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2012.05.13 (Sun)
【2012トーナメント】5/13 筑波大VS拓殖大(3位決定戦)
【筑波大が拓殖大の勢いを削ぎ、快勝で3位獲得】
3位決定戦、筑波大対拓殖大の試合は112-90のハイスコアリングゲームで筑波大が拓殖大を抑えて勝利した。
ここまで苦しみながら外のシュートを決めていた拓殖大。しかし出足で#94長谷川(4年・SG)の3Pがきれいに決まり、まずまずの出足。筑波大は#6西村(3年・PG)が前日の試合で足にダメージを受けて欠場。ここまで温存してきた#21笹山(2年・PG)を初めてスタメンに据えゲームの出足をコントロールした。オフェンス面では#32武藤(3年・C)、#14坂東(2年・SG)に加え、#76星野(4年・4年・SF)の3Pも決まり、22-19と筑波大がリードで1Qを終了した。
やや遅れを取った拓殖大は2Qに#94長谷川が2本、#51大宮(4年・PG)が1本と立て続けに3Pが入り、ようやく拓殖大らしい攻撃を見せて形成を逆転。しかし筑波大も交代したガードの#42坂口(3年・G)が積極的に攻め、#14坂東も安定してアウトサイドを決めていく。拓殖大は#40藤井(3年・G)がバスケットカウントを取るものの次第に外のシュートの確率が落ち、2Q終盤で失速。前半を終了して50-40の筑波大10点リードとなった。
後半、リードを得た筑波大が気持よく得点を重ねていくのに対し、拓殖大はターンオーバーが続く。3Qで一気に80-56と差を広げられてしまうと4Qもこの点差を詰められない。結局、最後までアグレッシブに攻めつづけた筑波大が112-90と100点ゲームで勝利した。
筑波大は最終日に集中力を切らすことなく力を発揮して2年ぶりの3位。怪我人がいる中でもなんとか大会を戦いきり、控えがつなぐ場面も多々あった。主将の星野も23点のチームハイを記録し、盛り上げに一役買った。この試合のような勢いを持続し続けていくことがリーグ戦でも求められるだろう。高さはないが、武藤、砂川、坂東といった選手は安定して得点でき、チームとしてディフェンスも素地がある。秋の飛躍を見たい所だ。
拓殖大はここまでチームを引っ張る活躍だった藤井が10点に終わった。長谷川が意地を見せて9本の3Pを沈めたが、それ以外ではチームで3本しか決まっていない。攻撃が外に頼りがちなチームだけに全体的に確率が悪い時は苦しい戦いになる。また、拓殖大らしい運動量豊富なプレーがこの日は見られず、点数は取ったものの単発のオフェンスも多く苦しい場面が続いた。長谷川 技、上杉といった選手が卒業し、これまで分散していた相手ディフェンスも長谷川智伸、藤井といった選手に焦点が絞りやすくなっている。不調の日にどう克服していくか秋に向けて気になるところだ。
写真:筑波大・武藤は21得点。年々存在感は大きくなっている。
※筑波大・星野選手、坂東選手、拓殖大・池内監督のインタビューは「続きを読む」へ。
「みんなでやろう」
何でも言い合うことでチームの意識を向上
◆#76星野拓海(筑波大・4年・SF)
吉田監督いわく大会に入るまでは調子が良かったというが、大会序盤はなかなか良い部分が出せないでいた。しかし最終戦は自分もチームも思い切りの良い部分を出し、拓殖大に快勝して主将としてもチームを乗せる活躍を見せた。
今年は何でもその場で言い合うことを大事にしているという。ミーティングでも吉田監督は選手に率先して喋らせていると語っていた。バスケットはチーム競技であり、意識がひとつになっていなければ良い結果は出ない。こうした改善が全員で攻め、守り、繋ぐプレーとなって形になってきている。チームを一段階新しい場所へと引き上げ、壁をひとつ打ち破る原動力になることを期待したい。
―試合を終えて。
「3位自体が久しぶりな成績であるし、何よりも練習試合でも公式戦でもずっと勝てていなかった拓大に勝てたのが本当によかったです。今日は出だしから気合いを入れて頑張ろうってことで、前半から良い感じで攻めることができました。後半もみんなが気持ちを1つにして戦った結果、100点以上取れて勝てたので本当に良かったです」
―準決勝でも3位決定戦でも負けてしまうことが多かったですが、そこを超えられたのは大きいですね。
「そうですね。去年は準決勝で大差で負けてしまったんですよね。しかも、その後の3決でも大差で負けて…。でも、3位決定戦って3・4年にとっては春のシーズン最後の試合になりますし、ここを勝っておくことが新人戦やリーグ、インカレに繋がるから気持ちを切り替えるようにということを準決勝が終わってからずっと言ってきました。そのおかげか、今日の試合にはみんながリラックスして臨めていい展開になりました。今日は誰が出ても気持ちが入っていたので良かったです」
―前半からよく足が動いていて、拓大にやりたいことをやらせていなかったなという印象でした。
「キーとなるのは藤井祐眞(#40)と長谷川智伸(#94)だということはチームで意識していました。僕は長谷川智伸についていたんですが、去年は準決勝で彼にやられたので、今日は得点を抑えてやろうと思っていました。前半は多少入れられましたけど抑えられたかなと思います。拓大は3Pが入ると乗るチームなのでそこをいかに抑えるかというのを意識してきました。あとは、シュートがこぼれた時にリバウンドを取って走るという展開ができていたので、前半からペースを掴むことができました」
―試合を通して全員が無理せずプレーしているなと思いました。これまで1人がボールを持ったらその人に任せきりという感じもよく見られましたが、今は全員でバスケットをしているなと感じます。
「4月くらいに拓大と練習試合をしたんですけど、ボール運びの時のディフェンスに引っかかってしまって…。その時はガード1人にボール運びを任せてしまったせいで、取られてそのままブレイクということが多かったんです。その敗戦を機に、『みんなで繋いで、みんなで運んで、みんなで攻めよう』という意識がつきました。だからこの試合だけではなくて、大東戦も慶應戦もみんなでボール運びをしようと思って、実際にやってきました。今日は拓大でしたし、特にそれをみんなが強く思ってやれました」
―「みんなで繋いで」という部分では、この試合の星野選手は得点だけではなく、リバウンドやルーズボール、パス等でチームの繋ぎ役になっていましたね。
「実は準決勝まで僕自身気持ちが空回りしてしまって全然ダメだったんです。キャプテンだからという無言のプレッシャーもあって…。特に準決勝ではミスが目立ってしまって、本当に申し訳なかったです。それでも、周りの人が『いつも通りやれ』とか『もっと周りを信頼して背負い込まないで!』って言ってくれて。トーナメントは今日で最後だし、絶対に勝って終わりたかったので、準決勝までダメだったことは切り替えて思い切ってバスケットをやった結果、今日はチームに貢献できたので本当にほっとしました」
―1Qの最後に3Pを決めた時、吉田監督もベンチもかなり盛り上がっていましたね。
「本当に準決勝までは1本も入っていなくて…。後から聞いた話なんですが、僕が決めた時に吉田先生がガッツポーズをして下さっていたみたいです。ベンチもかなり盛り上がってくれました。それがすごくうれしくて気持ちが吹っ切れて、その後は積極的にシュートを打つことができました。あのシュートは大きかったですね。調子が悪かった時、先生に直接何かを言われた訳ではないんですが、ハーフタイムに『久しぶりに入って良かったよ』って言ってもらえました。それもあって、その後も気持ちに余裕を持ってプレーすることができました」
―星野選手の活躍もそうですが、2Q最後の板東選手(#14)の3Pもそうですし、途中出場のメンバーもそれぞれ仕事をしてくれましたよね。
「4月の最初までは、今試合に出ている人の半分以上が怪我をしていて、後から出てくる人がメインで試合をしていたんです。でも、その人達が試合で結果を残していたし、みんな気持ちが強いんです。今日は5試合目ということもあったし、吉田先生も『全員気持ちを入れろよ!』っておっしゃっていたので、本当に誰が出ても良い仕事をしていたと思います。そこは去年に無かったことだなって思います」
―日筑戦の時、武藤選手(#32)が「今年は何でも言い合えるからやりやすい」というような事をおっしゃっていました。
「今年は本当に仲が良くて、特に縦が仲が良いんです。去年は裏でコソコソ言って、回ってきてそれが分かるという感じで自分はそれがすごく嫌でした。だから今は練習中でも試合中でも言いたいことがあったらその場で言えと言っています。悪い時間帯があったらハドルを組む回数を多くしたりもしています。日筑の時もそれが功を奏して逆転できたのかなと思います。今日も20点開いていましたけど、途中3Pで詰められた時間帯はハドルを組んで『ディフェンスを頑張ってしっかりリバウンドを取れば大丈夫』と声を掛け合いました。笹山(#21)や板東(#14)も積極的に言ってきてくれるんですよ。それは今年変わった部分だなと思いますね。しかも、こうして周りから『変わったね』と言ってもらえるとうれしいです(笑)」
―今年は今までとは違った筑波が見られるのかなと楽しみになりました。
「今年は『みんなでバスケをしよう』って言っています。チームスローガンも『団結』なんです。1人で頑張るのではなくて、1人ためにみんながスクリーンをかけるだとか、1人のために走って点を取るだとか、そういうことをしていきたいです。本当に今年はチームで勝つしかないと思うので、リーグ戦に向けてはもっとチーム力を上げて頑張っていきたいです」
「周りが見られるようになった手応えがある」
成長と自信を感じた充実のトーナメント
◆#14坂東 拓(筑波大・2年・SG)
要所でアウトサイドを決め、チームを後押しした。今大会はなかなか外のシュートの確率が上がらないチームも多く、全体的にアウトサイドシュートの重要性が目を惹いたが、その中で安定して決まる坂東の3Pは破壊力大だった。大会序盤は不調だった#76星野の穴を、見事に埋める活躍と言える。また、今大会は自身も言うようにドライブやアシストなどプレーの広がりも披露した。これまでと違うプレーの感覚に、自身も手応えを感じているようだ。次の新人戦も、2年生としてチームを引っ張り価値ある大会にできるか。
―3位入賞おめでとうございます。
「ありがとうございます。去年のトーナメントは4位だったので、それを越えられて率直に嬉しいです。それに拓殖には春の練習試合でも負けてて、去年から勝ててないってイメージがあったので…こういう風にチームで勝てて本当に良かったです」
―100点ゲームでの快勝となりましたね。一人ひとり、全員が好調だった印象を受けますが。
「そうですね。まさかこんなに点差が開くとは思わなかったです(笑)。シュートもみんな好調だったし、速攻もよく出せました。あと僕ら、拓殖みたいに前から当たってくるチームに対してボール運びが苦手なんですけど、今日は落ち着いてできた部分もあったかなと思います」
―拓殖大はバックコート陣が激しくディフェンスを仕掛けてきましたね。
「そうですね。拓殖は小さいですけど、その分ガード陣のダブルチームの掛け方やそのあとのインターセプトがすごく上手いチームでした。試合前からそれは分かってたのに、それでも何回かミスしてしまったのは反省点だなと思います」
―昨日の準決勝から上手く切り替えて3位決定戦に臨めたようですが。
「そうですね。昨日の青学戦は、失うものも何も無くて完全にチャレンジャー精神だったので。もちろん勝ちたかったんですけど、気持ちの切り替えの部分はみんな割と上手くできたかなと思います。昨日負けたからって落ち込んで試合に臨むやつは誰一人いなかったですね」
―今年のチームは試合中ハドルを頻繁に組んでコミュニケーションをよく取っていますね。
「そうですね。今年のチームはテーマが『団結』ということで、まとまりということに関して言えば去年と全然違うなと思います。去年は、困ったら田渡さん(11年度主将・現JBLリンク栃木)、って感じでしたけど、今年は全員でという感じなので。たまに、今日の後半みたいにチーム内で熱くなって言い合いみたいになるんですけどね(苦笑)。そこはまだ試合に慣れてない部分があって、お互いこうして欲しいって事がぶつかってるんですけど…。でも言い合える環境なのは良いことだと思うし、伝え合って今後もっと連携も上手く取れるようになりたいなと思います」
―トーナメント全体を振り返っていかがでしたか?
「3位にはなれましたが、チーム的にはまだまだ出来上がってなくて。怪我人も多いですし、それが一回落ち着いてから次の新人戦、リーグ戦に向けてチームを完成させていきたいです。でも個人的には、今大会本当に良い経験をさせてもらいました。何というか、去年と違って周りが見られるようになった手応えがあって。僕と言えば『3Pさえ抑えればなんとかなる』みたいに思われてたと思うんですけど(苦笑)、今大会はそれだけにならずにちゃんとアシストとかもさばけたかなと思います。貴重な経験をさせてもらいましたし、自信にもつながりました。まだまだ課題もたくさん見つかったんですけど、ずっと意識していた部分が2年目になってようやく出せたのは良かったです」
―なぜそのように周りが見えるようになったんでしょうか。
「1年生の時から、というより、高校生の時から、ずっと『3Pだけで単発にならずに、ドライブとかアシストもできるようになろう』って意識してきたんですよね。何年も考えてきて、それがやっとこのトーナメントで少し実を結んだというか…。不思議と見えてきた感があって。それはこれからにつなげたいです」
―成長を感じられた大会だったんですね。坂東選手は持ち味の3Pもあまり波がなく好調でしたが。
「3Pについては、考えないようになったのが良かったんだと思います。去年までは、ボールをもらったらとりあえずリングを狙う、相手が来たらフェイクしてかわす、って感じで、言葉で考えながらプレーしてたんですよね。それで色々考えすぎて硬くなって、そうするとシュートも入らなくて…。けど、今年は周りが見えるから意識しなくても体が勝手に動くようになりました。言葉で考えて決めてから動くんじゃなくて、その場その場で対応できるように、意識付けができてきたかなと。まぁまだまだドライブとかボール運びとか、未熟なところも山のようにあります。そこはこれからも練習して成長していきたいです」
―2年生になって心境は変わりましたか?
「去年は『1年生らしく』という感じで、ただがむしゃらにやれば良かったんですけど、2年目の今年はちゃんと自分の仕事をしなきゃいけないと思うようになりました。去年よりは責任感や自覚も強まったと思うし、試合に対するモチベーションも全然違いますね。去年は出られない試合も結構ありましたけど、今年はプレータイムももらえるようになったので、精神的にも去年とは結構違うかなと思います」
―次は新人戦ですね。
「そうですね。メンバーがいないので、もっと苦しくなると思いますが…。7人目、8人目の選手ともしっかり連携が取れるように、これから練習していきたいです」
―では今シーズンへの意気込みを。
「高校の時は3番だったんですが大学から完全に2番ポジションになったので、シュートという自分の持ち味はもちろん、ドライブからアシストとか、レイアップも決めきれるようにならないといけないですよね。あとはポイントガードもできるようにならないといけないと思うので、ボール運びとかハンドリングも身につけて、とにかく今年はミスしない1年にしていきたいと思います」
「変に勝って安易にリーグ戦に入るよりいい」
この大会で出た課題を秋に向けて修正
◆池内泰明(拓殖大学監督)
―ミーティングを軽くされていて、『良かったところと悪かったところ』と言及されていましたが、具体的にどういう内容でしょうか。
「基本的にはほとんど悪いところだけなんですけど、負けている中で、僕の選手の起用の仕方にも問題があって。最後は選手も疲れていたし。ただ、うちの武器は外のシュートですけど、外に頼り過ぎていて。シューティングを見てもインサイドの得点がない。インサイドにボールが入る回数が少ないんですね。そこをやっていかないと、大きい相手とやっていてもそういうバスケットがセオリーだと思うんで。みんな外が入らないから、逆に外一辺倒になっているんで、そこはやっぱり変えないといけないかなと思います。ディフェンスはかなり頑張ってきているんで、それが継続してできるように足の強化をしていくところかなと思います。あとはもっと武器になるゾーンをやったりとか、そういうところですかね」
―インサイドでは、佐々木選手(#11)が鍵になります。
「そう、佐々木とか井上(#91)とか加々美(#6)とかを入れながら戦えるように準備して。少しでも相手にファウルさせるくらいのオフェンスの力をつけさせるように練習していこうかと思います」
―昨年はポストプレイヤーに上杉選手がいましたが、佐々木選手はポストに入っても中に入らずにインサイドアウトを多用しているように思います。
「そこに一回入れないと相手のディフェンスが縮まらないから、これはどんなバスケットでもそうだけど、二、三回したらインサイドに入れることを繰り返すことで、展開をいろいろしながら外のシュートに持っていかないと、外で待ってばかりでもなかなか外のシュートは入らない。あと、佐々木がインサイドで点を取る必要はないので。例えばガード陣がポストプレイをしたりとか、そういうことも考えないと。うちで身長が対等に戦えるのはガード陣だから、そういったことも少しは考えて、そういうこともしながらやっていきたいと思います」
―電鉄杯のイメージを引きずり過ぎたのではないでしょうか。
「そうですよね。シュートは水ものなので、そこは一つの自信で僕は良いと思うんですけど、少し外のシュートに行き過ぎているかなと。本来やっている三対三だったり二対二だったりというのが、あまりゲームの中で出てこなかった。例えば一対一でドリブルとか、それも良いんですけど、それをやり過ぎている。昨日も言ったんですけど、アシストの数が10本くらいになってしまっていて、僕の希望は20本くらい。上手くさばいてパス流れが良くなっていくバスケットかな。そうすると外のシュートも入りだすと思うんですけど。今は外ばっかりで、そうするとディフェンスはそんなに力の差があるわけじゃないんだから、守られたりチェックされたりとか、そういう風になるんじゃないかな。まあ良い経験だと思います。これで変に勝ってリーグ戦に安易な気持ちで入るより」
―大垣選手(#14)への期待について。
「一対一は強いし、ディフェンスでやられても僕はそこは問題ないと思うんですけど、その後の一対一もまだ軽いところがあると思います。強くいくべきところをふわっと行ったりとか。ただそこは経験なので。彼は新人戦があるので、少し練習させて、話もしていきたいなと。彼の成長がないとどうしようもないので、あとは一、二年生の4番ポジションが試合に出られるようにディフェンス練習させていきたいと思います」

ここまで苦しみながら外のシュートを決めていた拓殖大。しかし出足で#94長谷川(4年・SG)の3Pがきれいに決まり、まずまずの出足。筑波大は#6西村(3年・PG)が前日の試合で足にダメージを受けて欠場。ここまで温存してきた#21笹山(2年・PG)を初めてスタメンに据えゲームの出足をコントロールした。オフェンス面では#32武藤(3年・C)、#14坂東(2年・SG)に加え、#76星野(4年・4年・SF)の3Pも決まり、22-19と筑波大がリードで1Qを終了した。
やや遅れを取った拓殖大は2Qに#94長谷川が2本、#51大宮(4年・PG)が1本と立て続けに3Pが入り、ようやく拓殖大らしい攻撃を見せて形成を逆転。しかし筑波大も交代したガードの#42坂口(3年・G)が積極的に攻め、#14坂東も安定してアウトサイドを決めていく。拓殖大は#40藤井(3年・G)がバスケットカウントを取るものの次第に外のシュートの確率が落ち、2Q終盤で失速。前半を終了して50-40の筑波大10点リードとなった。
後半、リードを得た筑波大が気持よく得点を重ねていくのに対し、拓殖大はターンオーバーが続く。3Qで一気に80-56と差を広げられてしまうと4Qもこの点差を詰められない。結局、最後までアグレッシブに攻めつづけた筑波大が112-90と100点ゲームで勝利した。
筑波大は最終日に集中力を切らすことなく力を発揮して2年ぶりの3位。怪我人がいる中でもなんとか大会を戦いきり、控えがつなぐ場面も多々あった。主将の星野も23点のチームハイを記録し、盛り上げに一役買った。この試合のような勢いを持続し続けていくことがリーグ戦でも求められるだろう。高さはないが、武藤、砂川、坂東といった選手は安定して得点でき、チームとしてディフェンスも素地がある。秋の飛躍を見たい所だ。
拓殖大はここまでチームを引っ張る活躍だった藤井が10点に終わった。長谷川が意地を見せて9本の3Pを沈めたが、それ以外ではチームで3本しか決まっていない。攻撃が外に頼りがちなチームだけに全体的に確率が悪い時は苦しい戦いになる。また、拓殖大らしい運動量豊富なプレーがこの日は見られず、点数は取ったものの単発のオフェンスも多く苦しい場面が続いた。長谷川 技、上杉といった選手が卒業し、これまで分散していた相手ディフェンスも長谷川智伸、藤井といった選手に焦点が絞りやすくなっている。不調の日にどう克服していくか秋に向けて気になるところだ。
写真:筑波大・武藤は21得点。年々存在感は大きくなっている。
※筑波大・星野選手、坂東選手、拓殖大・池内監督のインタビューは「続きを読む」へ。
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【INTERVIEW】「みんなでやろう」
何でも言い合うことでチームの意識を向上
◆#76星野拓海(筑波大・4年・SF)

今年は何でもその場で言い合うことを大事にしているという。ミーティングでも吉田監督は選手に率先して喋らせていると語っていた。バスケットはチーム競技であり、意識がひとつになっていなければ良い結果は出ない。こうした改善が全員で攻め、守り、繋ぐプレーとなって形になってきている。チームを一段階新しい場所へと引き上げ、壁をひとつ打ち破る原動力になることを期待したい。
―試合を終えて。
「3位自体が久しぶりな成績であるし、何よりも練習試合でも公式戦でもずっと勝てていなかった拓大に勝てたのが本当によかったです。今日は出だしから気合いを入れて頑張ろうってことで、前半から良い感じで攻めることができました。後半もみんなが気持ちを1つにして戦った結果、100点以上取れて勝てたので本当に良かったです」
―準決勝でも3位決定戦でも負けてしまうことが多かったですが、そこを超えられたのは大きいですね。
「そうですね。去年は準決勝で大差で負けてしまったんですよね。しかも、その後の3決でも大差で負けて…。でも、3位決定戦って3・4年にとっては春のシーズン最後の試合になりますし、ここを勝っておくことが新人戦やリーグ、インカレに繋がるから気持ちを切り替えるようにということを準決勝が終わってからずっと言ってきました。そのおかげか、今日の試合にはみんながリラックスして臨めていい展開になりました。今日は誰が出ても気持ちが入っていたので良かったです」
―前半からよく足が動いていて、拓大にやりたいことをやらせていなかったなという印象でした。
「キーとなるのは藤井祐眞(#40)と長谷川智伸(#94)だということはチームで意識していました。僕は長谷川智伸についていたんですが、去年は準決勝で彼にやられたので、今日は得点を抑えてやろうと思っていました。前半は多少入れられましたけど抑えられたかなと思います。拓大は3Pが入ると乗るチームなのでそこをいかに抑えるかというのを意識してきました。あとは、シュートがこぼれた時にリバウンドを取って走るという展開ができていたので、前半からペースを掴むことができました」
―試合を通して全員が無理せずプレーしているなと思いました。これまで1人がボールを持ったらその人に任せきりという感じもよく見られましたが、今は全員でバスケットをしているなと感じます。
「4月くらいに拓大と練習試合をしたんですけど、ボール運びの時のディフェンスに引っかかってしまって…。その時はガード1人にボール運びを任せてしまったせいで、取られてそのままブレイクということが多かったんです。その敗戦を機に、『みんなで繋いで、みんなで運んで、みんなで攻めよう』という意識がつきました。だからこの試合だけではなくて、大東戦も慶應戦もみんなでボール運びをしようと思って、実際にやってきました。今日は拓大でしたし、特にそれをみんなが強く思ってやれました」
―「みんなで繋いで」という部分では、この試合の星野選手は得点だけではなく、リバウンドやルーズボール、パス等でチームの繋ぎ役になっていましたね。
「実は準決勝まで僕自身気持ちが空回りしてしまって全然ダメだったんです。キャプテンだからという無言のプレッシャーもあって…。特に準決勝ではミスが目立ってしまって、本当に申し訳なかったです。それでも、周りの人が『いつも通りやれ』とか『もっと周りを信頼して背負い込まないで!』って言ってくれて。トーナメントは今日で最後だし、絶対に勝って終わりたかったので、準決勝までダメだったことは切り替えて思い切ってバスケットをやった結果、今日はチームに貢献できたので本当にほっとしました」
―1Qの最後に3Pを決めた時、吉田監督もベンチもかなり盛り上がっていましたね。
「本当に準決勝までは1本も入っていなくて…。後から聞いた話なんですが、僕が決めた時に吉田先生がガッツポーズをして下さっていたみたいです。ベンチもかなり盛り上がってくれました。それがすごくうれしくて気持ちが吹っ切れて、その後は積極的にシュートを打つことができました。あのシュートは大きかったですね。調子が悪かった時、先生に直接何かを言われた訳ではないんですが、ハーフタイムに『久しぶりに入って良かったよ』って言ってもらえました。それもあって、その後も気持ちに余裕を持ってプレーすることができました」
―星野選手の活躍もそうですが、2Q最後の板東選手(#14)の3Pもそうですし、途中出場のメンバーもそれぞれ仕事をしてくれましたよね。
「4月の最初までは、今試合に出ている人の半分以上が怪我をしていて、後から出てくる人がメインで試合をしていたんです。でも、その人達が試合で結果を残していたし、みんな気持ちが強いんです。今日は5試合目ということもあったし、吉田先生も『全員気持ちを入れろよ!』っておっしゃっていたので、本当に誰が出ても良い仕事をしていたと思います。そこは去年に無かったことだなって思います」
―日筑戦の時、武藤選手(#32)が「今年は何でも言い合えるからやりやすい」というような事をおっしゃっていました。
「今年は本当に仲が良くて、特に縦が仲が良いんです。去年は裏でコソコソ言って、回ってきてそれが分かるという感じで自分はそれがすごく嫌でした。だから今は練習中でも試合中でも言いたいことがあったらその場で言えと言っています。悪い時間帯があったらハドルを組む回数を多くしたりもしています。日筑の時もそれが功を奏して逆転できたのかなと思います。今日も20点開いていましたけど、途中3Pで詰められた時間帯はハドルを組んで『ディフェンスを頑張ってしっかりリバウンドを取れば大丈夫』と声を掛け合いました。笹山(#21)や板東(#14)も積極的に言ってきてくれるんですよ。それは今年変わった部分だなと思いますね。しかも、こうして周りから『変わったね』と言ってもらえるとうれしいです(笑)」
―今年は今までとは違った筑波が見られるのかなと楽しみになりました。
「今年は『みんなでバスケをしよう』って言っています。チームスローガンも『団結』なんです。1人で頑張るのではなくて、1人ためにみんながスクリーンをかけるだとか、1人のために走って点を取るだとか、そういうことをしていきたいです。本当に今年はチームで勝つしかないと思うので、リーグ戦に向けてはもっとチーム力を上げて頑張っていきたいです」
「周りが見られるようになった手応えがある」
成長と自信を感じた充実のトーナメント
◆#14坂東 拓(筑波大・2年・SG)

―3位入賞おめでとうございます。
「ありがとうございます。去年のトーナメントは4位だったので、それを越えられて率直に嬉しいです。それに拓殖には春の練習試合でも負けてて、去年から勝ててないってイメージがあったので…こういう風にチームで勝てて本当に良かったです」
―100点ゲームでの快勝となりましたね。一人ひとり、全員が好調だった印象を受けますが。
「そうですね。まさかこんなに点差が開くとは思わなかったです(笑)。シュートもみんな好調だったし、速攻もよく出せました。あと僕ら、拓殖みたいに前から当たってくるチームに対してボール運びが苦手なんですけど、今日は落ち着いてできた部分もあったかなと思います」
―拓殖大はバックコート陣が激しくディフェンスを仕掛けてきましたね。
「そうですね。拓殖は小さいですけど、その分ガード陣のダブルチームの掛け方やそのあとのインターセプトがすごく上手いチームでした。試合前からそれは分かってたのに、それでも何回かミスしてしまったのは反省点だなと思います」
―昨日の準決勝から上手く切り替えて3位決定戦に臨めたようですが。
「そうですね。昨日の青学戦は、失うものも何も無くて完全にチャレンジャー精神だったので。もちろん勝ちたかったんですけど、気持ちの切り替えの部分はみんな割と上手くできたかなと思います。昨日負けたからって落ち込んで試合に臨むやつは誰一人いなかったですね」
―今年のチームは試合中ハドルを頻繁に組んでコミュニケーションをよく取っていますね。
「そうですね。今年のチームはテーマが『団結』ということで、まとまりということに関して言えば去年と全然違うなと思います。去年は、困ったら田渡さん(11年度主将・現JBLリンク栃木)、って感じでしたけど、今年は全員でという感じなので。たまに、今日の後半みたいにチーム内で熱くなって言い合いみたいになるんですけどね(苦笑)。そこはまだ試合に慣れてない部分があって、お互いこうして欲しいって事がぶつかってるんですけど…。でも言い合える環境なのは良いことだと思うし、伝え合って今後もっと連携も上手く取れるようになりたいなと思います」
―トーナメント全体を振り返っていかがでしたか?
「3位にはなれましたが、チーム的にはまだまだ出来上がってなくて。怪我人も多いですし、それが一回落ち着いてから次の新人戦、リーグ戦に向けてチームを完成させていきたいです。でも個人的には、今大会本当に良い経験をさせてもらいました。何というか、去年と違って周りが見られるようになった手応えがあって。僕と言えば『3Pさえ抑えればなんとかなる』みたいに思われてたと思うんですけど(苦笑)、今大会はそれだけにならずにちゃんとアシストとかもさばけたかなと思います。貴重な経験をさせてもらいましたし、自信にもつながりました。まだまだ課題もたくさん見つかったんですけど、ずっと意識していた部分が2年目になってようやく出せたのは良かったです」
―なぜそのように周りが見えるようになったんでしょうか。
「1年生の時から、というより、高校生の時から、ずっと『3Pだけで単発にならずに、ドライブとかアシストもできるようになろう』って意識してきたんですよね。何年も考えてきて、それがやっとこのトーナメントで少し実を結んだというか…。不思議と見えてきた感があって。それはこれからにつなげたいです」
―成長を感じられた大会だったんですね。坂東選手は持ち味の3Pもあまり波がなく好調でしたが。
「3Pについては、考えないようになったのが良かったんだと思います。去年までは、ボールをもらったらとりあえずリングを狙う、相手が来たらフェイクしてかわす、って感じで、言葉で考えながらプレーしてたんですよね。それで色々考えすぎて硬くなって、そうするとシュートも入らなくて…。けど、今年は周りが見えるから意識しなくても体が勝手に動くようになりました。言葉で考えて決めてから動くんじゃなくて、その場その場で対応できるように、意識付けができてきたかなと。まぁまだまだドライブとかボール運びとか、未熟なところも山のようにあります。そこはこれからも練習して成長していきたいです」
―2年生になって心境は変わりましたか?
「去年は『1年生らしく』という感じで、ただがむしゃらにやれば良かったんですけど、2年目の今年はちゃんと自分の仕事をしなきゃいけないと思うようになりました。去年よりは責任感や自覚も強まったと思うし、試合に対するモチベーションも全然違いますね。去年は出られない試合も結構ありましたけど、今年はプレータイムももらえるようになったので、精神的にも去年とは結構違うかなと思います」
―次は新人戦ですね。
「そうですね。メンバーがいないので、もっと苦しくなると思いますが…。7人目、8人目の選手ともしっかり連携が取れるように、これから練習していきたいです」
―では今シーズンへの意気込みを。
「高校の時は3番だったんですが大学から完全に2番ポジションになったので、シュートという自分の持ち味はもちろん、ドライブからアシストとか、レイアップも決めきれるようにならないといけないですよね。あとはポイントガードもできるようにならないといけないと思うので、ボール運びとかハンドリングも身につけて、とにかく今年はミスしない1年にしていきたいと思います」
「変に勝って安易にリーグ戦に入るよりいい」
この大会で出た課題を秋に向けて修正
◆池内泰明(拓殖大学監督)
―ミーティングを軽くされていて、『良かったところと悪かったところ』と言及されていましたが、具体的にどういう内容でしょうか。
「基本的にはほとんど悪いところだけなんですけど、負けている中で、僕の選手の起用の仕方にも問題があって。最後は選手も疲れていたし。ただ、うちの武器は外のシュートですけど、外に頼り過ぎていて。シューティングを見てもインサイドの得点がない。インサイドにボールが入る回数が少ないんですね。そこをやっていかないと、大きい相手とやっていてもそういうバスケットがセオリーだと思うんで。みんな外が入らないから、逆に外一辺倒になっているんで、そこはやっぱり変えないといけないかなと思います。ディフェンスはかなり頑張ってきているんで、それが継続してできるように足の強化をしていくところかなと思います。あとはもっと武器になるゾーンをやったりとか、そういうところですかね」
―インサイドでは、佐々木選手(#11)が鍵になります。
「そう、佐々木とか井上(#91)とか加々美(#6)とかを入れながら戦えるように準備して。少しでも相手にファウルさせるくらいのオフェンスの力をつけさせるように練習していこうかと思います」
―昨年はポストプレイヤーに上杉選手がいましたが、佐々木選手はポストに入っても中に入らずにインサイドアウトを多用しているように思います。
「そこに一回入れないと相手のディフェンスが縮まらないから、これはどんなバスケットでもそうだけど、二、三回したらインサイドに入れることを繰り返すことで、展開をいろいろしながら外のシュートに持っていかないと、外で待ってばかりでもなかなか外のシュートは入らない。あと、佐々木がインサイドで点を取る必要はないので。例えばガード陣がポストプレイをしたりとか、そういうことも考えないと。うちで身長が対等に戦えるのはガード陣だから、そういったことも少しは考えて、そういうこともしながらやっていきたいと思います」
―電鉄杯のイメージを引きずり過ぎたのではないでしょうか。
「そうですよね。シュートは水ものなので、そこは一つの自信で僕は良いと思うんですけど、少し外のシュートに行き過ぎているかなと。本来やっている三対三だったり二対二だったりというのが、あまりゲームの中で出てこなかった。例えば一対一でドリブルとか、それも良いんですけど、それをやり過ぎている。昨日も言ったんですけど、アシストの数が10本くらいになってしまっていて、僕の希望は20本くらい。上手くさばいてパス流れが良くなっていくバスケットかな。そうすると外のシュートも入りだすと思うんですけど。今は外ばっかりで、そうするとディフェンスはそんなに力の差があるわけじゃないんだから、守られたりチェックされたりとか、そういう風になるんじゃないかな。まあ良い経験だと思います。これで変に勝ってリーグ戦に安易な気持ちで入るより」
―大垣選手(#14)への期待について。
「一対一は強いし、ディフェンスでやられても僕はそこは問題ないと思うんですけど、その後の一対一もまだ軽いところがあると思います。強くいくべきところをふわっと行ったりとか。ただそこは経験なので。彼は新人戦があるので、少し練習させて、話もしていきたいなと。彼の成長がないとどうしようもないので、あとは一、二年生の4番ポジションが試合に出られるようにディフェンス練習させていきたいと思います」
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