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2011.11.21 (Mon)
【2011インカレ】11/21レポート(1回戦)
日本一を決めるインカレが開幕
初戦は固さも見えたが、順当に上位が勝ち上がる
東日本大震災被災地復興支援と銘打たれた第63回全日本大学バスケットボール選手権大会が、男子は国立代々木競技場第二体育館で幕を開けた。今年は女子と共催ということもあり、墨田区総合体育館と2会場を使い分ける。これまでと異なる点は、例年8位まで順位決めを行なってきた順位決定戦は3位決定戦までしか行われず、ベスト4以下のチームは最終日まで残ることなくインカレの舞台を去る形になる。
初日は第1シードの青山学院大を始め、10チームが1回戦に臨んだ。東海大学九州(九州2位)対天理大(関西2位)、筑波大(関東5位)対札幌大(北海道1位)、専修大(関東8位)対徳山大(中国2位)の対戦はいずれも100点ゲーム。天理大、筑波大、専修大が勝利し、力の差が大きく出た試合となった。天理大は#2大谷(4年・SG)が3P8本を決める活躍を見せた。青山学院大(関東1位)は#14辻(4年・SG)をほぼ温存したが同志社大(関西4位)を寄せ付けずダブルスコアで下した。日本経済大(九州3位)対大東文化大(関東4位)は立ち上がりに苦戦した日本経済大が敗れるも、あとわずかと迫る場面もあった。
【ファウルでリズムを崩した札幌大に筑波大が快勝】
関東5位の筑波大と北海道1位の札幌大の対戦は、要所で連続得点を奪った筑波大が121-48と快勝で一回戦を突破した。
1Qの中盤までは互角の戦いが見られた。立ち上がりリードしたのは筑波大だったが、息の合った連係から札幌大は#11栃本(2年・C)や#5佐藤(1年・C・能代商業)が得点を重ねて追い上げ、9-10と開始4分経って逆転に成功。しかしここから次々ファウルを吹かれて勢いを絶たれ、これを好機とした筑波大がフリースローから着実に得点を伸ばした。すると筑波大は足も動くようになり、激しい守りで再三ターンオーバーを奪う。2Q序盤には#34田渡(4年・PG)や#32武藤(2年・C)で走る展開を次々出して一気に札幌大を置き去りにし、20点以上の差をつけてあとは余裕の展開となった。札幌大は軽快なパスワークからミドルシュートを決めていく良い場面もあったが、得点の長く止まる時間帯も。しかもファウルがかさみ、3Q中盤の時点でスタメンのうち3人が4ファウルと苦しい状況になった。逆に筑波大はトランジションゲームで楽に得点を積み重ね、#50梅津(3年・C)らのブロックショットも活きて差をさらに広げた。勝負がほぼ決した終盤は、互いにベンチメンバーを積極的に起用。控えのメンバーもしっかりと仕事を果たして試合を盛り上げ、タイムアップとなった。
札幌大は最後まで流れを引き戻せず悔しい敗退。主将の#9近藤も「普段練習でやってることを出せなかった」と悔しげにコメントした。しかしスタメンのうち4人が1・2年生とチームはまだ若い。佐久本ヘッドコーチが指導について3期目。年々良い部分も見えてきており、さらなる成長を期待したい。一方の筑波大は欠場した#99加納(4年・CF・199)以外のメンバーが全員出場し、気持ちのいい勝ち方で初戦を終えた。次の天理大戦にも注目したい。
写真:優勝に向け、主将の田渡がリーダーシップを発揮できるかにも注目。
【日本経済大が盛り返しを見せるも大東文化大が一回戦突破】
九州3位の日本経済大と関東4位の大東文化大の戦いは、1Qの出足で堅さが出た日本経済大が追い上げる場面も見せたが届かず終わった。日本経済大は序盤からシュートを打っていくが、これがなかなか決まらない。「相当緊張してのまれていた」と片桐監督。シュート自体の本数はだいぶ放ったが、ことごとく決まらず1Qはわずか4点。しかし一方の大東文化大もインサイドは#43鎌田(3年・C)が#26サンブ(1年・C・八王子)に阻まれる場面もあり、思うような展開とはならない。4-16とともにロースコアな立ち上がりとなった。
2Qになり、互いにようやくリズムが出てくる。日本経済大は#1古野(1年・PG・福岡第一)が積極的に得点を取りに行き、#9中嶋(2年・PG)の3Pも出る。ディフェンスでは#14岸本(3年・G)を囲んでターンオーバーを奪う場面も見せた。大東大は一気にエンジンがかかるという調子ではないが#85大久保(3年・SG)や#37草野(4年・F)の3Pなどもあってリードは保ち、26-36の10点リードで前半を終える。
3Qは大東大がややリード。#11田中(4年・PG)の3P、#75和田(3年・G)もベンチスタートで思い切りのいいプレーを見せる。しかし4Qに入り、大東大の確率が悪い時間帯に日本経済大も粘り、#6北薗(3年・PF)のシュートで52-60と8点差にまで追い上げる。だがタイムアウトを取った大東大は#15遠藤(4年・PG)の3Pでこの追撃の芽を摘むと、ここからは日本経済大も追い上げることができず52-68で試合終了。大東大が1回戦を突破した。
「イージーシュートを落としてしまった」と日本経済大の片桐監督。1Qに4点しか取れなかったことが最後まで響いた。インカレ出場は昨年に続き2度目。昨年は1Qで筑波大を27-8と圧倒したが、今回の出足はその逆となった。とはいえ、昨年のインカレに出場したメンバーで残るのは2名のみ。監督は少ない4年生がチームをまとめてくれたことを評価しつつも「今年はほとんどが1、2年で、こうした舞台で力が発揮できなかった」と悔しい表情。しかしそうした選手がここで経験を積めたのは大きいはず。「まずは九州1位になって来ないと」と言う言葉をぜひ実現して欲しい。
写真:鎌田とサンブの対決。ともに攻守で見せ合う部分があった。
※札幌大・近藤選手、天理大・大谷選手のインタビュー、各試合の写真は「続きを読む」へ。
「チームをまとめることや気を配ることは大変だった」
上級生が少ないことの難しさを痛感
◆#9近藤亮太(札幌大・4年・SG・主将)
筑波大に大きく差をつけられ悔しい敗戦となった。1Q途中まで息の合ったプレーで筑波大を翻弄するシーンも見られたため、ファウルが込んで相手に流れを渡してしまったことが悔やまれる。主将の近藤も、経験の大切さと下級生主体のチームをまとめることの難しさはこの1年間で身をもって痛感してきたようだ。だがそれでも『良い経験になった』と後輩たちのことも含めて前向きに捉えて大会を終えた。試合に絡む下級生たちは、こうした先輩たちの為にも貴重な経験を自身の糧にして欲しい。2年前から佐久本ヘッドコーチが就任し、チームも成長過程の中にある。伸び代も見受けられ、今後も楽しみなチームだ。
―今の心境はいかがですか?
「とても悔しいですね。普段練習でやってることをあまり出せずに、自分たちとしては本当に納得のいかない感じで試合を終えてしまったと思います」
―ファウルが込んでリズムを崩したように思いましたが。
「そうですね。センター陣に『あまりファウルするなよ』とは言っていたんですが、ついつい手を出しちゃったりしてファウルが込んで。それに1年生のセンター(#5佐藤)はリーグ戦中怪我でずっと出てなくてインカレの数週間前から復帰したので、やっぱり動きが戻ってない部分もあったかなと思います」
―試合には下級生が多く出ていますし、苦労する点もあるのでは?
「やっぱり経験してる、してないは大きいですよね。去年スタメンだった今の2年生は、去年それまであまり良い経験を積んでなくてインカレになったらあがってしまった部分がありました。でも今年は去年より経験を積んで少し良くなったかなと思います」
―試合に出る数少ない上級生として、またキャプテンとして何を心掛けていましたか?
「上級生が少ないので、いかに下級生をまとめるかという目標を立ててやってきたんですがそれがあまり出来なくて、佐久本さん(ヘッドコーチ)からも『チームが一つになれていない』とか『リーダー的存在がいない』と言われてしまいました。それがすごく悔しかったので、まとめることは強く意識するようになったと思います」
―キャプテンを務めたこの1年間はいかがでしたか?
「1・2年生の頃、キャプテンをやってる人はすごいなって憧れてたんです。ただチームの代表になるだけじゃなくて、ちゃんとチームの事を考えたり周りに気を配ったりできるのがすごいなって。それで自分が4年生になって、自分の学年は2人しかいないし自分がキャプテンをやることになったんですが、思った以上にまとめることや気を配ることは大変でしたね。自分は3年生の頃から結構チームをまとめようと後輩にも声を掛けたりしてきたんですが、そういう難しさを改めてすごく感じた1年でした」
―オールジャパン予選はまだ残っていますが、これで学生の大会は終わりとなりました。これまで4年間を振り返っていかがでしたか?
「最後だからちょっとでも筑波を苦しめたかったし、足もつって自分の良いところも全然出せずに終わってしまってすごく悔しかったんですけど、でも良い経験させてもらったなと思います。4年間は何だかんだ楽しかったですね。合宿中も色んな大学とやって関東の大学とも戦えたし、そういうのが良い経験になったかなと思います」
―佐久本ヘッドコーチからはどんなことを教わりましたか?
「佐久本さんが来てくれてから、教わる内容がすごく濃くなりました。練習はきつかったんですが、すっごく為になることばかりで『これがプロだな』って思いましたね。辛いことも多かったですけど、楽しかったこともたくさんありました」
―最後に後輩へ一言お願いします。
「来年のインカレでは、まずは一回戦突破できるように頑張って欲しいです」
「この1年間やれることはやってきた」
最後の年にかける並々ならぬ想い
◆#2大谷拓也(天理大・4年・SG)
昨年大黒柱のサンバが最上級生となり期待されたが、インカレでは関東学院大に敗れ悔しい1回戦敗退を味わった。あれから1年、悔しさを糧にチームは意識的にも変化し、十分な準備をしてこのインカレに臨む。『最後だから』と度々口にする大谷からは、ラストイヤーに懸ける強い想いが伝わってきた。またプレーでもこの試合は3Pが8/9と絶好調。体制を崩しながらも決めきる姿からは頼もしさが感じられる。大谷を始め、#25平尾や#5清水といった主力メンバーももう4年生。学生として引退のかかる最後の大会を、悔いなく終えて欲しい。
―快勝で初戦を終えましたが。
「去年のインカレは実力を出せずにあっという間に終わってしまったので、二度も同じことを繰り返さないようにしっかり初戦を全力で戦おうと思っていました。明日と明後日は試合が無いし、今日の試合にかけて全力を出そうって。チーム一丸となって控えで出る人たちも責任を持って活躍できたので、良い形で一回戦を突破できたと思います」
―大谷選手も3Pが絶好調でしたね。
「いや、今日はたまたま良い感じだっただけです(笑)。まぁ気持ちが入ってたからかも知れませんね。やっぱり自分たちにとっては最後のインカレで負けたらその時点で終わりですし、そういう気持ちがシュートにも出たのかなと思います」
―下級生の頃から試合に出ている大谷選手、#25平尾選手、#5清水選手らも4年生ですし、今年にかける想いというのは強いと思いますが。
「そうですね。去年、一昨年と試合に出させてもらっていましたが、今思えば自分たちにはどこかに『来年、再来年があるから』という甘さがあったかなと思います。4回生の“最後”という気持ちが今まではあまり実感できなかったんですが、今年自分たちの代になって初めて今までの4回生の気持ちが分かりました。だから本当に集中して戦おうという気持ちが強いし、しかも今年はベンチに入っている4年生が少ないので、その分自分たちが責任を持ってチームを引っ張らなきゃなと思ってます」
―昨年は関東学院大相手に一回戦敗退となりましたが、そこからどうこの1年間やってきましたか?
「負けた後なぜ負けたのかを考えた時に、やっぱり準備不足だったということがありました。だからこそ今年は、自分たちにやれるだけの事をやろうと。それでトレーニングにしても普段の練習にしても、一個一個しっかり集中してやっていくことを意識してて、それはスタートの人たちだけじゃなくベンチやBチームの人たちも含めて全員で一生懸命やってこれたと思います。この1年間やれることは全部やってきたと思うので、全部出し切りたいですね」
―サンバ選手(10年度卒・現JBL東芝)は抜けましたが、その穴をチームのバランスの良さでカバーしているように思いますが。
「今年は関西でも結構負ける試合が多かったんですが、やっぱりサンバがいないと駄目なんだって思われるのは嫌だったし、サンバはもういないんだから頼りきったままの自分たちでいたら駄目だなと思って、一人ひとり責任感が増したと思います。誰か一人に頼ってたら勝てないというのはサンバがいなくなって改めて気付いたことだし、負けて得るものも大きかったですね。リーグ戦も西日本大会もタイトルは取れなかったんですが、一人ひとりバランスよく全員で戦えるチームになったかなと思います」
―今年は2位通過でのインカレ出場となりましたね。
「今シーズンは結構思ったよりも負けてて、インカレ出場も危うい状況だったんです。でもその中でも2位になれて、こうして出られたことに関しては良かったなと思いますね。だから終わりよければ全て良しじゃないですけど、このインカレに全てをかけて戦えればいいかなと思います」
―では第2戦への意気込みを。
「出来るだけ上にいきたいと思ってるんですけど、その前にしっかり目の前の相手に集中してこのインカレは戦っていこうと思っています。2日間空きますが練習中もイメージして、集中を切らさずに2試合目に臨んでいきたいです」
―筑波大が相手ということはどう感じていますか?
「筑波は一昨年のインカレで勝った相手だし、今まで練習試合でも何回か勝ったことはあるんです。でもその時は筑波はフルメンバーじゃなくて。今年フルメンバーで戦うのは初めてなので、どうなるかなという部分はありますね。でも一応戦ったことある相手ということで少しは相手の攻撃の仕方や誰が攻めてくるかも分かっていると思います。それに相手は関係なく、自分たちのバスケットができればいいなと思いますね。チームとしてディフェンスが課題なので、オフェンスの前にディフェンスとリバウンドを頑張りたいです。センター陣に頼るとかガード陣に頼るとかじゃなく、一人ひとりが自分の役割をしっかりやっていければいいなと思います」
【東海大学九州vs天理大】

3年生の川満はチームハイの30得点と存在感を発揮。

九州リーグで3P王の金はこの試合4本の3Pを決めた。

主将としてチームをまとめた東海大九州・重永。

1年生の時から出番を得てきた清水も4年。過去の最高位を越えることができるか。

天理大応援団は今大会も健在。大谷の旗もシュートを決めるたびに大きく振られた。
【専修大vs徳山大】

この試合ではダンクも見せた専修大・樋口。

専修大は2年生の大澤も出番を得た。

徳山大の大黒柱・黄。しかし高さでは専修大の前に苦戦。

インカレ常連の徳山大も今年は下級生メイン。3年の藤原が主将を務めた。

終盤に思い切りのいい攻めも見せた1年生の友寄。
【筑波大vs札幌大】

星野はチームハイの18点。

武藤は札幌大の栃本とマッチアップ。格を見せつけ、18点。

加納の欠場によりスタメンの梅津。15得点。

2年生のポイントガード、山口。北海道の地元高校出身だが、こうしてインカレへの出場を果たしている。

札幌大は引き離されたが、2人しかいない4年生の出場で笑顔も見せた。

札幌大は女子部も出場し、男子の応援にかけつけて賑やかだった。序盤、シュートが決まると大歓声があがっていた。
【日本経済大vs大東文化大】

要所で遠藤のシュートが相手を引き離した。

リーグ終盤から出番を得ていた和田も出場。シュートを決めて応援団もわいた。

日本経済大・サンブはまだ1年生。浮かせたシュートもうまかった。高校時代は八王子でインターハイも制覇。今後の成長に期待。

試合に出ている数少ない上級生である3年生の北薗。来年、再びのチャレンジに期待したい。

福岡第一時代はメンバーには入れなかったというが、積極的に攻めた古野は10点を獲得。
【青山学院大vs同志社大】

昨年優勝の青山学院大の試合前には優勝杯の返還式が行われた。

辻に代わり、スタメンを務めた織田。辻の調子次第では今後のプレイングタイムも長くなりそうなだけに、活躍が問われる。

同志社大は3Qまで一桁得点に終わり、苦しい試合だったが、序盤は青山学院大からターンオーバーを奪うなど、懸命な部分も見えた。

洛南出身者も多い同志社大。試合終了後も同志社大の谷口と青学大の辻が最後まで笑顔で話合っていた。
初戦は固さも見えたが、順当に上位が勝ち上がる
東日本大震災被災地復興支援と銘打たれた第63回全日本大学バスケットボール選手権大会が、男子は国立代々木競技場第二体育館で幕を開けた。今年は女子と共催ということもあり、墨田区総合体育館と2会場を使い分ける。これまでと異なる点は、例年8位まで順位決めを行なってきた順位決定戦は3位決定戦までしか行われず、ベスト4以下のチームは最終日まで残ることなくインカレの舞台を去る形になる。
初日は第1シードの青山学院大を始め、10チームが1回戦に臨んだ。東海大学九州(九州2位)対天理大(関西2位)、筑波大(関東5位)対札幌大(北海道1位)、専修大(関東8位)対徳山大(中国2位)の対戦はいずれも100点ゲーム。天理大、筑波大、専修大が勝利し、力の差が大きく出た試合となった。天理大は#2大谷(4年・SG)が3P8本を決める活躍を見せた。青山学院大(関東1位)は#14辻(4年・SG)をほぼ温存したが同志社大(関西4位)を寄せ付けずダブルスコアで下した。日本経済大(九州3位)対大東文化大(関東4位)は立ち上がりに苦戦した日本経済大が敗れるも、あとわずかと迫る場面もあった。
【ファウルでリズムを崩した札幌大に筑波大が快勝】

1Qの中盤までは互角の戦いが見られた。立ち上がりリードしたのは筑波大だったが、息の合った連係から札幌大は#11栃本(2年・C)や#5佐藤(1年・C・能代商業)が得点を重ねて追い上げ、9-10と開始4分経って逆転に成功。しかしここから次々ファウルを吹かれて勢いを絶たれ、これを好機とした筑波大がフリースローから着実に得点を伸ばした。すると筑波大は足も動くようになり、激しい守りで再三ターンオーバーを奪う。2Q序盤には#34田渡(4年・PG)や#32武藤(2年・C)で走る展開を次々出して一気に札幌大を置き去りにし、20点以上の差をつけてあとは余裕の展開となった。札幌大は軽快なパスワークからミドルシュートを決めていく良い場面もあったが、得点の長く止まる時間帯も。しかもファウルがかさみ、3Q中盤の時点でスタメンのうち3人が4ファウルと苦しい状況になった。逆に筑波大はトランジションゲームで楽に得点を積み重ね、#50梅津(3年・C)らのブロックショットも活きて差をさらに広げた。勝負がほぼ決した終盤は、互いにベンチメンバーを積極的に起用。控えのメンバーもしっかりと仕事を果たして試合を盛り上げ、タイムアップとなった。
札幌大は最後まで流れを引き戻せず悔しい敗退。主将の#9近藤も「普段練習でやってることを出せなかった」と悔しげにコメントした。しかしスタメンのうち4人が1・2年生とチームはまだ若い。佐久本ヘッドコーチが指導について3期目。年々良い部分も見えてきており、さらなる成長を期待したい。一方の筑波大は欠場した#99加納(4年・CF・199)以外のメンバーが全員出場し、気持ちのいい勝ち方で初戦を終えた。次の天理大戦にも注目したい。
写真:優勝に向け、主将の田渡がリーダーシップを発揮できるかにも注目。
【日本経済大が盛り返しを見せるも大東文化大が一回戦突破】

2Qになり、互いにようやくリズムが出てくる。日本経済大は#1古野(1年・PG・福岡第一)が積極的に得点を取りに行き、#9中嶋(2年・PG)の3Pも出る。ディフェンスでは#14岸本(3年・G)を囲んでターンオーバーを奪う場面も見せた。大東大は一気にエンジンがかかるという調子ではないが#85大久保(3年・SG)や#37草野(4年・F)の3Pなどもあってリードは保ち、26-36の10点リードで前半を終える。
3Qは大東大がややリード。#11田中(4年・PG)の3P、#75和田(3年・G)もベンチスタートで思い切りのいいプレーを見せる。しかし4Qに入り、大東大の確率が悪い時間帯に日本経済大も粘り、#6北薗(3年・PF)のシュートで52-60と8点差にまで追い上げる。だがタイムアウトを取った大東大は#15遠藤(4年・PG)の3Pでこの追撃の芽を摘むと、ここからは日本経済大も追い上げることができず52-68で試合終了。大東大が1回戦を突破した。
「イージーシュートを落としてしまった」と日本経済大の片桐監督。1Qに4点しか取れなかったことが最後まで響いた。インカレ出場は昨年に続き2度目。昨年は1Qで筑波大を27-8と圧倒したが、今回の出足はその逆となった。とはいえ、昨年のインカレに出場したメンバーで残るのは2名のみ。監督は少ない4年生がチームをまとめてくれたことを評価しつつも「今年はほとんどが1、2年で、こうした舞台で力が発揮できなかった」と悔しい表情。しかしそうした選手がここで経験を積めたのは大きいはず。「まずは九州1位になって来ないと」と言う言葉をぜひ実現して欲しい。
写真:鎌田とサンブの対決。ともに攻守で見せ合う部分があった。
※札幌大・近藤選手、天理大・大谷選手のインタビュー、各試合の写真は「続きを読む」へ。
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【INTERVIEW】「チームをまとめることや気を配ることは大変だった」
上級生が少ないことの難しさを痛感
◆#9近藤亮太(札幌大・4年・SG・主将)

―今の心境はいかがですか?
「とても悔しいですね。普段練習でやってることをあまり出せずに、自分たちとしては本当に納得のいかない感じで試合を終えてしまったと思います」
―ファウルが込んでリズムを崩したように思いましたが。
「そうですね。センター陣に『あまりファウルするなよ』とは言っていたんですが、ついつい手を出しちゃったりしてファウルが込んで。それに1年生のセンター(#5佐藤)はリーグ戦中怪我でずっと出てなくてインカレの数週間前から復帰したので、やっぱり動きが戻ってない部分もあったかなと思います」
―試合には下級生が多く出ていますし、苦労する点もあるのでは?
「やっぱり経験してる、してないは大きいですよね。去年スタメンだった今の2年生は、去年それまであまり良い経験を積んでなくてインカレになったらあがってしまった部分がありました。でも今年は去年より経験を積んで少し良くなったかなと思います」
―試合に出る数少ない上級生として、またキャプテンとして何を心掛けていましたか?
「上級生が少ないので、いかに下級生をまとめるかという目標を立ててやってきたんですがそれがあまり出来なくて、佐久本さん(ヘッドコーチ)からも『チームが一つになれていない』とか『リーダー的存在がいない』と言われてしまいました。それがすごく悔しかったので、まとめることは強く意識するようになったと思います」
―キャプテンを務めたこの1年間はいかがでしたか?
「1・2年生の頃、キャプテンをやってる人はすごいなって憧れてたんです。ただチームの代表になるだけじゃなくて、ちゃんとチームの事を考えたり周りに気を配ったりできるのがすごいなって。それで自分が4年生になって、自分の学年は2人しかいないし自分がキャプテンをやることになったんですが、思った以上にまとめることや気を配ることは大変でしたね。自分は3年生の頃から結構チームをまとめようと後輩にも声を掛けたりしてきたんですが、そういう難しさを改めてすごく感じた1年でした」
―オールジャパン予選はまだ残っていますが、これで学生の大会は終わりとなりました。これまで4年間を振り返っていかがでしたか?
「最後だからちょっとでも筑波を苦しめたかったし、足もつって自分の良いところも全然出せずに終わってしまってすごく悔しかったんですけど、でも良い経験させてもらったなと思います。4年間は何だかんだ楽しかったですね。合宿中も色んな大学とやって関東の大学とも戦えたし、そういうのが良い経験になったかなと思います」
―佐久本ヘッドコーチからはどんなことを教わりましたか?
「佐久本さんが来てくれてから、教わる内容がすごく濃くなりました。練習はきつかったんですが、すっごく為になることばかりで『これがプロだな』って思いましたね。辛いことも多かったですけど、楽しかったこともたくさんありました」
―最後に後輩へ一言お願いします。
「来年のインカレでは、まずは一回戦突破できるように頑張って欲しいです」
「この1年間やれることはやってきた」
最後の年にかける並々ならぬ想い
◆#2大谷拓也(天理大・4年・SG)

―快勝で初戦を終えましたが。
「去年のインカレは実力を出せずにあっという間に終わってしまったので、二度も同じことを繰り返さないようにしっかり初戦を全力で戦おうと思っていました。明日と明後日は試合が無いし、今日の試合にかけて全力を出そうって。チーム一丸となって控えで出る人たちも責任を持って活躍できたので、良い形で一回戦を突破できたと思います」
―大谷選手も3Pが絶好調でしたね。
「いや、今日はたまたま良い感じだっただけです(笑)。まぁ気持ちが入ってたからかも知れませんね。やっぱり自分たちにとっては最後のインカレで負けたらその時点で終わりですし、そういう気持ちがシュートにも出たのかなと思います」
―下級生の頃から試合に出ている大谷選手、#25平尾選手、#5清水選手らも4年生ですし、今年にかける想いというのは強いと思いますが。
「そうですね。去年、一昨年と試合に出させてもらっていましたが、今思えば自分たちにはどこかに『来年、再来年があるから』という甘さがあったかなと思います。4回生の“最後”という気持ちが今まではあまり実感できなかったんですが、今年自分たちの代になって初めて今までの4回生の気持ちが分かりました。だから本当に集中して戦おうという気持ちが強いし、しかも今年はベンチに入っている4年生が少ないので、その分自分たちが責任を持ってチームを引っ張らなきゃなと思ってます」
―昨年は関東学院大相手に一回戦敗退となりましたが、そこからどうこの1年間やってきましたか?
「負けた後なぜ負けたのかを考えた時に、やっぱり準備不足だったということがありました。だからこそ今年は、自分たちにやれるだけの事をやろうと。それでトレーニングにしても普段の練習にしても、一個一個しっかり集中してやっていくことを意識してて、それはスタートの人たちだけじゃなくベンチやBチームの人たちも含めて全員で一生懸命やってこれたと思います。この1年間やれることは全部やってきたと思うので、全部出し切りたいですね」
―サンバ選手(10年度卒・現JBL東芝)は抜けましたが、その穴をチームのバランスの良さでカバーしているように思いますが。
「今年は関西でも結構負ける試合が多かったんですが、やっぱりサンバがいないと駄目なんだって思われるのは嫌だったし、サンバはもういないんだから頼りきったままの自分たちでいたら駄目だなと思って、一人ひとり責任感が増したと思います。誰か一人に頼ってたら勝てないというのはサンバがいなくなって改めて気付いたことだし、負けて得るものも大きかったですね。リーグ戦も西日本大会もタイトルは取れなかったんですが、一人ひとりバランスよく全員で戦えるチームになったかなと思います」
―今年は2位通過でのインカレ出場となりましたね。
「今シーズンは結構思ったよりも負けてて、インカレ出場も危うい状況だったんです。でもその中でも2位になれて、こうして出られたことに関しては良かったなと思いますね。だから終わりよければ全て良しじゃないですけど、このインカレに全てをかけて戦えればいいかなと思います」
―では第2戦への意気込みを。
「出来るだけ上にいきたいと思ってるんですけど、その前にしっかり目の前の相手に集中してこのインカレは戦っていこうと思っています。2日間空きますが練習中もイメージして、集中を切らさずに2試合目に臨んでいきたいです」
―筑波大が相手ということはどう感じていますか?
「筑波は一昨年のインカレで勝った相手だし、今まで練習試合でも何回か勝ったことはあるんです。でもその時は筑波はフルメンバーじゃなくて。今年フルメンバーで戦うのは初めてなので、どうなるかなという部分はありますね。でも一応戦ったことある相手ということで少しは相手の攻撃の仕方や誰が攻めてくるかも分かっていると思います。それに相手は関係なく、自分たちのバスケットができればいいなと思いますね。チームとしてディフェンスが課題なので、オフェンスの前にディフェンスとリバウンドを頑張りたいです。センター陣に頼るとかガード陣に頼るとかじゃなく、一人ひとりが自分の役割をしっかりやっていければいいなと思います」
【東海大学九州vs天理大】

3年生の川満はチームハイの30得点と存在感を発揮。

九州リーグで3P王の金はこの試合4本の3Pを決めた。

主将としてチームをまとめた東海大九州・重永。

1年生の時から出番を得てきた清水も4年。過去の最高位を越えることができるか。

天理大応援団は今大会も健在。大谷の旗もシュートを決めるたびに大きく振られた。
【専修大vs徳山大】

この試合ではダンクも見せた専修大・樋口。

専修大は2年生の大澤も出番を得た。

徳山大の大黒柱・黄。しかし高さでは専修大の前に苦戦。

インカレ常連の徳山大も今年は下級生メイン。3年の藤原が主将を務めた。

終盤に思い切りのいい攻めも見せた1年生の友寄。
【筑波大vs札幌大】

星野はチームハイの18点。

武藤は札幌大の栃本とマッチアップ。格を見せつけ、18点。

加納の欠場によりスタメンの梅津。15得点。

2年生のポイントガード、山口。北海道の地元高校出身だが、こうしてインカレへの出場を果たしている。

札幌大は引き離されたが、2人しかいない4年生の出場で笑顔も見せた。

札幌大は女子部も出場し、男子の応援にかけつけて賑やかだった。序盤、シュートが決まると大歓声があがっていた。
【日本経済大vs大東文化大】

要所で遠藤のシュートが相手を引き離した。

リーグ終盤から出番を得ていた和田も出場。シュートを決めて応援団もわいた。

日本経済大・サンブはまだ1年生。浮かせたシュートもうまかった。高校時代は八王子でインターハイも制覇。今後の成長に期待。

試合に出ている数少ない上級生である3年生の北薗。来年、再びのチャレンジに期待したい。

福岡第一時代はメンバーには入れなかったというが、積極的に攻めた古野は10点を獲得。
【青山学院大vs同志社大】

昨年優勝の青山学院大の試合前には優勝杯の返還式が行われた。

辻に代わり、スタメンを務めた織田。辻の調子次第では今後のプレイングタイムも長くなりそうなだけに、活躍が問われる。

同志社大は3Qまで一桁得点に終わり、苦しい試合だったが、序盤は青山学院大からターンオーバーを奪うなど、懸命な部分も見えた。

洛南出身者も多い同志社大。試合終了後も同志社大の谷口と青学大の辻が最後まで笑顔で話合っていた。
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