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2011.11.27 (Sun)
【2011インカレ】11/27 3位決定戦 天理大VS拓殖大
初のベスト4進出となった天理大が3位入賞
ミスも多かった拓殖大は4位でインカレを終える
5位から8位の順位決定戦が行われなかった今年、最終日に残されたのは2試合。青山学院大学と東海大が決勝に進み、それぞれに準決勝で敗れた天理大と拓殖大が残された最後のメダルを懸けて3位決定戦でぶつかった。じっくり組み立てるディレイドオフェンスが持ち味の天理大と、激しい守りから思い切りの良いシュートで勢いに乗るアーリーオフェンスが持ち味の拓殖大。全く異なるタイプ同士の対決とあっていかに自分たちのスタイルを出すかが試合の鍵となったが、主導権を握ったのは天理大。84-59と大差をつけて快勝し、見事3位入賞を果たした。
1Q、#11佐々木(3年・C)の得点でややリードを奪った拓殖大。だがパスミスやトラベリング、ノーマークのレイアップを外すなどイージーミスが続いて思うように流れに乗れない。対する天理大も起点となる#23劉(3年・C)らのシュートがなかなか決まらず、両者点数の離れない展開が続いた。すると拓殖大が2連続でファウルを吹かれてリズムを崩すと、天理大が#5清水(4年・SF)のスティールからのワンマン速攻で流れを掴む。だが終盤#94長谷川智伸(3年・SF)や#26上杉(4年・C)のミドルシュートが決まり、拓殖大が何とか同点に追い付いて1Qを終えた。
すると続く2Q、拓殖大はシュートが落ちて完全にオフェンスが沈黙。対する天理大は#23劉や#25平尾(4年・PG)、#17船津(3年・PF)の活躍でバランスよく攻め、ディフェンスでも素早いカバーで拓殖大のオフェンスファウルを誘った。後手に回った拓殖大はパスも簡単にカットされる場面が目立ち、2Q開始6分間で決まったのは#11佐々木の2得点のみ。残り4分を切って#2大谷(4年・SG)の3Pが決まり、36-21と天理大が15点差をつけて突き放したところで拓殖大はたまらずタイムアウトを請求する。ここから拓殖大は2連続得点でやや追い上げるも、ファウルがかさんでフリースローから易々と得点されてしまう。結局2Q前半でついた点差は縮まらず、44-29で試合を折り返した。
後半に入り、ここから拓殖大が追い上げを図る。速い攻めから次々ミドルシュートを放つ持ち前のスタイルから得点を量産し、#40藤井(2年・SG)のシュートで10点差。天理大のタイムアウト後も激しいディフェンスを仕掛けてミスを誘い、#1鈴木(3年・PG)の得点で3Q残り7分47-39と遂に点差を一桁とする。しかし追い上げられて焦る天理大だが、#5清水がオフェンスリバウンドを取って落ち着かせると、続けて#23劉が#26上杉から3つめのファウルを奪う好プレーを見せる。ここから再び流れは天理大に傾き、#25平尾が引きつけて#23劉に次々アシストを供給して3連続得点。#25平尾は自分でも切れ込みダブルクラッチで難しいシュートを決め、完全に流れをものにした。拓殖大も辛うじて#8長南(4年・SF)の2本の3Pで食らい付くものの、依然として試合は天理大ペースで進む。17点差で入った4Qも、拓殖大が追い上げる時間帯はあっても点数が追い付くまでには至らず。天理大が点差を保ち続け、最後はベンチメンバーも活躍して快勝でインカレを締めくくった。
拓殖大は4位で大会を終えた。日本体育大戦、早稲田大戦と接戦を勝ち抜いてベスト4まで駆け上がったものの、順位決定戦からは失速。この2試合はあまり持ち味を出させてもらえず勝ち星は上げられなかった。チーム一のシューター#94長谷川智伸もこの試合ではタフショットを強いられ3Pは0本に終わった。また追い上げる時間帯は何度もあったが、その流れを絶ち切ってしまうようなミスが多かったのが惜しまれる。
一方の天理大は、大舞台でもひるまず自分たちのペースを貫いた。インサイドの#23劉を起点に、スクリーンプレーなどで相手の隙をついたオフェンスを披露。大会を通して素晴らしかった#25平尾のコートでのリーダーシップに引っ張られるように、最後の試合は#5清水らも好調だった。主将の#3濱田を中心に“どうしたら勝てるのか”を考えぶつかり合いながら作り上げた今年のチーム。関西での敗戦をチームの糧にし、最後のインカレでは見事な快進撃を見せてくれた。最終試合でも関東3位の強豪・拓殖大を破り、最後まで存在感を示してインカレを締めくくった。
写真上:天理大・劉はリバウンド王も獲得。3位進出に欠かせない存在だった。
写真下:拓殖大・藤井はアシスト王に。劣勢のチームを最後まで引っ張った。
※天理大・濱田選手、大谷選手、清水選手、平尾選手、拓殖大・長南選手、上杉選手のインタビューは「続きを読む」へ。
「今日はみんなに恩返しができた」
積み重ねの結果得た3位という結果
◆#3濱田佳祐(天理大・4年・主将・PG)
最終戦、チーム全体に並々ならぬ気持ちがあふれていた。試合は終始押し気味のまま、天理大の勝利で終了。初の3位獲得だ。
「去年はサンバ以外は下級生で申し訳なかった」という反省を、この日は応援に駆けつけたサンバが見守る中で勝利し、成長した姿を彼にも見せられた。
チームというものはどんな上級生がリーダーになるかで中身が全く違ってくる。濱田は厳しいことを言い、諍いになりそうなほど熱くなり、自らスカウティングにも臨んで自分の作りたい形を追い求めた。「甘い」と繰り返し、もちろん完璧とまではいかないだろうが、追求したからこその3位でもある。強い意志があればチームは変われると、結果をもって見せてくれた。
―見事な3位となりました。おめでとうございます。
「昨日のミーティングでも言ったんですが、やはり3位と4位ではぜんぜん違います。メダルを持って帰るのとそうじゃないのとではぜんぜん違うので、今日は最初から気合いが入っていましたね」
―拓殖大に対してはどのように対策していましたか?
「拓殖大のビデオも結構見たんですが、外角のシュートも上手でサイズはないけど40番の藤井選手であったり、1番の鈴木選手であったりはルーズボールやリバウンドが非常に強くて、そういうセカンドチャンスを抑えようとしていました」
―ルーズボールなどに対しては途中天理大もかなり目立つようになりましたね。
「4年生の外角3人だけじゃなくて、インサイドの劉(#23)や船津(#17)が1つのボールに対しても気持ちが入っていたので、こっちもセカンドチャンスが増えたかなと思います。それに今日は陽平(#5清水)がよくリバウンドを取ってくれていたので、シュートは入ってないんですけど(笑)、そういう部分はいい活躍だったと思います」
―清水選手は自分でもずっと不調だと言っていましたが、今日は見ていて納得できる活躍では?
「もともとシュートは上手だったんですが、今年のリーグぐらいからフリースローもぜんぜん入らなくなってしまっていたんです。でも本人がすごく努力しているのは一緒にシューティングしていたので知っていました。今日はドライブもキレがあったし、リバウンドやルーズも頑張って、相手のキーマンの選手をしっかり守ってくれたのですごく良い活躍をしたと思います」
―3位決定戦はモチベーションを保つのがなかなか難しい試合なんですが、こうして清水選手をはじめ、みんなが終始強くプレーできましたね。
「このメンバーで学生の大会は最後になるので、どこが相手になろうが、順位決定戦に回ろうが、自分たちのモチベーションは下がることはなかったです。今日の試合はしっかり勝って終わりたかったし、負けて帰りなくなかったし、みんな闘志を出して頑張れましたね」
―濱田選手も最後はシュートを決めましたし。
「自分はあまり打たないタイプなんですが、最後くらいはいいところを見せておこうかなと思いました(笑)」
―おかげで胸をはって天理に帰れますね。
「今日もサンバも応援に来てくれましたし、いい自分たちの笑顔やプレーを彼に見せられたのも嬉しいです。今から感想を聞きにいくんですが、楽しみです」
―ここまで一緒に頑張ってきた4年生にはどんな思いがありますか?
「みんな個人個人やるべきことはやってきたし、すごく努力した1年間でした。自分もスタメンじゃなかったけれどみんなに要求したし、練習中にはめっちゃ厳しいことも言いました。練習が休みの日はスカウティングもするとか、体は使わなくても労力は使ったし、そういうことも怠らずにやってきました。また、今日はベンチに入ってない4年生も、自分たちがシューティングの時にリバウンドを手伝ってと言えば2時間でも3時間でも手伝ってくれる奴らばかりでした。その分の恩返しがこの大会でできたんじゃないかと思います。これが最後になるけれど、形として表れて本当によかったと思います」
「試合も練習も一個一個大事にしてきた」
積み重ねて最後に見せた集大成
◆#2大谷拓也(天理大・4年・SG)
今インカレ、シューターとして見事に仕事を果たした大谷。激しいマークにあったが決められるところできっちり決め、青学大#14辻を1本上回って3P王を獲得した。以前は「自分のポジションだけ誰が出ても変わらないと悩んでいた」と言うが、最後にはチームに欠かせない存在になったと言えるのではないだろうか。
福岡第一高校時代キャプテンも務めていた大谷は、あと一歩及ばずに勝利を逃す勝負の世界の厳しさを人一倍知っている。だからこそ「原因を突き詰めて克服してきた」と言うように、敗戦から学び、努力を積み重ねてきた。4年間の集大成として最後に結果を残したことに大きな拍手を送りたい。
―快勝で見事3位となりました。今の心境はいかがですか?
「めちゃくちゃ嬉しいですね。最後3位になるのと4位になるのとでは全然違うし、勝ってメダルもらえるのは金か銅だけなので。勝てて良かったなって、本っ当に嬉しいです。今までやってきた事は間違ってなかったんだなって今になって思えますね。関西では負けてきたんですけど、最後にインカレでこういう風に結果が出て本当に良かったです」
―終始拓殖大にバスケットをさせませんでしたね。
「向こうは全員シュートが打てるんですけど、特に長谷川(#94)のスリーは抑えないととチームで話してて最初からフェイスガード気味につきました。ツーはある程度仕方ないけど、スリーを打たれると流れが変わってしまうから絶対抑えようと。それは結構効いたかなと思います」
―自身の調子はいかがでしたか?
「全然でしたね(笑)。気持ちが入りすぎていた部分があったのか、狙いすぎて入りませんでした。でも運良くファウルをもらえて得点には繋がったのでそれはそれで良かったと思います。あと1・2本決めたかったですけどね。でもチームが勝てたのでそこは結果オーライという感じです」
―インカレ全体を振り返れば3Pシューターとしてよく仕事を果たしていたと思いますが。
「基本ボールを持って空いたら打つことは考えてましたね。でも前まで自分はそんなに積極的に打たなかったんですよ。でも平尾(#25)や陽平(#5清水)、劉(#23)はすごく頼りになるのに、僕のポジションだけ誰が入っても変わらないよなって最初は少し悩んでて。それでやっぱり自分ももっと点が取れる選手にならなきゃ、苦しい時でも自分で点を取れるようにならなきゃと思って、そこからすごくシューティングをするようになりましたね」
―そういう意識に変わったのはいつ頃ですか?
「新チームになって最初の頃ですかね?去年のインカレで負けてから自分たちの代になってミーティングをして、どうしたら勝てるのか話し合ったんです。それでサンバ(10年度卒・現JBL東芝)がいなくなるんだから、劉を軸にしつつも中に頼りすぎずに外からも点を取れた方がバランスも良いし、攻撃の幅も広がるだろうという話になって。でも前から平尾と陽平は得点力があったんですけど、僕は全然で0点の試合もあるくらいで…このままじゃだめだと思ったんです。そこからみんなに指摘も受けて、もっと積極的に攻めるようになりました。シュートにしてもボールをもらう為の動きにしても、練習の時から意識しだして。前より声を出して自分からボールをもらうようになったし、一対一でピックして打つみたいなプレーを練習中からするようになりましたね。でも、なかなか身につかなくて…。リーグ戦も全然決められなかったんですよ。それがようやくこのインカレで形になってきた感じですね。自分は2年生の時から試合に出させてもらっていたので、絶対最後に結果を出してやろうという思いもあったし。今までの積み重ねがようやく最後の最後で結果につながって良かったなと思います」
―ではこの1年間で本当に成長したんですね。今シーズンを振り返っていかがですか?
「結果的に3位にはなれましたが、1年を振り返ればそう簡単には勝たせてもらえませんでしたね。関西でも一つもタイトルは取れませんでしたし。高校の時もそうでしたが、あと一歩のところで勝てないことも多くて、勝つことの厳しさを身を持って感じました。でも一歩足りずに負けるのは絶対何らかの原因があって、今回は負け負けと繰り返した事でその原因を突き詰めて克服することができたと思います。だからただの負けじゃなくて、いい負けだったかなと。もし勝って勝ってここまで来ていたら去年みたいな結果になっていたかもしれないし、負けたからこそどうしたらいいのか自分たちで考えて指摘し合うことができました。そういう面を振り返れば、チーム的にも個人的にもすごく成長出来た1年だったと思います」
―この1年間4回生同士ですごく話し合ってやってきたとお聞きしました。
「そうですね。前はコミュニケーションもあまりなかったと思うんです。ミーティングもただの話し合いで終わって、それを同じ様に繰り返しているだけで。それじゃ意味がないということで、一個一個しっかり濃いミーティングを心掛けてやってきました。練習の時もチームに分かれた時にそのチームの中で目標を立てたりして意識して。とにかくコミュニケーションを取ろうとはみんな強く意識していたので、完全ではないですけど楽しくわいわい何でも言い合える関係にはなれたかなと思います」
―Bチームの応援もにぎやかでしたね。
「AとBで分かれて練習するので何かしら溝ができることも前はあったんですけど、今回はそういうのをなくしてチーム一丸となれたと思います。Bの方もわいわいしてて仲良いので応援も楽しく盛り上げてくれたし、Bがいたからこそ良い環境でバスケができたんだと思いますね。本当にみんなのお蔭です。みんなで掴んだメダルだと思います。僕の旗も作ってくれて嬉しかったです(笑)」
―大谷選手から見て今年のチームはどんなチームだったと思いますか?
「がむしゃらにやるチームですかね。一試合一試合を大事して、目の前の相手だけに集中して戦うチームだったと思います。去年は先を見過ぎて一回戦で負けてしまったので、その教訓を活かして。試合も練習も、一個一個大事にしてきたチームかなと思いますね」
―これで学生の大会は終わりましたが、4年間を振り返っていかがでしたか?
「正直これで終わりという実感は全然ないですね。このメンバーでやるのが最後だなんて信じられないです。本当に良い仲間だったと思うし、仲間に恵まれたかなと思います。僕らはバランスも良いし、和気あいあいとして仲も良いので全然堅苦しくなかったし。大学に入って、バスケットの楽しさというのが分かりました。4年間本当に楽しかったです。悔いはないですね」
―4年間を共にした同期はどんな代でしたか?
「言い合える代でしたね。毎年どこの代もみんな仲が良いんですけど、今年は仲が良い上に、真剣に話し合ってそこが駄目だったとかあそこはああして欲しいとかお互い何でも指摘し合える代でした。私生活でも仲良くて楽しかったし、本当に大切な仲間ですね」
―残すはオールジャパンですね。
「プロのチームもいるし大きな大会で東京体育館でやれるということなので、楽しみたいですね。堅苦しくなく、笑って終わりたいと思います」
「4回生全員でコミュニケーションを取れる仲になれた」
堅い信頼関係で手にした創部初の銅メダル
◆#5清水陽平(天理大・4年・SF)
「先輩たちを絶対に超えてみせる」。天理大が創部初の5位入賞を果たした2009年のインカレで、清水が口にした言葉だ。あれから2年経った自身最後のインカレ、見事にその言葉を実現してみせた。最終戦となるこの3位決定戦では、得点のみならずリバウンドやスティールでもチームに大きく貢献。初めてのベスト4以上の舞台とあっても、臆することなくのびのびとした思い切りの良いプレーで会場を沸かせた。以前#25平尾が「チャージングを取るくらい思い切って行って来い」と声を掛けたと言うが、2Qで吹かれたオフェンスチャージングも清水らしいと言えば清水らしい。長く不調の中にあったというが、最後にチームの勝利に貢献できたことには笑顔だった。インカレで体現した「楽しく」という姿勢を、最後のオールジャパンでも見せて欲しい。
―嬉しい3位入賞ですね。
「昨日負けてみんな少し落ち込んでたんですけど、今日負けたら4回生としてもチームとしても悔いが残るし、絶対メダルを持って帰ろうと昨日のミーティングでも話していました。昨日から僕ら『メダル取ったら一生の宝物だよ!』って言ってたので。それが実現して本当に嬉しいです」
―昨日の負けをどのように受け止めたんですか?
「僕らは日本一を目指していてそれが叶わなかったんですが、青学という優勝候補に精一杯自分たち力を出し切って負けたので別に悔いは残りませんでした。それに負けを引きずっていたら応援してくれるみんなに申し訳ないと思ったので、そこはみんなで切り替えていこうという感じで頑張りました」
―清水選手はこれまでの試合あまり調子が上がってこなかったと思いますが、この最後の試合では持ち味を発揮して好調でしたね。
「このインカレもだしリーグ戦も、僕自身みんなに本当に迷惑を掛けてしまったので、最後の最後は絶対に自分の力を出し切ろうと思ってました。それで少しは貢献できたかなと思います」
―大会全体を振り返っていかがでしたか?
「インカレは僕4年間出させてもらっているんですけど、今年のインカレが一番楽しかったですね。楽しんでバスケットできたと思います。僕らのバスケットって楽しむことが一番なので、どんなに流れが悪くてもベンチや応援席や出ているメンバーみんなが『切り替えろ切り替えろ』って声を出し続けて試合を楽しもうという雰囲気で戦って来ました。このインカレでも良いコミュニケーションが取れていたし、楽しくバスケットができたと思います」
―この一年を振り返っていかがでしたか?
「最初の頃はチームがバラバラでした。試合に負けたりするとコミュニケーションも取れなくなってくるし、お互いに不満が溜まってきて正直ボロボロで…。でも段々変わってきて、リーグ戦が終わってインカレまであと一ヶ月ってなった時にみんなでミーティングしたんです。そこでインカレではどういう風に戦っていくかチーム全体で話し合ったし、インカレ前の和歌山合宿でもコミュニケーションをちゃんと取れました。そういうことが一番大きかったと思います」
―これで学生の大会は終わりました。4年間を振り返っていかがでしたか?
「一言で言ったら、天理に来て良かったということですね。1年生から試合に出させてもらって、インカレにも出場できましたし。下級生の時はインカレに出ても勝てなくて、“関西で勝っても関東には勝てない”とか色々言われて悔しい思いもしてきたんですけど、4年間で関東相手にどこが通用するかとか自分のどういう技が使えるかとかが色々分かりました。天理に来て4年間で本当に成長できたと思うので、天理に来て良かったなと心から思いますね。監督やコーチ、チームメイトの皆、家族に本当に感謝したいです」
―4年間を共にした同じ4年生について。
「同期は本当に仲が良くて最高のメンバーでした。平尾(#25)だったり大谷(#2)だったり良いライバルがチーム内にいることでお互い切磋琢磨できたし、どうすればもっと練習の質を上げられるかキャプテンの濱田(#3)を中心にみんな話し合ってやってきました。そういう風に4回生全員でコミュニケーションを取れる仲になれたというのが本当に良かったですね。一生の仲間だと僕は思ってます」
―では後輩たちに向けてメッセージをお願いします。
「僕たちの代で3位になれましたが、ここで満足せずに来年、再来年は更に上を目指して戦ってもらいたいと思います。準決勝で青学相手にどういうところが足りなかったかみんなでもう一回分析してもらって、日本一を目指して貪欲に頑張ってもらいたいです」
―オールジャパンに向けて。
「やっぱりオールジャパンはJBLの方々と試合できるチャンスがあるので、そこに標準を合わせて、楽しみながらも挑戦者としてJBLに挑みたいと思います」
「この4年間には『感謝』という言葉がすごく似合う」
これまで関わった全ての人たちに送る思い
◆#25平尾充庸(天理大・4年・PG)
最も印象に残った選手としてMIPを受賞。今インカレ、観ている者に大きなインパクトを残した選手のうちの一人だろう。勝負を決めるシュートを何度も沈めたプレー面ももちろん圧巻だが、それだけでなく、声を出して仲間を鼓舞し、笑ったり怒ったりと気持ちを表に出してチームを引っ張る姿も印象的。チームみんなで取り組んできたことを、コート上で集約・体現する役目を見事果たした。
そんな平尾がとにかく何度も強調したのが、「感謝」という言葉。周りの支えの大切さを理解し、その人たちの為にも1プレー1プレーに全力投球だった。平尾が残したどこにも負けない強い気持ちを、来期以降も後輩たちには受け継いでいって欲しい。
―見事3位入賞を果たしました。
「3位になるまで自分たちはすごく苦労しました。キャプテンの濱田(#3)を筆頭に、どうすれば勝てるのか、どうすれば関東と対等に戦えるのか話し合いを重ねて、言い合いもしたし、監督にも色々すごく要求してきて。その中でインカレが始まって、こういう風に関東ともやり合えて結果が残せたのは本当にすごく嬉しいです」
―筑波大、大東文化大、拓殖大と関東の大学を次々破りましたが、インカレ全体を振り返っていかがですか?
「勝ち負けどうこうというより、本当に楽しいインカレでした。4回生ということで自分は最後だし、最後に良いプレーを見せたい、明るく元気な自分を観客の皆さんに見てもらいたいという想いがあったので。すごく良い大会でしたね」
―全ての試合で楽しそうにプレーする姿は見られたと思います。青学戦も最後まで楽しそうでしたね。
「ここまで来たら思い切ってやるしかないですからね。負けてても、下を向いて終わるのは嫌だったんです。お金を払って観客の方は来てくれているんだから、最後まで楽しいプレーを見せたいという気持ちがあって。それで最後まで楽しくプレーできました」
―白熱した試合が連日続いて、足にも来ていたかなと思いますが。
「はい、足も腰も膝も(苦笑)。すごく痛くて、ずっと痛み止めを飲みながらやってたんですけど…。でも痛みを忘れるくらい、コートに立てば気持ち良かったですね。引きずりながらでも最後まで思い切って笑顔でプレーしたいなと思っていました」
―主将の濱田選手がしっかりとチームをまとめている印象は受けますが、平尾選手のコート内でのリーダーシップも素晴らしかったと思います。
「濱田は僕からしてもチームからしてもすごく頼りになるキャプテンで、バスケをすごく理解している人間なんです。困ったことがあったら濱田のところにいって『どうしたらいいかな』とか相談できたし、自分の中でかけがえのない存在でした。でも自分だけが理解しても絶対上手くいかないし、コート上でそれをみんなに伝えるのは自分の仕事だと思っていました。みんなに声を掛けて伝えるだとか、気迫のこもったプレーで表現するだとかは意識してましたね」
―平尾選手は勝負所で大事なシュートを任される立場でもあったと思いますが。
「自分自身も『よこせ!』って感じでしたね(笑)。『俺に来い!俺に任せてくれれば決めてやるから!』って気持ちで。特にこの大会ではそういう時間帯ですごくパスを要求しましたね」
―シーズンの始めの頃は負けが込みましたが、このインカレでは見事に集大成を見せることができましたね。
「最初はサンバが抜けて本当にどうしようかという感じだったんですよ。自分も何をすればいいのか分からなかったし、どうしたら勝てるのかも明確ではなくて、たくさんぶつかり合いました。関西でもなかなか勝てずに負けてきたんですけど、そういう負けがあったからこそ“材料”がいっぱいあったんですよね。何が自分たちに足りないのか、どうすれば勝てるのか、って潰す材料がいっぱいあって、だからこそ今の自分たちがあるのかなと思います。それで本当に、気持ちではどこにも負けないチームになれました。関西を代表して来ているわけだから下手な試合はできないじゃないですか。それで一人ひとりが本当に気迫溢れるプレーを見せて、こぼれたボールは絶対全部自分たちのボールにするくらいの泥臭いバスケットをしよう、メダルがあるのとないのとでは全然違うから最後まで勝ちに行こうという感じで最後の瞬間まで戦えたと思います。チームのみんなもすごく頑張ってくれたし、遠いところから応援に来て下さってる親御さんや学校の関係者や、あのにぎやかなBチームの応援があるからこそ自分たちも乗れて。そういう人たちに本当に感謝したいですね」
―周りの4回生も最後の1年間は意識が違っていたと思いますが。
「清水にしても大谷にしても、リーグ戦は不発で。気持ちの面でどういう風に戦えばいいのか、あいつらはメンタル面でまだ弱い部分があると思ったんです。それで試合前や宿舎にいる時に自分は、清水には『別に1本オフェンスチャージング取ってきていいから。それくらい思い切って行って来い』と言ったし、大谷には『中から外に返ってきたボールはお前が思い切って打て』と声を掛けました。毎回毎回、同じことを繰り返して言い続けたんですよね。この最終戦では本当にみんなそれが出せて良かったなと思います」
―まだオールジャパンはありますが、この4年間を振り返っていかがですか?
「今振り返れば本当に短い4年間だったかなと思います。でもその4年間の中で自分自身もチーム自身も成長できた部分がすごくありました。色んな人に支えられて4年間やってこれたし、この4年間には『感謝』という言葉がすごく似合うかなと思いますね」
―自分自身の成長とは具体的にどんなところですか?
「1年生の時はあまり試合に出られず、2年生の時はスタートで最初は出てたんですけど途中から去年のキャプテンの吉田さん(10年度卒)に負けて。それがすごく悔しくて、どうしたら勝てるのか、どうしたら試合に出られるのかってすごく考えてたんです。試合に出られないし勝てないし、当時はバスケットを辞めようかなとまで思いました。そういう挫折を味わって、でもやっぱり試合に出たい、試合に勝ちたいという想いは捨てられなくて、じゃあまずはシックスマンとして自分ができることを頑張ろうと思ったんです。そこからですね。そこから意識が変わって、声を出してチームを盛り上げるようになりました。それにその時、濱田に言われたんです。『点を取れる人間、パスを出せる人間みたいに“良いプレーヤー”はいっぱいいる。でも声を出せるプレーヤーはいない。それはお前の役目だ』って。そう言われて、『あ、じゃあ自分はチームの中で先輩・後輩関係なく声を出して盛り上げる選手になろう』と思って、そこから頑張れました。自分としてもそこで成長できたと思います」
―では声を出すプレースタイルは昔からではなかったんですか?
「そうですね。昔から『笑いながらプレーしてるよね』とは色んな人から言われてたんですけど。笑うことも、自分自身は正直意識はしてなかったんです。あまり試合に出てない人がシュートを決めてくれたりだとか、自分が良いプレーできたりしたらすごく嬉しいし笑顔になるじゃないですか。バスケ自体を楽しんでるからこそ、自然と笑顔が出るというか。でも意識して声を出すようになったのは、その2年生の時からですね。他のプレーヤーにはないことをしようと思いました」
―試合中怒ったり褒めたり落ち着かせたり、色んなパターンの声出しがありましたね。
「そういうのを意識してやってましたね。特に流れが悪い時はみんなを落ち着かせて、どうやったら点が取れるかをしっかり伝えようと思ってました」
―平尾選手は2年生の時のインカレで良い活躍を見せたこともあって、その後育成強化キャンプや李相伯杯などの選抜にも選ばれましたね。平尾選手自身、選ばれたことがすごく自信になっているというお話を伺ったのですが。
「あれは大きかったですね。呼ばれた時はすごく嬉しかったです。シックスマンでも声を出して頑張っていたら、見てくれてる人はいるんだなって実感して。見えてるところ、見えてないところ関係なく自分は思い切ってやろうと思いました。本当に辛い練習だったんですけど、声を出して頑張りました」
―選抜でトップクラスの選手たちの中に入って、何か得たものはありましたか?
「本当に細かい事なんですけど、シュートのタイミングだったり、外国人相手にどう戦うかだったり、ピックの使い方だったり、ディフェンスの仕方であったり…。大学では教わったことのない細かい事を教わることができたので、本当にあの経験は自分の中で宝ですね」
―今年の李相伯杯はもう少し出番が欲しかったところですよね。
「まぁでもチームでやってるので、出られない人もいるのは仕方ないなと。声を出すことが自分の役割でもあったのでそこは頑張ろうと思ってました。それに本当にあれも良い経験でしたね。見返してやろうとかこいつには絶対負けたくないという気持ちがすごくあったので。このインカレでも筑波戦は李相伯で一緒だった田渡(#34)がいたので、本当に人一倍気持ちが入ってましたね。絶対譲らないぞと思ってて、それがプレーにも出たと思います」
―平尾選手は高知県の明徳義塾高校出身ですが、高知工業高校出身の大東文化大の小原選手は『自分のような高知の田舎から出てきた無名選手でもやれるんだと分かった』と言っていました。平尾選手はどう感じていますか?
「自分は徳島出身で、そこから明徳に進みました。自分もやっぱり関東からしたら無名ですし、出てきたときは『なんだアイツ』って思われたと思うんです。でもこういう風に関東でも戦えるんだと分かって嬉しかったですね。それに自分は高校の時に、監督の瀬田先生から将来ガードとしてやって欲しいということで入学した時からずっとポイントガードとして色々教わっていて、ガードのやり方みたいな本当にバスケットの基本から教えてもらったんです。そこでバスケットの見方が変わって、『うわ、バスケットって深いな』と思って。それがあったから今がありますね。こう来たらこう、こう来たらこうというのが頭の中でイメージできる様になったのでバスケットがますます楽しくなったし、監督に恵まれましたね」
―4年間を共にした4回生は自分にとってどんな存在ですか?
「かけがえのない存在ですね。一緒に苦しい思いもしましたし、楽しい思いもしましたし。自分自身すごくみんなには助けてもらったので、本当に感謝ですね。みんなとやれて本当に良かったです」
葛藤を経て自分の役割を理解
自ら答えを導き出し、必要不可欠なシックスマンに
◆#8長南朝成(拓殖大・4年・SF)
2年前、池内監督に尋ねた長南の評価は「シュートが上手いだけじゃない。あの子は足が強い」というものだった。それを裏付けるように各大学のエース級には必ず長南がディフェンスについた。よく動く足は執拗なディフェンスを生み、エースを次々と封殺。リングのど真ん中を射抜くシュートと共に、ディフェンスも長南を語る上で欠かせないものとなっていった。
「でも、味方のプレーがないと自分は活きないし、何もできないんですよ」
エースを止めても、チームを救うシュートを決めても、彼は自分に対する評価を変えなかった。そのストイックな気持ちは、彼がここまで成長した1つの要因であることは間違いないだろう。
準々決勝では見事なプレーを見せたが、残り2試合は不本意な内容だった。チームを勝たせることができなかった、という複雑な思いを抱えながら終えたインカレ。しかしオールジャパンにはまだ大きな希望が残されている。
「間に合わせるって言っていたので」
高校時代からずっと憧れ続け、長南が大学でもバスケを頑張ろうと思うきっかけとなったチームメイトの長谷川 技(#99)。彼はリーグ戦で重症を負い、インカレ出場はかなわなかったが、オールジャパンには間に合うと言う。最後の大会で待ちわびた仲間とのバスケを楽しみ、とびきりのスマイルで大学バスケを終えてほしい。
―試合を終えて。
「準決勝、3位決定戦と、自分のミスが目立ってしまって負けてしまったように思います。それが自分の中で一番悔いが残っています。準々決勝を良い形勝ったので、良いイメージで試合に臨めたんですが、最後は体がついていかなかったかなって…。言い訳になってしまうんですが、拓大っていつも試合の2時間前には会場入りするんですが、今日は人身事故で会場についたのが50分前だったんです。アップも10分ちょいしかできなくて、なかなか体が動かない中でプレーに入ってしまいました。精神面的なものが一番大きいと思うんですけど、4年生としてチームを勝ちに結び付けられなかったことに悔いが残ります」
―準決勝、3位決定戦と拓殖大らしさが出なかったのが残念でしたね。
「そうですね。それは思いました。拓大の良いところである、走って、リバウンドに飛び込んで、思い切りシュートを打つというのは、チャレンジ精神を持っていないと出せないんですよ。でも、受け身になってしまいました」
―なぜ受け身になってしまったんでしょう?
「うーん…結果がソコソコついてきて、自信を持ち始めてしまったというところですかね、多分」
―拓殖大の試合展開として、どこかのQで必ず爆発する印象がありますが、それがこの2試合は見られませんでしたね。
「爆発的な部分を作るのは、ノブ(#94長谷川)の3Pが連続して入った時とか、自分がちょいちょいと、良いところで仕事して、ミドルを決めたのをきっかけに始まると思うんですよ。でも、試合を通してそれができませんでした。自分の責任です」
―インカレを通してタフなゲーム多かったですね。振り返っていかがですか?
「タフなゲームでも、『4Qで必ず勝つ!』っていう自信があったんですよ。でも今思うと、そこら辺からもう受け身になっていたのかなって思います。1、2、3Qは我慢して、4Qで勝つぞみたいな。そういう思いから受け身になりすぎて、1.2Qで離されてしまって、『あーっ』って言っているうちに負けてしまいました。それがいけなかったかなと思います」
―さて、今大会で大学バスケは一区切りとなります。4年間を振り返っていかがですか?
「正直、バスケは高校で辞めようと思っていたんです。でも、大学に進学してまたバスケをすることに決めました。Bチームからのスタートだったので、まさか自分が全国大会に出られるなんて思っていませんでした。そこはここまで育ててくれた仲間、監督、先輩方に感謝したいです。そして、自分に『お疲れ様』と言いたいですね。そして、これを糧に次のステージでしっかり結果を残せるように頑張りたいと思います」
―長南選手を初めて見た時は「シュートが上手い選手だな」という印象だったのですが、観ていくうちに「ディフェンスも上手なんだ」と気づきました。攻守で活躍できるのは素晴らしいですし、観ている人にもこう思った方は少なくないと思います。
「観ている人がどう思っているかについては、自分は知名度があまり高くないので、自分では何とも言えないんですけど(笑)。去年、金丸さん(金丸晃輔・現パナソニック)について、味方から『ナイスディフェンス!』って褒められることがありました。でも、やっぱり点を取られてしまって…。そこで色んなことを経験しました。ディフェンスすることの大事さもそうですけど、楽しさというか、やり方もわかってきて。試合出るためにはディフェンスも大事だなと思ってプレーしていました」
―2年前の新人戦の時に、長谷川技選手(#99)のことを「スター選手」と仰っていましたね。しかし今は同じフィールドに立ってバスケをしています。あの頃からこれまで、自分の成長についてはどう思っていますか?
「うーん…。同じフィールドで戦えて、その中で自分ができることが見つかりました。でも、やっぱり劣っている部分ばかりだなって未だに思います。準決勝で東海の満原(#0)とマッチアップしてみて、『やっぱりすごい選手だな』って本当に思いました。自分は能力が高いわけではないし、高さもないし、平凡な選手なので、どんなに努力しても彼らに追いつけるとは思えないですよ。でも、『自分のできることはあるのかな』って、そう思い始めています。自分のできることは限られていますが、そういうすごい選手が相手チームにいたとしても、うちにはいい選手がいるので、勝てるなと思ってプレーをしていました」
―憧れ続けていた長谷川技選手と一緒にプレーしたかったのではないですか?
「そうですね。でも、オールジャパンに(復帰を)間に合わせてくれるって言っていたので!4年生も全員残る予定なので、Bチームの人もそこで楽しくプレーして終われたらと思っています」
―長南選手はいつも笑顔でプレーしていますよね。その理由を教えて下さい。
「なんですかね?(笑)特に理由はないです。でも、辛そうにバスケしていてもつまらないなと思っています。それに笑っていた方が、運が味方してくれるかなって(笑)。自分も笑っていた方が精神的にも楽ですし、コートの雰囲気がよくなるかなと思って、笑うようにしていました」
―4年生として自分が後輩に残せたなと思うことはありますか?
「うーん…別の記者の方にも聞かれて色々考えたんですが、特にないと思います!自分が『何かを残せた』っていう自信はないですけど、後輩たちの中で何か残っていたらいいなって思っています」
―Bチームから這い上がって全国の舞台に立つことになったということはアピールポイントにはならないのでしょうか?
「アピールしておいた方がいいですかね?(笑)でも、自分はそんな風には思っていなくて。上杉(#26)とか佐々木(#11)がボックスアウトしてくれるから、自分はリバウンドが取れる。ディフェンスだってみんなの支えがあるからできるんです。シュートも、みんなの前では強気で『今日は決めるから!』って言いますけど、やっぱり味方のプレーがないと自分は活きないし、何もできないんですよ」
―謙虚な姿勢は前から変わらないですね。観ている方からすると、4年間でチームに必要不可欠な素晴らしいシックスマンになったなと心から思うのですが。
「もともと今シーズンはスタメンだと思ってプレーしていたんです。去年からみんなに言われていたし、新シーズンが始まってからしばらくはスタートでやっていたので。でも、京王杯の1、2週間前に達也(#1鈴木)がスタメンになって、それがフィットしたんですよね。さすがに京王杯の時はしょぼくれてました(笑)。でも、池内さんは自分のことを信頼して使ってくれました。そうなると、それに応えなきゃいけないなっていう気持ちになって…。冷静に試合を観ていると、自分の役割が見えてきたんです。前はノブ(#94長谷川)と変わることが多かったんですが、ハセ(#99長谷川)が怪我してからは4番ポジションで交替とか、祐眞(#40藤井)や達也と交替とか…色んなポジションで出るようになりました。どのポジションで出るとしても、どの組み合わせになるとしても、常にコートを観て、その時何が必要なのかを考えていました。今はシュートなのか、リバウンドなのか何なのかって。良いプレーできたのかはわからないですけど、チームの勝利に貢献できたときはそういうところが良かったのかなって思います。あとは、チームに足りないものを補えたらいいなって思ってやっていました。そうしていくうちに、例えば上の3人のディフェンスが機能しなくなったら、自分が入って点を決めて流れを変える、みたいな良いサイクルができてきたんです。そこから、自分が違和感なく“シックスマン”という立場を理解できて、その後に続いていくことができました」
―こうして自分を信頼して使い続けてくれた池内監督にはどのような言葉を伝えたいですか?
「拓大に入っていなかったら試合に出られていなかっただろうし、池内さんの下じゃなかったらここまで大きな舞台でプレーすることもなかったと思っています。池内さんは最高の恩師です」
―では、4年間を共に過ごしてきた仲間に対して、何かメッセージはありますか?
「一言でいうと『ありがとう』なんですけど…うーん…何て言ったらいいかな。一言、二言じゃ言えないですね。あぁ…………最近、涙もろくてダメです(苦笑)。最後、『勝ちたい!』っていう気持ちは、みんな一緒で、それが行動にも表れていて。出ている選手も出られない選手も、みんな同じ気持ちで盛り上げてくれて。自分はまとめる力もないし、声出すこともあまりしなかったですが…。最高のチームでやれたことに本当に感謝しています。『こんなにいいチームにしてくれてありがとう』と伝えたいです」
「4年間で最高の1年間だった」
『拓大復活』に大きく貢献
◆#26上杉翔(拓殖大・4年・PF)
インサイドという印象が最後は強かったが、1年生の時から試合に絡み、内外うまいプレーで何度もチームに活気を与えてきた。顔をくしゃっとゆがめる笑顔には見ている方も微笑ましい気分になったものだ。
準々決勝では早稲田大の久保田をうまく押さえたが、残りの2試合では上杉らしいプレーがなかなか出なかった。とはいえ、この2試合で全てを語るわけにもいかない。2部からスタートし、苦しい時代を経ての3位だ。特にここ2年の拓殖大は、常に相手にとって脅威のチームだったはずだ。頂点は逃したが、最後までそうした拓殖カラーを試合で発揮して欲しい。
―昨日と今日はだいぶ点差が離れてしまった分、悔しさがあると思いますが。
「そうですね。昨日も今日も自分たちのバスケができていなくて。自分たちのバスケ、点を取っていくスタイルとか、ディフェンスをしっかりやってからのブレイクだとかが持ち味ですけど、そういう面が出ていなくて。今日はパッシングのバスケもできなくて、この2日はドリブルが多くなって、そこで自分たちのミスが出て相手のブレイクが何本も出て点差が開いちゃって。そういう部分でやられてしまったかなと思いますね」
―身長差、サイズで劣っている分、限界もあったように感じますが……。
「……でも、なんだかんだでやれている部分もありましたし。高さで勝てない分、走ることが重要だと思うんで、大きい選手はそんなに体力が続かないので。そういう面で勝っていくとか、自分たちが勝っている部分を活かしていくのはできていた部分はあると思います」
―そういう意味では走るバスケットで好成績を残して、大学バスケットに一石を投じた部分も合うと思います。
「高さが無くても勝負できるというのは実証できたというか。小さいチームでもサイズの大きいチームに勝てるというのをみんなに伝えられたのかなと思いますね」
―タイトルは取れませんでしたが、今年の拓殖大は近年稀に見る好成績でした。今年の躍進の要因はどういうところでしょうか。
「自分たちは1年生の時に3部との入れ替え戦も味わっていて、そういう先輩たちのことを見てきていて、結果が残せている時は4年生同士でまとまっていて、すごく雰囲気が良いんですけど、成績が残せていない時は4年生がまとまっていなくて。今年の自分たちの学年は、みんなが仲が良くてまとまっているというのが強みなので、その部分が上手く結果に繋がったのかなと思います」
―インカレを臨むにあたって、4年生同士で話したりしたこともあると思いますが。
「4年生で、というかみんなで自分たちの走るバスケットを徹底してやろうというのを、みんなで確認しあってやってきましたね」
―昨日は試合後に涙がありましたが……。
「昨日は全然自分のプレイもできなくて、目標であった日本一の可能性が昨日断たれてしまって、『終わってしまった。日本一になれないんだな』という気持ちになって。悔しかったのもありますね」
―昨日は東海大にオフェンスもディフェンスも圧倒されました。
「そうですね。昨日は東海大はオフェンスもディフェンスも調子が良くて、自分たちも全然シュートが入らないし、逆に向こうはシュートが入るし。やられて全然歯が立たないというか……。それはものすごく悔しいですね」
―拓殖大でバスケットをやるのはあと僅かですが、その中で後輩たちに伝えていかなければならない部分があると思います。残り期間の練習でどういうことを伝えていきたいですか。
「プレー面はいいとして、練習中に池内さんとコミュニケーションをとったり、壮二郎さん(小野アシスタントコーチ)にも分からないことがあったらどんどん聞いていった方がいいなと、自分は思いますね。そういう部分は1年生や2年生は足りないと思うので、そういうのを増やしていけばコーチとの信頼関係も築けていけて、それが一番大事だと思いますね」
―今年は震災もあって、上杉選手も地元の福島県に大きな被害がありました。その中で一年間バスケットをやってきたのは色々と大変な部分があったと思いますが。
「地震があって、自分たちはここでバスケットをしていいのか、というのもありましたけど、こうやってやらせてもらっているんだから、自分らしく明るくやっていきたいなというのもありましたし、この1年間は4年間の中で最高の年だったので。一番結果が出て、自分たちは最後の年というのもあったので、そういう意味では良かったなと思います」
―オールジャパンに向けて。
「オールジャパンは、多分ハセ(長谷川 技)も最後に復帰できると思うので、最後はみんなで楽しく、明るくやりたいなと思います」
ミスも多かった拓殖大は4位でインカレを終える

1Q、#11佐々木(3年・C)の得点でややリードを奪った拓殖大。だがパスミスやトラベリング、ノーマークのレイアップを外すなどイージーミスが続いて思うように流れに乗れない。対する天理大も起点となる#23劉(3年・C)らのシュートがなかなか決まらず、両者点数の離れない展開が続いた。すると拓殖大が2連続でファウルを吹かれてリズムを崩すと、天理大が#5清水(4年・SF)のスティールからのワンマン速攻で流れを掴む。だが終盤#94長谷川智伸(3年・SF)や#26上杉(4年・C)のミドルシュートが決まり、拓殖大が何とか同点に追い付いて1Qを終えた。
すると続く2Q、拓殖大はシュートが落ちて完全にオフェンスが沈黙。対する天理大は#23劉や#25平尾(4年・PG)、#17船津(3年・PF)の活躍でバランスよく攻め、ディフェンスでも素早いカバーで拓殖大のオフェンスファウルを誘った。後手に回った拓殖大はパスも簡単にカットされる場面が目立ち、2Q開始6分間で決まったのは#11佐々木の2得点のみ。残り4分を切って#2大谷(4年・SG)の3Pが決まり、36-21と天理大が15点差をつけて突き放したところで拓殖大はたまらずタイムアウトを請求する。ここから拓殖大は2連続得点でやや追い上げるも、ファウルがかさんでフリースローから易々と得点されてしまう。結局2Q前半でついた点差は縮まらず、44-29で試合を折り返した。

拓殖大は4位で大会を終えた。日本体育大戦、早稲田大戦と接戦を勝ち抜いてベスト4まで駆け上がったものの、順位決定戦からは失速。この2試合はあまり持ち味を出させてもらえず勝ち星は上げられなかった。チーム一のシューター#94長谷川智伸もこの試合ではタフショットを強いられ3Pは0本に終わった。また追い上げる時間帯は何度もあったが、その流れを絶ち切ってしまうようなミスが多かったのが惜しまれる。
一方の天理大は、大舞台でもひるまず自分たちのペースを貫いた。インサイドの#23劉を起点に、スクリーンプレーなどで相手の隙をついたオフェンスを披露。大会を通して素晴らしかった#25平尾のコートでのリーダーシップに引っ張られるように、最後の試合は#5清水らも好調だった。主将の#3濱田を中心に“どうしたら勝てるのか”を考えぶつかり合いながら作り上げた今年のチーム。関西での敗戦をチームの糧にし、最後のインカレでは見事な快進撃を見せてくれた。最終試合でも関東3位の強豪・拓殖大を破り、最後まで存在感を示してインカレを締めくくった。
写真上:天理大・劉はリバウンド王も獲得。3位進出に欠かせない存在だった。
写真下:拓殖大・藤井はアシスト王に。劣勢のチームを最後まで引っ張った。
※天理大・濱田選手、大谷選手、清水選手、平尾選手、拓殖大・長南選手、上杉選手のインタビューは「続きを読む」へ。
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【INTERVIEW】「今日はみんなに恩返しができた」
積み重ねの結果得た3位という結果
◆#3濱田佳祐(天理大・4年・主将・PG)

「去年はサンバ以外は下級生で申し訳なかった」という反省を、この日は応援に駆けつけたサンバが見守る中で勝利し、成長した姿を彼にも見せられた。
チームというものはどんな上級生がリーダーになるかで中身が全く違ってくる。濱田は厳しいことを言い、諍いになりそうなほど熱くなり、自らスカウティングにも臨んで自分の作りたい形を追い求めた。「甘い」と繰り返し、もちろん完璧とまではいかないだろうが、追求したからこその3位でもある。強い意志があればチームは変われると、結果をもって見せてくれた。
―見事な3位となりました。おめでとうございます。
「昨日のミーティングでも言ったんですが、やはり3位と4位ではぜんぜん違います。メダルを持って帰るのとそうじゃないのとではぜんぜん違うので、今日は最初から気合いが入っていましたね」
―拓殖大に対してはどのように対策していましたか?
「拓殖大のビデオも結構見たんですが、外角のシュートも上手でサイズはないけど40番の藤井選手であったり、1番の鈴木選手であったりはルーズボールやリバウンドが非常に強くて、そういうセカンドチャンスを抑えようとしていました」
―ルーズボールなどに対しては途中天理大もかなり目立つようになりましたね。
「4年生の外角3人だけじゃなくて、インサイドの劉(#23)や船津(#17)が1つのボールに対しても気持ちが入っていたので、こっちもセカンドチャンスが増えたかなと思います。それに今日は陽平(#5清水)がよくリバウンドを取ってくれていたので、シュートは入ってないんですけど(笑)、そういう部分はいい活躍だったと思います」
―清水選手は自分でもずっと不調だと言っていましたが、今日は見ていて納得できる活躍では?
「もともとシュートは上手だったんですが、今年のリーグぐらいからフリースローもぜんぜん入らなくなってしまっていたんです。でも本人がすごく努力しているのは一緒にシューティングしていたので知っていました。今日はドライブもキレがあったし、リバウンドやルーズも頑張って、相手のキーマンの選手をしっかり守ってくれたのですごく良い活躍をしたと思います」
―3位決定戦はモチベーションを保つのがなかなか難しい試合なんですが、こうして清水選手をはじめ、みんなが終始強くプレーできましたね。
「このメンバーで学生の大会は最後になるので、どこが相手になろうが、順位決定戦に回ろうが、自分たちのモチベーションは下がることはなかったです。今日の試合はしっかり勝って終わりたかったし、負けて帰りなくなかったし、みんな闘志を出して頑張れましたね」
―濱田選手も最後はシュートを決めましたし。
「自分はあまり打たないタイプなんですが、最後くらいはいいところを見せておこうかなと思いました(笑)」
―おかげで胸をはって天理に帰れますね。
「今日もサンバも応援に来てくれましたし、いい自分たちの笑顔やプレーを彼に見せられたのも嬉しいです。今から感想を聞きにいくんですが、楽しみです」
―ここまで一緒に頑張ってきた4年生にはどんな思いがありますか?
「みんな個人個人やるべきことはやってきたし、すごく努力した1年間でした。自分もスタメンじゃなかったけれどみんなに要求したし、練習中にはめっちゃ厳しいことも言いました。練習が休みの日はスカウティングもするとか、体は使わなくても労力は使ったし、そういうことも怠らずにやってきました。また、今日はベンチに入ってない4年生も、自分たちがシューティングの時にリバウンドを手伝ってと言えば2時間でも3時間でも手伝ってくれる奴らばかりでした。その分の恩返しがこの大会でできたんじゃないかと思います。これが最後になるけれど、形として表れて本当によかったと思います」
「試合も練習も一個一個大事にしてきた」
積み重ねて最後に見せた集大成
◆#2大谷拓也(天理大・4年・SG)

福岡第一高校時代キャプテンも務めていた大谷は、あと一歩及ばずに勝利を逃す勝負の世界の厳しさを人一倍知っている。だからこそ「原因を突き詰めて克服してきた」と言うように、敗戦から学び、努力を積み重ねてきた。4年間の集大成として最後に結果を残したことに大きな拍手を送りたい。
―快勝で見事3位となりました。今の心境はいかがですか?
「めちゃくちゃ嬉しいですね。最後3位になるのと4位になるのとでは全然違うし、勝ってメダルもらえるのは金か銅だけなので。勝てて良かったなって、本っ当に嬉しいです。今までやってきた事は間違ってなかったんだなって今になって思えますね。関西では負けてきたんですけど、最後にインカレでこういう風に結果が出て本当に良かったです」
―終始拓殖大にバスケットをさせませんでしたね。
「向こうは全員シュートが打てるんですけど、特に長谷川(#94)のスリーは抑えないととチームで話してて最初からフェイスガード気味につきました。ツーはある程度仕方ないけど、スリーを打たれると流れが変わってしまうから絶対抑えようと。それは結構効いたかなと思います」
―自身の調子はいかがでしたか?
「全然でしたね(笑)。気持ちが入りすぎていた部分があったのか、狙いすぎて入りませんでした。でも運良くファウルをもらえて得点には繋がったのでそれはそれで良かったと思います。あと1・2本決めたかったですけどね。でもチームが勝てたのでそこは結果オーライという感じです」
―インカレ全体を振り返れば3Pシューターとしてよく仕事を果たしていたと思いますが。
「基本ボールを持って空いたら打つことは考えてましたね。でも前まで自分はそんなに積極的に打たなかったんですよ。でも平尾(#25)や陽平(#5清水)、劉(#23)はすごく頼りになるのに、僕のポジションだけ誰が入っても変わらないよなって最初は少し悩んでて。それでやっぱり自分ももっと点が取れる選手にならなきゃ、苦しい時でも自分で点を取れるようにならなきゃと思って、そこからすごくシューティングをするようになりましたね」
―そういう意識に変わったのはいつ頃ですか?
「新チームになって最初の頃ですかね?去年のインカレで負けてから自分たちの代になってミーティングをして、どうしたら勝てるのか話し合ったんです。それでサンバ(10年度卒・現JBL東芝)がいなくなるんだから、劉を軸にしつつも中に頼りすぎずに外からも点を取れた方がバランスも良いし、攻撃の幅も広がるだろうという話になって。でも前から平尾と陽平は得点力があったんですけど、僕は全然で0点の試合もあるくらいで…このままじゃだめだと思ったんです。そこからみんなに指摘も受けて、もっと積極的に攻めるようになりました。シュートにしてもボールをもらう為の動きにしても、練習の時から意識しだして。前より声を出して自分からボールをもらうようになったし、一対一でピックして打つみたいなプレーを練習中からするようになりましたね。でも、なかなか身につかなくて…。リーグ戦も全然決められなかったんですよ。それがようやくこのインカレで形になってきた感じですね。自分は2年生の時から試合に出させてもらっていたので、絶対最後に結果を出してやろうという思いもあったし。今までの積み重ねがようやく最後の最後で結果につながって良かったなと思います」
―ではこの1年間で本当に成長したんですね。今シーズンを振り返っていかがですか?
「結果的に3位にはなれましたが、1年を振り返ればそう簡単には勝たせてもらえませんでしたね。関西でも一つもタイトルは取れませんでしたし。高校の時もそうでしたが、あと一歩のところで勝てないことも多くて、勝つことの厳しさを身を持って感じました。でも一歩足りずに負けるのは絶対何らかの原因があって、今回は負け負けと繰り返した事でその原因を突き詰めて克服することができたと思います。だからただの負けじゃなくて、いい負けだったかなと。もし勝って勝ってここまで来ていたら去年みたいな結果になっていたかもしれないし、負けたからこそどうしたらいいのか自分たちで考えて指摘し合うことができました。そういう面を振り返れば、チーム的にも個人的にもすごく成長出来た1年だったと思います」
―この1年間4回生同士ですごく話し合ってやってきたとお聞きしました。
「そうですね。前はコミュニケーションもあまりなかったと思うんです。ミーティングもただの話し合いで終わって、それを同じ様に繰り返しているだけで。それじゃ意味がないということで、一個一個しっかり濃いミーティングを心掛けてやってきました。練習の時もチームに分かれた時にそのチームの中で目標を立てたりして意識して。とにかくコミュニケーションを取ろうとはみんな強く意識していたので、完全ではないですけど楽しくわいわい何でも言い合える関係にはなれたかなと思います」
―Bチームの応援もにぎやかでしたね。
「AとBで分かれて練習するので何かしら溝ができることも前はあったんですけど、今回はそういうのをなくしてチーム一丸となれたと思います。Bの方もわいわいしてて仲良いので応援も楽しく盛り上げてくれたし、Bがいたからこそ良い環境でバスケができたんだと思いますね。本当にみんなのお蔭です。みんなで掴んだメダルだと思います。僕の旗も作ってくれて嬉しかったです(笑)」
―大谷選手から見て今年のチームはどんなチームだったと思いますか?
「がむしゃらにやるチームですかね。一試合一試合を大事して、目の前の相手だけに集中して戦うチームだったと思います。去年は先を見過ぎて一回戦で負けてしまったので、その教訓を活かして。試合も練習も、一個一個大事にしてきたチームかなと思いますね」
―これで学生の大会は終わりましたが、4年間を振り返っていかがでしたか?
「正直これで終わりという実感は全然ないですね。このメンバーでやるのが最後だなんて信じられないです。本当に良い仲間だったと思うし、仲間に恵まれたかなと思います。僕らはバランスも良いし、和気あいあいとして仲も良いので全然堅苦しくなかったし。大学に入って、バスケットの楽しさというのが分かりました。4年間本当に楽しかったです。悔いはないですね」
―4年間を共にした同期はどんな代でしたか?
「言い合える代でしたね。毎年どこの代もみんな仲が良いんですけど、今年は仲が良い上に、真剣に話し合ってそこが駄目だったとかあそこはああして欲しいとかお互い何でも指摘し合える代でした。私生活でも仲良くて楽しかったし、本当に大切な仲間ですね」
―残すはオールジャパンですね。
「プロのチームもいるし大きな大会で東京体育館でやれるということなので、楽しみたいですね。堅苦しくなく、笑って終わりたいと思います」
「4回生全員でコミュニケーションを取れる仲になれた」
堅い信頼関係で手にした創部初の銅メダル
◆#5清水陽平(天理大・4年・SF)

―嬉しい3位入賞ですね。
「昨日負けてみんな少し落ち込んでたんですけど、今日負けたら4回生としてもチームとしても悔いが残るし、絶対メダルを持って帰ろうと昨日のミーティングでも話していました。昨日から僕ら『メダル取ったら一生の宝物だよ!』って言ってたので。それが実現して本当に嬉しいです」
―昨日の負けをどのように受け止めたんですか?
「僕らは日本一を目指していてそれが叶わなかったんですが、青学という優勝候補に精一杯自分たち力を出し切って負けたので別に悔いは残りませんでした。それに負けを引きずっていたら応援してくれるみんなに申し訳ないと思ったので、そこはみんなで切り替えていこうという感じで頑張りました」
―清水選手はこれまでの試合あまり調子が上がってこなかったと思いますが、この最後の試合では持ち味を発揮して好調でしたね。
「このインカレもだしリーグ戦も、僕自身みんなに本当に迷惑を掛けてしまったので、最後の最後は絶対に自分の力を出し切ろうと思ってました。それで少しは貢献できたかなと思います」
―大会全体を振り返っていかがでしたか?
「インカレは僕4年間出させてもらっているんですけど、今年のインカレが一番楽しかったですね。楽しんでバスケットできたと思います。僕らのバスケットって楽しむことが一番なので、どんなに流れが悪くてもベンチや応援席や出ているメンバーみんなが『切り替えろ切り替えろ』って声を出し続けて試合を楽しもうという雰囲気で戦って来ました。このインカレでも良いコミュニケーションが取れていたし、楽しくバスケットができたと思います」
―この一年を振り返っていかがでしたか?
「最初の頃はチームがバラバラでした。試合に負けたりするとコミュニケーションも取れなくなってくるし、お互いに不満が溜まってきて正直ボロボロで…。でも段々変わってきて、リーグ戦が終わってインカレまであと一ヶ月ってなった時にみんなでミーティングしたんです。そこでインカレではどういう風に戦っていくかチーム全体で話し合ったし、インカレ前の和歌山合宿でもコミュニケーションをちゃんと取れました。そういうことが一番大きかったと思います」
―これで学生の大会は終わりました。4年間を振り返っていかがでしたか?
「一言で言ったら、天理に来て良かったということですね。1年生から試合に出させてもらって、インカレにも出場できましたし。下級生の時はインカレに出ても勝てなくて、“関西で勝っても関東には勝てない”とか色々言われて悔しい思いもしてきたんですけど、4年間で関東相手にどこが通用するかとか自分のどういう技が使えるかとかが色々分かりました。天理に来て4年間で本当に成長できたと思うので、天理に来て良かったなと心から思いますね。監督やコーチ、チームメイトの皆、家族に本当に感謝したいです」
―4年間を共にした同じ4年生について。
「同期は本当に仲が良くて最高のメンバーでした。平尾(#25)だったり大谷(#2)だったり良いライバルがチーム内にいることでお互い切磋琢磨できたし、どうすればもっと練習の質を上げられるかキャプテンの濱田(#3)を中心にみんな話し合ってやってきました。そういう風に4回生全員でコミュニケーションを取れる仲になれたというのが本当に良かったですね。一生の仲間だと僕は思ってます」
―では後輩たちに向けてメッセージをお願いします。
「僕たちの代で3位になれましたが、ここで満足せずに来年、再来年は更に上を目指して戦ってもらいたいと思います。準決勝で青学相手にどういうところが足りなかったかみんなでもう一回分析してもらって、日本一を目指して貪欲に頑張ってもらいたいです」
―オールジャパンに向けて。
「やっぱりオールジャパンはJBLの方々と試合できるチャンスがあるので、そこに標準を合わせて、楽しみながらも挑戦者としてJBLに挑みたいと思います」
「この4年間には『感謝』という言葉がすごく似合う」
これまで関わった全ての人たちに送る思い
◆#25平尾充庸(天理大・4年・PG)

そんな平尾がとにかく何度も強調したのが、「感謝」という言葉。周りの支えの大切さを理解し、その人たちの為にも1プレー1プレーに全力投球だった。平尾が残したどこにも負けない強い気持ちを、来期以降も後輩たちには受け継いでいって欲しい。
―見事3位入賞を果たしました。
「3位になるまで自分たちはすごく苦労しました。キャプテンの濱田(#3)を筆頭に、どうすれば勝てるのか、どうすれば関東と対等に戦えるのか話し合いを重ねて、言い合いもしたし、監督にも色々すごく要求してきて。その中でインカレが始まって、こういう風に関東ともやり合えて結果が残せたのは本当にすごく嬉しいです」
―筑波大、大東文化大、拓殖大と関東の大学を次々破りましたが、インカレ全体を振り返っていかがですか?
「勝ち負けどうこうというより、本当に楽しいインカレでした。4回生ということで自分は最後だし、最後に良いプレーを見せたい、明るく元気な自分を観客の皆さんに見てもらいたいという想いがあったので。すごく良い大会でしたね」
―全ての試合で楽しそうにプレーする姿は見られたと思います。青学戦も最後まで楽しそうでしたね。
「ここまで来たら思い切ってやるしかないですからね。負けてても、下を向いて終わるのは嫌だったんです。お金を払って観客の方は来てくれているんだから、最後まで楽しいプレーを見せたいという気持ちがあって。それで最後まで楽しくプレーできました」
―白熱した試合が連日続いて、足にも来ていたかなと思いますが。
「はい、足も腰も膝も(苦笑)。すごく痛くて、ずっと痛み止めを飲みながらやってたんですけど…。でも痛みを忘れるくらい、コートに立てば気持ち良かったですね。引きずりながらでも最後まで思い切って笑顔でプレーしたいなと思っていました」
―主将の濱田選手がしっかりとチームをまとめている印象は受けますが、平尾選手のコート内でのリーダーシップも素晴らしかったと思います。
「濱田は僕からしてもチームからしてもすごく頼りになるキャプテンで、バスケをすごく理解している人間なんです。困ったことがあったら濱田のところにいって『どうしたらいいかな』とか相談できたし、自分の中でかけがえのない存在でした。でも自分だけが理解しても絶対上手くいかないし、コート上でそれをみんなに伝えるのは自分の仕事だと思っていました。みんなに声を掛けて伝えるだとか、気迫のこもったプレーで表現するだとかは意識してましたね」
―平尾選手は勝負所で大事なシュートを任される立場でもあったと思いますが。
「自分自身も『よこせ!』って感じでしたね(笑)。『俺に来い!俺に任せてくれれば決めてやるから!』って気持ちで。特にこの大会ではそういう時間帯ですごくパスを要求しましたね」
―シーズンの始めの頃は負けが込みましたが、このインカレでは見事に集大成を見せることができましたね。
「最初はサンバが抜けて本当にどうしようかという感じだったんですよ。自分も何をすればいいのか分からなかったし、どうしたら勝てるのかも明確ではなくて、たくさんぶつかり合いました。関西でもなかなか勝てずに負けてきたんですけど、そういう負けがあったからこそ“材料”がいっぱいあったんですよね。何が自分たちに足りないのか、どうすれば勝てるのか、って潰す材料がいっぱいあって、だからこそ今の自分たちがあるのかなと思います。それで本当に、気持ちではどこにも負けないチームになれました。関西を代表して来ているわけだから下手な試合はできないじゃないですか。それで一人ひとりが本当に気迫溢れるプレーを見せて、こぼれたボールは絶対全部自分たちのボールにするくらいの泥臭いバスケットをしよう、メダルがあるのとないのとでは全然違うから最後まで勝ちに行こうという感じで最後の瞬間まで戦えたと思います。チームのみんなもすごく頑張ってくれたし、遠いところから応援に来て下さってる親御さんや学校の関係者や、あのにぎやかなBチームの応援があるからこそ自分たちも乗れて。そういう人たちに本当に感謝したいですね」
―周りの4回生も最後の1年間は意識が違っていたと思いますが。
「清水にしても大谷にしても、リーグ戦は不発で。気持ちの面でどういう風に戦えばいいのか、あいつらはメンタル面でまだ弱い部分があると思ったんです。それで試合前や宿舎にいる時に自分は、清水には『別に1本オフェンスチャージング取ってきていいから。それくらい思い切って行って来い』と言ったし、大谷には『中から外に返ってきたボールはお前が思い切って打て』と声を掛けました。毎回毎回、同じことを繰り返して言い続けたんですよね。この最終戦では本当にみんなそれが出せて良かったなと思います」
―まだオールジャパンはありますが、この4年間を振り返っていかがですか?
「今振り返れば本当に短い4年間だったかなと思います。でもその4年間の中で自分自身もチーム自身も成長できた部分がすごくありました。色んな人に支えられて4年間やってこれたし、この4年間には『感謝』という言葉がすごく似合うかなと思いますね」
―自分自身の成長とは具体的にどんなところですか?
「1年生の時はあまり試合に出られず、2年生の時はスタートで最初は出てたんですけど途中から去年のキャプテンの吉田さん(10年度卒)に負けて。それがすごく悔しくて、どうしたら勝てるのか、どうしたら試合に出られるのかってすごく考えてたんです。試合に出られないし勝てないし、当時はバスケットを辞めようかなとまで思いました。そういう挫折を味わって、でもやっぱり試合に出たい、試合に勝ちたいという想いは捨てられなくて、じゃあまずはシックスマンとして自分ができることを頑張ろうと思ったんです。そこからですね。そこから意識が変わって、声を出してチームを盛り上げるようになりました。それにその時、濱田に言われたんです。『点を取れる人間、パスを出せる人間みたいに“良いプレーヤー”はいっぱいいる。でも声を出せるプレーヤーはいない。それはお前の役目だ』って。そう言われて、『あ、じゃあ自分はチームの中で先輩・後輩関係なく声を出して盛り上げる選手になろう』と思って、そこから頑張れました。自分としてもそこで成長できたと思います」
―では声を出すプレースタイルは昔からではなかったんですか?
「そうですね。昔から『笑いながらプレーしてるよね』とは色んな人から言われてたんですけど。笑うことも、自分自身は正直意識はしてなかったんです。あまり試合に出てない人がシュートを決めてくれたりだとか、自分が良いプレーできたりしたらすごく嬉しいし笑顔になるじゃないですか。バスケ自体を楽しんでるからこそ、自然と笑顔が出るというか。でも意識して声を出すようになったのは、その2年生の時からですね。他のプレーヤーにはないことをしようと思いました」
―試合中怒ったり褒めたり落ち着かせたり、色んなパターンの声出しがありましたね。
「そういうのを意識してやってましたね。特に流れが悪い時はみんなを落ち着かせて、どうやったら点が取れるかをしっかり伝えようと思ってました」
―平尾選手は2年生の時のインカレで良い活躍を見せたこともあって、その後育成強化キャンプや李相伯杯などの選抜にも選ばれましたね。平尾選手自身、選ばれたことがすごく自信になっているというお話を伺ったのですが。
「あれは大きかったですね。呼ばれた時はすごく嬉しかったです。シックスマンでも声を出して頑張っていたら、見てくれてる人はいるんだなって実感して。見えてるところ、見えてないところ関係なく自分は思い切ってやろうと思いました。本当に辛い練習だったんですけど、声を出して頑張りました」
―選抜でトップクラスの選手たちの中に入って、何か得たものはありましたか?
「本当に細かい事なんですけど、シュートのタイミングだったり、外国人相手にどう戦うかだったり、ピックの使い方だったり、ディフェンスの仕方であったり…。大学では教わったことのない細かい事を教わることができたので、本当にあの経験は自分の中で宝ですね」
―今年の李相伯杯はもう少し出番が欲しかったところですよね。
「まぁでもチームでやってるので、出られない人もいるのは仕方ないなと。声を出すことが自分の役割でもあったのでそこは頑張ろうと思ってました。それに本当にあれも良い経験でしたね。見返してやろうとかこいつには絶対負けたくないという気持ちがすごくあったので。このインカレでも筑波戦は李相伯で一緒だった田渡(#34)がいたので、本当に人一倍気持ちが入ってましたね。絶対譲らないぞと思ってて、それがプレーにも出たと思います」
―平尾選手は高知県の明徳義塾高校出身ですが、高知工業高校出身の大東文化大の小原選手は『自分のような高知の田舎から出てきた無名選手でもやれるんだと分かった』と言っていました。平尾選手はどう感じていますか?
「自分は徳島出身で、そこから明徳に進みました。自分もやっぱり関東からしたら無名ですし、出てきたときは『なんだアイツ』って思われたと思うんです。でもこういう風に関東でも戦えるんだと分かって嬉しかったですね。それに自分は高校の時に、監督の瀬田先生から将来ガードとしてやって欲しいということで入学した時からずっとポイントガードとして色々教わっていて、ガードのやり方みたいな本当にバスケットの基本から教えてもらったんです。そこでバスケットの見方が変わって、『うわ、バスケットって深いな』と思って。それがあったから今がありますね。こう来たらこう、こう来たらこうというのが頭の中でイメージできる様になったのでバスケットがますます楽しくなったし、監督に恵まれましたね」
―4年間を共にした4回生は自分にとってどんな存在ですか?
「かけがえのない存在ですね。一緒に苦しい思いもしましたし、楽しい思いもしましたし。自分自身すごくみんなには助けてもらったので、本当に感謝ですね。みんなとやれて本当に良かったです」
葛藤を経て自分の役割を理解
自ら答えを導き出し、必要不可欠なシックスマンに
◆#8長南朝成(拓殖大・4年・SF)

「でも、味方のプレーがないと自分は活きないし、何もできないんですよ」
エースを止めても、チームを救うシュートを決めても、彼は自分に対する評価を変えなかった。そのストイックな気持ちは、彼がここまで成長した1つの要因であることは間違いないだろう。
準々決勝では見事なプレーを見せたが、残り2試合は不本意な内容だった。チームを勝たせることができなかった、という複雑な思いを抱えながら終えたインカレ。しかしオールジャパンにはまだ大きな希望が残されている。
「間に合わせるって言っていたので」
高校時代からずっと憧れ続け、長南が大学でもバスケを頑張ろうと思うきっかけとなったチームメイトの長谷川 技(#99)。彼はリーグ戦で重症を負い、インカレ出場はかなわなかったが、オールジャパンには間に合うと言う。最後の大会で待ちわびた仲間とのバスケを楽しみ、とびきりのスマイルで大学バスケを終えてほしい。
―試合を終えて。
「準決勝、3位決定戦と、自分のミスが目立ってしまって負けてしまったように思います。それが自分の中で一番悔いが残っています。準々決勝を良い形勝ったので、良いイメージで試合に臨めたんですが、最後は体がついていかなかったかなって…。言い訳になってしまうんですが、拓大っていつも試合の2時間前には会場入りするんですが、今日は人身事故で会場についたのが50分前だったんです。アップも10分ちょいしかできなくて、なかなか体が動かない中でプレーに入ってしまいました。精神面的なものが一番大きいと思うんですけど、4年生としてチームを勝ちに結び付けられなかったことに悔いが残ります」
―準決勝、3位決定戦と拓殖大らしさが出なかったのが残念でしたね。
「そうですね。それは思いました。拓大の良いところである、走って、リバウンドに飛び込んで、思い切りシュートを打つというのは、チャレンジ精神を持っていないと出せないんですよ。でも、受け身になってしまいました」
―なぜ受け身になってしまったんでしょう?
「うーん…結果がソコソコついてきて、自信を持ち始めてしまったというところですかね、多分」
―拓殖大の試合展開として、どこかのQで必ず爆発する印象がありますが、それがこの2試合は見られませんでしたね。
「爆発的な部分を作るのは、ノブ(#94長谷川)の3Pが連続して入った時とか、自分がちょいちょいと、良いところで仕事して、ミドルを決めたのをきっかけに始まると思うんですよ。でも、試合を通してそれができませんでした。自分の責任です」
―インカレを通してタフなゲーム多かったですね。振り返っていかがですか?
「タフなゲームでも、『4Qで必ず勝つ!』っていう自信があったんですよ。でも今思うと、そこら辺からもう受け身になっていたのかなって思います。1、2、3Qは我慢して、4Qで勝つぞみたいな。そういう思いから受け身になりすぎて、1.2Qで離されてしまって、『あーっ』って言っているうちに負けてしまいました。それがいけなかったかなと思います」
―さて、今大会で大学バスケは一区切りとなります。4年間を振り返っていかがですか?
「正直、バスケは高校で辞めようと思っていたんです。でも、大学に進学してまたバスケをすることに決めました。Bチームからのスタートだったので、まさか自分が全国大会に出られるなんて思っていませんでした。そこはここまで育ててくれた仲間、監督、先輩方に感謝したいです。そして、自分に『お疲れ様』と言いたいですね。そして、これを糧に次のステージでしっかり結果を残せるように頑張りたいと思います」
―長南選手を初めて見た時は「シュートが上手い選手だな」という印象だったのですが、観ていくうちに「ディフェンスも上手なんだ」と気づきました。攻守で活躍できるのは素晴らしいですし、観ている人にもこう思った方は少なくないと思います。
「観ている人がどう思っているかについては、自分は知名度があまり高くないので、自分では何とも言えないんですけど(笑)。去年、金丸さん(金丸晃輔・現パナソニック)について、味方から『ナイスディフェンス!』って褒められることがありました。でも、やっぱり点を取られてしまって…。そこで色んなことを経験しました。ディフェンスすることの大事さもそうですけど、楽しさというか、やり方もわかってきて。試合出るためにはディフェンスも大事だなと思ってプレーしていました」
―2年前の新人戦の時に、長谷川技選手(#99)のことを「スター選手」と仰っていましたね。しかし今は同じフィールドに立ってバスケをしています。あの頃からこれまで、自分の成長についてはどう思っていますか?
「うーん…。同じフィールドで戦えて、その中で自分ができることが見つかりました。でも、やっぱり劣っている部分ばかりだなって未だに思います。準決勝で東海の満原(#0)とマッチアップしてみて、『やっぱりすごい選手だな』って本当に思いました。自分は能力が高いわけではないし、高さもないし、平凡な選手なので、どんなに努力しても彼らに追いつけるとは思えないですよ。でも、『自分のできることはあるのかな』って、そう思い始めています。自分のできることは限られていますが、そういうすごい選手が相手チームにいたとしても、うちにはいい選手がいるので、勝てるなと思ってプレーをしていました」
―憧れ続けていた長谷川技選手と一緒にプレーしたかったのではないですか?
「そうですね。でも、オールジャパンに(復帰を)間に合わせてくれるって言っていたので!4年生も全員残る予定なので、Bチームの人もそこで楽しくプレーして終われたらと思っています」
―長南選手はいつも笑顔でプレーしていますよね。その理由を教えて下さい。
「なんですかね?(笑)特に理由はないです。でも、辛そうにバスケしていてもつまらないなと思っています。それに笑っていた方が、運が味方してくれるかなって(笑)。自分も笑っていた方が精神的にも楽ですし、コートの雰囲気がよくなるかなと思って、笑うようにしていました」
―4年生として自分が後輩に残せたなと思うことはありますか?
「うーん…別の記者の方にも聞かれて色々考えたんですが、特にないと思います!自分が『何かを残せた』っていう自信はないですけど、後輩たちの中で何か残っていたらいいなって思っています」
―Bチームから這い上がって全国の舞台に立つことになったということはアピールポイントにはならないのでしょうか?
「アピールしておいた方がいいですかね?(笑)でも、自分はそんな風には思っていなくて。上杉(#26)とか佐々木(#11)がボックスアウトしてくれるから、自分はリバウンドが取れる。ディフェンスだってみんなの支えがあるからできるんです。シュートも、みんなの前では強気で『今日は決めるから!』って言いますけど、やっぱり味方のプレーがないと自分は活きないし、何もできないんですよ」
―謙虚な姿勢は前から変わらないですね。観ている方からすると、4年間でチームに必要不可欠な素晴らしいシックスマンになったなと心から思うのですが。
「もともと今シーズンはスタメンだと思ってプレーしていたんです。去年からみんなに言われていたし、新シーズンが始まってからしばらくはスタートでやっていたので。でも、京王杯の1、2週間前に達也(#1鈴木)がスタメンになって、それがフィットしたんですよね。さすがに京王杯の時はしょぼくれてました(笑)。でも、池内さんは自分のことを信頼して使ってくれました。そうなると、それに応えなきゃいけないなっていう気持ちになって…。冷静に試合を観ていると、自分の役割が見えてきたんです。前はノブ(#94長谷川)と変わることが多かったんですが、ハセ(#99長谷川)が怪我してからは4番ポジションで交替とか、祐眞(#40藤井)や達也と交替とか…色んなポジションで出るようになりました。どのポジションで出るとしても、どの組み合わせになるとしても、常にコートを観て、その時何が必要なのかを考えていました。今はシュートなのか、リバウンドなのか何なのかって。良いプレーできたのかはわからないですけど、チームの勝利に貢献できたときはそういうところが良かったのかなって思います。あとは、チームに足りないものを補えたらいいなって思ってやっていました。そうしていくうちに、例えば上の3人のディフェンスが機能しなくなったら、自分が入って点を決めて流れを変える、みたいな良いサイクルができてきたんです。そこから、自分が違和感なく“シックスマン”という立場を理解できて、その後に続いていくことができました」
―こうして自分を信頼して使い続けてくれた池内監督にはどのような言葉を伝えたいですか?
「拓大に入っていなかったら試合に出られていなかっただろうし、池内さんの下じゃなかったらここまで大きな舞台でプレーすることもなかったと思っています。池内さんは最高の恩師です」
―では、4年間を共に過ごしてきた仲間に対して、何かメッセージはありますか?
「一言でいうと『ありがとう』なんですけど…うーん…何て言ったらいいかな。一言、二言じゃ言えないですね。あぁ…………最近、涙もろくてダメです(苦笑)。最後、『勝ちたい!』っていう気持ちは、みんな一緒で、それが行動にも表れていて。出ている選手も出られない選手も、みんな同じ気持ちで盛り上げてくれて。自分はまとめる力もないし、声出すこともあまりしなかったですが…。最高のチームでやれたことに本当に感謝しています。『こんなにいいチームにしてくれてありがとう』と伝えたいです」
「4年間で最高の1年間だった」
『拓大復活』に大きく貢献
◆#26上杉翔(拓殖大・4年・PF)

準々決勝では早稲田大の久保田をうまく押さえたが、残りの2試合では上杉らしいプレーがなかなか出なかった。とはいえ、この2試合で全てを語るわけにもいかない。2部からスタートし、苦しい時代を経ての3位だ。特にここ2年の拓殖大は、常に相手にとって脅威のチームだったはずだ。頂点は逃したが、最後までそうした拓殖カラーを試合で発揮して欲しい。
―昨日と今日はだいぶ点差が離れてしまった分、悔しさがあると思いますが。
「そうですね。昨日も今日も自分たちのバスケができていなくて。自分たちのバスケ、点を取っていくスタイルとか、ディフェンスをしっかりやってからのブレイクだとかが持ち味ですけど、そういう面が出ていなくて。今日はパッシングのバスケもできなくて、この2日はドリブルが多くなって、そこで自分たちのミスが出て相手のブレイクが何本も出て点差が開いちゃって。そういう部分でやられてしまったかなと思いますね」
―身長差、サイズで劣っている分、限界もあったように感じますが……。
「……でも、なんだかんだでやれている部分もありましたし。高さで勝てない分、走ることが重要だと思うんで、大きい選手はそんなに体力が続かないので。そういう面で勝っていくとか、自分たちが勝っている部分を活かしていくのはできていた部分はあると思います」
―そういう意味では走るバスケットで好成績を残して、大学バスケットに一石を投じた部分も合うと思います。
「高さが無くても勝負できるというのは実証できたというか。小さいチームでもサイズの大きいチームに勝てるというのをみんなに伝えられたのかなと思いますね」
―タイトルは取れませんでしたが、今年の拓殖大は近年稀に見る好成績でした。今年の躍進の要因はどういうところでしょうか。
「自分たちは1年生の時に3部との入れ替え戦も味わっていて、そういう先輩たちのことを見てきていて、結果が残せている時は4年生同士でまとまっていて、すごく雰囲気が良いんですけど、成績が残せていない時は4年生がまとまっていなくて。今年の自分たちの学年は、みんなが仲が良くてまとまっているというのが強みなので、その部分が上手く結果に繋がったのかなと思います」
―インカレを臨むにあたって、4年生同士で話したりしたこともあると思いますが。
「4年生で、というかみんなで自分たちの走るバスケットを徹底してやろうというのを、みんなで確認しあってやってきましたね」
―昨日は試合後に涙がありましたが……。
「昨日は全然自分のプレイもできなくて、目標であった日本一の可能性が昨日断たれてしまって、『終わってしまった。日本一になれないんだな』という気持ちになって。悔しかったのもありますね」
―昨日は東海大にオフェンスもディフェンスも圧倒されました。
「そうですね。昨日は東海大はオフェンスもディフェンスも調子が良くて、自分たちも全然シュートが入らないし、逆に向こうはシュートが入るし。やられて全然歯が立たないというか……。それはものすごく悔しいですね」
―拓殖大でバスケットをやるのはあと僅かですが、その中で後輩たちに伝えていかなければならない部分があると思います。残り期間の練習でどういうことを伝えていきたいですか。
「プレー面はいいとして、練習中に池内さんとコミュニケーションをとったり、壮二郎さん(小野アシスタントコーチ)にも分からないことがあったらどんどん聞いていった方がいいなと、自分は思いますね。そういう部分は1年生や2年生は足りないと思うので、そういうのを増やしていけばコーチとの信頼関係も築けていけて、それが一番大事だと思いますね」
―今年は震災もあって、上杉選手も地元の福島県に大きな被害がありました。その中で一年間バスケットをやってきたのは色々と大変な部分があったと思いますが。
「地震があって、自分たちはここでバスケットをしていいのか、というのもありましたけど、こうやってやらせてもらっているんだから、自分らしく明るくやっていきたいなというのもありましたし、この1年間は4年間の中で最高の年だったので。一番結果が出て、自分たちは最後の年というのもあったので、そういう意味では良かったなと思います」
―オールジャパンに向けて。
「オールジャパンは、多分ハセ(長谷川 技)も最後に復帰できると思うので、最後はみんなで楽しく、明るくやりたいなと思います」
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