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2010.12.03 (Fri)
【2010インカレ】12/3東海大VS明治大
激しいディフェンスの応酬から抜けだしたのは明治大
アウトサイドが最後の決定打となる
東海大対明治大の準々決勝は延長戦にもつれこむ熾烈な戦いとなった。ロースコアゲームとなった両者、激しいディフェンスで相手ゴールを割らせない展開が続いた。ゾーンとマンツーをおりまぜながらの激しい試合は、なかなか互いを決定的に引き離せない我慢の勝負となった。
勝負を決めたのは決勝シュートを放った明治大#20若林(4年・SG)。しかし、勝利に至るまでの明治大はリーグ戦とは全く異なり、攻める姿勢を切らさず、ディフェンスでも粘って東海大を食い止めた。そうしたアグレッシブな気持ちが、わずかに東海大を上回っていた。ブザーが鳴り響き、明治大の面々にはこれまでの苦難を全て吹き飛ばすような笑顔が浮かんだ。
写真:タイムアップとなり、ガッツポーズの明治大・佐藤。
※試合のレポートと明治大の記者会見のコメントは「続きを読む」へ。
立ち上がりは明治大。#11佐藤(3年・PG)、#14金丸(4年・SG)が3Pを決めてリードする展開となった。東海大は投入した#36養田(4年・PF)が奮起。連続得点で追い上げ、1Qは16-18と2点を追う形となった。2Q、#24田中(1年・SF・長崎西)のバスケットカウントで逆転した東海大。田中は続いてドライブ、スティールと得点し、点差を開く。明治大は3Pを打ってはいくが、なかなか入らない。しかしそれでも#14金丸が2本沈め、#35岸本(3年・G)のスティールもあって、#66加藤(2年・PF)が#7遥(4年・PF)をブロックするなど、良い流れを見せる。東海大は2Q終盤得点が止まり気味となり、前半は29-31と2点を追う形となった。
3Q、東海大は開始から5分間もノーゴールの時間が続く。反対に明治大は#19田村(3年・PF)のシュート、#11佐藤も#7遥からボールを奪うなど、攻める姿勢を見せる。#66加藤もオフェンスリバウンドからタップで押しこむと、ディフェンスではゴール下で粘って#0満原(3年・C)を食い止めるなど見事なプレーを見せた。8点リードされた東海大は残り5分でようやく#24田中のドライブで得点。しかしその後も流れは来ない。明治大はアンスポーツマンライクファウルを始め、次々ファウルを吹かれ東海大にフリースローを与えるも、これを2本とも確実に決めていけない東海大は追いつくことができない。3Qは37-42で明治大リードは変わらずとなった。
4Q、東海大は#0満原がシュートのカバー、ミドル、タップと続けて決め、逆転に成功。明治大はインサイドで奮闘していた#66加藤が5ファウル退場となり、苦しくなるが#11佐藤の3Pがチームを勇気づける。#19田村も内外から得点し、再び東海大から50-57とリードを奪い返した。だが、ここで明治大の得点はストップ。東海大は#34三浦(3年・SG)の3Pと#0満原のミドルシュートで2点差。最後は#34三浦のドライブで57-57と同点に戻して試合は延長戦に突入した。
互いに点を取り合う出足となるが、明治大・塚本HCが判定に対して不服を言い続けたことでベンチテクニカルに。後では反省していたが、これで東海大に7点のリードを許すきっかけとなってしまう。だが、明治大も選手は切れなかった。#14金丸の3P2本とフリースロー、#19田村のレイアップで追いあげると、71-69。東海大は明治大の守りの前にオフェンスが重く、#24田中が得たフリースローを1本しか決められなかった。1分を切り、攻め手に欠ける東海大は#36養田がシュートに行くが、ややタフショットのシュートは外れ、これをカバーにいった#0満原も決めきれない。反対に、明治大は残り30秒でエンドスローインから#14金丸がうまく決め、71-71の同点に戻した。東海大は残り10秒で#24田中がドライブで切れこむが、これが失敗。ボールを奪った明治大は#14金丸に渡るも、厳しいディフェンスが来ている。ボールは、0度の位置にいた#20若林(4年・SG)に渡った。この3Pが決まり74-71。残り時間で東海大はシュートに持ち込むことができず、タイムアップ。明治大がきわどい勝負を制して準決勝進出を決めた。
最後に若林と「目があった」という金丸。それを決めた若林も見事だった。明治大はディフェンスも良く、インサイドでよく東海大を食い止めた。また、アウトサイドの差も大きい。「シューターのチームだった」と言う陸川監督。明治大は確率は決して高くはないが、思った以上にディフェンスで空いた部分から外を打てて、3Pがトータル14本。それに対し東海大の3Pは終盤の三浦の1本だけ。満原が「点数のことを考えすぎた」と言うように、確実に決めたいシュートを決めきれず、焦った感もある。
明治大のベスト4進出は1964年以来の快挙。いい選手をリクルートしながらここまでなかなかこのラインを越えることが叶わなかったが、日本を代表するシューター金丸最後の年に、ようやくそれを成し遂げた。次の相手は慶應義塾大。このまま勢いで制することができるか。
【明治大記者会見】
◆塚本清彦HC(明治大学)
「(作戦は?)リーグ戦のとき接戦をしのいで2勝して、相手もそこから何か変えてくると思ったので、筑波戦を見てその対処法を立てました。相手は筑波戦でゾーンに対するパッシングが良かったので、ディフェンスはマンツーマンでいこうと。この1年間ずっとやってきたディフェンスに自信を持ってやっていこうという事でした。あとはリバウンドです。向こうは天翼君(#7)や満原君(#0)といった選手がいるので、リバウンドの数をイーブンもしくは5、6本の差に抑える事が出来れば、いいゲームになるかなと思っていました。それに、このチームはよく金丸晃輔(#14)が取り上げられますが、それをサポートするキャストが良くなければベスト8、ベスト4にはいけません。前のゲームの拓大戦で、佐藤卓哉(#11)とか田村(#19)といった他が活躍したことが良い材料で、今日もオフェンスはそこがポイントでした。前半の田村ではだめですが、後半3Qの立ち上がり自分で攻めていってリズムを作ったことも一つ評価できることだと思います。弱気にならず、どのように攻めるかも今日のテーマでした。
今までは、逆境になった時に立て直す力がなかったんです。でも今日はもう一回踏み込んで自分たちでやっていこうという事が出来ました。あとは延長戦の最後も、良いディフェンスをして落ちたリバウンドを取って、佐藤卓哉から晃輔、晃輔から若(#20若林)という場面がありましたが、これが今まではなかった。パスの中の信頼関係ですよね。このパスを託すという想いがチームだと思います。誰が特出したとかではなく全員がチームなのでね。彼らが、もう一回自分たちを奮い立たせて7点差から逆転して勝ったというのは、新しい明治の指針になると思います」
◆#14金丸晃輔、◆#20若林 良、◆#31駒水 豪、◆#11佐藤卓哉、◆#19田村 晋
―逆境に耐えられるように変わったという事ですが、どこが成長したと思いますか?
金丸「今年からチームでディフェンスの方に力を入れ始めて、ずっとディフェンスの練習をやってきてリーグ戦もディフェンスからリズムを掴むという形で、いくら負けていてもディフェンスで粘って追い上げていくという事ができたのが成長だと思います」
若林「春先からトーナメント、新人戦と1回戦で負けましたし、今年のチームはあまり勝ちが先行しなかったので、何が通用して何が通用しないのかリーグ戦の途中とかも全然よく分かっていませんでした。でもずっとディフェンス練習をしてきてそれがリーグ戦で通用していくことが徐々にわかって、自分たちの強みをみんなが理解できました。あとは、前は金丸晃輔というスコアラーにみんなが任せてしまっているところがあったんですけど、今は周りが攻め気でいくようになったので、晃輔も点が取りやすくなったと思います。自分たちの良い部分が通用するという確信というか自信がついてきたから、こういう粘り強さが出たのかもしれません」
駒水「僕の場合は、4年間で気持ちの部分をヘッドコーチに鍛えてもらったと思います。僕はセンターとして体もないし小さいし、自分より大きい相手と毎試合戦っていかなきゃいけないから、その分気持ちを鍛えていただきました。それで東海みたいに、満原とか全日本に選ばれている選手にも向かって行けて勝てたのは良かったと思います」
佐藤「自分は8月の夏の練習から3ヶ月間ずっと塚さんに駄目な部分を注意され続けて、自分の中でも吹っ切れないままリーグ戦が終わってしまったんですが、乗り越えたとは言えなくても苦しいリーグ戦を乗り切ったという事で、インカレに向けて自信が出来たと思います。怖いという気持ちよりも、やってやろうというかチャレンジする気持ちしかありませんでした。それはチームのみんなも同じだったと思いますし、チームとして勝ちたいという気持ちが強かったので、それが勝負どころに出たと思います」
田村「去年はすごい先輩がいて、僕は試合に出ていてもあまり自分がという感じではなかったんですが、今年は塚さんからも攻めていけとよく言われていましたし、春に金丸さんがジャパンの方でいなくなった事もあって、そういう部分を春から頑張ってきました。チームとしては、流れが悪くなった時にどうすればいいかというのがしっかりみんなが把握できたと思います。ディフェンスの面もそうですしオフェンス面も、金丸さんだけじゃなくて他の選手が自分を信じて攻める事とか、周りがすごく良くなってきてチームが一つになったと思います」

金丸は冷静だった。行くところはいき、休むところを休んで得点も分散。

駒水(中央)もファウルトラブルの中、よく持ちこたえた。

若林のシュートが決まり、最後の守りに行こうとする中、塚本監督は思わず飛び出す。厳正に吹けば再度笛が鳴るきわどさだった。

東海大・田中はよく金丸を守っていた。

得点でも貢献した田中。しかし、この1年生を助けられる形にならなかったのも確かだ。
アウトサイドが最後の決定打となる

勝負を決めたのは決勝シュートを放った明治大#20若林(4年・SG)。しかし、勝利に至るまでの明治大はリーグ戦とは全く異なり、攻める姿勢を切らさず、ディフェンスでも粘って東海大を食い止めた。そうしたアグレッシブな気持ちが、わずかに東海大を上回っていた。ブザーが鳴り響き、明治大の面々にはこれまでの苦難を全て吹き飛ばすような笑顔が浮かんだ。
写真:タイムアップとなり、ガッツポーズの明治大・佐藤。
※試合のレポートと明治大の記者会見のコメントは「続きを読む」へ。
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【GAME REPORT】
3Q、東海大は開始から5分間もノーゴールの時間が続く。反対に明治大は#19田村(3年・PF)のシュート、#11佐藤も#7遥からボールを奪うなど、攻める姿勢を見せる。#66加藤もオフェンスリバウンドからタップで押しこむと、ディフェンスではゴール下で粘って#0満原(3年・C)を食い止めるなど見事なプレーを見せた。8点リードされた東海大は残り5分でようやく#24田中のドライブで得点。しかしその後も流れは来ない。明治大はアンスポーツマンライクファウルを始め、次々ファウルを吹かれ東海大にフリースローを与えるも、これを2本とも確実に決めていけない東海大は追いつくことができない。3Qは37-42で明治大リードは変わらずとなった。
4Q、東海大は#0満原がシュートのカバー、ミドル、タップと続けて決め、逆転に成功。明治大はインサイドで奮闘していた#66加藤が5ファウル退場となり、苦しくなるが#11佐藤の3Pがチームを勇気づける。#19田村も内外から得点し、再び東海大から50-57とリードを奪い返した。だが、ここで明治大の得点はストップ。東海大は#34三浦(3年・SG)の3Pと#0満原のミドルシュートで2点差。最後は#34三浦のドライブで57-57と同点に戻して試合は延長戦に突入した。

最後に若林と「目があった」という金丸。それを決めた若林も見事だった。明治大はディフェンスも良く、インサイドでよく東海大を食い止めた。また、アウトサイドの差も大きい。「シューターのチームだった」と言う陸川監督。明治大は確率は決して高くはないが、思った以上にディフェンスで空いた部分から外を打てて、3Pがトータル14本。それに対し東海大の3Pは終盤の三浦の1本だけ。満原が「点数のことを考えすぎた」と言うように、確実に決めたいシュートを決めきれず、焦った感もある。
明治大のベスト4進出は1964年以来の快挙。いい選手をリクルートしながらここまでなかなかこのラインを越えることが叶わなかったが、日本を代表するシューター金丸最後の年に、ようやくそれを成し遂げた。次の相手は慶應義塾大。このまま勢いで制することができるか。
【明治大記者会見】
◆塚本清彦HC(明治大学)
「(作戦は?)リーグ戦のとき接戦をしのいで2勝して、相手もそこから何か変えてくると思ったので、筑波戦を見てその対処法を立てました。相手は筑波戦でゾーンに対するパッシングが良かったので、ディフェンスはマンツーマンでいこうと。この1年間ずっとやってきたディフェンスに自信を持ってやっていこうという事でした。あとはリバウンドです。向こうは天翼君(#7)や満原君(#0)といった選手がいるので、リバウンドの数をイーブンもしくは5、6本の差に抑える事が出来れば、いいゲームになるかなと思っていました。それに、このチームはよく金丸晃輔(#14)が取り上げられますが、それをサポートするキャストが良くなければベスト8、ベスト4にはいけません。前のゲームの拓大戦で、佐藤卓哉(#11)とか田村(#19)といった他が活躍したことが良い材料で、今日もオフェンスはそこがポイントでした。前半の田村ではだめですが、後半3Qの立ち上がり自分で攻めていってリズムを作ったことも一つ評価できることだと思います。弱気にならず、どのように攻めるかも今日のテーマでした。
今までは、逆境になった時に立て直す力がなかったんです。でも今日はもう一回踏み込んで自分たちでやっていこうという事が出来ました。あとは延長戦の最後も、良いディフェンスをして落ちたリバウンドを取って、佐藤卓哉から晃輔、晃輔から若(#20若林)という場面がありましたが、これが今まではなかった。パスの中の信頼関係ですよね。このパスを託すという想いがチームだと思います。誰が特出したとかではなく全員がチームなのでね。彼らが、もう一回自分たちを奮い立たせて7点差から逆転して勝ったというのは、新しい明治の指針になると思います」
◆#14金丸晃輔、◆#20若林 良、◆#31駒水 豪、◆#11佐藤卓哉、◆#19田村 晋
―逆境に耐えられるように変わったという事ですが、どこが成長したと思いますか?
金丸「今年からチームでディフェンスの方に力を入れ始めて、ずっとディフェンスの練習をやってきてリーグ戦もディフェンスからリズムを掴むという形で、いくら負けていてもディフェンスで粘って追い上げていくという事ができたのが成長だと思います」
若林「春先からトーナメント、新人戦と1回戦で負けましたし、今年のチームはあまり勝ちが先行しなかったので、何が通用して何が通用しないのかリーグ戦の途中とかも全然よく分かっていませんでした。でもずっとディフェンス練習をしてきてそれがリーグ戦で通用していくことが徐々にわかって、自分たちの強みをみんなが理解できました。あとは、前は金丸晃輔というスコアラーにみんなが任せてしまっているところがあったんですけど、今は周りが攻め気でいくようになったので、晃輔も点が取りやすくなったと思います。自分たちの良い部分が通用するという確信というか自信がついてきたから、こういう粘り強さが出たのかもしれません」
駒水「僕の場合は、4年間で気持ちの部分をヘッドコーチに鍛えてもらったと思います。僕はセンターとして体もないし小さいし、自分より大きい相手と毎試合戦っていかなきゃいけないから、その分気持ちを鍛えていただきました。それで東海みたいに、満原とか全日本に選ばれている選手にも向かって行けて勝てたのは良かったと思います」
佐藤「自分は8月の夏の練習から3ヶ月間ずっと塚さんに駄目な部分を注意され続けて、自分の中でも吹っ切れないままリーグ戦が終わってしまったんですが、乗り越えたとは言えなくても苦しいリーグ戦を乗り切ったという事で、インカレに向けて自信が出来たと思います。怖いという気持ちよりも、やってやろうというかチャレンジする気持ちしかありませんでした。それはチームのみんなも同じだったと思いますし、チームとして勝ちたいという気持ちが強かったので、それが勝負どころに出たと思います」
田村「去年はすごい先輩がいて、僕は試合に出ていてもあまり自分がという感じではなかったんですが、今年は塚さんからも攻めていけとよく言われていましたし、春に金丸さんがジャパンの方でいなくなった事もあって、そういう部分を春から頑張ってきました。チームとしては、流れが悪くなった時にどうすればいいかというのがしっかりみんなが把握できたと思います。ディフェンスの面もそうですしオフェンス面も、金丸さんだけじゃなくて他の選手が自分を信じて攻める事とか、周りがすごく良くなってきてチームが一つになったと思います」

金丸は冷静だった。行くところはいき、休むところを休んで得点も分散。

駒水(中央)もファウルトラブルの中、よく持ちこたえた。

若林のシュートが決まり、最後の守りに行こうとする中、塚本監督は思わず飛び出す。厳正に吹けば再度笛が鳴るきわどさだった。

東海大・田中はよく金丸を守っていた。

得点でも貢献した田中。しかし、この1年生を助けられる形にならなかったのも確かだ。
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