスマンだから、とかいうところは、あまり意識はしていないです」
―今大会の活躍でトーナメントでのミスをリカバリーできたのではないでしょうか。
「いや、これは1、2年生の大会なので。これから上級生も混ざってのもっと厳しい大会があります。ここでできたことが3、4年生にも通用するかといったら、そう甘くはないかなと。切り替えて次に向けて頑張りたいです」
―大会を終えての収穫と課題を挙げて頂けますか。
「収穫はケビンさんのアウトサイドやリバウンド。ケビンさん自身も自信になったと思うし、そういった面です。反省する面は、流れを掴んでもそれを最後まで維持できないところです。途中追いついたのにまた離されてしまったところがあるので、ああいうところは課題だと思います」
「チームの大黒柱に」
課題を見据え、ここからの成長を
◆#21橋本晃佑(東海大・1年・C・宇都宮工)
新人戦ではだいたいどの選手も自らの課題を口にする。高校時代はエリートであっても、まだまだ彼らは大学の段階において発展途上の選手でもあるのだ。
インサイドプレーで筑波大の前になかなか自分らしさを出せなかった橋本。器用な選手ではあるが、その分瞬間瞬間にどのようなプレーを選択するのか、まだまだ経験を積んでいく必要があるだろう。大きな期待を背負うが、本人が言うように重荷とせず、自分のバスケットの道をしっかりと進んで欲しい。
―優勝おめでとうございます。大学では初のタイトルになりますね。
「率直にうれしいというのが一番ですね。ただチームが勝てたのはいいんですが、自分自身の結果というかやるべき仕事はまだまだ満足できるレベルまでいっていないので、個人成績ばかりを考えると駄目なんですが、そういうところが少し悔しいです」
―1Qは浮き足立っていたと陸川監督もおっしゃっていましたが。
「始まる前に『何とかなる』と思ってはいけないと言われたんですが、準決勝で青学に勝ってそこは自分たちの自信にはなったんですが出だしが悪くて、そこをバババッとやられてしまいました。でも3Qで離せたので良かったですね」
―新人戦前の代表の合宿は1回目だけ参加と聞きましたが?
「最初の1回だけ行きました。あとは新人戦の前だったのでチームに残っていました」
―代表で求められていたことはまた大学とは違いましたか?
「まだ最初はファンダメンタルしかやらなかったので、まだそこまではわからないです。」
―体づくりや基礎はまだまだこれからの部分もあると思いますが、今日は村越選手にマークされてうまくシュートできない部分もありましたね。そこはフィジカル面の課題と考えますか?
「それもなんですが、もう一歩踏み込んでいけば行けたというのはあります。フィジカルとステップの両方が課題だと思います」
―もう一歩行けなかった理由は?
「空いたと思って打ってしまって、その後で後悔するというパターンでしたね」
―確かにもう一歩踏み込めば簡単にシュートが打てそうなのに打ってしまう、という場面が何度かありましたね。
「いつもプレーした後に後悔してしまうので、そのセレクションはもっと改善していきたいです」
―トーナメント後にも自分がしなければいけないことができていないと言っていましたが、他に課題はありますか?
「自分が東海に来て3月から練習参加していたんですが、ずっとボックスアウトとリバウンドについて言われてきました。この新人戦はケビンさんやザックさんがいて、自分がボックスアウトすれば空いたスペースで誰かが取ってくれるというのがありました。だから自分ではボックスアウトを意識していたんですが、準決勝ではリバウンドを取られてしまったケースがあったし、慶應戦でも最後の方は取られてしまっていたので、そこを改善したいと思います」
―高校までは恐らく簡単にリバウンドを取れることも多かったと思うんですが、そういう経験から今はまだリバウンドに行くのが甘くなることはあるのでしょうか?
「そういう訳でもないと思うんですが、相手に先に場所を取られてしまったりしていたので、そこの駆け引きというか、早く自分のエリアを確保して確実にリバウンドを自分のものにしていきたいですね」
―ゲーム全体で言えば入りが悪いのは少し課題かなと思いますね。
「今大会はほとんどの試合の入りが悪くて、3Qで勢いを持ってくるという感じでした。入りから全部良くしていかないいけないと思います。スロースタート気味なのを変えていきたいですね」
―代表活動はまだ行くんですか?
「木金土日などにあるので、平日は授業に出なくてはいけなくて土日だけ行く予定です」
―代表としても今後期待されてくると思いますが、学生とは異なる意識も必要だと思います。代表候補であるという自覚は常にありますか?
「代表候補というのが自分にとって悪いプレッシャーにならないように、いいプレッシャーというのは難しいですが重荷にならないようにしていきたいですね。期待されている分やらなくてはいけないというのがありますが、そこで空回りしてはいけないと思います。期待に応えられるような存在感を持って、チームの勝利に貢献できるようでないといけないと思います。ハーフタイムにも陸さんに『お前はこのチームの大黒柱にならなくてはいけない』と言われました。そうなれるようにチームも、代表のことも頑張っていきたいと思います」
「『春の筑波』とはもう言われたくない」
ここで終わらないチームの躍進を目指して
◆#14板東 拓(筑波大・2年・SG)
決勝の大舞台でも計8本の3Pを決め、見事2年連続で新人戦3P王を獲得。シュートの調子にあまり波が無く、コンスタントに決めることができる貴重なシューターだ。またトーナメントの頃からアシストやドライブにも手応えを感じている。成長著しく、充実した2年目のシーズンを送っているようだ。プレーの幅が広がれば、得意の3Pもより効果的になるはず。マークはより厳しくなるだろうが、リーグ戦での活躍にも期待したい。
筑波大は、トーナメントや新人戦で良い成績を収めるも、リーグやインカレで失速する年もこれまで多かった。『春の筑波』から脱し、秋、さらに飛躍することができるか。
―準優勝という結果について。
「率直に『勝ちたかった』っていう一言です。3番ポジションでスタメンだったのが晴山(東海大#7)だったので、向こうはミスマッチだと思っていたはずです。ただ、僕から見ても逆にミスマッチだと思っていたので、そこは3Pで突けたかなと思います。前半はチームとしてオフェンスもディフェンスもかなりよかったのに、3Qでシュートが入らなくなったり、ディフェンスでインサイドを完全にやられてしまいました。振り返ってみると反省点や修正点がたくさん見えた試合でした。それがとても悔しいです。笹山(#21)とは、『僕らが4年になったときに東海に勝てばいいじゃないか!』という話はしました。それまでに色んなことを修正してリベンジしたいなって思っています」
―準決勝は拓大ペースで試合が進みましたが、今日はそこから上手く修正しましたね。
「僕は拓大のディフェンスが関東No.1だと思っているので、昨日はそこをクリアしたいと思っていたんですが…。案の定、ボール運びとかでトラブったときがあったので、そこは修正していかなきゃいけないなと思いました。準決勝からの反省点はボール運びだったので、そこは今日はみんなで意識してできましたし、そんなにトラブルこともなかったかなと思います」
―マークが厳しくて簡単に3Pが打てない大会だったと思います。
「去年は池田さん(#34)とか武藤さん(#32)とか、必ずディフェンスが寄る人がいたので自分が動かなくても空いたんですけど、今年はそういう感じではなかったんですよね。マークが厳しいのはわかりきっていることだったので、自分が最後にシュートを打つのではなくて最後をウィングの小松(#16)やインサイドの合わせでやっていこうと思っていました。自分がもらうんじゃなくて自分がスクリーンをかけにいって、スクリーン側に自分のディフェンスが寄ったらそこで僕がもらうとか。そこは意識していたので、3・4Qは結構ノーマークになれたし、マークが厳しくてもできたかなと思います」
―トーナメントの時に「周りが見えるようになった」とおっしゃっていましたが、それはこの新人戦でも同じでしたか?
「そうですね。アシストも結構できたかなって。自分が最後3Pを打つという風になっていましたけど、なんだかんだ振り返ったら良い感じでアシストもできていたと思うので、そういう意味では去年より成長できたと思っています」
―リーグの時に7、8人目の選手が出てくるといいなと思いますが、そういう意味ではベンチメンバーも活躍して、秋に向けてとてもいい収穫となったと思います。
「この試合の前半は120点の出来だったと思っています。みんなで『全員バスケ』ができていたので、そこは自信にしていいと思っています。ただ、そこから伸びないというのが課題なので、そこは3・4年生が混じってもしっかりとやっていきたいです」
―新人戦ではかなり安定した活躍をしましたね。今後、筑波大にとって板東選手がいるということが大きな武器になるのではと思いますが。
「自分のシュートが重要になってくるなというのは1年の時からずっと思っていました。プレータイムは少しでしたけど、その中でもシュートだけではなくてドライブとかアシストという意識はありました。それが今年のトーナメントになって安定してきたので、そこはもう絶対に忘れないというか、意識し続けていきたいと思っています。このまま続けていきたいです」
―自分のやるべきことが明確ですね。
「はい。笹山からは『辻さん(青学大11年度卒・現JBL東芝)を超えて欲しい』と言われています。もちろん超えるつもりでやるし、シュートだけではなくてアシストやドライブもクリアできたら超えられると思うので頑張りたいです」
―リーグに向けて。
「まだ2年なので、3・4年生が戻ってきたら、僕らが逆に迷わずにシュートを打つだとか、プレッシャーを感じずにやれる部分があるので、そういう部分ではやりやすいですね。挑戦して、伸びていこうという気持ちもあります。個人としては、ドライブやアシストに磨きを掛けていって、シュートだけじゃないというプレイヤーになりたいと思っています。チームとしては、『春の筑波』とはもう言われたくないんです。言われないために、リーグ戦を戦っていきたいので、勝ちきれないところや詰めが甘いところなどの細かいところは夏の間に詰めていきたいと思っています」
だが3Qで爆発した東海大が優勝を果たす

先制は筑波大。#21笹山(2年・PG)がパスカットから自らレイアップを決める。さらにエース#14坂東(2年・SG)がミドルシュートを沈め、#92村越(1年・PF・福大大濠)も外に出て3Pで続いた。「前半は浮き足立っていて、チームで戦えていなかった」(陸川監督)という東海大は#10バランスキー(2年・PF)がゴール下で得点していくが、ターンオーバーが多く手数が少ない。#22飯島(2年・PG)が積極的に3Pを狙うが全て落してしまい、追いかける展開を余儀なくされた。筑波大も#10山田(2年・PF)が2ファウルで退き、ダブルドリブルのミスもあって思うようにスコアを伸ばせないが、終盤の#58船橋(1年・SF・千種)の得点が効いて12-16とリードして1Qを終える。
2Qに入り、東海大は優位に立つインサイドで再三オフェンスリバウンドを拾うが、#7晴山(2年・PF)のシュートがことごとくこぼれる。波に乗れない東海大をよそに、筑波大は#21笹山から#92村越へアリウープが決まり、#14坂東の3Pもあってリードを9点に広げた。東海大は堪らずタイムアウト。するとこの大事な場面で、#0ベンドラメ(1年・SG・延岡学園)が2本の3Pを決めて反撃の狼煙を上げる。#10バランスキーから#21橋本(1年・C・宇都宮工)へ合わせが決まり、#22飯島がスティールからワンマン速攻に走って遂に同点に追いついた。しかし筑波大も、#21笹山が相手のゾーンディフェンスに2本の3Pで対抗し再びのリード。ロースコアの1Qから一転して2Qは追いつ追われつの展開となり、35-40と筑波大リードで後半へ。

4Q、東海大は激しくディフェンスを仕掛けて速攻に走り、20点差をつけても手を緩めない。だがここで筑波大は#14坂東がチームを鼓舞する2連続3Pを決め、#21笹山が中に切れ込み得点を奪う。決死のダブルチームからボールを奪うなど東海大の得点を止め、#14坂東がきっちり3Pを決めて残り5分77-64まで点差を縮めた。しかし東海大も慌てず、#10バランスキーがリバウンドシュートを決め、#21橋本へのアシストも上手く通ってそれ以上は詰めさせない。残りの時間もそのまま押しきると、結局94-82でタイムアップ。春のトーナメントで苦汁をなめた東海大は、今シーズン2度目の決勝の舞台で悲願の優勝を果たした。
準優勝となった筑波大。高さでは分が悪くリバウンド数で35本もの大差をつけられたが、#14坂東の8本の3Pを含めチームで計14本の3Pを決めるなど、自分たちの持ち味を出して立ち向かった。3Qで引き離される展開にはなったが、前半可能性を見せた戦いぶりや、点差がついてからも諦めない姿勢は光った。少数精鋭で勝ち抜き、1年生が経験を積んだことも大きな収穫だ。昨年から一つ順位を上げ、準優勝で今大会を終えた。
嬉しい優勝を果たした東海大。特に3Q、チームが一つになったときの爆発力はすさまじかった。タイムアップと共に全員笑顔がはじけ、主将の#8藤永は溢れ出る涙に両手で顔を覆った。リバウンドやディフェンスで粘り、オフェンスでも積極性を見せて素晴らしいプレーを見せたコートの5人はもちろん、ベンチから気丈に声を掛け続けた藤永や、1プレー1プレーを大歓声で盛り上げた仲間の存在も優勝には欠かせなかっただろう。東海大は下級生がスタメンに名を連ねる今期、春から試合を重ねるたび確実にレベルアップしている。チーム一丸となり、リーグ戦でさらなる進化を遂げたい。
写真上:筑波大の笹山はアシスト王を獲得。坂東とともにチームの要だった。
写真下:この面子が東海大を更なる上に押し上げられるか。成長が楽しみでもある。
※東海大・橋本選手、飯島選手、ベンドラメ選手、筑波大・坂東選手のインタビューは「続きを読む」へ。
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【INTERVIEW】「誰一人欠けても得られなかった優勝」
チームの一体感で掴んだ勝利に安堵
◆#22飯島理貴(東海大・2年・PG)

―優勝おめでとうございます。今のお気持ちはいかがですか?
「もうとにかく嬉しいです。本当に全員で掴みとった勝利でした。応援もすごく力になったし、誰一人欠けても得られなかった優勝かなと思います」
―新人戦のチームはBチームも混ざってチームを組むことになりますが、とてもまとまりのあるチームでしたね。
「そうですね。今年の新人戦チームはAもBも仲が良いですし、試合に出る出ない関係なしに全員が“チームの為に”という強い気持ちを持っていて、結束力がすごくありました。このチームが終わってしまうのがすごく寂しいくらいですね」
―決勝とあって、やや前半は硬かったように思います。
「立ち上がりがあまり良くなくて…。自分のミスから入ってしまったのもあるんですけど、そこから相手の雰囲気に飲まれてしまったかなと思います。それを立て直すのに前半まで掛かってしまったのは反省点ですね」
―飯島選手は自分の出来としてはあまり納得のいっていない様子ですね。
「はい(苦笑)。もう全然納得いってないです。この2日間、全然スリーが入らなかったし、課題だらけでしたね。自分が外したシュートをザック(#10バランスキー)や晃佑(#21橋本)やケビン(#7晴山)がリバウンドを取ってくれて、そこからリバウンドシュートが生まれたのは良かったんですけど…。高さを活かした勝利とも言えるんですが、裏を返せば今後その高さを抑えられた時にシュートが入らなければ負けてしまうので、それは自分の課題ですね」
―週末に入るまでは良いプレーも見られたように思いますが、大会全体として調子はいかがでしたか?
「最初は普通にスリーも入ったし結構調子も良かったんですけど、この土日はあまり上手くいかなかったですね。何本も“入った!”と思ったシュートはあったんですよ。なのになかなか決まらなくて…。よく分からないですけど、力が入りすぎたんですかね? 緊張は全くなかったんですけど。うーん…まだ練習も足りないのかなと思います」
―個人としては課題も残る新人戦だったんですね。
「そうですね。シュートセレクションをもう少し良くした方がいいなと感じました。アウトサイドの調子が上がらない時に、悪い流れの中でタフショットを打ったらそれこそ入らないじゃないですか。シュートセレクションを考えて、自分が打つべき時に打っていって確率を上げていくということをこの新人戦で学びました。あとは、自分が入らない時にもっとまわりにアシストしないといけないですね。今日もまだまだ全然足りなかったです。自分が得点で絡めなかったら、もっと仲間を生かすパスを出せるようにしなきゃいけないのに。そこは秋までに成長したいです」
―では今日の勝利はインサイド陣の役割が大きいと。
「本当にそうですね。外れたボールをことごとく拾ってくれて、本当に助かりました」
―あとは#0ベンドラメ選手の活躍も鍵になったと思いますが。
「彼はすごかったです。昨日は全然スリーも入ってなかったのに、決勝ではちゃんと決めてきて…やっぱり持ってますね(笑)。そういうところはすごいなと本当に思いました」
―1年生がのびのびプレーしていた印象を受けますが、2年生としてどのような働きがけをしましたか?
「礼生(#0ベンドラメ)も晃佑(#21橋本)も、こっちが言わなくても自分のやるべきことを結構分かっているんです。だから、ミスしても『いいぞいいぞ!』ってプラスの声掛けをしてあげたことが良かったのかなと。このチームって、積極的なプレーをする中でのミスにはみんなが『いいぞ!』とか『ドンマイ!』とかプラスの声掛けをしてたんですよ。喝を入れるときは入れますけど、2年生やベンチが1年生をうまく乗せてあげられて、1年生も先輩に気を遣わないでプレーできたのが良かったのかなと思います」
―声掛けの部分では#8藤永選手の存在が大きかったように思います。ベンチから熱く声を掛け続けていましたね。
「ああいうのって、あいつにしかできないですよね。本当にアキ(#8藤永)の存在は大きかったです。ずっと引っ張ってくれていました。あいつ、今日の朝から足が痛かったみたいで、それでも『最後だし大丈夫!』って言ってたんですけど、やっぱり試合にはあまり出られる状態じゃなかったようで…。でもベンチからあいつがずっと声を掛け続けてくれたから、自分も気持ちを切らさず1本頑張ろうって思うことができました。仲間のことを想って動けるやつだし、すごく頼りにしていますね」
―こうして優勝を果たして、2年後自分たちが4年生になった時のことは考えますか?
「それはもちろん考えますね。この新人戦ですごく自信がつきました。それに自分とアキって、タイプが違うからこそお互い補いあえる関係だし、すごく相性が良いと思うんです。お互いこれからどんどん磨いていきたいですね。4年になった時のことが今からすごく楽しみです」
―下級生の活躍が3・4年生の刺激にもなったと思います。
「この勢いを先輩たちに加わっても切らさないで、チームで成長してインカレで優勝できればいいなと思います。直樹さん(#18和田)が復帰してガードは自分とアキと3人になるから、ファウルトラブルも気にせずに思いっきりプレーできると思いますし。自分たちも経験を積んで自信がついたので、全体チームに戻っても臆せずにプレーしていきたいですね」
―リーグ戦まで間が空きますが、どんなところを頑張っていきたいですか?
「もっとシュートの確率を上げることと、あと自分が攻めていく中で仲間を生かすようなプレーをもっとできるようになること。あとディフェンスもあまり良くなかったので、もっとプレッシャーを掛けられるように、夏の間に頑張りたいです」
「自分のできることを一生懸命やるだけ」
ここ一番の勝負強さを持つ今期新人王
◆#0ベンドラメ礼生(東海大学・1年・SG・延岡学園)

―大学では初のタイトルですね。
「やっぱり優勝するのは気持ち良いですね。嬉しかったです」
―高校時代での優勝経験とは、感じ方が違いますか。
「春のトーナメントで一回負けていた中で、途中で青学を破っての優勝なので。負けた経験を経た上での優勝は、高校時代とは違いますね」
―トーナメントで敗れた悔しさもあったと思いますが。
「トーナメント決勝は大事な場面で出してもらって、そこでスティールされて、自分のミスでやられてしまいました。1年生で出させてもらってるからにはミスはいけないな、と思っていたんですが、あのミスはショックでしたね」
―新人王授賞ですが、今大会の個人的な出来はどう感じていますか。
「1回戦から全然アウトサイドが入っていなくて。それでもザックさん(#10バランスキー)とかケビンさん(#7晴山)とか、リバウンドが強い先輩たちがいて、それがあるから思い切って打てていけたと思います。その思い切り打つということを忘れずにやっていったら、決勝にはよく決まって、良い結果に繋がりましたね」
―今日のアウトサイドは効果的でしたが、大事な場面で決められた要因は何でしょうか。
「とにかく打たないと入らないので。とにかく打ち続けただけですね。無心でやっていました」
―今日の試合、チームとしては1Qのターンオーバーが多かったです。立ち上がりは課題ですね。
「入りが悪くても、うちはリバウンドという武器があるし、ディフェンスから、というのもあります。だからハーフタイムにリードされていても焦りはなかったですね。リーグでも、入りをもっと大事にしていったらこのチームはもっと強くなれると思います。そのところが課題ですね」
―『ディフェンスから』というフレーズはトーナメントの際にも仰っていましたが、今回もその意識を変えなかったと。
「はい、常にディフェンスからゲームは始まると思っているので」
―新人戦チームではスタートでの出場でしたが、全体チームはベンチスタートです。やはり違い、難しさはありますか。
「気持ちは常に『一生懸命やる』と思っているので、そんなに変わりはないです。自分のできることを一生懸命やるだけなので。スタートだから、とか、シックスマンだから、とかいうところは、あまり意識はしていないです」
―今大会の活躍でトーナメントでのミスをリカバリーできたのではないでしょうか。
「いや、これは1、2年生の大会なので。これから上級生も混ざってのもっと厳しい大会があります。ここでできたことが3、4年生にも通用するかといったら、そう甘くはないかなと。切り替えて次に向けて頑張りたいです」
―大会を終えての収穫と課題を挙げて頂けますか。
「収穫はケビンさんのアウトサイドやリバウンド。ケビンさん自身も自信になったと思うし、そういった面です。反省する面は、流れを掴んでもそれを最後まで維持できないところです。途中追いついたのにまた離されてしまったところがあるので、ああいうところは課題だと思います」
「チームの大黒柱に」
課題を見据え、ここからの成長を
◆#21橋本晃佑(東海大・1年・C・宇都宮工)

インサイドプレーで筑波大の前になかなか自分らしさを出せなかった橋本。器用な選手ではあるが、その分瞬間瞬間にどのようなプレーを選択するのか、まだまだ経験を積んでいく必要があるだろう。大きな期待を背負うが、本人が言うように重荷とせず、自分のバスケットの道をしっかりと進んで欲しい。
―優勝おめでとうございます。大学では初のタイトルになりますね。
「率直にうれしいというのが一番ですね。ただチームが勝てたのはいいんですが、自分自身の結果というかやるべき仕事はまだまだ満足できるレベルまでいっていないので、個人成績ばかりを考えると駄目なんですが、そういうところが少し悔しいです」
―1Qは浮き足立っていたと陸川監督もおっしゃっていましたが。
「始まる前に『何とかなる』と思ってはいけないと言われたんですが、準決勝で青学に勝ってそこは自分たちの自信にはなったんですが出だしが悪くて、そこをバババッとやられてしまいました。でも3Qで離せたので良かったですね」
―新人戦前の代表の合宿は1回目だけ参加と聞きましたが?
「最初の1回だけ行きました。あとは新人戦の前だったのでチームに残っていました」
―代表で求められていたことはまた大学とは違いましたか?
「まだ最初はファンダメンタルしかやらなかったので、まだそこまではわからないです。」
―体づくりや基礎はまだまだこれからの部分もあると思いますが、今日は村越選手にマークされてうまくシュートできない部分もありましたね。そこはフィジカル面の課題と考えますか?
「それもなんですが、もう一歩踏み込んでいけば行けたというのはあります。フィジカルとステップの両方が課題だと思います」
―もう一歩行けなかった理由は?
「空いたと思って打ってしまって、その後で後悔するというパターンでしたね」
―確かにもう一歩踏み込めば簡単にシュートが打てそうなのに打ってしまう、という場面が何度かありましたね。
「いつもプレーした後に後悔してしまうので、そのセレクションはもっと改善していきたいです」
―トーナメント後にも自分がしなければいけないことができていないと言っていましたが、他に課題はありますか?
「自分が東海に来て3月から練習参加していたんですが、ずっとボックスアウトとリバウンドについて言われてきました。この新人戦はケビンさんやザックさんがいて、自分がボックスアウトすれば空いたスペースで誰かが取ってくれるというのがありました。だから自分ではボックスアウトを意識していたんですが、準決勝ではリバウンドを取られてしまったケースがあったし、慶應戦でも最後の方は取られてしまっていたので、そこを改善したいと思います」
―高校までは恐らく簡単にリバウンドを取れることも多かったと思うんですが、そういう経験から今はまだリバウンドに行くのが甘くなることはあるのでしょうか?
「そういう訳でもないと思うんですが、相手に先に場所を取られてしまったりしていたので、そこの駆け引きというか、早く自分のエリアを確保して確実にリバウンドを自分のものにしていきたいですね」
―ゲーム全体で言えば入りが悪いのは少し課題かなと思いますね。
「今大会はほとんどの試合の入りが悪くて、3Qで勢いを持ってくるという感じでした。入りから全部良くしていかないいけないと思います。スロースタート気味なのを変えていきたいですね」
―代表活動はまだ行くんですか?
「木金土日などにあるので、平日は授業に出なくてはいけなくて土日だけ行く予定です」
―代表としても今後期待されてくると思いますが、学生とは異なる意識も必要だと思います。代表候補であるという自覚は常にありますか?
「代表候補というのが自分にとって悪いプレッシャーにならないように、いいプレッシャーというのは難しいですが重荷にならないようにしていきたいですね。期待されている分やらなくてはいけないというのがありますが、そこで空回りしてはいけないと思います。期待に応えられるような存在感を持って、チームの勝利に貢献できるようでないといけないと思います。ハーフタイムにも陸さんに『お前はこのチームの大黒柱にならなくてはいけない』と言われました。そうなれるようにチームも、代表のことも頑張っていきたいと思います」
「『春の筑波』とはもう言われたくない」
ここで終わらないチームの躍進を目指して
◆#14板東 拓(筑波大・2年・SG)

筑波大は、トーナメントや新人戦で良い成績を収めるも、リーグやインカレで失速する年もこれまで多かった。『春の筑波』から脱し、秋、さらに飛躍することができるか。
―準優勝という結果について。
「率直に『勝ちたかった』っていう一言です。3番ポジションでスタメンだったのが晴山(東海大#7)だったので、向こうはミスマッチだと思っていたはずです。ただ、僕から見ても逆にミスマッチだと思っていたので、そこは3Pで突けたかなと思います。前半はチームとしてオフェンスもディフェンスもかなりよかったのに、3Qでシュートが入らなくなったり、ディフェンスでインサイドを完全にやられてしまいました。振り返ってみると反省点や修正点がたくさん見えた試合でした。それがとても悔しいです。笹山(#21)とは、『僕らが4年になったときに東海に勝てばいいじゃないか!』という話はしました。それまでに色んなことを修正してリベンジしたいなって思っています」
―準決勝は拓大ペースで試合が進みましたが、今日はそこから上手く修正しましたね。
「僕は拓大のディフェンスが関東No.1だと思っているので、昨日はそこをクリアしたいと思っていたんですが…。案の定、ボール運びとかでトラブったときがあったので、そこは修正していかなきゃいけないなと思いました。準決勝からの反省点はボール運びだったので、そこは今日はみんなで意識してできましたし、そんなにトラブルこともなかったかなと思います」
―マークが厳しくて簡単に3Pが打てない大会だったと思います。
「去年は池田さん(#34)とか武藤さん(#32)とか、必ずディフェンスが寄る人がいたので自分が動かなくても空いたんですけど、今年はそういう感じではなかったんですよね。マークが厳しいのはわかりきっていることだったので、自分が最後にシュートを打つのではなくて最後をウィングの小松(#16)やインサイドの合わせでやっていこうと思っていました。自分がもらうんじゃなくて自分がスクリーンをかけにいって、スクリーン側に自分のディフェンスが寄ったらそこで僕がもらうとか。そこは意識していたので、3・4Qは結構ノーマークになれたし、マークが厳しくてもできたかなと思います」
―トーナメントの時に「周りが見えるようになった」とおっしゃっていましたが、それはこの新人戦でも同じでしたか?
「そうですね。アシストも結構できたかなって。自分が最後3Pを打つという風になっていましたけど、なんだかんだ振り返ったら良い感じでアシストもできていたと思うので、そういう意味では去年より成長できたと思っています」
―リーグの時に7、8人目の選手が出てくるといいなと思いますが、そういう意味ではベンチメンバーも活躍して、秋に向けてとてもいい収穫となったと思います。
「この試合の前半は120点の出来だったと思っています。みんなで『全員バスケ』ができていたので、そこは自信にしていいと思っています。ただ、そこから伸びないというのが課題なので、そこは3・4年生が混じってもしっかりとやっていきたいです」
―新人戦ではかなり安定した活躍をしましたね。今後、筑波大にとって板東選手がいるということが大きな武器になるのではと思いますが。
「自分のシュートが重要になってくるなというのは1年の時からずっと思っていました。プレータイムは少しでしたけど、その中でもシュートだけではなくてドライブとかアシストという意識はありました。それが今年のトーナメントになって安定してきたので、そこはもう絶対に忘れないというか、意識し続けていきたいと思っています。このまま続けていきたいです」
―自分のやるべきことが明確ですね。
「はい。笹山からは『辻さん(青学大11年度卒・現JBL東芝)を超えて欲しい』と言われています。もちろん超えるつもりでやるし、シュートだけではなくてアシストやドライブもクリアできたら超えられると思うので頑張りたいです」
―リーグに向けて。
「まだ2年なので、3・4年生が戻ってきたら、僕らが逆に迷わずにシュートを打つだとか、プレッシャーを感じずにやれる部分があるので、そういう部分ではやりやすいですね。挑戦して、伸びていこうという気持ちもあります。個人としては、ドライブやアシストに磨きを掛けていって、シュートだけじゃないというプレイヤーになりたいと思っています。チームとしては、『春の筑波』とはもう言われたくないんです。言われないために、リーグ戦を戦っていきたいので、勝ちきれないところや詰めが甘いところなどの細かいところは夏の間に詰めていきたいと思っています」
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