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第86回全日本大学バスケットボール選手権
筑波大学が3連覇を達成 3連覇以上の達成は1999年の日本体育大以来

2010.12.14 (Tue)

【2010インカレ】12/5 決勝 青山学院大VS慶應義塾大

【充実を見せた青山学院大が3年ぶりの栄冠に】
101205tuji_20101214203403.jpg 決勝は春と同じく、青山学院大慶應義塾大の対戦となった。大学界のオールスター並みの選手を持つ今期の常勝軍団と、3年連続インカレ決勝に進んだチームのシーズンを締めくくる一戦に、代々木第二体育館は2004年の慶應義塾大対専修大、2008年の慶應義塾大対国士舘大の決勝に続き2年ぶりに入場規制を出す人出となった。満員の観客が見守る中で始まった今年を代表するチームだった青山学院大とそれを2番手で追ってきた慶應義塾大の決勝は、青山学院大が見事な充実ぶりを見せ、慶應大の追撃を許さない展開となった。

 1Qは青学大が#14辻(3年・SG)や#0橋本(4年・G)の3Pが続き、慶應大は#7岩下(4年・C)のインサイドでの得点を試みる。#4二ノ宮(4年・G)も2本の3Pでこれを援護し、拮抗した立ち上がりに。しかし青学大は#56比江島(2年・SF)がドライブ、オフェンスリバウンドに積極的に絡み、得点を重ねるが慶應大はこれをなかなか止めることができない。一気に10点差をつけられる展開となるが、#11家治(3年・F)の3Pなどで盛り返し、#4二ノ宮が残り1.9秒で自陣の奥から放ったボールが見事にネットに吸い込まれるブザービーターを見せて観客を驚かせると、29-21と盛り返して1Qを終えた。

 2Qは得点ではほぼ互角となった。青山学院大は#0橋本のドライブ、3Pなど主将が引っ張り、慶應大は#11家治が3Pやオフェンスリバウンドでも粘る。慶應大は#5酒井(4年・F)の3Pで5点差にまで縮めるが、青学大も#7岩下に対し足元へのディフェンスでボールを奪うと、#56比江島の速攻につなげるなど、油断を見せない。2Qは追い上げても戻される展開となり、青学大が50-39とリードして前半を終えた。

 3Q、なんとか追いすがる慶應大だが、青学大は#0橋本のスティールや#14辻の3P、#25永吉(1年・C・延岡学園)までも3Pを決め、チームを盛り上げるプレーが続く。慶應大は#25永吉がいるため簡単に中に攻め込めず、外に頼る形となるがそれが決まらず、じわじわと引き離される展開となった。得点が決まらない間に青学大との差は24点にまで開いてしまうが、そこで切れずに3Q後半は#7岩下が6連続得点、最後はダンクで意地を見せ、4Qに突入した。

101205hashimoto2.jpg 20点のリードを得た青学大は、それでも安心せずに慶應大を攻めつづけた。膝の不安を抱える#0橋本以外の選手を投入したのはようやく4Q残り2:59となったところ。#27宇田川(4年・SF)を皮切りに、#9小林(4年・SG)らの4年生を最後に出場させていく。慶應大はここでようやく激しいディフェンスに出るが、ファウルが続き、無理な守りには出にくい。だが気迫のヘルドボールや#5酒井のシュートで攻める姿勢は切らさずプレーを続けた。青学大は余裕の形でタイムアップの時間を待ち、93-76で勝利の瞬間、橋本が頭を抱えるようにしゃがみ込み、#23湊谷(4年・F)ら他のメンバーにも笑顔があふれた。自分たちの力を発揮しきった末、青学大が今年度4冠を見事達成した。

 慶應大は持ち味のトランジションをほとんど出すことは出来なかった。それだけ、青山学院大の戻りは早かった。走った試合という印象ではなかったが、青学大の選手たちからは試合後のコメントで走ったことによる疲れがいくつも感想として出てきた。慶應大には走らせなかったが、それだけ相手の走りを警戒し、対応できるように常に動いていたことを示している。また、これまでになくほぼスタメンだけで試合をし続けたことも疲れの原因の一つだろう。長谷川監督は冒険はしなかった。慶應大相手に気を抜けばやられると細心の注意を払い、勝利を確信するまでスタメンだけでほぼ乗り切った。侮らず緩まず、そんな覚悟が優勝を確実に引き寄せた。

101205keio.jpg 慶應大はそうした相手に苦戦し、守りで対応できない場面が目立った。それでも慶應大らしい姿勢は見せた。最後まで戦いを挑むのは彼らの伝統であり、矜持であり、譲れない気持ちでもある。学校の強い後ろ盾も推薦枠も持たない彼らは、自らの努力や強い信念だけでこの場に立ち続けてきている。後半に見せた岩下のダンクや二ノ宮、酒井のプレーはそれを下に伝えるためのものでもあり、「最後に4年生がコートに立っていよう」と3人で確認しあった彼らは、差をつけられても下を向くことなく、試合終了を迎えた。

 慶應大は昨年のエース2人が抜けた穴をリカバリし、1年に満たない短い時間で下級生を成長させ、ここまでチームを引き上げた。しかし青学大はそれを凌駕する強さだった。選手が持つ能力の高さは言うまでもないが、求められた仕事を完遂する強さがインカレではあった。ケガをインカレでプレーできるように調整し、主将としてチームをリードした橋本はもちろん、湊谷は地道なプレーで貢献し、記者会見では長谷川監督を「あのアレクが…」と泣かせた。4年生を中心に勝つために必要なことが能力の上に積みかさなかったからこその、頂点だった。

写真上:5本の3Pを沈めた辻。
写真中:リハビリに耐え、インカレに照準を合わせた橋本にとっては何にも代えがたい勝利だった。
写真下:最後に、3人で声を掛け合っていた慶應大トリオ。

※慶應義塾大・二ノ宮選手、酒井選手、岩下選手、記者会見等のインタビュー、コメントは「続きを読む」へ。
※青山学院大のインタビューは別途掲載します。

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【INTERVIEW】
「2部に落ちた挫折が、自分を成長させた」
大学を代表するガードへのこれまでの道のり

◆#4二ノ宮 康平(慶應義塾大・4年・G)
101205ninomiya.jpg チーム一の努力家であるという点は誰も否定しないだろう。体つきも、プレーも、大学にきて大きく変わった。2年生で2部降格してから評価されにくい立場になったが、そこからインカレ優勝を成し遂げ、自らの努力で名をあげてここまで来た。
 二ノ宮と岩下は、チームの柱だ。その両輪なくしてはここまでのチームにはならなかった。そこに、酒井という何でもこなせるオールラウンダーが厚みを加え、慶應大の一時代を築いた。それを誇りに、これからも歩んで欲しい。


―慶應大らしいプレーが出せなかった要因はなんでしょうか?
「ピック&ロールのときにセンターがしっかりショウディフェンスに出てきたり、ヘルプディフェンスだったりといった対応が青学大のメンバーはすごくうまかったので、そこは攻めにくい原因でもありました。あとは、僕がもっと周りをうまく使ってあげられたらよかったかなと。自分が自分がとなりすぎた面もすごくありました」

―それでも、佐々木コーチは二ノ宮選手に“攻めろ”という指示を出していたと聞きましたが。
「攻めろというか、“もっと力を発揮しろ”という感じで言われました。確かに去年や一昨年に比べて今年は攻めなくなった気もして、おそらくその辺りを佐々木先生は要求していたのではないかと思います。勝負を決めるのはやはり4年生で、責任感を持ってやらなければいけない。佐々木先生はそれが言いたかったのだと思います」

―どんなことを心掛けてゲームに臨みましたか?
「オフェンスでは佐々木先生から攻めろと言われていましたし、自分がいいリズムを作れれば、後輩達も波に乗りやすいと思ってプレーしていました」

―20点差がついた4Q残り2分、二ノ宮選手のファウルでゲームクロックが止まったときに、酒井選手・岩下選手のハドルを組んでいましたが、そこではどんな話を?
「あの時は、“最後はコートに立って終わろう”ということを言っただけです。やはり伝統というか、後輩達に最後まで諦めない姿勢を見せなければいけなかったし、ファウルが込んできていたのであの場面でファウルアウトしてしまったら本当に最悪な終わり方ですし。観ている方もいい気持ちはしないと思ったので、そういう声掛けでした」

―二ノ宮選手はこの4年間、成長したしプレースタイルも随分変わって点を取るだけではなく、パスやトランジションも自分のものにしたと思います。それには何が大きかったのでしょうか?
「一番大きかったのは1年生の時の経験です。加藤さんがケガをしてから(※)自分がスタメンになりましたが、2部に落ちてしまいました。それは本当に挫折を感じた時でした。加藤さんがいた時は勝てていたし、自分がやるようになってから負けが込んでしまったので。自分のせいだとまでは言わないですが、自分の力のなさを感じて、絶対次の年に頑張ってやろうという思いでオフシーズンを過ごして徐々に試合の中で自信もついてきて、その大祐さん(09卒・現JBL日立)やタノさん(09主将・田上)という得点力のある選手がいて、そういう人たちを気持よくプレーさせるという考えも生まれました。今年はその2人が抜けて自分も得点に参加しなければいけないという思いも生まれました。でもその中から家治(#11)や中島(#14)といった得点力のある選手が育ってきてくれました。そこでまた自分が攻めるところとそうでないところの判断というか、昨年と違うプレーをしなければいけない場面が出てきて、そういう考えが自分のプレーを成長させてくれたのかなと思います」

―1年ごとに違うチーム環境だったことが、プレーの幅を広げてきたということですね。
「そうだと思います」

―一緒にやってきた酒井選手や岩下選手はどんな存在でしたか?
「自分のやりたいことをいち早く理解してくれました。学年が上がるにつれてお互いの信頼関係は強くなったし、プレーに関してもどんどん合わせられるようになりましたね。祐典はもともとうまかったですし、岩下も年々うまくなりました。自分自身も岩下をどう使えばチームが強くなるか、ということを考えていたので練習中から“こうして欲しい”とコミュニケーションを取って、岩下もそれにいい反応をしてくれるようにだんだんなって、頼もしい存在になりました」

※リーグ4戦目に主将の加藤がケガで離脱し、その後1年生の二ノ宮が努めることになった。3チームが5勝9敗で並んだが、最下位で入れ替え戦に進み、大東文化大に敗れた。


「本当に恵まれた環境でバスケができた」
入り混じる敗戦の悔しさと慶應への感謝

◆#5酒井祐典(慶應義塾大・4年・F)
101205sakai.jpg 今年、慶應大で最も魅せた選手は酒井だろう。二ノ宮や岩下が代表活動でいない間はチームリーダーとして、早慶戦やリーグ戦はチームを引っ張る活躍で、リーグでは念願のリバウンド王も獲得した。4年生が頑張ることこそ大事とする慶應大の伝統と、チームが悪い時は「4年生の責任」とするヘッドコーチの方針に、精神的に打ちのめされそうになったこともある。苦しい表情で「それでも4年生がやらなければ」と耐えて踏ん張り続けた。最上級生としての姿を示し続けたのは見事でもあるし、それを後輩にも引き継がれることを願う。


―敗因は。
「辻、比江島が相手の得点源だと思っていたのですが、スクリーンがうまかったのと、橋本が準決勝より攻めてきたので、ディフェンスを縮めて外にさばかれてしまいました。特に橋本のところはスカウティングしたのと違うなと。それで後手に回ってしまって、ディフェンスがズレてしまって永吉をカバーし切れなかったです。永吉は身体が大きいので、うちには守れる選手が岩下くらいしかいませんし」

―ちょっと相手に対応しきれない内容になってしまいましたね。
「これまでの試合と少し青学が違いましたね。比江島くんや辻くんのところで得点を取っていくのが中心だったけど、今日はアレク(#23湊谷)や他の選手も攻めてきた。でもそういう変化にすぐこちらも対応できなければいけないんですが、向こうの方が全ての面で上なので、こちらはそこにアジャストできませんでした。こっちはやってきたことしかできないチームなので」

―今はどんな気持ちですか?
「さっき別のインタビューですっきりしたと言ったんですが、まあそんなはずはないですよね(苦笑)。複雑な思いはありますが、それでもやはり相手は強かったなと思います。でもそういう相手に一泡吹かせたいという思いで1年やってきましたし、結果としては負けたんですが、その中でもいろんな経験を積んだし、成長もありました。最後は4年生が頑張る姿勢も見せられたと思います。その点については佐々木先生からもかなり言われてきたことなので、プレーで示せたと思います。4年生が頑張る姿を見せるのは慶應にとっては絶対に必要なことだと僕も思うし、下級生がどう受け止めているか本当のところは分かりませんが、でも試合が終わった後に応援団も後輩も一緒に涙を流してくれました。OBの人たちもあれだけ駆けつけてくれて本当に感謝していますし、本当に恵まれた環境に身を置いて良かったなと感じます。そういうところまで振り返ってしまった最後でした」

―でもやってきたことしか出来ないと言いますが、ヘッドコーチに言われたことをできるようになったのは、それだけでも素晴らしいことだと思います。
「そこは下級生の成長をすごく感じますね」

―そういう意味では今回、あまり慶應の選手がランキングあまり入っていないことが、みんなでできたという意味かなと思いますが。
「まあ、組み合わせもあってそこまで自分たちがフル出場しなくても勝てたのもあったと思います。来年のことを考えると、4年生中心のチームは少ないですし、慶應は厳しくなると思います。そう思う中でこの大会で勝っていけましたし、選手一人ひとりがチームに貢献した大会だったと思います。これを自信に、来年頑張って欲しいと思います」


「結果を見れば当然悔しい」
機能できなかった大黒柱

◆#7岩下達郎(慶應義塾大・4年・C)
101205iwashita.jpg 23得点12リバウンド3ブロックは決して悪い数字ではないが、それ以上に相手が強かったのは確かだ。後半に連続得点で見せたが、青学大には苦手な足元を狙われ、ボールを奪われてしまう場面もあった。
 日本人離れした体格を持ち期待された反面、他のキャリアのある選手からは遅れたスタートであり、フィジカルやパワープレーでは鍛えきれない部分もあった。しかし慶應大の7番という責任ある立場を4年間務めた。そこにある責任と使命を理解し、ここまで来たのは慶應大というチームだったからこそだろう。試合後、ひと通りチームメイトと声を掛け合い、コートにざわついた雰囲気が残る中、最後に応援席に向かって深々と一礼した。一昨年、「スポーツマンシップ賞」を獲得した礼節あるプレイヤーらしい態度に、応援団も拍手で応えていた。


―試合について。
「自分の仕事を彼らの前で彼らの前でできませんでした。そこでリズムが崩れた時にインサイドで仕事ができず、そこから周りに負担をかけてその結果ディフェンスでズレができてしまいました。ピック&ロールでやられるのは直接僕の責任だと思うんですが、ああいうところで負けてしまったと思います。そこからディフェンスで機能しなくて、そこから20点差をつけられて追いつけない点差になってしまったと思います。青学は強いですね」

―相手の強さはもちろんですが、それは過去3年間でもう少しああしておけばとか、頑張っておけばもっと詰められた差だった、と思う部分はありますか?
「振り返れば頑張る余地はまだまだあったと思います。悔やむことはいくらでもできますね」

―悔やんでいますか?
「そうですね…。もちろん、自分のバスケットボール人生を振り返れば充実していたと思います。ただ、今日の結果を見れば当然悔しいの一言です。あの時こうしておけば良かったというのもありますし、ここでケガしてしまったとか、ここで全力でできなかったとか、あそこで追い込みが足りなかったとか、そう思えることはいくつもあります。どんなにいい選手も努力をして結果を出しています。うちの代は他のメンバーは本当に頑張ってきましたし、自分がそこに追いつききれなかったのがこういう結果につながった申し訳なさもあります」

―2年前の天理大戦でサンバ選手相手に9ブロックしたような素晴らしいプレーをもっと見たかったというのはありますが。
「ああいう細身のタイプは得意なので。あの頃はまだ相手もそこまで上手くなかったと思いますし。体の強い相手との試合はやはり難しかったですね。今は終わったという感じですが、切り替えをして、もう一度オールジャパンに向けて立て直していければと思います」


【記者会見】
◆佐々木三男HC(慶應大)
「やっぱり青学は今シーズン強いなと思っていて、それを実感させられたかなという感想ですね。イーブンで戦えるポジションが私はあると思っていたんですが、二ノ宮の所で抜かれすぎたのが誤算でした。気を付けてはいたんですけど、そこを止めきれなかったのが私としては残念なところです。あとは、外からのシュートの精度を上げようと練習してきたんですが、うち以上に青学のシュートの確率が良かったですね。(ゲーム前の作戦は)我々としては、ゴール下やペイントエリアはある程度戦えるかなという事で、アウトサイドの辻君と比江島君をどういう風に抑えるかという事でした。リーグ戦の1戦目は辻君を前半抑えられたのでそのイメージを持っていたんですが、今日はそれが実現できなかったですね。辻君に振り切られてノーマークで打たれたという事と、比江島君のドライブをほとんど抑え切れなかった。ディフェンスを頑張って速い展開にするというゲームプランだったんですが、ディフェンスを破られてしまいましたね。考えていたプランを悉く崩されてしまったという感じです。それに、守りきれなかったという部分はあるんですけど、青学はやはり格別だったというか、他のチームに対して守り切れていた部分が青学だけには破られたという事がありました。うちの今の4年生は各ポジションが揃った珍しい学年だったんですが、青学は今年それ以上のものを持っていましたね。(インカレを終えてこれまで成長した部分は)4年生が、試合に出てない人も含めて、一人ひとりセルフコントロール出来るようになったという事と、チーム内で自分の果たさなければならない役割をやってくれた事だと思います」
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テーマ : バスケットボール(日本) - ジャンル : スポーツ

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