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2013.05.24 (Fri)

【SPECIAL】BOJラインvol.16〜宇都直輝選手〜

リレー形式インタビュー「BOJライン」
vol.16~専修大学・宇都直輝選手~


130525uto11.jpg 選手の指名でリレー形式にインタビューをつなぐ「BOJライン」。第15回の筑波大・星野拓海選手からバトンを渡され、今シーズンのトップバッターとなるのは専修大・宇都直輝選手です。

 大学1年時から平均27.9得点という脅威の数字を叩き出し、3年連続で1部リーグの得点王の座をほしいままにしてきた大学界屈指のスコアラー。分かっていても止められない鋭い1on1と抜群の走力は、常に見る者を惹きつけてきました。最終学年となる今年はポイントガードの役目も担い、仲間をまとめるリーダーシップや敵を引きつけてさばくアシストなどでもさらなる輝きを放っています。チームを勝利に導くエースとして、今シーズン絶対に見逃せない逸材です。

 プレーからも伝わってくる負けん気の強さや、ひるむことのない強気なキャラクターが魅力の宇都選手。今回はそのバッググラウンドについてもじっくり伺っていますが、バスケットをする姿以外に新たな一面が見えてきた興味深いインタビューとなりました。宇都選手のバスケットには、彼のバスケットに対する考え方や幼い頃の経験がすべてつながっているようです。BOJライン、第16回もどうぞお楽しみ下さい。


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バスケットを始めた思わぬきっかけ

130525uto01.jpgBOJ(以下B):BOJライン、第16回は専修大・宇都直輝選手です。よろしくお願いします。星野選手からの紹介ですが、星野選手とは高校時代から試合では会っていたとか。
「何回か市立船橋と練習試合はしました。そこまでしゃべるってわけじゃなかったですけど。そのときはまだ会釈程度でした」

B:千葉の市立船橋と愛知の中部第一でどうして試合を?
「市船の監督とうちの監督が仲良くて。1年の時なんか50点差でやられましたけどね。自分が入学する直前の中3の時に練習試合をやって50点差で負けて、高1のインターハイも50点差で負けて。でも2年の時も最初は勝てなかったんですけど、途中からは勝てるようになってそこからは負けてないですね」

B:そうだったんですか。星野選手は関東選抜の時、宇都選手が都市伝説の話に食いついてくれて嬉しかったそうです(笑)。選抜メンバーは仲が良いらしいですね。
「あのとき星野さんとノブさん(長谷川智伸・12年度拓殖大主将)と3人で座っていたんですけど、自分はすごく聞いてましたね。ノブさんは『ふ〜ん』みたいな感じで全然興味なかったみたいですけど(笑)。まぁみんな仲は良いです」

B:では本題に入りますが、バスケットを始めたのはいつからですか?
「真面目にミニバスに入ってやり始めたのは、小5の終わりです。それまでは学校の部活で遊びみたいな感じでやっていました。うちの小学校って小4から学校の部活みたいなのに入れるんですけど、夏は野球部、冬はサッカー部みたいに色んな競技をやるんですよ。それでバスケもやってはいました」

B:ご家族は誰かバスケをやっていたんですか?
「はい。母がやっていました」

B:ではお母さんに勧められて?
「いや、勧められてというか…。本当はサッカーがやりたくて。春は野球をやって、夏休みの間は陸上部に入って、冬はサッカー部に入りたかったから、そう親に言って入部届けみたいなのを出したんです。なのに届けが学校から戻ってきたら、『野球部・陸上部・バスケ部』になってて。『え?』って思いましたけど、親がバスケに入れたくて勝手に書き替えたらしいんです。それで『まぁいっか、やろ!』と思って冬にバスケに入った感じです」

130525uto18.jpgB:そうだったんですか。もともと本意ではなかったんですね。バスケットはやってみて楽しかったですか?
「あまり覚えてないですけど…でもたぶん、バスケットの友達といるのが楽しくて。ミニバスの友達は、鈴木ってやつが大東にいて、山下純也ってやつが日体にいて、もう一人が愛知県にいるんですけど、今でも仲いいですね」

B:大東の#30鈴木選手とは中学だけでなくミニバスも一緒だったんですね。その頃、身長は大きかったんですか?
「その頃はかなりちっちゃかったです。でも遺伝的に、母の方の家系が大きいんですよね。母も173とか174くらいあって、じいちゃんも180以上あって」

B:その身長はお母さん譲りなんですね。身長はいつから伸びたんですか?
「中学校です。中学に入学する時は156cmとかだったんですけど、卒業する時には181cmくらいになっていました。高校でも伸びて187くらいまでいって、今188とか189です」

B:中学校の3年間で25cmも伸びたんですか。成長痛がひどそうですね。
「ひざは結構痛かったですよ。でもよくみんな『オスグッド』(※1)がひどいとか言うじゃないですか。でも俺、そういうのはそんななかったです。案外普通にできました」

B:ミニバスは強かったんですか?
「一応強かったですね」

B:全国大会への出場は?
「いや、ミニバスって『4校協定』ってあるじゃないですか。5つ以上の小学校から選手が集まっていると全国に出られないんですよね。うちのチームは全国を目指すんじゃなくて県で戦って勝てるチームで楽しくやろうって感じだったので、結構いろんなところから人が集まっていて全国は出られなかったんです。でも愛知県で1位になったりはしていましたね」

写真下:大東大の鈴木友貴選手はミニバス時代からの幼なじみ。


「強い相手とやるのは楽しい」初めての全国大会

130525uto07.jpgB:そこから名古屋の明豊中に進みましたね。全国大会にも出場している強豪チームだと思いますが。
「もともと近くの中学に行く予定だったんですけど、鈴木に『越境するから一緒に行こうよ』って言われて。悩んだ結果、親にも『行けば?』って言われて『じゃ行くわ』って感じで進みました」

B:では進学予定だった中学よりも家から遠くなったんですね。
「遠かったですね。チャリで40分くらい。いつも朝練があるので、親が朝は送ってくれました。車のうしろにチャリを入れて送ってもらって、帰りはチャリに乗って帰ってきたり、電車で帰ったりしてました」

B:中学はどんなチームだったんですか?
「自分が1年生の時は、3年生の人たちがオフェンスはそんな上手くないんですけどディフェンスが超上手くて、それだけで愛知県2位になったんですよ。今思うとほんと気持ちで戦っていたチームだなと思いますね。それで2年生の時は自分も結構スタメンとかで出られるようになったんですけど、早めに負けてしまって。強かったんですけど、気持ちが弱くて途中で気持ちが切れちゃったり経験不足だったりして、それで早めに3年生が引退して自分らの代になりました。3年の時は、基本的に俺と鈴木の二人が攻める感じのチームでしたね」

B:全中では太平中と鳥屋野中と対戦していますね。どちらも現在大学界で活躍している選手が多くいるチームですが。
「そうですね。結構覚えています。池田(筑波大#35)、目(明治大#2)、矢嶋(慶應義塾大#10)、戸ヶ崎(大東文化大#7)、同じチームのデラ(専修大#15小野寺)とか、あとは小林(青山学院大#3)とか和田(東海大#18)もそうだし。結構いますね」

B:戦ってみてどうでした?
「全国は初めて出ましたけど、やっぱり強い相手とやるのは楽しかったです。まぁボコボコにやられましたけどね。太平とは最初競っていたんですけど途中から引き離されて、次の試合に懸けるために自分たち主力が下がったんですよ。でも鳥屋野にも結局ボコボコにされて。あんまり覚えてないですけど、最後の方で3Pを5本くらい連続で決めたのは覚えてますね」

B:それはすごいですね。ジュニアオールスターにも選ばれていますが、それは印象に残っていますか?
「覚えてます覚えてます。あのときはかなり面白かったですね(笑)。コーチが中学の時に行っていたクラブチームの監督だったんですけど、その人『どうせバスケやるなら楽しくかっこ良くやれ』みたいな考えで。アップもそんなガチでやる必要ないから鬼ごっこやってろ、みたいな感じだったので、試合前のアップもずっと鬼ごっこしてました(笑)」

B:それは変わっていますね(笑)。
「で、熊本と兵庫と同じ予選グループだったんですけど、下馬評的に兵庫より熊本の方が強いと言われていたんです。それで最初に熊本と戦ったら勝ったので『なんだ、兵庫なんて余裕じゃん』みたいな感じで、兵庫戦の前、外で昼寝してたんです(笑)。でもいざ試合が始まったら、一気にボコボコにやられて、追いつけなくなって。『あれ? なんか兵庫強くね?』って言ってるうちに負けました。それであっけなく予選リーグ敗退。本当は決勝トーナメントにいって秋田とか埼玉ともやる予定だったんですけどね」

B:試合前に昼寝とはすごいですね(苦笑)。中学の練習はきつかったですか?
「いや、でも楽しかったですよ。基本的には実践形式が多くて、一対一がメインでした」


高校時代に培った走力とメンタル

130525uto05.jpgB:そこからどうして中部大第一高校に?
「最初は県外に出たかったんですけど、まぁでも色々考えて愛知でいいかなと。愛知の中でもいくつかの学校から話は来ていたんですけど、真面目に練習するならここかなと思って中部第一にしました」

B:中部第一は練習がかなり厳しかったそうですね。
「鬼キツいですよ! マジで泣きそうになります。何回バスケット辞めたいと思ったか。全部がキツいんです。心身含め。あの3年間はほんと…。今は自分たちがいた頃ほどではないみたいですけど」

B:宇都選手をそこまでヘコませるなんて相当ですね。
「いやもう絶対に戻りたくないですね。試合で『疲れたー』とか言ってるレベルじゃないんですよ。もうマジで死にそう。言葉がでない(苦笑)」

B:練習の中で何が一番キツいんですか?
「基本的にかなり走るんですけど、うち、ハーフコートの練習しないんですよ。バスケ部専用の体育館がかなり広くて、スペースにも余裕のあるオールコートが2面取れるんです。それでうちのチーム、ユニフォームをもらえるのは15人とかなんですけど、Aチームが9人しかいなくて、その9人だけでオールコート1面使って監督の前で練習するんです。だから3メンとかやると、3組なんですよ。分かります? このキツさ…」

B:それはキツいですね。3メンは何本で?
「何本とかじゃなく、基本的に1往復・2往復・3往復・4往復・5往復を、全部秒数を決めてダッシュでやるんです。時間に間に合わなかったらリピートだったり、シュートを外しても一からやり直しだったりして」

B:9人でやるのは確かにキツいですね…。
「そうなんです。あとは『24秒ダッシュ』ってあるじゃないですか。今結構どこの大学でもやっていると思うんですけど、24秒以内に2往復と途中までダッシュする練習メニューがあるんです。あれよくみんなキツいとか言ってますけど、あれ10本がまずアップでしたからね。今思うと意味分かんないです(笑)」

B:では今の宇都選手の走力はそこで鍛えられたものなんですね。
「絶対そうです。メンタルとかも絶対そう。あそこにいたら、どんだけ性格悪いやつでも性格良くなるんです。助け合わないとやっていけないんで(笑)。いやこれホントですよ」

B:助け合うか否かに生きるか死ぬかがかかっているんですね(苦笑)。
「ほんとそうです。常に声をかけ合って協力してやらないとクリアできないですから。基本チームでやるメニューだったので、仲間が走れなかったりシュートを外したりしたら無理ですし」

B:部活ではよくありますが、連帯責任はいかにみんなでクリアするかですもんね。
「よく覚えてるのは、バレーコートをただ5人でグルグル走る練習メニューがあったんですよ。それも全員がタイムをクリアしなきゃだめだったので、足が遅いやつらを走れる組が声をかけたり後ろから背中押したりしながら引っ張って走って、最後にそいつらを抜かしてギリギリで全員時間内に入るみたいな。基本的に天傑(青学大#8張本)と俺が走れる組だったので、二人で前と後ろを挟んでやってましたね。そんなことやってたら、体力がむっちゃつきました」

130525uto08.jpgB:宇都選手が大学1年生の時、ガンガン走っていた試合後に『まだまだ走れます』と話していて驚いた覚えがあります。試合も体力的には余裕でしたか?
「そうですね。1試合だったら余裕でした。今は体力も落ちてちょっとキツいですけど。でも今でも、天傑もたぶんそうだと思うんですけど、疲れても動けるんですよ。自分で限界の越え方を知っているというか。昨日(京王電鉄杯2日目)も2試合80分出ても最後の方でまだ走れたし」

B:辛い時にあと1歩頑張れるのは、高校の経験からなんですね。
「そうですね。不思議と結局動けるんですよね。自分ではそんな頑張ろうとしてなくても、体が自然と。それはたぶん中部第一のおかげだと思います」

写真下:1年生のリーグ初戦の相手はその年のリーグ戦で準優勝した慶應義塾大。宇都選手はフル出場で41得点。トランジションスタイルの慶應大相手に何度も速攻を出して勝利し、試合後ももっと走れると余裕の表情だった。


どんな相手でも立ち向かう強靭な精神

130525uto09.jpgB:中部第一では、3年間インターハイに出場していますね。覚えているエピソードはありますか?
「1年のインターハイは、市船にボコられた記憶しかなく…。あ、でも自分1年の時、熱中症で倒れて。確か佐賀インターハイだったと思うんですけど、体育館がガンガンにクーラーが効いててめっちゃ寒くて、それなのにアップ場がかなり暑くて、その温度差で熱中症になっちゃったんです。それで一試合目はヘロヘロで出てなんとか勝って、その試合のあと病院に行って点滴2本打って、それで2試合目で市船とやりました。案の定ボコられて終わりっていう記憶しかないです(苦笑)」

B:それは災難でしたね。高校2年生の時のインターハイは、福岡第一に敗れていますが、宇都選手はその試合で40得点だったそうですね。その頃からそれぐらい点は取っていたんですか?
「そうですね。基本的には点を取るの好きなので。というか、勝つためには点取った方がいいかなって。それは結構昔からです。小さい頃に母がいつも『ボール持ったらまずリング見ろ』と言っていたので、それはもう癖になってますね」

B:福岡第一は対戦してみてどうでしたか? その年の準優勝チームですが。
「強かったですね。ドライブに行ったら、目の前の視界が埋まってリングが見えなくなるんですよ。あれがたぶん留学生とやった初めての試合でしたね」

B:そこで留学生の選手相手にひるむ選手もいるかと思いますが、それでも強気に攻めたんですね。
「いや、でも面白くないですか? そういうの。どうやったら点取れるかなって。俺、大学1年の京王電鉄杯で初めて岩下さん(慶應義塾大・10年度卒・205cm)と試合した時もそうだったんですよ。最初ドライブしてレイアップに行ったら、普通にブロックされたんです。『やば。手なが!』って思って、もう一回今度はループシュートを打ったんですけど、それもまた触られて。『うわ、ループシュートも触んの? マジか』みたいな。で、次にループシュートをさらに上げたら、リングを越えて逆エアーボールになっちゃったんですよね。んで、どうしよっかなーと思って、最後は体を当てて横からヒュッと打ったら、ファウルをもらえたんです。『あ〜こうすりゃいいんだ〜』みたいな」

B:岩下選手は身長だけではなくて外国人並に手が長いですからね。でもそうやってやられながらも試合の中で学んでいったんですね。
「学びましたね。まぁ留学生だからって、あんまり怖くないですよ。昨日もバンバ(拓殖大#23)のダンク、ブロックしようとしましたし(笑)」

B:そういう強気な性格はもともとなんですか?
「どうなんですかね? 自分じゃよく分からないですけど…。確かに何回吹っ飛ばされても行きますもんね。可哀想になりません?(笑)まぁ別に外国人だからって怖くはないです」

B:気持ちが強いんですね。話を戻しますが、高校3年生の時のインターハイはどうでしたか? 結構点を取ったようですが。
「インターハイの時は延岡に負けましたけど、そこまでの3試合で結構点は取れましたね。あれはよく覚えてます。初戦で32点、二試合目で49点、三試合目の延岡戦で43点。32点の時は結構普通だったんですけど、49点の時は、試合の序盤で監督から怒られて、それを発散するために攻めました(笑)」

B:負けん気が強いんですね。厳しい監督に怒られてもへこたれないというか。
「そうですね。俺、常に怒られてきましたから(笑)。性格上、いい加減なところが多いのでそこを…。まぁ負けず嫌いだねとはよく言われます」

B:それだけ得点を取っていれば、ランキングにも入ったのでは?
「はい。確か得点アベレージは1位で、あとはアシストも1位でした。3Pも何位かに入ってましたね」(※2)

130525uto15.jpgB:すごいですね。それから高校3年時は、ウィンターカップに創部以来の初出場となりました。愛知県の予選はどんな戦いだったんですか?
「結構余裕でしたね。最後の安城学園との決勝だけ2Qくらいに足がつって、20点差くらいあったのが一気に同点くらいまで追い上げられちゃって『うわ、ヤバいんじゃね?』ってちょっと思ったんですけど。でもまぁ勝てる自信はあったし、足つりながらやっていました。あ、その試合でよく覚えている話があるんですけど、2年の時のウィンター予選決勝で、4点差で負けている時にフリースローを2本外して、逆に相手に決められて6点差になっちゃったんですよ。そのあとうちのチームの誰かがスリー決めたんですけど、足りないじゃないですか。それで3点差で負けて。もし俺があそこで2本決めていたら、結果も変わっていたかも知れない。これがスゲー悔しくて、3年の時の決勝で、最後2点か3点くらい勝ってる時にフリースローをもらったんですけど、今度は絶対決めようと思って2本沈めたんです。それで最後は2点差くらいで勝って。だから今でもフリースローは結構大事にしようと思って意識しています」

B:大学でもフリースローの確率は高いですよね。見ていて安心できるというか。初めてのウィンターカップはどうでしたか? 会場も東京体育館ですが。
「あんな大きい会場でやったのは楽しかったですね。でもまた延岡にボコボコにされて…。ずっと延岡だけはやりたくないねって言ってたんですよ。相性が悪いと言うか、他のチームならまだチャンスもあると自分たちは思ってて。なのに、インターハイもウィンターも延岡ですからね。まぁどちらにせよ勝ち上がれば戦う相手なので、仕方ないかなとは思いましたけど」


試行錯誤中のガードポジション

130525uto12.jpgB:ではここから大学での話に入りますが、1年目で1部リーグ得点王と、強烈なルーキーシーズンでした。大学でも結構やれるなという手応えは最初からあったんですか?
「入学して一番最初に出た試合が、京王電鉄杯の青学戦だったんですよ。いつもはそんなことないのに超緊張して、何もできないまま終わって。でも何試合かやって段々慣れてきて、早稲田だったかと戦った時になぜか向こうがオールコートで当たってきたんです。そうしたらガンガン抜けて。そこからですね、『あ、こういう風にやれば結構点取れるんだな』とか思い始めたのは。リバウンドを取ったあとにドリブルでそのままゴールまで持ってくやつあるじゃないですか。あれが一番点取りやすいなとか気付いたのもあの時ですね」

B:なるほど。宇都選手は身長もあるのにドリブル力もありますが、小さい頃からガードの経験はあったんですか?
「ミニバスの時はガードでした。中学生の時もボール運んでましたね」

B:入学前に『大学に入ったらガードを勉強したい』と言っていたそうですね。
「そうですね。陽さん(高橋陽・12年度主将)を見て勉強できたと思います。でも実際やるとなるとやっぱり難しいですね。試行錯誤しています」

B:今年はポイントガード的な役割もありますね。難しいとはいえ、良いパスも出していると思いますが。今年からよりパスも多くなったかなと。
「意識して出すようにはしていますね。基本的には俺が攻めるので、ディフェンスも寄ってきますし。そういうところはパスして、パスしているとパスフェイクにも引っかかってくれるじゃないですか」

B:今まで1on1や速攻に走っているイメージがあるので、パスも上手いんだなというのが新鮮です。
「一応、高校の時にもアシストランキング1位取っていますし、アシストも好きですよ。大学1年、2年の時は自分で行くだけでしたが、去年くらいからパスも結構意識していましたね。去年は10得点くらいの試合もあったじゃないですか。ああいう時はパスを意識して出してましたね」

B:専修大は、宇都選手が2年生の時にディフェンスを重視して練習して、3年生の時にそこにチームオフェンスが加わるという感じでしたよね。
「そうです、そうです。2年の時に確かインタビューで『声を出してコミュニケーションとって』みたいな話をしましたよね。『ディフェンスを頑張る』みたいな。2年の時はそんな感じで、3年になってチームオフェンスを重視してパスも意識しはじめて、ヤバい時に自分が点取ることを心掛けていました」

B:3年生の時のインカレは、5位決定戦が印象に残っています。劣勢から宇都選手が4Qの全得点を稼いで延長戦に持ち込みましたね。45分間のフル出場、46得点の活躍で、チームをなんとしても勝たせたいという気持ちが伝わってくる試合でした。
「そうですね、あれは勝ちたかったですね…。超悔しかったです。もともとうちって、4年生がオールジャパンまで残るかどうか分からないチームなので、4年生と一緒にやれるのもインカレが最後で。最後だから、絶対に勝って終わりたいと思ったんですけどね。負けちゃいましたね」

B:今シーズンの新チームはどう感じていますか?
「今年はやっぱり俺だけじゃ勝てないので、アシストも意識しつつやっています。電鉄杯では明治戦とかでディフェンスに手応えも感じました。今年は俺がガードをやっているので、平均的にみんなデカいじゃないですか。1番から4番ポジションまでみんな同じ身長なので、5番以外のところはスイッチしてもミスマッチにならないんですよ。だからディフェンスがやりやすいというのはありますね。明治戦では、オフェンスもディフェンスも練習通りの動きができたかなと」

130525uto17.jpgB:#24田代選手もよく決めましたし。
「そうですね。ノっていたから、パス出してあげた方がいいかなって。自分もそうだったんですけど、ノっている時はパス欲しいじゃないですか。2、3本連続で決めて調子いいなと思ったので、あいつのフォーメーションを基本多めにやって。ちょっと外れてきたらインサイドにボールを集めたり、自分で行ってファウルをもらったり」

B:色々考えてプレーしているんですね。
「やってますよ(笑)。昨日とかもう頭パンクしそうでした。拓大戦とか頭悩ませまくってましたから。ガード難しいわ、と思いながら」

B:4年生になって気分的に変化はありましたか? 随分みんなに声をかけるようになったなと思いますが。
「やっぱりあれじゃないですか。責任とか、自覚とか。基本的に4年生も今まで自分しか試合に出てなかったので、そういうのを持てとはよく言われていました」

写真下:今シーズンに入ってからはプレーの指示や仲間への声かけなど、これまで以上にコート内での存在感が大きく、頼もしい姿を見せている。


「負けたのは自分のせい」
無いものねだりはせず、言い訳もしない


130525uto13.jpgB:今年は3Pも打つようになりましたね。昨日の試合(京王電鉄杯二日目)でも決めていましたが。
「昨日は2/2です。フリーだったので。練習でも結構シューティングは好きなのでやってるんですけどね。まぁ、マグレだと思ってください(笑)」

B:大学2・3年の時はどうして3Pを打たなくなったんですか?
「大学に来てから最初は打ってました。1年のインカレで、打たなくなったんですよ。自分、シュートは結構フォームとか気にするんです。で、調子が悪かった時にディフェンスに『コイツ入らないから打たせろ』みたいな感じで離されて、それで迷っちゃって、そこからシュートが変な風になっちゃったんですよね。シュートがバグって。そこから打たなくなっちゃいましたね」

B:1年生の時のインタビューで、『外角のシュートの確率をあげたい』と抱負を語っていたんですけどね。
「そんなこともありましたね。ま、いいんじゃないですか? 色々ありますよ、4年間で(笑)。ってか、もう4年ですもんね俺も!」

B:そうですね(笑)。そういえば宇都選手はよく『気負わない方が良い』と言っていますよね。
「それはありますね。俺、気合い入れていると空回りするので」

B:空回りした経験があるんですか?
「結構ありますよ。めっちゃ勝ちたい試合とかで、空回りしてダメになったり。去年のインカレの明治戦とか。あの試合、全然俺がダメで、自分のせいで負けたので」

130525uto04.jpgB:それだけでもないと思いますが。
「いや、俺のせいです。それに基本的に、自分のせいで負けたと思うのが一番だと思っているんですよ。自分の成長にもつながるし、人のせいにしても意味ないじゃないですか。そういう風に思い始めたのも、もともと高校の時からよく『中部第一はあと一人いれば強かったね』って言われていたんです。天傑と俺とフェイ(日体大#88万)以外はそんな上手い選手のいないチームで、だいたい3人で攻める感じだったので。でも『あと一人いれば』なんて無いものねだりしても意味ないじゃないですか。そりゃ比江島さん(12年度青山学院大卒)が同じチームにいたら楽ですよ(笑)。でもそんなこと願っても意味がない。結局、自分がやるしかないんです。ディフェンスが二人来ても、決めてくればいい話ですから」

B:そういう責任感が自分自身の成長につながっているんですね。
「高校の時にそういうチームでやってきたから、専修でも別に無いものねだりはしないです。だからそんな感じでやってきて、今までエリートな道は通ってきてないですけど、自分の中ではいい感じの人生歩んでるかなって(笑)。行き当たりばったりですけどね。専修に入学する時も、俺、行くって決めてからその年のリーグ戦で全敗って知りましたもん(笑)。マジで!? ってなりました」

B:そうだったんですか。あの年は主力が下級生で難しい年でしたからね。他のチームからも声は掛かっていたんですよね?
「はい、全然ありました。でも寮があって飯が出るのがいいなと思って、そういう風に絞っていったら専修かなと。結構同じ代もメンツが揃っていたし、一個上に樋口さん(12年度卒)もいたので。樋口さんとは中学校の時から仲良かったんですよね」

B:樋口選手も同じ愛知でしたね。専修大に入って実際どうでしたか?
「最初は中部第一と比べて練習が物足りない感じはしましたね。自分たちの代は特になんですけど、練習が終わってからもみんな自主練で残っていました。まぁ今でも用事がない時は結構最後まで体育館にいますね」

写真下:2012年のインカレ、明治大に破れたあと涙を拭いながらロッカールームへと下がって行った。最終日の順位決定戦で惜敗したあとも、4年生を尻目に一番悔しがって泣いていたのは彼だった。


短時間でも結果を出した“喧嘩腰”の練習

130525uto16.jpgB:体育館はバスケ部が常に使えるんですか?
「そうですね。6時半からは基本使えます。終わりの10時半まで」

B:物足りなかったと言いますが、練習はどれくらいやるんですか?
「短いですよ。特に試合前とかは、1時間ちょっととかになっちゃいますね」

B:人数と内容次第ですがそれは短いですね…。
「よくそれで(リーグ戦)3位になれましたよね(笑)」

B:でも去年はすごくガツガツ練習をやって、集中した良い雰囲気だったそうですね。
「そうなんですよ。喧嘩腰でしたね。雰囲気はマジ良かったと思います。結構みんなガツガツやり合ってましたね。ファウルされたら、次はめっちゃ無理矢理押し込んで決めにいったり。だから練習が短くても強かったんじゃないですかね。キレるのは基本的にいつも俺なんですけど」

B:それは、ちゃんとやってない人がいると許せない、という感じですか?
「それもありますけど、去年は練習ちゃんとやってないやつはいなかったです。お互い本気でやっているから、ファウルしあってぶつかって。ファウルされてムカついて、次は絶対決めてやろうと思って行くとさらにファウルされて、さすがにやり過ぎだろみたいな感じでキレることもみんな多かったですね。ピリピリしてました」

B:それが良かったんでしょうね。どうしてそういう雰囲気になったんでしょう。
「たぶん、2年の時の入替戦があったからじゃないですか。あれは嫌ですからね。去年のリーグ戦で3位になりましたけど、リーグの最後の方まで入替戦のこと気にしてましたから(笑)。『よし、とりあえずこれで入替戦は…!』とか言いながら試合やってたら、いつの間にか『あれ? これ勝ったら3位じゃね?』みたいな」

B:確かによく入替え戦回避にはあと何勝、みたいな話をしていましたね(笑)。入替戦は相当嫌でしたか。
「あれはデカい出来事だったと思いますね、うちのチームにとって。自分はそんな負ける気はしなかったですけど、館山さんとか去年の4年生はプレッシャーも感じてたみたいで。でも案の定負けなかったし、しかも確かあの時の試合が2年生のシーズンの中では一番良いバスケしたんじゃないですか? リーグ戦はあんまり良くなかったですけど、入替戦では結構チームオフェンスも噛み合って、ディフェンスも良くて。2年ではあの時が一番チームもまとまったんじゃないかと思います」

B:その入替戦が翌年につながったのが良かったんですね。
「そうですね。去年は4年生もしっかりしていたので。なんだかんだやる時はやる人たちでした」

B:去年のリーグ戦は、主力を休ませる時間帯も作ってベンチメンバーも多く出番を得ましたよね。
「そうですね。リーグ序盤はうまくいきませんでしたけどね(苦笑)。1Qでリードするのに2Qでメンバー総入れ替えして一気に追いつかれて、また3Qでメンバー戻ってきて一気に離す、みたいな。だから自分たちでコーチに言ったんですよ。スタメンが2Qの序盤まで若干出るので、2Qの途中で代えてくださいと。それか、館山さんか俺のどちらかはコートに残してくださいと。それでそれからは、そういう風にやるようになりました」

B:それが上手くいきましたね。今年はいよいよ最終学年ですが、今シーズンどのように戦っていきたいですか?
「今年のチームは経験がないですし、下級生とか色んな選手を使っていかないといけないので、最終的にはリーグ戦やインカレが勝負だと思っています。チャレンジャーの立場で気持ちが入っていればある程度はとことん戦えると思っているので、向かっていきたいですね。メンツは良いので、個人的にはそこをうまくまとめていければいいかなと思います。チーム自体も真面目になってきていると思いますよ? 朝練もやっていますし、服装も考えてますよ」

B:キャプテンの大澤選手もしっかりしていそうですね。
「結構真面目ですね。あいつがいるからチームもまとまっていると思います」


ドライブのコツは「相手をずらす」

130525uto14.jpgB:話は変わって、宇都選手の得点力の秘訣について知りたいんですが、ドライブに行く時に道筋は見えているんですか?
「うーん。見えてたり、見えてなかったり…」

B:どうして狭いところをフィニッシュまで行けるんでしょう。
「よく言われますね、よくあんな細いところ通ってくなとか、よくそんなシュート入るなみたいな。シュートは、基本的に遊びでそんなシュートばっかり打ってたので(笑)」

B:遊びで1on1をやるうちに自然と身に付いたんですね。
「そうですね。あと、抜く時の感覚としては、“俺が行くより相手をずらす”ってイメージなんです。いつも後輩に教えるのは、ここにまっすぐドライブしたいんだったら、回り道して行くんじゃなくて、フェイクで振ってディフェンスがずれたところを行けと。だから俺がドライブする時って基本的にまっすぐなことが多いんですよ」

B:確かにそういう動きですね。抜く前の揺さぶりが上手いというか。
「揺さぶってディフェンスを振ると、インラインがあくんです。そしたら行く。それか間を割っていっても、着地したところは必ずリングのところになるようにしています」

B:なるほど。そんなに難しく動いてリングに来ているわけではないですよね。
「はい。そんなにゴチャゴチャやって大回りしているわけじゃないんです。結構リングに向かってシンプルにバッと。だから、ぶつかるとコケるんです。なのに吹いてもらえない(笑)。まぁ別にいいですけど」

B:審判によく話しかけていますが、あれは昔からですか?
「なんか、癖ですかね。たまに皮肉っぽいことも言っちゃうんですけど。4年になってからは言いつつもそれは表面上だけで、精神的には案外切り替わってたりしますね」

B:少し大人になったんですね(笑)。2年の時だったか、リーグ戦で相手がシュートを打っている時に横でパン!と手をたたいてテクニカルを取られていましたよね。しかも2週続けて。
「あれは癖で練習中もやっていて、試合でやったあとに『あ、そういやこれダメだ』って気付きました(笑)。やっちまった〜と。結構忘れていたりするので、わざとじゃないです」

B:2度目はさすがにわざと!?と思ったんですが、忘れていたんですね(苦笑)。アタックしてよく吹っ飛ばされていますが、今まで大きな怪我などはしませんでしたか?
「もともと、自分で言うのもなんですけど、小学生の頃から運動神経いいんですよ。昔、舞台の上から走って飛び降りようとした時に、足が引っかかって顔面から落ちたことがあるんです。でもその時も、とっさに前転して受け身を取ったんですよね」

B:それはすごいですね!
「それをとっさにできてから、こけてもあんまり怪我とかはしてないなと。痛いですけどね、それなりに(笑)。傷だらけですよ。ほら、今回の試合もまた、こことか、こことか…。毎試合増えていきますから。まぁいいんですけど」

B:体は柔らかいんですか?
「いや、硬いです。でも筋肉は硬いんですが、関節は柔らかいって言われます」


見よう見まねでなんでもこなす器用な能力

130525uto10.jpgB:他のバスケットは結構見るんですか?
「NBAは見ますね」

B:誰が好きなんですか?
「あんまコイツが好きってのはないですけど、去年はスパーズを応援していました」

B:スパーズとは意外に手堅いですね。
「なんていうんですかね…。あのベテラン軍団が、渋いバスケットするところがいいじゃないですか。あれが結構好きなんですよ、派手じゃないバスケ」

B:イメージと真逆です(笑)。
「そうですか? まぁ去年のスパーズって、シックスマンが出て人数を使いながらベテランたちが頑張るというのが好きだったんですよ。でも最後ポポビッチ(スパーズHC)が何を間違えたかスタメンをジノビリに戻し、負けたっていう。俺が監督だったら絶対勝ってたわ、とか思いながら見てます(笑)。あとは、パスセンスで言えば、リッキー・ルビオ(ティンバーウルブズ)と、レイジョン・ロンド(セルティックス)が好きです。ロンドのフェイクとかやばいじゃないですか。あとはデリック・ローズ(ブルズ)も好きです。ドライブの時の、体の使い方が超うまいですよね。それにあれならまだ真似できそうじゃないですか」

B:そうですね。ローズは身長が190くらいですし。
「ですよね。レブロン・ジェームズ(ヒート)のバーン!ってダンクとか絶対無理だと思いますけど、ああいうしっかりした体の使い方とかは自分でも真似できると思うんです。そういうところは結構見習えるように見てますね。あとは、最近になってジャマール・クロフォード(クリッパーズ)のドリブルとかも。NBA選手でもあれだけ振られるってことは、自分がマッチアップしてたら目の前から消えるんだろうなとか思います(笑)」

B:味わってみたい感覚ですね。結構NBA選手から見習うことも多いんですね。
「そうですね。あとは、小学生の頃とかアイバーソンもよく見てました。小さいのにめっちゃ点取るじゃないですか。ああいうところは勉強になりますよね。あれこそ『小さくてもできる』っていうか。だって確か183cmくらいですよね? それで得点王とか取ってますからね。それだけ技術がないと無理なことだし、スピードもすごいし」

B:アイバーソンを見ていたということは結構小さい頃から見ていたんですね。もともとサッカーがやりたかったという話もありましたが、他の競技はしなかったんですか?
「いや、でもサッカーも結構できますよ。あと野球も、バレーも」

B:バレーボールとはちょっと想像しにくいです。
「スパイクとか結構普通に打ちますよ。でも中学校の体育の授業でバレーがあったんですけど、俺はセッターになって『ツー!』とかやって。中学生がツーアタック打つんですよ、結構止められない(笑)。そうやって見よう見まねでやるのが好きなんですよね」

B:運動神経が良くて器用なんですね。
「そうなんですかね。あとバランス感覚は、アイススケートをやってたのでそれで身に付いたんだと思います」

B:アイススケートですか! 愛知県はスケートがさかんと言いますもんね。フィギュアスケートですか?
「いや、アイスホッケーをやるために、まず基礎技術を全部学んだんです。だからクルクル回ったり、後ろ向きで滑ったりできますよ。あとスキー、スノボもできるし。スケボーも幼稚園の頃からやっていました。あとは空手も小学生の時に習っていたので、それで体幹も強くなったと思います」

B:本当に色んな競技をやっているんですね。
「あとは、小学生の時はピアノも習ってました(笑)。だから左手が器用で、ゴールの上でクルっとボールを回せるのもそういうところからかなと」

B:ピアノとはかなり意外です(笑)。そういう習い事や経験は親御さんの方針ですか?
「まぁ親にやらされていたんですけど、俺も楽しかったので。いろんなことをやるのが好きだったんです。今思うと全部つながってるなと思いますね。まぁ空手は、負けん気が強かったのでやっていたんです。小学生の頃はケンカばっかりしてたので、親からよく怒られました。でも中学生になってコーチから『バスケやりたいならケンカするな』って言われたんです。そこからケンカはしてないですけど、負けん気はそのままですね」

B:バスケットがなかったらどうなっていたんでしょうか(苦笑)。
「よく言われます。バスケやってなかったらお前は今頃バイクで走ってただろうって」

130525uto19.jpgB:(笑)。興味深い話は尽きませんが、次にインタビューを回す人を指名してもらえますか?
「じゃあ中部第一つながりで、天傑でいいですか? 天傑が回して欲しそうだったので(笑)。祐眞(拓殖大#40藤井)か天傑かで迷ったんですけど」

B:藤井選手は交友範囲が広いのでいつも名前があがるんですよね(笑)。張本天傑選手は、宇都選手から見てどんな性格ですか?
「いいやつですよ。明るいし、面白いし。なんというか、器がでかいやつなんです。スケールが大きいというか。俺が子供なので、一緒にいたらいつもあいつが大人なんです」

B:そうなんですか。覚えているエピソードはありますか?
「基本的に俺が喧嘩っ早いので相手に突っかかろうとすると、いつも天傑が止めてくれましたね(笑)。まぁ高校時代はいつも二人で助け合ってやってきました。インターハイ予選の決勝リーグで安城学園とやったんですけど、その時に俺が前半で30点以上取ってたんですよ。で、それがその日の2試合目だったんですけど、俺、絶対合計6Q目で足がつるっていうリミットがあるんです。制御できなくて、試合が始まったら1試合目からガンガン行っちゃうので。だから前半が終わって、天傑に『お前、飛ばし過ぎじゃね?』って言われて。それで俺が足つったらやばいよなって話になったんですけど、天傑が『いや、俺に任せとけ』って言ったんです。俺もじゃあ任せたって言って、足つるとか気にせず後半もガンガンやれました。まぁ結局3Q、4Qも出られたんですけどね。その試合、俺は55点取って、天傑も49点取ったんですよ。二人で104点。こっちのチームが144点とって勝ちました」

B:張本選手も頼もしいし、すごいスコアですね。今までで一番点を取ったのはその試合ですか?
「たぶんそうですね。まぁひとりでそんなに何点も取れないですよね。ディフェンスもやらなきゃいけないので。オフェンスだけでいいならもっと点取れると思いますけど、そんなことしたら監督にも怒られるし勝てないので」

130525uto03.jpgB:スコアラーでもありますが、ディフェンスへの意識も高いんですね。
「そうですね。基本的にはやらないと。まぁポイント、ポイントでしか頑張ってないですけどね。ここを守れば勢いに乗るって時とか、ここ止めないとやばいって時はしっかり1本守ろうと思います。でもそれ以外は基本ガードについているので、あまり攻めて来なかったりして。相手チームによって考えてやりますね。ガードが主役のチームだったら絶対守ろうと思いますけど、あまり攻めてこなそうだったら攻めそうなエースの方を見つつ寄ったり」

B:流れを見極めたり要所を守ったり、思っている以上に冷静に考えているんですね。
「結構、頭も使ってますよ。相手のスタメンのインサイドが下がった時にインサイドを攻めたり、相手の1年生がついた瞬間そこを突かせたり。考えてやってますね。今年は特にガードなので」

B:今回のインタビューで、宇都選手ががむしゃらに攻めているのではなく、クレバーな選手だということがあらためて分かりました。では次回は青山学院大・張本天傑選手にお話を伺います。宇都選手、ありがとうございました。

写真中:中部第一時代からのまさに“盟友”とも言える張本選手。宇都選手ほどのメンタルの持ち主が限界を感じたという練習を一緒に乗り切った仲だ。
写真下:Tシャツのサイン(左下)に添えた言葉は「自由」。何事にもとらわれない素直さかつ勁さを感じさせる。

◆#11宇都 直輝(うと なおき)
明豊中→中部大第一高→専修大
4年・G
189cm/80kg
・2006 ジュニアオールスター愛知県代表
・2006 高知全中出場
・2009 インターハイベスト16(高3)
・2009 ウィンターカップベスト16(高3)
・2010 1部リーグ戦 得点王
・2011 トーナメント 得点王
・2011 1部リーグ戦 得点王
・2011 関東学生選抜代表
・2012 1部リーグ戦 得点王・優秀選手賞
・2012 関東学生選抜代表
・2013 李相伯杯代表


(2013.4.29インタビュー)
※所属チームなどはインタビュー時点のもので掲載しています。

※1)オスグッド・シュラッター病(Osgood-Schlatter disease)。膝の脛骨が出っ張り、押したりすることはもちろん、ジャンプや屈伸などで痛みを感じる。オスグッド・シュラッター症候群とも言う。

※2)2009年インターハイのランキング(数字は一試合平均)得点41.33点(1位)/アシスト9.00本(1位)/3P3.67本(8位)

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