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2011.11.26 (Sat)
【2011インカレ】11/26 準決勝 青山学院大VS天理大
【青山学院大が天理大を振り切り決勝進出】
準々決勝で大東文化大を破った天理大は優勝候補青山学院大と対戦。1Qはシュートが好調でリードしたが、青山学院大は次第に高さと確実さでこれを凌駕し、85-59で勝利。決勝進出を決めた。
開始早々、青山学院大は#14辻(4年・SG)の3Pで会場の期待に応えると、天理大は##25平尾(4年・G)が#23劉(3年・C)に鮮やかなアシストパスを出し、これも会場をわかせる。続いて#56比江島(3年・SF)が軽やかにシュートを決めると#2大谷(4年・SG)が3Pを決め返すといった具合に、互いのエースの活躍に会場が沸いた。天理大は#25平尾が得点を牽引。ミドルシュート、ドライブにと奮闘を見せる。ディフェンスでは#14辻にボックスワンでマークマンをつけ、インサイドにもうまく勝負をさせない対応でこのQは19-20と1点のリード。互いに譲らない立ち上がりとなった。
2Q、青山学院大のミスが続く間に天理大は序盤の#2大谷の3Pで19-24。しかし天理大のファウルが続き、青山学院大はフリースローで逆転。さらには#56比江島がボールをカットしてからワンマン速攻でダンクを披露。天理大はすかさず#2大谷、#25平尾の3Pで傷を小さくするが、ゾーンディフェンスを攻略できず、青山学院大はオフェンスリバウンドから速攻を連発。#56比江島が2本目のダンクをリングに叩きつけると、次には#88張本(2年・PF)もダンクを見せ、このQで10点のリードを奪った。
後半はリードを得た青山学院大が有利に試合を進めた。天理大は外のシュートが入らなくなり、ゾーンディフェンスで対抗するが青学大に引き離されていく。また、インサイドの要である#23劉がファウル4となり、チームが機能しなくなる。4Qもそのまま青学大がリードを広げるが、天理大は最後は#25平尾も笑顔。青学大相手に勝負を楽しむようにプレーを続け、終盤には#5清水(4年・SF)とともに鮮やかなシュートを何本も決めて見せた。最終スコアは85-59。青山学院大が連覇に向け、実力を発揮して勝利した。
青山学院大・長谷川監督は決勝の相手、東海大について「昨日今日の東海さんの出来は凄い。まさしくピークです。明日は最初にあれをやらせたら負けます。そのまま乗っていっちゃうかもしれない」と要警戒のコメント。明治大戦が東海大に大きな影響をもたらしたとし、「満原・坂本・森田の4年生3人の東海は、うちより一枚上手かな、というのが正直なところ」と、自チームがスタメンの4年生ひとりなのに対し、東海大は4年生の影響力が強いことを認識。「4年生の気持ちが無いとダメ。『勝ちたい』という気持ちで上回れるか」と、最後の最後に闘志の発露こそ最大の勝利ポイントであることを強調した。
天理大は「最初はシュートが入ったので」と主将の濱田。青山学院大相手にはそう簡単なゲームはできなかったが、それでもここまでこられたことは大きい。「銅メダルを持って帰るのと、そうでないのとはぜんぜん違う」と言うように、最後は勝って終われるか。
写真上:2本のダンクを見せた比江島。決勝では東海大・田中との対戦が見所になるだろう。
写真下:平尾は30点。連日の奮闘で左足はテーピングでガチガチだったが、それでも数字を出している。
※青山学院大・辻選手、天理大・濱田選手、清水選手のインタビューは「続きを読む」へ。
「不安は集中したら関係ない」
試合の鍵を握る頼もしき3Pシューター
◆#14辻 直人(青山学院大・4年・SG)
この試合、6/9と高確率で3Pを決めた辻。怪我からインカレ直前に復帰してこの調子だというのだからその安定感は驚きだ。4年生になり最後のインカレとあって自身の気合いの入りようも違う。青山学院大の得点源の一人として、明日の試合も辻の活躍が鍵を握りそうだ。
―天理大と戦ってみていかがでしたか?
「前半向こうがボックスワンをやってきて、大学入ってからあまりそういうことが無かったので慣れて無くて、どうしたらええんやろって少し戸惑いました。でも自分がどうこうというより周りの4人が誰でも点取れるし、前半あんなに天理のシュートが入っても自分たちはついていけてたので良かったなと思います」
―ボックスワンでつかれて前半はあまり3Pを打てませんでしたが、後半はきっちり決めてきましたね。
「ああやってディフェンスが来てたから変に動いたら疲れてしまうと思ったし、この展開だったら後半勝負になってくるだろうなと思ったので、前半は結構休んでましたね(笑)。後半ああいう風に決められたので良かったです」
―天理大のシュートが落ちた時に次々ブレイクを出して流れを掴んだと思いますが。
「天理はハーフコートオフェンス中心なので、速い展開にして自分たちのペースに持って行こうとは試合前のミーティングから言われてたし、そういう展開を出せたからこそ点差を離すことが出来たと思います」
―辻選手はインカレ前に怪我をしていたということですが、試合勘が鈍るかも知れないという不安はありませんでしたか?
「それは大分ありましたね。インカレ前日に復帰するまでバスケ全然やってなかったですから。シューティングはしてたんですけどバスケの動きはまともに練習してなかったので、インカレが始まる時はすごく不安でした。でもそういう不安って集中したら関係ないと思うし、そこは集中力次第ですね」
―ではそこまで怪我の影響はないという事ですか?
「そうですね。バスケの感覚としてはもう普通に怪我する前の感覚に戻ったと思いますし、シュートに関しては本当に集中力次第なのでそこは明日も継続してやっていきたいです」
―準々決勝では中央大に追い上げられる場面もありましたが、課題はどういった部分ですか?
「昨日までの試合は自分たちに必死さがなかったと思うし、何もできんでも個人で点取れるやろって甘えがどこかにあったと思います。そういった面で昨日の中央戦は本当にダメな試合だったから、今日のミーティングで『そういうの無しにして、東海に負けた時の事を思い出して戦おう』と言いました。そしたらみんな気合いが入って、昨日と今日とでは全然違う試合内容だったと思います」
―4年生になりこれが最後のインカレですが、やはり今までのインカレとは違うものですか?
「そうですね、全然違います。去年は4年生が引っ張ってくれていたので自分はイケイケで自分の役割をするだけだったんですけど、今年はチームが最後ということで絶対に勝ちたいという気持ちが強いですし、後輩たちにも自分たちについて来て欲しいと思ってます。そういう気持ちが全面に出たプレーが明日は出ると思います」
―長谷川監督がリーグ戦では『4年生がチームを引き締められていない』と仰っていましたが。
「そこは本当にできてない事だし、昨日もそうだったと思います。でも自分も昨日すごく考えて今日のミーティングでみんなに話して今日こういう結果を出せたので、チーム的に昨日と今日で変われたかなという実感はあります。チームの調子も上がっていると思うし、この勢いで明日も臨めるよう4年がしっかり引っ張っていきたいです」
―決勝の相手が東海大ということで、やはり燃えるものですか?
「そりゃ燃えますよね。そこで空回りしないように気をつけないと。いつも通り自分たちのプレーができたら絶対に結果はついてくると思うので、熱くなりすぎないよう意識したいです」
―では決勝への意気込みを。
「東海は今まで接戦を勝ち抜いてるからその分強みはあると思うんですけど、自分らも接戦の経験がない訳ではないし、逆にインカレは点差を離して勝った試合が多いから決勝でも点差を離す気持ちで臨みたいと思います。東海相手に離して勝てたら本当に全部のチームにちゃんと勝って優勝した気持ちになれると思うし、絶対気持ちいいので。絶対勝ちます」
いろんな改革を経て少しずつよくなったチーム
「まだ甘いけど少しずつ成長してきた」
◆#3濱田佳祐(天理大・4年・PG)
とにかくバスケットが好きな様子が伝わってくる。好きだから勝ちたい、勝ちたいためにはどうするといったことをチームメイトみんなで考え、前に進んできたからこそのこのベスト4ではないだろうか。上級生で話し合い、練習もこれまで以上にして、そして下級生に対しても「違う視点から話を聞くことで気づくこともある」と積極的にコミュニケーションに取り組んだ。「まだまだ」と何回も繰り返したが、平尾とともに強いリーダーシップを感じさせてくれる天理大の要だ。
―前半はまあまあ戦えたと思いますが、振り返っていかがですか?
「今日は辻選手をボックスで押さえてゾーンで守る、こっちはディレイドでオフェンスの回数を押さえていくということでした。最初は自分たちのシュートが入っていたのでちょっと良すぎたかなと思います。でもそれで崩れないのが青学さんであって、ゾーンも攻略されましたし、その次の手が自分たちになかったし、コミュニケーションがなくてブレイクでダンクを3本いかれてしまったのが悔やまれます」
―チーム的には終始声も出て天理らしいカラーは出ていたと思いますが。
「勝ちたかったので昨日のミーティングでも“絶対に名前負けしない”というのが出て、でも逆に気持ちが入りすぎてディレイドでも早くシュートを打ち過ぎたり、そういうところでブレイクも出されてしまいました。ちょっと気負いすぎたのはあると思います。もっと冷静にやっていたらもっと戦えていたのにと思います。そこは後悔です」
―チームのことについてですが、昨日の記者会見でも勝つために求めてきたという話をされていましたね。それはやはり昨年のインカレで関東学院大に負けてしまったのが一番大きなきっかけですか?
「去年は自分たちは関西も西日本も全部タイトルを取れていたので、ベスト4に入れると思っていました。その時は2回戦からのスカウティングの方に力を入れていて、1回戦の関東学院大もしていたとはいえ、甘かったと思います。もっと準備していれば良かったし、悔いが残ったので終わった後でみんなで何が悪かったのかチーム的にも個人的にも改善するべきことはなんなのかといろいろ話しあいました。そこで上級生が本音で話しあえて一戦一戦頑張っていこうと。だから今年は一回戦から一戦一戦集中していました。一回戦の九州東海大、次の筑波、大東大、青学とつながってきたと思います。去年の負けがそういう意味でいいモチベーションにはなっています」
―天理大というと、これまでは賑やかで明るくというのが先にあって、でも今年はそれだけではない真剣味を感じるようなところもあって、少し印象が変わったなという感じがしたのですが。
「自分たちが下級生の時はちょっと軽い感じで、ヘラヘラしたところがありました。練習中からガツガツいって、自主練もウエイトも走り込みも頑張るというのがなかったんです。そういうのを1日1日を大切にしないといけないとみんなで話して、毎日5対5をするんですが、必死にやりあって、ケンカになるんじゃないかと思うくらい激しくやることもあったし、シュートが入らなかったらその日は帰らずにシューティングしたりとか、授業がなければ1日ずっとシューティングをしていた選手もいます。そういう風にやって真剣なところは真剣に、ふざけてやるところは楽しくやろうと、メリハリをつけようと今シーズンのチーム結成時に話してやってきました」
―では、そういう面で一体になれたのが良かったのですか?
「でもまだ甘いと思います。だから今日も途中からヘラヘラしたり、関西リーグでもケガ人や下級生が多かったことがあったとしても負けてしまいました。でも僕と平尾が練習中にガンガン怒るんですけど、それを下級生が嫌がらずに正面を向いてついてきてくれたのがプラスになったと思います」
―濱田選手もずっと声を出して、指示もしていますよね。
「出たがりなので本当は試合に出て表現するのが一番ですが、でも出てない時も貢献できると思っているし、自分で言うのもなんですが、結構慕われているんです(笑)。だから試合中みんなどうすればいいか聞いてきますし、自分もそれに答えるし、スカウティングも自分で取り組んで監督やコーチと一緒にビデオを見てまとめています。自分がチームをまとめてやろう、強くしてやろう、自分がキャプテンになった訳だから絶対に負けないぞと思って取り組んできたから、やれたんじゃなかと思います」
―平尾選手が濱田選手は一番バスケットを知っている選手だから、と言っていました。
「自分はミニバスは福岡の戸畑で全中などにも出ていましたし、東芝の山下選手が先輩にいたりして強かったんです。そういうところでやってきているから知識もあるし、自分もバスケットが好きだからビデオでNCAAを見たりNBAを見たり、すごい勉強してきたとも言えます。子どもなりに見ながらいろんなことを学んできましたね。天理に来て最初はちょっとこれまでとは違うスタイルに悩んだんですが、先生もアメリカで学んできてディヴィジョン1の方法を取り入れたりして、やることは難しいんですが、すごく勉強になりました。先生にアメリカのビデオを貸してもらったりして見てきたし、また、気軽に話せる仲でもあるので、そうしたみたビデオのすごかった内容についても話したりしてもいます。そうやってやってきたことが試合中などの指示につながっていると思いますね」
―確かにセットオフェンスは昨年と違いましたね。
「サンバがいなくなったので、周りが動くようになりました。去年はスタンディングをしてサンバに入れて、多分見ていると面白くないと思うんですけど楽々のバスケをしていました。今年はガードやフォワードも活かしていくようになりましたね」
―この4年間を振り返っていかがですか?
「自分としては満足はしてないですけど、成長しました。家族や周りの支えも大きい4年間でした。練習もめっちゃしたからみんなもついてきてくれたし、ありがたいです。ケガも多くてなかなか試合に出られないことも多かったんです。自分がプレーしたいというのがあったので悔しかったけど、その中でも頭を働かせることはできるじゃないですか。こういうことをすれば雰囲気が良くなるんだとか、チームが良くなるようにやってきました。満足はあまりしたくないけど、折れずにやってこられたことについては、自分を褒めたいと思います。ケガをして苦しかった時もありますが、今年はサンバからも毎回連絡がきて『頑張れよ』と言ってくれました。だからサンバのためにやってやらないと、と思う気持ちは強かったですね。去年サンバ以外は下級生主体のチームでプレーして負けたことがあったので申し訳なかったですし。だから今年1年間は結果を残そうとしてみんなが本当に頑張りました。そうしたら下級生もついてきてくれて。それで徐々にいいチームになってきました。まだ完璧じゃないですけど」
―では最終戦に向けて意気込みを。
「さっきミーティングでも言ったんですが、銅メダルを持って帰るのとただで帰るのはぜんぜん違うと思うので、明日は死ぬ気で頑張ってぜひ3位に入賞して、天理に勝ち誇って帰りたいと思います。勝って逃げないと面白くないですからね!」
「チームとして今年一番の調子」
1年かけてようやく完成してきたチームの形
◆#5清水陽平(天理大・4年・SF)
#25平尾、#2大谷とともに下級生の頃から試合に絡んでいる清水。「今シーズンずっと調子が悪い」と自身の不調に悩む部分もあるが、それでも最後に思い切りのいいプレーを見せて味方を沸かせた。サンバが抜けてなかなか勝てない状況を、あれこれ話し合って考えながら乗り越えてきた天理大。そんな4回生を中心とする選手たちの勝ちたい想いが、このインカレと言う舞台でようやく最高の形となって発揮されている。4回生の気迫には並々ならぬものがある。残りの1試合も天理らしく、明るい雰囲気で思い切りよく戦ってほしい。
―青山学院大と戦ってみていかがでしたか?
「技術だったり速さだったりがすごくて、全てのポジションで質が違いました。完敗でしたね」
―それでも前半までは互角の戦いでしたが。
「そうですね。ビデオを見てスカウティングして、得点源の辻(#14)や比江島(#56)を抑えようという事で辻をフェイスガードで守ったんです。それが上手く機能して最初は相手のミスを誘えたんですが、相手も対応が上手くて対策されて、後半は走られて点差を開かれてしまいました。それに僕たちが監督の指示通りにできなかったのが敗因だと思います」
―指示通りにできなかったとは?
「相手に走られないようにオフェンスリバウンドには行くなということだったんですけど、僕が行ってしまったりして簡単に走られて。あとはオフェンスでできるだけゆっくり時間を使って攻めなきゃいけなかったのに、早く打ってしまった時もありましたね」
―清水選手はインカレを通してあまり調子が良くないように思うんですが、今日は最後の方で良さも出ましたね。
「僕自身、今シーズンはずっと調子悪くてチームに迷惑を掛けてしまっているんです。でもシュート以外にも自分ができる事をやろうと思って、ドライブだったりアシストだったりディフェンスを頑張ることだったり、シュートが入らなくてもそういうのを頑張ろうと意識しています」
―試合の最後の方は一対一で会場を沸かせましたね。
「最後の方はもう点差も離れてしまったので、自分たち4回生が積極的に攻めてチームを盛り上げようという感じでした。それで自分も最後は少し我を出して一対一を仕掛けて。でも最後にレイアップを外してしまったのはすみませんって感じでしたね(苦笑)」
―本当に試合の最後まで楽しそうに盛り上がって、天理らしい試合の終え方だったと思いますが。
「そうですね。やっぱり天理自体、楽しくバスケをしようというのが僕が1年生の頃からあるカラーなので。インカレで後悔しないためにはみんな思い切ってやることと周りも声を出して楽しく戦うことが大事で、それが天理らしさかなと思います。みんなで声を出して盛り上げて戦うことに関してはどこのチームにも負けないですね」
―筑波大、大東文化大と関東の上位校を破って勢いに乗っていますね。
「僕らの代は1年生の時から試合に出てたんですが、今年4回生になって本当に最後だし、4回生みんなでチームをまとめようと高い意識でインカレの前からすごく頑張ってきました。それで一回戦の東海大九州から上手くいって、チームとして今年一番の調子になったと思います。そこからその勢いで筑波も大東も倒せた感じですね」
―サンバ選手が抜けて、どうしたら勝てるか皆で考えながらチームを作ってきたとお聞きしました。
「サンバが抜けてからインサイドであまり戦えなくなったし、僕たちがそれまでサンバに頼りすぎてたこともあって関西でもなかなか勝てなかったんです。でもキャプテンの濱田(#3)を中心に4回生で、試合で負けた時には誰かの家に集まって『どうすればええんやろ』って自分たちで語り合って、ここはこうした方がいいんじゃないかとかあれが駄目だったとか一人ひとりちゃんと意見を出して話し合ってきました。それでこうやって最後の最後でチームとして一つにまとまれたことが僕自身すごく嬉しいし、4回生みんなに感謝したいです」
―明日はどんな風に戦っていきたいですか?
「もう4回生は本当にインカレ最後なので、出てないメンバーの人たちの為にも頑張りたいです。僕自身調子はあまり良くないんですが、思い切ってやっていきたいなと思います」

開始早々、青山学院大は#14辻(4年・SG)の3Pで会場の期待に応えると、天理大は##25平尾(4年・G)が#23劉(3年・C)に鮮やかなアシストパスを出し、これも会場をわかせる。続いて#56比江島(3年・SF)が軽やかにシュートを決めると#2大谷(4年・SG)が3Pを決め返すといった具合に、互いのエースの活躍に会場が沸いた。天理大は#25平尾が得点を牽引。ミドルシュート、ドライブにと奮闘を見せる。ディフェンスでは#14辻にボックスワンでマークマンをつけ、インサイドにもうまく勝負をさせない対応でこのQは19-20と1点のリード。互いに譲らない立ち上がりとなった。
2Q、青山学院大のミスが続く間に天理大は序盤の#2大谷の3Pで19-24。しかし天理大のファウルが続き、青山学院大はフリースローで逆転。さらには#56比江島がボールをカットしてからワンマン速攻でダンクを披露。天理大はすかさず#2大谷、#25平尾の3Pで傷を小さくするが、ゾーンディフェンスを攻略できず、青山学院大はオフェンスリバウンドから速攻を連発。#56比江島が2本目のダンクをリングに叩きつけると、次には#88張本(2年・PF)もダンクを見せ、このQで10点のリードを奪った。

青山学院大・長谷川監督は決勝の相手、東海大について「昨日今日の東海さんの出来は凄い。まさしくピークです。明日は最初にあれをやらせたら負けます。そのまま乗っていっちゃうかもしれない」と要警戒のコメント。明治大戦が東海大に大きな影響をもたらしたとし、「満原・坂本・森田の4年生3人の東海は、うちより一枚上手かな、というのが正直なところ」と、自チームがスタメンの4年生ひとりなのに対し、東海大は4年生の影響力が強いことを認識。「4年生の気持ちが無いとダメ。『勝ちたい』という気持ちで上回れるか」と、最後の最後に闘志の発露こそ最大の勝利ポイントであることを強調した。
天理大は「最初はシュートが入ったので」と主将の濱田。青山学院大相手にはそう簡単なゲームはできなかったが、それでもここまでこられたことは大きい。「銅メダルを持って帰るのと、そうでないのとはぜんぜん違う」と言うように、最後は勝って終われるか。
写真上:2本のダンクを見せた比江島。決勝では東海大・田中との対戦が見所になるだろう。
写真下:平尾は30点。連日の奮闘で左足はテーピングでガチガチだったが、それでも数字を出している。
※青山学院大・辻選手、天理大・濱田選手、清水選手のインタビューは「続きを読む」へ。
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【INTERVIEW】「不安は集中したら関係ない」
試合の鍵を握る頼もしき3Pシューター
◆#14辻 直人(青山学院大・4年・SG)

―天理大と戦ってみていかがでしたか?
「前半向こうがボックスワンをやってきて、大学入ってからあまりそういうことが無かったので慣れて無くて、どうしたらええんやろって少し戸惑いました。でも自分がどうこうというより周りの4人が誰でも点取れるし、前半あんなに天理のシュートが入っても自分たちはついていけてたので良かったなと思います」
―ボックスワンでつかれて前半はあまり3Pを打てませんでしたが、後半はきっちり決めてきましたね。
「ああやってディフェンスが来てたから変に動いたら疲れてしまうと思ったし、この展開だったら後半勝負になってくるだろうなと思ったので、前半は結構休んでましたね(笑)。後半ああいう風に決められたので良かったです」
―天理大のシュートが落ちた時に次々ブレイクを出して流れを掴んだと思いますが。
「天理はハーフコートオフェンス中心なので、速い展開にして自分たちのペースに持って行こうとは試合前のミーティングから言われてたし、そういう展開を出せたからこそ点差を離すことが出来たと思います」
―辻選手はインカレ前に怪我をしていたということですが、試合勘が鈍るかも知れないという不安はありませんでしたか?
「それは大分ありましたね。インカレ前日に復帰するまでバスケ全然やってなかったですから。シューティングはしてたんですけどバスケの動きはまともに練習してなかったので、インカレが始まる時はすごく不安でした。でもそういう不安って集中したら関係ないと思うし、そこは集中力次第ですね」
―ではそこまで怪我の影響はないという事ですか?
「そうですね。バスケの感覚としてはもう普通に怪我する前の感覚に戻ったと思いますし、シュートに関しては本当に集中力次第なのでそこは明日も継続してやっていきたいです」
―準々決勝では中央大に追い上げられる場面もありましたが、課題はどういった部分ですか?
「昨日までの試合は自分たちに必死さがなかったと思うし、何もできんでも個人で点取れるやろって甘えがどこかにあったと思います。そういった面で昨日の中央戦は本当にダメな試合だったから、今日のミーティングで『そういうの無しにして、東海に負けた時の事を思い出して戦おう』と言いました。そしたらみんな気合いが入って、昨日と今日とでは全然違う試合内容だったと思います」
―4年生になりこれが最後のインカレですが、やはり今までのインカレとは違うものですか?
「そうですね、全然違います。去年は4年生が引っ張ってくれていたので自分はイケイケで自分の役割をするだけだったんですけど、今年はチームが最後ということで絶対に勝ちたいという気持ちが強いですし、後輩たちにも自分たちについて来て欲しいと思ってます。そういう気持ちが全面に出たプレーが明日は出ると思います」
―長谷川監督がリーグ戦では『4年生がチームを引き締められていない』と仰っていましたが。
「そこは本当にできてない事だし、昨日もそうだったと思います。でも自分も昨日すごく考えて今日のミーティングでみんなに話して今日こういう結果を出せたので、チーム的に昨日と今日で変われたかなという実感はあります。チームの調子も上がっていると思うし、この勢いで明日も臨めるよう4年がしっかり引っ張っていきたいです」
―決勝の相手が東海大ということで、やはり燃えるものですか?
「そりゃ燃えますよね。そこで空回りしないように気をつけないと。いつも通り自分たちのプレーができたら絶対に結果はついてくると思うので、熱くなりすぎないよう意識したいです」
―では決勝への意気込みを。
「東海は今まで接戦を勝ち抜いてるからその分強みはあると思うんですけど、自分らも接戦の経験がない訳ではないし、逆にインカレは点差を離して勝った試合が多いから決勝でも点差を離す気持ちで臨みたいと思います。東海相手に離して勝てたら本当に全部のチームにちゃんと勝って優勝した気持ちになれると思うし、絶対気持ちいいので。絶対勝ちます」
いろんな改革を経て少しずつよくなったチーム
「まだ甘いけど少しずつ成長してきた」
◆#3濱田佳祐(天理大・4年・PG)

―前半はまあまあ戦えたと思いますが、振り返っていかがですか?
「今日は辻選手をボックスで押さえてゾーンで守る、こっちはディレイドでオフェンスの回数を押さえていくということでした。最初は自分たちのシュートが入っていたのでちょっと良すぎたかなと思います。でもそれで崩れないのが青学さんであって、ゾーンも攻略されましたし、その次の手が自分たちになかったし、コミュニケーションがなくてブレイクでダンクを3本いかれてしまったのが悔やまれます」
―チーム的には終始声も出て天理らしいカラーは出ていたと思いますが。
「勝ちたかったので昨日のミーティングでも“絶対に名前負けしない”というのが出て、でも逆に気持ちが入りすぎてディレイドでも早くシュートを打ち過ぎたり、そういうところでブレイクも出されてしまいました。ちょっと気負いすぎたのはあると思います。もっと冷静にやっていたらもっと戦えていたのにと思います。そこは後悔です」
―チームのことについてですが、昨日の記者会見でも勝つために求めてきたという話をされていましたね。それはやはり昨年のインカレで関東学院大に負けてしまったのが一番大きなきっかけですか?
「去年は自分たちは関西も西日本も全部タイトルを取れていたので、ベスト4に入れると思っていました。その時は2回戦からのスカウティングの方に力を入れていて、1回戦の関東学院大もしていたとはいえ、甘かったと思います。もっと準備していれば良かったし、悔いが残ったので終わった後でみんなで何が悪かったのかチーム的にも個人的にも改善するべきことはなんなのかといろいろ話しあいました。そこで上級生が本音で話しあえて一戦一戦頑張っていこうと。だから今年は一回戦から一戦一戦集中していました。一回戦の九州東海大、次の筑波、大東大、青学とつながってきたと思います。去年の負けがそういう意味でいいモチベーションにはなっています」
―天理大というと、これまでは賑やかで明るくというのが先にあって、でも今年はそれだけではない真剣味を感じるようなところもあって、少し印象が変わったなという感じがしたのですが。
「自分たちが下級生の時はちょっと軽い感じで、ヘラヘラしたところがありました。練習中からガツガツいって、自主練もウエイトも走り込みも頑張るというのがなかったんです。そういうのを1日1日を大切にしないといけないとみんなで話して、毎日5対5をするんですが、必死にやりあって、ケンカになるんじゃないかと思うくらい激しくやることもあったし、シュートが入らなかったらその日は帰らずにシューティングしたりとか、授業がなければ1日ずっとシューティングをしていた選手もいます。そういう風にやって真剣なところは真剣に、ふざけてやるところは楽しくやろうと、メリハリをつけようと今シーズンのチーム結成時に話してやってきました」
―では、そういう面で一体になれたのが良かったのですか?
「でもまだ甘いと思います。だから今日も途中からヘラヘラしたり、関西リーグでもケガ人や下級生が多かったことがあったとしても負けてしまいました。でも僕と平尾が練習中にガンガン怒るんですけど、それを下級生が嫌がらずに正面を向いてついてきてくれたのがプラスになったと思います」
―濱田選手もずっと声を出して、指示もしていますよね。
「出たがりなので本当は試合に出て表現するのが一番ですが、でも出てない時も貢献できると思っているし、自分で言うのもなんですが、結構慕われているんです(笑)。だから試合中みんなどうすればいいか聞いてきますし、自分もそれに答えるし、スカウティングも自分で取り組んで監督やコーチと一緒にビデオを見てまとめています。自分がチームをまとめてやろう、強くしてやろう、自分がキャプテンになった訳だから絶対に負けないぞと思って取り組んできたから、やれたんじゃなかと思います」
―平尾選手が濱田選手は一番バスケットを知っている選手だから、と言っていました。
「自分はミニバスは福岡の戸畑で全中などにも出ていましたし、東芝の山下選手が先輩にいたりして強かったんです。そういうところでやってきているから知識もあるし、自分もバスケットが好きだからビデオでNCAAを見たりNBAを見たり、すごい勉強してきたとも言えます。子どもなりに見ながらいろんなことを学んできましたね。天理に来て最初はちょっとこれまでとは違うスタイルに悩んだんですが、先生もアメリカで学んできてディヴィジョン1の方法を取り入れたりして、やることは難しいんですが、すごく勉強になりました。先生にアメリカのビデオを貸してもらったりして見てきたし、また、気軽に話せる仲でもあるので、そうしたみたビデオのすごかった内容についても話したりしてもいます。そうやってやってきたことが試合中などの指示につながっていると思いますね」
―確かにセットオフェンスは昨年と違いましたね。
「サンバがいなくなったので、周りが動くようになりました。去年はスタンディングをしてサンバに入れて、多分見ていると面白くないと思うんですけど楽々のバスケをしていました。今年はガードやフォワードも活かしていくようになりましたね」
―この4年間を振り返っていかがですか?
「自分としては満足はしてないですけど、成長しました。家族や周りの支えも大きい4年間でした。練習もめっちゃしたからみんなもついてきてくれたし、ありがたいです。ケガも多くてなかなか試合に出られないことも多かったんです。自分がプレーしたいというのがあったので悔しかったけど、その中でも頭を働かせることはできるじゃないですか。こういうことをすれば雰囲気が良くなるんだとか、チームが良くなるようにやってきました。満足はあまりしたくないけど、折れずにやってこられたことについては、自分を褒めたいと思います。ケガをして苦しかった時もありますが、今年はサンバからも毎回連絡がきて『頑張れよ』と言ってくれました。だからサンバのためにやってやらないと、と思う気持ちは強かったですね。去年サンバ以外は下級生主体のチームでプレーして負けたことがあったので申し訳なかったですし。だから今年1年間は結果を残そうとしてみんなが本当に頑張りました。そうしたら下級生もついてきてくれて。それで徐々にいいチームになってきました。まだ完璧じゃないですけど」
―では最終戦に向けて意気込みを。
「さっきミーティングでも言ったんですが、銅メダルを持って帰るのとただで帰るのはぜんぜん違うと思うので、明日は死ぬ気で頑張ってぜひ3位に入賞して、天理に勝ち誇って帰りたいと思います。勝って逃げないと面白くないですからね!」
「チームとして今年一番の調子」
1年かけてようやく完成してきたチームの形
◆#5清水陽平(天理大・4年・SF)

―青山学院大と戦ってみていかがでしたか?
「技術だったり速さだったりがすごくて、全てのポジションで質が違いました。完敗でしたね」
―それでも前半までは互角の戦いでしたが。
「そうですね。ビデオを見てスカウティングして、得点源の辻(#14)や比江島(#56)を抑えようという事で辻をフェイスガードで守ったんです。それが上手く機能して最初は相手のミスを誘えたんですが、相手も対応が上手くて対策されて、後半は走られて点差を開かれてしまいました。それに僕たちが監督の指示通りにできなかったのが敗因だと思います」
―指示通りにできなかったとは?
「相手に走られないようにオフェンスリバウンドには行くなということだったんですけど、僕が行ってしまったりして簡単に走られて。あとはオフェンスでできるだけゆっくり時間を使って攻めなきゃいけなかったのに、早く打ってしまった時もありましたね」
―清水選手はインカレを通してあまり調子が良くないように思うんですが、今日は最後の方で良さも出ましたね。
「僕自身、今シーズンはずっと調子悪くてチームに迷惑を掛けてしまっているんです。でもシュート以外にも自分ができる事をやろうと思って、ドライブだったりアシストだったりディフェンスを頑張ることだったり、シュートが入らなくてもそういうのを頑張ろうと意識しています」
―試合の最後の方は一対一で会場を沸かせましたね。
「最後の方はもう点差も離れてしまったので、自分たち4回生が積極的に攻めてチームを盛り上げようという感じでした。それで自分も最後は少し我を出して一対一を仕掛けて。でも最後にレイアップを外してしまったのはすみませんって感じでしたね(苦笑)」
―本当に試合の最後まで楽しそうに盛り上がって、天理らしい試合の終え方だったと思いますが。
「そうですね。やっぱり天理自体、楽しくバスケをしようというのが僕が1年生の頃からあるカラーなので。インカレで後悔しないためにはみんな思い切ってやることと周りも声を出して楽しく戦うことが大事で、それが天理らしさかなと思います。みんなで声を出して盛り上げて戦うことに関してはどこのチームにも負けないですね」
―筑波大、大東文化大と関東の上位校を破って勢いに乗っていますね。
「僕らの代は1年生の時から試合に出てたんですが、今年4回生になって本当に最後だし、4回生みんなでチームをまとめようと高い意識でインカレの前からすごく頑張ってきました。それで一回戦の東海大九州から上手くいって、チームとして今年一番の調子になったと思います。そこからその勢いで筑波も大東も倒せた感じですね」
―サンバ選手が抜けて、どうしたら勝てるか皆で考えながらチームを作ってきたとお聞きしました。
「サンバが抜けてからインサイドであまり戦えなくなったし、僕たちがそれまでサンバに頼りすぎてたこともあって関西でもなかなか勝てなかったんです。でもキャプテンの濱田(#3)を中心に4回生で、試合で負けた時には誰かの家に集まって『どうすればええんやろ』って自分たちで語り合って、ここはこうした方がいいんじゃないかとかあれが駄目だったとか一人ひとりちゃんと意見を出して話し合ってきました。それでこうやって最後の最後でチームとして一つにまとまれたことが僕自身すごく嬉しいし、4回生みんなに感謝したいです」
―明日はどんな風に戦っていきたいですか?
「もう4回生は本当にインカレ最後なので、出てないメンバーの人たちの為にも頑張りたいです。僕自身調子はあまり良くないんですが、思い切ってやっていきたいなと思います」
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テーマ : バスケットボール(日本) - ジャンル : スポーツ
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