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第86回全日本大学バスケットボール選手権
筑波大学が3連覇を達成 3連覇以上の達成は1999年の日本体育大以来

2010.12.03 (Fri)

【2010インカレ】12/2早稲田大VS日本大

【延長で勢いを得た日本大がロースコアの勝負を制す】
101202morikawa.jpg 日本大早稲田大のベスト8を賭けた戦いは、延長戦にもつれ込む接戦となった。

 勝負のポイントとなったのはまずインサイド。日本大はリーグ戦後、コンディションの思わしくなかった#24熊(3年・C)が思うように練習できておらず、スタメンから外した。これを好機としたのが早稲田大#14久保田(3年・CF)。#1坂田(1年・F・日大豊山)、#25菊池(1年・C・明成)といった経験値のないインサイド陣をけちらしていくと、#7井手(4年・G)も得点に絡む。日本大はインサイドが不安定で攻め手に欠け、出遅れたが、それでも激しいディフェンスで早稲田大もロースコアに抑えこむ展開となった。2Qも#14久保田、#7井手で攻める早稲田大。日本大はインサイドでファウルを重ねながら得点でも苦しむ。一時は#4篠山(4年・G)、#15熊澤(4年・G)、#3石川(2年・G)の3ガードという場面も出てくる。さすがにこのままでは、というところ、残り3分でようやく#24熊を投入した。早稲田大はこれで#14久保田がやりにくくなったが、#00金井(4年・F)が連続得点して前半は28-22とリードした。

 後半、そのまま#24熊を使い続ける日本大が盛り返し始める。#4篠山からのアシストでじわじわ追い上げ、残り4分、#11飛田(2年・F)の3Pが決まってようやく同点に追いついた。#14森川も連続で得点し、バスケットカウントやゴール下で活躍。早稲田大は再度逆転し、拮抗した内容となるが、#7井手が最後の速攻で4つ目のファウルとなり、リードはわずか1点、43-42で4Qへ。

 次第にボールが回り始めた日本大は#4篠山が次々アシストを繰り出していき、#15熊澤も#7井手相手に好ディフェンスで魅せる。点の取り合いになる中、早稲田大はファウルが増えていくが、日本大も得点は止まり気味。アウトサイドが決まらず、早稲田大#00金井に走られる展開となる。残り1分を切り、54-53の時点で日本大は#11飛田が#4篠山のパスコースを飛び出すミスでターンオーバーに。しかしすぐさま相手からターンオーバーを奪い、難を逃れる息詰まる攻防となる。早稲田大は残り25.7秒で#00金井がフリースローを決めて56-54。しかし残りの時間で粘り強く形を作った日本大は#1坂田がゴール下を決めて6.8秒で56-56の同点に戻す。早稲田大は最後のオフェンスでシュートにつながらず、ブザー。延長戦に突入した。

 延長戦、やや形勢不利になったのは早稲田大。チームファウルが5つを越え、ファウルが即フリースローにつながる。#11飛田が最初にフリースローを得ると#4篠山がバンクで3Pを決め、日本大が波に乗った。早稲田大は#14久保田の得点や#7井手が最後まで鋭い動きでゴールを狙っていくが、残り10.5秒で#4篠山がミドルシュートを決めると、そこで力尽きた。66-63。最後まで分からない接戦だったが、日本大がなんとか逆転で勝利をおさめた。

101202ir.jpg 日本大は最初から熊を投入したかったところだが、我慢してそれでも逃げきることができた。そんな中でも森川が21得点で大きく貢献した。アウトサイドはまだ安定が足りないが、ロースコア展開となった部分で、日大のペースではあった。未だ万全ではないチーム状態が続く日本大だが、ここからも油断ができない相手が続く。「一歩一歩」という篠山。使える戦力でどこまで戦えるか。

 早稲田大は相手を追い詰めたが、及ばなかった。久保田の得点が後半伸びなかったのが惜しまれる。しかし井手、金井といった両エースはできる部分も見せた。井手は1年生の時のような伸び伸びとした部分が目だち、得点センスの高さを見せつけた。これで引退となるが、浜松大の永手、日本大の篠山といった北陸の同級生と最後にやりたいと以前から口にしていた。長らく対戦が叶わなかった彼らと最後にやれたことを「それだけは本当に良かった」と締めくくった。

写真上:終盤、足がつって下がった森川だが、最後は意地で戻って見事な活躍だった。
写真下:井手のマッチアップは熊澤だったが、メンバーチェンジで少しだけ篠山とのマッチアップが実現。

※日本大・飛田選手、早稲田大・相井選手、井手選手、下山学生コーチのインタビューは「続きを読む」へ。

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【INTERVIEW】

「思い切って打っていきたい」
まずは目の前の試合に集中するだけ

◆#11飛田浩明(日本大・2年・F)
101202tobita.jpg苦しかった時間帯を3Pでチームを助けた。篠山が狙った位置へのパスに、飛び出してミスもしたがそれを相手に再びターンオーバーさせるなど、取り返した部分もある。昨年は打つだけだったが、ディフェンスも次第に良くなってきた。いずれにせよ、万全とはいえないチームで飛田のポジションが果たす役割は大きい。今後も働きにも期待がかかる。


―危ない勝利でしたが、今の心境はいかがですか?
「ほっとしています。迷惑かけてみんなに申し訳なかったです。勝負どころで自分はミスしてしまったわけだし、自分のせいで負けてもおかしくない試合でした。でも何とか勝たせてもらって次に繋がったので、切り替えていかなきゃいけないと思います」

―大事な場面でのミスも確かにありましたが、他の場面で良かった部分もありましたよね。ディフェンスも以前より良くなったように感じたのですが。
「4Qラスト、自分がファウルしてしまってフリースローで2点差ついて、でもそこでまた仲間が決めてくれて延長になったので、そこからはもう絶対にやらせないという気持ちで守りました。金井選手とのマッチアップは、高さもあってやり辛い部分もありましたけど、試合を通して足も動いたので良かったと思います。終盤も足はまだまだ動くなと思いましたし、足が出来てきたという手ごたえはあります」

―勝敗を分けた点は何だと思いますか?
「勝負どころでのディフェンス、リバウンドだと思います。決めてくれて延長に入った時は、勝てるという自信がありました。延長戦はディフェンスもリバウンドも良くて、そこを制すことが出来たのが勝因だと思います」

―序盤は固さも見られましたね。それは熊吉選手がいなかった事も影響していますか?
「出だしはチーム全体として堅かったですね。1Qは7点とかでしたし。確かに熊吉さんがいなくてインサイドに軸がなかった事もあるかもしれません。でも1年生の2人も頑張ってくれたと思います。それで熊吉さんが入ってからはますます良くなりました」

―リーグ後、インカレまでのチームの雰囲気はどうでしたか?
「正直あまり良くなかったですね。怪我人もいましたし、練習も微妙な時があったと思います。それがこういう風に試合の入りとかに出てしまったのかもしれないです」

―今シーズン、3番ポジションが固定されずに浜田選手(#19)や金城選手(#29)、名塚選手(#72)との交代出場が多いと思いますが、それについてどう感じていますか?
「日大は3番が不安定だとかは言われているんですけど、でも出るからにはやるしかないというか、出来ることをやるだけだと思っています。同じ2年である浜田とかと、お互い頑張ろうと言っていますね」

―明日への意気込みをお願いします。個人として課題はありますか?
「明日の関東学院大は、パプ選手(#1)がいてインサイドはなかなか攻め辛いと思うので、僕とかのポジションが頑張らなきゃいけないと思います。課題は、まずはシュートを打っていくことです。もちろんそこは入れなきゃいけないんですが、その前にまず思い切って打っていきたいですね。そこからリズムを掴むということもあると思いますし。あとはシュートだけじゃなく、パスの繋ぎだとかディフェンス、リバウンドといった点をもっと徹底していきたいです」

―優勝候補の青山学院大との戦いは意識していますか?
「いや、まだ青学とかではなくて、目の前の関学との試合に集中するだけだと思っています」


「完全燃焼」目標の1部昇格を成し遂げた、
達成感のあるシーズンに幕

◆#52相井大樹(早稲田大・4年・SG・主将)
 波乱の4年間が終わった。負けはしたが、今年度の目標を達成し、最後はチームがまとまれたことにホッとしている様子も見えた。
 入学した時から即戦力として注目を浴び、1番ポジションに挑戦したこともある。2部降格となって大学バスケの難しさを味わう場面もあったが、2年生のリーグ戦では勝負強い3Pで明治大を入れ替え戦候補から追い落とすような大逆転劇を見せたり、頼れる存在でもあった。最終学年は主将としてコートよりもチーム内での役目を果たすことが多かったが、1部昇格という最大の目標をクリアしたことは、何よりも大きな結果だっただろう。
「満足」
そう言って引退できる選手はそう多くない。短い一言の中に、さまざまな重みが詰まってるのが感じられた最後だった。


―今の心境はいかがですか?
「すごくいい試合が出来たし、1年間やってきたこととか自分の4年間を全て出せたので自分としては満足しています。欲を言えば勝ちたかったというのが正直なところですけど、でも最後の試合にふさわしい良い試合が出来ました。すごく満足していますし、チームにも感謝してます」

―相手が日本大ということについて、試合前はどう感じていましたか?
「ここ2年間くらい練習試合でも京王電鉄杯でも勝てなくて、むしろ1Qから圧倒されて終わるくらいの試合しか出来ていなかったので、正直不安でした。それに昨日の浜松大戦でも前半は向こうの雰囲気に飲まれていましたし、今日もどうなるかなって不安はありましたね。でもスタートの5人が自覚を持って気持ちを前面に出してプレーしてくれたので、こういう良い試合が出来たと思います。不安はあったけど、始まってみれば自分たちのリズムで出来たかなという印象です」

―良い試合に出来た大きな要因は何ですか?
「やっぱり気持ちじゃないかなと思いますね。技術的にリバウンドとかディフェンスとかポイントをを絞って徹底出来たのも良かったんですけど、最後まで競れたのは勝ちたいという一人ひとりの想いが一つになったことが大きいと思います」

―試合終了の時も涙はありませんでしたが、やはりやり切ったという気持ちだったんですか?
「裏でめっちゃ泣きましたけどね(苦笑)。最後、延長戦でばーっと点差を離された時に、もう勝てないかなと思った瞬間がみんなあったと思うんですよ。でも井手(#7)とか金井(#00)といった4年生がコートで気持ちを見せてくれて、1点差まで一気に追い上げて最後まで気持ちの入った試合にしてくれたので、自分としては清々しかったですね。試合が終わってからも絶対泣かないでおこうと思ったんですけど、やっぱり最後サークルになって喋るとかあるじゃないですか。その時、今までやってきたことがばーっと頭に浮かんできて。全然涙で上手く喋れなかったですね。自分でも何言ってるのかわからない状態でした(苦笑)。でも、完全燃焼ですね。最後に金井(#00)のガッツポーズも見れましたし(笑)。あれはベンチで見てて涙が出そうになりましたね」

―今年は金井選手(#00)もすごく気持ちを表現するようになりましたね。
「そうですね。あいつはそういうやつですよ。すごいシャイなのも良いところなんですけど(笑)。頼りになりますし」

―昨日の浜松大戦よりもチームとしてまとまっていたような印象なんですが、昨日の試合からこの試合までにどんな話をしてきたんですか?
「浜松戦が終わった時、勝てたという安心感はあったんですけど、“もし仮にここで負けていたら、自分たちは後悔しなかっただろうか”という事をみんなで振り返って。その時に、試合に出ている5人もそうですが、ベンチの人も応援の人たちも、みんな全部出し切れていたわけじゃなかったんですよね。それで、もしこんな風に終わってしまったら絶対後悔するだろうと。“明日は勝つか負けるかわからないけど、全員まず自分たちの今までやってきたことを出し切ろう、後悔しないようにしよう”という事は言いました。あとはもう思い切って勝負を楽しもうという事を意識してこの試合には臨みましたね」

―入れ替え戦で1部昇格を果たしてから、インカレへの切り替えはすぐに出来ましたか?
「3日間の休みがあったんですけど、そこで割としっかり切り替えられました。結果を一つ出して気持ちが切れるとかではなくて、逆に入れ替え戦で勝てたことでさらに雰囲気も良くなって、チームとしても良い状態でインカレに臨めたんじゃないかなと思います。それを初戦で出せなかったのは残念でしたけど、今日の試合には出せたと思います」

―では、今シーズン振り返ってどうでしたか?
「どうですかね…。一言でいえば、すごく満足してますね。チームメイトとか周りの人たちに感謝してます。キャプテンをやらせてもらって、重圧とか責任とか1部昇格の期待とか、そういう色々なプレッシャーを全部自分が背負わなければならないと思っていたんですけど、チームのみんな、Bチームとかも含めてほんとにみんなが一緒に負担してくれて。みんなが雰囲気とか盛り上げてくれましたし、日々の練習から支えてもらいました。そういう意味では感謝しっぱなしの1年間でしたね。自分としては1部昇格という結果も出せましたし、良いシーズンだったなと思います」

―これで4年間の大学バスケットを終えたわけですが、4年間で何が一番印象に残っていますか?
「1年生の時に関東で準優勝したこととか、3年生の時に早慶戦で勝てたこととか、色々と頭に浮かぶんですが、でもやっぱり一番は目標の1部昇格を成し遂げた入れ替え戦ですね。あの試合は本当にチーム一丸として戦えましたし、なおかつ結果も出せたので、自分の思い出の中でも一番輝いている試合です。今日の試合もあれに負けないくらい良い試合だったんですけど、結果というところが違うので(苦笑)、入れ替え戦の方を一番にしたいと思います」

―4年間を共に過ごしてきた同期の選手たちはどんな存在でしたか?
「すごい個性が強いですよね。それで周りの人から“まとめるの大変でしょ”ってよく言われたんですが、でもやっぱりみんなそれぞれ部活の事をしっかり考えていますし、チームがどうあるべきかとか、一選手として自分がどういうプレーをすべきかとかは本当に一人ひとりが理解していたので、まとめる難しさとかはなかったですね。自分が逆に一人で抱え込み過ぎて失敗してしまうケースも多かったので、そういう時支えてくれたのも4年生ですし。すごく頼りになる仲間です。本当に早稲田に入って良かったって心から思います」

―下山学生コーチは、今年の4年生は“個性が強くてまとめるのが大変”と言っていましたよ。
「まぁ、バラバラになりそうなことも1回や2回どころじゃなかったので(苦笑)。でも、何やかんや言ってもミーティングとか開いて、その次の日には一つにまとまってましたね。そういう意味でも、みんなバスケットに対して真摯に取り組んできましたし、まとめるのが難しいと思う時もありましたけど、今となっては自分が考えすぎていたのかなと思いますね。もっとシンプルにキャプテン出来たのかなと思います」

―早稲田大での4年間で得たものは何ですか?
「一番は、4年間一緒にいて同じ目標に向かって努力してきて、最後に結果を出すことが出来た、この素晴らしい同期ですね。この仲間が4年間で得た一番のものだと思います。うまく言えなくて、“仲間”っていうすごいありきたりな言葉になってしまうんですけど(苦笑)。本当に同期の仲間には感謝しています」

―今年のシーズンが始まる時に話し合って、“自分たちの代にしか出来ないことをしよう”という話になったそうですね。それで下山君がコーチになるなどの役割分担が決まったという事ですが。
「そうですね。自分たち4年生は人数も多かったですし、バスケットをよく理解している人間も多くて、中でもたぶん下山が一番理解していたと思うんですよ。そういう人間が監督と選手のパイプ役になってくれる事で、もっと監督の要求とか選手の要望を伝えあえると思って。そういう意味ですごく重要な役割を担ってくれました。それはチームの事を本気で思っている4年生だからこそ出来たのかなと思いますね。これが伝統として続いていってくれればいいんですが、それは後輩たち3年生以下が考える事なので。自分たち4年生は、こういう形になりました」

―後輩たちに何を伝えたいですか?
「来年は1部という舞台で出来るので、そこで活躍する早稲田を見せて欲しいですし、この先もずっと1部に居続けてほしいと思います。それだけです」

―今シーズン、ベンチスタートから相井選手が上手くチームのバランスを取っていたと思います。
「どうなんですかね、自分もそういう風にやりたいとは思っていましたけど(苦笑)。まぁ結果として僕がどう影響したかはわからないですけど、自分がベンチにいるというのは、キャプテンとして、4年生として、一選手としてベンチにいるという事だと思っていたので、それにふさわしい姿勢を見せていこうと。ただそれだけを思っていましたね」


早稲田大を牽引し続けた“負けず嫌い”
悔いの残る幕切れと引き換えに責任を託す

◆#7井手勇次(早稲田大・4年・G)
101202ide.jpg インタビューに答える口調は丁寧で落ち着いていた。しかし、よくよく聞けばその端々に、言葉では表現しきれない悔しさがにじんだ。ルーキー年にトーナメントで準優勝しながら2部降格、2部での足踏み。3年のインカレでは1回戦で天理大に敗れる憂き目に遭った。それでもいつも最後まであきらめずにチームを引っ張った。
「負けず嫌いなので」
 そして得た1部昇格。その勢いに乗って日本大にも迫ったが、迫ったからこそこの敗戦を井手は「1番悔いが残る」と表現した。成績だけを見れば、“日陰の道”だったかもしれない。しかし彼はいつもスポットライトが当たっているように目を惹く選手だった。それは常に責任感を持ってプレーしていたからに他ならない。下級生が多くゲームに出ていた今シーズンの最後に、コートに立つ責任を後輩達に託して、一足早く大学バスケの舞台から去る。


―学生最後の試合になってしまいました。
「今はただ悔しいですね。勝てた試合を逃してしまった感じなので、1番悔しい終わり方です。でも…力負けかな。1部でタフなゲームをやってきたチームと、2部でやってきたうちとの差が出たんじゃないかと思います」

―立ち上がりからずっとロースコアで、息詰まる展開でしたがどのように感じていましたか?
「お互いディフェンスに力を入れているチームだというのは最初からわかっていたことなので、それは別に気にはならなかったです」

―では、4Q終盤からオーバータイムに掛けてはどんな心境だったのでしょうか。
「まず4Qの最後、2点勝っている状況から同点にされたことに関してはそれほど何も思わなかったです。もちろん守れるなら守りたかったですが、同点にされる可能性も想定して、それでも5秒くらい残るから1プレーできると考えていたからです。ただ、そこでタイムアウトになったとき、延長になったら厳しいとは思いました。だから本当はあのタイムアウト後の6秒で決めて終わりたかったですね」

―オーバータイムの展開はまさにその予感があったようになりましたが、でもあのビハインドからまた追い上げたのは失礼ながら今までの早稲田大にはなかった強さだったと思います。
「うーん、でも、そこで勝ちきれるか勝ちきれないかが大きな差です。あれで勝つのが強いチームだと思います」

―熊澤選手とのマッチアップはどうでしたか?この代でもかなり能力の高い選手同士のマッチアップだったと思いますが。
「ディフェンスはゾーンが多かったので特にオフェンスで言えば、京王杯で1度すごいブロックを食らっているので常に警戒はしていました。能力が高いというのはわかっていたので、結構楽しめた部分もあります。ずっと2部で、なかなかこういう選手とはやってこなかったので、最後に大学屈指の能力系の選手とできてよかったかなと思います」

―マッチアップは少ししか実現しませんでしたが、最後の相手が篠山選手というのは何かあると感じますか?
「(ちょうど篠山選手が隣に来て)いえ、ないです!(笑) …まあ、1回戦で(永手)ワシントンのいる浜松大、2回戦で(篠山)竜青と、北陸対決ができたのは嬉しかったです。最後に他の相手じゃなくて、竜青とできたのはずっと自分の記憶に残ることですね」

―ここからは今シーズンを振り返ってもらいたいのですが、1部昇格など成果もあった1年だったのではないでしょうか。
「そうですね、本当に成長したと思います。これからも成長できるのになと…(苦笑)。ある意味この上向きのときに終わってよかったのか、残念なのかというのは今はわかりかねるんですが、それも含めて色々な経験ができたのは自分の中で大きいことです。これからもいい思い出として残っていくと思うので、よかったです」

―4年間を振り返ってはいかがですか?
「色々な意味で、苦しかったですね。自分としてはこれが最後のバスケットになるので、悔いは残したくなくて、本当はこういう結果で終わりたくはなかったです。まだ力の差を見せ付けられて負けた方がすっきりしたんですが、悔いが残る終わり方になってしまいました。4年間を振り返っても、苦しく悔しい試合が多かったなと思います」

―その苦しい中支えあった4年生の仲間はどんな存在ですか?
「それだけが早稲田に入ってよかったと思うくらいのものです。AチームもBチームも関係なくすごく仲が良くて、まとまりのあるメンバーでした。本当にありがとうと、感謝の気持ちを伝えたいです」

―4年間で成長したと思う部分は?
「すごくありますよ。1年のときも竜青とリーグ戦で対戦しましたが、そのときはお互い高校のノリというか、ただただ必死にやっているだけでした。それから4年目にまた対戦して思うのは、お互いチームを引っ張る状況になったんだなと。それで負けてしまったのは残念なんですが、それが実感できてよかったです」

―後輩達に、井手選手のような苦しみを味わわないために何かアドバイスはありますか?
「1年、2年、3年と、スタッフが変わったのもあって1年ごとに環境が全く違った中でやってきたので、今年こそ、僕らの代で早稲田を変えたいという思いがすごくありました。でも、チームの隅々まで面倒を見きれなかったなと思います。ただの仲良しで終わっている部分もあったので、言わないといけないことは言っていかないといけません。それから、自分から飛び込んでいってコミュニケーションして、選手同士やスタッフとの信頼関係をつくること。そして、たとえ下級生でも、人数が多い中でチームの代表として出るからにはもっと責任感を持ってほしい。下級生のときから試合に出てきた実感として、学年が上がるにつれてプレッシャーも重く圧し掛かりますが、そうしたプレーで引っ張るのはもちろんのこと、メンタル的な部分でも中心となってやっていってほしいです。そうでないと最後を任せられる選手がいなかったり、大事な部分でミスをしてしまったりして変われないままだと思います。このインカレで、こういう悔しい試合をしたのも後輩からしたらいい経験になると思うので、これをバネに頑張ってほしいです」


「後輩たちが何かを感じてくれたら幸せ」
伝統の継承を後輩に託す

◆下山竜良(早稲田大・学生コーチ)
 幼い頃から専門誌に取り上げられる全国区の選手だった。大学に入学した時も、早稲田大の新たなゴールデン世代となることを期待されていた。今期、その彼が学生コーチとなったことを残念がる人もいたが、自分で選んだ道であることも確かだ。スタッフ陣と選手の繋ぎ役としてはもちろん、主将の相井も頼れる存在としてチームを影から支えてきた。選手ではなくとも、チームにはなくてはならない存在は確かにいる。下山はそうした存在だったと言えるだろう。


―立ち上がりは堅さが見えたように思えたのですが、ベンチから見ていていかがでしたか?
「立ち上がりはいつも堅いんですけど(苦笑)、いい意味での堅さはありましたね。リーグ戦の戦い方とは違って、“1回負けたら終わり”という意味で堅さはあったと思います。でも、最上級生の思いが伝わってきたゲームだったと思います。ディフェンスも気持ちが入っていたゲームだったと思いますし」

―最後に勝負を分けた差はどこにあったと思いますか?
「自分達が受けに回ってしまったところですね。4Qの最後の方は、日大は選手もベンチも延長戦を見越して試合をしていたと思うんです。そういうところで、自分達の経験不足や覚悟の甘さが出てしまったなと思っています」

―4年間を振り返って。
「自分たちの代は個性的な人間が多いし、下級生の頃からチームの主力としてやってきている奴が多い代でした。今年は、1つの目標を立てて、それに向かってやってくることができました。そういう意味では、同期に恵まれていた4年間だったと思います。同期には感謝したいし、また、それを支えてくれた先輩やOBの方々、後輩に感謝したいです」

―今シーズンは、学生コーチという立場になり、チームを支えて来ました。学生コーチになったきっかけは何だったのでしょうか?
「シーズンの始めに最上級生でミーティングをした時に、“自分達にしかできないことをしよう”という話になったんです。そして、この体制がいいだろうという話になり、実践したということです」

―プレイヤーに対する未練はなかったのですか?
「それは選手の前では言えなかったですよね。でも、これで結果が出るならばいいと思っていました。チームの中で犠牲にするものがなかったら、結果を掴むということはできないと思います。そういう意味で、何かを犠牲にするということが、自分がプレーをすることをやめて、裏で選手を支えるという役割になったんです」

―その、学生コーチとして過ごして来た今シーズンはいかがでしたか?
「“自分たち4年生の代でしかできないことをやろう”と考えてやってきたわけですが、リーグ戦で1部昇格という目に見えた結果が出ました。これは、自分たちの代の1つの成果として実感しています。でも、このインカレでは、リーグ戦と違った難しさがありました。いい意味でも、悪い意味でも、まだまだ経験が足りないなって思いましたね。経験の幅を増やしていくために、視点を変えて練習に取り組んで行かなければならないなということを感じました」

―こうして、“自分達にしかできない体制”を貫いて来た今シーズンは、後輩に残せたものは大きいのではないでしょうか?
「自分達にはわからないけど、後輩達が何かを感じ取ってくれたら、それは幸せなことだと思います」

―来年の早稲田を担っていく後輩達に、伝えたいことはありますか?
「後輩には本当に申し訳ない気持ちが残ります。“優勝”というものを一緒に掴み取って、その中で“伝統”っていうものを築いていきたかったんですが、全然簡単なことではなかったですね。本当に申し訳ないです。これからも、今まで自分達がやってきたことをやりつつ、伝統というものを受け継いで行ってほしいと思いますね。こんな感じで、アドバイスは特にないです(笑)。とりあえず、“飯を食え!”ってことを言いたいですね。あいつら細いじゃないですか。だから、飯を食えと。健康第一です!」

―最後に、4年間共に過ごした4年生にメッセージを。
「校歌の3番あるじゃないですか。『集まり参じて人が~』ってやつ。あれ、自分好きなんですよ。あれを伝えたいです」

※早稲田大学の校歌の3番に「集り散じて 人は変れど
仰ぐは同じき 理想の光」という部分がある。
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テーマ : バスケットボール(日本) - ジャンル : スポーツ

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